SGRAメールマガジン バックナンバー

  • [SGRA_Kawaraban] Yeh Wenchang “Xenophobic Expulsion”

    ****************************************************** SGRAかわらばん553号(2015年1月28日) 【1】エッセイ:葉 文昌「遂客令」 【2】SGRAフォーラムへのお誘い(2月7日 東京)再送   「アジア経済のダイナミズム---物流を中心に」 【3】日比共有型成長セミナーへのお誘い(2月10日マニラ)   「都会・地方の格差と持続可能共有型成長」 ****************************************************** 【1】SGRAエッセイ#446 ■ 葉 文昌「遂客令」 歴史は繰り返すとよく言われます。なかにはスケール等を変えて繰り返されることも あります。グローバル化は、同質(なかま)の中に異質(よそ者)を取り込んで、より進 化して多様化された新たな同質を作る過程だと思いますが、それはつい最近始まった ものではなく、どの国でも内部で多くの邦に分れていた時期に幾度か経験しているは ずです。 これから紹介するのは、2250年前の中国で、秦がまだ中国を統一していなかった戦国 時代の出来事です。当時の中国は多くの国がひしめき合っていました。一部の国では 技術や政治戦略の専門家を外国から招へいしていました。ある人材が持つ技術が高度 であるほど、代替性はなくなり、一部の人材は国境を跨いで仕事していたことは想像 に難しくありません。 ある日、灌漑工事の技術指導で秦に招へいされていた韓国人の鄭氏が、秦の財政を疲 弊させるような工事をしている疑いをかけられました。それから秦の政界で「外国人 を追い出そう (逐客令)」という運動が始まりました。現代のネオナチ又はヘイトス ピーチのようなものでしょう。そこへ出てきたのが、李斯でした。彼も外国人で、こ のまま「外国人出て行け」運動が発展すれば自分も追い出されることになります。そ こで彼は「諌逐客書」という有名な諌言書を秦王に出しました。内容は今見てもとて も斬新なもので、これが2250年前に書かれたことには驚かされます。今回はこの書を 翻訳して皆さんに紹介することにします。 * * * * 「外国人を駆逐すると聞いておりますが、私が思うにそれは過ちであります。 その昔、秦の穆公(ぼくこう)は人材を得るために、西からは戎国の由余を求め、東か らは宛国から百里奚を求め、宋国から蹇叔(けんしゅく)を迎え、ヒ豹(ひひょう)や公 孫支を招き入れました。この5名は秦の出身ではないものの、穆公は重用し、それで 二十の国を併合し、西戎を支配しました。 また孝公は外国の商鞅(しょうおう)の法制を取り入れたことにより、社会気風と習わ しを変え、国民は栄え、国は豊かになり、民は自ら進んで国に仕え、諸侯は感服し、 楚と魏の兵を下して千里の領土を得て現在に至っております。 惠王は張儀の謀略を使って三川を攻略し、西に巴と蜀(しょく)を併合し、北に上郡を 収め、南に漢中を取りました。更に九夷(きゅうい)の地を併合し、焉(えん)、郢(い ん)を取り、東に成皋(せいこう)の要塞を占拠し、肥沃な土地を収め、六国連合を瓦 解させ、秦国に臣服させて利益は今日まで続いています。 秦昭王は范ショ(はんしょ)を得て、穣侯(じょうこう)を罷免して華陽君を駆逐し、中 央統治者の権力を増強させ、その他即得権益者や彊土を蚕食する諸侯を途絶させ、秦 の帝業を成就させました。 この4名の君主の成功は、外来人材の貢献に依る所が大きかったのです。従って外来 人材は秦に対して負い目はありません。もしこの4名の君主が外来人材を排除してい たならば、秦はここまで豊かな実益も強大な威名もなかったはずです。 今日陛下は昆山の玉石、隨侯(ずいこう)の明珠、卞和(べんか)の宝玉を得て、差すの は太阿(たいあ)の名剣、乗るのは繊離の駿馬、掲げるのは翠鳳(すいほう)の旗、使う のは鰐(わに)の太鼓です。これらの中で秦に産するものは一つもありませんが、なぜ に陛下はこれらを好むのでしょうか?秦のものしか使わないとするならば、夜光の玉 壁は朝廷には飾らず、犀角(さいかく)象牙の器は使わず、鄭や衛の美女は後宮にせ ず、駿馬は馬屋におかず、江南の金錫は使わず、西蜀の顔料は使わずとなりましょ う。 後宮の妾からすべての装飾や楽しませてくれるものは秦のものでないと駄目ならば、 宛珠(わんしゅ)の簪(かんざし)、傅キ(ふき)の耳飾り、阿縞(あこう)の衣、錦繍の飾 り等は陛下には献上できません。今風で雅、艶めかしく窈窕な趙の女も傍にはいない でしょう。甕缶を叩き、竹箏を弾き、太ももを敲いてリズムを取ってわいわい騒いで 楽しむ、それこそが秦の本来の音楽であります。鄭・衛・桑間や、韶虞(しょうぐ)・ 武象などは、異国の音楽です。甕缶叩きをやめて鄭衛の音楽にし、竹箏弾きをやめて 韶虞にしたのはなぜでしょう?それが面白いからです。 しかし陛下の任官はそうではなく、能力を問わず、実直かも問わず、秦出身でなけれ ば追い出す。これは即ち重んじる所は色気音楽珠玉、軽んじる所は人民になります。 これは海内を跨いで諸侯を制する術ではありません。 土地が広がれば育つ粟(あわ)は多くなり、国が大きければ人も多くなり、軍が強けれ ば兵士も勇ましくなると聞きます。太山はあらゆる土壌を受け入れたからこそ、いま ある大きさになり得ました。海はあらゆる細流を選ばないからこそ、その深さになり 得ました。王たるものは衆人を退けないからこそ、仁徳は広まります。土地は東南西 北を隔てない、人民は本国他国を区別しない、そうすれば一年四季は充実し、鬼神も 降臨して福をもたらすでしょう。これこそが五帝三王が無敵である所以であります。 今日陛下は庶民を棄てて敵国に資させ、賓客を駆逐して他国に尽くさせており、その 為天下の人材の秦への入国を憚らせております。これは糧食を強盗に与えて武器を敵 に貸し出すことと同じではないでしょうか。物は秦の産出ではないが宝となるものは 多いです。人材も秦の産出ではないが秦に忠心を尽くす者も多いです。外国人を駆逐 して敵国に資し、人口を減らして敵国の実力を増長し、この結果自国は弱体化される 上に外国人の恨みを買って敵国に尽くす人を増やす、これで国が危険にさらされない 訳がないでしょう。」 これを以って秦王は外国人駆逐命令を廃除し、李斯の官位を回復させました。 ----------------------------------------- <葉 文昌(よう・ぶんしょう) ☆ Yeh Wenchang> SGRA「環境とエネルギー」研究チーム研究員。2001年に東京工業大学を卒業後、台湾 へ帰国。2001年、国立雲林科技大学助理教授、2002年、台湾科技大学助理教授、副教 授。2010年4月より島根大学総合理工学研究科機械電気電子領域准教授。 ----------------------------------------- 【2】SGRAフォーラムへのお誘い(再送) ■「アジア経済のダイナミズム---物流を中心に」 下記の通り第14回日韓アジア未来フォーラム/第48回SGRAフォーラムを開催します。 参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡くださ い。 日時:2015年2月7日(土)午後1時30分〜午後4時30分 会場:国立オリンピック記念青少年総合センター国際交流棟 国際会議室 http://nyc.niye.go.jp/category/access/ 申込み・問合せ:SGRA事務局 電話:03-3943-7612 Email:sgra-office@aisf.or.jp <プログラム> 【基調講演】「アジア経済のダイナミズム」 榊原英資(さかきばら えいすけ:インド経済研究所理事長・青山学院大学教授) 【報 告 1】「北東アジアの多国間地域開発と物流協力」 安 秉民(アン・ビョンミン:韓国交通研究院北韓・東北亜交通研究室長) 【報 告 2】「GMS(グレーター・メコン・サブリージョン)における物流ネットワー クの現状と課題」 ド・マン・ホーン (桜美林大学経済・経営学系准教授) 【休  憩】  【自由討論】 進行及び総括:金雄煕(キム・ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授) 討論者:上記発表者、指定討論者(渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究 者)、一般参加者 ミニ報告:「アジア・ハイウェイの現状と課題について」   李鋼哲(リ・コウテツ、北陸大学未来創造学部教授) *詳細は、下記リンクをご覧ください。 ちらし http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/nikkan14chirashi.pdf プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/nikkan14programJ.pdf 【2】第19 回日比共有型成長セミナーへのお誘い ■「都会・地方の格差と持続可能共有型成長」 "The Urban-Rural Gap and Sustainable Shared Growth " 下記の通り第19回日比共有型成長セミナーをマニラ市で開催します。 参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡くださ い。 日時:2015年2月10日(火)午前8時30分〜午後5時30分 会場: マニラ市フィリピン大学都市・地方計画研究科     http://surp.ph/ 言語:英語 申込み・問合せ:SGRAフィリピン Ms. Lenie M. Miro         Email:sgraphil@gmail.com ○セミナーの概要 フィリピンマニラ市で「持続可能な共有型成長」をテーマに開催される19回目のセミ ナー。本セミナーの基本的な狙いは、いわゆるKKK(効率、公平、環境)の調和ある 発展である。これはあらゆる学問、社会部門、そして国境を跨いで実施している活動 である。   今回はフィリピンの3つの大学が会場を提供してくれたが、準備の都合や企画委員会 での圧倒的な存在を占めることから、フィリピン大学で再度開催することが決定さし た。次回は、このセミナーをさらに広げるために、別の大学で開催する予定である。 今回のセッションで座長を務める先生たちは、昨年8月にバリ島で開催した第2回アジ ア未来会議に参加し、引き続きSGRAフィリピンの活動にご協力いただいている。 ○プログラム 本セミナーは6つのセッションに分かれているが、学祭的な交流を促すために、平行 セッションを意図的に避けられている。 第1セッション「開会の趣旨と問題提起」 座長:F. マキト(SGRAフィリピンの代表/テンプル大学) 第2セッション「持続可能農業について」 座長:J. トリビオ(フィリピン土地改革省) 第3セッション「農業と製造業に関して」 座長:J. ダナカイ(フィリピン アジア太平洋大学) 第4セッション「再生可能エネルギーに関して」 座長:G. サプアイ(フィリピン 廃棄物管理協会) 第5・6セッション「被災地における計画や設計の構想」 座長:S. ギッレス、M. トメルダン(フィリピン大学建築学部) 総合司会:A. ラセリス(フィリピン大学経営学部) *詳細は、下記リンクをご覧ください。 プログラム(英文) http://www.aisf.or.jp/sgra/info/ManilaSeminar19Program.pdf インフォグラフィック(英文) http://www.aisf.or.jp/sgra/info/ManilaSeminar19Infographic.pdf 申込用紙(英文) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/19.php ポスター(英文) http://www.aisf.or.jp/sgra/info/ManilaSeminar19Poster.pdf ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/14_2.php ○第19回日比共有型成長セミナー 「都会・地方の格差と持続可能共有型成長」 (2015年2月10日マニラ)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/19.php ○第5回日台アジア未来フォーラム 「日本研究から見た日台交流120年」 (2015年5月8日台北)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] SGRA Cafe #6 “Let us learn more about Islam” Report

    ************************************************** SGRAかわらばん552号(2015年1月21日) 【1】第8回SGRAカフェ報告   「アラブ・イスラムをもっと知ろう」 【2】SGRAフォーラムへのお誘い(2月7日 東京)   「アジア経済のダイナミズム---物流を中心に」 ************************************************** 【1】SGRA催事報告 ■ M. ジャクファル・イドルス「第6回SGRAカフェ報告」  『アラブ・イスラムをもっと知ろう:シリア、スーダンそしてイスラム国』 近年、イスラムを中心とした中東やアラブ世界で進行した「アラブの春」という民主 化運動をきっかけに、不安定な政治的社会的な状況が生み出されたのと同時に、イス ラムを名乗った暴力的な行為によって、イスラムに対する不当な偏見が強まり、拡大 している。その根底には、イスラム過激派の暴力的なニュースばかりが報道される一 方で、特に日本では、イスラム教やイスラム諸国に対する根本的な知識や情報や理解 をうながす「場」が乏しく、人々に多くの誤解を与えているという状況がある。 そのような背景の中で「アラブ・イスラムをもっと知ろう:シリア、スーダンそして イスラム国を中心として」というテーマの下で、メディアには現れないイスラム教や イスラム諸国の実情について学ぶことを目的に第6回SGRAカフェが開催された。 今回、シリア出身のダルウィッシュ・ホサム氏(Housam Darwisheh:アジア経済研究 所中東研究グループ研究員)と、スーダン出身のアブディン・モハメド・オマル氏 (Mohamed Omer Abdin:東京外国語大学特任助教)に講演をお願いした。両名とも SGRAの会員である。 ホサム氏は「変貌するシリア危機と翻弄される人々」というタイトルの講演を行っ た。2011年に中東地域で拡大してきた民主化要求運動をきっかけに、シリアは現在、 未曾有の危機に直面している。アサド体制と反体制派の多様なグループによる戦闘が 各地で続くなか、シリア北部で誕生した「イスラム国」が侵攻し、3年におよぶ戦闘 により、死者は20万人を超え、難民は400万人、国内避難民は1,100万人にのぼり、近 隣諸国はシリア難民の受け入れに対応できない状況にある。アメリカを中心とする有 志連合の干渉もあって、シリア危機はますます複雑な様相を呈し、日ごとに悪化する 状況から脱する道は見出せないままである。このようにシリア危機の経過と現状を紹 介した上で、壊滅的な内戦に陥った原因を、歴史的、宗教的、民族的、地政学的など 多様な側面から解説し、シリア及び近隣アラブ諸国における内戦の今後の厳しい見通 しについて語った。 アブディン氏は「なぜハルツームに春がこないか?:バシール政権の政治戦略分析を 通して」というタイトルで、異なるアプローチからスーダンにおける「アラブの春」 の影響について講演した。民主化を求めるアラブの春の運動は、長い間続いてきた独 裁体制を崩壊させる一方で、内戦を勃発させ、中央政権の弱体化など様々な結果をも たらした。国によって、この運動がなぜこのように個別の結果をもたらしたかは、近 年の国際政治学者の大きな関心事となっている。一方では、アラブの春の影響をほぼ 受けなかった地域も存在する。アブディン氏は、中東の周辺地域に位置するスーダン 共和国を事例に、現政権が、アラブの春の同国への波及を防止するためにどのような 戦略をとってきたかを、スーダンを取り巻く内部的、外部的情勢をもとに講演した。 特に印象的だったのは、「スーダンは過去に民主化とその挫折の経験を持っているた め、民主化に対する幻想を持っていない」との指摘だった。 2時間程の講演に続き、座談会と質疑応答が行われ、30人を超える参加者のなかから たくさんの質問があった。「イスラム国における法の思考とその正当性はどのような ものなのか?」「イスラム国の裁判はだれに対しての裁判であり、非イスラム教徒は どのように扱われるのか?」「イスラム国はいったい何を目指し、今後どのように展 開すると予測されるのか?」などイスラム国に対する質問が多く、関心の高さを感じ させられた。その他、「なぜ一般の人が巻き込まれるのか?」「どのような教えに基 づいてその行動が取られるのか?」などとイスラムの本質に迫る質問も多数あった。 限られた時間のなかで、これらの質問に対して問題を掘り下げた議論を展開すること はできなかったが、この3時間に亘った講演と座談会で共通認識として共有すること ができたのは「現代世界で起きているイスラム世界あるいはイスラムと関連する様々 な問題は単なる宗教的な問題ではなく、政治、経済、国際関係など様々な要素の絡み 合いの中から生じた複雑な問題」というものである。 今後とも、特に日本では、より正しく妥当な理解を得るために、SGRAカフェのような 客観的な情報発信の場が必要とされている。 当日の写真は下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/photos/ ------------------------------------- <M. ジャクファル・イドルス  M. Jakfar Idrus> 2014年度渥美国際交流財団奨学生。インドネシア出身。ガジャマダ大学文学部日本語 学科卒業。国士舘大学大学院政治学研究科アジア地域研究専攻博士課程後期に在学 中。研究領域はインドネシアを中心にアジア地域の政治と文化。「国民国家形成にお ける博覧会とその役割-西欧、日本、およびインドネシアを中心として?」をテーマに 博士論文執筆中。 ------------------------------------- 【2】SGRAフォーラムへのお誘い(再送) ■「アジア経済のダイナミズム---物流を中心に」 下記の通り第14回日韓アジア未来フォーラム/第48回SGRAフォーラムを開催します。 参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡くださ い。 日時:2015年2月7日(土)午後1時30分〜午後4時30分 会場:国立オリンピック記念青少年総合センター国際交流棟 国際会議室 http://nyc.niye.go.jp/category/access/ 申込み・問合せ:SGRA事務局 電話:03-3943-7612 Email:sgra-office@aisf.or.jp <プログラム> 【基調講演】「アジア経済のダイナミズム」 榊原英資(さかきばら えいすけ:インド経済研究所理事長・青山学院大学教授) 【報 告 1】「北東アジアの多国間地域開発と物流協力」 安 秉民(アン・ビョンミン:韓国交通研究院北韓・東北亜交通研究室長) 【報 告 2】「GMS(グレーター・メコン・サブリージョン)における物流ネットワー クの現状と課題」 ド・マン・ホーン (桜美林大学経済・経営学系准教授) 【休  憩】  【自由討論】 進行及び総括:金雄煕(キム・ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授) 討論者:上記発表者、指定討論者(渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究 者)、一般参加者 ミニ報告:「アジア・ハイウェイの現状と課題について」   李鋼哲(リ・コウテツ、北陸大学未来創造学部教授) *詳細は、下記リンクをご覧ください。 ちらし http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/nikkan14chirashi.pdf プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/nikkan14programJ.pdf ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/14_2.php ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Miyuki Ota “To Choose — Some Thoughts After Participating in SGRA China Forum #8”

    ************************************************** SGRAかわらばん551号(2015年1月15日) 【1】エッセイ:太田美行「選ぶ」   −第8回SGRAチャイナ・フォーラム−に参加して− 【2】新刊紹介:「現代高校生の学習と進路」 【3】SGRAフォーラムへのお誘い(2月7日 東京)   「アジア経済のダイナミズム---物流を中心に」 ************************************************** 【1】SGRAエッセイ#445 ■太田美行「選ぶ−第8回SGRAチャイナ・フォーラム−に参加して−」 これだけ近い国だというのに中国へ行くのは初めてである。そういう訳で空港からの タクシーの中では念願の中国をよく見ようと、ひたすら車窓に張り付いていた。大陸 の広さを感じた。何よりも建物の一つひとつが大きく、隣の建物との間が広い。そし て道路はひたすら真っすぐだ。東京に生まれ育った身としてまず感じたのがこの空間 感覚の違いである。ここから中国の人たちとの間に何となく感じる感覚の違いの背景 に納得する。フォーラム会場の中国社会科学院文学研究所から天安門まで官公庁が並 ぶ、中国で最も広いであろう通りを歩いた時は都を訪れる遣隋使はたまた遣唐使の気 分で、「威容」が与える心理的効果についてしばし考えた。こうして私の中国訪問と チャイナ・フォーラムは幕を開けた。 第8回チャイナ・フォーラム初日の中国社会科学院では佐藤道信先生が「近代の超克 −東アジア美術史は可能か−」で「ヨーロッパ美術史」が存在するのに対して日本、 中国・台湾、韓国に同様の広域美術史がなく、一国美術史が中心となっている現状と 課題について、木田卓也先生は「工芸家が夢みたアジア:とのはざま で」の講演で中国へ渡った近代日本の工芸家について講演をされ、2日目の清華大学 では「脱亜入欧のハイブリッド:『日本画』『西洋画』、過去・現在」を佐藤先生 が、「近代日本におけるジャンルの成立:工芸家がめざしたもの」で木田先生 が近代日本と中国の美術・工芸のあり様について講演をされた。フォーラムの詳細は 林少陽氏の報告書でご覧戴いたと思うので、ここでは私がフォーラム及び参加者との 交流で感じたことを、広域史を中心にご紹介したい。 フォーラムは近代日本と中国、東アジアの美術・工芸のあり様と関わりを丁寧に、そ して学術的に掘り起こし、整理していくものだった。私たちが当たり前にとらえてい る美術史が当時の時代背景と(恐らく)必要性や気運によってどのように「作られて いった」のかを佐藤先生は「自律と他律の自画像」という言葉を用いながら、木田先 生は工芸家の足跡をたどりながら、それぞれ明らかにした。 歴史というものは事実、起きたことの単なる集合体ではなく、どの「事実の集合体」 を掘り起こして、どの角度から光を当てるか、それをどのように取り扱っていくのか の意図によって異なる意味をもってくる。その観点からすると今回のフォーラムで は、多くの事柄から「東アジア美術史」、「広域史」、「影響し合う」を選び、未来 に対して前向きな意欲が感じられる発表と議論の場だった。一方で佐藤先生は「新し い基軸を作ることは新しい誤解を作ることになるのかと思う(こうした研究をするの は)自分がどこに立っているのか知りたい、それだけ」と語る。佐藤先生の指す「新 しい誤解」への懸念はよくわかるものの、ある基軸を知ることで自分を取り巻く世界 の構成が、成立の過程が、見えてくる。ひとつの基軸を知ることは他の基軸を感じ取 る手がかりとなる。だから私はこの新しい基軸を積極的にとらえたい。 10年以上も前に「ワールド・ミュージック」が流行していた頃、確か音楽家の坂本龍 一が雑誌の対談か何かで「今のワールド・ミュージックを語ると沖縄民謡のような民 族音楽を語ることになってしまい、ワールドではなくなってしまう」という趣旨のこ とを言っていたのを思い出した。確かに当時彼が発表した音楽は沖縄民謡のアレンジ 曲だった。同じように広域史を論じると自国史や「個」はどうなるのだろう。実際そ の点への心配の声が会場にはあった。しかし広域史を語ることは個や独自性を否定す るものではないはずだ。独自性とは何か。人で考えた場合、個人の性質や能力、教 育、経験の積み重ね、取り巻く環境とその歴史(国家だけでなく家族、友人、民族も 含む)などから育まれ、磨かれたものではないか。ならば他との関わり(広域史)の中 にある自己(自国史)を見出し、自己(自国史)の中に他(広域史)を見出すことはごく当 たり前のことだ。自分の立っている場所を検証し続け、考えることこそが必要であ る。 もし自分の頭で考え物事を選ぶことをやめたら、すべてが曖昧なまま流されてしまい かねない。私たちは考え、掘り出し、そして選ぶ。その先にあるのが未来だ。何かを 選ぶ時点で既に自らの態度を表明しているともいえないか。「東アジア美術史」、 「広域史」、「影響し合う」を選ぶのは「影響し合う」未来を前向きなものにしたい からである。一見すると今回の講演は学術的で地味なものだろう。しかし、とかく考 証の怪しげな歴史小説やドラマが溢れ、熱気を帯びた雰囲気や流れに足元をすくわれ かねないような昨今、一つひとつを丁寧に掘り起こし、検証しつつ事実を浮かび上が らせることには大きな意味がある。 講演後の質問では少なからず論点から外れたというか、一足飛びのものがあったり、 若い日本研究の学生と話していて意外にも現代日本の作家が読まれていないことに驚 いたこともあった。(中国にも多数いるという村上春樹ファンはどこにいるのだろ う?) それも事実なら、会場に大勢の学生が来てくれたこともまた事実だ。彼らの中 に今回のフォーラムが種となり、芽吹く日が来ることを願っている。 木田先生は1920〜30年代の「新古典派」を「懐古趣味的な保守反動勢力でなく、新し く東洋趣味的な工芸を作り出そうということを目指していた」、「『日本の近代』 は、いかにあるべきか?、さらには『アジアの近代』はいかにあるべきかという問い が含まれていたと思われます」と語る。その頃の日本が発信する「東洋」と今の日本 や他国がいう「東アジア(あるいは東洋)」では異なる点は多いだろう。だからこそ 日本からだけでなく、その他の国から、人からの「東アジア広域史」を論じる声を聞 き、共に今と未来とを選びたい。 林少陽氏の第8回チャイナ・フォーラム報告は、下記リンクよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/news/_8sgra.php --------------------------------------- <太田美行☆おおた・みゆき> 東京都出身。中央大学大学院 総合政策研究科修士課程修了。シンクタンク、日本語 教育、流通などを経て2012年より渥美国際交流財団に勤務。著作に「多文化社会に向 けたハードとソフトの動き」桂木隆夫(編)『ことばと共生』第8章(三元社)2003 年。 --------------------------------------- 【2】新刊紹介 SGRA会員で昭和女子大学准教授のシム チュン・キャットさんより共著書をご寄贈い ただきましたので、ご紹介します。 ■「現代高校生の学習と進路—高校の「常識」はどう変わってきたか?—」 編著者:樋田大二郎・苅谷剛彦・堀健志・大多和直樹 発行所:学事出版 発行日:2014年12月10日 ISBN: 978-4-7619-2094-4 C3037 http://www.gakuji.co.jp/book/978-4-7619-2094-4.html かつての高校生は学歴主義と「努力は報われる」という努力信仰が外発的動機づけと なって学習が奨励された。また、今よりも高校階層構造が強固で、生徒は進学した高 校の位置づけ(ランクと学科)に応じた学習と進路形成を行った。しかし、少子化や 多様化、学力観の変化の波にさらされて、高校は劇的に変わった。生徒は今、内発的 に動機づけられ、多様な高校生活を送っている。 高校や高校生の意識はどう変わってきたのか。30年のデータを元に、政策の影響、高 校生自身の成績、保護者や学校の意識など多様な切り口で迫る。 【3】SGRAフォーラムへのお誘い ■「アジア経済のダイナミズム---物流を中心に」 下記の通り第14回日韓アジア未来フォーラム/第48回SGRAフォーラムを開催します。 参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡くださ い。 日時:2015年2月7日(土)午後1時30分〜午後4時30分 会場:国立オリンピック記念青少年総合センター国際交流棟 国際会議室 http://nyc.niye.go.jp/category/access/ 申込み・問合せ:SGRA事務局 電話:03-3943-7612 Email:sgra-office@aisf.or.jp <プログラム> 【基調講演】「アジア経済のダイナミズム」 榊原英資(さかきばら えいすけ:インド経済研究所理事長・青山学院大学教授) 【報 告 1】「北東アジアの多国間地域開発と物流協力」 安 秉民(アン・ビョンミン:韓国交通研究院北韓・東北亜交通研究室長) 【報 告 2】「GMS(グレーター・メコン・サブリージョン)における物流ネットワー クの現状と課題」 ド・マン・ホーン (桜美林大学経済・経営学系准教授) 【自由討論】 進行及び総括:金雄煕(キム・ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授) ミニ報告:「アジア・ハイウェイの現状と課題について」    李鋼哲(リ・コウテツ、北陸大学未来創造学部教授) *詳細は、下記リンクをご覧ください。 ちらし http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/nikkan14chirashi.pdf プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/nikkan14programJ.pdf ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/14_2.php ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Invitation to SGRA Forum “Dynamism of Asian Economy” (Feb. 7, Tokyo)

    ******************************************** SGRAかわらばん550号(2015年1月7日)    あけましておめでとうございます。    今年もよろしくお願いします。 ******************************************** ■SGRAフォーラム「アジア経済のダイナミズム---物流を中心に」へのお誘い 下記の通り第14回日韓アジア未来フォーラム/第48回SGRAフォーラムを開催します。 参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡くださ い。 日時:2015年2月7日(土)午後1時30分〜午後4時30分 会場:国立オリンピック記念青少年総合センター国際交流棟 国際会議室 申込み・問合せ:SGRA事務局 電話:03-3943-7612 Email:sgra-office@aisf.or.jp ● フォーラムの趣旨 渥美国際交流財団関口グローバル研究会と未来人力研究院が共同で、2001年より毎 年、日韓相互に開催するフォーラム。14回目は第48回SGRAフォーラムも兼ねて東京で 開催する。 日本は、交通・物流システム、自然災害への対策、経済発展と省エネルギーの両立、 少子高齢化への対処など、多くの分野において経験や技術を蓄積しており、圧縮成長 を成し遂げてきた韓国の経験やノウハウと共に、東アジア地域における将来の発展や 地域協力の在り方に貴重な手掛かりを提供している。 アジア地域は経済的に実質的な統合に向かっており、インド、中国、ASEAN、そして 北東アジアの経済がダイナミックに連動しながら発展を成し遂げている。本フォーラ ムでは、日韓の交通・物流システムにおける先駆的な経験が、アジアの持続可能な成 長と域内協力にどのように貢献するかという問題意識に立ち、アジア地域で物流ネッ トワークが形成されつつある実態を探り出し、その意味合いを社会的にアピールする ことを目的とする。日韓同時通訳付き。 <プログラム> 総合司会: 平川 均(ひらかわ・ひとし:国士舘大学21世紀アジア学部教授、名古屋 大学名誉教授) 開会の辞: 李 鎮奎(リ ジンギュ:未来人力研究院 理事長、高麗大学経営学部教 授) 【基調講演】「アジア経済のダイナミズム」 榊原英資(さかきばら えいすけ:インド経済研究所理事長・青山学院大学教授) 【報 告 1】「北東アジアの多国間地域開発と物流協力」 安 秉民(アン・ビョンミン:韓国交通研究院北韓・東北亜交通研究室長) 【報 告 2】「GMS(グレーター・メコン・サブリージョン)における物流ネットワークの現状と課 題」 ド・マン・ホーン (桜美林大学経済・経営学系准教授) 【休  憩】  【自由討論】 進行及び総括:金雄煕(キム・ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授) ● ミニ報告:「アジア・ハイウェイの現状と課題について」    李鋼哲(リ・コウテツ、北陸大学未来創造学部教授) 討論者:上記発表者、指定討論者(渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究 者)、一般参加者 閉会の辞:今西淳子(いまにし じゅんこ:渥美国際交流財団常務理事) *詳細は、下記リンクをご覧ください。 ちらし http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/nikkan14chirashi.pdf プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/nikkan14programJ.pdf ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/14_2.php ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Lin Shaoyang “SGRA China Forum #8 Report”

    ************************************************************* SGRAかわらばん549号(2014年12月24日) 【1】林 少陽「第8回SGRAチャイナ・フォーラム報告」    『近代日本美術史と近代中国』 【2】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(最終)」 ★☆★今年もSGRAかわらばんをお読みいただきありがとうございました。    新年は1月7日(水)より配信いたします。★☆★ ************************************************************** 【1】活動報告 ■ 林 少陽「第8回SGRAチャイナ・フォーラム『近代日本美術史と近代中国』報告」 2014年11月22日〜23日、第8回SGRAチャイナ・フォーラムが北京で開催されました。 今回のテーマは日本美術史です。22日の講演会は中国社会科学院文学研究所と、23日 の講演会は清華大学東亜文化講座との共催でした。清華大学は北京大学のライバルで あり日本でも知られていると思いますが、中国社会科学院は「知る人ぞ知る」かもし れません。中国社会科学院は、国家に所属する人文学及び社会科学研究の最高学術機 構であり、総合的な研究センターです。中国社会科学院文学研究所の前身は北京大学 文学研究所であり、1953年の創立です。1955年に中国社会科学院の前身である中国科 学院哲学社会科学学部に合併されました。現在115人の研究員がいて、そのうち上級 研究員は79名ということです。 今回、日本から参加してくださった2名の講師は、佐藤道信氏(東京藝術大学芸術学 科教授)と、木田拓也氏(国立近代美術館工芸館主任研究員)です。佐藤氏は日本美 術史学の代表的な研究者の一人であり、木田氏は日本の工芸史の研究者として活躍し ていらっしゃいます。木田氏が2012年に実施した「越境する日本人——工芸家が夢見 たアジア1910s〜1945」という展覧会が、今回の北京でのフォーラム開催のきっかけ となりました。 まず、11月22日の講演会についてご紹介します。佐藤氏の講演題目は「近代の超克− 東アジア美術史は可能か」、木田氏は「工芸家が夢みたアジア:とのは ざまで」でした。 佐藤氏は、「美術」「美術史」「美術史学」をめぐる制度的な研究をしてきた研究者 です。その目的は、美術の今がなぜこうあるのか、現在の史的位置を考えることにあ りました。最初は、「日本美術(史)観」をめぐる日本と欧米でのイメージギャップ について研究し、大きな影響を与えた研究者ですが、この十数年は、欧米と東アジア における「美術史」展示の比較から、その地理的枠組の違いと、それを支えるアイデ ンティーの違いについて考えてきました。欧米の国立レベルの大規模な美術館では、 実質「ヨーロッパ美術史」を展示しているのに対して、東アジアでは中国・台湾、韓 国、日本、いずれの国立レベルの博物館でも、基本的に自国美術史を中心に展示して いることを指摘しました。 つまり、実際の歴史では、仏教、儒教、道教の美術や水墨画が、広く共有されていた にもかかわらず、東アジアの美術史ではそれが反映されていません。広域美術史を共 有するヨーロッパと、一国美術史を中心とする東アジアという違いがあります。その 枠組を支えるアイデンティティーとして、大きく言えば、キリスト教美術を中軸とす る「ヨーロッパ美術史」は、キリスト教という宗教、一方の東アジア各国の自国美術 史は、国家という政治体制に、それぞれ依拠していることを佐藤氏は問題としていま す。佐藤氏は1990年代以来、近代日本の「美術」「美術史」「美術史学」が、西洋か ら移植された「美術」概念の制度化の諸局面だったという前提で、「日本美術史」 が、近代概念としての「日本」「美術」「歴史」概念の過去への投射であり、同様に 日本での「東洋美術史」も(あくまで日本での、です)、じつは近代日本の論理を 「東洋」の過去に投射したことを、いままでの著書で明らかにしてきました。 本講演において、佐藤氏は、19世紀の華夷秩序の崩壊後、ナショナリズムを基軸に自 国の歴史観を構築してきた経緯を指摘しつつ、分裂した東アジアの近代が、歴史とそ の実態をも分断してきたのだとすれば、実態を反映した「東アジア美術史」の構築 は、東アジアが近代を超克できるかどうかの、一つの重要な課題であると提起しまし た。そして、広域の東アジア美術史を実現するために、「自国美術史」の相互刊行、 広い視野と交流史的、比較論的な視点、知識の樹立、さらには、イデオロギー(東西 体制の両方)、大国意識、覇権主義、民族主義、汎アジア主義的視点などによる解釈 の回避、国際間でのコミュニケーションと他者理解のしくみの確立、などを提言しま した。 木田氏は、講演「工芸家が夢みたアジア:とのはざまで」において、ま ず自分自身がこれまでに関心を持って取り組んできた工芸史、デザイン史という領域 において、19世紀後半のジャポニスム、アール・ヌーヴォー、アール・デコ、モダニ ズムという流れにおける日本と西欧との文化交流に関する研究は盛んに行われている のに対して、それとは対照的にこの時代の日本と中国との関係については、あまり関 心が払われていないことを反省しつつ、日本人の工芸家と中国との関連を紹介しまし た。木田氏はまず、日本の20世紀を代表する、国民的洋画家といえる梅原龍三郎の、 1939年から43年までの計6回の中国訪問を紹介しました。戦争中にも関わらず、梅原 は北京が最高であると記述しており、この時代の美術史の再評価の必要性を指摘しま した。 そして、京都の陶芸家の2代真清水蔵六が、1889年(明治22)に上海と南京の間にあ る宜興窯に渡って、そこにおよそ1年間滞在して作陶を行ったことや、1891年(明治 24)年に景徳鎮を訪問したこと、建築家で、建築史家でもあった伊東忠太が、1902年 から1905年まで、約3年かけて中国、ビルマ、インド、トルコを経て、ヨーロッパへ とユーラシア大陸を横断したこと、また1910年の日韓併合前から建築史家の関野貞が 朝鮮半島で楽浪遺跡の発掘に関わっていたことなどを紹介しました。そして木田氏 は、中国からの古美術品の流出と、日本におけるコレクションの形成との関係につい て紹介し、日本に請来された中国や朝鮮半島の美術品が日本の工芸家の作風に影響を 与えたことを報告しました。 講演会には、社会科学院の研究員だけでなく、他の大学の研究者や大学院生も含む約 50名の参加者が集まりました。中国社会科学院文学研究所の陸建徳所長が開会挨拶を してくださいました。講演の後、とても密度の高い質疑と討論で盛り上がり、初日の 講演会は大成功でした。 翌11月23日の講演会はさらに盛況でした。清華大学の会場は40名しか座れない会議室 でしたが、実際80名を越す参加者があり、一部は立ったままで講演会を聴講していま した。講演会を助成支援してくれた国際交流基金北京日本文化センターの吉川竹二所 長や、中国社会科学院日本研究所の李薇所長も出席してくださいました。 佐藤氏の今回の講演題目は「脱亜入欧のハイブリッド:『日本画』『西洋画』、過 去・現在」であり、木田氏の講演題目は「近代日本におけるジャンルの成立: 工芸家がめざしたもの」でした。佐藤氏の講演に対しては筆者が、木田氏の講演に対 しては清華大学美術学院准教授の陳岸瑛氏が中国美術史研究者の立場からコメント し、また清華大学歴史学科の教授である劉暁峯氏がたいへん興味深い総括をしまし た。 紙幅の関係上2回目の両氏の講演についてご紹介できないですが、今回の出席者の積 極的な参加ぶりは感動的でした。また会場からの討論の熱さも忘れがたいものです。 参加者は美術史関係の研究者と大学院生のほか、文学研究者、歴史研究者も多いとい う印象を受けました。その意味において高度に学際的な会議でもあったと思います。 今回のふたつの講演会は高度な専門性を持つが故に大成功したと思いますが、日本研 究と中国研究が対話する重要な機会でもあることを実感しました。 フォーラムの写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/photos/ フォーラムのフィードバックアンケートの集計結果は下記リンクよりご覧いただけま す。 http://www.aisf.or.jp/sgra/info/china8feedback.pdf ----------------------------- <林 少陽(りん しょうよう)Lin Shaoyang> 1963年10月中国広東省生まれ。1983年7月厦門大学卒業。吉林大学修士課程修了。会 社勤務を経て1999年春留学で来日。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻 博士課程、東大助手、東大教養学部特任准教授、香港城市大学准教授を経て、東京大 学大学院総合文化科超域文化科学専攻准教授。学術博士。著書に『「修辞」という思 想:章炳麟と漢字圏の言語論的批評理論』(東京:白澤社、2009年)、『「文」與日 本学術思想--漢字圈・1700-1990』(北京:中央編訳出版社、2012年)、ほかに近代 日本・近代中国の思想と文学ついての論文多数。 ----------------------------- 【2】特別寄稿 SGRAエッセイ#444 ■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(最終)」 3. 多くの大学の中の変な雰囲気 3.2 ほとんどが低レベルの繰り返しの研究 近年、「インデックス」学術評価システムの導入と推進の結果、大学スタッフ(特に 教授)の評価は、論文数だけが必須条件として強調され、社会的、経済的効果を問わ ず、論文のレベルは掲載された雑誌のランクで定義されるようになった。そのため、 迅速に結果がだせる科学研究のテーマを容認する雰囲気が作られた。中国の学者の多 くが高リスク、長時間の基礎研究に消極的であるだけではなく、数値化評価システム に対応するため意図的に、短期的な効果を求めるようになっている。さらに、学術詐 欺、研究偽造、不正競争、ゴミ論文などの出来事はエンドレスで、国全体で大量の低 レベルの繰り返しの研究が蔓延し、創造的な新規のテーマを追究しようとする土壌を 奪ってしまった。現在の大学では、虚偽、誇張を軽蔑し、孤独な研究に耐える人たち の姿を見ることがますます困難になってきている。単純な「指標化」学術評価システ ムが中国の科学研究成果と投資のバランスを劣化してしまい、間違った道へ滑り落ち てしまったと言える。 一言で言うと、社会生活中のあらゆる不正や醜い行為を大学キャンパスの中にも見い だすことができる。本来、清潔で道徳的であるべき大学キャンパスは、大分前に消失 してしまった。大学は科学的精神、人間性、人格形成などの面から大学生に対して教 育を行うべきなのに、卒業証書だけを重視する風潮が大学教育を本来の目的から乖離 させ、人格育成や人材養成を無視するだけではなく、「金銭万能」を自ら実践し、政 府の推奨するGDP重視の市場経済に入ってしまったと思わざるを得ない。そこは大学 卒業証書のバブルで、大学レベルの教育を受けたとしても、ほんの少しの専門知識を 持つ以外は、教育を受けなかった人とあまり変わらない。 いずれにしろ、このような状況であるから、大学教育及びその生産品(大学生)は、 今までにはなかった道を進まざるを得ない。中国の大学は、ますます行政化、官庁 化、もしくはヤクザ化しているため、今の大学の価値観は、本来のあるべきものとは かなり異なってしまっている。大学を含むあらゆる教育、研究機関における、評価、 昇進、招聘、採用などの場合、助手の決定からアカデミシャン(つまり中国科学院、 中国工程学院のメンバー)の選抜まで、皆「評議員」(つまり決定権を持っている 人)と「連絡する」ことが必須条件になっている(この評議員達に賄賂をしなけれ ば、本人は安心できなくなっているそうだ)。皆がそうしているのに自分だけがしな ければ、間違いなくその人は失敗する。こんな雰囲気の中で、学術機関が低レベルの 繰り返しの研究をするのは不自然ではない。 3.3 研究を産業化し、大学では「研究リッチ」族が新興 ほとんどの大学では、研究ファンド(資金)を獲得できれば、その一部を申請者が 「流用」することができる(政府からの資金の場合は10%で、企業からの場合は40% ということもあるそうだ)と言われている。そのため、中国では、研究活動を産業と して運営し、研究で「リッチ」になった一族が新興している。一部の研究者が、この ような「豊かになれる道」をひた走っているのも事実である。メディアの報道によれ ば、流用した研究資金で自家用車やマンションの購入もできた学者もいるようだ。 「研究」という名目でリッチになる人々がにわかにでてきて、大勢の研究者が、研究 活動及び論文執筆をも「金持ちになれる産業」とみなすようになってしまった。さら にもっと酷いのは、大学が「博士号」の授与権を利用して、政府の関係者と「プロ ジェクトのチャンス」、「企業の協力プロジェクト」などを交換し、学術活動を丸ご と功利に向かって行うようになり、学術腐敗は常態化してしまった。今、学術詐欺、 研究偽造、不正競争、賄賂流行などは中国の大学で普通の現象であるが、さらに不思 議なことに、近年、数多くの大学が、政府の統計を満足させるために、偽の卒業生の 「就職率」を作ることもやり始めた。すなわち卒業する時、卒業生が就職の「契約 書」(偽にしろ、真にしろ)を本人の学校に出して見せなかったら、その人は卒業証 明書、学位証明書などを貰えないのだ。言い換えれば、大学の実際の「就職率」は政 府の統計報告書よりかなり低いのである。 終わりに 如何なる社会でも未来の発展は、若者に依存している。有用な人材を親の世代が育成 しなければ、次の世代の繁栄は幻想となってしまうのである。 中国の今の大学生は小、中、高校時代に試験指向教育を強制的に受けさせられ(だか ら今の学生の大半が勉強嫌い)、大学時代には大量のクラスメートと付き合うように なった(学生を大量に募集したから)ため、本人の意欲から学習環境まで、しっかり と勉強できる場所とはいいがたい。特に生命理科系の学生は実験/実習が良くできな かったから、習得した知識が非常に限られてくる。さらにこの時代の大学生は、幼い 頃から両親の溺愛(甘やかし)、放任、社会の悪戯容認のもとで育てられたため、言 い換えると教育の躾(しつけ)がなかったため、これらの学生が、どの様な人間に なっているのか、普通の人は想像できないと思う。 何故、今日の大学生がこんなに問題ばかりなのか? 怠け、贅沢、礼儀の欠如、エゴ イズム、人格の低下……。本質的な問題を考えてみると、その原因・責任は両親と 初・中等教育の学校にあると思わざるを得ない。不思議なことは、現在の大学生の親 達は一般的に言うと1950 年代から1960 年代が終わるまでの期間に生まれた人々で、 貧乏な生活から豊かな生活まで経験した大人なのに、何故自分の子供の教育の面でこ のように集団的に失敗したのか?つまり、この世代の人々は、自分の両親からきちん とした教育(躾)、ケアを受けたと思うが、どうして自分が自分の子供に対して親の まねをし、きちんと子供を導かなかったのか?!まとめて言うと、習慣がだめ、教育 が下手、人口が多いという社会的な要素の組み合わせで、大学に合格した人間も育成 できないのに、優秀な人材を養成するなんて可能なのだろうか。(完) 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生」のバックナンバーは下記よりお読みいただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_521.php --------------------------------------------------- <奇 錦峰(キ・キンホウ) Qi Jinfeng> 内モンゴル出身。2002年東京医科歯科大学より医学博士号を取得。専門は現代薬理 学、現在は中国広州中医薬大学の薬理学教授。SGRA会員。 ************************************************** ● SGRAカレンダー ○第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/14_2.php ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Li Kotetsu “Is Japan-China Relation Really the Worst?”

    ************************************************************* SGRAかわらばん548号(2014年12月17日) 【1】エッセイ:李 鋼哲「日中関係は本当に最悪なのか」 【2】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その7)」 【3】第6回SGRAカフェへのお誘い(最終案内)   「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(12月20日東京)   ☆当日飛び込み参加も受け付けます☆ ************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#442 ■ 李 鋼哲「日中関係は本当に最悪なのか?」 金沢市内のホテルで、去る12月7日(日)に標記のテーマでシンポジウムが開かれた。 24年前に設立された環日本海国際学術交流協会が主催したものである。2年以上途絶 えた日中首脳会談で日中関係が「最悪」という世論に日本国民が当惑するなか、実態 の日中関係はそこまで悪くないというメッセージを市民に発信する試みであった。10 月に私がこの協会の理事として提案し開催にこぎつけた。経済貿易、環境協力、人的 交流の3つの分野から日中両国間の実情について報告し、活発な議論が交わされた。 幸い、11月10日に安倍晋三首相が北京で開催されたAPEC首脳会議へ参加したことを きっかけに、中国の習近平主席との2年半ぶりの首脳会談が実現し、凍り付いていた 首脳外交が再開された。そのお陰でこのシンポジウムが意図した趣旨と内容が市民に 受け入れやすい雰囲気になったように見受けられた。 それに先立ち、11月7日に筆者はNHK国際放送局の電話インタビューを受けた。今度北 京でのAPEC首脳会議の際に日中首脳会談が実現するか、そして首脳会談ではどのよう な事が議論されるか、という問題に3分間中国語で答えた。実は数日前からNHKの要望 で発言を準備していたのだが、日中首脳会談が実現されるかどうかは予測できない状 況であった。それでも日中両国がおかれている現状や国際情勢を分析し、大胆に発言 することを決めた。インタビュー収録が放送される予定は午後6:00〜6:15時だった が、幸いなことに、その数分前に日中首脳会談が決まったというニュースがラジオで 流れた。ある意味ではラッキーだった。 その発言要旨を簡略に紹介する。 今度、日中首脳会談が実現される可能性は大きいと思います。最近の動静を見ると、 APEC首脳会合を成功裏に開催することにより、中国の存在感を世界にアピールするこ とを目標に、中国政府は積極的な準備を進めているように見受けられます。 中国にとっては、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加できない現状を考え ると、APEC機能強化やアジア太平洋自由貿易構想(FTAAP)を強く訴えることが、こ の地域における米国との駆け引きの重要なポイントだと、私は考えています。しか し、米国と競争するためにも日中関係が硬直したままでは、中国にとって不利になる ことは明らかです。福田元首相が最近訪中した際にも習近平国家主席と会談しました が、そのときに習氏の発言では、アジア地域協力が重要であることを強調しているの です。アジア地域協力において、中国側にとって最も役立つ国は日本にほかなりませ ん。 一方、日中間では歴史認識問題や領土問題がネックであり、打開される見込みは立っ ていませんが、両国の領土問題の議論も山場を超えて、冷静に議論する段階に入りつ つあり、歴史認識問題でも安倍首相が今年8月15日に靖国神社参拝を見送ったこと で、中国などに一歩譲歩したと中国政府は判断しているでしょう。 以上の状況から見ると、中国首脳が日本首脳と会談することで中国国内世論に強く反 対される可能性は低くなりました。最近、中国国務院政策研究室の局長などが20日間 ほど日本全国を視察し、帰国後の報告書「日中両国の発展格差を深刻に認識すべき」 という長編論文を「人民論壇」で発表し、日本は先進的な文明国であり、中国はまだ まだ日本に勉強することがたくさんあると強く訴えました。これも日中政治対話のた めの世論形成の一つだと見受けられます。 以上は、インタビューの概要だが、本題に戻って「日中関係は本当に最悪なのか?」 について、シンポジウムでの報告内容を簡潔に取り上げる。 その前に、日本国民は日中関係についてどのように感じているのかについて紹介しよ う。内閣府が11月23日に発表した「外交に関する世論調査」で、中国に「親しみを感 じない」と回答した人が80.7%(前年比0.1ポイント増)となり、昭和53(1978)年の調 査開始以来、過去最高となったことが分かった。韓国への親近感も低く、日本と両国 との最近の関係冷え込みを反映した結果となった。日中関係について「良好だと思わ ない」は91.0%だった。中国で反日デモが相次いだ昨年の調査(92.8%)に次ぐ過去2 番目の高さだった。 このようなデーターが発表されると、その影響で日本国民の対中国感情はさらに悪化 するのではないかと危惧する。世論が世論を呼び、実態とはかけ離れた対中国観が日 本で蔓延しているのである。また、中国での世論調査結果を見ても日本と似たような 情況にある。 一方で、今年の中国人の日本観光客は過去最高(1-10月で200万人を突破)を記録し ていると報道されている。日本にとって最大の貿易依存度の国は紛れもなく中国であ る。日本企業の対中国投資が今年減少したと言っても、2万3千社の日系企業が中国市 場でビジネスを展開しているし、撤退する企業はわずかである。また、日系企業で働 く中国人従業員は1千万人を超えている。日中関係が「最悪」という状況と、実際の 関係がここまで相互浸透している実態をどのように見るべきか。 私のシンポジウムでの発言趣旨を紹介する。 21世紀に入ったここ十数年間、日中韓関係は摩擦が漸増してきた。これは、戦後の枠 組みを変える大きな転換期に入っていることを示す。戦後長く維持されてきた「特殊 な関係」としての日中関係、日韓関係は、21世紀における脱戦後的な「普通の関係」 に転換しつつある。 日中関係の構造転換の全体的な原因は、小泉政権時の東アジア外交に示されている日 本の政治システムの転換、中国の経済力や軍事力の急成長、日米同盟の強化、日中摩 擦の激化、などである。日中関係をめぐる国際環境が変わり、また日本と中国の位置 づけと立場が変わり(GDPで見た国力の逆転)、両国の摩擦度が「友好協力」の要素 を超えたからである。かつての「友好協力」の背景は、世界第2の先進国になって心 に余裕がある「強い日本」と、改革・開放政策で経済発展が至上命題で、そしてその ために謙虚に日本の先進的な技術と経験に学びたい「弱い中国」であった。 しかし、そのような立場が逆転したのである。「失われた20年」で「自信喪失の日 本」、急速な高度成長で着実に大国に浮上した「驕る中国」という構図になった。一 方では、このような立場の逆転に心の準備ができずに「アジアの盟主」という意識が 抜けない日本、他方では、大国の地位は回復したものの、まだ発展途上国の地位から 脱却できていない「驕り」と「弱者意識」または「被害者意識」が交錯する中国があ る。これが日中両国の葛藤が生じやすい「不可避な歴史的な過渡期」としての現実だ と筆者は考えている。 しかしながら、現代の国家間関係を判断する上で、古典的な外交関係の思考から「新 思考」に頭を切り換えないと我々は思考停止に陥ってしまう。21世紀における経済の グローバル化の深化に伴い、国境の壁が低くなり、国家間の関係および外交は、古典 的な政府中心の「一元的外交」から、現代的な政府、財界、地方自治体、NGO(NPO)な ど民間も含めた「多元的外交」時代に転換しつつある現実をしっかり把握しなければ ならない。 従って、国家間の関係を判断する上で、視点またはパラダイムを転換しなくてはなら ない。つまり、政府間関係、あるいは首脳間関係だけに着目して国家間関係の全体を 判断するのは時代錯誤にほかならない。 日中関係を見る上でも同様であり、首脳間関係、政府間関係、そして経済・文化・人 的な交流関係(企業、自治体、NGO)など総合的な視点が不可欠である。そのような 視点で見た日中交流関係の実体については次の機会に報告する。 --------------------------------- <李 鋼哲(り・こうてつ)Li Kotetsu> 1985年中央民族学院(中国)哲学科卒業。91年来日、立教大学経済学部博士課程修 了。東北アジア地域経済を専門に政策研究に従事し、東京財団、名古屋大学などで研 究、総合研究開発機構(NIRA)主任研究員を経て、現在、北陸大学教授。日中韓3カ 国を舞台に国際的な研究交流活動の架け橋の役割を果たしている。SGRA研究員。著書 に『東アジア共同体に向けて——新しいアジア人意識の確立』(2005日本講演)、そ の他論文やコラム多数。 --------------------------------- 【2】特別寄稿 SGRAエッセイ#442 ■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その7)」 --------------------------------- SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらばん で配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、2014 年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたので、数 回に分けてご紹介しています。 --------------------------------- 3. 多くの大学中の変な雰囲気 3.1 2種類の「無駄論」 次に大学の中身を覗いて見ましょう。近年、中国各地の大学が「研究型大学を建設し よう」という目標を掲げ、「研究を大事に、教育を軽く」という教員評価をするよう になったために、皆「研究、開発、論文」などに全力を尽し、直接的な学生教育を軽 視するのが一般的な現象となっている。教官たちは本業(講義)に興味が薄く、地位 の高い教員ほど教壇に立たない。若い教師たちを代わり教壇に立たせ、教授は、研究 指導の名目で後ろでブラブラしたり、行政的仕事、及びエンドレスな会議で時間を費 やしたりしていることが意外に多いようだ。 政府の教育管理部門は「教育の質量を保つためには、まず数量を保証しよう」という 政策を示したから、人々はこの政策を「大学の本科教育の高校化、修士教育の大学 化、博士教育の修士化」していると冗談の種にしている。学術研究の不正行為や汚 職、講義や監督の担い手の疲労、教授の教育前線からの脱走の黙認、カリキュラム時 間の大幅な短縮等々……大学教育が崩れ去っていると言わざるを得ない状況である。 一方、「勉強は無駄(勉強無用/読書無用)」という愚かな言い方が、最近再び氾濫 し始めたように思う。最近は「知識の単価」が上がり、貧しい人にとって、教育費用 を支払うことがかなり困難になったことと、大学レベルの教育を受けても仕事が見つ からないこと等々の理由から、この「無駄論」が出て来たと思われる。教育の公平性 は、社会の公平の基礎で、教育が公平でなければ社会正義を達成することは出来ない であろう。貧しい家庭の子供たちが貧困のために教育を受けられなくなると、最終的 には、社会は対立的な利益獲得階級と利益臨界階級とに分かれる可能性があると思 う。 他方、大学のキャンパスの中では、近年また「教え無用/教書無用」という思想が流 行ってきている(もう一種の「無駄論」)。その意味は、大学で教育しても(個人に 対して)何の役も立たない、それより研究ファンドを申請して採択されれば偉くな る、或いはSCI論文をたくさん書けば、その本人に非常に役立つという考えで、それ らを支持する体制になってしまっている。これでは、大学では講義をするのが最も意 味のない、もしくはやるべきではない仕事として見られるようになってしまった。 その故、数多くの大学の教員が講義に行きたくない、講義に行っても責任を持って行 わない、質の高い講義をしない。そして、「研究」という名目で、一生懸命に実験室 の外で活動する。例えば研究ファンドの申請が許可されるように誰かに賄賂などをす るとか(しなければ、申請は無理と皆に知られている)、人間関係、人筋、人脈など のために、時間と金銭を費やしていると言われている。 正直に言えば、今の大学の教員の大半は自分のことばかりに「忙しくて」大学生に近 付かない、いわば大学生に人間的なケアを与える暇がない。彼らは「研究リッチ」、 「IF点数」の深い沼に落ちてしまい、「教育」にほとんど気が入らない。このような 状況だから、今日のおかしな大学生を養成した責任の一端は、大学の教員にもあると 言わざるを得ない。結局、大学生が大学教育問題の最大の犠牲者であり、大学の教育 機能が無用化されていると言える。 つづきは下記リンクよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_521.php 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(最終)☆当日飛び込み参加も受け付けます☆ ■「アラブ/イスラームをもっと知ろう:シリア、スーダン、そしてイスラーム国」 SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まり いただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、 「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、シリア出身のダル ウィッシュ ホサムさんと、スーダン出身のアブディン モハメド オマルさんを囲ん で座談会を開催します。 参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせくだ さい。 sgra-office@aisf.or.jp 日時:2014 年12月20日(土)14時〜17時 会場:鹿島新館/渥美財団ホール(東京都文京区関口3-5-8) http://www.aisf.or.jp/jp/map.php 会費:無料 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第6回SGRAカフェ<参加者募集中> 「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php 【2】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/14_2.php ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Xie Zhihai “Whither the (Japanese) Casino Bill”

    ************************************************************* SGRAかわらばん547号(2014年12月10日) 【1】エッセイ:謝 志海「カジノ法案のゆくえ」 【2】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その6)」 【3】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送)   「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(12月20日東京) ************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#440 ■ 謝 志海「カジノ法案のゆくえ」 9月末に始まった国会は、開始早々から閣僚の相次ぐ辞任などにより、法案審議が遅 れた。その中で、遂に審議を断念した案件に統合型リゾート(IR)推進法案(カジノ 法案)がある。安倍首相も経済成長戦略の一環と考え、カジノを解禁にするかどう か、またカジノを含む総合エンターテイメント施設の建設と整備を進めるか、この審 議については国会だけが盛り上がっていて、国民は冷ややか、もしくは興味を持って いないという見方をしているメディアや有識者が多い。 日本にはすでに公営賭博(公営競技すなわち、競馬、競輪、競艇、オートレース)や パチンコがさかんではないかというのが、日本在住の外国人ジャーナリストの視点 で、日本に暮らす外国人も同じ見解だろう。特に、パチンコ*パチスロは約20兆円産 業というのは有名な話だ。カジノ法案について議論する際、賛成派も反対派もこのす でにある公営競技については触れず、統合型リゾートの建設は外国からの観光客を呼 び込める素晴らしい施設となり、日本国民の雇用も増えるなど、壮大だが具体性に欠 けた内容で、経済効果うんぬんと言われても日本国民にはカジノの必要性は伝わらな いのかもしれない。 ではカジノ合法化において、地域振興や経済効果などを試算する経済学者たちはどう 予測しているかというと、カジノ収益は予測できても、ギャンブル依存症の程度、有 害性における社会的費用は試算が困難であるとしている。ここでも公営競技とカジノ 法案は切り離されている。日本には公営競技やパチンコの依存者がどのくらいいて、 どのような犠牲があるか統計サンプルが取れそうなものなのに。カジノ法案を巡って は、カジノ利用に関し、シンガポールや韓国のように国民と観光客を区別するかどう かも論点だが、すでにいるギャンブル好きの日本人がどの程度、カジノに流入するの かさえも推計されていない。 日本政府としては一体どのようなカジノリゾートを目指しているのだろう?安倍首相 は今年シンガポールのカジノへ視察に行かれたそうだし、国会議員らもマリーナ*ベ イ*サンズへ押し掛けているということは、その辺りを目指しているのか。しかし、 アジアにはすでにいくつものカジノリゾートがある。今更後追いしても日本にカジノ 目当ての観光客は来るのだろうか。少なくともアジアに今あるカジノとは差別化した 方が良い気がする。 もし日本が本気で持続可能なIRを目指すのなら、ハリウッド映画が参考になるかもし れない。近年、ラスベガスが舞台の映画では、ラスベガスはもはやカジノの為の場所 として描かれていない。単に気晴らし、バカ騒ぎしに行く所という設定だ。現在のラ スベガスはカジノ無しでも楽しめる仕組みが随所にちりばめられている。例えば、ラ スベガスでしか観られない大物歌手のコンサートやショー。各ホテルは集客の為、部 屋のインテリア、ビュッフェの食事に工夫をこらし、全米や世界で話題のレストラン も出店させる。ニューヨークやロサンゼルスで有名なナイトクラブも入っている。こ れらのエンターテイメント目当てで来た人がカジノもちょっとしてみるかという流れ になっている。コンベンション施設もしっかり整っているのでビジネスで来ている人 も多い。多様な目的の人が集まり、一大ショービジネスタウンとなっている。無論、 このようなオープンで安全なイメージを維持すべくラスベガスにはカジノ場だけでな く至る所に監視カメラが設置されていて、おそらくアメリカ人はその存在に気付いて いるから、無茶をしないのであるが。 日本にラスベガスを作ることを勧める訳では無いが、海外のカジノの好例、悪例を もっともっと研究し、日本に合う持続可能なカジノ施設を含むIRを具体的に示し、何 より日本国民から同意を得られる施設を目指す事に注力すべきだ。国際観光業での経 済利益を狙うだけではIR実現そのものがギャンブルになってしまう。 ----------------------------- <謝 志海(しゃ しかい)Xie Zhihai> 共愛学園前橋国際大学専任講師。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログ ラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期 課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交 流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイトを経て、2013年 4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されてい る。 ----------------------------- 【2】特別寄稿 SGRAエッセイ#441 ■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その6)」 --------------------------------- SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらばん で配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、2014 年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたので、数 回に分けてご紹介しています。 --------------------------------- 次は小、中、高校の責任 今の大学生達の著しい人間性の欠如の理由の一つは、人間社会での共存能力がとても 低いことによると思われる。他の人とうまく交流できない。人間関係、つまり同級 生、同寮生、同校生との関係が希薄なことは、恐らく史上まれなことと思われる。 今の大学生達が大学に入る前の12年間の小、中、高校教育の段階では、面倒を見てく れている両親や祖父祖母以外の他人と付き合うのは、たぶん講義中のクラスメートだ けであり(例えば食事を一緒に作って食べるとか修学旅行など、講義以外の集団活動 は、中国の小、中、高校では殆どない)、本当の社会的な人付き合いということをま だ知らないのだ。しかも唯一朝晩付き合ってきた親たちは世話、譲歩、溺愛……つま り子供にサービスするだけなので、いわば王子様、王女様ばかりを育成してきた。 小、中、高校においては、このような人間で構成されたクラスを、責任を持って指導 しなければならないのだが、問題に気づきながらも教科書を教えることのみに力を尽 くす。責任を感じて躾をしようとした一部の教師は、生徒に罵倒され、殴られたり、 酷いことに殺されたりすることもあったのだ。 大学で寮生活を始めると、高校時代まで続いていた試験の圧力がなくなり、教師や父 母の監視からも遠く離れ、突然、彼らは人生の解放感を抱き、初めて束縛されない自 由の楽しさを謳歌できることを知るのだ。しかし彼らが分かっていないのは、これは 解放ではなく、大人になって自己コントロールが必要な人生が始まるということであ る。ここを理解せず、無秩序に行動し始める。丁度この時期に、いろいろな誘惑(唯 物的な誘い、セクシュアリティ……)で溢れた現代社会の中に放り出され、彼らは人 間の動物的本能の力に勝つことが出来ず、本能のまま生きる。そのため、小、中、高 校の教育は子供に何を教えたのか?という疑問が生じる。この時期の教育は、生き残 ることばかりを教え、真面目な人間になることを教えなかったと言える。 大学の責任 中国の大学には問題がたくさんあるけれど、大学教育と関係のあることについて列挙 する。 1. 大学生募集の「大躍進」vs 学生の質の大暴落 4年間連続して大規模な大学生の募集拡大をした結果、2002年に中国の大学教育の大 衆化(国連の定義では、大学の入学生数が、入学可能である年齢の人口の15%に達す ると、大学レベルの教育が大衆化に達成したと言う)が、国家の「十・五」(第10回 の5年経済目標)目標期日である2010年より8年も早く実現した(17%に到達した)。 このスピードは、同じ期間中の国の経済成長率よりはるかに高いものであった。しか し逆に、この教育「大躍進」が国内外の厳しい批判を受けることになった、例えば 「科学的合理性の欠如の大躍進」だとか、「人類文明の規律違反」「大学教育の軽 蔑」などと言われている。 つづきは下記リンクよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_519.php 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送) ■「アラブ/イスラームをもっと知ろう:シリア、スーダン、そしてイスラーム国」 SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まり いただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、 「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、シリア出身のダル ウィッシュ ホサムさんと、スーダン出身のアブディン モハメド オマルさんを囲ん で座談会を開催します。 参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせくだ さい。 sgra-office@aisf.or.jp 日時:2014 年12月20日(土)14時〜17時 会場:鹿島新館/渥美財団ホール(東京都文京区関口3-5-8) http://www.aisf.or.jp/jp/map.php 会費:無料 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第6回SGRAカフェ<参加者募集中> 「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php 【2】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/14_2.php ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Xie Zhihai “Creeping Child Poverty”

    ************************************************************** SGRAかわらばん546号(2014年12月3日) 【1】エッセイ:謝 志海「忍び寄る子供の貧困」 【2】エッセイ:外岡 豊「飯舘村参観記:菅野宗夫氏の試みについて」 【3】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その5)」 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送)   「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(12月20日東京) *************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#437 ■ 謝 志海「忍びよる子供の貧困」 最近新聞等、メディアの見出しで時々目にする「子供の貧困」。どこの子供の貧困を 意味するのかと思えば、日本だった。これは信じられないことだ。日本の子供はみん なゲーム機を持ち、小学生のうちからスマートフォンを持っている子もたくさんい る。もちろん身なりも貧困とは到底信じられない。 日本経済新聞の記事を読み進めてみると、厚生労働省がまとめた国民生活基礎調査 で、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子供の割合を示す「子供の 貧困率」が、2012年に16.3%と過去最高を更新したという。前回の2009年の調査から 0.6ポイント悪化している。なるほど、数字ではっきりと現れているのだ。子供は労 働しておらず、収入が無いので、親の所得からの算出方法となる。同省は子供の貧困 率上昇の理由として母子世帯が増えていることを指摘している。女性は派遣社員や、 非正規雇用として働いている人が多いので、世帯収入が低くなるのも必然とも言え る。世帯収入で子供の貧困を測るなら、正社員で終身雇用の父を持つ子供、またはそ の父親と仕事をしている母(共働き)を持つ子供との世帯収入の差は格別に大きいだろ う。正直なところ、個人的視点だが日本の子供のイメージは、先述の通り物に恵ま れ、親はお受験のために塾や習い事に惜しみなくお金を掛けていると思っていた。私 は、貧困率の上昇もさることながら、この収入格差が気になってきた。収入格差に よって、様々なチャンスに恵まれる子とそうでない子の差が拡大されることは、今後 の日本に何か悪い影響をもたらすのではないかと。 親の所得はそれぞれ違えど、子供達は格差無く教育を受けるチャンスがあれば良いの ではないだろうか?日本は、塾通いが主流になっている。生活が苦しい家庭は塾の月 謝を捻出出来ず、子供に学習習慣を身につけさせることすらできないのか?そもそも 何故日本の子供は塾に通うのだろうか。一番は受験対策だろうが、もう一つは学校の 教育力が落ちているからということだ。信じがたい事実だが、OECDの調査によると、 日本政府支出の教育に占める支出は32カ国中31位である。学校教育が十分でないなら 日本の子供の塾通いはしばらく続きそうだ。このまま子供たちが親の所得格差に翻弄 され続けたら、どのような日本になるのだろう? 親の貧困環境が子供の貧困に深く影響していることを、アメリカの著名な経済学者で あり、コロンビア大学地球研究所長(The Earth Institute)のジェフリー サックス 氏(Jeffrey Sachs)は、以前より多くの面から問題視しており、アメリカでは貧困の 状況が世代を超えて伝染していて、この連鎖を断ち切るべきとしている。彼の論文に よると、アメリカでは、離婚家庭に限らず、無職、病気はたまた投獄されている親の 子供が貧しい地区に住み、教育レベルが低い学校に通うという貧困に閉じ込められた サイクルの中にいる。そしてそのような環境下で育った子は最終的に貧しい大人、す なわちスキルも無くまともな職につけないような大人になってしまうという負の連鎖 が続く。このような貧困状態の子供の増加は国の経済成長をも鈍らすと警鐘を鳴ら す。サックス氏が更に強調するのは、これは物質的に豊かであるアメリカで起こって いることだ。先進国日本でもこの負の連鎖は有り得ない話では無いのではなかろう か。 手遅れになる前に、子供の貧困とその連鎖を食い止めるには?その解決策もサックス 氏が教えてくれる。彼が昨年発表した論文「苦しむ子供たち、苦しむ国」では子供た ちに平等の機会を与える事を徹底すべく、公的資金を投資すべき、としている。日本 には「子ども手当」があるが、うまく機能しているのだろうか?次回の調査で日本の 子供の貧困率が下がることを期待する。 -------------------------------- <謝 志海(しゃ しかい)Xie Zhihai> 共愛学園前橋国際大学専任講師。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログ ラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期 課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交 流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイトを経て、2013年 4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されてい る。 -------------------------------- 【2】SGRAエッセイ#438 ■ 外岡 豊「飯舘村参観記:菅野宗夫氏の試みについて」 真手(までい)という言葉は初めて知ったが、江戸時代あるいはそれ以前から日本の 伝統的な社会を支えてきた、勤勉、善良な農民の生活意識と行動を表した言葉に見え る。なかなかよい表現である。持続可能社会を目指せ、というのが環境問題研究者と して私が社会に強く訴えるべき重要な事項であり、日夜それを考えているが、要は、 化石燃料と原発への依存を脱却することと同時に、社会全体が真手になればかなり達 成されるはずの目標である。だから飯舘村の再生への試みは持続可能社会への入り口 探しなのであり、日本中をその方向に向けてひっぱってゆく、最先端を知らずに担っ ているのである。 他の村にはない脱原発への強い意志がここに集中しているのは当然であろう。両方を 併せ持っている村がここにある。真手な生活を実践している人々には当然のように考 えられることが、被災していない東京では完全に忘れ去られており、飯舘村に来て菅 野さんの話を聞くと、都会人が何を失っているのか気づくよいきっかけになるだろ う。真手の精神と前向きな試行錯誤への姿勢は、突然奈落の底に落されたような事態 においても、あるいは見えにくい放射能というやっかいな汚染状況においても、再生 への着実な原動力になる。このような人がいる村はたとえ一度どんなに人口が減ろう と、いつか立ち直ることができるだろうと確信する。行政の混乱で明らかなように、 実は都会が、東京の社会が、霞が関も銀行も大手企業も、当事者能力に欠けている人 が多く、菅野さんのような頼もしい人が見当たらないのである。それは実は非常に深 刻な事態なのであるが、それを深刻と考えていない人が大勢であることそれ自体が、 実は見えにくい危険事態なのである。奇妙なことに放射線の見えにくい汚染と都会の 見えにくい無責任さとが符合しており、複合化した更なる危険に持ち上げられている ようである。 それは大学も似たようなもの、自分の組織で打破できていないので大きなことは言え ないが、旧態依然の規則にしばられ、というより柔軟な運用ができず、ちょっとした ことができない、許されていないと言われて、成果、効果がそがれてしまうことは 多々ある。教員も事務方も、どちらも自分はこの件の主役ではないと言って逃げてし まい、結果に責任を持とうとしないのである。このような事態はイギリスの大学でも 同様であった。数年前までの中国は全く逆の問題がありそうに見えたが最近どうなっ ているのかはわからない。 高校時代から田舎の農村の景色を水彩画に描いてきたが、それは里山に象徴される自 然と一体化し、その恵みをいただいて生活する本来の日本の生活への共感が裏にあっ た。まさに真手な生活の場としての農村集落と伝統民家にひかれるものがあった。 今、環境問題の専門家として、若いころ描いた絵の世界に回帰している。半ば予定さ れていたかのような人生の変遷は自分の根底にある価値観がそうさせているのであ り、それは神から与えられた使命のようなもの、自分の内部のこだわりとしてできる こと、できないことが明らかにあるのである。 今回渥美財団関口グローバル研究会の御縁でようやく飯舘村に来ることができ、大震 災から3年半後に初めて被災地を体験する機会を得たが、そこで思いがけなく旧知の 田尾さんの御世話になることになった。それは偶然以上の何かが隠れていると思わざ るを得ない つづきは下記リンクよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_516.php SGRAふくしまスタディツアーの報告は下記URLよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/news/3sgra3.php 【3】特別寄稿 SGRAエッセイ#434 ■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その5)」 --------------------------------- SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらばん で配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、2014 年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたので、数 回に分けてご紹介しています。 --------------------------------- まずは両親の責任 以下の3点(溺愛、放任、偏向)から今の親たちの責任を追求してみましょう。 1. 溺愛 親が何でもかんでも子供のためにやってあげる、その程度が酷すぎる。大学に来る前 のことは後述するとして、まず、新入生が自分一人で入校手続きに来ることはほとん どない!サーバントアテンダントのように両親や祖父ちゃん婆ちゃん、或いは親戚の 人々が大勢で来校し、かつトランクを引っ張ったり、いろんな荷物を運んだりして、 その忙しい風景は賑やかである。一方、本人は何も持たずにぶらぶらやってくる。当 然のことながら、両親が入校手続きを全部やってあげ、更には宿舎の掃除、ベッドメ イク、等々を全部担当する。幼稚園に子供を送ってあげていた時より細やかだ。しか し本人達はこれを当たり前のことだと言うのだそうだ。もっと傑作なのは、本来「見 送り」に来た親が、学校の近くに部屋を借りて、子供に付き合ってあげる(洗濯、部 屋の片付け、食事の支度などをしてあげるため)ことも結構あるそうだ。何故両親達 は、このようにしてあげるのか?彼らの理屈を一言で表すと、とにかく「心配、不 安」である。例えば「家(うち)の子は今まで家を出たことがない……最初の旅なの で」とか、「重要な書類を紛失する恐れがある」とか、「治安が悪くて心配」とか、 また「子供は自己制御力(セルフコントロール)が弱いから」、これも心配、あれも 心配、例えば朝寝坊、夜のネット遊び、そして男女同棲……。この親達は、どうして 自分の学生時代のことを考えないのか、誰だって生まれた時から何でもできるはずは ない、やらせなければ永遠にできないということを何故忘れてしまったのか、不思議 だ。 2. 放任 大学に入学した子供の生活費が、ほとんどの親達にとって非常に難しい問題だそう だ。すなわち、多く渡しすぎると金使いが荒い習慣がつくことを心配し、他方、少な すぎると不当な扱いを受け、つまり苦しい生活を送らせてしまうことをまた心配す る。親たちの暖かい心に感心はするが、言い換えれば、まさに世の中に子供を可愛が らない親はいないということだ。中国では父母が金持ちであれば、子供も豊かなのが 事実で、「豊かな第二世代」という新しい用語も近年出来ている訳はこういう現実が あるからだともいえる。しかし「親がいくら金持ちでも子供たちに贅沢はさせない」 と言う欧米人の哲学との間には、どんなに差があるだろうか!中国の諺でも「子を甘 やかすのは殺すようなものだ」と言われているのに、今の親達は、これを忘れたの か? 大学の食堂(特に国立大学)は政府が補助金を出しているので食事代は安い、おそら く全国どこでも5 元か6 元(1元=19円)で一人分の食事が十分購入出来、しかも キャンパス外の飲食店の物より清潔且つ安全だ。しかし一部の大学生(つまり生活費 を多く貰う人)はメンツの為か?美食者?なのか、よく外食し、しかもパーティー、 食事会(集まり)などを必要以上にやるのだ。この様な贅沢な習慣を、親が黙認する から彼らは平気でやる。 コンピューターは、学校の自習室、図書館にたくさん設置されていて、インターネッ トをするには非常に便利だ。しかも、大学2年生までは基礎教育なのでごく少数の専 門以外コンピューターはいらない。しかし今の学生は1人1台(しかも全部ラップトッ プ)持っており、基本的にはゲーム遊びに使用されている。特に、家庭の経済状況が よくない学生は、自分で用意する必要はないのに!外国語を勉強するためどうしても 必要と親に言っていた理屈は、全部嘘だ。ゲームに夢中になり、その結果、学業を断 念せざる得なくなる「事件」は少なくない。パソコンを保有することの悪い点は、絶 対に良い点より多いのだから、買わない方が得策だ。 つづきは下記リンクよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_515.php 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送) ■「アラブ/イスラームをもっと知ろう:シリア、スーダン、そしてイスラーム国」 SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まり いただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、 「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、シリア出身のダル ウィッシュ ホサムさんと、スーダン出身のアブディン モハメド オマルさんを囲ん で座談会を開催します。 参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせくだ さい。 sgra-office@aisf.or.jp 日時:2014 年12月20日(土)14時〜17時 会場:鹿島新館/渥美財団ホール(東京都文京区関口3-5-8) http://www.aisf.or.jp/jp/map.php 会費:無料 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第6回SGRAカフェ<参加者募集中> 「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php 【2】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Chang Kuei-E “Go Back Home Again to Iitate Village”

    ************************************************************** SGRAかわらばん545号(2014年11月26日) 【1】エッセイ:張 桂娥「ゴー ホーム アゲイン ふたたび飯舘村に」 【2】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その4)」 【3】SGRAレポート第69号「紛争の海から平和の海へ」紹介 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送)   「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(12月20日東京) *************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#435 ■ 張 桂娥「ゴー ホーム アゲイン、ふたたび飯舘村に〜再生への長い道のり〜故 郷とともに生きる勇者たちに寄せて」 あの日から3年半も過ぎて、避難先で眠れぬ夜を耐えてきた多くの帰還困難区域に住 んでいた元住民たちを目の前にして、心から応援しているから復興に向けてがんばろ うと軽々しく口にするのは、どんなに無責任な綺麗ごとだろうかと、思い知らされた 2泊3日の飯舘村スタディツアーでした。 そもそも、今回の飯舘村スタディツアーにはるばる台湾から参加しようと決心した動 機は、原発事故による放射能汚染被害の現状を台湾の大学生や国民たちに知ってもら い、被害者たちの未だに癒えぬ心の痛みを少しでも分かち合おうという漠然とした大 義名分でした。実際現地入りして目の当たりにした<景色>といえば、整然とした風 格ある町並みの中に立ち並ぶ立派な空き家の群れ、色づき始める里山に囲まれた田舎 の綺麗な佇まいに不気味な影を落としている黒い袋の山、早秋の乾いた青空に聳える はずだったのに無造作に置き去りにされている屋敷林居久根(いぐね)の切り株、が らんとした牛舎に張り巡らされた蜘蛛の糸に引っかかった虫の死骸など、留学時代に 何度も足を運んでいた麗しき東北地方とは大きくかけ離れ、変わり果てた、見るも無 残な光景でした。 かつて観光客として訪ねた福島の在りし日の面影を偲んでみたいという期待を胸に やって来た、この地域とは縁もゆかりもない私でさえ、目の前に繰り広げられた殺風 景なシーンに心が痛んでやまないのに、何百年も前からこの地域に住み着き、先祖か ら受け継がれた土地を守り続け、鬱蒼と繁る山林をこよなく愛してきた元住民たち— —あまりにも理不尽な形で未来の子孫に誇るべき故郷を根こそぎ奪われてしまった元 住民たちの悲痛な心中を察すると、慰める言葉が見つかるはずもありませんでした。 ただただ圧倒され、何もできなかった自分の浅はかな思い上がりを悔やんだり、いっ たい何をしに来たのかと自分を責めたりしていました。 そんな中、自己嫌悪の渦に飲み込まれそうな私に、まぶしい光をいっぱい差し込んで くれる勇者たちと出会いました。 飽くなきチャレンジ精神で時代を先駆けるハイテクで放射能汚染と真っ向勝負に出る 田尾陽一さんを始めとする<ふくしま再生の会>のメンバーたち、全く収束の見通し がつかない現状に苛立ちを感じながらも冷静沈着な判断力と圧倒的な行動力でコミュ ニティ再生活動を牽引する菅野宗夫さん、グローバルなネットワークを築き風化しつ つある放射能汚染問題を世界中に向けて発信するためメディアの第一線を走り続ける ジャーナリストの寺島秀弥さん、相馬地域に根ざした<真手(までぃ)>の信条を貫 き惜しまぬ情熱で周りの人をあたたかく包み込む大石ユイ子さん、時に心が折れても 故郷を思う気持ちを挫かない若者魂に光る佐藤健太さん、そして今でも足繁く通い続 け、50年先、100年先にふくしまを故郷として誇れる若者のために、汚染された地域 の再生という挑戦を命がけで続けているボランティアの人々たち。 弱音を吐く代わりに、淡々とやるべきことに全力を尽くし、機敏なフットワークでプ ロジェクトをこなしている彼らの後ろ姿を見ているうちに、自分にできることが何か を考え始めました。なんて不思議なことでしょう。どんなに絶望的な災難に直面して も諦めずに己の恐怖と戦いながら苦難に立ち向かう人間の尊い姿を見ると、周りにい る人間は誰でもおのずと逞しくなり、みんなの輪に加わり一緒についていきたい気持 ちがわいてくるのだと、気づかされたのです。 思い返せば、情に流されて何もわからないままにこのツアーに参加したのかもしれま せんが、そこで出会った人々の真摯なる振る舞いと勇気ある行動に触れ、どこか放射 能汚染に怯えていることを素直に認められない自分の心の弱さと向き合う機会を手に しました。その弱さを乗り越えないと、飯舘村の再生プロジェクトに何らかの力にな れないと、大きな課題を手土産に持ち帰りました。まだ具体的に何ができるかを明言 するのは難しいのですが、台湾に戻ってから機会さえあれば、飯舘村スタディツアー で見たことや体験したことを大学生に話したり、意見を交わした住民たちの考え方や 再生活動の関連情報を周りの人たちに共有したりしております。 ふくしま相馬地域や飯舘村の住民たちの痛みを分かち合える日まで、まだ長い道のり です。ただ、諦めてしまってはいけません。ふくしま被害者の心の叫びを世界へ向け て発信するのも非常に有意義なことですが、うわべだけの理想論で終わりがちの復興 支援ではなく、もっと地に足の着いた現実味のある活動に視野を移さねばならないと 痛感した今回のツアーでした。私を含めて、スタディツアーに参加した一人ひとりの 意識のささやかな変化をきっかけに、一日も早く実効ある行動に繋がればと考えてお ります。 ---------------------------- <張 桂娥(チョウ・ケイガ)☆ Chang Kuei-E> 台湾花蓮出身、台北在住。2008年に東京学芸大学連合学校教育学研究科より博士号 (教育学)取得。専門分野は児童文学、日本近現代文学、翻訳論。現在、東呉大学日本 語学科助理教授。授業と研究の傍ら日本児童文学作品の翻訳出版にも取り組んでい る。SGRA会員。 ---------------------------- SGRAふくしまスタディツアーの報告は下記URLよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/news/3sgra3.php 【2】特別寄稿 SGRAエッセイ#434 ■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その4)」 --------------------------------- SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらばん で配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、2014 年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたので、数 回に分けてご紹介しています。 --------------------------------- 4. 政治的には勇ましいが人柄は最悪 今のほとんどの大学生たちは、現実のことに無関心(例えば職場の汚職、腐敗した役 人、災害救援、慈善活動など)だが、他方、信じられないほどの「愛国心」及び「ナ ショナリズム」への情熱を持っている。他人の政治的な話を疑うことなしに信用す る。所謂“風に沿う”と言う中国の伝統を完璧に伝承している。例えば、無差別に反 米であり、日本を憎悪し、インド、ベトナム、フィリピンを非難し、狂信的な(大漢 民族)5000 年の輝かしさ、中華大統一などの不思議な思想を単純に信用し、主張す る。 さらに科学技術のコピー式進歩をオーバーに宣伝する。中国の伝統的な素晴らしい文 化を活かすなどの名目を挙げて、臆面もなく詐欺的な文化、習慣を提唱したり、促進 したりする。また当局の外交政策などを軍人と同じように無条件で支持する一方、 「中国は『ノー』と言うことができる」(アメリカに対するある本の題名)というよ うな過激な作品を大勢で熱心に読み返す。2001年の9*11のアメリカへのテロ攻撃を、 テロリストと同じように祝杯をあげた大学生もいた。2012 年に中国本土で連続的に 発生した若者たちが日本車を燃やした事件、日本風のレストランなどを攻撃した事件 の中には、怒った顔をした大学生もいた。また、一部の大学生は、武力行使で台湾を 「解放」しようと純血的な扇動をするが、彼らに軍服を着用させ、戦いに行かせるの は絶対に不可能であろう。彼らが、やらなければならないならば何でもやるというこ とはあり得ないと思う。はっきり言って、責任感、信頼性は皆無であろう。 5. アカデミックスピリットの喪失 今日の中国の大学生たちの小、中、特に高校時代の勉学は、世界でも稀な猛勉であ る。長年の強制的な試験指向教育が、彼らに精神的拷問や無慈悲的な心理破壊を与え たと思う。ある意味では、彼らこそ、中国で最も痛みを感じる社会階層の一つであ る。高校を卒業するまで歯を食いしばって我慢した彼らが入試を経て大学に入ると、 直ちに解放感が生まれ、しかもこの国の国民的英雄のように自らを誇示する。残念な がら多くの親たちも彼らと呼応し、褒め称える。愚かにも、人生は大学に受かること だけのように考え、大学生活を人生の楽しさ、幸せなどを謳歌するものだと思ってい るようだ。 つづきは下記URLよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_513.php 【3】SGRAレポート第69号「紛争の海から平和の海へ」紹介 SGRAレポートを発行いたしましたのでご紹介します。PDF版は下記リンクよりご覧い ただけます。SGRA賛助会員と特別会員のみなさまには冊子をお届けします。会員外の 方で冊子の送付をご希望の方は事務局へご連絡ください。 第45回SGRAフォーラム講演録(2014年10月20日発行) ■「紛争の海から平和の海へ:東アジア海洋秩序の現状と展望」 SGRAレポート69号(本文) http://www.aisf.or.jp/sgra/member/peace/report/SGRAreport69.pdf SGRAレポート69号(表紙) http://www.aisf.or.jp/sgra/member/peace/report/SGRAreport69Cover.pdf (ダウンロードに少し時間がかかります) <もくじ> 【基調講演】 「東アジアの海と領土—国際法の視点から— 」 村瀬信也(むらせ・しんや)上智大学法学部教授 【報告1】< 韓国の立場> 「東アジア型国際社会の出現—日韓漁業協定(1965)への過程を振り返る— 」 南 基正(ナム・キジョン)ソウル大学日本研究所副教授 【報告2】< 中国の立場> 「東アジア国際秩序の現状と展望—中国内における「新型大国関係」の議論を中心に — 」 李 成日(リ・チェンル)中国社会科学院亜太与戦略研究院助理研究員 【報告3】< 台湾の立場> 「『琉球地位未定論』の再燃で尖閣紛争の解決に役立つのか—中国と台湾の議論を中 心に— 」 林 泉忠(リム・チュアンティオン)台湾中央研究院副研究員 【報告4】< 日本の立場> 「竹島/独島をめぐる海の一断面」 福原裕二(ふくはら・ゆうじ)島根県立大学准教授 【報告5】 「北極海の開放と韓国・日本・中国の海洋協力の可能性」 朴 栄濬(パク・ヨンジュン)韓国国防大学校安全保障大学院教授   【パネルディスカッション】 司会: 李 恩民 総括:明石 康(国際文化会館理事長) パネリスト:上記発表者 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送) ■「アラブ/イスラームをもっと知ろう:シリア、スーダン、そしてイスラーム国」 SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まり いただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、 「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、シリア出身のダル ウィッシュ ホサムさんと、スーダン出身のアブディン モハメド オマルさんを囲ん で座談会を開催します。 参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせくだ さい。 sgra-office@aisf.or.jp 日時:2014 年12月20日(土)14時〜17時 会場:鹿島新館/渥美財団ホール(東京都文京区関口3-5-8) http://www.aisf.or.jp/jp/map.php 会費:無料 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第6回SGRAカフェ<参加者募集中> 「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php 【2】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Goginashvili “Till When Shall Our Hearts be Torn

    ********************************************************** SGRAかわらばん544号(2014年11月20日) 【1】エッセイ:ゴギナシュヴィリ「心の戦いはいつまで続くのか」    —SGRAふくしまスタディツアー参加報告— 【2】第3回SGRA福島スタディツアー報告 【3】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その3)」 【4】催事案内:国際シンポジウム(2014年11月22日東京)   「国際的視野のなかのハルハ河・ノモンハン戦争」 【5】第8回SGRAチャイナフォーラムへのお誘い(最終案内)   「近代日本美術史と近代中国」(11月22/23日 北京) *********************************************************** 【1】SGRAエッセイ#433 ■ダヴィド ゴギナシュヴィリ「心の戦いはいつまで続くのか—SGRAふくしまスタ ディツアー参加報告—」 2泊3日のふくしまスタディツアーに参加して、飯舘村の村民やボランティアの方々と の交流、そして協働作業を通じて村民の思いや現状を肌で感じ取ることができた。そ して飯舘村のエコロジー、経済、人口に関する情勢について学問的な観点からの話も 聞けた。 最初の訪問先であった松川仮設住宅で避難住民と話してから、ずっと自分でもよく理 解できなかった既視感を覚えていた。その後に、希望の光を見いだそうとしている 人々、未だに光が見えない状況の中でも生活できる環境を再生するために、涙ぐまし い努力を払っている住民、ボランティア、学者、そして芸術を通じて福島のイメージ 改善を目指している若者などと交流していた時、その既視感がさらに強まった。 この感覚は1990年代初頭のグルジアで同じような状況に陥り、そして同じような感情 に溢れた人たちを見た時に感じたものと類似していたのだ。当時のグルジアにも、家 から追い出された難民、死ぬ覚悟で失われた故郷を取り戻すために戦い続けていた住 民、そして人にこの悲劇をつかの間でも忘れさせようと活動していた芸能人が多くい たが、そういう状況を生み出した原因は自然現象がもたらした原発事故ではなく、人 が始めた戦争であった。 現在、グルジア領土の一部が外国の軍隊によって占領されているのと同様に、福島県 の一部は放射性物質という「目に見えない敵」によって占領されている。 飯舘村村民との話の中で「村に帰るための戦い」、「放射能との戦い」、「心との戦 い」という言葉がしばしば聞かれ、福島は「戦いの最中」だという印象がさらに強 まった。しかし、私がグルジアで見た戦争と違って、福島の「戦い」では「見えない 敵」との関係を緩和するための交渉、ディプロマシーなどの手法は役に立たない。問 題解決の唯一の手段は「見えない敵」を完全に排除すること、つまり、放射能を排除 しないかぎり村を再生することはできない。 あらゆる戦いのなかで心との戦いが最も難しく、心が負けたら放射能との戦いにも負 けてしまうという苦しみもしばしば聞いたが、その一方で、飯舘村村民が自分の心と 戦っているそもそもの原因は、放射能との闘い方がわからないことであり、放射能を 排除する方法を見つけない限り、結局のところ、心との戦いで敗北するのも時間の問 題だという悪循環のような状態であるといえるだろう。 このツアーで明らかになった大きな問題点は、日本の政府は被災地の住民との繋がり に乏しいということである。政府が実施している除染作業のスケールは、その内容を 知らない人にとって一見非常に印象的にみえるが、飯舘村の状況に関する詳細な説明 を受けた私は除染作業がいかに効果性に欠けているかがわかった。 もちろん、政府側の説明を聞かないことには客観的な判断ができないという意見もあ るだろう。しかし、たとえ専門家ではなくても、地面から剥ぎ取られた汚染土を入れ た黒いビニール袋が未だに村中に積み上げられているのを見たら、除染作業の効果性 に対する疑問が生じるのは当然であろう。しかも、このビニール袋が家の入り口周 辺、または畑などに積み上げられているという現状では、村民の間で、政府が行って いる除染作業のそもそもの目的を問う声が高まるのは当然であろう。飯舘村村民が、 除染作業を監視、あるいは作業政策・計画決定過程に参加できる正式な仕組みが存在 しないことは上述のような問題の主要な原因の一つだと考える。自分たちの土地に降 り注いだ放射能を、自分の手で除染できない現実、住民が作業を監視する仕組みがな いことは極めて不合理で不自然だと思える。 政府と国民の間にできたこのギャップを埋めるべく取り組んでいる団体の一つが被災 地の住民、ボランティアや様々な分野の科学者から構成されている「ふくしま再生の 会」という非政府団体である。団体のメンバーは安心と安全は同じではないとよく理 解したうえで、汚染データの収集と分析、農地や山林の除染、農業の再生などのプロ ジェクトを実施している。現時点では、全ての取り組みが成功しているとは言えない ものの、村民の絶望との戦いに大きく貢献していることは確かである。 日本政府による除染作業、政府・国民間関係、汚染問題に対する人々の意識、原発そ のものの必要性、建設や稼働の可否といったツアー中に議論していたテーマに対し て、疑問点が未だに多くあるが、このツアーから戻った私は、希望のない状態でも絶 望してはいけないということだけは、さらに強く実感するとともに確信を深めること ができた。 -------------------------------------------- <ダヴィッド ゴギナシュビリ David Goginashvili> 渥美国際交流財団2014年度奨学生 グルジア出身。慶応義塾大学大学院政策・メディ ア研究科後期博士課程。2008年文部科学省奨学生として来日。研究領域は国際政治、 日本のODA研究。 -------------------------------------------- 【2】第3回SGRAふくしまスタディツアー《飯舘村、あれから3年》報告 渥美国際交流財団/SGRAでは2012年から毎年、福島第一原発事故の被災地である福島 県飯舘(いいたて)村でのスタディツアーを行ってきました。 そのスタディツアーでの体験や考察をもとにしてSGRAワークショップ、SGRAフォーラ ム、SGRAカフェ、そしてバリ島で開催された「アジア未来会議」での展示とトーク ショー「フクシマとその後:人災からの教訓」などを開催してきました。 今年も、10月17日から19日の3日間、SGRAふくしまスタディツアー《飯舘村、あれか ら3年》を実施しました。このレポートはツアーの記録報告です。 「SGRAふくしまスタディツアー」は、今年で3回目。参加者は渥美財団のラクーンメ ンバー、呼びかけに応えて参加した留学生、日本人学生、大学教授や社会人など16 名。国籍も中国、台湾、グルジア、インドネシア、モンゴル、日本、年齢層も18歳か ら70歳代まで、まさに多様性を絵にかいたような多彩なメンバーであった。 17日(金)朝8時、メンバーたちのチョットした不安も乗せながら、バスは秋晴れの 中を福島に向けて出発した。 途中、福島駅で、今回の受入れをお願いしている「ふくしま再生の会」のメンバーと 合流。 「NPO法人ふくしま再生の会」(理事長 田尾陽一さん)は、地元の農民とヴォラン ティア、科学者により構成されたNPO団体。2011年秋から、飯舘村の再生プロジェク トとして、住民自身による効率的な除染方法の研究開発や飯舘村に伝わる「マデイ (真手)」の考え方をもとにしたサステイナブル/エコロジカルな地域産業とコミュ ニティーの再生に取り組んでいる。 つづきは下記リンクからお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/news/3sgra3.php ふくしまツアーの写真は下記リンクよりご覧いただけます。 www.aisf.or.jp/sgra/photos/ 【3】特別寄稿 SGRAエッセイ#434 ■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その3)」 --------------------------------- SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらばん で配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、2014 年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたので、数 回に分けてご紹介しています。 --------------------------------- 1.3 卒業時の大処分 大学の校内では卒業が近づくと、ものを大量処分する(捨てる)季節になる。卒業生 達は教科書も含め、使用していた物品をほとんど処分してしまう。処分しないもの は、携帯電話とラップトップコンピューターぐらいか?デスクトップコンピューター まで処分する人もいるようだ。(清掃者は“つらーい!”と言いながら、使用可能な ものをたくさん回収出来るため、内心は喜んでいる。)ゴミ捨て場へ捨てるのはまだ 良いとしても、問題になるのは、わざと宿舎の窓から外へ捨てながら楽しむ事件が頻 繁に発生していることだ。(ゴミ箱、枕、布団などの大きなゴミを窓から捨て、建物 の下を通過していた人に怪我をさせたというニュースもあった。)大量処分のあと、 宿舎の建物のまわりはゴミだらけだ。 物を捨てる行為の他に、更に驚いたことに、様々な特異的な卒業行動(大学の“卒業 病”と言われている)が散見されている。例えば下品な卒業写真撮影、卒業スローガ ン掛け(シートにいろいろな言葉を書いて窓から垂らす)、卒業裸走り、卒業叫び (寮外で「XXさん!貴方をずーっと愛していたよ!」)、卒業セックス予約(中国 語で“約砲”と言う、要は卒業生同士がセックスを約束する)などがある。一般の 人々は、これらの現象について、現在の大学生たちが、自分たちは普通の人が行う行 為と異なる方法で思い出と主張を表現し、自分の大学生活に区切りをつけ、新しい段 階に入ることを宣言していると推測しているようだ。 2. 乱れるセックス及び性道徳の低下 今の大学生の二番目の問題は性的道徳の低下及び性的混乱であると思う。大学内の道 路上、カフェテリア内、教室内などのいたる所で、熱愛中のカップル大学生が、まる でハネムーン夫婦のように、半分抱擁、半分ロマンスの姿がよく見られる。 つづきは下記リンクからお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_512.php 【4】催事案内:国際シンポジウム「国際的視野のなかのハルハ河・ノモンハン戦 争」 SGRA会員のボルジギン・フスレさんより、国際シンポジウムのご案内をいただきまし たので、紹介します。 日時: 2014 年11月22日(土)10 時から18時10分[9時30分開場] 会場: 昭和女子大学80年館5 階 5L44 教室 主催: 国際シンポジウム「国際的視野のなかのハルハ河・ノモンハン戦争」実行委 員会 後援: 昭和女子大学/公益財団法人守屋留学生交流協会/ハル・スルドモンゴル軍 事史研究者連合会 詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/info/Nomonhan2014Tokyo.pdf 【5】第8回SGRAチャイナフォーラムへのお誘い(最終案内) ■「近代日本美術史と近代中国」 下記の通り、第8回SGRAチャイナ・フォーラムを、11月22日(土)〜23日(日)に北 京で開催します。 参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせくだ さい。 sgra-office@aisf.or.jp SGRAでは、日本の民間人による公益活動を紹介するSGRAチャイナ・フォーラムを、北 京をはじめとする中国各地の大学等で毎年開催してきましたが、8回目の今回から は、今までと趣向を変え、「清華東亜文化講座」のご協力をいただき、北京在住の日 本の社会や文化の研究者を対象として開催します。 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php 1日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時 於:中国社会科学院文学研究所 社科講堂第一会議室 プログラムは下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program1Japanese.pdf 2日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時 於:清華大学甲所第3会議室 プログラムは下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program2Japanese.pdf ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第8回SGRAチャイナフォーラム<参加者募集中> 「近代日本美術史と近代中国」(2014年11月22/23日北京)  http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php 【2】第6回SGRAカフェ<参加者募集中> 「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php 【3】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************