SGRAレポートの紹介

  • 2022.06.08

    レポート第98号「アジアはいかに作られ、 モダンはいかなる変化を生んだのか? ―空間アジアの形成と生活世界の近代・現代―」

    SGRAレポート第98号(日中合冊)     第15回SGRAチャイナフォーラム 「アジアはいかに作られ、 モダンはいかなる変化を生んだのか? ―空間アジアの形成と生活世界の近代・現代―」 2022年6月9日発行     <フォーラムの趣旨> 山室信一先生(京都大学名誉教授)の『アジアの思想史脈―空間思想学の試み』(人文書院、2017年。徐静波・訳『亚洲的思想史脉——空间思想学的尝试』上海交通大学出版社・近刊予定)と『モダン語の世界へ:流行語で探る近現代』(岩波新書、2021年)などを手がかりとして、「アジアという空間が翻訳・留学などによっていかに作られたのか?」さらに、その時空間において「modernやglobalizationなどがいかなる生活様式・思考様式の変容をもたらしたのか?」を概念語や日常語の視点からいかに捉えるのかを検討するものである。   <もくじ> 【開会挨拶】 はじめに―開会挨拶― 今西淳子(渥美国際交流財団) 野田昭彦(国際交流基金北京日本文化センター)   【講演】 「アジアはいかに作られ、モダンはいかなる変化を生んだのか? ―空間アジアの形成と生活世界の近代・現代―」 山室信一(京都大学名誉教授)   【コメントと回答】 [コメント1] 王 中忱(清華大学中国文学科) [コメント2] 劉 暁峰(清華大学歴史系) [コメント3] 趙 京華(北京第二外国語学院) [コメント4] 林 少陽(香港城市大学中文及歴史学科)   【質疑応答】 質問者:フォーラム参加者/回答者:山室信一   【閉会挨拶】 王 中忱(清華大学中国文学科)   講師略歴   あとがきにかえて 孫 建軍(北京大学日本言語文化学部)
  • 2022.02.01

    レポート第97号「「誰一人取り残さない」 如何にパンデミックを乗り越え SDGs 実現に向かうか ―世界各地からの現状報告―」

    SGRAレポート第97号   第67 回SGRA フォーラム 「誰一人取り残さない」 如何にパンデミックを乗り越えSDGs 実現に向かうか ―世界各地からの現状報告― 2022年2月10日発行   <フォーラムの趣旨> SDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)は、2015 年9月の国連サミットで、国連加盟193 カ国が採択した、2016 年から30 年までの15 年間で持続可能で、より良い世界を目指すために掲げた目標。国連ではSDGs を通じて、貧困に終止符を打ち、地球を保護してすべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけている。具体的には、17 のゴール(なりたい姿)・169 のターゲット(具体的な達成基準)から構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leaveno one behind)」ことを誓っている。SDGs に取り組むのは、国連加盟国の各国政府だけではなく、企業、NPO、NGO などの各種団体、地方自治体、教育機関、市民社会、そして個人などすべての主体がそれぞれの立場から取り組んでいくことが求められている。   2020 年はSDGs の5年目になる年であったが、新型コロナウイルスによるパンデミックが世界を席巻し、世界各国の経済や社会生活に多大な打撃を与え、世界大戦に匹敵する死傷者を出す悲惨な状況になってしまった。世界では先進国を中心にワクチン開発・供給などで取り組んで来ているが、多くの発展途上国は、資本主義の生存競争のなかで、パンデミックの対応に困難を極める状況に置かれているのが現状である。   本フォーラムは、SDGs の基本理念と目標について理解するとともに、いくつかの国をケーススタディとしてとりあげ、パンデミックを如何に克服して「誰一人取り残さない」SDGs の実現に対応すべきかについて議論を交わすことを通じて、「地球市民」を目指す市民の意識を高め、一人一人がSDGs に主体的に取り組むアクションを起こすきっかけを提供することを目的とする。     <もくじ> 【第1 部】 基調報告 SDGs時代における私たちの意識改革 佐渡友 哲(日本大学、INAF)   【第2 部】 世界各地からの現状報告 【報告1】 フィリピンにおけるSDGs フェルディナンド・C・マキト(フィリピン大学ロスバニョス校、SGRA) 【報告2】 ハンガリーにおけるSDGs ―水に関するハンガリー・中国の国際関係・協力を事例に― 杜 世鑫(INAF) 【報告3】 「 アラブ持続可能な開発レポート2020」から読み解く 中東・北アフリカ地域のSDGsに向けた課題 ダルウィッシュ ホサム(アジア経済研究所、SGRA) 【報告4】 朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)における SDGsの取り組みと評価 李 鋼哲(北陸大学、SGRA、INAF) 【報告5】 民主化プロセスとパンデミック ―歴史の運命のいたずらに翻弄されるスーダン暫定政府と国民― モハメド・オマル・アブディン(参天製薬(株)、SGRA)   【第3 部】 討論・総括 モデレーター:李 鋼哲(北陸大学、SGRA、INAF) 指定討論者: 羽場 久美子(神奈川大学教授・青山学院大学名誉教授、INAF)、三村 光弘(環日本海経済研究所(ERINA)、INAF) パネリスト:報告者全員 総   括:平川 均(名古屋大学名誉教授、SGRA、INAF)   あとがきにかえて 李 鋼哲(北陸大学、SGRA、INAF)   講師略歴
  • 2022.01.13

    レポート第96号「第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 ―人の移動と境界・権力・民族」

    SGRAレポート第96号 中国語版 韓国語版   第66回SGRAフォーラム講演録 第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性  「人の移動と境界・権力・民族」 2022年6月9日発行   <フォーラムの趣旨> 「国史たちの対話」企画は、自国の歴史を専門とする各国の研究者たちの対話・交流を目的として2016 年に始まり、これまで全5 回を開催した。国境を越えて多くの参加者が集い、各国の国史の現状と課題や、個別の実証研究をめぐって、議論と交流を深めてきた。第5 回 は新型コロナ流行下でも対話を継続すべく、初のオンライン開催を試み、多くの参加者から興味深い発言が得られたが、討論時間が短く、やや消化不良の印象を残した。今回はやや実験的に、自由な討論に十分な時間を割くことを主眼に、思い切った大きなテーマを掲げた。 問題提起と若干のコメントを皮切りに、国や地域、時代を超えて議論を豊かに展開し、これまで広がってきた参加者の輪の連帯を一層深めたい。   <もくじ> 第1セッション [総合司会:李 恩民(桜美林大学)] 【開会趣旨】 はじめに 村 和明(東京大学) 【問題提起】 人の移動からみる近代日本:国境・国籍・民族 塩出浩之(京都大学) 【指定討論1】 13~14世紀のモンゴル帝国期における人の移動 韓国:趙 阮(釜山大学) 【指定討論2】 中国の歴史における大規模な人口移動 中国:張 佳(復旦大学) 【指定討論3】 古代および中世日本の出入国管理 日本:榎本 渉(国際日本文化研究センター)   第2セッション 指定討論 [司会:南 基正(ソウル大学)] 【指定討論4】 近代における韓国人の移動 韓国:韓 成敏(世宗大学) 【指定討論5】 中心から辺地へ―「ゾミア」という概念― 中国:秦 方(首都師範大学) 【指定討論6】 帝国・人権・南洋―政治思想の視座から― 日本:大久保健晴(慶應義塾大学) 指定討論者への応答  塩出浩之(京都大学) 自由討論1 講師と指定討論者   第3セッション 自由討論2 [司会:彭 浩(大阪市立大学)] 論点整理:劉 傑(早稲田大学) パネリスト(国史対話プロジェクト参加者): 市川智生(沖縄国際大学)、大川 真(中央大学)、佐藤雄基(立教大学)、 平山 昇(神奈川大学)、浅野豊美(早稲田大学)、沈 哲基(延世大学)、 南 基玄(韓国独立記念館)、金キョンテ(全南大学)、王 耀振(天津外国語大学)、 孫 継強(蘇州大学)   第4セッション 自由討論3 [司会:鄭 淳一(高麗大学)] パネリスト(国史対話プロジェクト参加者): 市川智生(沖縄国際大学)、大川 真(中央大学)、佐藤雄基(立教大学)、 平山 昇(神奈川大学)、浅野豊美(早稲田大学)、沈 哲基(延世大学)、 南 基玄(韓国独立記念館)、金キョンテ(全南大学)、王 耀振(天津外国語大学)、 孫 継強(蘇州大学)   総括 宋 志勇(南開大学)、三谷 博(東京大学名誉教授) 閉会挨拶 趙 珖(高麗大学名誉教授)   講師略歴   あとがきにかえて 金キョンテ、三谷博   参加者リスト
  • 2021.11.09

    レポート第95号「岐路に立つ日韓関係: これからどうすればいいか」

    SGRAレポート第95号(日韓合冊)   第19回日韓アジア未来フォーラム 「岐路に立つ日韓関係: これからどうすればいいか」 2021年11月17日発行     <フォーラムの趣旨> 歴史、経済、安保がリンケージされた複合方程式をうまく解かなければ、日韓関係は破局を免れないかもしれないといわれて久しい。日韓相互のファティーグ(疲れ)は限界に達し、日韓関係における復元力の低下、日米韓の三角関係の亀裂を憂慮する雰囲気は改善の兆しを見せていない。尖鋭な対立が続いている強制徴用(徴用工)及び慰安婦問題に関連し、韓国政府は日本とともに解決策を模索する方針であるが、日本政府は日本側に受け入れられる解決策をまず韓国が提示すべきであるという立場である。なかなか接点を見つけることが難しい現状である。   これからどうすればいいか。果たして現状を打開するためには何をすべきなのか。日韓両国政府は何をすべきで、日韓関係の研究者には何ができるか。本フォーラムでは日韓関係の専門家を日韓それぞれ4名ずつ招き、これらの問題について胸襟を開いて議論してみたいと考え、日韓の基調報告をベースに討論と質疑応答を行った。   <もくじ> 第1部 講演および指定討論 【講演1】 岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか----日本の立場から 小此木 政夫(慶應義塾大学名誉教授)   【指定討論1】 小此木先生の講演を受けて 沈 揆先(ソウル大学日本研究所客員研究員)   【講演2】 岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか---- 韓国の立場から 李 元徳(国民大学教授)   【指定討論2】 李元徳先生の講演を受けて 伊集院 敦(日本経済研究センター首席研究員)   第2部自由討論 討論者 金 志英(漢陽大学副教授)  西野純也(慶應義塾大学教授) 小針 進(静岡県立大学教授)  朴 栄濬(国防大学教授)   第3部 質疑応答  司会アシスタント  金 崇培(忠南大学招聘教授)     あとがきにかえて  金 雄煕(仁荷大学教授)   講師略歴 
  • 2021.10.12

    レポート第94号「第5 回 日本・中国・韓国における 国史たちの対話の可能性― 19 世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」

    SGRAレポート第94号 中国語版 韓国語版   第65回SGRA-Vフォーラム講演録 第5回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 「19 世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」 日本語版:2021年10月8日発行 中国語版・韓国語版:2021年12月15日発行     <フォーラムの趣旨> 東アジア地域で持続的に続く交流の歴史の中で、感染症の発生と流行が日中韓3国に及ぼした影響と社会的対応の様相を検討する。感染症はただ一国にとどまらず、頻繁に往来した商人たちや使節などに因って拡散され、大きな人的被害を招いた。感染症が流行する中、その被害を減らすために、各国なりに様々な対処方法を模索した。これを通じて感染症に対する治療方法のような医学知識の共有や防疫のための取り締まり規則の制定などが行われた。この問題について各国がどのように認識し、如何に対応策を用意したかを検証し、さらに各国の相互協力とその限界について考える。     <もくじ> 第1セッション [座長:村 和明(東京大学)] 【歓迎挨拶】 はじめに 今西淳子(渥美国際交流財団)   【開会挨拶】 第5回 円卓会議開催にあたって 趙 珖(韓国国史編纂委員会)   【発表論文1】 開港期朝鮮におけるコレラ流行と開港場検疫 朴 漢珉(東北亜歴史財団)   【発表論文2】 19 世紀後半日本における感染症対策と開港場 市川智生(沖縄国際大学)   【発表論文3】 中国衛生防疫メカニズムの近代的発展と性格 余 新忠(南開大学)   【指定討論】 [指定討論1]発表者へのコメント 金 賢善(明知大学) [指定討論2]発表者へのコメント 塩出浩之(京都大学) [指定討論3]発表者へのコメント 秦 方(首都師範大学)     第2 セッション [座長:南 基正(ソウル大学)] 自由討論 論点整理:劉 傑(早稲田大学)   自由討論:パネリスト(国史対話プロジェクト参加者)   総  括:宋 志勇(南開大学)   コメント:明石 康(元国連事務次長)   閉会挨拶:三谷 博(跡見学園女子大学)     事前コメント   あとがきにかえて 金キョンテ、金 賢善、平山 昇   著者略歴    参加者リスト
  • 2021.06.14

    レポート第93号「東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」

      SGRAレポート第93号(日中合冊)     第14回SGRAチャイナVフォーラム 「東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」 2021年6月18日発行     <フォーラムの趣旨> 江戸時代後期以降、日本には西洋の諸理論が流入し、絵画においても、それまで規範であった中国美術の受容とそれを展開していく過程に西洋理論が影響を及ぼすようになっていった。一方、絵画における東洋的な伝統や理念が西洋の画家たちに影響を与え、さらにそれが日本や中国で再評価されるという動きも起こった。本フォーラムでは、その複雑な影響関係を具体的に明らかにすることで、日本近代美術史を東洋と西洋の思想が交錯する場として捉え直し、東アジアの多様な文化的影響関係を議論したい。日中同時通訳付き。     <もくじ> 【開会挨拶】 はじめに―開会挨拶― 今西淳子(渥美国際交流財団) 高橋耕一郎(国際交流基金北京日本文化センター)     【講演】 中国古典と西欧絵画との理論的邂合 ―東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考― 稲賀繁美(国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学) ※上記はともに2021年3月末退任、現在は名誉教授。現職は京都精華大学教授   【コメント】 劉 暁峰(清華大学歴史学科) 塚本麿充(東京大学東洋文化研究所) 王 中忱(清華大学中国文学科)/高華鑫(中国社会科学院文学研究所)代読 林 少陽(香港城市大学中文及歴史学科)   【自由討論】 討論者:参加者を交えた質疑応答   講師略歴   あとがきにかえて 孫 建軍(北京大学日本言語文化学部)
  • 2021.06.14

    レポート第92号「国際日本学としてのアニメ研究―メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開―」

      SGRAレポート第92号(日中合冊)     第13 回SGRA チャイナ・フォーラム 「国際日本学としてのアニメ研究 ―メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開―」 2021年6月18日発行     <フォーラムの趣旨> 企業が主導して、複数の作家が同一のキャラクターや世界観(背景世界)を共有して創作物を同時多発的に生み出し、さらにそこにファンが二次創作やコスプレの形で創造的に参加する「メディアミックス」は、日本のアニメーションを中心とするコンテンツ産業の特徴的手法とされ、Marc Steinberg 『Anime’s media mix: Franchising toys and characters in Japan』(2012)以降、アニメの学術研究の新しい領域として注目を集めている。本フォーラムではSteinbergの議論では不十分であったメディアミックスの東アジアでの歴史的な起源について中・日双方から検証したい。     <もくじ> 【開会挨拶1】 董 炳月(中国社会科学院文学研究所研究員)   【開会挨拶2】 徐 滔(北京外国語大学日本語学院院長)   【講演1】 「翼賛一家」とメディアミックスの日本ファシズム起源 大塚 英志(国際日本文化研究センター教授)   【講演2】 日本アニメにおける『西遊記』のアダプテーション ―変異するキャラクター― 秦 剛(北京日本学研究センター教授)   【総合討論】 メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開 モデレーター 顔 淑蘭(中国社会科学院文学研究所助理研究員) 討論者 古市 雅子(北京大学マンガ図書館館長准教授) 陳 龑(東京大学総合文化研究科博士課程)   講師略歴   あとがきにかえて 陳 龑(東京大学総合文化研究科博士課程)            
  • 2020.11.12

    レポート第91号「ポスト・コロナ時代の東アジア」

      SGRAレポート第91号     第13 回 SGRA-V カフェ 「ポスト・コロナ時代の東アジア」 2020年11月20日発行     <カフェの趣旨> 世界を震撼させた 2020 年の新型コロナウイルスが世界システムをかく乱し、「ポスト・コロナ時代」の国際関係の再構築が求められる中、東アジアはコロナの終息を待たずに、すでに激しく動き始めている。 コロナが発生するまで、中国のアメリカと日・韓の分断戦略はある程度の効果をもたらしてきた。しかし、コロナ問題と香港問題によって「米中新冷戦」が一気に進み、今まで米中間のバランスの維持に腐心してきた日本及び韓国に選択が迫られる。とりわけ日中の曖昧な「友好」関係の継続は限界に達し、日本の主体性ある「新アジア外交戦略」が模索され始めている。 中国による「国家安全法」の強制導入で、香港は一気に「中国システム」の外延をめぐる攻防の激戦地になり、米中新冷戦の最前線となった。香港という戦略上の緩衝地帯を喪失する台湾は、「台湾問題を解決する」中国からの圧力が一段と高まり、アメリカとの安全保障上の関係強化を一層求めることなり、台湾海峡は緊迫の時代に回帰する。 「ポスト・コロナ時代」における「米中新冷戦」の深まりはもはや回避できない。     <もくじ> 【開会挨拶】 SGRAカフェのオンライン開催にあたって 今西淳子(渥美国際交流財団常務理事)   【講演】 ポスト・コロナ時代の東アジア 林 泉忠(武漢大学日本研究センター教授・センター長)   【コメント1】 災い転じて福となす――新しい協調関係を 下荒地 修二(元外交官・大使)   【コメント2】 歴史の「本当の」終わり?――韓国の視座から 南 基正(ソウル大学日本研究所教授)   全体討論・懇親会 進行:林 泉忠 発言者(発言順) 高原 明生 (東京大学) 松田 康博 (東京大学東洋文化研究所) 菱田 雅晴 (法政大学) 小笠原 欣幸(東京外国語大学) 沼田 貞昭 (元外交官) 若林 一平 (ふくしま再生の会)   著者略歴   あとがきにかえて1 李 彦銘   あとがきにかえて2 林 泉忠
  • 2020.11.11

    レポート第90号「第4回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性─『東アジア』の誕生-19世紀における国際秩序の転換-」

      SGRAレポート第90号  中国語版  韓国語版     第63回SGRAフォーラム講演録 第4回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 「『東アジア』の誕生-19世紀における国際秩序の転換-」 2020年11月20日発行     <フォーラムの趣旨> 19 世紀以前の東アジアは、域内各国の関係は比較的に疎遠で、各国が個別に外国との関係を結んでいた。しかし、西洋の諸国がグローバル化の運動を北太平洋まで及したとき、日中韓の関係は政治・経済・通信のいずれの面でも緊密化し始め、その中で「東アジア」を一体のリージョンと見なす想像力が生れた。今回は、このような東アジアの国際秩序の変化、その中での各国の国内秩序の変化を主題に国際対話を試みる。 西洋が強い商業関心と新たな交通・通信・軍事技術をもって該地域に再登場したとき、中国・日本・朝鮮はどのように西洋を認識したか。伝統的な知の体系とそれはどう絡み合ったのか。いずれの国でも反発と同時に新たな知への憧憬が生れ、一方では伝統への挑戦、他方では伝統の再造が試みられた。例えば、日本では、洋学が学校教育の主軸に据えられる一方、秩序の核心に天皇を置き、家族では儒教的な男性優位観が一般化した。この西洋への反発と憧れは国ごとに組合わせ方が異なり、それは今に至る文化の相違を生み出すことになった。 西洋の進出は各国に自衛を促し、結果的に各国を「国民国家」に変えていった。遅速の差はあっても、国境を明確化し、内部の団結を促すナショナリズムを生み出すことになったのである。その一方、西洋の持込んだ海運網は、人々を国境の外に誘うことにもなった。中国からは東南アジアに加えてアメリカ大陸に大量の出稼ぎ労働者が向い、以前は皆無だった日本からも移民が海を越えるようになった。朝鮮では移民は少なかったが、外国留学生や政治亡命者が現れ、やがて国の将来に大きな影響を及すようになった。ナショナリズムの形成と国境を越える移民・留学・亡命との交錯は、従来の東アジアの秩序を国際関係と国内秩序の両面で大きく変化させ、20 世紀の大変動を準備することになる。 今回のフォーラムでは、およそ以上のような問題群を取上げ、3 つのセッションに分けて各国の事情を比較し、討論して、19 世紀東アジア世界に起きた大転換の全体像を把握したい。     <もくじ> 第1セッション 開会 [司会:劉 傑(早稲田大学)] 【開会挨拶】 第4回円卓会議開催にあたって 趙 珖(韓国国史編纂委員会)   【歓迎挨拶】 19世紀のフィリピン―マニラ・ガレオン貿易を中心に― フェルディナンド,マキト(フィリピン大学ロスバニョス校)   【基調講演】 「アジア」の発明―19世紀におけるリージョンの生成― 三谷 博(跡見学園女子大学)   【コメント】 基調講演を受けて1 宋 志勇(南開大学)   【コメント】 基調講演を受けて2 朴 漢珉(東国大学)   第2セッション 西洋の認識 [司会:劉 傑(早稲田大学)] 【発表論文1】 19世紀東アジアの国際秩序と「万国公法」受容―日本の場合― 大久保健晴(慶應義塾大学)   【発表論文2】 19世紀後半における東アジア三国の不平等条約体制の克服の可能性と限界 ―1880年代初、朝鮮の門戸開放政策を中心に― 韓 承勳(高麗大学)   【発表論文3】 魔灯鏡影―18世紀から20世紀にかけての中国のマジックランタンの上映と製作と伝播― 孫 青(復旦大学)   【質疑応答】 第2セッション発表論文へのコメントおよび討論     第3セッション 伝統への挑戦と創造 [司会:村 和明(東京大学)] 【発表論文4】 18・19世紀における女性天皇・女系天皇論 大川 真(中央大学)   【発表論文5】 日本民法の形成と植民地朝鮮での適用―制令第7号「朝鮮民事令」を中心に― 南 基玄(成均館大学)   【発表論文6】 伝統と制度の創造―19世紀後期の中国の洋務運動― 郭 衛東(北京大学)   【質疑応答】 第3セッション発表論文へのコメントおよび討論     第4セッション 国境を越えた人の移動 [司会:彭 浩(大阪市立大学)] 【発表論文7】 東アジア公共圏の誕生 ―19世紀後半の東アジアにおける英語新聞・中国語新聞・日本語新聞― 塩出浩之(京都大学)   【発表論文8】 金玉均の亡命に対する日本社会の認識と対応 韓 成敏(大田大学)   【発表論文9】 近代中国女性のモビリティー経験と女性「解放」に関する再考 秦 方(首都師範大学)   【質疑応答】 第4セッション発表論文へのコメントおよび討論     第5セッション 全体討議 [司会:李 恩民(桜美林大学)] 招待討論者:青山治世(亜細亜大学)、平山 昇(九州産業大学)、 朴 漢珉(東国大学)、孫 衛国(南開大学)   第6セッション 自由討論 [司会:南 基正(ソウル大学)] 総括:三谷 博(跡見学園女子大学)   あとがきにかえて 明石 康、金キョンテ、大川 真、南 基玄、郭 衛東、朴 漢珉   著者略歴   参加者リスト
  • 2019.02.02

    レポート第89号「再生可能エネルギーが 世界を変える時…? ――“An Inconvenient Truth” 不都合な真実を超えて」

    SGRAレポート第89号   第62回SGRAフォーラム 「再生可能エネルギーが 世界を変える時…? ―“An Inconvenient Truth” 不都合な真実を超えて」 2019年11月11日発行   <フォーラムの趣旨>   流れは変わった⁈ 19世紀以降の化石燃料によるエネルギー市場が大きく変わろ うとしている。 UAEでは砂漠に300万枚の世界最大の太陽光発電基地を設 置し、原発1基分の発電を行う計画が進行している。その発電 コストは日本の火力発電コストの1/5と言われる。 中国は2017年共産党大会で「エコ文明」のリーダー(環境大国) 宣言し、CO2 社会からの脱却を表明し、巨大な太陽光発電施設 を各地に建設している。 また、トランプ政権はパリ協定を批判し脱退したにもかかわ らず、アメリカではカリフォルニアを始めとする各州・都市、 大企業等2500がパリ協定支持を表明し、国際金融市場でも環 境ビジネスへの投資が急増している。   COP21/パリ協定締結以降、再生可能エネルギー社会への牽引 役として「ビジネス」が躍り出た こうした国際的な経済、社会のエネルギーをとりまく潮流の 変化は「パリ協定以降、脱炭素社会(再生可能エネルギー社 会)に向ける流れの牽引役が、気候変動に影響される国、環境 NGOから国際ビジネスセクターに移行した」と言われるよう になった。その背景には、気候変動による地球規模の災害への 危機感だけでなく技術革新とコストダウンにより再生可能エネ ルギーへの投資が“Payする”ことが実証されつつある、とい う現実がある。   再生可能エネルギー社会実現に向けた模索、可能性そして課題 一方で「ほんとなのか?」という疑問も拭うことはできない。 地球温暖化の影響で顕在化する気候変動、資源の枯渇などを 考えれば再生可能エネルギー社会(脱炭素社会)への転換は、 地球社会が避けて通ることができない喫緊の課題である。しか しながら、グローバルな大資本が参入し、化石燃料エネルギー から自然エネルギーに転換したとしても、地球環境問題は改善 されるであろうが、大量消費文明を支える大規模エネルギーの 電源が変わるだけで、大量生産大量消費の文明の本質は変わら ないのではないだろうか。   福島県飯舘村の「再生と自立」に向けた試み こうした中で、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故の 教訓から、コミュニティー発電(Community Power)による、 エネルギーの地産地消の試みを、地域の自立と新しいコミュニ ティーの創造に繋げようとする流れも生まれている。日本のコ ミュニティー発電は、ヨーロッパ各国に較べて大きく立ち遅れ、 さまざまな規制や障害が多いが、それを乗り越えてコミュニ ティー発電をコミュニティーの自立と尊厳の回復のシンボルに したいという福島県飯舘村の活動にも注目したい。     <もくじ>   【基調講演1】 《Renewable Energyに関する世界の動向》 「低炭素エネルギーのグローバルな展開と日本の立ち位置」 ルウェリン・ヒューズ(オーストラリア国立大学准教授)   【基調講演2】 《Global experience of Energiewende》 「ドイツと世界のエネルギー転換政策とコミュニティー発電」 ハンス=ヨゼフ・フェル(エネルギー・ウォッチ・グループ代表。元ドイツ緑の党連邦議員)   【プレゼンテーション1】 《国際政治経済からの視点》 「通商紛争の中の再生可能エネルギー ――韓国のエネルギーミックスと保護主義のインパクト」 朴 准儀(ジョージ・メイソン大学(韓国)兼任教授)   【プレゼンテーション2】 《環境技術/中国からの視点》 「中国の再生エネルギー政策と環境改善の行方」 高 偉俊(北九州市立大学教授)   【プレゼンテーション3】 《科学技術/イノベーションからの視点》 「太陽電池発電コストはどこまで安くなるか?課題は何か?」 葉 文昌(島根大学准教授)   【プレゼンテーション4】 《コミュニティーの視点から》 「コミュニティーパワーと飯舘村再生のヴィジョン」 佐藤健太(飯舘村村会議員)   【プレゼンテーション5】 《コミュニティーの視点から》 「飯舘電力の挑戦」 近藤 恵(飯舘電力専務取締役)   -  ふりかえり対談 - 飯舘村から考える「再生可能エネルギー ―― 不都合な真実を超えて」 ロヴェ・シンドストラン、角田英一、ソンヤ・デール   〔総合司会 ソンヤ・デール(一橋大学専任講師)〕   あとがき   講師略歴