SGRAメールマガジン バックナンバー

  • [SGRA_Kawaraban] Invitation to SGRA Cafe 7 (July 11, Tokyo)

    ****************************************************** SGRAかわらばん571号(2015年6月5日) 【1】第7回SGRAカフェへのお誘い(7月11日東京) 「中国台頭時代の台湾・香港の若者のアイデンティティ」 【2】第5回日台アジア未来フォーラム報告    「日本研究から見た日台交流120年」 【3】第49回SGRAフォーラムへのお誘い(7月18日東京) 「日本研究の新しいパラダイムを求めて」(再送) ****************************************************** 【1】第7回SGRAカフェへのお誘い SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まり いただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、 「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、台湾から来日する林泉 忠さんのお話を伺います。準備の都合がありますので、参加ご希望の方は、事前に、 SGRA事務局へお名前、ご所属、連絡用メールアドレスをご連絡ください。 ■ 林 泉忠「中国台頭時代の台湾・香港の若者のアイデンティティ」       〜『ひまわり』と『あまがさ』の現場から〜 日時:2015年7月11日(土)14時〜17時 会場:寺島文庫Cafe「みねるばの森」 http://terashima-bunko.com/bunko-cafe/access.html 会費:無料 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局  sgra-office@aisf.or.jp 講師からのメッセージ: 2001年、私は、近現代における「中心⇔辺境」関係の変遷に着目し、共に「帰属変 更」という特殊な経験をもつ台湾、香港、沖縄において出現したアイデンティティの ダイナミズムに、「辺境東アジア」という概念を提出して説明した。興味深いこと に、この3つの「辺境」地域はいずれも2014年において「中心」に対して再び激しい 反発とアイデンティティの躍動を見せている。 今回のSGRAカフェでは、「中国の台頭」という新しい時代を迎えるなか、なぜ台湾と 香港では「ひまわり」と「あまがさ」という若者中心の市民運動がそれぞれ起きたの か、変化する台湾と香港の若者のアイデンティティと彼らの新しい中国観についてお 話しします。 ------------------------------ <林 泉忠 John Chuan-Tiong LIM> 台湾中央研究院近代史研究所副研究員、国際政治学専攻。2002年東京大学より博士号 (法学)を取得、琉球大学法文学部准教授、またハーバード大学フェアバンク・セン ター客員研究員などを歴任。2012年より現職。著作に『「辺境東アジア」のアイデン ティティ・ポリティクス:沖縄・台湾・香港』(単著、明石書店、2005年)。 ------------------------------ 【2】第5回日台アジア未来フォーラム報告 ■林 泉忠「第5回日台アジア未来フォーラム『日本研究から見た日台交流120年』報 告」 2015年5月8日、第5回日台アジア未来フォーラム「日本研究から見た日台交流120年」 が国立台湾大学で開催された。過去120年間の日台関係を振り返り、戦前の経験はい かなる遺産としていかに再認識すべきか、戦後東アジアが新たな秩序を模索するな か、台湾と日本との関係は様々な困難を乗り越えて再構築されたが、そのプロセスは 如何なる特徴を有しているのか、そして、次の120年の日台関係を展望するには如何 なるキーワードを念頭にいれる必要があるのか、という問題意識に基づき13の講演・ 論文発表と活発な議論が展開された。李嘉進・亜東関係協会会長と沼田幹夫・日本交 流協会代表にご挨拶をいただき、200名の参加者を得て大盛会であった。 フォーラムは、「国際関係」、「語学と文学」そして「社会変容」という3つのセッ ションから構成され、台湾、日本、韓国、中国から第一線で活躍する学者を招き、斬 新な視点から鋭い議論が展開された。 基調講演は、東京大学東洋文化研究所教授の松田康博氏が「日本と台湾の120年: 『二重構造』の特徴と変遷」という演題で行った。松田教授は、冒頭で、最初の50年 は宗主国と植民地の関係であり、後の70年は外国同士の関係であることに触れ、台湾 の主体性の顕現という観点から見ると、日本と台湾との関係はほぼ一貫して「二重 性」という特徴を有していたと指摘した。植民地期の日本と台湾の関係は、「中央政 府と総督府」および「日本社会と台湾社会」という二重性であり、数年の過渡期を経 て、1952年以降のそれはいわば「政府当局間の日華関係」と「社会間の日台関係」に なったと力説した。最後に、今後、中国の台頭は日台関係にどのような影響を及ぼす であろうか、またそれは、台湾住民が台湾の主体性をどのようにとらえるかが鍵とな るだろうと語り、基調講演を終えた。 第1セッションは、国立台湾大学歴史学系兼任教授の呉密察氏を座長に迎え、「政治 環境・国際関係の変容から見た日台関係」というテーマで、台湾、日本、そして中国 という3つの視点から「日台関係120年」を議論した。発表された3本の論文は、国立 成功大学台湾文学科の李承機副教授による「『植民母国』から『国際関係』へ—台湾 の文化主体論の変容と日台関係—」、東京大学総合文化研究科の川島真教授による 「戦後初期台湾の日本研究/日本の台湾研究 」、そして中国社会科学院近代史研究 所の王鍵研究員による「中国の視点から見た台日関係120年」(代読) という、いず れも刺激的な内容ばかりであったし、日中台の学者が一堂に会して「日台関係」を語 ることも画期的であった。 第2セッションは、「日本研究の回顧と展望—言語と文学—」というテーマであった が、A「文学・文化」、B「言語・語学」に分けられた。前者の座長を務めたのは、国 立台湾大学日本語文学科長の范淑文教授、また発表された3本の論文は、?翠娥・輔仁 大学外語学部副部長による「台湾における日本近代文学研究」、曹景惠・国立台湾大 学日本語文学科副教授による「台湾における日本古典文学研究の過去、現在と未 来」、藍弘岳・国立交通大学社会与文化科学研究所副教授による「台湾における日本 研究—思想、文化、歴史をめぐって—」であった。「時間軸」で台湾の日本文学を古 代から近代まで検討すると同時に、「分野軸」で 台湾の日本研究を纏めるという実 に多彩な内容だった。 Bは、林立萍・国立台湾大学日本語文学科教授が座長を務め、「言語・語学」という テーマで賴錦雀・東呉大学日本語文学科教授、外国語文学部長による「データから見 た台湾における日本語学研究」、葉淑華・国立高雄第一科技大学外語学部長よる「台 湾における日本語教育研究の現状と展望—国際シンポジウムを中心に—」(データ、 シンポジウムをキーワードとして日本語学および日本語教育の現状を考察)、申忠 均・韓国全北大学日語日文学科教授による「韓国における日本語教育の歴史—朝鮮時 代の倭学、そして現在—」という興味深い報告が行われた。 第3セッションの「日台社会の変容と交流の諸相」では、文字通り、日台交流史にお ける「社会の変容」と「交流の諸相」に焦点をあてた。張啓雄・中央研究院近代史研 究所研究員が座長を務め、3本の論文が発表された。まず経済の視点からの佐藤幸人 教授による「日台企業間の信頼と協力の再生産」では、日台企業間の協力関係につい て、複数の事例からアプローチし、その再生産のダイナミズムを明らかにした。また 鍾淑敏・中央研究院台湾史研究所副研究員がアイデンティティの視点から「根を下ろ せし異郷、故郷となれり」という興味深いタイトルで、台湾生まれの日本人と台湾社 会との交流を再検討した。そして、中央研究院台湾史研究所副研究員の呉叡人氏は歴 史社会学の視点から、現実主義者の歴史的イデオロギーの操作による日台右翼民族主 義者の結合現象を分析した。 最後の総合討論では、「21世紀の日台関係を展望する」というテーマで、座長の徐興 慶・国立台湾大学日本語文学系教授兼日本研究センター主任のもとで、各分野を代表 する6人の学者、すなわち范淑文、辻本雅史、 松田康博、川島真、呉叡人、そして筆 者が、これまで120年の日台関係および日本研究のあり方や特徴をそれぞれ語り、今 後の方向性を提示した。 今回のフォーラムを「ハイレベルだった」と評してくださった基調講演の松田康博教 授をはじめ、多くの参加者が高く評価してくださった。今回の議論を通して新たな 「日台関係論」の構築に資したいと思う。 アンケートの集計結果は下記リンクをご覧ください。 http://goo.gl/Qx0Ccq 当日の写真は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/photo-gallery/2015/3236/ ---------------------------------- <林 泉忠(リン・センチュウ)☆ John Chuan-Tiong Lim> 国際政治専攻。2002年東京大学より博士号を取得(法学博士)。同年より琉球大学法 文学部准教授。2008年より2年間ハーバード大学客員研究員、2010年夏台湾大学客員 研究員。2012年より台湾中央研究院近代史研究所副研究員、2014年より国立台湾大学 兼任副教授。著作に『「辺境東アジア」のアイデンティティ・ポリティクス:沖縄・ 台湾・香港』(単著、明石書店、2005年)。 ---------------------------------- 【3】第49回SGRAフォーラム「日本研究の新しいパラダイムを求めて」へのお誘い (再送) 下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご 所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。SGRAフォーラムはどなたにもご参 加いただけますので、ご所属のメーリングリスト等でご宣伝いただけますと幸いで す。 テーマ:「日本研究の新しいパラダイムを求めて」 日時:2015年7月18日(土)午前9時30分〜午後5時 会場:早稲田大学大隈会館 (N棟2階 201、202号室)    http://www.waseda.jp/somu-d2/kaigishitsu/#link7 参加費:無料 使用言語:日本語 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局  sgra-office@aisf.or.jp ◇フォーラムの趣旨 渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)は、2014年8月にインドネシア・バ リ島で開催した第2回アジア未来会議において、円卓会議「これからの日本研究:学 術共同体の夢に向かって」を開催した。この円卓会議に参加したアジア各国の日本研 究者、特にこれまで「日本研究」の中心的役割を担ってきた東アジアの研究者から 「日本研究」の衰退と研究環境の悪化を危惧する報告が相次いだ。 こうした状況の外的要因として、アジア・世界における日本の国際プレゼンスの低下 と、近隣諸国との政治外交関係の悪化が指摘されている。一方では東アジアの日本研 究が日本語研究からスタートし、日本語や日本文学・歴史の研究が「日本研究」の主 流となってきたことにより、現代の要請に見合った学際的・統合的な「日本研究」の 基盤が創成されていないこと、また各国で日本研究に関する学会が乱立し、国内のみ ならず国際的な連携を図りづらいこと、などが内的要因として指摘されている。 今回のフォーラムでは、下記の4つのテーマを柱とした議論を行い、東アジアの「日 本研究」の現状を検討するとともに「日本研究の新しいパラダイム」を切り開く契機 としたい。 1.東アジアの「日本研究」の現状と課題、問題点などの考察 2.アジアで共有できる「公共知」としての「日本研究」の位置づけ及び「アジア研 究」の枠組みの中での再構築 3.「アジアの公共知としての日本研究」を創成するための基盤づくりと知の共有の ための基盤づくり、国際研究ネットワーク/情報インフラの整備等の構想 4.日本の研究者、学識者との連携と日本の関係諸機関の協力と支援の重要性 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://goo.gl/5xYAie ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第4回SGRAワークショップin蓼科 (2015年7月4日〜5日)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/3137/ ○第7回SGRAカフェ 「中国台頭時代の台湾・香港の若者のアイデンティティ」 (2015年7月11日東京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/3240/ ○第49回SGRAフォーラム 「日本研究の新しいパラダイムを求めて」 (2015年7月18日東京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/3144/ ★☆★第3回アジア未来会議  (2016年9月29日〜10月3日、北九州市)<論文(要旨)募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ 奨学金・優秀論文賞の対象となる論文(要旨)の投稿締め切りは2015年8月31日で す。 一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。 ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来に ついて語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/mailing_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送します。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2015/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Invitation to SGRA Forum 49 (July 18, Tokyo)

    ****************************************************** SGRAかわらばん570号(2015年5月28日) 【1】第49回SGRAフォーラムへのお誘い(7月18日東京) 「日本研究の新しいパラダイムを求めて」 【2】第4回SGRAワークショップへのお誘い    「<知の空間>を創る」(7月3日〜4日蓼科) ****************************************************** 【1】第49回SGRAフォーラム「日本研究の新しいパラダイムを求めて」へのお誘い 下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご 所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。SGRAフォーラムはどなたにもご参 加いただけますので、ご所属のメーリングリスト等でご宣伝いただけますと幸いで す。 テーマ:「日本研究の新しいパラダイムを求めて」 日時:2015年7月18日(土)午前9時30分〜午後5時 会場:早稲田大学大隈会館 (N棟2階 201、202号室)    http://www.waseda.jp/somu-d2/kaigishitsu/#link7 参加費:無料 使用言語:日本語 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局 sgra-office@aisf.or.jp ◇フォーラムの趣旨 渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)は、2014年8月にインドネシア・バ リ島で開催した第2回アジア未来会議において、円卓会議「これからの日本研究:学 術共同体の夢に向かって」を開催した。この円卓会議に参加したアジア各国の日本研 究者、特にこれまで「日本研究」の中心的役割を担ってきた東アジアの研究者から 「日本研究」の衰退と研究環境の悪化を危惧する報告が相次いだ。 こうした状況の外的要因として、アジア・世界における日本の国際プレゼンスの低下 と、近隣諸国との政治外交関係の悪化が指摘されている。一方では東アジアの日本研 究が日本語研究からスタートし、日本語や日本文学・歴史の研究が「日本研究」の主 流となってきたことにより、現代の要請に見合った学際的・統合的な「日本研究」の 基盤が創成されていないこと、また各国で日本研究に関する学会が乱立し、国内のみ ならず国際的な連携を図りづらいこと、などが内的要因として指摘されている。 今回のフォーラムでは、下記の4つのテーマを柱とした議論を行い、東アジアの「日 本研究」の現状を検討するとともに「日本研究の新しいパラダイム」を切り開く契機 としたい。 1.東アジアの「日本研究」の現状と課題、問題点などの考察 2.アジアで共有できる「公共知」としての「日本研究」の位置づけ及び「アジア研 究」の枠組みの中での再構築 3.「アジアの公共知としての日本研究」を創成するための基盤づくりと知の共有の ための基盤づくり、国際研究ネットワーク/情報インフラの整備等の構想 4.日本の研究者、学識者との連携と日本の関係諸機関の協力と支援の重要性 ◇プログラム 【基調講演・報告】9:30〜12:00 基調講演 :平野健一郎(早稲田大学名誉教授) 報告1: 中国の日本研究の現状と未来 楊 伯江(中国社会科学院日本研究所副所長) 報告2: 韓国の日本研究の現状と未来 朴 喆煕(ソウル大学日本研究所所長) 報告3: 台湾の日本研究の現状と未来 徐 興慶(台湾大学日本研究センター所長) 報告4: 日本研究支援の現状と展望 茶野純一(国際交流基金日米センター所長、日本研究・知的交流部長) 【ディスカッション(円卓会議方式)】13:00〜17:00 モデレーター:南 基正(ソウル大学日本研究所研究部長) 論点整理:劉 傑(早稲田大学社会科学総合学術院教授) 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAForum49Program.pdf 【2】第4回SGRAワークショップ「<知の空間>を創る」へのお誘い SGRAでは会員を対象としたワークショップを下記の通り行います。 参加ご希望の方は、SGRA事務局へご連絡ください。 テーマ: 「<知の空間>を創る」 日 時: 2015年7月3日(土)午前9時30分 〜 6日(日)午後1時 集 合: 現地集合(東京商工会議所 蓼科フォーラムにて受付)      http://www.tokyo-cci.or.jp/tateshina/access/ 参加費: 5000円(食費、宿泊費(相部屋)を含む) 申し込み・問い合わせ:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp) ○ワークショップの趣旨: SGRAでは、7月18日(土)にSGRAフォーラム「日本研究の新しいパラダイムを求め て」を開催します。このフォーラムでは、東アジアの日本研究の第一線で活躍する研 究者が一堂に集まり、日本研究の成果を「アジアの公共知」を目指して、新しい日本 研究ネットワーク(「知の空間」)の創造に向けた基盤づくりについてのディスカッ ションを行います。「知の空間」とは、極めて抽象的な概念です。また、非常に主観 的、個人的なものであるともいえるでしょう。皆さんは「知の空間」についてどのよ うなイメージをお持ちでしょうか?「知の空間」は知の共有と交流により生まれる、 また、知の生産と流通、消費によって生まれるとも言えるでしょう。一方で、現代の インターネットの時代にあって「知の空間」は無限大に広がるものかも知れません。 今回のワークショップでは、講師のレクチャー、様々なキーワード、研究経験などを 踏まえて、「あなたにとっての『知の空間』」のイメージを語り共に考えたいと思い ます。 ○プログラム 7月4 日(土)(於:東商蓼科フォーラム) 9:30〜12:00 「知の空間を創る」+グループ分け ・講演 劉 傑「日本研究ネットワークと『知の空間』の構築に向けて」(仮題) ・講演 茶野純一「知的交流から生まれる『知の空間』」(仮題) 12:00〜13:30 昼食 13:30〜15:00 ゲーム感覚のグループワーク 15:00〜15:30 休憩 15:30〜17:00 グループワーク、ディスカッション 7月5日(日) 9:30〜12:00 発表・まとめとふりかえり 皆様のご参加をお待ちしています。 ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第4回SGRAワークショップin蓼科 (2015年7月3日〜5日)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/4_sgrain.php ○第49回SGRAフォーラム 「日本研究の新しいパラダイムを求めて」 (2015年7月18日東京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/49sgra.php ★☆★第3回アジア未来会議 <論文(要旨)募集中> (2016年9月29日〜10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ 奨学金・優秀論文賞の対象となる論文(要旨)の投稿締め切りは2015年8月31日で す。 一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。 ○アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来に ついて語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送します。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Tamayo Ruiz “Footprint and Our Responsibility”

    ****************************************************** SGRAかわらばん568号(2015年5月21日) 【1】エッセイ:タマヨ「フットプリントと私達の責任」 【2】新刊紹介:法政大学国際日本学研究所編   「百年後の検証・中国人の日本留学およびその日本観」 ****************************************************** 【1】SGRAエッセイ#460 ■タマヨ・ルイス エフライン・エドアルド「フットプリントと私達の責任」 フットプリント(「あしあと」、狭義には環境負荷、広義には影響を与える範囲)と いう言葉は、しばしば、環境、特に産業や交通などから排出される温室効果ガスに使 われます。私はこのフットプリントという言葉を、もう少し広い意味でとらえ、それ に伴う責任について考えてみたいと思います。毎日の生活のフットプリントとは、一 日の活動を通した人や環境とのかかわり合いのすべてを合わせたものです。言い換え れば、私達が生きていく上で必要としたもの、及び排出したもの全ての合算です。例 えばエネルギー消費をインプット、その生産時に排出された二酸化炭素をアウトプッ ト、消費する食糧をインプット、その食糧生産に伴う環境負荷をアウトプット、消費 するものをインプット、それに必要な素材とエネルギーをアウトプット、さらには、 学ぶことをインプット、活動することをアウトプット、などです。 各人のフットプリントの全体にはプラスとマイナス両面の効果があり、結果として環 境や社会を改善したり、負荷をかけたりします。ですから、私達はフットプリントに 対する責任を持つべきなのです。フットプリントを意識し、私達の決断がいかなる効 果をもたらすかを知ることによって、フットプリントを管理することが出来ます。誰 もが自分自身のフットプリントの全体と、それに対する責任について考え、それを管 理する方法について教育を受ける必要があると思います。 世界の人口は、過去300年で約10倍となり、2013年には70億人に達し、2050年には90 億人になるといわれています。人口の増加に伴い産業活動も増加し、資源の消費とと もに廃棄物の発生も増えています。もし70億人が、現在の世界人口の10%に満たない 先進国と同じように資源を消費し、廃棄物を発生させたならば、地球は持ちこたえる ことはできません。しかし、残り90%の国々は発展するに従い、先進国と同じような 道をたどっているのです。 私は、地球の天然資源や海の生き物を涸渇させないために、又、持続可能性を脅かす ようなあらゆる種類の廃棄物の発生を減らすために、先進国、発展途上国、いずれの 国々においても、絶対に必要な、最小限の資源のみを使って生活し、マイナス面の フットプリントを減らすことを提案します。このためには、「あなたが何かをする前 に、地球上の他の70億人があなたと同じことをしたらどうなるか考えてみましょう」 という、簡単な習慣付けが役立つと思います。これは一つの行為の70億倍の効果を考 えることです。例えば、リサイクルをしないで無意識にゴミを捨てる前に、環境を配 慮せずに生産された安価なものを無意識に買う前に、歩かずに自動車を使う前に、電 気をつける前に、などです。 人口が多いことが、全体として人類を存続の危機に陥れかねないほどのマイナス効果 を増大させるのと同じ理由で、もし私達全員が自分自身のマイナス効果のフットプリ ントを減らすことができれば、それは劇的にプラス効果へ変化させることができま す。キーポイントはいかに人々をそこに気付かせ、行動に導いていくかです。 人々はモノを「買うことが出来る」と思うと、資源やモノを「消費しても良い」、す なわち「買うことが出来る」イコール「消費しても良い」と錯覚しています。しかし 問題は、ほぼすべての生産物、あるいは抽出された資源には、表に現れないコストが あるということです。これらのコストは資源や物質の生産にかかわるコストの一部で すが、値段には反映されていません。典型的な例が児童労働や労働搾取などの社会コ スト、あらゆる種類の汚染や(森林の)濫伐などの環境コストです。これらのコスト が価格に含まれれば、価格は間違いなく上がるはずです。私たちの日常生活におい て、資源を大切に意識して使うことが、消費の決定要因であるべきなのです。ある商 品を購入することは、それを生産する産業をサポートし、生産を続けてほしいという メッセージではありますが、同時に、責任ある消費は、社会と環境を意識した産業の みを促進させる原動力となります。重要なのは誰もがこのことに自らコミットしてい くかどうかであり、そこが分岐点となります。すべての人が同じ意識をもって行動す れば良い結果につながるでしょう。 私自身は、日常生活で消費を減らす、CO2の発生を減らす、地元の食品を買うなど環 境負荷のマイナス面を減らしていますが、さらにその効果をあげるために不要なこと は止めるということは非常に極端になる場合もあり、限界があることがわかりまし た。どんなライフスタイルにも最小限のマイナス面の環境負荷があります。生きるた めに必要な最小限まで環境負荷を削減するということであれば、私ももっと減らすこ とが出来るでしょうが、自分にとって大切なこと、好きなことを削減することは出来 ません。誰もが見つけるべき大切なポイントは、自分の好むライフスタイルと、環境 負荷のマイナス面を最小限にするベストバランスを見つけ出すことなのです。  人間の行為は相互依存の関係にあることと、資源は有限であることを無視してしまう のが、利己主義の問題点です。自分本位の行動が、無意識のうちにマイナス面のフッ トプリントを発生させ、富や収入の分配の不均衡をもたらします。私たちは、自分の 社会的な価値観に従って行動していますから、価値観をさらに高めることが、変化へ の最も力強い推進力になるというのが、私がたとり着いた結論です。消費を増大させ たり多くのモノを買い集めたりするのではなく、自己のフットプリント(影響を与え る範囲)のマイナス面を減らし、不公平を是正する努力を促すような新しい社会的な 価値観が求められているのです。  資源のインプットと私達の行為による廃棄物のアウトプットは、計算しやすく理解し やすいと思います。大規模な人口増加のインプット/アウトプット問題が、環境面、 持続可能性に悪い影響を及ぼしており、それらに対して私達が何か行動しなければな らないことは明らかです。私達のライフスタイルに合ったベストバランスを探し、マ イナス面のフットプリントを減らす、あるいは最小限にする新しい価値観を創りま しょう、というのが本論のもうひとつの提案です。 私達の行為の結果としてのフットプリントは、それが有形か無形か、積極的か消極的 かにかかわらず、いずれにせよ人類の進歩や持続可能性に影響します。行動する、し ないにかかわらず、フットプリントに対する自分たちの責任に気付き、それに対して 日々の生活のなかで何が出来るかを探し求めることが大切なのです。       ------------------------------- <タマヨ・ルイス エフライン・エドアルド Tamayo Ruiz Efrain Eduardo> 2010年フランストロワ工科大学材料工学部卒業。2010年トロワ工科大学大学院光学ナ ノ工学修士課程修了。2008年(1年間)東北大学交換留学生。2010年(半年間) (株)東芝の研究開発センターでインターンシップ。2014年東京大学大学院工学系研 究科先端学際工学専攻博士課程修了。現在、(株)日立製作所研究開発グループ社 員。 ------------------------------- 【2】新刊紹介: SGRA特別会員の法政大学王敏教授より編著書をご寄贈いただきましたので、ご紹介し ます。 ■ 国際日本学研究叢書23 「百年後の検証・中国人の日本留学およびその日本観」  --法政大学清国留学生 法政速成科などの事例を中心に-- 日中の交流は遣隋・遣唐使以来、留学の歴史ともいえる。いま相互交流の形で若い日 本人、中国人が学んでいる。中国で学ぶ日本人の留学生は現在17000人。日本で学ぶ 中国人留学生の方が多くて現在8万人という。中国人の日本留学生が増えた背景とし て歴史的な事情があることはいうまでもない。19世紀末にさかのぼって清国の若者た ちが日本への留学のレールを敷いた明治期を見逃せない。当時の資料などを検証する につれ日本側の懸命の努力が浮かび上がってくる。(序論より) 編著者:法政大学国際日本学研究所 編 シリーズ名:国際日本学研究叢書 23 出版社:法政大学国際日本学研究所 出版年:2015年2月26日 ISSN:18838618 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://hijas.hosei.ac.jp/tabid/1387/Default.aspx ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第4回SGRAワークショップin蓼科 (2015年7月3日〜5日) ○第49回SGRAフォーラム 「日本研究の新しいパラダイムを求めて」 (2015年7月18日東京)<ご予定ください> ★☆★第3回アジア未来会議:論文募集中! (2016年9月29日〜10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ 奨学金・優秀論文賞の対象となる論文(要旨)の投稿締め切りは2015年8月31日で す。 一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。 ○アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来に ついて語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送します。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Ryu Chunghee ”Imagination for Difference and

    ********************************************************** SGRAかわらばん567号(2015年5月14日) 【1】エッセイ:柳忠熙「差異への想像力とこれからの日韓関係」 【2】新刊紹介:李鋼哲編著「アジア共同体の創成プロセス」 ********************************************************** 【1】SGRAエッセイ#459 ■柳忠熙「差異への想像力とこれからの日韓関係—大学での初講義体験の回想から」 昨年、大学で日韓関係の歴史についてはじめて教える機会を頂いた。朝鮮・韓国の歴 史に重点を置いた授業で、時期的には朝鮮末期から植民地期まで、つまり19世紀半ば から20世紀半ばにかけての日韓の近代史であった。この時期は日韓両国が西欧列強の 影響によって開国や開化をせざるを得ない転換期だった。と同時に、東アジアにおけ る「近代」が始まった時期でもあった。日韓の近代が「帝国/植民地」に基づいた帝 国主義の時代を経て形成されたことは、今まで外交や教育など諸分野に亘って往々に 日韓両国のナショナリズムを刺激する要因となってきた。このような過去の歴史につ いて日本の大学生は何を知っていて、そしてどのように考えているのか、こうした問 いが授業を担当するようになって、まず頭に浮かんだ疑問であった。 授業に際して、いつも最初に、なぜこの授業を受けるようになったのか、ということ を学生たちに尋ねた。予想どおり、大半の学生たちは、韓流ブームや韓国の観光経験 などが理由で、もっと韓国を知りたいという答えであった。その中には、韓国の大学 に交換留学生として行ってきた学生がいて、現在の韓国の生々しい大学生活について 聞くこともできた。 一方、これらとはかなり異なる観点で授業を受けた学生が一人いた。その学生は、 「現在の日本における外国人に対するヘイトスピーチの現象に関心があって参加し た」と言ったのである。その学生によれば、ヘイトスピーチをする人々の論理には理 解できない側面があって、自分で朝鮮の近代史を知りたいという理由であった。 もう一人、韓国人の交換留学生がいた。私は毎回の授業で感想文や疑問を書いてもら うようにしていたが、その学生は、そこにいつも高校時代の「国史(韓国史)」授業 の内容を思い出し、そしてたまに私の説明がすこし不満だというニュアンスの感想を 書き残した。その学生は東アジアの近代史に関するほかの外国人留学生向けの講義を 聴いていたようで、ある日、その授業での朝鮮の近代史についての説明が不十分でほ かの留学生たちに誤解を与えるかもしれないと、私に訴えてきた。その学生の気持ち は理解できないわけではなかったが、何がその学生をそこまで熱くさせたのか気に なった。そのときはその学生に最初の授業で強調した「歴史像」の問題を喚起させる ことで、その〈もやもや感>を治めようとした。 「歴史像」という概念は、日本史の成田龍一氏の著書から引いたものである。成田氏 は、「歴史とは、ある解釈に基づいて出来事を選択し、さらにその出来事を意味づけ て説明し、さらに叙述するものということになります。本書ではこれを『歴史像』と 呼んでいきます」(成田龍一『近現代日本史と歴史学——書き替えられてきた過去』 (中央新書、2012年)、ⅱ頁)と述べる。この「歴史像」についての説明は、歴史学 を勉強する人にとっては当たり前のことであるかもしれないが(断っておくが、私は 歴史学専攻ではなく、その隣接分野の文学や思想を主に研究する者である)、一般の 人々、つまり歴史を学ぶことは歴史的事実を勉強する、あるいは覚えることだと考え ている人々には、今までとは異なる観点を提示してくれる概念である。とくに大学生 たちの柔軟な思考のためには有効だと思う。歴史に向き合うとき、ある事実を選択す る行為自体が自分自身のある観点に基づいているという〈自覚〉が必要であり、ひい てはその事実で他人を説得することができる妥当性をもつことが必要であるという考 えが、「歴史像」という概念の前提とされている。 こうした物事に対する思考には、そもそも世の中には、ある同じ出来事に対して、さ まざまな異なる観点と解釈が存在するという、異なる観点への寛容性がある。それは 差異への想像力によって可能となる。この差異への想像力は、単なる空虚な状況で生 まれるものではない。ある出来事についての具体的な知識によって可能となるのだ。 この知識によって自分なりの観点での発想ができ、説得力が保たれるようになる。こ うした「歴史像」への思考から生まれる想像力を学生にすこしでも理解してもらい、 彼らが関わっている歴史と社会を自分なりの観点をもって理解しようとする態度に気 付かせること、それが私の授業の究極的な目的である。そしてこれからの私の課題で もある。 あの韓国人学生は、私の原論的な説明では納得がいかない様子だった。私がその学生 に納得のいく史料などを取り上げて具体的に説明することができたとすれば、学生は 納得した顔を見せたかもしれない。だが、そうした方法は知識の量と洗練された話法 による説得だとは言え、こうした具体的な知識のみでの説明では、究極的なレベルに おいて互いを受け入れることはできない。いや、そもそも人と人が理解し合うという こと自体が無理なのかもしれない。誤解や異なる考えの摩擦のなかで、が存在するのみだと私は思う。その韓国人留学生のも やもやしているように見えた態度も、もしかすると、こうした理解と試みのある段階 にあったものだったかもしれない。 前期・後期ともに、授業の最初と最後の感想が結構異なっていた。最初は歴史的事実 を質問したり、授業の内容を要約して書いたりしたものばかり。しかし、最後のあた りになると、ある資料から自分の意見を述べるようになっていた。例えば、植民地支 配による残酷さを語る学生もいた一方、植民地朝鮮における経済発展を統計資料に基 づいて述べる学生もいた。その歴史的な判断はともあれ、何か資料を以て自分の観点 を述べるようになったという点では嬉しいかぎりである。 今年で日本は敗戦、韓国は解放70周年を迎える。と同時に、日韓修交正常化50周年で もある。この半世紀の間、日韓の学者たちの交流を通じて相互の理解が深まったのは 確かである。一方、一般レベルでのナショナリズムの雰囲気は依然として強く存在す る。日韓両国の学生たちが自分の「歴史像」を持って、異なるさまざまな「歴史像」 を理解できる態度や想像力を持つことになれば、これから50、70年後にはすこし異な る社会的雰囲気になるかもしれない。つまり、日韓関係ひいては東アジア諸国の問題 に対して、現在の思考の単一化を図るナショナリズム的な観点よりも、少しは余裕を 持って異なる観点を受け入れる雰囲気が形成されるかもしれないのだ。 ------------------------------------- <柳 忠熙(リュウ・チョンヒ)Ryu Chunghee> 東京大学東洋文化研究所特任研究員。成均館大学卒、同大学大学院修士課程修了。 2008年に来日、東京大学大学院総合文化研究科超域文科科学専攻(比較文学比較文化 コース)博士課程単位取得満期退学。武蔵大学非常勤講師。東アジアの近代と知識人 の問題について研究中(比較文学・比較思想)。論文:「近代東アジアの辞書学と朝 鮮知識人の英語リテラシー」(『超域文化科学紀要』第18号、2013年11月)、「漢詩 文で〈再現〉された西洋」(『朝鮮学報』第232輯、2014年7月)、「開化期朝鮮の民 会活動と「議会通用規則」」(『東方学志』第167輯、延世大学校国学研究院、2014 年9月、韓国語)。訳書:齋藤希史『近代語の誕生と漢文——漢文脈と近代日本』 (黄鎬德・林相錫・柳忠熙共訳、現実文化、2010年、韓国語)。 ------------------------------------- 【2】新刊紹介: SGRA研究員で北陸大学教授の李鋼哲さんより編著書をご寄贈いただきましたので、ご 紹介します。 ■李鋼哲 編著「アジア共同体の創成プロセス」 「アジアで共同体を作るというと、それは夢のまた夢だという人もいるだろう。だ が、夢があるからこそアジアの未来を語ることができる。しかもその夢を実現する 様々な取り組みが、日本やアジア各国で行われている」。編著者の李鋼哲教授は、本 書を通じてアジア各国への理解をいっそう深めてほしいと語る。 編者:李鋼哲(北陸大学教授) 執筆者:叶秋男 佐藤洋治 李鋼哲 鄭俊坤 李東哲 谷口誠 フレルバータル 美 根慶樹 趙世暎 三村光弘 平川均 唱新 金澤泉 王大鵬 A・ベロフ 金振 杉山正樹 崔学松 朴敬玉(掲 載順・敬称略) 出版:日本僑報社 判型:A5判320頁並製 予価:2800円+税 発行:2015年4月20日 ISBN:978-4-86185-183-4 C0036 詳細は下記リンクをご参照ください。 http://duan.jp/item/183.html ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第4回SGRAワークショップin蓼科 (2015年7月3日〜5日) ○第49回SGRAフォーラム 「日本研究の新しいパラダイム」 (2015年7月18日東京)<ご予定ください> ★☆★第3回アジア未来会議:論文募集中! (2016年9月29日〜10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ 奨学金・優秀論文賞の対象となる論文の投稿締め切りは2015年8月31日です。 一般の論文・小論文・ポスターの投稿締め切りは2016年2月28日です。 ○アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来に ついて語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] The 3rd Asia Future Conference

    ********************************************* SGRAかわらばん566号(2015年5月7日) ********************************************* 第3回アジア未来会議☆論文・小論文・ポスター/展示発表の募集 渥美国際交流財団関口グローバル研究会では、バンコク、バリ島に続き、第3回アジ ア未来会議を開催します。アジア未来会議は、日本で学んだ人、日本に関心をもつ人 が一堂に集まり、アジアの未来について語る<場>を提供することを目的としていま す。毎回400名以上の参加者を得、200編以上の論文発表が行われます。国際的かつ学 際的な議論の場を創るために皆様の積極的なご参加をお待ちしています。 日時:2016年9月29日(木)〜10月3日(月)(到着日・出発日も含む)  (今年ではなく来年の秋です) 会場:北九州国際会議場、北九州市立大学北方キャンパス http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ アジア未来会議では、下記の通り論文・小論文・ポスター/展示発表を募集します。 奮ってご応募ください。 ■テーマ 本会議全体のテーマは「環境と共生」です。 北九州市は製鉄業をはじめとする工業都市として発展しましたが、1960年代には大気 や水の汚染により、ひどい公害が発生しました。その後、市民の努力により環境はめ ざましく改善され、2011年には、アジアで初めて、経済協力開発機構(OECD)のグ リーン成長モデル都市に認定されました。アジア未来会議では、このような自然環境 と人間の共生はもとより、さまざまな社会環境や文化環境の中で、いかに共に生きて いくかという視点から、広範な領域における課題設定を歓迎します。 第3回アジア未来会議で学際的に議論するために、下記のテーマに関連した論文、小 論文、ポスター/展示発表を募集します。登録時に一番関連しているテーマを3つ選択 していただき、それに基づいて分科会セッションが割り当てられます。 <テーマ> 自然環境 社会環境 共生 平和 多様性 持続性 人権 歴史 健康 教育 成長 幸福 公平 思想 メディア グローバル化 イノベーション コミュニケーション ■言語 第3回アジア未来会議の公用語は日本語と英語です。登録時に、まず口頭発表および ポスター/展示発表の言語を選んでください。 日本語で発表する場合は、発表要旨を日本語(600字)と英語(250語)の両方で投稿 してください。論文および小論文は日本語のみです。 ■発表の種類 アジア未来会議は日本で学んだ人、日本に関心のある人が集まり、アジアの未来につ いて語り合う場を提供することを目的としています。国際的かつ学際的なアプローチ による、多面的な議論を期待しています。専門分野の学術学会ではないので、誰にで もわかりやすい説明を心掛けてください。 1. 小論文(2〜3ページ) アジア未来会議における専門外の研究者も含めた国際的かつ学際的な議論を前提とし た口頭発表の内容を纏めた小論文を投稿してください。発表レジュメ・パワーポイン ト等の配布資料でもこれに相当するものと認めます。発表要旨のオンライン投稿の締 め切りは2016年2月28日、合格後の小論文のオンライン投稿(PDF版のアップロード) の締め切りは2016年6月30日です。6月30日までに投稿がない場合は、アジア未来会議 における発表を辞退したと見なされますのでご注意ください。小論文は、奨学金、優 秀論文賞の選考対象にはなりません。 2. 論文(10ページ以内)— 奨学金、優秀論文賞の選考対象になります アジア未来会議は、多面的な議論によって各人の研究をさらに磨く場を提供します。 必ずしも完成した研究でなくても、現在進めている研究を改善するための、途中段階 の論文を投稿していただいても構いません。発表要旨のオンライン投稿締め切りは 2015年8月31日で、合格後の論文のオンライン投稿(PDF版のアップロード)の締め切 りは2016年3月31日です。発表要旨の合格後、論文の投稿を前提に奨学金を申請でき ます。奨学金の選考結果は12月20日までに通知します。尚、「地元の参加者」枠で参 加する方は奨学金の対象外となります。 また、学術委員会による審査により、優秀論文約20本が選出されます。優秀論文に は、アジア未来会議において優秀賞が授与され、会議後に出版する優秀論文集「アジ アの未来へー私の提案Vol.3」に収録されます。既にアジア未来会議で優秀論文賞を 受賞したことのある方は、選考の対象外となりますので予めご了承ください。3月31 日以降も論文投稿はできますが、奨学金・優秀論文賞の対象になりません。 3. ポスター/展示発表 ポスターはA1サイズに印字して当日持参・展示していただきます 展示作品は当日の朝に自分で搬入し展示していただきます 発表要旨のオンライン投稿締め切りは2016年2月28日で、合格後のポスター/展示の データのオンライン投稿(PDF版のアップロード)の締め切りは6月30日です。アジア 未来会議において、参加者の投票により、優秀ポスター/展示賞数本が選出されま す。ポスター/展示作品は、奨学金と優秀論文賞の選考対象にはなりません。 ■詳細は、下記ウェブサイトをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/call-for-papers/ ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第5回日台アジア未来フォーラム(2015年5月8日台北) 「日本研究から見た日台交流120年」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/5120.php ○第4回SGRAワークショップin蓼科 (2015年7月3日〜5日) ○第49回SGRAフォーラム 「日本研究の新しいパラダイム」 (2015年7月18日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Li Ting “Chewing Gum Given by an Old Man”

    ******************************************************* SGRAかわらばん566号(2015年4月30日) 【1】エッセイ:李てい「知らないおじいさんからもらったガム」 【2】新刊紹介:日本留学叢書第2巻「跨越疆界:留学生と新華僑」 【3】第5回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(最終案内)   「日本研究から見た日台交流120年」(2015年5月8日、台北)    ******************************************************* 【1】SGRAエッセイ#458 ■ 李 てい「知らないおじいさんからもらったガム」 主人と娘が東京に会いに来た時の話である。 ある日、家族3人で電車に乗って、東京の郊外へ遊びに行くことにした。もともとす いている路線の各駅停車だからか、平日の昼だからか、電車はガラガラだった。乗客 はみんなうまい具合に他人とスペースを残して、ゆったりと座席にすわっていた。郊 外へ行けば行くほど、車窓から広がる景色が綺麗になり、それを楽しみながら親子の 会話を楽しんで、すっかり観光気分になっていた。 どこからか、80代くらいのおじいさんがやってきて、ポケットから何かを取り出しな がら、「何もないけど、どうぞ」と言って、目の前に差し出してくれた。私は反射的 に「あっ、ありがとうございます」と言って、軽くお辞儀をしながら、目の前に渡さ れた何かを両手で受け取った。受け取った後になって、自分でも不思議に思った。包 装紙もきちんとしており、LOTTEの字もはっきりしていて、すぐガムだと確認でき、 無意識に主人に一つ渡した。すると、おじいさんは空いている席がいくらでもある電 車の中で、なぜか私のすぐ隣に座り込んでしまった。 日本語の分からない主人から、中国語で、小声で「知り合い?」と聞かれ、私は「知 らない」と答えた。また、驚きを抑え「口に入れるなよ」と更なる小声で言われ、 「大丈夫」と答えた後、手本を見せるかのようにガムを口に入れた。集中力を全部口 の中に凝らしてみると、何も変な味はしなかった。驚きと疑いを隠して、冷静を装い ながらも、なんでガムをくれるんだろう、と心の中は無数のハテナが舞い上がってい た。文字にすると、やや長めに感じるが、実際は本当に一瞬の出来事だった。 「どちらへ?」と隣に座ったおじいさんが再び口を開き、気まずい沈黙を破った。最 初は警戒心が捨てられず、聞かれたら答え、相槌は打つが自ら話題を出さない聞き手 に徹していたが、いつの間にか会話が弾んでいることに気づいた。私達が中国から来 たのだと聞いて、おじいさんは中国語の「ニーハオ」で主人と娘に挨拶したり、娘は 中国から持ってきたおやつを自分のリュックから取り出して、おじいさんにあげたり もした。おじいさんが降りる駅に到着したので、「じゃあ、日本を楽しんでくださ い」との言葉を残して電車を降り、ホームで手を振ってくれた。 ガムをもらってよかったなあと、まだ喜んでいる中、「ママ、知らない人と話すなっ て言ったじゃん。人様のものまで食べちゃって。」と娘に指摘され、答えに詰まっ た。 本来、飴や果物などを誰かに渡すのは、好意を示すサインであり、話したい意思表示 であり、交流のきっかけを作る極めて一般的なコミュニケーション行為である。しか し、こうした行為は、現代社会において、たとえ好意であっても不審に思われがち で、時には人に迷惑をかけ、人を困らせる行為にもなってしまう。都市化が進むにつ れて人口密度が上昇し、人と人の物理的距離が限りなく近くなってきているにもかか わらず、人と人の心理的距離が限りなく遠くなってきて、心の砂漠化とも言われてい る。人々は他人の世界には入ろうとせず、自分の世界にも入ってこられないように、 目に見えない厚い壁を作って、黙々と自分のことをこなそうとしている。さらに、詐 欺や誘拐などに脅かされて、人間不信が蔓延するのも当然のことのようになってい る。知らない人と話してはいけない、知らない人から物をもらってはいけない、知っ ている人の話も信じてはいけないなど、家族や自分自身を守るための信条となってし まい、次世帯へ押し付け、引き継がせていこうとする。 もっともこれは、毒りんごを食べた白雪姫の童話でわかるように、どうも現代社会だ けの問題でもなさそうだ。険しい世の中というのは、いつの時代だって、どこの国 だって、変わりはしないものかもしれない。とはいえ、いつまでも神経を尖らせ、心 を閉じたまま人と接し、びくびくしながら毎日を送る必要もない。たまには、自分の 心を開いてみたり、人の心の扉を叩いてみたりして、他人との関わりの中で、人生を 楽しもう。 知らないおじいさんからガムを渡され、そしてそれを素直にもらったことがきっかけ で、楽しい会話ができたのは、私にとって初めての経験であり、今後2度も3度もある とは考えにくい。なぜ私達のところにやってきたのか、なぜガムを渡してくれたの か、そして、なぜ迷いもせずにそのガムをもらって口に入れたのかなど、謎は未だに 解けないままである。 謎は謎のままでいい。心の温まる思い出を作ってくれた名前も知らないおじいさん に、そして、その好意を素直に受け止めたその時の自分にも、感謝したいと思う。 ------------------------------------- <李 ?(り・てい)Li Ting> 早稲田大学大学院日本語教育研究科博士後期課程在籍。中国の曲阜師範大学で日本語 教員として4年間教鞭をとり、2009年キャリアアップのため来日。 ------------------------------------- 【2】新刊紹介 日本華人教授会議よりSGRA会員の李恩民さんと王雪萍さんが編纂に携わった本をご寄 贈いただきましたので、ご紹介します。 ■日本留学叢書第2巻「跨越疆界:留学生と新華僑」 http://scpj.jp/?p=1710 主編:廖赤陽 副編:李恩民、王雪萍 出版社:社会科学文献出版社・全球と地区問題出版中心 出版日:2015年1月 原語:中国語 ISBN 978-7-5097-5047-6 本叢書は、改革開放以降の時代を中心に、中国人の日本留学の現状とその歴史を研 究・紹介する初の叢書です。第一巻は、改革開放以降の政策転換及び出国の過程に焦 点を合わせていますが、第二巻は、在日留学及びそれに伴う日本華僑社会の新しい変 化を捉えるものです。留学生史、華僑史、日中関係史、ないし東アジア地域における 人・もの・文化・情報のトランスナショナル的な移動と交流など、幅広い課題を網羅 する叢書となりました。 【3】第5 回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(最終案内) 下記の通り第5回日台アジア未来フォーラムを開催します。参加ご希望の方は、事前 にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 ■テーマ:「日本研究から見た日台研究120年」 日時:2015年5月8日(金)午前9時00分〜午後6時30分 会場:国立台湾大学文学院演講庁20番教室/会議室 お申込み・問合せ:SGRA事務局 電話:03-3943-7612 Email:sgra-office@aisf.or.jp ●詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/5120.php ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第5回日台アジア未来フォーラム(2015年5月8日台北) 「日本研究から見た日台交流120年」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/5120.php ○第4回SGRAワークショップin蓼科 (2015年7月3日〜5日) ○第49回SGRAフォーラム 「日本研究の新しいパラダイム」 (2015年7月18日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Husel “Trip to Moscow and Kazan (Part 2)”

    ******************************************************* SGRAかわらばん565号(2015年4月23日) 【1】エッセイ:フスレ「モスクワ・カザフへの旅(その2)」 【2】催事紹介:連続公開講座「日中の映像文化」ご案内    北京大学×早稲田大学・立命館大学連携講座    (2015年5月8日から4回、東京) 【3】第5回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(再送)   「日本研究から見た日台交流120年」   (2015年5月8日、台北) ******************************************************* 【1】SGRAエッセイ#457 ■ ボルジギン・フスレ「モスクワ、カザンへの旅(その2)」 モスクワ滞在中の9月16日午前、在ロシア日本大使館を表敬訪問した。今回の調査に あたって、井出敬二駐クロアチア日本大使、倉井高志駐ロシア日本公使にはたいへん お世話になった。2011年の調査の時にも、当時駐ロシア日本公使だった井出氏ご夫妻 がいろいろと手配して下さった。ここに記して、感謝を申し上げたい。 16日の午後は、ロシア国立人文大学哲学部准教授のウズマノヴァ・ラリサさんにご案 内いただき、ロシア国立軍事史文書館で資料を調査した。事前に連絡しておいたこと もあり、また複数の紹介状もあったおかげか、意外にも質問もなく、閲覧証はすぐ発 行された。これと比べると、国立ロシア連邦文書館、ロシア国立社会政治史文書館で の調査はたいへんだった。ロシア国立社会政治史文書館のある男性の職員は毎日、机 をたたいたり、叫んだりして怒っていた。よほどストレスがたまっていたのか、われ われ調査にきた者に対してだけではなく、文書館のほかの職員に対しても毎日怒って いた。しかし、相手がいくら怒っても、私は毎日、あきらめず、しつこく、調査しつ づけた。実は、3年前の同文書館での調査でも、この職員に怒られていた。また、あ る日、ロシア国立社会政治史文書館の職員と話が通じなかった時、そこで資料調査を していた東京外国語大学図書館長の栗原浩英氏が助けて下さった。このように、今回 の調査では多くの方々からご協力いただいた。 後日、K先生に言われた。「文書館の職員、いいや、それだけじゃない。おそらく文 書館を利用しているすべての人は、フスレのことを知っているだろう。ロシア語はあ まりできないくせに、毎日朝一番早くやって来て、閉館まで、一生懸命、ロシア語の 資料を調べている。そして、一番貴重な資料を手に入れた。本当に不思議だ」。実 は、調査の途中から、K先生は体調不良で、文書館に行けなくなった。その間に、私 は重要な史料をみつけて、文書館の許す範囲で、500ページほどコピーした。 K先生はいつも早寝早起きで、モスクワについてからも(世界のどこに行っても同じ だと思うが)、同じであった。ある夜、私は遅くまで調査した資料のメモなどを整理 してから布団に入った。その時、隣の部屋で寝ているK先生が恐ろしい大声で叫んで いるのが聞こえた。慌てて起きて、K先生の部屋に入った。K先生は部屋の鍵もかけず に寝ていたようである。私が部屋に入ったところ、K先生はすでに起きて、ベッドに 座っていた。「どうしたんですか」と聞いたら、「悪い夢をみた」と。「どんな夢 だったんですか」と聞いたら、「知らない3人の女がやってきて、怖かった」と答え た。「本当に来たんですか」と冗談で聞いた。「来るわけはないでしょう。まあ。怖 かった」と。その後、K先生に少しワインを飲ませて、寝かせた。私は自分の部屋に 戻って寝ようとしたが、今度は、自分がなかなか眠れなくなった。仕方がなく、起き あがって、我慢できず、K先生の友人にメールを送って、先生の悪い夢の話をした。 先生の友人からきたのは、「女難の夢を見たんですね。おかしいですね。まったくK 先生らしくないね」という返事だった。 9月19日の夕方、日本センター長の浜野道博氏が、私たちのホテルを訪れ、食事に招 待してくださった。浜野氏はロシア語が堪能で、豊かな知識をもって、国際関係やロ シア文化、そして日本の対ロ政策などについて、K先生と話し合った。2人の間では、 意気投合のところもあれば、はげしく論争したところもあった。 その日の夜、私とK先生は夜行列車でタタルスタン共和国の首都カザンに行った。カ ザンはかつて東西貿易の中継地点であって、今はイスラム文化とロシア文化を中心と して、多文化が共存する街である。一等車だったので、ビールは無料で提供された が、お茶とコーヒーは有料であった。中年の女性の乗務員は熱心で、お茶とコーヒー を飲んでいる私たちに、「どうですか?美味しいですか?」と聞き、「美味しいよ」 と返事したら、「それはもちろんよ。私が心をこめて作ったのだから」とにこにこし ながら、満足そうに言った。 カザンに着いたら、荷物をホテルにあずけて、すぐにカザン連邦大学(カザン大学) を訪問した。カザン連邦大学は歴史と伝統を誇る名門大学で、レーニンやトルスト イ、ロバチェフスキー等は同大学の出身であり、モンゴル研究の発生地の一つでもあ る。昼には、私たちは同大学の国際関係・歴史・東洋学部の教員と会談し、午後には 日本語コースの学生に会って話し合った。夕方はタタルスタン科学アカデミー歴史研 究所を訪問した。 翌日、歴史研究所長が私たちにカザンの歴史や宗教、文化などについて話してくれた うえに、街の案内もしてくれた。カザン連邦大学国際関係・歴史・東洋学部の女子学 生ポリーナさんとディーナさんも同行した。2人の日本語のレベルは非常に高い。私 たちはモンゴル帝国のジョチ・ウルス時代から、カザン・ハーン国、日本人抑留、今 日の交流までについて話しがつきなかった。K先生の話は、最初は学問的であった が、途中から下ネタを連発し始めた。その行動と話に驚いた学生の一人が私に「K先 生は本当に日本人ですか」とひそかに聞いたほどであった。「正真正銘の日本人だ よ」と答えた。 カザンからモスクワに戻って、パヴェレツカヤ駅とトレチャコフスカヤ駅の間に位置 する、昨年オープンしたばかりのホテルに泊まった。さすがに新築のホテルで設備が よい。また、ロシア国立軍事文書館に地下鉄で1本で行けるし、ロシア国立社会政治 史文書館に行くのもわずか2駅であり、調査には非常に便利で助かった。 日本に戻る前日の夜、浜野氏が私たちに東洋エンジニアリング社モスクワ事務所長の 宮崎哲二氏と菅原アソシエーツ社代表の菅原信夫氏を紹介してくれた。宮崎氏は埼玉 大学の出身で、菅原氏は東京外国語大学ロシア語科の出身である。宮崎氏等はK先生 と私、ラリサさんを食事に招待してくれたが、宴会開始直前に、昭和女子大学のもう 一人の教員とモンゴル科学アカデミー歴史研究所長がサンクトベテルブルクから駆け 込んできた。みんなで食事をしながら、日露関係やウクライナ危機等について話し 合った。 特別な国際関係・社会状況の中、日本はロシアに対して独自な政策をとるべきだと、 私は考えている。ロシアは、日本がかつて深い関心をもった地域であった。しかし、 戦後、北方領土問題があるものの、日本人のロシアに対する関心が次第に薄れてきた ことを、残念に思う。NHKにロシア語を教えるテレビ番組がある。放送時間は木曜日 の深夜1時からの25分程度で、再放送は金曜日早朝の5時半からの25分間である。こん な時間にロシア語を勉強するのは、どんな人たちなのかを知りたい。 ウクライナ危機をきっかけに、日露関係は冷やかになったが、こういう時だからこ そ、日本がイニシアティブをとって、両国の関係を打開すべきではないかと思う。 ----------------------------------------- <ボルジギン・フスレ Borjigin Husel> 昭和女子大学人間文化学部国際学科准教授。北京大学哲学部卒。1998年来日。2006年 東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了、博士(学術)。昭和女子大学 非常勤講師、東京大学大学院総合文化研究科・日本学術振興会外国人特別研究員をへ て、現職。主な著書に『中国共産党・国民党の対内モンゴル政策(1945〜49年)——民 族主義運動と国家建設との相克』(風響社、2011年)、共編『ノモンハン事件(ハルハ 河会戦)70周年——2009年ウランバートル国際シンポジウム報告論文集』(風響社、 2010年)、『内モンゴル西部地域民間土地・寺院関係資料集』(風響社、2011年)、 『20世紀におけるモンゴル諸族の歴史と文化——2011年ウランバートル国際シンポジ ウム報告論文集』(風響社、2012年)、『ハルハ河・ノモンハン戦争と国際関係』(三 元社、2013年)他。 ----------------------------------------- 【2】催事案内:「日中の映像文化」 SGRA会員で北京大学准教授の孫建軍さんより、下記公開講座のご案内をいただきまし たので、お知らせします。参加申込み、お問い合わせは直接下記へお願いします。 ------------------------ この度、北京大学×早稲田大学・立命館大学の連携講座「日中の映像文化」を開催し ます!北京大学、早稲田大学と関西大学の教授が日中の映画文化について、様々な角 度から詳しく分析します。この4回に渡るシリーズを通して21世紀の中国映画の現 状、映画から見る今日の中国社会と文化、映画史など、日本との関わりを踏まえ、皆 様の理解を深めることができます。日中の映像文化に興味がある方、是非ご参加くだ さい。講座は5月に合計4回を開催します。 ◆講座実施詳細: 第一回 実施日時:5月8日(金) 15:00-17:00(質疑応答あり) 開催場所:早稲田キャンパス22号館201室 テーマ :映画から見る—今日の中国社会と文化—  講演者 :戴 錦華 北京大学電影与文化研究中心主任 北京大学中文系比較文学研究所教授     (日中逐次通訳 渋谷裕子) 第二回 実施日時:5月15日(金)  15:00-17:00(質疑応答あり) 開催場所:早稲田キャンパス1号館301室 テーマ :21世紀の中国映画芸術状況と文化形勢の紹介  講演者 :陳 旭光 北京大学芸術学院教授     (日中逐次通訳 渋谷裕子) 第三回 実施日時:5月22日(金)  15:00-17:00(質疑応答あり) 開催場所:早稲田キャンパス1号館301室 テーマ :「誰も知らない私の悩み——小津安二郎と女たちの戦後」  講演者 :藤井仁子(早稲田大学文学学術院准教授) 第四回 実施日時:5月29日(金)  15:00-17:00(質疑応答あり) 開催場所:早稲田キャンパス1号館301室 テーマ :「映画館ではお静かに!」—上海における映画鑑賞の誕生—  講演者 :菅原慶乃(関西大学文学部総合人文学科教授) ◆申込方法: 事前に参加者を把握するため、5月5日(火)までにご氏名、ご所属、受講希望日をメー ルに記載の上、早稲田大学孔子学院事務所までお知らせください。 ◆参加費:無料 ◆詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/info/PekingWasedaLecture.pdf ◆お問合せ先・お申込先: 機関名:早稲田大学孔子学院 E-mail:wci@list.waseda.jp Tel:03-3204-8244 【3】第5 回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(再送) 下記の通り第5回日台アジア未来フォーラムを開催します。参加ご希望の方は、事前 にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 ■テーマ:「日本研究から見た日台研究120年」 日時:2015年5月8日(金)午前9時00分〜午後6時30分 会場:国立台湾大学文学院演講庁20番教室/会議室 お申込み・問合せ:SGRA事務局 電話:03-3943-7612 Email:sgra-office@aisf.or.jp ●詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/5120.php ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第5回日台アジア未来フォーラム(2015年5月8日台北) 「日本研究から見た日台交流120年」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/5120.php ○第4回SGRAワークショップin蓼科 (2015年7月3日〜5日) ○第49回SGRAフォーラム 「日本研究の新しいパラダイム」 (2015年7月18日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Husel ”Trip to Moscow and Kazan”

    **************************************************** SGRAかわらばん564号(2015年4月17日) 【1】エッセイ:フスレ「モスクワ・カザフへの旅」 【2】第5回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(再送)   「日本研究から見た日台交流120年」   (2015年5月8日台北) **************************************************** 【1】SGRAエッセイ#456 ■ ボルジギン・フスレ「モスクワ、カザンへの旅(その1)」 2014年9月14日から26日までK先生と一緒にモスクワとカザンに行った。今回は、主に 資料調査であったため、出発4ヶ月前に、ロシアに行く度に利用してきた旅行社のH社 長に、交通が便利で、文書館に近いホテルの手配などをお願いした。H社長は、私が 送った文書館のリストをみて、1ヶ月かけて調整し、モスクワとカザンのホテルを手 配してくれた。 最初に泊まったホテルはモスクワの地下鉄クロポトキンスカヤ駅とパールク・クリ トゥールイ駅の間に位置する。そこは国立ロシア連邦文書館や古文書館に近く、歩い て20分程度の距離だったし、ロシア連邦外交政策文書館にも近く非常に便利だった。 ホテルの朝食は豊富で美味しかった。ホテルの近くにはトルストイ博物館やモスクワ 博物館、ピョートル大帝記念碑、トレチャコフ美術館などの観光の名所が林立してい る。また音楽学校もあって、ホテルを出ると、楽器を背負った生徒たちの姿をよく目 にした。 モスクワに到着した翌日、国立ロシア連邦文書館と古文書館に行った。帰り道、ある 公園をとおった時に、ベンチに座ってひそかにビールを飲んでいるロシア人の青年に 出会った。通行人がくると、その青年はすぐビールを新聞の中に隠す。目のいいK先 生は遠いところからその青年を見て、「あいつはビールを飲んでいるよ」と言いなが ら、青年に近づいて声をかけベンチに座った。青年はハバロフスクから観光にきたそ うである。K先生は青年にプーチン大統領のことについて尋ねた。青年は「すばらし いじゃないか」と答えた。「新聞の中になにか隠していない?」とK先生は青年に聞 いた。青年は少し迷ったが、「よかったらどうぞ」と言いながら、新聞の中に隠して いたビールを出した。結局、K先生はその青年と一緒にビールを飲み始めた。 「プーチンがお酒に関するへんな政策を作ったから、あなたはこのようにビールを隠 したんだね。ロシアの国民にお酒を飲ませない大統領が悪いんじゃないか」とK先生 が言った。青年は、「いいえ」と、プーチン大統領を大いにたたえた。…話が長くな りそうだったで、私は2人から離れて、公園を散策することにした。私が離れて行っ てしまうことを心配したのか、しばらくして、K先生が追いかけてきた。 その日の夜、K先生と一緒にアルバ—ト通りに行った。アルバ—ト通りは詩・歌・芸 術の街として有名であり、歩行者天国である。また、カフェやレストラン、みやげ物 屋も多い。私たちはここで夕食をとった。 私が初めてロシアに行ったのは2011年の春だった。モスクワのクレムリンや赤の広 場、サンクトベテルブルクのエルミタージュ美術館や人類学・民族博物館などを見学 したほか、バレエやオペラなども鑑賞したが、ロシアは大帝国であることと、「多民 族・多文化国家」であるということが印象に残った。今回は、歴史と文化に培われた ロシアの時空をあじわった。宿泊したホテルから駅までの間の建築物のほとんどはロ シアの歴史文化財になっている。私たちが宿泊したホテルからクロポトキンスカヤ 駅、或いはパールク・クリトゥールイ駅までは、本来、歩いていずれも10分程度の距 離であるが、K先生と一緒に行くと、1時間もかかってしまう。というのは、毎日、文 書館から帰りの道で、K先生は、いつも各建物の壁にかざってある案内版をみなが ら、その建物の歴史、あるいはその建物とかかわる歴史人物のことをかたりつづけた からである。私にとっては、よい勉強になった。 クロポトキンスカヤ駅周辺にはエンゲルス像やゴーゴリ並木通り、プーシキン博物 館、救世主キリスト聖堂などがある。初めてクロポトキンスカヤ駅に行ったとき、エ ンゲルス像をみたK先生は、「エンゲルス像をここに立たせるのは相応しくない」と 不満げに言った。理由を聞いたら、返事はなかった。パールク・クリトゥールイ駅の なかの壁には、ゴーリキー像が刻まれている。それをみたK先生は非常にうれしそう に、「これは面白いんだ」と、ゴーリキーのことをかたりつづけた。 モスクワでのもう一つの発見は、キックスクーターである。本来、キックスクーター は子供たちの玩具だと思ったが、モスクワでは、本物の交通道具として大人たちに使 われている。街では、キックスクーターで走っている人の姿をよく目にした。 (つづく) 旅の写真を下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/info/Essay456Photos.pdf ----------------------------------- <ボルジギン・フスレ Borjigin Husel> 昭和女子大学人間文化学部国際学科准教授。北京大学哲学部卒。1998年来日。2006年 東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了、博士(学術)。昭和女子大学 非常勤講師、東京大学大学院総合文化研究科・日本学術振興会外国人特別研究員をへ て、現職。主な著書に『中国共産党・国民党の対内モンゴル政策(1945〜49年)——民 族主義運動と国家建設との相克』(風響社、2011年)、共編『ノモンハン事件(ハルハ 河会戦)70周年——2009年ウランバートル国際シンポジウム報告論文集』(風響社、 2010年)、『内モンゴル西部地域民間土地・寺院関係資料集』(風響社、2011年)、 『20世紀におけるモンゴル諸族の歴史と文化——2011年ウランバートル国際シンポジ ウム報告論文集』(風響社、2012年)、『ハルハ河・ノモンハン戦争と国際関係』(三 元社、2013年)他。 ----------------------------------- 【2】第5 回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(再送) 下記の通り第5回日台アジア未来フォーラムを開催します。参加ご希望の方は、事前 にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 ■テーマ:「日本研究から見た日台研究120年」 日時:2015年5月8日(金)午前9時00分〜午後6時30分 会場:国立台湾大学文学院演講庁20番教室/会議室 お申込み・問合せ:SGRA事務局 電話:03-3943-7612 Email:sgra-office@aisf.or.jp ●詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/5120.php ○フォーラムの趣旨 日清戦争の帰結としての「下関条約」によって台湾が日本に割譲されるまで、台湾と 日本の関係は薄かった。しかしそれ以降「最初の植民地」としての台湾と宗主国の日 本との関係は急に緊密になった。戦前50年間の植民地の歴史は台湾社会のみならず、 日本と台湾の文壇や文学創作方向、また日本語教育にも多大な影響を与えた。戦後に なると、台湾は中華民国に復帰し新たな時代を経験してきた。中華民国政府は1972年 まで日本と近い友好国の関係を維持し、またその後国交はないものの、互いに親近感 の濃厚な「民間交流」関係が築かれ、今日に至っている。 そうした日台関係の「大還暦」を迎える2015年という大きな節目に、日台交流の諸相 に言及する際、さまざまな視点より語ることができる。戦前の経験はいかなる遺産と していかに再認識すべきか、また戦後東アジアが新たな秩序を模索する中、台湾と日 本との関係は様々な困難を乗り越えて再構築されるプロセスにおいて如何なる特徴を 有しているのか。一方、日本文学研究や日本語學・日本語教育の研究は日台交流の状 況につれ、如何に変わってきたかなどの問題も見つめ直さねばならない。さらに、 120年の経験を踏まえ、次の120年の日台関係を展望するには如何なるキーワードを念 頭にいれる必要があるのか。本フォーラムはこのような問題意識をもって議論を展開 し「日台関係120年」の実像に迫る。 フォーラムは「語学と文学」、「国際関係」そして「社会変容」という三つのセッ ションから構成され、台湾、日本、中国などからの第一線で活躍されている学者を招 き、斬新な視点より鋭い議論を通して新たな「日台関係論」の構築に資したい。今回 も、過去の実績を踏まえ、渥美国際交流財団関口グローバル研究会と国立台湾大学が 共催する。日中同時通訳付き。 ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第5回日台アジア未来フォーラム(2015年5月8日台北) 「日本研究から見た日台交流120年」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/5120.php ○第4回SGRAワークショップin蓼科 (2015年7月3日〜5日) ○第49回SGRAフォーラム 「日本研究の新しいパラダイム」 (2015年7月18日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Max Maquito “Manila Report 2015 Spring”

    *********************************************** SGRAかわらばん563号(2015年4月9日) 【1】エッセイ:マキト「マニラ・レポート2015年春」 【2】第5回日台アジア未来フォーラムへのお誘い   「日本研究から見た日台交流120年」   (2015年5月8日台北) *********************************************** 【1】SGRAエッセイ#455 ■ マックス・マキト「マニラ・レポート2015年春」 「格差と成長のバランス」をテーマに、毎年1〜2回、マニラで開催しているSGRAの 「日比共有型成長セミナー」は19回目を迎えた。 今回はフィリピンの3つの大学が会場を提供してくれたが、準備の都合や企画委員の 多い、フィリピン大学で再度開催することが決定した。次回は、このセミナーをさら に広げるために、別の大学で開催する予定である。今回のセッションで座長を務めた のは、昨年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議に参加した先生方で、引き続 きSGRAフィリピンの活動にご協力いただいている。 このセミナーは6つのセッションに分かれていたが、これは学際的な交流を促すため に、同時進行のセッションを意図的に避けたことによものだった。 第1セッション「開会の趣旨と問題提起」 座長:F. マキト(SGRAフィリピン代表/テンプル大学) 第2セッション「持続可能農業について」 座長:J. トリビオ(フィリピン土地改革省) 第3セッション「農業と製造業に関して」 座長:J. ダナカイ(フィリピン アジア太平洋大学) 第4セッション「再生可能エネルギーに関して」 座長:G. サプアイ(フィリピン 廃棄物管理協会) 第5・6セッション「被災地における計画や設計の構想」 座長:S. ギッレス、M. トメルダン(フィリピン大学建築学部) 総合司会:A. ラセリス(フィリピン大学経営学部) 各座長がセミナーの前に各自のセッションの発表者と連絡をとりあい、当日はどの セッションでも活発な質疑応答が行われた。 セミナーの翌日、マニラの北の山岳地方に行き、一泊して、次の日の午前中にフィリ ピンの地方都市で初めての共有型成長セミナーを開催した。これは会場となった大学 の学長でもあるSGRAセミナー企画委員のジュン・アンダル先生のお招きによるもので ある。参加者はマニラのセミナーと同じく約50人であった。この地方で活動してい る、SGRAセミナー企画委員のジェーン・トリビオ先生のチームも参加し、マニラでは 報告されなかった興味深い側面を話してくださった。どちらかというと、マニラで は、彼女の地域の素晴らしいところが中心であったが、現地のセミナーでは、この地 域が抱えている問題がより多く語られた。 これらのセミナーを通じて考えさせられたことが二つある。 一つは、アンダル先生の誘いもあって、次回の共有型成長セミナーは首都マニラでは なく、地方で開催したほうが効果的かもしれない。フィリピンでSGRAの活動の可能性 を探るために、今西淳子SGRA代表と一緒に母校のアジア太平洋大学を訪ねてからもう 10年が過ぎた。マニラで数件の研究・調査を実施し、企業や大学や政府や非営利団体 ともネットワークを一所懸命作ってみた。これらの活動はある程度成功したと思う が、フィリピンにおけるSGRAの活動をより効果的にするために、そろそろ方向転換が 必要ではなかと思う。 もうひとつ考えているのは、環境的に持続可能というのは、共有型成長の自然な延長 線にあるものではないかということである。共有型成長という概念は下記の二つの解 釈を促すと思う。まず、世代間の解釈であり、それは、ある世代が成長を実現し、か つ次世代の成長を犠牲にせず、世代間で成長を共有するということである。たとえ ば、今の世代が大地の恵みを大切に扱い、次世代まで残す、ということ。そして、も うひとつの解釈は、ネットワーク的に成長を共有することである。中央集権型ではな く、地方分権型のネットワークのほうが、気候変動や環境破壊などに強いということ である。 ヴァチカンの教皇様は、今年の1月にアジアで唯一のカトリック国であるフィリピン を訪問なさった。今回のふたつのセミナーでは、僕の発表の最後に、フィリピン訪問 中の教皇様のお言葉を引用させていただいた。 「私が伝えたいことの中心は貧しい人たち、前に進みたい貧しい人たち、2013年の台 風ハイヤンで被災した、そして今でも苦しんでいる貧しい人たちです。」(フランシ ス教皇、2015年1月マニラにて) 引用してから、会場にこう問いかけた。「皆さんが、この教皇様のお言葉をどう理解 なさっているかはわかりませんが、これは私たちが目指している持続可能な共有型成 長へのご賛同ではないでしょうか」と。 セミナーの写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/information/Seminar19Report.pdf -------------------------- <マックス・マキト ☆ Max Maquito> SGRA日比共有型成長セミナー担当研究員。SGRAフィリピン代表。フィリピン大学機械 工学部学士、Center for Research and Communication(CRC:現アジア太平洋大学) 産業経済学修士、東京大学経済学研究科博士、アジア太平洋大学にあるCRCの研究顧 問。テンプル大学ジャパン講師。 -------------------------- 【2】第5 回日台アジア未来フォーラムへのお誘い 下記の通り第5回日台アジア未来フォーラムを開催します。参加ご希望の方は、事前 にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 ■テーマ:「日本研究から見た日台研究120年」 日時:2015年5月8日(金)午前9時00分〜午後6時30分 会場:国立台湾大学文学院演講庁20番教室/会議室 お申込み・問合せ:SGRA事務局 電話:03-3943-7612 Email:sgra-office@aisf.or.jp ● フォーラムの趣旨 日清戦争の帰結としての「下関条約」によって台湾が日本に割譲されるまで、台湾と 日本の関係は薄かった。しかしそれ以降「最初の植民地」としての台湾と宗主国の日 本との関係は急に緊密になった。戦前50年間の植民地の歴史は台湾社会のみならず、 日本と台湾の文壇や文学創作方向、また日本語教育にも多大な影響を与えた。戦後に なると、台湾は中華民国に復帰し新たな時代を経験してきた。中華民国政府は1972年 まで日本と近い友好国の関係を維持し、またその後国交はないものの、互いに親近感 の濃厚な「民間交流」関係が築かれ、今日に至っている。 そうした日台関係の「大還暦」を迎える2015年という大きな節目に、日台交流の諸相 に言及する際、さまざまな視点より語ることができる。戦前の経験はいかなる遺産と していかに再認識すべきか、また戦後東アジアが新たな秩序を模索する中、台湾と日 本との関係は様々な困難を乗り越えて再構築されるプロセスにおいて如何なる特徴を 有しているのか。一方、日本文学研究や日本語學・日本語教育の研究は日台交流の状 況につれ、如何に変わってきたかなどの問題も見つめ直さねばならない。 さらに、120年の経験を踏まえ、次の120年の日台関係を展望するには如何なるキー ワードを念頭にいれる必要があるのか。本フォーラムはこのような問題意識をもって 議論を展開し「日台関係120年」の実像に迫る。 フォーラムは「語学と文学」、「国際関係」そして「社会変容」という三つのセッ ションから構成され、台湾、日本、中国などからの第一線で活躍されている学者を招 き、斬新な視点より鋭い議論を通して新たな「日台関係論」の構築に資したい。 今回も、過去の実績を踏まえ、渥美国際交流財団関口グローバル研究会と国立台湾大 学が共催する。日中同時通訳付き。 ■プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/TaiwanForum5_Program.pdf 【開会の辞】范淑文(国立台湾大学日本語文学科学科長)(09:00−09:05) 【基調講演】「日本と台湾の120年〜「二重構造」の特徴と変遷〜」(09:30− 10:30) 座 長:陳弱水(国立台灣大学文学院院長) 講演者:松田康博(東京大学東洋文化研究所教授) 【休  憩】(10:30−10:50) 【第一セッション】政治環境・国際関係の変容から見た日台関係(10:50−12:20) 座長:呉密察(国立台湾大学歴史学科兼任教授) 【報告1】「「植民母国」から「国際関係」へ〜台湾社会における「国際観」の変容 と日台関係120年〜」 李承機(国立成功大学台湾文学科副教授) 討論者:周婉窈(国立台湾大学歴史学科教授) 【報告2】「戦後初期台湾の日本研究/日本の台湾研究」川島真(東京大学総合文化 研究科教授) 討論者:何義麟(国立台北教育大学台湾文化研究所副教授) 【報告3】「中国の視点から見た台日関係120年」王鍵(中国社会科学院近代史研究 所研究員) 代読:洪?誠(国立台湾大学政治学研究科修士課程) 討論者:石之瑜(国立台湾大学政治学科教授) 【昼  食】(12:20−13:20) 【第二セッション】日本研究の回顧と展望〜言語と文学〜(13:20−14:50) A .文学・文化 座長:范淑文(国立台湾大学日本語文学科学科長) 【報告1】「台湾における日本近代文学研究」黄翠娥(輔仁大学外国語学院副院長) 討論者:林水福(南台科技大学応用日本語学科教授) 【報告2】「台湾における日本古典文学研究の過去、現在と未来」 曹景惠(国立台湾大学日本語文学科副教授) 討論者:陳明姿(国立台湾大学日本語文学科教授) 【報告3】「台湾における日本研究〜思想、文化、歴史をめぐって〜」藍弘岳(国立 交通大学副教授) 討論者:辻本雅史(国立台湾大学日本語文学科教授) B.言語・語学 座長:林立萍(台湾大学日本語文学科教授) 【報告1】「データから見た台湾における日本語学研究」頼錦雀(東?大学外国語学 院院長) 討論者:林慧君(国立台湾大学日本語文学科教授) 【報告2】「朝鮮資料の成長性〜諸本『隣語大方』から考える〜」申忠均(韓国全北 大学教授) 討論者:?瓊慧(輔仁大学日本語文学科学科長)           【報告3】「台湾における日本語教育研究の現状と展望〜国際シンポジウムを中心に 〜」 葉淑華(高雄第一科技大学外国語学院院長) 討論者:林長河(銘傳大学応用日本語学科学科長) 【休  憩】(14:50−15:10) 【第三セッション】日台社会の変容と交流の諸相(15:10—16:40) 座長:張啓雄(中央研究院近代史研究所研究員) 【報告1】「日台企業間の信頼と協力の再生産」佐藤幸夫(アジア経済研究所新領域 研究センター長) 討論者:任耀庭(淡江大学アジア研究所所長) 【報告2】「根を下ろせし異郷、故郷となれり」鍾淑敏(中央研究院台湾史研究所副 研究員) 討論者:傅琪貽(国立政治大学教授) 【報告3】「反記憶政治論〜日台関係の再構築に関する歴史学主義の一考察〜」 呉叡人(中央研究院台湾史研究所副研究員) 討論者:張隆志(国立清華大学人文社会学部学士班副教授・主任) 【休  憩】(16:40−16:50) 【総合討論】 21世紀の日台関係を展望する(16:50—17:50) 座   長:徐興慶(国立台湾大学日本語文学科教授、日本研究センター長) パネリスト:范淑文、辻本雅史、甘懐真、松田康博、川島真、呉叡人、林泉忠(敬称 略)   【閉会の辞】 今西淳子(渥美国際交流財団関口グローバル研究会代表)(17:50— 18:00) ○日台アジア未来フォーラムとは 第一回「国際日本学研究の最前線に向けて」は、台湾に見られる「哈日族」の現象に 注目しつつ、日本の流行文化を取り上げた。第二回は「東アジアにおける企業法制の 継受及びグローバル化の影響」をテーマとして、法学の問題について議論を深めた。 第三回「近代日本政治思想の展開と東アジアのナショナリズム」は、政治思想とナ ショナリズムとの関係について、また第四回フォーラムでは、「東アジアにおけるト ランスナショナルな文化の伝播・交流−思想、文学、言語−」をテーマとした。 このように、関口グローバル研究会(SGRA)は、日本、台湾さらにはアジアの未来に 向けて、アジア各国の相互受容や影響関係に焦点を当て、文化、文学、言語、法学、 政治思想などの議題について考えている。 ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第5回日台アジア未来フォーラム(2015年5月8日台北) 「日本研究から見た日台交流120年」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/5120.php ○第4回SGRAワークショップin蓼科 (2015年7月3日〜5日) ○第49回SGRAフォーラム 「日本研究の新しいパラダイム」 (2015年7月18日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Sim Choon Kiat “A Mission Impossible Made Possible by Mr Lee Kuan Yew”

    *********************************************** SGRAかわらばん562号(2015年4月2日) *********************************************** ☆本年度よりSGRAかわらばんを毎週木曜日に配信します。 SGRAエッセイ#454 ■シム チュン・キャット「生存不可能な国を可能にしてみせたリー・クアンユー 氏」 2015年、この年はシンガポールの歴史に深く刻まれる年となります。建国50周年を迎 えた年としてではなく、偉大なる建国の父がこの世を去った年として記録されること になるからです。 「偉大」という言葉を使うことで、まるで僕がどこかの国の国民みたいに独裁者を熱 狂的に崇める輩のような印象を持たせてしまうかもしれませんが、僕は死んでもそう いう人間にはならないことを僕のことを知る人なら分かるはずです。しかし誤解を招 きかねない表現であっても敢えて使います。リー・クアンユー氏は偉大です。 リー・クアンユー氏の功罪を分析する書籍、論文や新聞・雑誌記事などがたくさん出 ている中で、同氏の指導力、高圧的な政治手腕と独裁ぶりについては他の所を参考に していただくことにして、ここでは彼が率いる人民行動党による一党支配体制下で生 まれ育った一国民として自分の素直な気持ちを書きたいと思います。 発展途上国といわれるアジアの国々を訪れるたびに、僕はよくデジャビュに襲われま す。手入れの行き届かない住宅、クモの巣のように地上に張り巡らされている電線 網、衛生状態の悪い屋台の群れ、黒い水が流れる水路などなど、僕がまだ幼かった頃 にシンガポールでよく目にした風景とどこか似ていると、心のアルバムのページが開 くからです。現在一人当たりGDPが約6万USドルと日本の約4万USドルよりも高く、IMF や世界銀行などいずれの統計においても経済的豊かさが世界トップ10に入っているシ ンガポールからは到底想像できない風景でもあります。この驚くべき変貌を可能にし た国づくりの第一設計者がリー・クアンユー氏であることに異議を唱える国民はいま せん。国の発展と繁栄とともに成長し、多くの恩恵を受けてきた僕のような独立後世 代はなおさら否定することができません。 とはいえ、この世に完璧なものはあり得ません。完璧な民族、完璧な国なんて幻想で しかありません。 経済や社会がうまく回っているように見えるシンガポールでも、 他の国と同じくいろいろな課題を抱えていることは事実です。ただ、国土が小さく資 源も無いに等しい事情に加え、多民族・多言語・多宗教という複雑な国情の中で、文 化も習慣も言葉も信仰も異なる国民同士が仲良く共存できていることが不思議でなり ません。教会の近くにモスクが建ち、50メートル先に道教のお廟があって、そのすぐ 隣りのヒンズー教寺院から祈りの声が響く、という今のシンガポールでは当たり前の 風景でさえ、民族間不信や宗教暴動が頻発していた歴史から考えれば、これも奇跡の 一つなのかもしれません。そして、その背後に無宗教のリー・クアンユー氏の存在が 大きいことは、国民なら皆知っています。 もちろん、リー・クアンユー氏も完璧な人間ではありません。彼のことが嫌いだとい う人も少なくありません。実をいうと、僕もその一人です。超合理的でエリート主義 者でもある彼は、物議を醸す発言を連発した時期もありました。大卒の女性の多くが 独身であり、結婚しても産む子供の数が低学歴の女性より少ないという傾向を変える べきだとか、一人一票が最善の選挙方法であるとは限らず家庭と子供を持つ国民には 二票を与えるべきだとか、何の資源もない一国のあり方と将来を担う首相、大臣と上 級官僚が世界一の高給をもらって当然だとか、反対ばかりしてより良い政策を提案す る能力もない野党は要らないとか。一般の指導者であれば思っていても普通は決して 口には出さないことを、このように躊躇もせずに直球で見解を表明することに気持ち 良さすら感じてしまいます。また冷静に考えれば、それらの発言に一理がないわけで はなく、その独創的な発想に新鮮さと大胆さを覚えます。好きではありませんが、心 から尊敬はします。言ってみれば厳父のような存在です。 その厳父は優しいおじいさんでもありました。リー・クアンユー氏の7人の孫の一人 であり、長男であるリー・シェンロン現首相と亡くなった前妻との間に生まれた息子 であるイーペン氏は、アルビノで視覚障害があり、またアスペルガー症候群にもか かっています。この孫のことを一番可愛いと、リー氏は自身の回顧録にも書いていま す。リー・クアンユー氏の遺体が納められた棺が、一般国民の弔問を受けるために国 会議事堂へ運ばれたとき、イーペン氏は先頭に立っておじいさんの遺影を持って歩い ていました。その直後、国民による厳父への弔問の列は予想をはるかに超え最大で8 時間待ちとなり、政府が国民に弔問を控えるように勧告を出したほどでした。 亡くなられる数年前にリー氏はあるインタビューで、自分が下した難しい政治決断に 対して反対や不満を抱く人々もいただろうということを認めたうえで、次のように語 りました。「結局のところ、私が何を得たかって?それはシンガポールの成功だ。私 が何を捨てたかって?それは私の人生だ」と。 数年後、シンガポールのどこかにリー・クアンユー氏の銅像が建つのでしょう。いつ かシンガポールのお札の肖像も今の初代大統領のユンソ・ビン・イサーク氏から リー・クアンユー氏に変わるかもしれません。いずれにせよ、銅像がなくてもお札が 変わらなくても、その名は永遠に国民の心の中に生き続けるのでしょう。 ------------------------------- <シム チュン キャット☆ Sim Choon Kiat☆ 沈 俊傑> シンガポール教育省・技術教育局の政策企画官などを経て、2008年東京大学教育学研 究科博士課程修了、博士号(教育学)を取得。昭和女子大学人間社会学部・現代教養 学科准教授。SGRA研究員。主な著作に、「選抜度の低い学校が果たす教育的・社会的 機能と役割」(東洋館出版社)2009年、「論集:日本の学力問題・上巻『学力論の変 遷』」第23章『高校教育における日本とシンガポールのメリトクラシー』(日本図書 センター)2010年、「現代高校生の学習と進路:高校の『常識』はどう変わってきた か?」第7章『日本とシンガポールにおける高校教師の仕事の違い』(学事出版) 2014年など。 ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第5回日台アジア未来フォーラム 「日本研究から見た日台交流120年」 (2015年5月8日台北)<ご予定ください> ○第4回SGRAワークショップin蓼科 (2015年7月3日〜5日蓼科) ○第49回SGRAフォーラム 「日本研究の新しいパラダイム」 (2015年7月18日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************