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  • Park Wonhwa “Several Questions”

    *************************************************************************** SGRAかわらばん628号(2016年7月14日) 【1】エッセイ:朴源花「いくつかの問い」 【2】新刊紹介:南基正「基地国家の誕生−日本が戦った朝鮮戦争」(韓国語) 【3】第51回SGRAフォーラムへのお誘い(7月16日東京)(最終案内)  「『今、再び平和について』:平和のための東アジア知識人連帯を考える」 *************************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#497(『私の日本留学』シリーズ#1) ◆朴源花「いくつかの問い」           両親の事情により幼い頃から韓国と日本を行き来する機会があった。年数自体はあまり長くなかったのだが、当時両国の関係は領土問題や教科書問題をめぐって劣悪な状況にあったため、子どもなりに思うところがたくさんあった。 当時私は小学生だったのだが、いかに両国のマスメディアの情報が現実をゆがめているかをうすうすと感じていた。将来専門的な知識をもって、韓国と日本の友好関係に貢献したいという願いを漠然と抱くことになった。 それから十数年、大学院に進みアカデミズムの世界を少し体験する立場になってから痛感したのは、研究者であれ完璧な代案を提示することは到底できないということであった。時には研究者が現実をゆがめることに加担したり、事実としては正しいことを言っているのだけれども、その主張が不本意なかたちで利用されてしまったりする。 私の研究テーマである「マイノリティの社会統合」の問題においても、そのような危険性に気付かされることがたびたびある。 まずは研究内容以前の問題として、現場の状況に対する研究者の配慮が十分でなく、フィールドを研究の「手段」とみなしてしまうケースである。実際私がフィールドワークを行なっている際、今まで出会ってきた研究者たちがいかに「自己中心的であったか」を訴える現場の人々は少なくなかった。インタビューを行なった後、結局その回答がどう扱われたのか事後報告もないということは良く聞く話である。もちろん、ほとんどの研究者は「現場を知りたい」「問題を改善したい」という問題意識から現場に出ているに違いないのだが、時間の制約だったり、研究者自身の性格だったりが原因で、現場との意思疎通が必ずしもうまくいかないことがある。 次に、研究者としては全くそのようなつもりがないにも関わらず、自らの研究がかえって新たな問題を発生させるということがある。 マイノリティ研究において良くありがちな失敗は、研究者のマイノリティ集団に対するグルーピングがかえって彼らを周縁化してしまうケースである。例えば、あるマイノリティ集団に対して、彼らが「いかに長年の差別と困窮に喘ぎ、社会から排除されてきたか」を叙述したとする。彼らがいかにかわいそうで支援されるべき存在かという側面が強調されすぎると、そのマイノリティ集団がもつ主体性、能動性が看過され、「マジョリティ側が与えるべき存在」という従属的な構図が出来上がりやすい。 だからといって、マイノリティ集団の主体性にのみ焦点を当てるとどうなるか。「現実の困難はあまり彼らにとっても障害となり得ず、彼らは彼らなりの方法で幸せに暮らしている」と肯定的な側面に注目した場合、それは今までマイノリティ集団に行なわれてきた社会的抑圧や差別構造を赦免する結果を招きかねない。 つまり問われるはバランスであり、研究者自身の姿勢なのであろう。ここでの「バランス」とは、全ての事象を相対的に扱うという意味ではなく、結局自分がこの研究を通して、「誰」に「何」を伝えたいのかという「価値判断」と研究における「学術性」の均衡を指す。 研究におけるこれらの難しさに加え、日本という地域性の中で研究をどう位置づけていくかということも、私にとっての重要な問いである。 グローバル化が進み、多くの共通する社会問題を抱える韓国と日本はこれからより多くの場面で協力を必要としていくだろう。両国が諸問題を共に解決していく中で、より相互の「対話」の機会が開けていくことを信じている。 幼い頃に経験した日本、そして留学のため再び訪れた日本において、これからも日々の問いを大事にしていきたい。時間をかけてゆっくり向き合いながら私なりの応答を試みていければと思っている。 <朴源花(パク・ウォンファ)Park_ Wonhwa> 2015年度渥美奨学生。韓国出身。2010年早稲田大学卒業。2012年東京大学総合文化研究科にて修士号取得。現在同大学院博士課程に在籍中。関心テーマは韓国の「多文化主義」および日本の「多文化共生」をめぐる言説、マイノリティに対する排外主義、メディアなど。 【2】新刊紹介 SGRA「東アジアの安全保障と世界平和」研究チームチーフの南基正さんから新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ------------------------- ◆南基正「基地国家の誕生−日本が戦った朝鮮戦争」(韓国語) 日本の「戦後レジーム」をいかに定義するか。この質問は「普通の国」を越えて、憲法改正を通じた「戦後レジームからの脱却」が主張される現在の日本を理解するために核心的な問いである。日本は朝鮮戦争の後方基地となり、朝鮮戦争の後は、基地国家として東アジアの休戦体制に組み込まれた。「戦後レジーム」はこの現実と深く関わっている。朝鮮戦争の時期の日本を研究するこの本はこの問いに対する探求である。 著者:南基正 発行:ソウル大学出版文化院 ISBN:978-89-521-1766-3 2016年5月30日刊 定価37,000ウォン 【3】第51回SGRAフォーラムへのお誘い(最終案内) 下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・連絡先・懇親会への出欠をSGRA事務局宛ご連絡ください。当日参加も受け付けますが、準備の都合上、なるべく事前にお申込みいただきますようお願いします。 テーマ:「『今、再び平和について』:平和のための東アジア知識人連帯を考える」 日時:2016年7月16日(土)午後1時30分~5時30分、その後懇親会 会場:東京国際フォーラムガラス棟G701号室 http://www.t-i-forum.co.jp/general/access/ 参加費:フォーラムは無料、懇親会は正会員1000円、メール会員・一般2000円 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp 03-3943-7612) ◇フォーラムの趣旨 今回のフォーラムは、混迷を深める東アジアの国際情勢に対して、国際政治や安全保障論の方向からの現状分析やシナリオの提示ではなく、平和研究または平和論という方向からの問題提起として位置付け、進めていきたい。そのためには、東アジア各国における「平和論」の現状を確認し、各国で「何よりも平和を優先する考え方」が各個撃破されている現状を検証すると共に、こうした現状に風穴をあけるためにはいかなる方法があるのか、そのために学問をする者として、知識人として何ができるのかを議論する場としたい。そして、この地域の研究者たちが知識エンジニアになりつつある現状、あるいは、安全保障の専門家たちに平和が呪縛されている現実に対して、平和を語る知識人としての研究者の役割、東アジアの知識人の連帯の意義を考えたい。 ◇プログラム <問題提起1>「平和問題談話会と東アジア:日本の経験は東アジアの公共財となり得るか」   南基正(ソウル大学日本研究所副教授) <問題提起2>「東アジアにおけるパワーシフトと知識人の役割」   木宮正史(東京大学大学院総合文化研究科教授) <報告1>「韓国平和論議の展開と課題:民族分断と東アジア対立を越えて」   朴栄濬(韓国国防大学校安全保障大学院教授) <報告2>「中国の知識人の平和認識」   宋均営(中国国際問題研究院アジア太平洋研究所副所長) <報告3>「台湾社会における『平和論』の特徴と中台関係」   林泉忠(台湾中央研究院近代史研究所副研究員) <報告4>「日本の知識人と平和の問題」   都築勉(信州大学経済学部教授) <パネルディスカッション> プログラムの詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/05/SGRA_Forum_51_Programrevised.pdf ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第51回SGRAフォーラム(2016年7月16日東京)<参加者募集中> 「『今、再び平和について』平和のための東アジア知識人連帯を考える」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6704/ ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ <発表論文の募集は締め切りました。オブザーバー参加登録受け付け中> ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2016/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Xie Zhihai “Can Japan be a Tourism-Oriented Country?”

    **************************************************************************** SGRAかわらばん627号(2016年7月7日) 【1】エッセイ:謝志海「観光立国なるか、日本」 【2】第51回SGRAフォーラムへのお誘い(7月16日東京)(再送)  「今、再び平和について:平和のための東アジア知識人連帯を考える」 **************************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#496 ◆謝志海「観光立国なるか、日本」 私が初めて日本に来た2006年と比べ、変わったなあと思うことは訪日観光客の増加である。特に中国人旅行者はどこにでもいる。銀座に行けば母国に帰ったような錯覚を起こすほどだ。また、中国語に混ざって聞こえてくる言語も、英語に限らず実に様々である。「アベノミクス」政策の一つ「明日の日本を支える観光ビジョン」として日本政府はさらに訪日客を増やすそうで、2020年には2倍、2030年には3倍を目指しているとのこと。2020年のオリンピック終了後の2030年までも、観光客を増やし続けるというビジョンは素晴らしい。この先日本がどう変わっていくのか楽しみにしている。 しかし、気になる事がある。海外からの観光客は増えたが、彼らは依然として同じ所にばかり訪れる。秋葉原、浅草、築地。そしてこれら3箇所のどれか、もしくは全部行った後に立ち寄るのが銀座、新宿、渋谷といったところだろうか。もちろんこれはいささか言い過ぎで、東京に全く立ち寄らず日本の旅行を完結させる人もいるし、日本中至るところにある温泉地には外国人旅行者が必ずと言っていい程いる。私が言いたいのは、日本はもっともっと魅力的で訪れるべき場所が多いし、公共交通手段を使ってどこへでも行けるということ。気候も偏っていないし、観光地そのものをもっと増やせる気がする。 2020年はもう目前、今の2倍の、来日客4千万人を達成するまでに残された時間は短い。訪日ビザの緩和や免税品の買い求めやすさなど、すでに色々改革されてはいるが、何かが足りない。それは日本に観光客を引きつける力、ブランディングではないだろうか。 「日本」ブランディングに関しては、政府も民間企業もまだまだ頑張る余地がある。とっても厳しい言い方をすると、今の日本は「おもてなし」という言葉に酔いしれていて、外国人が日本に訪れる際に求めている本質に近づけていない気がする。最近は、地方創生とも相まって、都心から遠い観光地にも外国人を呼び込むべく、現地スタッフなどが、その地の文化・歴史を説明できるようにしようといった試みが行われていると聞く。外国語の表示をもっと多言語にすべきと議論もされている。どれも素晴らしい事だが、今時の旅行客は、スマートフォン持参で来る。自分で調べられる時代だ。ガイドブック片手に観光している外国人はあまり見かけなくなった。日本がおもてなし活動に奔走する間に、世界は目まぐるしく変化し、新しい建物、施設が開発され、観光スポットが増えている。 観光地開発の観点で言えば、東京は遅れをとっている気がしている。例えば、2015年の「世界の都市総合力ランキング」で4位の東京に対し、2位の座を勝ち取ったニューヨーク。マンハッタンやその周辺には高層ビルがひしめき合い、一見もうこれ以上改善の余地は見られないかのようだが、ホイットニー美術館が移転し、その周辺が新たな人の集まるエリアに生まれ変わった。有名建築家がデザインする、個性的なアパートも続々と建設されている。そう、ホテルではなく住居用の建物なのだ。だが、格好良い建物がマンハッタンの景色をアップデートさせているのは間違いないし、独創的なデザインをする建築家の建物は話題性を呼ぶ。そういった常にチャレンジする所に人は集まる。ニューヨークの魅力はそこにあると思うのである。ニューヨークが変われるのなら、東京も変われるし、さらには日本中にも、まだまだ観光地を増やせると思う。 では、何故私が、日本は観光地そのものを増やせると思うのか。それは四季があり、島国だから。気づいてないと思うが、日本は恵まれている。ヨーロッパ、北京、ソウル、ニューヨークの冬は日本の諸都市より寒い。夏でも東南アジア程は暑くない。日本の太平洋側は真冬でも観光が可能で、夏はリゾート地になれる。言わば、太平洋沿岸にヤシの木を植えれば、日本は日本人の大好きなハワイにだってなれる。日本の海岸を安全に整えれば、リゾート地ができあがる。 リゾート地といえば、シンガポールが好い例ではないだろうか。オープン当初に大いに話題となった「マリーナ・ベイ・サンズ_ホテル」。高層のホテルの屋上がプールのあるラクジュアリーリゾートとなっている。このような大胆な発想の建物、リゾート施設は日本にはまだない。また、このホテルのアピールポイントは、説明がいらない居心地の良さということ。観光ガイドに説明させる必要もない。マリーナ・ベイ・サンズに泊まれば、ホテルに隣接したカジノ、ショッピングモールや美術館を見て回り、そして屋上の宿泊者専用のインフィニティプールで泳ぐ。シンガポールで快適な時間を過ごせるというブランディングにまでつながる。 パリもまたブランディングに成功した説明のいらない観光地と言えるだろう。街並みはプライドの高いパリ市民のように、いつの時代も景観が整っている。一方で、パリ市民は観光客に優しくないと言われているし、下を見れば石畳。地下鉄に乗るにもエスカレーターなどのインフラが整備されている訳でもない。しかしフランスは外国人観光客数1位に君臨している。多少不便でも、人々は何故かパリに惹きつけられてしまう。 日本が今より魅力的な国になれないはずがない。交通・アクセスや宿泊施設の少なさなどの課題は多いが、これらの問題解決と並行して、地方の観光地のイメージアップやブランディングに力を注ぐべきだ。きっと今日も世界のどこかで新しいコンセプトの建設計画や地域開発計画について話し合われているだろう。日本も待ったなしだ。 <謝志海(しゃ・しかい)Xie Zhihai> 共愛学園前橋国際大学専任講師。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイトを経て、2013年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。 【2】第51回SGRAフォーラムへのお誘い(再送) 下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・連絡先・懇親会への出欠をSGRA事務局宛ご連絡ください。 テーマ:「今、再び平和について:平和のための東アジア知識人連帯を考える」 日時:2016年7月16日(土)午後1時30分~5時30分、その後懇親会 会場:東京国際フォーラムガラス棟G701号室 http://www.t-i-forum.co.jp/general/access/ 参加費:フォーラムは無料、懇親会は正会員1000円、メール会員・一般2000円 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp 03-3943-7612) ◇フォーラムの趣旨 今回のフォーラムは、混迷を深める東アジアの国際情勢に対して、国際政治や安全保障論の方向からの現状分析やシナリオの提示ではなく、平和研究または平和論という方向からの問題提起として位置付け、進めていきたい。そのためには、東アジア各国における「平和論」の現状を確認し、各国で「何よりも平和を優先する考え方」が各個撃破されている現状を検証すると共に、こうした現状に風穴をあけるためにはいかなる方法があるのか、そのために学問をする者として、知識人として何ができるのかを議論する場としたい。そして、この地域の研究者たちが知識エンジニアになりつつある現状、あるいは、安全保障の専門家たちに平和が呪縛されている現実に対して、平和を語る知識人としての研究者の役割、東アジアの知識人の連帯の意義を考えたい。 ◇プログラム <問題提起1>「平和問題談話会と東アジア:日本の経験は東アジアの公共財となり得るか」   南基正(ソウル大学日本研究所副教授) <問題提起2>「東アジアにおけるパワーシフトと知識人の役割」   木宮正史(東京大学大学院総合文化研究科教授) <報告1>「韓国平和論議の展開と課題:民族分断と東アジア対立を越えて」   朴栄濬(韓国国防大学校安全保障大学院教授) <報告2>「中国の知識人の平和認識」   宋均営(中国国際問題研究院アジア太平洋研究所副所長) <報告3>「台湾社会における『平和論』の特徴と中台関係」   林泉忠(台湾中央研究院近代史研究所副研究員) <報告4>「日本の知識人と平和の問題」   都築勉(信州大学経済学部教授) <パネルディスカッション> プログラムの詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/05/SGRA_Forum_51_Programrevised.pdf ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第51回SGRAフォーラム(2016年7月16日東京)<参加者募集中> 「今、再び平和について:平和のための東アジア知識人連帯を考える」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6704/ ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ <発表論文(要旨)の募集は締め切りました。参加登録受付中> ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2016/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Li He-Shu “Recognition of History toward Japan in Taiwan”

    *********************************************************************************** SGRAかわらばん626号(2016年6月30日) 【1】エッセイ:李わしょ「台湾の日本に対する歴史認識」 【2】第51回SGRAフォーラムへのお誘い(7月16日東京)(再送)  「『今、再び平和について』:平和のための東アジア知識人連帯を考える」 *********************************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#495 ◆李わしょ「台湾の日本に対する歴史認識」 歴史認識とは、簡単にいえば人間が歴史をどう理解し、現状と将来をどう捉えるかということである。一方、歴史は人間によって作られたものであるために、歴史認識も常に変化している。台湾のような住民構成が極めて複雑な地域では、それぞれの民族や世代によって日本に対する歴史認識も異なる。本稿のタイトルには「台湾」と書いてあるが、内容はあくまで筆者の家族及び筆者自身の見聞を中心に語るものに過ぎない。 まず、台湾近代の歴史を簡潔に紹介しておきたい。17世紀から19世紀までの二百年間、中国の東南沿海部の福建と広東両省の漢民族が大量に台湾に移住してきた。しかしそれ以前より、台湾には様々な民族が既に居住しており、現在これらの住民は「先住民」または「原住民」と呼ばれる。そして、日清戦争で日本に負けた清国は1895年に下関で日本と日清講和条約を締結し、台湾などの領土を日本に割譲した。それから第二次世界大戦が終わった1945年までの五十年間、台湾は当時の大日本帝国の初めての植民地として、日本帝国政府の統治を受けていた。 戦後、1945年から4年間にわたって、中国大陸では国民党と共産党による全面的な内戦が起こった。この間、1947年2月28日、のちの台湾史に多大な影響を与えることになる歴史的事件、いわゆる2・28事件が起こった。この事件に巻き込まれた犠牲者の数は二万人近くに上り、その中には数多くの台湾エリートや学生も含まれた。1949年末、国民党政府は内戦に敗北し、百万余りの軍民を率いて、当時総人口がまだ六百万人未満だった台湾に撤退する。同年5月、これに先立ち、共産党との内戦状態が続く中、国民党政府は戒厳令を布告した。以来1987年7月に解除されるまで、ほぼ40年間にわたり、台湾は戒厳状態、即ち国民党の一党独裁の状態に陥ってしまった。 次に、筆者の家族を例にして、世代間で日本に対する歴史認識の相違について話したい。筆者の祖父は1922年、ちょうど日本統治中期に台南で生まれた。祖母は祖父より一歳下であり、筆者の覚えている限り、祖父母は家族と喋るときは大体台湾語を操るが、二人きりのときは日本語しか話さない。収賄などの不祥事を暴かれた国民党政府を、しばしば日本統治時代を比較対象にして非難していた。祖父母が日本に好感を抱いていることは明らかであろう。 しかし、同世代の台湾人が必ずしもこのようなわけではない。筆者は2014年2月に帰国した際、日本に対する歴史認識について、高校時代の恩師、呉淑娥先生に訊ねた。先生は自分の祖父の話を教えてくれた。文盲であった先生の祖父は、日本統治初期に政治犯として警察に反乱の疑いで逮捕され、1945年に国民党政府が来るまで冤罪によって収監されていた。それゆえ、彼は刑務所から出た後、日本への憎しみが噴出し、家族全員に日本人との婚姻を絶対許さないと伝えたそうである。日本統治時代に生まれ育った筆者の祖父母のように、日本に親近感を持つ台湾人は恐らく多数派だが、呉先生の祖父のようなケースにも注目すべきだろう。 親日派の祖父母に対して、戦後に生まれ、戒厳状況下でかつ国民党の歴史教育を受けて育った父になると、日本に対する態度が一変する。父の書斎には大量の古典漢籍が並んでおり、本には朱墨で書き込んだり折ったりした痕跡が随所にある。祖父母に反して、父は日本が行った近代以降の領土拡張や、植民地における幾度の武力鎮圧や残酷な手段による資源の搾取などの行為を強く批判していた。だが、中国と同じように欧米列強に開国させられ、明治維新で近代化に成功した点では絶えず賞賛する。一方、母の頭の中に浮かび上がる日本人のイメージは凶暴な警察しかなさそうであるが、母が日常生活によく使っている家電製品は大体日本製であり、また常に友達にも日本製品を勧める。父に比べ、母は日本に対して肯定的な態度をとっているというより、むしろ歴史認識を欠いているように思われる。 筆者は、なぜ自分の家族の中で日本に対する歴史認識がこんなに違うのかを常に自分に問いかけている。筆者は歴史学科出身のため、この課題に臨むとき台湾と日本を近代史の流れの中で捉えている。そうしてみると、現在の台湾における対日の歴史認識は、中国を外在する他者として対抗的に捉え、一方で日本というイメージのなかに自己を投影することによって自己の主体性を主張する過程で成立したものではないかと考えられる。 九州とほぼ同じ面積の台湾では、16世紀から現在にわたり、オランダ、清王朝、大日本帝国、国民党政府などの統治者が次々と入れ替わり、この土地の住民に様々な影響を与えてきた。それゆえ、このような小さい土地でありながら、人々は自分なりの歴史認識や歴史課題を抱えている。これは台湾の歴史に収まらず、近代のヨーロッパから発生したグローバル化という動き、また東アジア諸国がこの動きにそれぞれどう向き合ってきたかなど、様々な複雑な課題に深く関わるので、筆者の知識や学力ではまだ完全に掌握することができていない。冒頭で述べたように、これは一つの例として、ただ筆者の家庭および周囲の人たちとの交流を通して考えてみた台湾の日本に対する歴史認識を述べたに過ぎない。しかし、これを端緒として台湾の歴史の複雑さを改めて考え直せるのではないかと思う。 <李わ書(り・わしょ)Li_He-Shu> 2015年度渥美奨学生。2011年10月に東京大学大学院人文社会系研究科外国人研究生として来日。2012年4月に同研究科博士課程に入学。2016年3月に単位取得退学。現在、東京大学大学院人文社会系研究科助教。専門は中国中世思想史、道教史。 【2】第51回SGRAフォーラムへのお誘い 下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・連絡先・懇親会への出欠をSGRA事務局宛ご連絡ください。 テーマ:「『今、再び平和について』:平和のための東アジア知識人連帯を考える」 日時:2016年7月16日(土)午後1時30分~5時30分、その後懇親会 会場:東京国際フォーラムガラス棟G701号室 http://www.t-i-forum.co.jp/general/access/ 参加費:フォーラムは無料、懇親会は正会員1000円、メール会員・一般2000円 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp 03-3943-7612) ◇フォーラムの趣旨 今回のフォーラムは、混迷を深める東アジアの国際情勢に対して、国際政治や安全保障論の方向からの現状分析やシナリオの提示ではなく、平和研究または平和論という方向からの問題提起として位置付け、進めていきたい。 そのためには、東アジア各国における「平和論」の現状を確認し、各国で「何よりも平和を優先する考え方」が各個撃破されている現状を検証すると共に、こうした現状に風穴をあけるためにはいかなる方法があるのか、そのために学問をする者として、知識人として何ができるのかを議論する場としたい。 そして、この地域の研究者たちが知識エンジニアになりつつある現状、あるいは、安全保障の専門家たちに平和が呪縛されている現実に対して、平和を語る知識人としての研究者の役割、東アジアの知識人の連帯の意義を考えたい。 ◇プログラム <問題提起1>「平和問題談話会と東アジア:日本の経験は東アジアの公共財となり得るか」   南基正(ソウル大学日本研究所副教授) <問題提起2>「東アジアにおけるパワーシフトと知識人の役割」   木宮正史(東京大学大学院総合文化研究科教授) <報告1>「韓国平和論議の展開と課題:民族分断と東アジア対立を越えて」   朴栄濬(韓国国防大学校安全保障大学院教授) <報告2>「中国の知識人の平和認識」   宋均営(中国国際問題研究院アジア太平洋研究所副所長) <報告3>「台湾社会における『平和論』の特徴と中台関係」   林泉忠(台湾中央研究院近代史研究所副研究員) <報告4>「わだかまりを解き、真の平和を求めよう」   趙剛(中国社会科学院日本研究所副研究員) <報告5>「日本の知識人と平和の問題」   都築勉(信州大学経済学部教授) <パネルディスカッション> プログラムの詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/05/SGRA_Forum_51_Program-.pdf ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第51回SGRAフォーラム(2016年7月16日東京)<参加者募集中> 「『今、再び平和について』平和のための東アジア知識人連帯を考える」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6704/ ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ <発表論文(要旨)の募集は締め切りました。参加登録受付中> ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2016/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • SGRA Fukushima Study Tour #5 Report

    ************************************************ SGRAかわらばん625号(2016年6月23日) ************************************************ ◆全相律「第5回SGRAふくしまスタディツアー『飯舘村、帰還に挑む』報告」 渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA・セグラ)では、2012年秋から毎年、福島原発事故の被災地である福島県飯舘(いいたて)村へスタディツアーを行っています。今年も、5月13日(金)から15日(日)の3日間、SGRAふくしまスタディツアー《飯舘村、帰還に挑む》を実施しました。 「SGRAふくしまスタディツアー」は、今年で5回目。参加者は渥美財団のラクーンメンバー、留学生、大学教授や社会人など10名でした。国籍はアメリカ、イタリア、カナダ、韓国、スウェーデン、日本で、まさに「SGRAならでは」の多様な国からのメンバーが参加しました。 一日目の13日の朝、9時24分発の東北新幹線(やまびこ113号)で福島に向かった私たちは、「福島市の再生エネルギービル」を訪れました。このビルには、毎年受入れをお願いしている「ふくしま再生の会」の他に、飯舘電力、会津電力、「いいたてまでいの会」などの団体が入っており、互いに交流・協力しながら運営しているとの説明を受けました。その後、福島市内にある松川第一仮設住宅を訪れ、木幡一郎さん(会長)から「仮設住宅での生活」や「帰還に対する不安」について話を伺いました。説明を伺った後は、仮設住宅の敷地内にあるラーメン屋「中華琥珀」で昼食を食べて(琥珀ラーメン、とても美味しかったです)、この日の最後の見学地である飯舘村役場飯野出張所を訪問しました。そこで門馬伸市副村長から2017年3月(予定)からの帰村計画についてお話を伺いました。初日の飯舘村内の見学を終えた私たちは、ふくしま再生の会の活動拠点である霊山センターに到着し、夜は参加者たちが作る各国の手作り料理を食べながら親交を深めました。 二日目。午前中はふくしま再生の会の副理事長(福島代表)である菅野宗夫さんのお宅を訪問し、田んぼの「電気柵」作業をしました。午後はNPOプラチナギルドの会と合流し、村内を視察しました。まず、比曽の菅野啓一さん宅を訪問し、事故後の経緯や現状などを説明してもらいました。その後、家の裏手に回りイグネ(屋敷林)の除染や実験小屋の取り組みについても説明を受けました。飯舘村の森林は除染の対象から外されていますが、森林、樹木はどのくらい汚染されているのか、除染はどうしたら可能なのか、などの答えを出すための実験です。話を聞くだけで、その複雑さ、難しさが伝わってきます。 その後、立ち入り禁止区域である長泥のゲートや村役場、測定専用車の車庫も見学して回りました。夜は霊山センターの食堂で、村の方や東玉野地区の方なども参加された「大交流会(60名ほど)」が開かれました。かしこまった挨拶は抜きで、それぞれが自由に楽しく言葉を交わし、新たな人の輪ができました。とても楽しかったです。 三日目。最終日の午前、小宮の大久保金一さんのお宅を訪ねた私たちは「ふくしま再生の会」の会員で、東京大学大学院農学生命科学研究科教授の溝口勝先生の説明を伺いながら、小宮の試験田で除染を兼ねた代かきをしました。トラクターで代かきをした後に続きテニスコートブラシで排水し、これを繰り返しました。こうした作業により、田んぼの除染がどの程度可能になるのか、科学的な理論と、新しいアイディアと、経験をもとにした地道な実験が続きます。 その後、菅野宗夫さんのお宅に戻り、昼食のおにぎりを食べながら、宗夫さんのお話を伺いました。そして、参加したメンバーそれぞれが感じたスタディツアーの感想も語り合いました。 出発の前に一番気になっていた放射線数値は、私たちが主に生活や活動をしていた霊山センター、菅野宗夫さんのお宅と田んぼ、小宮の試験田などで0.1~0.3マイクロシーベルト(μSv)程度。最終日に飯館村を発つ時の個人測定器の数値は10~13マイクロシーベルト(μSv)でした。 今回のスタディツアーは私にとってまさに「見て、知って、考える」の旅でした。これから宗夫さんの言葉通り「自分が見て体験した被災地のことを忘れず、今自分にできることを考えながら、(段々その関心が薄れていく)福島のことをなるべく大勢の人に伝えていきたい」と思っています。今後リピーターとして飯館村を訪ねる際は、今の「(帰還に対する)不安や恐怖」が「希望や笑顔」に変わっていることを期待しています。 <全相律(ジョン・サンユル)Sangryul JEON> 渥美国際交流財団2016年度奨学生。韓国外国語大学大学院で日本語学を専攻。2009年4月文部科学省研究留学生として来日。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻修士課程を経て現在博士後期課程在学中。専門は言語の普遍性と多様性に基づく日本語学・日韓対照言語学の研究。 ●スタディツアーの写真は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/photo-gallery/2016/6851/ ●参加者の感想文を下記リンクからお読みください。 ◇リンジー・モリソン 「忘れ難きふるさと飯舘村に寄せて」 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/06/Fukushima_Study_Tour_EssayMorrison.pdf ◇宮里かをり「見て、聞いて、知って、感じて、考えた3日間」 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/06/Fukushima_Study_TourMiyasatofinal.pdf ◇李志炯(イ・ジヒョン)「新たなライフスタイルを目指して」 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/06/Fukushima_Study_Tour_EssayYidocx.pdf ◇マックシム・ポレリ「<知る>と<分かる>」 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/06/Fukushima_Study_Tour_EssayPolleri.pdf ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第5回SGRAワークショップin蓼科(2016年7月2~3日) 「地球市民って誰?」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6688/ ◇第51回SGRAフォーラム(2016年7月16日東京)<参加者募集中> 「『今、再び平和について』平和のための東アジア知識人連帯を考える」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6704/ ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ <発表論文(要旨)の募集は締め切りました。参加登録受付中> ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2016/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Sie Huei-zhen “Nittai Asia Mirai Forum #6 Report”

    ************************************************** SGRAかわらばん624号(2016年6月16日) ************************************************** ◆謝惠貞「第6回日台アジア未来フォーラム『東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―』報告」 2016年5月21日、第6回日台アジア未来フォーラム「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」が台湾高雄市の文藻外語大学で開催された。西欧的国家モデルをいち早く志向して近代国家の成立に成功した日本は、二十世紀東アジアにおける知の交流を語る際に常に重要な役割を果たしてきた。しかし、近年のグローバル化の急速な進展によって、国民国家の恣意性が明らかになり、また様々な分野の活動にみられる多くの越境者たちの存在や異なる共同体における記憶の構築、多文化主義に見られるような共生の実践など、多種多様な交流の形態がこれまでのような国家単位における知の交流の形を大きく変えてきている。こうした東アジアにおける知の交流の変容をめぐって、講演と論文・ポスター発表を通して、多様な議論が展開された。 今回は、台湾日本人会の呼びかけを通して、全日本空輸(株)台湾支社、ケミカルグラウト(株)(日商良基注入営造)、台湾本田汽車(股)、みずほ銀行台北支店より協賛を頂いたお蔭で盛大に開催ができた。 当日は、文藻外語大学の陳美華副校長と渥美国際交流財団今西淳子常務理事に続き、交流協会高雄事務所中郡錦藏所長、台湾日本人会日台交流部会の竹内功部会長、同会高雄支部の宮尾圭一支部長から開会のご挨拶をいただいた。総勢170名の方々に参加していただき、盛大に幕を開けることができた。 最初の基調講演は、立命館大学の西成彦教授が「元日本兵の帰郷」という演題で行った。西教授は「マイノリティ文学に潜在する二層性(想定される読者の二重性)は、戦後の日本語文学(とくに日本国籍を持たない「在日」の作家)を考える場合に決して見落としてはならない重要なこと」であると指摘し、台湾人元日本兵であった陳千武の小説集『生きて帰る』を取り上げて論じた。こうした台湾人元日本兵の戦争経験は、大日本帝国が強いた「華人ディアスポラ」の一例とみなすべきだと語り、戦後沖縄文学の「嚆矢」と呼ばれる太田良博の「黒ダイヤ」をその対照として分析した。前者が中国語で綴ることを強いられた状況や、後者が引揚げ後に米軍軍政下に置かれるといった立場が、戦後「大日本帝国文学」のネガとして映されていると論じることによって、現代台湾・沖縄人の心象的鏡像を提示した。 次の基調講演は、2015年に第153回直木賞を受賞した台湾籍の作家東山彰良氏が「台湾で生まれ、日本で書く」をテーマに、自分自身のアイデンティティの揺らぎと「越境」作家としての心境を語った。大会のサブテーマ「越境・記憶・共生」に沿って、作家としての営為が越境的であるかどうかを回顧し、常に「越境的」な題材では書き続けられず、むしろ読者に感情移入できるように工夫することによって、結果的に読者の「越境」を手伝うことになると述べた。 東山氏にとって、越境作家と称し得るのは、ドミニカ系アメリカ人作家のジュノ・ディアスやブルガリア系ドイツ人作家のイリヤ・トロヤノフなどの移民作家に加え、母国語を英語とし、日本語で台湾や中国のことを書いたリービ英雄であった。東山氏は彼らのような思惟の越境や言語の越境をともなってこそ「越境文学」と称し得るのだと述べ、両者はどこにも所属しない「喪失感」を共有しているのだと述懐した。しかし、外部から強制的に決められたアイデンティティを強要される場合、その権力の共犯構造に巻き込まれる沈黙の大衆にならないためにも、その権力と戦うべきだと述べ、スピード感に溢れるその語りぶりは会場を大いに魅了した。  続く研究フォーラムでは、台湾大学日本語文学系教授・日本研究センター副主任の林立萍教授を司会に迎え、「越境・記憶・共生に向けた知の交流」というテーマで、台湾、日本、中国、そしてアメリカという4つの視点から議論を掘り下げていった。名古屋学院大学の土屋勝彦教授は現代ドイツ文学の視点から越境を論じた。ドイツにおける移民文学が内なる他者性を喚起することに触れ、こうした他者による創作が言語的崩壊や国家意識の崩壊を導く契機となることを論じた。 また、コロラド大学教授フェイ・阮・クリーマン教授は、AKBなど現代のアジアの都市文化をつなぐ越境的な現象を手がかりに、ネグリとハートの『帝国』が提起した境界も差異もない「滑らかな空間」(smooth_space)について提起した。その上で、2011年前後から急速に増えてきた翻訳活動を中心とした日台間の知識人ネットワークについて言及した。 廈門大学日語系教授兼学科主任の呉光輝教授は、西田幾多郎の思想を手がかりに、アジアにおける越境行為の持つ意義について論じた。西田思想を基にして、東洋と西洋によって共同で作り上げられたオリエンタリズムが持つ意義についても言及を試みた。 最後に、立命館大学の西成彦教授が、帝国主義時代におけるリンガ・フランカ(共通語)の問題を手がかりに、かつては言語的なヘゲモニーの下で個人が複数の言語を宿す状態があったことを述べ、そこからカフカのような「マイナー文学」が生まれてきたことについて言及した。帝国の文学がマイノリティの文学を奨励する一方で、そこから生まれる「マイナー性」がやがてセクシャルマイノリティまでをも包括することになると指摘し、それらがやがて人間の意識の変容をもたらすきっかけとなる可能性を述べた。 午後からのフォーラムでは、「文学」、「言語・教育」、「歴史・文化」という3つのセッションをそれぞれ2会場で構成して、台湾、日本、韓国、中国、ドイツ、アメリカで活躍する学者たちを招き、多角的な視点から深い議論が展開された。合計32本の論文発表と7本の日本語教育実践報告が行われた。 文学A会場では、文藻外語大学主任の林淑丹教授による「生命と共同体の記憶―『楢山節考』の世界」、銘伝大学頼衍宏副教授による「長屋王の変と『南斉書』」、そして北京大学の解璞助理教授による「中国現代小品文学と明治文学-水野葉舟『響』を中心に」、青島科技大学劉文娟講師による「川端康成「五拾銭銀貨」論」など、主に日中文学の比較研究に関連する4本の論文発表があり、台湾と中国における関連研究の蘊蓄の深さによってさらなる展開が生まれた。 文学B会場では、主に戦前から戦後までの台湾文学がいかに日本(語)と交渉してきたかを議論した。まずは文藻外語大学の黄意Wen副教授による「銀鈴会の会誌から跨時代作家が如何に「越える」かを見る」、文藻外語大学の倉本知明助理教授による「越境するディストピア-ポスト・フクシマにおける台湾の原発小説」、輔仁大学の石川隆男講師による「張文環文学にみる保存的記憶-『山茶花』を例として」、文藻外語大学の謝惠貞助理教授による「越境するノスタルジア-東山彰良『流』におけるアウトロー像を通して」、北京外国語大学の劉妍講師による「雑誌『改造』と中国―横光利一『上海』を通して」、中興大学通識教育中心の蕭怡Shan講師による「南島・趣味・旅行:日本統治期『台湾日日新報』における国島水馬の台湾旅行挿絵―「納涼八景」、「納涼八計」を例として」が発表された。現代に引き継がれた言語・遺産・記憶・文化・風景をめぐって、戦前と戦後の状況を対照しつつ論証することが未来志向の提案としても成立することが証明された。 言語・教育C会場では、信州大学の岩男考哲准教授と岐阜大学の仲潔准教授が「生徒たちが教科書で触れる「異文化間交流」を、文藻外語大学の賴美麗助理教授が「オーラルテストにルーブリックを導入する試み」を、同学方斐麗助理教授が「日本語副詞「きっと」と「必ず」の文法機能に関する研究」を、同学林琪禎兼任助理教授が「初級日本語学習者に対する「自他動詞」の指導について」を、同学張汝秀助理教授が「日本語会話授業のコース・デザイン-文藻外語大学日本語文系の会話授業を例として」を、同じく同学の久保田佐和子講師が「横断的に見た文藻外語大学日本語学習者の発話習得状況―アーティキュレーションを考慮点として」を発表した。学生の学習目標の意識化を助ける新しい教授法を実施、検討した成果であった。 言語・教育D会場では、5本の論文発表があった。文藻外語大学の董莊敬副教授の「日本の政策文書におけるキャリア教育の言説」は、非適応の若年者へのサポートによる自己形成へのシフトを提言した。同学の陳淑瑩助理教授の「日本統治下における台湾原住民の歴史教育-「尊王論」を中心に」は、皇民化政策として導入した差別構造について分析した。同学の小高裕次助理教授の「台湾で販売されている初学者用日本語教材における日本語発音の記述について」は、清音と濁音の区別を十分に解説されていない現状について指摘した。広州大学の李瑩瑩講師の「上代変体漢文における漢文助辞の破格と受容について-「矣」字を例として」は、「矣」が漢文助辞の提示用法と国語助詞「ヲ」の表記へ移行した過程を論じた。屏東大学の石川清彦講師の「日本語ディベートへの批判的考察」では、情報伝達を目的とするように教授法としてのディベートの改善を唱えた。上記二者は異色の発表であったが、小高氏の幅広い専門知識で熱い対話が交わされた。 歴史・文化E会場では、文藻外語大学の李姵蓉助理教授より、「戦争責任再論-記憶の忘却、喚起と継承」という問題提起が行われた。同学のドイツ籍の李克揚助理教授は、「海外人権力者たちの見たフォルモサ―ドイツのアジア植民地獲得の目標となった台湾をめぐる経緯」という意外な歴史を解明した。中国文化大学の黄馨儀助理教授は、「NHK朝の連続テレビ小説の台湾受容:『あまちゃん』のインタビュー調査を中心に」で、メディアによる日本文化への共感の仕方を分析した。中興大学の陳建源助理教授は、「東アジア大衆観光における多文化実践―士林官邸と蒋・宋家族の物語から考える」で、観光による文化創出の可能性を論じた。立命館大学博士課程の鄧麗霞氏は「”大東亜電影”的演繹與破綻-以《支那之夜》與《莎韻之鐘》為中心」において、李香蘭が「国策映画」の戦略に起用されたことを論じた。早稲田大学の野口真広次席研究員は「植民地台湾と自治-自律的空間への意思」において、楊肇嘉という運動家が大英帝国の立憲主義に啓発されたことを解明した。 歴史・文化F会場では、台中科技大学の坂井洋兼任講師による「植村正久の思想と蔡培火―伝道対象としての台湾人」、義守大学の李守愛副教授による「日本の古代における釈奠と台南孔子廟の釈奠の発展」、中央研究院台湾史研究所ポスドクの曽齢儀氏による「宇治茶と台湾烏龍茶―三好徳三郎と日台間の茶の交流」、国立故宮博物院の蔡承豪副研究員による「流動、調查與詮釋:文溯閣四庫全書「臺灣」」、立命館大学生存学センター番匠健一研究員による「日本統治期台湾における「植民論」とSettler_Colonialism:後藤新平と高岡熊雄の関係に着目して」は、いずれも系譜学という方法を意識した比較・受容研究で、日台文化や思想への理解を深める結果となった。 また、高雄の名山、半屏山とキャンパスを一望できる眺望スペースにおいて、文藻外語大学の日本語教師による教育実務報告が行われた。黄思Wei助理教授による「台湾における日本語のアクセント句の学習についての一考察」、韓国籍の趙英美助理教授による「韓流と韓国語学習の関係」(発表は英語)、郭雅芬講師による「反転授業の試み―文藻外語大学専科部二年生の“日本語二”での試み」、童鳳環講師による「「暗誦」が第二言語習得における位置づけについて―文藻外語大学専科部一年生を対象に」、蔡燕昭講師による「遠隔授業教材製作の問題点―文藻夜間部日本語(一)の前期の教材を中心に」、遲秀蘭講師による「日本語の授業におけるSLT(Situational_Language_Teaching)教授法の応用―初級クラスを例として」、陳貞Wen講師による「集中力を高める試みー初級日本語文法の授業を例に」は、文藻外語大学が教授法の改善を追求し、教育に力を入れている熱意を学者や来賓たちに伝えることができた。 今回のフォーラムでは、中国語・日本語・英語による発表が可能で、コメンテーターも2ヶ国語以上が堪能な学者たちであった。台湾は「東アジアにおける知の交流」を促進するための基本的条件を備えていると言える。また、文藻外語大学のドイツ学科より発表者がおり、欧亜語文学院張守慧院長もドイツ文学専門であったために、パネリストのドイツ文学専門の土屋先生と、東アジアにおけるヨーロッパ研究の交流を交わすことが出来たのが意外な収穫だった。日本と台湾の深い絆を活かして、東アジアやグローバルな研究へと広がる一助となるフォーラムとして、末永く続く記憶されることを願ってやまない。 当日の写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/photo-gallery/2016/6733/ アンケート集計結果は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/06/Nittai6_Anketo.pdf <謝惠貞(しゃ・けいてい)Sie_Huei-zhen> 2012年9月東京大学大学院人文社会系研究科より博士号取得。博士論文のテーマは「日本統治期台湾文化人による新感覚派の受容――横光利一と楊逵・巫永福・翁鬧・劉吶鴎」。文藻外語大学日本語文学科の助理教授。 ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第5回SGRAワークショップin蓼科(2016年7月2~3日) 「地球市民って誰?」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6688/ ◇第51回SGRAフォーラム(2016年7月16日東京)<参加者募集中> 「『今、再び平和について』平和のための東アジア知識人連帯を考える」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6704/ ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ <発表論文(要旨)の募集は締め切りました。参加登録受付中> ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2016/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Invitation to SGRA Forum #51 (Resend)

    ★返信用メルアドを修正しましたので、再送します。 ************************************************ SGRAかわらばん623号(2016年6月9日) ************************************************ ◆第51回SGRAフォーラムへのお誘い 下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・連絡先・懇親会への出欠をSGRA事務局宛ご連絡ください。 テーマ:「『今、再び平和について』:平和のための東アジア知識人連帯を考える」 日時:2016年7月16日(土)午後1時30分~5時30分、その後懇親会 会場:東京国際フォーラムガラス棟G701号室 http://www.t-i-forum.co.jp/general/access/ 参加費:フォーラムは無料、懇親会は正会員1000円、メール会員・一般2000円 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp  03-3943-7612) ◇フォーラムの趣旨 今回のフォーラムは、混迷を深める東アジアの国際情勢に対して、国際政治や安全保障論の方向からの現状分析やシナリオの提示ではなく、平和研究または平和論という方向からの問題提起として位置付け、進めていきたい。 そのためには、東アジア各国における「平和論」の現状を確認し、各国で「何よりも平和を優先する考え方」が各個撃破されている現状を検証すると共に、こうした現状に風穴をあけるためにはいかなる方法があるのか、そのために学問をする者として、知識人として何ができるのかを議論する場としたい。 そして、この地域の研究者たちが知識エンジニアになりつつある現状、あるいは、安全保障の専門家たちに平和が呪縛されている現実に対して、平和を語る知識人としての研究者の役割、東アジアの知識人の連帯の意義を考えたい。 ◇プログラム <問題提起1>「平和問題談話会と東アジア:日本の経験は東アジアの公共財となり得るか」 南基正(ソウル大学日本研究所副教授) <問題提起2>「東アジアにおけるパワーシフトと知識人の役割」 木宮正史(東京大学大学院総合文化研究科教授) <報告1>「韓国の平和研究現況と課題:民族分断と東アジア対立を越えて」 朴栄濬(韓国国防大学校安全保障大学院教授) <報告2>「中国の知識人の平和認識」 宋均営(中国国際問題研究院アジア太平洋研究所副所長) <報告3>「『中国台頭』の時代に中台平和はどう維持できるのか」 林泉忠(台湾中央研究院近代史研究所副研究員) <報告4>「わだかまりを解き、真の平和を求めよう」 趙剛(中国社会科学院日本研究所副研究員) <報告5>「日本の知識人と平和の問題」 都築勉(信州大学経済学部教授) <パネルディスカッション> プログラムの詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/05/SGRA_Forum_51_Program-.pdf ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第5回SGRAワークショップin蓼科(2016年7月2~3日) 「地球市民って誰?」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6688/ ◇第51回SGRAフォーラム「『今、再び平和について』平和のための東アジア知識人連帯を考える」 (2016年7月16日東京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6704/ ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ <発表論文(要旨)の募集は締め切りました。参加登録受付中> ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2016/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Lamsal Bikash “First Free Health Camp for Nepalese in Japan”

    ************************************************ SGRAかわらばん622号(2016年6月2日) ************************************************ SGRAエッセイ#494 ◆ラムサル・ピカス「日本初ネパール人無料健康診断会(ヘルス・キャンプ)」 どんな事態であっても生きている限りは大切なものがある。それは健康な体である。健康な体なしには、何をしようとしてもうまく行かなかったり、やる気がなくなったりする。近年は特に、仕事ばかりに夢中になって、健康管理ができていない人も少なくない。特に、それは外国人にとって最大の問題!何か体に異常があった時に、母国に居るように何でも理解できている状態で病院に行くのとは違って、外国にいて言葉も何もわからないまま病院へ行くのは問題点が多い。栃木、群馬県内には留学生、技能実習生、自営業者など約3700人のネパール人がいる。その中には、国民健康保険証がない等で病院へ行けない人もかなりいる。 2015年4月15日にネパールで起きた地震で大きな被害が出たが、地震の後、ネパールとネパール人を助けようと足利市在住の渡辺好美さんと源田晃澄住職が中心となって、市内の企業に声をかけ、地元の15社に協力いただいた活動があった。今回、私は健康診断キャンプを開催したいと思い、渡辺さんと源田さんの支援を受けて、色々なところへ行き色々な人に相談した。おかげで、力を貸してくれる仲間と、支援してくれる人達が集まって、足利ネパール交流協会が誕生した。こうして、2016年4月30日と5月1日に「ネパール人向け無料健康診断と面談会(ヘルスキャンプ)」が、私の在籍する足利工業大学のキャンパスを借りて開催されることになった。 このイベントが始まったのは4月29日。朝6時に東京へ出発し、車でネパール人医師たち6人を迎えに行った。足利に到着し食事を済ませてから、皆と一緒に会場へ行き、会場設営や看板の設置など必要なことを準備した。夕方6時、医師たちの歓迎会のため足利健康ランドへ向かった。歓迎会には、協賛企業から17名、足利工業大学から3名、足利ネパール交流協会3名、医師10名、取材者1名とボランティア3名で合計36名が参加した。歓迎会終了後、医師たちと何人かのボランティアは健康ランドに宿泊した。 4月30日、イベントは9時開始なので朝早く会場に着いた。看板やら道案内などをセットしてから、医師やボランティアの方々と朝礼。受付を2ヶ所に設置し、1番目は調査のために使い、2番目は患者登録に使用した。受付ではパソコンをネットワークに繋ぎ、患者の個人情報保護に配慮した上で、それぞれの医師が患者の基本情報が見られるようにして、医師たちが面倒なことをしなくて済むように準備した。医師たちには「日本に居ても、ネパールのようにネパール語で患者の診断をすることができるのはとても嬉しい」と言われた。患者たちからは「ネパール語で診断を受けたのは久しぶりだね」、「ネパールに戻ってきた気分だよ」というような声が聞こえた。この日は午前9時から午後5時までの間に、82人が診断を受けた。 次の日も全体的な流れは初日とほとんど変わらなかった。診断を受けたのは68人。1日目より増えると想定をしていたが、それには届かなかった。しかし、何よりも、診断を受けた人々が満足してくれたのが嬉しい。 中に、アメリカ英語とイギリス英語の違いから日本の病院で伝わらなかったという患者がいた。その女性は「ちゃんと言ったのに分かってもらえなかった」と悲しんでいた。「痔核」はアメリカ英語では「Hemorrhoid」と言い、イギリス英語で「Piles」と言う。今はアメリカ英語が主流で、あまり「Piles」は知られていない。しかし、英国の植民地だったインド、パキスタンとかネパールでは今でも使われており、彼女は伝わると思ったのだが、残念ながら日本の病院では伝わらなかったのだ。 健康診断で解決できなかった問題が1つあった。若い女性がネパールでNorplantを入れたが、日本に来てから妊娠したくなったため、取ってもらおうと思い近くの産婦人科にかかったが断られたという相談だった。しかしながら、日本ではNorplantを取り扱っていないので処置はできない。Norplantとは簡単な細長い道具で皮下に数本植め込むのだが、取る時も小さい切開手術が必要である。 5月1日の午後4時半にネパール国臨時代理大使がいらっしゃるとのことだったので、4時に診断を中止し、交流会場を急いで設営した。臨時代理大使が到着して感謝会が始まった。ネパール国臨時代理大使ゲヘンドラ・ラジュバンダリ、足利ネパール交流協会会長渡辺好美、副会長源田晃澄を始め47名が参加した。ラジュバンダリ大使は「ネパール・日本友好60周年であるこの年に、ネパールと日本の友好関係がどれだけ強いのかを知ることができました。ネパールも日本も友好関係にあるからこそできるイベントです。」と話し、足利工業大学と足利ネパール交流協会に感謝状を贈呈した。医者たちへの感謝状は栃木産婦人科医院の栃木英磨医院長、ボランティアとして手伝ってくれた方々への感謝状は渡部好美会長と源田晃澄副会長によって手渡された。記念品としてネパール「ダカ・トピィ」を被せて、「カダ」で敬意を表した。最後に軽い食事会をして、イベントは終了した。 訪れた患者たちは、「このようなイベントを開いてくれてありがとう」、「こんなイベントが年に2回ぐらいあれば助かります」、などと語ってくれた。ボランティアの方々も「こんなイベントの一員として仕事をさせてくれてありがとう」と言ってくれた。皆の印象に残るイベントだった。 当日の写真・新聞記事は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2016/06/healthcamp.pdf <ラムサル ビカス Lamsal Bikash> 渥美国際交流財団2016年度奨学生。トリブバン大学科学技術学部。物理学科を終えて、2010年1月に日本語学生をとして日本へ来日。2014年3月に足利工業大学大学院修士課程を取得。2014年4月から足利工業大学大学院博士課程情報・生産工学専攻に入学。現在は顔検出技術について研究中。 ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第5回SGRAワークショップin蓼科(2016年7月2~3日) 「地球市民って誰?」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6688/ ◇第51回SGRAフォーラム「『今、再び平和について』平和のための東アジア知識人連帯を考える」 (2016年7月16日東京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6704/ ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ <発表論文(要旨)の募集は締め切りました。参加登録受付中> ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2016/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Lee Ji-Hyeong “Monozukuri and Coral Reef”

    ************************************************************************** SGRAかわらばん621号(2016年5月26日) 【1】エッセイ:李志炯「ものづくりと珊瑚礁」 【2】催事紹介:国際シンポジウム「日本人のモンゴル抑留とその背景」(5月28日東京) ************************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#493 ◆李志炯「ものづくりと珊瑚礁」 「珊瑚虫が作り出す珊瑚礁のように個体が作り上げたものもまたその個体と同様に遺伝子の表現型だった。」これは私が尊敬する押井守監督の作品である『攻殼機動隊-Innocence』の中に出てくるセリフである。この言葉が私の心に残っているのは珊瑚礁を作る仕事とかかわっているからかもしれない。特に、デザインという珊瑚礁は人間の生活に密接しているので、その形によって人間の人生が大きく変わる。そのため、デザインする際にはこのことをよく考えなければならない。 しかし、今までのデザイン、すなわちものづくりに問題はなかったのか。20世紀には国の成長のために国民(人間)が犠牲にされた部分もあったと思うが、ある程度の成長を成し遂げた21世紀に20世紀のものづくり方式は相応しいのか。最近、テレビのニュースを観ていると、珊瑚虫が作り出した珊瑚礁のせいで苦労している人間が多くみられる。特に、スマートフォンのような通信機器とかかわる産業でよくみられるようだ。 20年前に比べ、スマートフォンのような通信機器の発達によりコミュニケーションが一層とりやすくなった。しかし、作用があるとその反作用もある。コミュニケーションがとりやすくなることにより人間関係にも変化が訪れた。連絡したいと思えばいつでもできることによって他人への思いが薄くなっている。また、昔は手紙を書く際には言葉のひとつひとつに思いを込めたが、今はあまり考えずにEメールを書いたり、ブログ等に書き込んで相手を傷つけてしまうことも多いという。 さらに、コミュニケーションのしやすさの反作用が大きいのが「LINE」のような無料通話アプリケーションである。現在最も注目されている事業分野である。これらの発達により国内電話だけではなく国際電話まで無料になり、多くの人にコミュニケーションの利便性を与えた。しかし、その一方でテレビのニュースで見かけるのが無料通話アプリケーションを通したイジメである。朝から晩まで、そして学校でも家でも無料通話アプリケーションでイジメられて、被害者が帰らぬ人になってしまう事件が増えている。 このような問題は誰の責任か。つくる側の責任なのか。それとも利用する側の責任なのか。私はデザインを専攻しているから、このような問題をつくる側の観点から考える。今までのものづくりを見ると、利便性を優先する傾向が強い。また、ものづくりの際に問題点が見えても、功利主義の立場からつくる側の利益ばかりを優先して、問題点が無視される場合もある。 しかし、すべての人間を満足させるものづくり、副作用がないものづくりは、そもそも存在しない。今のものづくりは社会に適合する形であるかもしれないが、人間の未来を考えた場合、本当にこれでよいのか。今のものづくりは社会には適しているかもしれないが、その社会に住んでいる人間には適していない可能性があるのではないか。 珊瑚虫が作り出す珊瑚礁のように、先祖がつくった珊瑚礁の中で私達は住んでいて、私達が作り出した珊瑚礁に私達の子供が住むはずだ。つまり、私たちの感情や思想、先入観を基に作り出した環境で次世代の人々が暮らすということである。つまり、私たちが作り出した環境により次世代の生活が大きく変わることになる。それならば、私たちの子供、また人間社会の未来のために私たちが珊瑚虫である今の時期にどんな珊瑚礁をつくり、世に残すべきなのか。これからはこのことをさらに深く考えなければならないと思う。 一例として私が2007年に日本に来たときと今の日本を比較してみたい。私が日本に来た2007年には電車に乗るとよく見かけたのは、本を読んでいる人や、友達と楽しく会話している人々であった。しかし、今はほとんどの人がスマートフォンでゲームをしている。特に、驚くのは、友達が一緒にいても各自にゲームをやっていることである。我々はスマートフォンゲームという珊瑚礁をつくったが、これによって若者たちの中で会話が少なくなるのではないかと心配になる。 特に、若者はスマートフォンゲームの文化に慣れてしまって、一人でも楽しむことができるから、友達と会うことをあまり重要ではないと思っている。そして、人間関係についてもあまり深く考えなくなり、学校や会社での人間関係でトラブルが発生するとそれに対応できずすぐやめてしまったりする。また、楽しさについての考え方もゲーム等が中心となり、それに邪魔になる恋人はいなくてもよいと思っている。これらは最後に孤独死、うつ病、人間不信、生命軽視による悪質な殺人、低出産などにつながるので、人間の生存を脅かすことになるかもしれない。 このような珊瑚礁の中で生活している珊瑚虫の若者達が、未来の珊瑚礁を作り出す立場になったらどんな社会になるのか、と考えると本当に夜も眠れないほど心配だ。私たちがまだ珊瑚虫である間に、人間の未来のためにどんなものづくりをするべきかについて深く考えなければならないと思う。 <李 志炯(イ・ジヒョン)Lee_Ji-Hyeong> 2007年啓明大学(韓国)産業デザイン科卒業。2007年6月来日、千葉大学大学院工学研究科デザイン科学専攻修士課程終了。2011年~2013年、千葉大学発ベンチャー企業BBStoneデザイン心理学研究所で研究員として勤め、現在は千葉大学大学院工学研究科デザイン科学専攻博士課程在学。韓国室内建築技士・日本ユニバーサルデザイン検定の資格を保有。 【2】催事紹介 SGRA会員で昭和女子大学教授のボルジギン・フスレさんより下記シンポジウムのお知らせをいただきましたのでご紹介します。 ◆国際シンポジウム「日本人のモンゴル抑留とその背景」 日時:2016年5月28日(土)13:00~18:30 [開場12:30] 会場:昭和女子大学80年館オーロラホール    (東急田園都市線・世田谷線「三軒茶屋」駅下車徒歩7分) 主催:国際シンポジウム「日本人のモンゴル抑留とその背景」実行委員会 後援:昭和女子大学、(公財)守屋留学生交流協会 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.ja-ms.org/img/ShowajoshiSympo20160528.pdf ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第5回SGRAワークショップin蓼科(2016年7月2~3日) 「地球市民って誰?」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6688/ ◇第51回SGRAフォーラム「『今、再び平和について』平和のための東アジア知識人連帯を考える」 (2016年7月16日東京)<ご予定ください> ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ <発表論文(要旨)の募集は締め切りました。参加登録受付中> ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2016/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Emanuele Davide Giglio “The Reason Why I Hate Competition”

    ************************************************************************** SGRAかわらばん620号(2016年5月19日) 【1】エッセイ: ジッリォ「『競争』が大嫌いな理由」 【2】第5回SGRAワークショップin蓼科「地球市民って誰?」へのお誘い ************************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#492 ◆エマヌエーレ・ダヴィデ・ジッリォ「『競争』が大嫌いな理由:一人の人間として、文学部の学生として」 「競争」というものは、「比較」というものを大前提とする。人を競争させるためには、何らかの形で人を「比較」しなければならない。人を比較するためには、簡単には測定できないその奥深い中身―その人が持つユニークな内面性、事情、人としての成長、物語など―を、測り易く表示しやすいものに変換しなければならない。要するに、「数字」に還元しなければならない。 ここで、疑問。 「人」を比較し競争させる際、元々「質」の次元に所属している「内面性」などのような、奥深く簡単には測定できないものを、元々「量」の次元に所属している「数字」のような、測り易く表示しやすいものにどこまで変換し還元させていいのだろうか。そしてそれを前提に、人に対して何らかの価値判断をどこまで下していいのだろうか。 特に、人間の最も奥深いところを次世代に伝える使命にあるはずの文学部に当てはめていいのだろうか。しかし、これは、世界中の大学の文学部で起きているらしい。判断基準はだんだん、「今まで出した論文数はいくつか」とか、「何年で修士論文や博士論文を出せたか」になろうとしている。結局、「量」的なものばかりではないか。ところが今、むしろそれこそ「成果」と評価されている。いったい何時から世界中の文学部が、このような非常に冷徹で、技術的で、合理的な仕組みに巻き込まれてしまったのだろうか。 私は、より「正確な」判断基準を提案する立場にもなく、どのケースにも楽に使えそうな方法も知らない。だが、文学部の学生として、そしてなによりもユニークな内面性、事情、物語などを持っている一人の人間として、「何かがおかしい」「何かが根本的にずれている」のではないかと感じている。一人の人間として、自分と他の人間の内面性などの、不可侵で測り知れない価値を訴えたくなる。「人類は今、何か大事なものを見失っているのではないだろうか」という気持ちになる。 もう一つの疑問。 「知識」と、単なる「情報量」との違いとは何か。また、その根本的な違いは、近ごろ文学部の中でも行われる、数字ばかりを用いた比較と競争の様々な仕組みと、どう関わってくるのか。 プラトンが教えている。「情報量」とは、ただのデータの集まりであり、未活用のものであると。「知識」とは、人の幸福や繁栄のために活用された情報量であると。要するに、「情報量」は人の幸福と繁栄のために活用されることで、初めて「知識」と成り得るのだと。しかし、数字ばかりを用いた比較や、それを大前提とする激しい競争や、弱い人間同士の席取り競争には、最後の最後までなんとしてでも自分だけを押し込まなければならないところもあるから、そこで「人のため」とか、自分も含めて「みんなのため」という部分は見事に除外されてしまうのではないだろうか。そしてそれによって、我々の教育機関も、「知識の場」ではなく、ほぼ完全に孤独な「情報収集の場」へと化してしまうのではないだろうか。我々の「知識」は少しずつ、ただの未活用の「情報量」に逆戻りしてしまっているのではないだろうか。 以上、昨今の私の疑問です。 <エマヌエーレ・ダヴィデ・ジッリォ☆Giglio,_Emanuele_Davide> 渥美国際交流財団2015年度奨学生。トリノ大学外国語学部・東洋言語学科を経て、2008年4月から東京大学大学院インド哲学仏教学研究室に在籍。2012年3月に修士号を取得。現在は博士後期課程に在籍中。身延山大学・東洋文化研究所研究員。 【2】第5回SGRAワークショップin蓼科へのお誘い SGRAでは会員を対象としたワークショップを下記の通り行います。 参加ご希望の方は、SGRA事務局へご連絡ください。 テーマ:「地球市民って誰?」 日 時:2016年7月2日(土)午前9時30分~3日(日)午後1時     現地集合(東京商工会議所蓼科フォーラムにて受付)     *1日(金)朝新宿発の貸切バスもありますので、お問い合わせください。 参加費:5000円(食費、宿泊費(相部屋)を含む) 申し込み・問い合わせ:SGRA事務局 sgra-office@aisf.or.jp ●ワークショップの趣旨: SGRAでは、2013年より蓼科でワークショップを開催しています。2013年は「原発を考える」、2014年は「人を幸せにする科学とは」、2015年は「知の空間を創る」というように、答えだすことを目的としないテーマについて、小グループのディスカッションや参加型のアクティビティーを通して、参加者全員で考えるプログラムです。 「良き地球市民の実現」はSGRAの目標であり、設立当初よりその概念について検討を重ねてきましたが、近年、SGRAの中でも議論をする機会が減り、また社会的にも以前より実現が困難になってきたのではないかという懸念が強くなっている今、あらためて考えてみたいと思います。 今回のワークショップでは、欧州移民研究の第一人者でいらっしゃる宮島喬先生(お茶の水女子大学名誉教授)のお話を伺い、その後、ディスカッションやアクティビティーを通じて、「地球市民とは誰か」を一緒に考えてみたいと思います。 ●プログラム 7月2 日(土)(於:東商蓼科フォーラム) 9:30~12:00 「知の空間を創る」+グループ分け  ・宮島喬先生のご講演と質疑応答 12:00~13:30 昼食 13:30~15:00 ゲーム感覚のグループワーク 15:00~15:30 休憩 15:30~17:00 グループワーク、ディスカッション 7月3日(日) 9:30~12:00 発表・まとめとふりかえり ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月21日高雄) 「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2016/6461/ ◇第5回SGRAワークショップin蓼科(2016年7月2~3日) 「地球市民って誰?」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6688/ ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ <発表論文(要旨)の募集は締め切りました。参加登録受付中> ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2016/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Yan Shulan “Current Status of Japanese Literature Studies in China from My Perspective”

    ************************************************************************** SGRAかわらばん619号(2016年5月12日) 【1】エッセイ:顔淑蘭「私が見た中国の日本文学研究の現状」 【2】第6回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(5月21日高雄)(再送)    「東アジアにおける知の交流:越境・記憶・共生」 ************************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#491 ◆顔淑蘭「私が見た中国の日本文学研究の現状」 先日、中国国内のとある大学で日本文学コースの学生たちに文学理論の話をする機会があった。日本文学史あるいは自分の研究内容について話そうかとずいぶん迷ったが、自分の学生時代の状況を鑑みて、やはりこれまで学生たちが触れることの少なかったであろう文学理論の話をした方が、学生たちにとって得るものがあるように思って試みにしてみたのである。 と言っても、ただ単に文学理論の話ではなく、日本の有名な文学作品の分析と結びつけながら、それに関連してそれらの文学作品をめぐって研究史でどのような議論がなされてきたのかも合わせて話した。 そうしたら、講義の後、そこに来ていたひとりの先生に、「そのような研究方法だと、中国では読者がいない、もう少し自分が中国人であることを自覚したほうがいい」と言われた。 その先生の言うことが分からないわけではない。日本人の研究方法を追っているだけではなかなかそれを越えることが難しいから、もっと日本人のできないようなことをやりなさいということだ。それについて、私はまったく異論がない。私自身のこれまでの研究もむしろそうだったから、もちろん学生たちにもできるだけ自分の長所を生かしてほしい。また、中国文学と日本文学の研究方法が違っていて、後者の方法がどれだけ前者に応用できるのか、というその先生の疑問にもうなずけるところがある。 しかし、だからと言って、中国の日本文学コースの学生が、日本の研究方法を知らなくて本当にいいのだろうか。ましてや日本文学、あるいは中日比較文学の研究者が。もちろん、その先生は別の専門で、もともと近現代文学とはかなり異なる研究方法を持っていると思うから、あまり反論する必要がないかもしれない。が、両国の日本文学研究の現状がいかにかけ離れているのかということについて、中国国内の研究者たちにより正視してほしい。それだけでなく、文学理論は中国文学研究の方にも多く取り入れられているから、よけいに比較文学研究の研究者たちが取り残されたような感じがする。 あの日学生たちに話した研究方法が中国できちんと受け入れられるかどうかということについて、それまで私はほとんど問題にすることはなかった。博士後期課程の4年間、あまりにも慣れてしまったせいか、むしろそれが当たり前のように思っていた。しかし、思い返してみると、博士課程に進学した当初、ゼミの議論で多くの文学理論が飛び出てくることに私自身も結構戸惑っていた。もちろん、ある程度はそれが私の属していた研究室の特殊なところでもあって、あまり一般化することはできないが、4年間の訓練を経て、私自身の視野が広げられただけでなく、文学研究も今まで以上に面白くなってきたから、同じ日本文学を勉強する学生たちにもぜひ知ってもらいたいと思った。 かつて多くの中国知識人が海外留学で得た考え方や価値観をもって中国国内の状況を批判して、オリエンタリズムの内面化だと批判を浴びせられたことがある。そういったことを研究してきた人間として、日本だからなんでもいいといったようなものの見方や日本かぶれには警戒してきた。日本にいる4年間、中国と中国人に対する日本人の偏った見方に眉を顰めてもきた。しかし、あるいはだからこそというべきかもしれない、より多くの中国人に日本のいいところを学んでほしいと思う。  日本においても中国においても常に不満を感じている自分を反省するのを忘れない一方、これが文化を跨って生きる人間の逃れられない使命でもあるように思う。たとえこれからの道がまだまだ険しいとしても… <顔淑蘭(イェン・シュラン)Yan_Shulan> 渥美国際交流財団2015年度奨学生。厦門大学(学部)と北京師範大学(修士課程)を経て、2012年4月から早稲田大学教育学研究科に在籍。2016年1月に博士号を取得。現在は中国で就活中。 【2】第6回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(再送) ◆国際シンポジュウム「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」 このたび、「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」国際シンポジュウムは、日本公益財団法人渥美国際交流財団、文藻外語大学日本語学科、台湾大学日本語文学学科、台湾大学日本研究センターの共同主催により、2016年5月21日(土)に、文藻外語大学の至善楼15階國璽會議廳にて開催いたします。奮ってご参加いただきますようご案内申し上げます。 申込みHP:http://c025.wzu.edu.tw/front/bin/form.phtml?Nbr=60 申込み締切:2016/5/6(金)まで ※但し、定員【70名】に達し次第、受付を終了させていただきます。 ※一般参加者の食事の費用は自己負担となります。 なお、本国際シンポジュウムに関する情報は、随時文藻外語大学日本語学科のホームページにてお知らせいたしますので、よろしくご確認の程、お願い申しあげます。 http://c025.wzu.edu.tw/front/bin/ptdetail.phtml?Part=hotnews101&Rcg=17 文藻外語大学日本語学科 第六回日台アジア未来フォーラム執行委員会 ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第5回SGRAふくしまスタディツアー(2016年5月13~15日) 「帰還に挑む:何ができるのか、何を目指すのか」<募集は締め切りました> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2016/6409/ ◇第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月21日高雄) 「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2016/6461/ ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ <発表論文(要旨)の募集は締め切りました。参加登録受付中> ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2016/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
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