SGRAメールマガジン バックナンバー

  • SUN Jianjun “The 17th SGRA China Forum ‘The Birth of Modern Art in Southeast Asia’ Report”

    ********************************************** SGRAかわらばん1013号(2024年4月25日) 【1】孫健軍「第17回SGRAチャイナフォーラム報告」 「東南アジアにおける近代〈美術〉の誕生」 【2】第22回日韓アジア未来フォーラムへのお誘い(再送) 「ジェットコースターの日韓関係-何が正常で何が蜃気楼なのか」 ********************************************** 【1】孫健軍「第17回SGRAチャイナフォーラム『東南アジアにおける近代〈美術〉の誕生』報告」 2023年11月25日(土)北京時間午後3時(日本時間午後4時)より第17回SGRAチャイナフォーラム「東南アジアにおける近代〈美術〉の誕生」が開催された。コロナが収束して4年ぶりに対面形式で行う予定だったが、スケジュールを決める9月の時点で2012年秋の事態を思わせる空気が漂い始め、オンライン方式を続けることに決めた。 テーマの通り、今回は美術史の返り咲きとなった。しかもこれまで焦点が置かれていた「東アジア」から初めて「東南アジア」に視点を向けたため、事前の準備はこれまでと異なり、チャイナフォーラムの歴史の中でかつてない国際的な展開となっていた。講師は北九州市立美術館館長の後小路雅弘先生、指定討論者は北京大学東南アジア学科准教授の熊燃先生、ナショナル・ギャラリー・シンガポール学芸員でコレクション部門ディレクターの堀川理沙先生のお二方をお迎えした。東京、北九州、北京、シンガポール、マカオと事前準備の連絡は広範囲にわたった。日本語だけでなく、英語によるメールの連絡もこれまでにないレベルで、渥美財団のスタッフ一同の国際色の高さに脱帽した。 例年通り、開催にあたり、主催者側から今西淳子・渥美財団常務理事、後援の野田昭彦・北京日本文化センター所長より冒頭の挨拶があった。野田所長の挨拶は前年同様にテーマに沿った問題提起があり、フォーラムのウォーミングアップともなった。 日本における東南アジア美術史の第一人者である後小路雅弘先生の講演は、ご自身の東南アジアの実体験から始まった。東南アジアにおける近代美術の萌芽的な動きは1930年代に見られると指摘した。地域や国同士の相互の連動は見られなかったが、植民地において19世紀末から盛んになったナショナリズムや民族自決の高まりといった国際的な共通性から、ほぼ同じ時期に見られるようになったと、数多くの絵画の紹介を通じて語った。そして19世紀末から20世紀前半にわたって、東南アジアの近代美術運動を担うパイオニアたちが直面する課題、目指す目標、各国における共通性や相違を読み解いた。 自由討論はモデレーターの名手、澳門大学の林少陽先生によって進められた。美術作品を通して、その背後にあるより微妙で生き生きとした植民地支配に対する抵抗や民族解放を求める東南アジアの歴史の詳細を見ることができるという熊燃先生のご見解や、後小路先生のご研究の原点は東南アジアだけでなく、東アジア全体にあるのではないかという堀川理沙先生のご指摘が印象的だった。その後、会場およびオンライン参加者の質問に対し、後小路先生が丁寧に回答した。 最後に清華東亜文化講座を代表して、北京第二外国語大学趙京華先生より閉会の挨拶があった。趙先生は後小路先生のご講演により、美術史を専門としない人も美術界の新たな風潮を通じて、東南アジアの20世紀の複雑な歴史的プロセス、そして民族、言語、宗教、文化の多様性について初歩的な理解を得ることができたと指摘した上で、「どのような覇権も、世界を統一することも、差異を排除することもできない。私たちは各民族国家の多様性を尊重することでしか、文明の相互理解と平和共存の理想を実現することができない」と強く訴えた。 東京会場、北京会場、そしてオンライン参加を含め、合わせて150名の参加を得た。参加者からは「東南アジアにおける近代美術が生まれた背景や、その代表的な人物に関する基本知識を得ることができた。今後もこの研究領域に関するフォーラムを開催してほしい」などの感想が寄せられた。 フォーラム開催当日は趙先生の誕生日で、北京会場でささやかなお祝いをした。4年ぶりの会食も実現した。そして次回の第18回も引き続き後小路先生に依頼し、対面形式で北京で行うことが早々に決まった。 かつてのおなじみのチャイナフォーラムが確実に戻ってくる。 当日の写真 https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2024/02/Chinaforum17_Photos.pdf アンケート集計結果 https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2024/02/Chinaforum17_Feedback.pdf <孫建軍(そん・けんぐん)SUN Jianjun> 1990年北京国際関係学院卒業、1993年北京日本学研究センター修士課程修了、2003年国際基督教大学にてPh.D.取得。北京語言大学講師、国際日本文化研究センター講師を経て、北京大学外国語学院日本言語文化系副教授。専攻は近代日中語彙交流史。著書『近代日本語の起源―幕末明治初期につくられた新漢語』(早稲田大学出版部)。 ---------------------------------------------------------------- 【2】第22回日韓アジア未来フォーラムへのお誘い(再送) 下記の通り第22回日韓アジア未来フォーラムをソウル大学国際大学院会議室とZoomのハイブリッド形式で開催しますので奮ってご参加ください。 テーマ:「ジェットコースターの日韓関係-何が正常で何が蜃気楼なのか」 日 時:2024年5月18日(土)14:00~17:40 共同主催:(財)未来人力研究院(韓国)、ソウル大学日本研究所、(社)韓国現代日本学会、(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 方 法:ソウル大学国際大学院140-2棟4階国際会議室およびZoom 言 語:日本語・韓国語(同時通訳) 参加費:無料 お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) 参加方法: ◇会場参加ご希望の方は、直接会場へお越しください。 ◇オンライン参加ご希望の方は、下記リンクより聴講していただけます。 -ZOOM_ID:583_289_8745 -ZOOMリンク:https://snu-ac-kr.zoom.us/j/5832898745 ◆フォーラムの趣旨 21世紀の新しい日韓パートナーシップ共同宣言後、雪解け期を迎えた日韓関係は、その後浮き沈みを繰り返しながら最悪の日韓関係と言われる「失われた10年」を経験した。徴用工問題に対する第三者支援解決法を契機に、2023年の7回にわたる首脳会談を経て日韓関係は一挙に正常化軌道に乗った。一体、日韓関係において何が正常で、何が蜃気楼なのか?徴用工問題解決の1年後の成果と課題、そして日韓協力の望ましい方向について考える。日韓同時通訳付き。 ◆プログラム 《開会》午後2時 司会:嚴泰奉(オム・テボン:現代日本学会総務理事) 【開会の辞】 李鎮奎(イ・ジンギュ:未来人力研究院理事長) 南基正(ナム・キジョン:ソウル大学日本研究所長) ◇第1部 報告と指定討論:日韓関係の復元、その一年の評価と課題100分 司会:李元徳(イ・ウォンドク:国民大学教授) 【報告1】西野純也(にしの・じゅんや:慶応大学教授) 「日韓関係の復元、その一年の評価と課題:政治安保」15分 【報告2】李昌ミン(イ・チャンミン:韓国外国語大学教授) 「日韓関係の復元、その一年の評価と課題:経済通商」15分 【報告3】小針進(こはり・すすむ:静岡県立大学教授) 「日韓関係の復元、その一年の評価と課題:社会文化」15分 【討論1】金崇培(キム・スンベ:釜慶大学日語日文学部准教授)7分 【討論2】安部誠(あべ・まこと:アジア経済研究所上席主任調査研究員)7分 【討論3】鄭美愛(ジョン・ミエ:ソウル大学日本研究所客員研究員)7分 ◇第2部 パネル討論:日韓協力の未来ビジョンと協力方向80分 司会:南基正(ナム・キジョン:ソウル大学日本研究所長) 【パネリスト】 西野純也(にしの・じゅんや:慶応大学) 小針進(こはり・すすむ:静岡県立大学) 安部誠(あべ・まこと:アジア経済研究所) 崔喜植(チェ・ヒシク:国民大学) 李政桓(イ・ジョンファン:ソウル大学) 鄭知喜(チョン・チヒ:ソウル大学日本研究所)A 趙胤修(チョ・ユンス:東北アジア歴史財団) 【閉会の辞】 今西淳子(いまにし・じゅんこ:渥美国際交流財団常務理事・SGRA代表) 金雄煕(キム・ウンヒ:韓国現代日本学会長) 《閉会》午後5時40分 プログラム(日本語) https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2024/04/J_JKAFF22_Program.pdf ポスター(日本語) https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2024/04/Poster_20240412_J1-scaled.jpg ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方はSGRA事務局にご連絡ください。 https://www.aisf.or.jp/kokushi/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************  
  • Invitation to the 22nd Japan-Korea Asia Future Forum “Japan-Korea Relations on a Roller Coaster: What is Normal and What is a Mirage?”

    ********************************************** SGRAかわらばん1012号(2024年4月18日) ********************************************** ◆第22回日韓アジア未来フォーラム「ジェットコースターの日韓関係-何が正常で何が蜃気楼なのか」へのお誘い 下記の通り第22回日韓アジア未来フォーラムをソウル大学国際大学院会議室とZoomのハイブリッド形式で開催しますので奮ってご参加ください。 テーマ:「ジェットコースターの日韓関係-何が正常で何が蜃気楼なのか」 日 時:2024年5月18日(土)14:00~17:40 共同主催:(財)未来人力研究院(韓国)、ソウル大学日本研究所、(社)韓国現代日本学会、(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 方 法:ソウル大学国際大学院140-2棟4階国際会議室およびZoom 言 語:日本語・韓国語(同時通訳) 参加費:無料 お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) 参加方法: ◇会場参加ご希望の方は、直接会場へお越しください。 ◇オンライン参加ご希望の方は、下記リンクより聴講していただけます。 -ZOOM_ID:583_289_8745 -ZOOMリンク:https://snu-ac-kr.zoom.us/j/5832898745 ◆フォーラムの趣旨 21世紀の新しい日韓パートナーシップ共同宣言後、雪解け期を迎えた日韓関係は、その後浮き沈みを繰り返しながら最悪の日韓関係と言われる「失われた10年」を経験した。徴用工問題に対する第三者支援解決法を契機に、2023年の7回にわたる首脳会談を経て日韓関係は一挙に正常化軌道に乗った。一体、日韓関係において何が正常で、何が蜃気楼なのか?徴用工問題解決の1年後の成果と課題、そして日韓協力の望ましい方向について考える。日韓同時通訳付き。 ◆プログラム 《開会》午後2時 司会:嚴泰奉(オム・テボン:現代日本学会総務理事) 【開会の辞】 李鎮奎(イ・ジンギュ:未来人力研究院理事長) 南基正(ナム・キジョン:ソウル大学日本研究所長) ◇第1部 報告と指定討論:日韓関係の復元、その一年の評価と課題100分 司会:李元徳(イ・ウォンドク:国民大学教授) 【報告1】西野純也(にしの・じゅんや:慶応大学教授) 「日韓関係の復元、その一年の評価と課題:政治安保」15分 【報告2】李昌ミン(イ・チャンミン:韓国外国語大学教授) 「日韓関係の復元、その一年の評価と課題:経済通商」15分 【報告3】小針進(こはり・すすむ:静岡県立大学教授) 「日韓関係の復元、その一年の評価と課題:社会文化」15分 【討論1】金崇培(キム・スンベ:釜慶大学日語日文学部准教授)7分 【討論2】安部誠(あべ・まこと:アジア経済研究所上席主任調査研究員)7分 【討論3】鄭美愛(ジョン・ミエ:ソウル大学日本研究所客員研究員)7分 ◇第2部 パネル討論:日韓協力の未来ビジョンと協力方向80分 司会:南基正(ナム・キジョン:ソウル大学日本研究所長) 【パネリスト】 西野純也(にしの・じゅんや:慶応大学) 小針進(こはり・すすむ:静岡県立大学) 安部誠(あべ・まこと:アジア経済研究所) 崔喜植(チェ・ヒシク:国民大学) 李政桓(イ・ジョンファン:ソウル大学) 鄭知喜(チョン・チヒ:ソウル大学日本研究所)A 趙胤修(チョ・ユンス:東北アジア歴史財団) 【閉会の辞】 今西淳子(いまにし・じゅんこ:渥美国際交流財団常務理事・SGRA代表) 金雄煕(キム・ウンヒ:韓国現代日本学会長) 《閉会》午後5時40分 プログラム(日本語) https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2024/04/J_JKAFF22_Program.pdf ポスター(日本語) https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2024/04/Poster_20240412_J1-scaled.jpg ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方はSGRA事務局にご連絡ください。 https://www.aisf.or.jp/kokushi/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************  
  • MORI Takato “Quest for Truth”

    ********************************************** SGRAかわらばん1011号(2024年4月11日) 【1】SGRAエッセイ:森崇人「真理の探究」 【2】国史対話エッセイ紹介:キム・ホ「歴史と私」 ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#762 ◆森崇人「真理の探究」 私の研究は高エネルギー理論物理学、物性理論、量子情報理論の境界領域である。在学中は興味本位でこれら様々な分野から「量子もつれ」と呼ばれるミクロ特有の相関を調べていたため、博士論文の研究を一つの大きなストーリーにまとめるのが難しかった。そこで研究の原点に立ち戻る必要があった。このような振り返りは研究中にはあまりしないので、何を行ってきて、何を目指していたのか、そしてどこまで進んだのか再確認するには非常に有用であった。エッセイでは、私が何を目指して博士課程の間に研究をしたのか、そして在学中に感じたことを書き連ねたい。 研究目標は量子重力理論の解明である。量子重力というのは非常に微視的(量子的)なスケールで顕著になる重力の揺らぎや重ね合わせなどの量子効果を調べる分野で、その理論的枠組みを明らかにすることがゴールである。それにより、宇宙の誕生やブラックホール等に存在する時空の特異点(=これまでの理論が破綻する領域)を説明する理論構築につながると考えられている。このように重力が強く、その量子効果が無視できない領域では、我々が今持っている物理的理解・数学的手法が及ばないため、何か間接的な理解の仕方が必要となる。 そこで、近年はホログラフィー原理という対応を用いて、量子重力を、重力を含まない多自由度の量子系(例えば電子など)から理解する試みがなされている。私の研究ではその立場から、量子系の量子もつれなどの情報を調べることで、量子重力を理解しようとした。解析手法には、場の理論[高エネルギー理論物理]、テンソルネットワーク[物性理論]、一般相対性理論[重力理論]などの様々な分野の手法を援用した。このように分野を俯瞰しながら、ゆくゆくは情報理論の立場から量子重力を理解したいと考えている。 宇宙の誕生や時空の構成単位に迫る研究は理論物理の興味のみならず、哲学的にも意味があると信じている。古来より、人類は自身や宇宙の起源、存在に疑問を投げかけてきた。私の研究は、これらの問いに対して一つの答えを与えるものだと考えている。これまでの研究からの私の理解は以下である。 私たちが見ている世界、実存とは、実際のところ情報の集合体である。また、私たちが認識できるような世界というのは微視的情報が粗視化されたような解像度の低い世界(この構造を階層性と呼ぶ)で、理論的には一次元低い世界の情報の束として表現できる。従って、我々の世界や我々が行う観測という行為は一次元低いハードディスクのような記憶媒体、つまり情報源から、ホログラムのように情報を読み出す再生装置のようなものだと思われる。 では、私たちの上位存在である記憶媒体のことを我々は知り得るのだろうか。これは近年の量子コンピュータの発展とも無関係ではない。量子コンピュータ―は古典コンピュータ―より速いかもしれないと言われているが、果たして演算される入力と出力自体は量子性を認識できるのだろうか。我々が処理される情報のようなものであるなら、このような具体化はあながち間違いではないかもしれない。このように、理論物理は哲学とも深く結びついていて、自分とは何者か問いかけられる良い手法だと思う。 私が続けてきた学際的な研究は近年、急速に進んでいる。特に理論物理と情報理論の親和性は高く、これまでにない速度とレベルで研究交流がなされている。例えば、量子重力と量子情報や、物性理論と量子情報、非平衡熱力学と情報幾何学などがある。しかし、その一方で、どちらにも精通して分野を俯瞰しながら、新しい研究分野を創成することができるような成果はまだ少なく思える。もちろん一つの分野を極めて、そこからじわじわ境界領域を攻めていく方法は間違いではないし、むしろ強みがあった方が良い(自分はおろそかにしがちなので、この文章を書きながら自らに言い聞かせている)。 しかし、様々な分野を平等に攻めたからこそ、より根幹をなす普遍的な問題に気づけるのではないだろうか。そのような問題意識で量子重力・量子情報・物性理論・高エネルギー理論物理学の幅広い分野で研究を推し進めてきた。特に私の主な分野である量子重力分野に顕著だが、曖昧で弱い根拠の上に様々な論を組み立てるものがある。これ自体はインスピレーションの源泉にもなりうるし、実際多くの研究がなされた結果、元のアイデアがより厳密に示されたりするので、良い側面はある。 しかし、実際は驚くほど地に足をつけて議論できていないこともある。例えば、ある分野の研究対象Aと別の分野の研究対象Bの間に類似性がある。「A=B」とすればAかBのいずれかを調べることで両分野の進展につながる。しかし、「A=B」というのは仮定であり、それは検証されるべき前提条件である。残念ながらその緻密な検証作業がおろそかになっている側面は否めない。これは近年の競争原理の高まりによる論文至上主義(はやりの分野で、たくさん論文を書けば良い)の弊害だろうか。私もそのあおりを受けざるを得ないのだが、それでも地に足をつけながらバイアスを排除して真実を見落とさないように注意深く、じっくり研究していきたいと思っている。 これからは京都大学、そしてカナダのペリメータ理論物理学研究所で研究員として研究を続けていくことになるが、より一層様々な分野の人々と協力しながら真理の探究をしていきたい。 <森崇人(もり・たかと)MORI Takato> 2024年10月~:京都大学特定研究員(学振PD)、2024年6月~:ペリメータ理論物理学研究所研究員、2024年4月~9月:日本学術振興会特別研究員PD(京都大学基礎物理学研究所)、2023月3月:総合研究大学院大学高エネルギー加速器科学研究科素粒子原子核専攻5年一貫博士課程修了、2022年度渥美奨学生。 ---------------------------------------------------------------- 【2】国史対話エッセイ紹介 3月28日に配信した国史対話メールマガジン第55号のエッセイをご紹介します。 ◆キム・ホ「歴史と私」 昨年の秋に、日本の「国史たちの対話」事務局から原稿の依頼をいただいた。「賎学非才」な私なのに、研究を振り返ってくれという注文だった。これまで何を研究し、なぜそのテーマに関心を傾けたのか、久しぶりに振り返ってみた。中途半端ではなかったと思えて安心した半面、学部や大学院生時代から就職後においても、精神的彷徨は多かったことを告白せざるを得なかった。研究履歴は一人だけの研究結果というより、研究者のもう一つの顔であり子供のようなものなので、この文章を書いている最中はずっと恥ずかしく顔がほてっている。それでも、これまでの研究履歴を少しでも整理する機会にしてみようという気持ちから勇気を出した。 1980年代に韓国で大学に通った方々ははっきり覚えていると思うが、当時のキャンパスは毎日石と火炎瓶が飛び交い、煙たい空気で息をすることさえ難しかった。中学、高校時代ずっと歴史学に憧れていた私は、大学に入学さえすれば韓国史の勉強に専念できると思っていた。しかし連日のデモと休講が相次ぐ大学生活はいわゆる「勉強」とは程遠い状況だった。また、歴史を少しずつ知っていけばいくほど、私が知っていた歴史は歴史ではなかった。 「民衆」が強調された1980年代の韓国の雰囲気のせいか、私は支配階級である王や両班の歴史ではなく一般民衆の日常の方により関心を持つようになり、民衆の歴史を復元しようと決心した。幼い頃からなぜか強者より弱者の文化に関心があったという背景もある。ところが、100年前に遡ってみると、残っている史料や記録はすべて漢字だらけだった。 全文は下記リンクよりお読みください。 https://www.aisf.or.jp/sgra/kokushi/J_Kokushi2024KimHoEssay.pdf ※SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方はSGRA事務局にご連絡ください。3言語対応ですので、中国語、韓国語の方々にもご宣伝いただけますと幸いです。 ◇国史メルマガのバックナンバー https://www.aisf.or.jp/kokushi/ ◇購読登録ご希望の方はSGRA事務局へご連絡ください。 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方はSGRA事務局にご連絡ください。 https://www.aisf.or.jp/kokushi/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************  
  • Amelie CORBEL “SGRA Cafe #21 Report: The Reality of Dual Nationality in Japanese Society”

    ********************************************** SGRAかわらばん1010号(2024年4月4日) 【1】アメリ・コーベル「第21回SGRAカフェ『日本社会における二重国籍の実態』報告」 【2】寄贈本紹介:申惠媛『エスニック空間の社会学:新大久保の成立・展開に見る地域社会の再編』 ********************************************** 【1】アメリ・コーベル「第21回SGRAカフェ『日本社会における二重国籍の実態―複数国籍保持者に対するスティグマ付与と当事者らの実践』報告」 2024年2月17日に開催された第21回SGRAカフェには57人が参加し、「日本社会における二重国籍の実態」が議論されました。今回のSGRAカフェを企画した理由の一つは、日本の国籍法を巡る誤解が多いことにあります。その最大のものは「日本は二重国籍を認めていない。二重国籍は違法だ!」という認識です。日本の国籍法が「国籍唯一の原則」という理念を取り入れていることは確かですが、それが二重国籍を禁止したり、不可能としたりするものではありません。 この原則の下、二重国籍のケースを減らすための制度がいくつか設けられていますが、その重国籍防止・解消制度の多くは必ずしも積極的なものではなく、また行政による運用についても同じことが言えます。例えば国籍選択制度の下では、選択の義務を果たしながらも日本国籍を選択した上で、外国の国籍を保持することは可能なのです。それに対して、海外在住の日本人が居住国の国籍を取得した場合等に適用されている規定(11条1項)は非常に厳しいもので、重国籍の存続は許されません。同じ二重国籍者でも、状況によって法の適用が異なることが示されました。 基調講演では、武田里子氏が「日本社会における複数国籍の実態―放置主義から摘発強化への政策転換」と題して35分にわたって発表しました。まず、国際結婚の研究から二重国籍の問題に関心を寄せ、特に台湾や韓国での調査を通じて現地男性と結婚した日本人女性たちとの交流から子どもの二重国籍問題が浮かび上がったことを紹介。日本国籍と外国籍の選択が22歳までに必要とされるが、実際にはこの義務を果たさなくても何も起こらないという混乱した情報の中で、母親たちが子供の将来について心配していることを指摘しました。 次に、日露ハーフの子どもたちに関する国籍問題が取り上げられました。通常、ハーフの子供たちは片方の親から日本国籍、もう一方の親から外国籍を取得しますが、日本に生まれたロシア人の子は出生によってロシア国籍を取得したとは見なされず、「簡易帰化のような手続きを経て取得した」と、日本政府は解釈します。そのため、ロシア大使館に出生届を提出した時点で日本国籍を喪失します。子どもの最善の利益の観点から、この国籍法の運用は許されるものなのかと、武田氏は問いかけました。 その後、発表のタイトルにある通り、過去40年の間、日本政府による複数国籍への対応がどのように変遷してきたのかを論じてくださいました。 40年前と言うと、ちょうど1984年の国籍法改正の時です。当時、女子差別撤廃条約の批准のための法整備の一環として、父系優先血統主義が父母両系血統主義に改められました。この法改正により、二重国籍者の増加が予測され、それに対処するために重国籍解消制度が導入されました。 1984年の国籍法改正後、複数国籍の議論が進まず現在に至っています。その間、海外では重国籍容認への動きがあり、国外居住者のロビー活動が影響力を持ちました。「日本ではなぜ在外邦人が国籍法改正に向けて大きな力を発揮しないのか」と武田氏は問いかけます。 2000年代に入り、日本政府は重国籍者に対する対応を変化させ、「放置主義から摘発強化」への方針転換が見られるようになりました。特に、在外公館ではこの転換が顕著に現れました。それまでは11条1項の定めるところによって、日本の国籍を喪失したはずの在外邦人に対し、日本政府は国籍喪失届の提出を指示することもなく放置していました。戸籍さえあれば、日本人扱いで構わなかったようです。しかし、2005年以降は、11条1項が適用される人たちの摘発に力を入れるようになりました。 近年、二重国籍者を萎縮させた最大の出来事は間違いなく、2016年に起きた蓮舫議員の二重国籍騒動です。メディア報道により、「重国籍=違法」という印象が強まり拡散しました。その結果、当事者の間には不安が広がり、国籍のことを友達にも話せなくなったと言う人もいます。 そして、この問題が日本国憲法の基本原則である平和主義、民主国民主権、人権擁護とどのように関連しているかについても議論が展開されました。武田氏は、複数国籍の容認は憲法に基づく要請であるとする憲法学者の見解を紹介し、複数国籍の問題が国の基本原則とも密接に関連していることを強調しました。 2010年代の終わり頃から、この状況の悪化に歯止めをかけようとする当事者らによる運動が見られるようになります。11条1項の違憲性を訴え、国を提訴した「国籍はく奪条項違憲訴訟」です。残念なことに、現時点では敗訴が続いていますが、今後、違憲判決が出ることを信じて、武田氏は弁護団と原告らを支援し続けています。 最後に「複数国籍の容認は日本国憲法の基本原則たる平和主義、民主国民主権、そして人権擁護に基づく要請である」と指摘する憲法学者の近藤敦氏と同意見であることを明確に述べて、基調講演を終えました。 話題提供を務めてくださった3人は、それぞれ異なる視点から二重国籍の問題に限らず、国籍のあり方そのものに疑問を投げかけ、カフェ参加者に「Food_for_thought」を与えてくれました。 最初の話題提供者は、社会福祉学の専門家であるヴィラーグ・ヴィクトル氏です。日本の公的な福祉制度と国籍の関係について説明し、多様性を尊重する必要性を強調しました。さらに、ソーシャルワークの視点から二重国籍問題を分析し、当事者の活動の重要性を強調します。参加者からは賛同する声が上がりました。 金崇培氏は、3世代にわたる自身の家族史やライフ・ヒストリーから、国際関係や国家の諸事情がいかに個人の国籍に影響を与えるのかを教えてくれました。1941年に朝鮮人の両親をもち日本で生まれた金氏の母親は、生まれつき日本国籍を有していましたが、1952年のサンフランシスコ講和条約の発効に伴い日本国籍を失うことになりました。金氏の息子たちは、韓国人の父親と日本人の母親の間に生まれたことから、生まれながらの二重国籍者です。2011年に韓国が部分的に重国籍を認めたため、息子は成人した後も二重国籍を保持できるようになりました。ただ、韓国人男性に課されている徴兵制による兵役義務がネックとなりそうです。金氏の報告からうかがえるのは、国籍というのはアイデンティティーと絡む側面もあれば、権利・義務が発生する法的身分を表すものでもあり、時には実利的な事情で国籍を取得したり、放棄したりすることもあるということです。 高偉俊氏は個人的な経験を通じて議論しました。日本生まれ、日本育ちの娘が日本に帰化した際の手続きの複雑さや時間のかかり方を挙げ、日本で生まれ育った外国籍の子どもたちが、より簡単な方法で日本国籍を取得できる仕組みが必要だと提案しました。こういった子どもたちの多くは、日本にアイデンティティーを置いており、今後も日本社会に貢献していくことから、彼ら、彼女らに日本国籍を与えることが、本人たちのみならず、日本にとっても有益であると主張しました。 参加者は休憩を挟み、会場とオンラインの4つのグループに分かれてディスカッションを行いました。国籍制度自体に疑問を投げかける声が挙がり、国籍が人々を区別する制度として機能する側面について考えられました。また、国籍法改正に関して国の姿勢を批判するだけでなく、国を動かす方法を模索すべきだという意見も出されました。その他、国籍を捨てることがアイデンティティーの一部を捨てることと結びつく可能性が指摘され、日本で国籍が重要な境界線として果たしてきた役割についても議論が行われました。 当日の写真 https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2024/03/SGRACafe21Photos.pdf アンケート集計結果 https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2024/03/SGRACafe21Feedback.pdf 報告書の全文 https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2024/03/SGRACafe2Report_ALL.pdf <アメリ・コーベル Amelie_CORBEL> 獨協大学フランス語学科特任講師。パリ政治学院政治学研究科博士課程修了(政治学博士)。博士論文「日本の国際結婚の諸規制-ビザ専門の行政書士の役割を中心に」(仏語のみ)。2022年度フランス日本研究学会博士論文賞を受賞。専門は政策過程論、ジェンダー研究、法社会学。2018年度渥美国際交流財団奨学生。 ---------------------------------------------------------------- 【2】寄贈本紹介 SGRA会員で宇都宮大学助教の申惠媛さんより新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆申惠媛『エスニック空間の社会学:新大久保の成立・展開に見る地域社会の再編』 エスニックな観光地「新大久保」の出現は、居住空間としての大久保地域をいかに変容させたのか。定住を要件とする従来の多文化共生論や地域社会像を批判し、住民だけでない多様な人々の共在から成るプロセスとしての、新たな地域社会概念を提起する。 発行所:新曜社 出版年月日:2024/01/31 ISBN:9784788518322 判型・ページ数:A5・352ページ 詳細は下記リンクをご覧ください。 https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b640719.html ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方はSGRA事務局にご連絡ください。 https://www.aisf.or.jp/kokushi/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************  
  • Zahra MOHARRAMIPOUR “Living in Between Cultures”

    ********************************************** SGRAかわらばん1009号(2024年3月28日) 【1】SGRAエッセイ:モハッラミプール・ザヘラ「文化の狭間に生きること」 【2】催事紹介:第22回INAF研究会(3月30日、オンライン) 「人類史の転換期における朝鮮半島と日本列島の地政学的役割」 ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#761 ◆モハッラミプール・ザヘラ「文化の狭間に生きること」 飛行機から降りると、カラッとした懐かしい空気が鼻を通る。閑散とした空港の荷物受取所に着いて辺りを見回すと、ガラス越しに手を振る父の姿が目に入った。その瞬間、ようやく故郷に帰ったという実感が湧いてきた。2022年の夏、3年半ぶりに出身地テヘランに一時帰国したのであった。日本に留学して9年が経つが、コロナ禍がやってくるまで、1年か1年半のペースで帰国していた。しかし、2020年2月に予約していたフライトがコロナの影響でキャンセルになり、それ以来日本から出られないでいた。 今回の帰国で印象に残っているのは、研究に必要な資料を入手しようと、テヘランのとある図書館を訪れた時の経験である。まず図書館に入って期限が切れていた利用証を更新し、ロッカー・ルームへ進んだが使い方が分からない。説明書きがあるはずだと思って探していたところ、突然横から聞こえた思いがけない声に驚いてしまった。 「初めてですか?」 「あ、はい…」 「あそこにある機械を使わないといけないですよ。一緒に行きましょう。やり方を教えますね」 「あ、ありがとうございます」 ロッカー・ルームにいた大学院生らしき女性に助けられた。どこにでも説明書きがあるのは、日本での常識だったと気付かされる。かばんをロッカーに入れて一息つき、検索用パソコンがあるホールに向かった。一つのパソコンを選び、検索しようとしたが、うまくいかない。周りを見渡していたところ、今度は少し離れているパソコンの前にいた女性に声をかけられた。 「使い方、大丈夫ですか」 「いや、あの…久しぶりに来たので、うまく検索できないのですが…」 「一緒にやりましょうか」 「え?いや…あの…あ…ありがとうございます」 「まずはここをクリックしてみてください」 結局その女性は、私が必要な雑誌を見つけて、利用申請するまで付き合ってくれた。その後、なんとか閲覧室にたどり着き、受付のおじさんに資料の受け取り方を尋ねたが、システムに問題があり、時間がかかるとのこと。仕方なく閲覧室にある20世紀初頭の新聞を広げて読みはじめ、時間が経つのを忘れる。受付のおじさんは待っている私を気にかけ、何度か話しかけてくれた。資料が用意された時には、1時間以上も過ぎていた。おじさんは、私を別の席に案内しこう言った。 「こんなにも待たせて申し訳ない。スマホで写真を撮るのは本当はだめだけど、今日は待たせたお詫びに、必要な個所の写真を撮ってもいいよ」 「え?…ありがとうございます」 お礼を言って、ポケットからスマホを取り出した。日本の図書館ではこれほど待たされたことはない。とはいえ、このように柔軟にルールを変更する対応を受けた記憶もない。 次の日は別の資料室に行って、資料を申し込んだ。すでにスキャンされた資料はUSBメモリに入れてくれるとのことだった。日本で使っているUSBメモリを担当者に渡したところ、彼はファイル名が漢字になっているのに気づいてこう言った。 「中国で勉強しているんですか。それとも日本ですか」 「日本です」 「本当に難しそうですね。もう全部読めるんですか」 会話は自然と数分間続いた。日本では調査先の図書館で、このような何気ない会話をする機会が少なかったことを思い出した。おそらく、図書館の担当者が研究者の個人的なファイルを目にしたとしても、それについて相手に質問することは考えられないだろう。 改めて振り返ると、日本で勉強し働くことを選択した自分は、文化の狭間に生きているように感じる。両国の文化を行き来しながらさまざまなコミュニケーションを重ね、その社会の規範に沿って「自然」に振る舞おうとするが、それが周りの人に「不自然」や「滑稽」に映る場合もある。時には、「自然」と「不自然」の境界線さえも曖昧になってくる。一時帰国をする時は、長年故郷を離れていて、もう常識が分からなくなってしまったような感覚を覚える日もあれば、一日も離れていなかったような、ずっとそこにいたかのような錯覚に陥る日もある。文化の狭間に生きることは、ぎこちなく不安定でありながらも、何度も発見を繰り返す機会を作ってくれている。 <モハッラミプール・ザヘラ Zahra_MOHARRAMIPOUR> イラン出身。2022年度渥美国際交流財団奨学生。2023年7月、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻比較文学比較文化コース博士号取得。現在は、日本学術振興会外国人特別研究員(国立民族学博物館所属)。 ---------------------------------------------------------------- 【2】催事紹介 SGRA会員で北陸大学教授の李鋼哲さんより、自ら創設された(一社)東北亜未来構想研究所(INAF)の研究会のお知らせをいただきましたのでご紹介します。参加ご希望の方は直接お申し込みください。 ◆第22回INAF研究会 講 師:小松昭夫(小松電機産業社長・会長、人間自然科学研究所理事長) テーマ:「人類史の転換期における朝鮮半島と日本列島の地政学的役割」 日 時:2024年3月30月18:00~21:00(オンライン、Zoom) 要 旨:緊張地帯の南北朝鮮、そして日本が、米国・中国・ロシアそして世界の理解を得て、対立と恨のエネルギーを止揚し、恒久的な平和の流れを作り出したら、日本と朝鮮半島の人々のみならず、その恩恵は世界に広がり、人類の恒久的な資産になるだろう。これは真の平和・環境・健康を作り出す出口である。 プログラムの詳細、参加申し込みについては下記リンクをご覧ください。 https://inaf.or.jp/ ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方はSGRA事務局にご連絡ください。 https://www.aisf.or.jp/kokushi/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************  
  • YUN Jae-un “Tokyo’s Unknown (?) Base Issues”

    ********************************************** SGRAかわらばん1008号(2024年3月21日) 【1】SGRAエッセイ:尹在彦「東京の知られざる(?)基地問題」 【2】国史対話エッセイ紹介:金泰雄「歴史と私―道程と進路」 ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#760 ◆尹在彦「東京の知られざる(?)基地問題」 東京の西部、「三多摩」もしくは「多摩地区」と呼ばれる地域への第一印象は「異色」だった。2015年、最初に住み始めた小平市の風景は予想していた東京のそれとは違った。まず驚いたのは最寄り駅の線路が単線だったことだ。小平市を縦断する西武多摩湖線の風景は「郊外感」であふれていた。多摩地区出身の何人かの方から「都内に行く」と言われた時には違和感を覚えた。厳然たる「東京都内」なのに23区と呼び分けていたからだ。 私の生活圏である東京都立川市は近年「多摩地区の王者」とも呼ばれる。より田園風景の印象の強い八王子市からその座を譲り受けつつあるという。実際に、新しい商業施設の建設や商業ビルの建て替えがコロナ下でも盛んに進められた。人口は約20万人と、八王子市(約57万人)の方が圧倒的に上だが、交通の利便性や「都内」との距離、適度な自然と都会との調和という面で注目されている。そのためか、最近の立川市の平均地価は練馬区とほぼ変わらないという。 立川駅の北隣には広大な「国営昭和記念公園」がある。有料の庭園が有名で、バーベキューもできるため、地元だけでなく様々な地域から訪問する人が後を絶たない。花見シーズンや花火大会にはいつも混み合う。空から見下ろすと、公園はアスファルトで覆われた区域と隣接している。これは、この公園の特殊な歴史を物語るいわゆる「傷跡」でもある。形状からも推察できるように、これは滑走路の跡だ。今は陸上自衛隊立川駐屯地が位置されているが、かつては米軍の立川飛行場があり、その前には日本陸軍が同じ用途で使用していた。米軍の立川飛行場返還と共に、1983年開園したのが現在の昭和記念公園だ。それまで立川市一帯は「基地城下町」で、米軍基地拡張反対のための「砂川訴訟」(日米安保のあり方が問われる)も行われた。現在でも米兵向けの歓楽街の名残が一部地域に残っている。 昭和記念公園からもう少し北上すると、また広大な現役の滑走路が登場する。米空軍の横田基地だ。難読地名に入りそうな福生(ふっさ)市などに位置しており、基地周辺には米軍のための飲食店やバーなども散見される。この1年間、用事があって定期的にこの地域に足を運んだ。そのため、隣接している昭島市のカフェなどで時間を過ごすことが何回かあったが、偶然にも自分の記憶(トラウマ?)がよみがえる経験をさせられた。久々に飛行機(戦闘機)の爆音にさらされたのだ。おそらく、昭島に初めて来たであろうカフェのお客さんは繰り返される爆音に衝撃を受けたようだった。それもそのはず、会話が続かないため、ただ単に騒音が収まるまで待つしかない。 韓国空軍出身の私は兵役の2年間を飛行場の中で暮らした。宿舎から滑走路までは走ると10分もかからない。戦闘機の爆音は昼間だけでなく、場合によっては夕方まで続く。年に数回ある軍事演習時には特にひどくなる。大がかりな演習時には韓国軍だけでなく米軍も増派された。その大半は沖縄駐留米軍で「米韓安保と日米安保がこのようにつながっているんだ」と、実体験として理解できた瞬間でもあった。基地内には少数の米軍が駐屯しており、個人的には食べ物(とにかく安く食べ放題のアメリカンスタイルの料理が楽しめた)や図書館の利用など、お世話になったこともあった。しかし、騒音のせいで、基地周辺では苦情が絶えず住民訴訟も数回起こされた。 横田基地の騒音が気になり、昭島市のホームページを調べた。そこでは「横田基地」と「立川飛行場」の騒音や各種演習に関する情報が頻繁に発信されていた。事前に演習情報を知ったって、何か対策をとることはできない。残念ながらそれが経験からも分かる現実だ。墜落事故が相次ぐオスプレイに関する情報も載っていた。去年11月、屋久島沖に墜落した米軍オスプレイ機は横田基地所属だ。この地域住民にとって基地問題は他人事ではない。 発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFAS)問題は最近偶然知った。米軍基地から流出したPFASが河川に流れ込み水質汚染を起こす可能性が提起されている。ただし、まだ人体への影響は定かでないようだ。これまで沖縄でも問題になっていた。昨年、野党系国会議員が配布したチラシに多摩地区の水質汚染に関する情報が載っていた。東京新聞記事(2月3日)によると、立川市の防災井戸1か所で国の暫定基準値の9倍を超える値が市の調査から確認されたという。昨年9月の選挙で勝利した野党系の市長がPFAS問題に厳しい発言をしていたことも思い出した。その候補が市長に当選し独自調査に踏み切ったのだ。NHKニュース(2023年12月1月)では、多摩地区の住民を対象に行った専門家(京都大学大学院の原田浩二准教授)と市民団体の調査では、政府による他地域の調査結果より2.4倍の高い血中濃度が検出された。 このように、「都内」でも防衛政策に関しては地域による「二重構造」が存在しているのだ。沖縄ほどではないにせよ、同様の構図が東京でも続いている。2年間「暮らしていた」韓国の空軍基地は結局、住民の苦情や政治家の圧力により移転が決定された。現在は大邱(人口約240万人)の中心部からほど近い場所にあるが、2030年を目途に人口の少ない地域に完全に移転される。費用は1兆円以上に上ると見込まれる。それなりに思い出(?)のある場所だったが、やむを得ないと思った。もちろん、全ての基地問題が移転という方法で解決できるとは思わない。費用や地域間対立も相当なものになるはずだ。それでも基地問題に対する情報提供への積極姿勢やその透明性、住民とのコミュニケーションはある程度必要ではないだろうか。東京でも基地問題は現在進行形だ。 <尹在彦(ユン・ジェオン)YUN_Jae-un> 立教大学平和・コミュニティ研究機構特別任用研究員、東洋大学非常勤講師。2020年度渥美財団奨学生。新聞記者(韓国)を経て、2021年一橋大学法学研究科で博士号(法学)を取得。国際関係論及びメディア・ジャーナリズム研究を専門とし、最近は韓国のファクトチェック報道(NEWSTOF)にも携わっている。 ---------------------------------------------------------------- 【2】国史対話エッセイ紹介 12月21日に配信した国史対話メールマガジン第52号のエッセイをご紹介します。 ◆金泰雄「歴史と私―道程と進路」 私は1961年10月に生まれた。この年は5・16軍事政変(訳注:1961年5月16日に朴正煕少将が主導した反共クーデター)が起きた年である。4・19革命(訳注:1960年4月19日、李承晩政権の崩壊の原因となった学生、市民の反政府デモ。警察の発砲で183人死亡)が花を咲かせる前にまた社会が激変し、韓国の政治・経済・社会・文化はもちろん、教育も新しい環境にさらされた。反共主義と国家主義が幅を利かせ、教育現場に軍事文化が根をおろし始めた。国民学校(訳注:小学校。後に初等学校に改称)1年の冬休みを目前にした1968年12月5日、国民敎育憲章の宣布と1972年10月の維新(訳注:1972年10月17日、朴正煕政権が非常戒厳令を宣言。独裁が始まった)の広報物は幼い国民学校の生徒にも国家と民族に対する献身と情熱を呼び起こす触媒だった。 中学校時代も同様だった。1975年のいわゆる「越南敗亡」(訳注:1975年4月30日南ベトナム政権が無条件降伏、臨時革命政府が全権掌握しベトナム戦争が終わった)直後の教育現場のいたるところで行われた反共雄弁大会(訳注:スピーチ大会)と演説者たちの血の滲むような絶叫は指導者へのる絶対的な盲信をもたらした。毎月開かれる民防衛訓練(訳注:民間人も参加する一種の軍事訓練)は戦争に対する恐怖を増幅した。自然と少年は過去への逃避を夢見た。高句麗の栄光に関心を持ち、韓国の古代史に心酔したりもした。ハリウッドの映画会社で制作された様々な時代劇映画を鑑賞し、歴史の広大な舞台と興味を引くストーリーに魅了されたりもしていた。他の少年達と同様に世界の八不思議に夢中になり、関連する文献を読み漁った。歴史は小説のように無限の想像力を発揮できるだけでなく、興味を呼び起こす知識の倉庫のように思えた。 しかし、私のこういった歴史観は1980年3月、大学に入学して崩れてしまった。いわゆる「ソウルの春」(訳注:朴正煕暗殺後の一時的な空白期間)後に成立した新たな軍事政権が光州民主化運動を弾圧したことを知り、韓国の近代史にとりつかれるようになった。滔々と流れるような韓国の近代史の中に韓国の暗い現実を打開できる鍵が隠されていると考えたのだ。 全文は下記リンクよりお読みください。 https://www.aisf.or.jp/sgra/kokushi/J_Kokushi2023KimTaewoongEssay.pdf ※SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方はSGRA事務局にご連絡ください。3言語対応ですので、中国語、韓国語の方々にもご宣伝いただけますと幸いです。 ◇国史メルマガのバックナンバー https://www.aisf.or.jp/kokushi/ ◇購読登録ご希望の方はSGRA事務局へご連絡ください。 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方はSGRA事務局にご連絡ください。 https://www.aisf.or.jp/kokushi/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************  
  • [Resend] Mohammed Aqil CHEDDADI “SGRA Cafe #20 Report ‘Let’s learn about Palestine'”

    大変申し訳ありませんが、短縮URLが上手く機能しなかったため再送させていただきます。 ********************************************** SGRAかわらばん1007号(2024年3月14日) 【1】シェッダーディ・アキル「第20回SGRAカフェ『パレスチナについて知ろう』報告」 【2】催事紹介:NPO暖流主催講演会「歴史の流れの中の韓国の宗教~傍観者の立場から~」 ********************************************** 【1】シェッダーディ・アキル「第20回SGRAカフェ『パレスチナについて知ろう』報告」 2024年2月3日、第20回SGRAカフェ「パレスチナについて知ろう―歴史、メディア、現在の問題を理解するために」が渥美財団ホールおよびZoomによるハイブリッド形式で開催されました。 今回は明治大学の特任講師であり、東京ジャーミイ文書館(テュルク文化・イスラム文化研究施設)理事でもあるハディ・ハーニ先生が講師を務め、パレスチナの歴史やメディアの扱い、そして現在進行形の問題について詳細に解説しました。長年にわたるイスラエル・パレスチナ紛争の根本原因と、現在におけるその影響について深い洞察を提供。さらに同紛争に関する包括的な分析を行い、その歴史的背景や主要な出来事、現在の状況を説明。特に紛争の起源やイスラエルの設立、その後の戦争と平和努力について言及し、パレスチナ人の追放や占領地の状況など、人道的問題を強調しました。さらに2023年10月のハマスによるイスラエル領土への攻撃とイスラエルの対応を例に挙げ、双方の行動が国際法を違反していることを指摘。パレスチナ人の権利と自己決定権の重要性を強調し、平和と共存を望むすべての人々を支持する意志を表明しました。 さらに、イスラエル・パレスチナ問題の簡略化に反対し、少なくとも4つの主要な行為者を2つの異なるレベルで見ることを提案。パレスチナはガザにおいて妥協を許さない強硬な立場を採るハマスと、西岸を統治するより和平と妥協に開かれたファタハ政府に分かれ、同様にシオニスト陣営も紛争への異なるアプローチを反映した右派と左派に分かれています。この枠組みは、直接的な軍事衝突とその結果に焦点を当てる「表層-戦術」レベルと、関与する行為者のより深い、根本的な目標と政策を探求する「構造-戦略」レベルに分類できます。両陣営内の微妙なダイナミクスと内部の多様性を認識する必要があり、紛争を形作る戦略的および戦術的な次元を理解するために単純な物語を超えて進むことの重要性を示しています。 ハディ先生はこのように、イスラエル・パレスチナ紛争における「両側主義」の概念を批判し、それが不当に抑圧者に正当性を与え、最終的には植民地主義的占領構造の「目に見えないテロ」を維持すると主張。「正義の側」に立つことは、パレスチナ人の行動を無条件で擁護することでも、イスラエル人の行動を全面的に非難することでもありません。紛争における両側を同等に扱うことは、非対称な実体を対称的と見なすことであり、これは中立的でも公正でもなく、実際には抑圧者に味方することになります。真に正義と公平を支持するためには、イスラエルの占領政策、それらを可能にする排他的で暴力的なイデオロギー、そしてそれらを支持する政治構造、特に米国の外交政策に挑戦する必要があるとみています。 紛争の解決に向けて市民社会の役割も強調されました。正義の実現には、ハマスとイスラエルの両方からテロリズムの問題を認識し、特に右翼シオニスト派におけるイスラエルの不釣り合いな責任を認め、半世紀にわたるイスラエルの一方的な構造的テロリズムが重大な問題であることを理解するという「3つの命題」の同時実現が必要であると提案。市民に対しては、問題についての意識を高め、声を上げ、これらの懸念を政治行動に反映させ、外交圧力を形成することを目指すよう呼びかけています。 司会・討論者を務める私、シェッダーディ・アキルはガザの現在の人道状況について報告。2024年2月3日時点でガザでの死亡者数が2万7000人を超え、その70%が女性と子どもであることを強調し、紛争の深刻な影響と緊急の国際的対応を呼びかけました。また、国連国際司法裁判所が1月26日にイスラエルに対してガザでのジェノサイドを防ぐための仮命令を下したことは、世界政治と平和努力にとって画期的な瞬間であると強調し、国際法と人権保護の重要性を訴えました。米国、日本、欧州連合などの主要な国際プレーヤーによる国連救済復興事業機関(UNRWA)への支援の停止は、世界的な人道支援に関する重要な疑問を提起し、外交と人道支援という課題に対する日本の対応が、国際社会内での連帯と責任ある行動の必要性を示しているとも指摘しました。 質疑応答セッションは、東京大学博士課程の徳永佳晃氏がアシストしてくださり、会場参加とオンライン参加の両方から多岐にわたる質問が寄せられ、長年にわたる紛争が世界平和、正義、そして人類にとって何を意味するのかについて議論しました。「外交の失敗がイスラエルの植民地化政策の継続を可能にしているのか」、「今後の見通しと解決策は何か」、そして「私たちが世界市民として平和にどのように貢献できるか」についての質問とコメントがありました。 初めてのパレスチナ問題に係るSGRAカフェでは、政治的、歴史的、人道的要因の間のバランスを取りながら、紛争の異なるレベルを分析する枠組みを用いて説明しました。また、パレスチナ問題に対する私たちのアプローチを集団的に再評価する緊急性があることを明確にしました。 当日の写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://bit.ly/3TzjugR <シェッダーディ・アキル Mohammed_Aqil_CHEDDADI> モロッコ出身。モロッコ国立建築学校卒業。慶應義塾大学政策・メディア研究科環境デザイン・ガバナンス専攻修士号取得・博士課程在学。同大学総合政策学部訪問講師。2022年渥美奨学生。 ---------------------------------------------------------------- 【2】催事紹介:NPO暖流主催講演会「歴史の流れの中の韓国の宗教~傍観者の立場から~」 SGRA会員の羅仁淑です。有志の皆さんと日韓親善活動をしております。 今回の講演会では、外務省入省後、通算19年間在韓国日本大使館、在釜山日本総領事館および在済州日本総領事館にて外交官として勤務していた鈴木光男さんをお招きし、韓国人はどのような宗教を受け入れ生み出し、変化してきたかについてお話しいただくことになりました。ぜひご来場いただき応援いただけましたら幸甚です。 ◆題名:「歴史の流れの中の韓国の宗教~傍観者の立場から~」 ◆日時:2024年3月30日(土)、14時~ ◆場所:うめとぴあ 研修室C-1(世田谷区立保健医療福祉総合プラザ)小田急線「梅丘」徒歩5分 ◆お申込:下記リンクをクリックしてください。 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSefHO1NMAccVtO8mIY_qbfinoPkiecghcViEWpDEZ8nc9TG-A/viewform?usp=send_form ◆チラシ:下記リンクをクリックしてください。 https://acrobat.adobe.com/id/urn:aaid:sc:AP:0d70c53f-3821-4a78-bdcc-d8ed8ae11e3f ◆お問合せ:[email protected] (090-6568-7652) ◆主催:NPO法人日韓親善交流協会暖流 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方はSGRA事務局にご連絡ください。 https://www.aisf.or.jp/kokushi/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************    
  • Mohammed Aqil CHEDDADI “SGRA Cafe #20 Report ‘Let’s learn about Palestine'”

    ********************************************** SGRAかわらばん1007号(2024年3月14日) 【1】シェッダーディ・アキル「第20回SGRAカフェ『パレスチナについて知ろう』報告」 【2】催事紹介:NPO暖流主催講演会「歴史の流れの中の韓国の宗教~傍観者の立場から~」 ********************************************** 【1】シェッダーディ・アキル「第20回SGRAカフェ『パレスチナについて知ろう』報告」 2024年2月3日、第20回SGRAカフェ「パレスチナについて知ろう―歴史、メディア、現在の問題を理解するために」が渥美財団ホールおよびZoomによるハイブリッド形式で開催されました。 今回は明治大学の特任講師であり、東京ジャーミイ文書館(テュルク文化・イスラム文化研究施設)理事でもあるハディ・ハーニ先生が講師を務め、パレスチナの歴史やメディアの扱い、そして現在進行形の問題について詳細に解説しました。長年にわたるイスラエル・パレスチナ紛争の根本原因と、現在におけるその影響について深い洞察を提供。さらに同紛争に関する包括的な分析を行い、その歴史的背景や主要な出来事、現在の状況を説明。特に紛争の起源やイスラエルの設立、その後の戦争と平和努力について言及し、パレスチナ人の追放や占領地の状況など、人道的問題を強調しました。さらに2023年10月のハマスによるイスラエル領土への攻撃とイスラエルの対応を例に挙げ、双方の行動が国際法を違反していることを指摘。パレスチナ人の権利と自己決定権の重要性を強調し、平和と共存を望むすべての人々を支持する意志を表明しました。 さらに、イスラエル・パレスチナ問題の簡略化に反対し、少なくとも4つの主要な行為者を2つの異なるレベルで見ることを提案。パレスチナはガザにおいて妥協を許さない強硬な立場を採るハマスと、西岸を統治するより和平と妥協に開かれたファタハ政府に分かれ、同様にシオニスト陣営も紛争への異なるアプローチを反映した右派と左派に分かれています。この枠組みは、直接的な軍事衝突とその結果に焦点を当てる「表層-戦術」レベルと、関与する行為者のより深い、根本的な目標と政策を探求する「構造-戦略」レベルに分類できます。両陣営内の微妙なダイナミクスと内部の多様性を認識する必要があり、紛争を形作る戦略的および戦術的な次元を理解するために単純な物語を超えて進むことの重要性を示しています。 ハディ先生はこのように、イスラエル・パレスチナ紛争における「両側主義」の概念を批判し、それが不当に抑圧者に正当性を与え、最終的には植民地主義的占領構造の「目に見えないテロ」を維持すると主張。「正義の側」に立つことは、パレスチナ人の行動を無条件で擁護することでも、イスラエル人の行動を全面的に非難することでもありません。紛争における両側を同等に扱うことは、非対称な実体を対称的と見なすことであり、これは中立的でも公正でもなく、実際には抑圧者に味方することになります。真に正義と公平を支持するためには、イスラエルの占領政策、それらを可能にする排他的で暴力的なイデオロギー、そしてそれらを支持する政治構造、特に米国の外交政策に挑戦する必要があるとみています。 紛争の解決に向けて市民社会の役割も強調されました。正義の実現には、ハマスとイスラエルの両方からテロリズムの問題を認識し、特に右翼シオニスト派におけるイスラエルの不釣り合いな責任を認め、半世紀にわたるイスラエルの一方的な構造的テロリズムが重大な問題であることを理解するという「3つの命題」の同時実現が必要であると提案。市民に対しては、問題についての意識を高め、声を上げ、これらの懸念を政治行動に反映させ、外交圧力を形成することを目指すよう呼びかけています。 司会・討論者を務める私、シェッダーディ・アキルはガザの現在の人道状況について報告。2024年2月3日時点でガザでの死亡者数が2万7000人を超え、その70%が女性と子どもであることを強調し、紛争の深刻な影響と緊急の国際的対応を呼びかけました。また、国連国際司法裁判所が1月26日にイスラエルに対してガザでのジェノサイドを防ぐための仮命令を下したことは、世界政治と平和努力にとって画期的な瞬間であると強調し、国際法と人権保護の重要性を訴えました。米国、日本、欧州連合などの主要な国際プレーヤーによる国連救済復興事業機関(UNRWA)への支援の停止は、世界的な人道支援に関する重要な疑問を提起し、外交と人道支援という課題に対する日本の対応が、国際社会内での連帯と責任ある行動の必要性を示しているとも指摘しました。 質疑応答セッションは、東京大学博士課程の徳永佳晃氏がアシストしてくださり、会場参加とオンライン参加の両方から多岐にわたる質問が寄せられ、長年にわたる紛争が世界平和、正義、そして人類にとって何を意味するのかについて議論しました。「外交の失敗がイスラエルの植民地化政策の継続を可能にしているのか」、「今後の見通しと解決策は何か」、そして「私たちが世界市民として平和にどのように貢献できるか」についての質問とコメントがありました。 初めてのパレスチナ問題に係るSGRAカフェでは、政治的、歴史的、人道的要因の間のバランスを取りながら、紛争の異なるレベルを分析する枠組みを用いて説明しました。また、パレスチナ問題に対する私たちのアプローチを集団的に再評価する緊急性があることを明確にしました。 当日の写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://bit.ly/3TzjugR <シェッダーディ・アキル Mohammed_Aqil_CHEDDADI> モロッコ出身。モロッコ国立建築学校卒業。慶應義塾大学政策・メディア研究科環境デザイン・ガバナンス専攻修士号取得・博士課程在学。同大学総合政策学部訪問講師。2022年渥美奨学生。 ---------------------------------------------------------------- 【2】催事紹介:NPO暖流主催講演会「歴史の流れの中の韓国の宗教~傍観者の立場から~」 SGRA会員の羅仁淑です。有志の皆さんと日韓親善活動をしております。 今回の講演会では、外務省入省後、通算19年間在韓国日本大使館、在釜山日本総領事館および在済州日本総領事館にて外交官として勤務していた鈴木光男さんをお招きし、韓国人はどのような宗教を受け入れ生み出し、変化してきたかについてお話しいただくことになりました。ぜひご来場いただき応援いただけましたら幸甚です。 ◆題名:「歴史の流れの中の韓国の宗教~傍観者の立場から~」 ◆日時:2024年3月30日(土)、14時~ ◆場所:うめとぴあ 研修室C-1(世田谷区立保健医療福祉総合プラザ)小田急線「梅丘」徒歩5分 ◆お申込:下記リンクをクリックしてください。 https://00m.in/fXKLG ◆チラシ:下記リンクをクリックしてください。 https://00m.in/iQZNc ◆お問合せ:[email protected] (090-6568-7652) ◆主催:NPO法人日韓親善交流協会暖流 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方はSGRA事務局にご連絡ください。 https://www.aisf.or.jp/kokushi/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************  
  • XIE Zhihai “Politics and Entertainment in the U.S. Presidential Election”

    ********************************************** SGRAかわらばん1006号(2024年3月7日) 【1】エッセイ:謝志海「米大統領選で見る政治とエンターテインメント」 【2】国史対話エッセイ紹介:江沛「歴史研究と私の学術の歩」 ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#759 ◆謝志海「米大統領選で見る政治とエンターテインメント」 米国では今年の11月に大統領選挙が行われる。4年に一度のこの時期が近づくと、米国にはまだ自由が残っているなと思う。国内だけを見ても、人種問題、移民問題、度々起こる銃乱射事件、物価上昇に伴う経済格差が引き起こす強盗など実に様々な問題を抱えているようにしか見えないが、なにが自由かというと、まず一つはやはり国民が直接、大統領候補に投票できること。同じく民主主義の日本でも、国民が総理大臣を選ぶということがない。大統領制と議院内閣制の根本的な違いだ。もう一つは、俳優などの著名人が公に民主、共和どちらの党を支持するか、はたまた候補者の誰を支持するのか自由に発言できる環境があることだ。 国民と政治、広い意味でエンターテインメント業界と政治の近さには、中国と日本でしか暮らしたことのない私は驚いてしまう。「国のトップを決める選挙に国民が口を挟めるとは!」という感じだ。 最近では世界ツアーで来日し、4日間東京ドームを満席にした歌手、テイラー・スウィフトに、来たる大統領選を巡る「陰謀論」まで勃発、その火はまだ消えていない(陰謀論についての説明はここでは割愛させていただきたい)。あのような華やかな歌姫と政治?なにが接点?と思うが、米国では真剣に信じている人々がたくさんいるのだから不思議だ。なぜこの様な若い歌手に陰謀論がつきまとうのかといえば、やはり米大統領選は国民が参加できるからではないか。 実のところ、バイデン大統領よりもトランプ前大統領よりもテイラー・スウィフトの方が幅広い世代の支持者(ファン)を集めている。彼女の「つぶやき」が民主党を応援するものとなると、「スウィフティーズ(ファンはこう呼ばれている)」に少なからず影響を及ぼす。前回の大統領選では、テイラーはバイデン氏支持を公言した。そして大統領選の前は「みんな(選挙のための)登録に行こう!」とツイッター(現X)で呼びかけた。彼女が政治に関心を持っているのは明白だ。ゆえにテイラーをアンチ・ヒーローとする人々が彼女を危険視して、とんでもない陰謀論をでっち上げてしまうのも無理はない。 日本で言うところの都市伝説レベルの陰謀論がテレビニュースで論じられてしまうのもまた、皮肉の意味を込めて言う自由だ。歌手や俳優も自由に自分がどの党を支持するのか発言でき、ファンに「投票に行こうよ!」と呼びかける。これはテイラーに始まったことではない。これまでも多くの有名人がしていることだ。そしてそれらの意見に影響されようがされまいが国民は自分の権利を行使すべく、投票所に行く。若者の投票率も高い。 今回の大統領選に関して、テイラーはまだ何も発言していない。今は世界ツアーの真っ最中で、春には新しいアルバムがリリースされることも発表され、今は自身の評判(Reputation)を上げることに忙しいことだろう。政治的発言だけでなく、彼女の一挙手一投足に世界中が目を離せない状況はしばらく続く。一人の歌手がこれほど政治に影響を及ぼすとは!一方で民主党、共和党には厳しい夏(Cruel_Summer)が待ち構えている。 <謝志海(しゃ・しかい)XIE Zhihai> 共愛学園前橋国際大学教授。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイト、共愛学園前橋国際大学専任講師、准教授を経て、2023年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。 ---------------------------------------------------------------- 【2】国史対話エッセイ紹介 2月28日に配信した国史対話メールマガジン第54号のエッセイをご紹介します。 ◆江沛「歴史研究と私の学術の歩」 このタイトルで学術経歴をまとめるのが適切でしょう。 私が生まれたのは中国の河南省開封市で、宋の時代には東京と呼ばれ、現在の日本の東京と同じ名前でした。開封市は唐の時代に繁栄しはじめ、宋の時代に頂点に達し、明と清の時代に衰退して、現在は河南省の省都である鄭州市の裏庭と位置付けられるようになっています。このように時代によって開封市は大きく変化してきましたが、その長い歴史的伝統と深い文化は廃れることなく伝わってきました。この都市で育ち、幼い頃から『水滸伝』を熟読した私は、小説で描かれた東京城に生活しているような感覚を持ち、騒々しい屋台料理の売り声と地元のたけだけしい気風を浴びて、天然の歴史的感覚が思わず知らずに身につきました。 文化大革命が家庭にもたらした災難や改革開放後の自由な雰囲気を経験したことで、1980年代に南開大学で勉強した私は中国以前の発展の道筋を振り返って考え直し、その制度的な原因を突き止めようという思いをずっと持ち続けました。この執着が、私が文革史という分野を選んだ最初の原動力となり、中国初の紅衛兵運動史の専門書である『紅衛兵狂飆』を執筆しました。しかし、中国における経済と政治の双方の変動が原因で、文革史研究の勢いは弱まってしまいました。 中国社会の特性は政治社会であることを有名な歴史学者である劉沢華先生から教わりました。文革史は現代史にあたりますが、その動力を解明するにはより前の時代に遡り、広い視野と長期的な視点を持たなければなりません。そのため、私は国民党史と中国共産党史の比較研究に着手しました。 全文は下記リンクよりお読みください。 https://www.aisf.or.jp/sgra/kokushi/J_Kokushi2024JiangPeiEssay.pdf ※SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方はSGRA事務局にご連絡ください。3言語対応ですので、中国語、韓国語の方々にもご宣伝いただけますと幸いです。 ◇国史メルマガのバックナンバー https://www.aisf.or.jp/kokushi/ ◇購読登録ご希望の方はSGRA事務局へご連絡ください。 [email protected] ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方はSGRA事務局にご連絡ください。 https://www.aisf.or.jp/kokushi/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************  
  • Nahed ALMEREE “Syrians’ Weight and Health Attitudes”

    ********************************************** SGRAかわらばん1005号(2024年2月29日) 【1】エッセイ:ナーヘド・アルメリ「シリア人の体重と健康への意識」 【2】寄贈書紹介:三谷博『民主化への道はどう開かれたか―近代日本の場合―』 【3】寄贈書紹介:長沢栄治監修、嶺崎寛子編著『日本に暮らすムスリム』 ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#758 ◆ナーヘド・アルメリ「シリア人の体重と健康への意識」 健康に対する意識は近年、世界中で高まっている。科学や技術の進歩が健康の維持と意識の向上に大きな役割を果たしていることは言うまでもない。ただ、健康を巡る社会状況や意識は国によって異なる。健康と密接に関連する重要な要素「体重」の問題に対するシリア人、いや、アラブ諸国の人々の意識は低く、肥満でも体重には悩まないし、数値にもこだわらない。 家に体重計がない。人が行き来する大学の門の前や商店街などで、体重計を前に置いて椅子に座っているおじさんにお金を払い、洋服と靴のまま乗って自分の体重を知る。体重が50キロだろうが、60キロだろうが、80キロだろうが深く考えず悩まない。若い女子学生たちのグループが遊び感覚で大学前のおじさんの体重計を囲み順番に乗って、友達の体重の指数を見て、自分のを忘れたので確認しようとまた乗って、という楽しそうな体重比べの場面を見かけることもある。自分の体重を知らない人が多く、体重の話も別にタブーでもなく、わざわざ話題にするほどでもない。アラブの国に足を運べば、アラブの人は体重だけでなく、いかに自分の身体をデフォルトでネガティブに見ないかがよく分かる。しかし、残念ながらそういった体重への意識や無関心が、社会問題となっている過体重と肥満の因子、糖尿病など多くの非感染性疾患の有病率の増加に大きな役割を果たしている。 アラブ諸国では肥満率の増加が指摘されており、世界肥満観測所のデータによると、アラビア半島の国々を始め、ヨルダン、イラク、エジプトでの肥満率はほぼ3割で、これらの国々は糖尿病の人も多く、人口あたりの糖尿病罹患率が世界15位以内にランキングされている。シリアでの肥満率は上記の近隣諸国の肥満率には及ばないものの、2割5分を超える。実感として40~50代以降になると男女を問わずお腹が出ている人の割合が大きい。特に民族衣装を着ている人は身体全体がすっぽり覆われるため、シルエット的に目立ちにくいが、それでも時々、男性でも妊婦かと思うほどお腹がぽっこり出ている。シリアでは「お腹が出ていない男は家具のない家のようなものだ」という有名なことわざがあるくらいだ。 アラブ社会における肥満まん延の最大の原因が、カロリーが高いものの消費だ。シリアの食事には野菜や穀物が多く使われているが、調理過程で脂質や炭水化物が高いものに仕上げてしまう。昼食後に砂糖がたっぷりの紅茶を飲み、夕方になると糖質と脂質が高いデザートを食べたりする。オリーブオイルはコーランや聖書の中で祝福されたものとされているため、アラブ諸国の人は料理にたっぷりオリーブオイルをかけることが身体に良いことで、ごちそうだと考えている。自宅に食事に招待した時には、普段よりもたくさんオリーブオイルを加える。料理オイル、または野菜や牛のギー(バターオイル)より脂質が高い羊のギーを使ったデザートを用意する。 砂糖が入っていないお茶やジュースを出すことはあり得ない。1リットルのお湯に100グラムの砂糖を溶かし、お茶を入れる。5年前から続いている経済封鎖下のシリアの現状では砂糖の価格が徐々に上がり、今1キロが1万5千シリアポンドで、平均給与15万~20万シリアポンドの公務員にとって高価なので、食生活から徐々に砂糖の摂取量が減らされるのかと思ったが、逆に他の食料品を減らしたり、省いたりしても砂糖はやめられない。お酒を飲まない、経済封鎖でデザートやお菓子が高価すぎてなかなか買えないシリア人にとって、砂糖で飲み物を甘くすることがそれに代わる嗜好品なのかもしれない。 また、アラブ社会における運動不足は―いや、運動文化の欠如と言っても過言ではない―食生活に次ぐ肥満まん延の大きな原因だ。20年前からシリア、特に首都のダマスカスと近郊ではジム施設が増えた。施設は地下1階にあり、外が見えない、窓は地上の地面からはみ出している天井の高さに合うように壁の上部に設置されている。女性向けの1時間のエアロビクスクラスが1日に1回か2回あり、時間をずらした男性クラスのために種類も数も少ない筋トレマシンが置いてある。 ジム流行と並行して、テレビやインターネットの普及により、一般の人もスクリーン上で美しい女優やアーティストを見て、体重の問題に気づくようになった。さらに、ビデオクリップが広まり始めた時、夫は美しいスリムなレバノン人歌手を見て妻が太っていることに初めて気づき離婚したという事件もあった。スリムで美しい俳優や女優ばかりが出演するトルコのドラマが、アラビア語吹き替えでシリアでも流行し、ドラマの出演者に憧れ、体重を減らしたいと思うようになった若い女性や主婦が次々と現れた。だが、多くの女性には体重を減らすことについての知識が少なく、ジムに通えば1~2カ月でなりたい身体になれると思っており、その効果が得られないためにジムをやめてしまう。そこで、不健康な方法で食事をやめたり、空腹に耐えたり、専門家でない利益ばかりを目的とする販売業者からほとんど効果がない減量薬を無作為に選んで購入したりする。妥当な体重と健康状態は関連するものだと考えずに、ただ痩せて外見を変えたい。 3年余り前に帰国した後、数カ月ごとにジムを変えて通ってみたが、登録するたびに「細いからわざわざ時間かけて運動する必要はないよ」とどこのコーチにも言われた。一般の人だけでなく、ジムのコーチでも、運動は健康維持のためのものだというより、過剰な体重を落とす手段として考えている。月会費が高くなったので退会し、外で走りはじめたら、道を通る車の助手席やトラックの荷台に乗っている人に、笑われながら見えなくなるまで「1、2」とよく号令をかけられたりする。意地悪なことに慣れるまでは不愉快に思ったが、そのうち仕方がないことだと受け入れ無視できるようになった。 そもそもアラブ諸国では肥満が多くの病気の発症に関係しているという認識もあまりなく、肥満が外見問題に過ぎないと思われている。また、深刻な問題として考えられておらず、むしろ、年を取れば身体も衰え、肉体も横に成長し、病気する、それが当たり前のことだと思われている。 肥満で糖尿病になった40代の叔父や心血管疾患に苦しんでいる50代の旦那の友人に健康維持の話をすると、「我々にふりかかって来るものは、すべてアラー(イスラム教で万物を支配する唯一の神)が特に定め給うたものばかり。アラーこそ我々の守護者。アラーにこそ一切をお任せ申すべきだ」や「以前からある記録(アラーが定めたもの)に沿わない限り誰も長く生き続けないし、誰の命も短く切られることはない」などとコーランの教えが返ってきた。 そして、この二人だけでなく、病気している他のシリア人も薬を飲むのは基本的に辛くなるときに限ってだ。40歳を越えた女性は「もう年なので」と自分の身体のことを諦めている人が多い。妥当な体重または健康な状態を維持するために、好きな食事を制限したり筋肉を痛めて運動したりするのはばかばかしいことだ。どんなに努力しても、アラーが定めた日以外には死なない。むしろ、無理に努力しないで身体を巡ることに悩まないで、定められた人生のすべてをそのまま受け入れて生きるのが良くて幸せで元気という考えだ。 第三者の神アラーへの完全な依頼心が強く、主体性を持とうとしない。身体に関してコンプレックスを抱き悩む必要はなく、神にすべてを任せることが元気なのだ。それが精神的な健康の在り方の一つでもあると考えても良いかもしれない。長い時間をかけて内在化した考えからは簡単に抜け出せるものではなく、場所も生活スタイルも違えば価値観も違う。良い悪いも単純に判断できるものではない。しかし、「体重は単なる外見の問題だけではない。未病で健康な身体を守ろうと努力し様々な制限を設けることにも人生のまた別の幸せと楽しみ方がある」という考えがアラブ一般の人に広まっていく時が早く訪れてほしいと思う。 <ナーヘド・アルメリ Nahed_ALMEREE> 渥美国際交流財団2019年度奨学生。シリア出身。ダマスカス大学日本語学科卒業。2011年9月日本に留学。2013年4月筑波大学人文社会科学研究科に入学。2020年3月博士号取得。博士論文「大正期の童謡研究――金子みすゞの位置づけ」は優秀博士論文賞を受賞。2020年11月『金子みすゞの童謡を読む――西條八十と北原白秋の受容と展開』港の人から出版。2021年、第45回日本児童文学学会奨励賞受賞。現在、ダマスカス大学文学部日本語学科教員。 ---------------------------------------------------------------- 【2】寄贈本紹介 SGRA会員で東京大学名誉教授の三谷博先生より新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆三谷博『民主化への道はどう開かれたか―近代日本の場合―』 いま私たち日本人は選挙権を持っています。政府への要望や不満を目にしたり、語ったりします。 でもこれは当然のことではありません。世界にはそうできない国が沢山あります。 江戸時代の日本もそんな国の一つでした。 この本では、日本がどのようにして自由のある国に変わったのか、明治維新から立憲政治の始まった時代までを取り上げて考えた一冊です。 発行所 清水書院 判型 A5 ページ数 108ページ 定価(税込)1,100円 ISBNコード 978-4-389-50146-4 発行年月日 2024/01/06 詳細は下記リンクよりご覧ください。 https://www.shimizushoin.co.jp/books/view/845 ---------------------------------------------------------------- 【3】寄贈本紹介 SGRA会員で早稲田大学助教の沈雨香さんより共著書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆長沢栄治監修、嶺崎寛子編著『日本に暮らすムスリム』 日本には国籍や母語、敬虔さなどからみて、多様で多彩なムスリム(イスラーム教徒)が暮らす。彼ら/彼女らの個々に異なる経験を鮮やかに描き出し、日本のムスリムを取り巻く歴史的・社会的状況を詳らかにした上で、受け入れや共生への課題や方向性を示す。 発行所 明石書店 ISBN 9784750357164 判型・ページ数 4-6・292ページ 出版年月日 2024/02/29 詳細は下記リンクよりご覧ください。 https://www.akashi.co.jp/book/b641683.html ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応) SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、2019年より関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別に配信するため、ご関心のある方はSGRA事務局にご連絡ください。 https://www.aisf.or.jp/kokushi/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●SGRAエッセイのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 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