SGRAメールマガジン バックナンバー

  • The 4th Asia Future Conference: Call for Papers

    ************************************************** SGRAかわらばん670号(2017年4 月27日) ************************************************** ◆第4回アジア未来会議☆論文・小論文・ポスター/展示の募集 渥美国際交流財団関口グローバル研究会は、バンコク、バリ島、北九州に続き、ソウルにて第4回アジア未来会議を開催します。アジア未来会議は、日本で学んだ人、日本に関心をもつ人が一堂に集まり、アジアの未来について語る<場>を提供することを目的としています。毎回400名以上の参加者を得、200編以上の論文発表が行われます。国際的かつ学際的な議論の場を創るために皆様の積極的なご参加をお待ちしています。 日時:2018年8月24日(金)~8月28日(火)(到着日・出発日も含む) 会場:韓国ソウル市 Kホテル http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ アジア未来会議は下記の要項にしたがって論文・小論文・ポスター/展示を募集します。 ◆テーマ 本会議全体のテーマは「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」です。本会議では葛藤や格差などの人類共通の諸課題を解決するために、「恐怖からの自由」と「欠乏からの自由」を目指します。朝鮮戦争の後、韓国は絶え間ない努力と海外からの多大な援助によって「漢江の奇跡」と呼ばれる経済発展を遂げました。韓国は、その歴史的経験から、開発にともなう苦痛や悩みをよく理解していると言えるでしょう。こうした点からも韓国ソウルで開催される本会議が、これからのアジアの「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」に寄与することを願います。 第4回アジア未来会議で学際的に議論するために、下記のテーマに関連した論文、小論文、ポスター/展示発表を募集します。登録時に一番関連しているテーマを3つ選択していただき、それに基づいて分科会セッションが割り当てられます。 平和Peace、繁栄Prosperity、活力Dynamism、幸福Happiness、人権Human_Rights、成長Growth、グローバル化Globalization、教育Education、共存Coexistence、公平Equity、長寿Longevity、健康Health、メディアMedia、多様性Diversity、革新Innovation、歴史History、 コミュニケーションCommunication、社会環境Social_Environment、自然環境Natural_Environment、持続性_Sustainability ◆学術分野 下記の分野を受け付けます。 A 自然科学 物理学、化学、生物学、数学、医学、農学、工学、その他 B 社会科学 法学、政治学、経済学、経営学、社会学、教育学、その他 C 人文科学 哲学、宗教学、心理学、歴史学、芸術学、文学、言語学、その他 ◆発表言語 第4回アジア未来会議の公用語は英語、日本語と韓国語です。登録時に、まず口頭発表およびポスター/展示の言語を選んでいただきます。英語で発表する場合の発表要旨は250語以内に纏めてください。日本語か韓国語で発表する場合は、発表要旨のみ英語(250語)と日本語(600字)あるいは韓国語(600字)との両方で投稿していただきますが、論文および小論文は日本語あるいは韓国語のみで結構です。 ◆発表の種類 アジア未来会議は日本で学んだ人、日本に関心のある人が集まり、アジアの未来について語り合う場を提供することを目的としています。国際的かつ学際的なアプローチによる、多面的な議論を期待しています。専門分野の学術学会ではないので、誰にでもわかりやすい説明を心掛けてください。 1.小論文 short_paper(2~3ページ) 自分の専門とは違う研究者も参加して国際的かつ学際的な議論をすることを前提に、口頭発表の内容をまとめた小論文を投稿してください。小論文の代わりに発表レジュメ・パワーポイント等の配布資料でも構いません。 発表要旨のオンライン投稿の締め切りは2018年2月28日、合格後の小論文のオンライン投稿(PDF版のアップロード)の締め切りは2018年5月31日です。5月31日までに投稿がない場合は、アジア未来会議における発表を辞退したと見なされますのでご注意ください。小論文は、奨学金、優秀論文賞の選考対象にはなりません。 2.論文 full_paper(10ページ以内)―奨学金、優秀論文賞の選考対象になります アジア未来会議は、多面的な議論によって各人の研究をさらに磨く場を提供します。必ずしも完成した研究でなくても、現在進めている研究を改善するための、途中段階の論文を投稿していただいても構いません。 奨学金と優秀論文賞に申請する場合、発表要旨のオンライン投稿締め切りは2017年8月31日で、合格後の論文のオンライン投稿(PDF版のアップロード)の締め切りは2018年3月31日です。発表要旨の合格後、論文の投稿を前提に奨学金を申請できます。奨学金の選考結果は1月20日までに通知します。 また、学術委員会による審査により、優秀論文20本が選出されます。優秀論文には、アジア未来会議において優秀賞が授与され、会議後に出版する優秀論文集「アジアの未来へー私の提案Vol.4」に収録されます。既にアジア未来会議で優秀論文賞を受賞したことのある方は、選考の対象外となりますので予めご了承ください。 奨学金と優秀論文賞に申請しない場合、発表要旨のオンライン投稿締め切りは2018年2月28日で、合格後の論文のオンライン投稿(PDF版のアップロード)の締め切りは2018年5月31日です。 3.ポスター/展示発表 ・ポスターはA1サイズに印字して当日持参・展示していただきます ・展示作品は当日の朝に自分で搬入し展示していただきます 発表要旨のオンライン投稿締め切りは2018年2月28日で、合格後のポスター/展示のデータのオンライン投稿(PDF版のアップロード)の締め切りは2018年5月31日です。アジア未来会議において、AFC学術委員会により優秀ポスター/展示賞数本が選出されます。ポスター/展示作品は、奨学金と優秀論文賞の選考対象にはなりません。 ◆分科会セッションの割り当て 分科会は、2018年8月26日(日)に、韓国ソウル市のKホテル会議室で開催します。分科会セッションのスケジュールは、2018年8月5日までにAFCオンラインシステム上に発表し、その後調整の上、8月15日に決定します。 1.一般セッション(アジア未来会議実行委員会が割り当てる) 下記のグループセッションと学生セッションのものを除き、2018年5月31日までに投稿された論文または小論文は、まず口頭発表言語によって英語、日本語、韓国語のセッションに分かれます。次に、登録時に選んでいただく3つのテーマに基づき分科会セッションを割り当てられます。 2.グループセッション(グループで独自のセッションを作る) 独自のセッションを希望する方は、発表者3~5名、座長1~2名のグループを作り、①セッションのタイトルと趣旨(英語の発表の場合は英語のみ、日本語か韓国語の発表の場合は英語と日本語か韓国語)、②発表者および座長の氏名とAFCユーザー登録番号(4桁)と投稿番号(3桁)③発表言語を、2018年5月31日までにアジア未来会議事務局へEメールでお送りください。 3.学生セッション 大学院修士課程や学部の学生は、学生セッションに参加してください。大学院博士課程の学生は、どのセッションにも参加できますが、学生セッションを選ぶこともできます。 ◆論文投稿のスケジュール 2017年5月1日:論文の発表要旨のオンライン投稿受付開始(英語で発表する場合は英語。日本語か韓国語で発表する場合は、英語と日本語か韓国語の両方 2017年8月31日:論文の発表要旨の締め切り(奨学金と優秀論文賞の対象) ※奨学金と優秀論文賞に応募しない場合の締め切りは、2018年2月28日 2018年3月31日:論文(英語か日本語か韓国語)のオンライン投稿(PDF版のアップロード)の締め切り (優秀論文賞の選考対象) ※優秀論文賞に応募しない場合の論文の投稿締め切りは、2018年5月31日 ◆詳細は、下記ウェブサイトをご覧ください。(一番上のタブで言語を選択) http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/call-for-papers/ ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第7回日台アジア未来フォーラム<参加者募集中> 「台・日・韓における重要法制度の比較─憲法と民法を中心として」 (2017年5月20日、台北市) http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2017/8317/ ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市)<5月1日より論文募集開始> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ 論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿を2017年5月1日から受付けます。 ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • CHO Ahra “Some Thoughts about Critical Thinking”

    *********************************************************************** SGRAかわらばん669号(2017年4 月20日) 【1】SGRAエッセイ:チョ・アラ「批判的思考について」 【2】第7回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(5月20日、台北市)    「台・日・韓における重要法制度の比較─憲法と民法を中心として」 *********************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#530 ◆チョ・アラ「批判的思考について」 韓国の教育制度の問題と言えば、多くの韓国人は「注入式教育(詰め込み教育)」を思い浮かべるでしょう。その注入式教育の弊害は、批判的思考が難しくなることです。批判的思考のためには、ある情報を得た時そのまま信じ込まずに、その情報が本当に正しいかどうかを自分で確かめようとする「努力と時間」が必要です。しかし、今のように情報が溢れる時代には、批判的思考によってある情報が事実なのかどうかを判断することが容易ではありません。 この数か月、政治的、社会的に大きな衝撃を与えた朴槿恵元大統領と親友のスキャンダルで、韓国は毎日大騒ぎでした。連日驚きの事実が明らかになったため、私はネットで韓国ニュースメディアの報道と、この事件を報じる日本のメディアの様子を観察してみました。特に残念に思ったのは、韓国で既に明らかになっている事実関係を十分に把握していないまま、恣意的な解釈をする専門家やコメンテーターが少なくなかったことです。その解釈を受け、一部のパネリストたちと番組の司会者はまた事実とは程遠いコメントをします。例えば、朴氏の罷免について、ニュース番組やワイドショーに出演したコメンテーターが「まだ具体的な証拠も出ていないし、大統領が自分の疑惑を否定していることを理由に、『憲法違反』との判決が下ることはおかしい」と発言するのを聞いたことがあります。 しかし、この発言は多数の韓国国民の認識とはかけ離れています。韓国の憲法裁判制度は一般の裁判とは違い、「憲法の精神に基づく責任」が問われる政治的な色彩が強い裁判です。法律に比べると憲法は曖昧なところが多いけれども、その分弾劾は国会の3分の2以上の賛成という厳しい条件を必要とします。朴氏が捜査を拒否する間、嫌疑を裏付ける証拠は毎日のようにメディアに報じられ、その一部の事実は検察と特別検察の公訴状にも記載されました。なお、弾劾に賛成する世論は昨年12月から今年の2月まで一貫して70~80%を維持したのですが、朴氏の弾劾には何回か危機がありました。それに憤りともどかしさを感じた国民が、冬の寒さの中で広場に集まって、20回以上の平和的な集会が開催されました。証拠のない世論裁判によって罷免されたのではありませんし、同情される理由もないというのが多数の国民の意見なのです。 言論NPOの世論調査によると、韓国についての情報源を問う質問に、日本のニュースメディアと答えた比率は2015年には94.3%、2016年には92.1%でした。新聞やテレビニュース、或いはワイドショーの視聴者が、事実と違う専門家の意見を批判的思考なしにそのまま受け入れてしまえば、視聴者の目に韓国は法の支配が崩壊した国、国民の感情に振り回される国、ややもすればデモをする国に映るでしょう。集団的自衛権の行使容認と安保法制の成立以降、「日本が軍国主義に戻ろうとする野心を示した」と主張する一部の韓国と中国の報道に、日本の国民が同意できないと感じるのと似ているかも知れません。 経済交流、人的交流、文化交流が進む中で、何故日韓関係はなかなか改善しないのか、そして日韓の国民のお互いに対する親近感は何故なかなか強くならないのか。不幸な過去の歴史から生まれたいろいろな問題がネガティブな相互認識を形成する根本的な原因ではありますが、これを拡大させる「今現在のメカニズム」もやはり存在しています。日本ではネットで韓国のニュース記事の日本語翻訳を見つけることができます。同じように、ユーチューブでは、ハングルで「朴槿恵 弾劾 反応」と検索してみると、朴氏の弾劾を報じる日本のニュース番組やワイドショーにハングルの字幕を入れてアップロードした動画がたくさん出てきます。日本のニュース記事の下にあるコメントや2chなどの利用者のコメントを丸ごと韓国語に翻訳して韓国のウェブサイトにアップするケースも少なくありません。 反対の場合も同じですが、日本の韓国専門家やコメンテーターが韓国の状況について不確かな情報、或いは事実関係が間違った情報を生産し、それが批判的思考のフィルタリングなしで日本の国内に発信されると、それが韓国語に翻訳され、その情報が速いスピードで韓国国内に拡散するという意味です。そうなると、韓国の人は「韓国のことを知らないくせに、とんでもない捏造をする」と日本の社会に対して強い不満を感じ、日本のことをそんな風に決めつけてしまう可能性もあります。 私は日本でこの状況を観察しながら、専門家の役割についてよく考えるようになりました。今のように情報が溢れている状況では、批判的に情報を受け入れることが大変難しくなります。そうなると、情報を受容する側が簡単で分かりやすい情報、或いは専門家が発信した情報に依存する可能性が高くなります。研究者なら皆そうだと思いますが、とりわけ他の国の政治や社会問題について研究し、その成果を発信する立場にある人なら、現在のメディアとネットの環境に格別に注意を払う必要があります。 韓国と日本は似ているようでも、日韓の社会の歴史的流れ、特に民主主義体制を作ってきた経験に違いがあります。この違いが、実は国民の認識と行動に大きな影響を及ぼしてきたと私はみています。それに加えて、現在のメディアとネット環境の中で、現状の断面だけを見て相手について早まった判断をしてしまえば、両国国民の相互認識はこれからもっと悪化すると思います。この理由から、研究者と専門家の責任、そして情報を受け入れる側である市民の批判的思考の能力も、以前よりも強く求められると考えています。 <チョ・アラ(曺娥羅)CHO Ahra> 渥美国際交流財団2016年度奨学生。韓国・国立ソウル大学国際大学院国際地域学専攻で修士号を取得後、同大学院博士課程在学中。研究のテーマは、日中関係及び東アジア国際関係というコンテクストの中での安全保障や海洋秩序の問題。現在は慶應義塾大学の准訪問研究員としてフィールドワークを行いながら、中国の海洋進出が日本の防衛政策に及ぼした影響について博士論文の執筆に取り組んでいる。 ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・ 【2】第7回日台アジア未来フォーラムへのお誘い 下記の通り第7回日台アジア未来フォーラムを台北市で開催します。参加ご希望の方は、下記リンクより参加登録をしてください。 テーマ:「台・日・韓における重要法制度の比較─憲法と民法を中心として」 主 催:国立台北大学法律学院、公益財団法人渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 開催日:2017年5月20日(土曜日) 08:50-18:00 会 場:国立台北大学台北キャンパス(台北市民生東路三段67号) 申込みURL: https://goo.gl/forms/sx49qWfIx3KpYeQ13 申込み締切:2017年5月13日(土)13時まで お問合せ:SGRA事務局 電話:03-3943-7612 Email:sgra-office@aisf.or.jp ●フォーラムの趣旨: 第7回日台アジア未来フォーラムは、法制史の観点から、東アジア諸国における憲法と民法に関する法制度の比較をテーマとする。法領域のなかから憲法と民法をピックアップした理由は、この2つの法律が我々の日常生活と緊密に関係する法であると共に、憲法は法領域のなかで最も位階の高い法律であると言われており、憲法以外の法が憲法の規定に違反するとその法は無効となる。市民の基本的な権利を始めとして国家組織のあり方まで、国家の最も重要な事項の原則はすべて憲法に定められるといっても過言ではない。また、民法は市民生活における市民相互の関係(財産関係と家族関係)を規定する法であり、民事法の領域の憲法とも言われる。すべての人間は、その一生において、必ず民法と関わることは言うまでもない。 今回のフォーラムでは日本、韓国、台湾の法学者をお招きし、憲法と民法からそれぞれ一つの重要な論点をピックアップして議論していただく予定である。2つのセクションを通じて、日本、韓国と台湾における民法ないし憲法の論点について、お互いの相違点を見出し、お互いに自らの国の法制度の改正に示唆を得ることができると期待する。 (基調講演1は英語。基調講演2と報告は日中逐次通訳) 趣旨の詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2017/04/2017Taiwan-Shushi.pdf ●プログラム    【基調講演1】「立憲主義ー過去、現在および未来」 コーヤン・タン教授(ハーバード大学法科学院) 〇第1セクション【憲法】「台湾・日本・韓国の国会制度」 【報告1】「日本国憲法上の国会の現状と課題」 佐々木弘通教授(日本東北大学法学部) 【報告2】「韓国の改憲論における国会変化」 孫亨燮教授(韓国慶星大学法政大学) 【報告3】「台湾における国会議員定数の考察ーアメリカ法からの示唆」 林超駿教授(国立台北大学法律学院) 【基調講演2】「理由あるいは詭弁ー判決における外国法の引用についての論争」 頼英照教授(元司法院院長) 〇第2セクション【民法】「台湾・日本・韓国の民商統一・分離」 【報告4】「韓国における民商・分離立法の現状と課題」 権澈准教授(韓国成均館大学法律系) 【報告5】「日本における民商法の関係」 中原太郎准教授(日本東北大学法学部) 【報告6】「台湾民法における民商二法統一制度への懸念」 向明恩准教授(国立台北大学法律学院) プログラムの詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2017/04/2017Taiwan-Program.pdf ●日台アジア未来フォーラムとは 日台アジア未来フォーラムは、台湾在住のSGRAメンバーが中心となって企画し、2011年より毎年1回台湾の大学と共同で実施している。過去のフォーラムは下記の通り。 第1回「国際日本学研究の最前線に向けて:流行・ことば・物語の力」 2011年5月27日 於:国立台湾大学文学院講堂 第2回「東アジア企業法制の現状とグローバル化の影響」 2012年5月19日 於:国立台湾大学法律学院霖澤館 第3回「近代日本政治思想の展開と東アジアのナショナリズム」 2013年5月31日 於:国立台湾大学法律学院霖澤館 第4回「東アジアにおけるトランスナショナルな文化の伝播・交流―文学・思想・言語」 2014年6月13日~14日 於:国立台湾大学文学院講堂および元智大学 第5回「日本研究から見た日台交流120 年」 2015年5月8日 於:国立台湾大学文学院講堂 第6回「東アジアにおける知の交流―越境、記憶、共生―」 2016年5月21日 於:文藻外語大学至善楼 ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第7回日台アジア未来フォーラム<参加者募集中> 「台・日・韓における重要法制度の比較─憲法と民法を中心として」 (2017年5月20日、台北市) http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2017/8317/ ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」<ご予定ください> (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ 論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿を2017年5月1日から受付けます。 ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • KIM Soongbae “International Politics of Names”

    ************************************************************* SGRAかわらばん668号(2017年4 月13日) 【1】SGRAエッセイ: 金崇培「名称の国際政治学」 【2】耳よりな情報:「研究者のための助成金応募ガイド2017」   ************************************************************* 【1】SGRAエッセイ#529 ◆金崇培「名称の国際政治学」 政治学の定義に対して、多くの見解があるだろう。しかし、分析対象の権力構造を明らかにすることが政治学の目的の一つであることは否めない。また、政治学の応用分野でもある国際政治学は20世紀に誕生したが、この学問領域における大きなテーゼは戦争と平和であった。ただし、近年の国際政治学は国家間関係だけでなく、経済領域、市民社会や文明、文化など多岐にわたる領域に対しても関心を抱く。そして事物の名称の起源や伝播を追跡することもやはり国際政治学的観点から考えることができるであろう。 1945年の日本の敗戦は米国によるところが大きかった。また共産主義というイデオロギーの表象でもあったソ連の対日参戦も少なからず日本の降伏に影響を与えたという学説もやはり考慮しなければならない。ただし、太平洋だけでなく、日本軍はアジア大陸でも戦っていたのであり、日本を取り巻く戦争においてアジアの要素も見逃してはならない。アジア・太平洋戦争という名称は、戦争の性格をより正確に表出しようとした日本の研究者たちの思考の結果でもある。 もちろん大東亜戦争、15年戦争、太平洋戦争など、日本のイデオロギーまたは日本のイデオロギーを拒否した米国の視角を簡単に排除することもできない。その時代に伝播された名称は自然発生的ではなく、何らかの意図が作用していたからだ。鶴見俊輔は1931年の満州事変から1945年までを15年戦争と提唱した。ただし1933年には、満州事変の停戦協定である塘沽停戦協定が締結されたため、物理的な衝突が継続されてはいなかった。しかし、この名称は天皇制ファシズム、国家独占資本主義という日本国内の政治経済的構造に注目したという点で、依然として日本の学界において意味をなすものである。 戦争の名称を取り巻く論争に比べ、戦争を公式的に終了させる平和条約の名称は論争的ではない。しかし平和条約の名称もまた何かしらの意味をもつ。例えば、1919年に締結されたヴェルサイユ平和条約の英文正式名称は「Treaty_of_Peace_between_the_Allied_and_Associated_Powers_and_Germany」である。それにもかかわらず、今現在多くの国ではヴェルサイユという名称が一般的に使用されている。これは長い平和条約の名称を簡略化させるものでもあるが、ヴェルサイユ平和条約が締結された場所がヴェルサイユ宮殿であったことを再認識すべきでもある。 普仏戦争において、戦勝国であったプロイセンの皇帝ヴィルヘルム1世は1871年、ヴェルサイユ宮殿において戴冠式を行い、統一ドイツを宣言した。ドイツはこの戦争の結果、フランスに対して賠償金を要求し、アルザス=ロレーヌ地域を獲得した。これによりフランスではドイツに対する報復主義(Revanchism)が高揚した。当時フランスの議員であったクレマンソーの記憶と経験は、1919年に第一次世界大戦の敗戦国となったドイツに対して、過酷な懲罰へと繋がった。ヴェルサイユ宮殿での条約締結もやはり国際政治の権力構造を表している。 戦争と平和が主要テーゼである国際政治学において、日本と韓国で使用される名称は、どのように把握されるべきであろうか。1897年、高宗は朝鮮の国号を変え、大韓帝国の樹立を宣言した。大韓とは馬韓、辰韓、弁韓の領域を三韓として統合し、これを治める大きな韓を意味した。しかし1910年の韓国併合条約により大韓帝国は日本に編入された。韓国併合条約が発効された同日に日本は「韓国の国号を改め朝鮮と称するの件」という勅令を発令し、これにより大韓帝国を国家でない朝鮮という名称に変更した。 また、1897年に誕生した大韓帝国内における新聞では、少なくとも1900年には韓半島という地域名称も使用されていた。一方、大韓帝国成立以降1910年までの日本外交文書を見ると、大韓帝国という正式名称よりも、韓国が最も多く使用され、時には、朝鮮という名称も混用されていた。そして地域名称である韓半島という名称もやはり点在していたが、朝鮮半島という地域名称の使用は見られない。 1950年6月25日に勃発した戦争を韓国では韓国戦争または6.25戦争という。しかし日本では1950年当時、朝鮮動乱、朝鮮事変、朝鮮戦乱という名称があったが、今現在では朝鮮戦争が定着している。日本で使用された名称に共通するものは朝鮮であった。現在も日本で使われている地域名称である朝鮮半島とはおそらく朝鮮(1392-1897)だけでなく、1910年に日本が大韓帝国を朝鮮と命名したことと関連性があるであろう。 日本と韓国で今現在、政治的論争となっている特定名称とは異なり、日本で使用される朝鮮半島という名称を韓半島とすべきと、名称を論争化させる必要はない。ただし、ある名称の誕生が、いつどこで、どのように作られ、その名称に内在化されている権力構造を把握することは必要であろう。戦争と平和の国際政治学の領域に併せて、植民地問題の意味を再考する日韓関係の国際政治学が要求される。 <金崇培(キム・スウンベ)KIM_Soongbae> 政治学専攻。関西学院大学法学部法律学科卒。韓国の延世大学政治学科にて修士号、博士号を取得。現在、延世大学統一研究院専門研究員。研究分野は東アジア国際政治史。在日韓国人三世。 ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・ 【2】耳よりな情報 ◆「研究者のための助成金応募ガイド2017」 (公財)助成財団センターは、1985年の設立以来、日本唯一の情報センターとして、全国の助成財団が実施する助成事業の情報を収集し、助成を希望される皆さまの研究費や事業費として有効に活用していただくため、その内容を広く社会に提供しています。 本書は、2016年7月に実施した調査結果に基づき、大学や研究機関で研究活動を行う皆さまを主な対象として公募している、民間助成財団『研究助成プログラム』と『奨学金プログラム』を合わせて掲載しています。 http://www.jfc.or.jp/profile/publication/ 発行日:2017年版は2月16日発行 判型等: B5判  456頁  ISBN978-4-915738-12-8 価格:定価2,700円 (本体2,500円 + 税) 送料は別 編集・発行:助成財団センター 販売取扱い:東京官書普及(株) また、「NPO・市民活動のための助成金応募ガイド2017」もご利用ください。 ☆助成財団センターでは、助成金情報をウェブサイトでも提供しています。ウェブサイトでは、公募情報のほかに「研究助成の採択課題」の情報を提供しています。助成課題名、助成対象者名・所属機関からの検索が可能となっていますので、助成財団を検索する際の参考として併せてご活用ください。 http://www.jfc.or.jp/grant-search/guide/ ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Nakanishi “Noli_Me_Tangere”

    *********************************************************************** SGRAかわらばん666号(2017年3月30日) 【1】SGRAエッセイ: 中西徹「Noli_Me_Tangere(我に触るな)」 【2】SGRAレポート紹介「今、再び平和について」 *********************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#528 ◆中西徹「Noli_Me_Tangere(我に触るな):ドゥテルテ流民族主義的外交政策の背景」 ロドリゴ・ドゥテルテ氏は、2016年6月末、一部の現地マスコミの「期待」を裏切り、しかし、大方の予想通り、第16代フィリピン大統領に就任した。選挙における得票率は4割程度だったが、現在の支持率は80%を優に超える。私の周りでは、選挙時には、極貧層から富裕層まで、ドゥテルテ氏を嫌う者は少なくなかったが、その後、彼の統治によって、マニラでは凶悪犯罪や収賄は激減したとし、ドゥテルテ氏に対する評価を変えた者も少なくない。たしかに、その感覚は実感できる。 ドゥテルテ人気の理由の一つは、しばしば指摘される彼の家父長的力強さだけでなく、その来歴にもあるように思われる。彼は、東ビサヤ地方のレイテ島で生まれたが、マラナオ族系と中国系の血筋を引き、身をもってマイノリティの立場を理解している。子どもにはイスラム教徒と結婚しているものもおり、イスラム社会、華人社会との接点を有する。これらのマイノリティ社会の人々の多くは、大統領選でドゥテルテ氏を支持した。彼の地盤はイスラム問題を抱えるミンダナオ島のダバオ市だ。左翼思想に触れた大学時代を除き、首都マニラとは無縁であり、中央の経験がない。法科試験合格後は、ダバオ市において、検察官を10年、ダバオ市長を22年間務めた。さらに、父も弁護士だったとはいえ、旧エスタブリッシュメントとは接点はなく、その生活は質素である。70歳を超えた彼には、フィリピンを再建した英雄になるという名誉欲はあったとしても、歴代の大統領にありがちだった「物欲」は感じられない。彼は、大学時代の恩師である共産党設立者のホセ・マリア・シソンの支持を受け、複数の左派系の人材を閣僚に任命した。 しかし、このような高い国民的支持にもかかわらず、欧米における評価は芳しくない。彼の悪名を国際的に轟かせたのは、公約「麻薬撲滅戦争」における,いわゆる「超法規的殺害」(extrajudicial_killings)である。売買関与しているとされる公職者のリストを公表し、自首しなければ命はないものと思えと呼びかける。警察だけでなく、自警団までもが常習者のリストを用いて摘発に精を出し、投降しなければ売人を銃殺する。新聞報道によれば、十分な取り調べのないまま殺された者も少なくない。大統領就任後3ヵ月の間に、3千人を超える「麻薬犯罪者」が道端などで超法規的に処刑された。フィリピンでは死刑が廃止されているが、麻薬犯罪については大統領のお墨付きなのだ。こうした実態が欧米の非難を浴びた。タイム誌はドゥテルテ氏のことを「処刑人」と呼び、人権NGO団体だけでなく、アメリカもEU諸国も、その「非人道的行為」を厳しく批判した。しかし、ドゥテルテ氏は、全ての批判者に悪口雑言の限りを尽くし、決して政策を変えようとはしない。 たしかに、欧米の価値基準からすれば、このような振る舞いは、デュー・プロセスを踏まない非人道的で野蛮な行為としかうつらないであろう。だが、フィリピンには、現在推定400万人以上の麻薬中毒者がいると報道されている。そして、その売買で甘い汁を吸っている者は、ギャングやゴロツキだけではない。警察や政官界にも「闇の組織」は蔓延しており、そのネットワークは巨大である。超法規的手段を執らない限り、麻薬撲滅はありえないというのが彼の立場だ。 東アジアにおいては麻薬犯罪には死刑が適用される国が多い。中南米の例を引き合いに出すまでもなく、麻薬は現在も発展途上国において最も深刻な問題の一つだからである。しかし、歴史をひもとけば、麻薬を植民地インドで生産し、中国に持ち込み戦争を起こしたのは英国である。他方、フィリピン革命の後、米西戦争に勝利したアメリカは、フィリピンの独立を約束したにもかかわらず、多くのフィリピン人を虐殺し植民地とした。それは、ドゥテルテ氏の故郷レイテ島でも悲惨を極め、彼はその生き残りの子孫だと自認している。アメリカによって、発展途上国の罪のない市井の人々がどれほど殺害されてきたのか、彼の憤りはこうした歴史からも来ていることは間違いないであろう。 ドゥテルテ氏の外交を考えるとき、彼が独特な民族主義者であることを理解するのは重要である。彼は、相手が欧米の価値観で頭ごなしに批判しない限り、口汚く罵ることはない。忌むべきは未だに宗主国のように振る舞いたがる大国による内政干渉だからだ。彼は、これまでの麻薬政策を批判した、エスタブリッシュメントを基盤とする民主党オバマ政権を徹底的に嫌い、CIAによる暗殺の可能性にしばしば言及しアメリカを牽制してきた。その外交は一見すると、個人的感情丸出しの素人に見えるが、中国、日本への訪問からもわかるように、領土問題の先鋭化を巧みに抑え、中国とアメリカという2大大国から微妙な外交的距離を置きつつ、日中両国から大型援助を引き出すという成果を出した。麻薬中毒者の更生施設に加え、クラーク基地跡地の開発事業が喫緊の課題だからである。言いたい放題の後の後始末もそつなくこなしており、彼のスタンスはそれなりに計算されたものだ。ドゥテルテ氏は、共和党トランプ氏がアメリカ大統領に選ばれるや否や、いち早く祝福を送った。今後はアメリカとの関係にも新しい変化が起こるかもしれない。 *本稿の中国語版は台湾の自由時報(2016-12-12)に掲載された。 http://talk.ltn.com.tw/article/paper/1060987 <中西徹(なかにし・とおる)Toru_Nakanishi> 東京大学・大学院総合文化研究科・教授(地域研究・開発経済)。1989年東京大学大学院修了(経済学博士)。国際大学助手。1991年北海道大学助教授。1993年東京大学助教授。2001年東京大学教授(現在に至る)。主要著書に『スラムの経済学』(単著:東京大学出版会、1991年)、『開発と貧困』(共著:アジア経済研究所1998年)、『人間の安全保障』(共著:東京大学出版会、2008年)、『現代社会と人間への問い』(共著:せりか書房、2016年)。 ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・ 【2】SGRAレポート紹介 SGRAレポート第78号のデジタル版をSGRAホームページに掲載しましたのでご紹介します。下記リンクよりどなたでも無料でダウンロードしていただけます。冊子本は6月になりますがSGRA賛助会員と特別会員の皆様にお送りいたします。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/report/2017/8259/ 第51回SGRAフォーラム講演録 ◆「『今、再び平和について』― 平和のための東アジア知識人連帯を考える」 2017年3月27日発行 <もくじ> はじめに:南基正(ソウル大学日本研究所副教授) 【問題提起1】「平和問題談話会と東アジア:日本の経験は東アジアの公共財となり得るか」  南基正(ソウル大学日本研究所副教授) 【問題提起2】「東アジアにおけるパワーシフトと知識人の役割」  木宮正史(東京大学大学院総合文化研究科教授) 【報告1】「韓国平和論議の展開と課題:民族分断と東アジア対立を越えて」  朴栄濬(韓国国防大学校安全保障大学院教授) 【報告2】「中国知識人の平和認識」  宋均営(中国国際問題研究院アジア太平洋研究所副所長) 【報告3】「台湾社会における『平和論』の特徴と中台関係」  林泉忠(台湾中央研究院近代史研究所副研究員) 【報告4】「日本の知識人と平和の問題」  都築 勉(信州大学経済学部教授) パネルディスカッション 討論者:劉傑(早稲田大学社会科学総合学術院教授)他、上記発表者 ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Kim Yullee “Looking Back on My Life in Japan”

    *********************************************************************** SGRAかわらばん666号(2017年3月30日) 【1】SGRAエッセイ: 金律里「日本での生活をふりかえって」 【2】新刊紹介:ブレンサイン「THE_AGRICULTURAL_MONGOLS」 *********************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#527(『私の日本留学シリーズ#8』) ◆金律里「日本での生活をふりかえって」 ・きっかけ 学部時代に読んだ日本人学者の本が、私が日本留学に興味を持ったきっかけであった。ずっと「宗教」と「死」に興味を持っていて、学部卒業後はどこかの大学院に進学して本格的に研究をしてみたいと考えていた時に、日本の学者はこんなに面白いことを考えるんだと思い、留学先を日本に決めた。それから、日本語の勉強を始め、日本の大学についても調べた。 ・弟とともに日本留学生活を始める しかし日本留学の情報は十分ではなくアドバイスをもらえる人もいなかったため、留学準備をして日本に来るまでは本当に大変だった。日本語で書かれた本が少し読める日本語のレベルだったが、日常会話がままならなかった。それでも心強かったのは、弟も同時期に日本の大学に入学して、兄弟2人で助け合いながら留学生活を始められたことだ。また、日本人と結婚した親戚のおばさんにもいろいろ面倒を見てもらえたし、良い助言者の留学生先輩もいた。 ・修士課程では 紆余曲折の研究生生活を経て修士課程に入り、決めた論文のテーマは『水子供養』だった。死、お墓、葬送儀礼などに漠然と興味を持っていると先生に話したら、「水子供養について研究してみると面白いかもしれない」という助言をもらった。偶然に決めた、あるいは決めさせられた(?)研究テーマを現在も続けていることは不思議に思える。 ・アルバイト 奨学金が無かった修士課程では、研究とアルバイトを両立する日々を過ごした。今考えると修士の時が最も頑張った時期だった。無事修士論文を提出して博士課程に進学した1年目までは奨学金がなく、アルバイトに時間をたくさん使った。韓国語講師や通訳のアルバイトがほとんどで、韓国語講師の経験は、人前で上手くしゃべれないことを克服するのに少し役立った。また、通訳の仕事は、臓器移植や遺伝子研究など自分の研究と関わりがなくもない分野もあったけれども、貿易や起業、発電といった普段触れることもない分野もあって、楽しい経験ができたと思う。 ・女子寮生活 修士に入ってから民間の女子寮に入寮し、ずっと住んでいた。寮は7割くらいが日本人の学部生で高校生も何人かいる。残り3割程度が留学生で、入寮当時は韓国人と中国人がほとんどであったが、ここ数年、インド、ベルギー、ノルウェイ、ウズベキスタン、アメリカ、インドネシア等々国籍が豊かになった。週末はみんなで一緒に料理を作って食べたりもするし、お互いの国の文化や言葉について話し合ったりもする。寮では朝食と夕食が提供されるが、豚肉を食べないイスラームの人たち、牛肉を食べないヒンドゥの人、そして肉食をしないベジタリアンもいるので、食事を用意する寮母さんは大変だろうが、宗教文化に興味のある私としては食事の時間も楽しかった。 ・博士進学後と現在 博士2年目からやっと奨学金を受給することになり、以前のように朝から晩までアルバイトをしなくても生活ができるようになった。また、奨学金の関係で年に数回関西地方に行くことになったが、そのおかげで旅行もできて楽しい時間を過ごせた。経済的精神的に余裕はできたものの、研究に費やす時間をそれほど増やさなかったことを、いまだに後悔している。「理系の人は博士3年で大体卒業するが、文系は3年以内に博士論文を提出することはそれほど多くはない」と聞いてきたが、自分も博士5年目となってしまった。運よく渥美奨学金もいただくことになったが、途中で所属大学の研究員に採用されたことで奨学金を辞退することになってしまった。昨年9月ソウルで結婚式を挙げてから日本に戻って博士論文を執筆し続け今年3月に論文を提出した。そして8年間生活した日本を離れ、現在はソウルに住んでいる。 <金律里(キム・ユリ)Kim Yullee> 東京大学死生学・応用倫理センター特任研究員。渥美国際交流財団2015年度奨学生。韓国梨花女子大学を卒業してから来日、2015年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程を退学。 ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・ 【3】新刊紹介 SGRA会員のボルジギン・ブレンサインさんより、新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 メッセージ:「2003年に出版した日本語版、その後に出された中国語版、そしてその後の研究成果を纏めたものです。欧米に向かって発信しようという活動の一部です。学術振興会の出版助成をいただき、本書を出すことができました。」 ◆Burensain_Borjigin “THE_AGRICULTURAL_MONGOLS: Land_Reclamation_and_the_Formation_of_Mongolian_Village_Society_in_Modern_China” 激動の近代を経て、多様化の時代を迎えた現代モンゴル人世界。内モンゴル東部における農耕モンゴル人村落社会の形成を、文献史料とフィールド調査を結合させて描き出す。※本文英語 ・Borjigin_Burensain(著)、Thomas_White(訳)、Uradyn_E._Bulag(校閲) ・発行:春風社/2017年2月 ・6000円(本体)/A5判並製400頁 ・ISBN:9784861105432 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://shumpu.com/archives/9078 ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Frank Feltens “Flower Country”

    *********************************************** SGRAかわらばん665号(2017年3月23日) *********************************************** SGRAエッセイ#526 ◆フランク・フェルテンズ「花国」 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という文章で始まる川端康成の『雪国』は日本海にある。毎年冬になると白雪に沈む地方をごくポエティックに表現している。しかしながら、私にとっては、日本といえば雪国ではなく「花国」だ。私には日本人より「日本は四季がある」という大ニュースがよく伝わってくるのではないかと思う。言うまでもなく、四季はドイツ、アメリカ、北半球の大半にもあるが、日本の四季は特別で不思議だ。もちろん花は世界のどこにでもあるが、花国の日本では、花が驚くほど大きな役割を果たしていると気づいた。まず、どんな季節でも花が咲いている。どんな時でも自然の美しさが溢れる。冬は梅、春は桜、夏は桔梗、秋は菊、など。 出身のドイツや、学校のあるアメリカと比べたら、日本では季節の変わり目はあまりなく、温度の差もあまり激しくない。高校生の頃にしばらく住んでいたカナダでは、本当に季節の違いが感じられた。感じてしまったと言ってもよい。カナダでは、冬が終わって雪が溶けると、熊が冬眠から目覚めたごとく、みんなが家から出て、目を擦る。「あったかい〜!!」と叫びたいぐらいの嬉しさが溢れる時期だ。 季節の差が激しくない日本でも、同じような気持ちを感じる。日本在住の4年間、毎年春分になると、信じられないぐらいの嬉しさが体を包んでわくわくする。何故だろうと自問してきた。今年初めて、その答えがわかった。花だ。温度や日差しではなく、花で嬉しさを感じるのだと。今年の最も重要な発見だった。気温に関係なく、周りに花が咲くと、より気分が良く幸せに溢れるようになる。花国の日本は、暖かくなる間もなく花が咲き始める。枯れた枝に我慢して待っていた蕾は、春の最初の日差しで出てきて挨拶する。暖かい季節の到着を現す若葉よりも、花が祝われている。日本の春は緑ではなくピンクだ。 冬と春の境に梅の花が咲く。梅もまた不思議な花だ。何百年もそのままであったような、節くれだつ枝から咲いている梅の花は奇妙な美しさがある。梅の花といえば、初めて日本に留学した時に行った京都の北野天満宮をいつも思い出す。ただ、見るよりも匂うことで思い出す。2007年2月にふらっと北野天満宮に行ったら、天国に生まれ変わったような香りに飲み込まれた。「うめのはな、こすゑをなへて、ふくかせに、そらさへにほふ、はるのあけほの」という藤原定家が詠んだ和歌と同じように、風が運んだ香りが鼻に潜り込んだ。この経験から、私にとって日本は梅の香りの花国となった。今年の2月、駅のホームで電車を待っていた。突然、梅の親しい香りが飛び込んできた。梅の木はどこにも見当たらなかったが、贈り物としてその香りをもらったような気がした。 春は桜、という感覚が一般的かもしれないが、私には冬と春を結びつけている梅が季節の魅力を形にしている。日本の代表である桜は梅と違う。梅が春を開くのに対して、桜の、軽く、細雪のように渦を巻いて散る花は、雪国の冬を春にひっくり返し、季節を取り替える。桜吹雪で春と冬をスイッチする日本は、やはり不思議な四季の感覚だ。 花国のもう1つの不思議さは季節のタイミングだ。毎年春は定期的にやってくるが、この頃に桜が咲くぞという予報は、確かにその通りになる。梅はこのように注目されず、一人で頑張って、綺麗なものを産み出してくれる。梅こそ日本の本当の代表ではないだろうかと私は思う。ただ、日本は桜が優先されてしまうため、それぞれの季節の貴重さがたまに失われてしまう。平安時代から「花」といえば「桜」のことを指していたそうだが、各季節に違う花々に彩られているのが、日本という花国の最もアピールするところではなかろうか。地球温暖化のため、日本の季節も変わってくるかもしれないが、日本の心にはずっと花があることは変わらないだろう。 <フランク・フェルテンズ☆Frank_Feltens> 米国フリーア美術館特別研究員。ドイツのフンボルト大学で日本文学を学んだ後、米国コロンビア大学大学院で日本美術を学び、尾形光琳と江戸中期の美術をテーマにして2016年博士号を取得。学習院大学に文部科学省国費留学生として留学し、その後、客員研究員、立教大学非常勤講師等を務める。2016年夏より現職。。 ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Juliana Buritica Alzate “I Came to Japan as a Girl, then Became a Mother.”

    ************************************************* SGRAかわらばん664号(2017年3月16日) ************************************************* SGRAエッセイ#525(『私の日本留学』シリーズ#7) ◆フリアナ・ブリティカ・アルサテ「娘として来て、母になった」 このエッセイでは、「私の日本」について考えてみたい。広い課題だが、「私の日本」というのは、日本における私の個人的な経験になるだろう。日本で生活することによって、どのように自分自身の人生が変わってきたかを考えてみたい。特に、「娘として来て、母になった」という個人的な道のりについて書いてみよう。そのことによって、私の視点から「日本」を見られるのではないかと思う。 日本に来てからそろそろ7年になる。日本に来る前の私はコロンビアのボゴタで両親と一緒に住んでいた。ロス・アンデス大学で言語哲学および社会文化研究を主専攻、哲学を副専攻として学士号を取得した。大学生のときには、6つのレベルの日本語クラスを終了し、文化、歴史、現代思想、文学、映画、アジアのルーツや地域研究など、開講されている日本に関するすべてのクラスを受講した。また、大学の文化祭の企画に積極的に関わり、生け花や折り紙のワークショップや日本からコロンビアへの移民に関する会議なども企画した。時には、家に持ち帰ってお寿司を作ったり、書道をしたり、日本映画を見たりもした。私はとても楽しかったのだが、母から見るとそれはおかしな行為だったようだ。「大学も時代が変わってきたよね」、「これは何のため?どういう仕事ができる?」「卒業したらどうするの?」とよく言われた。 日本に来る前から日本のイメージを持っていた。日本のことや日本語を知っていると思ってはいたが、さらに自分の知識を広め深めようと日本の大学院に行くことを決めた。夢が今や現実のものとなり興奮していた私だったが、成田空港に到着した時は、電車のチケットを買おうとしてもどうしたらいいか分からなかった。それで最初の会話は英語になってしまった。意外ではないかもしれないが、私に日本語で話してくれる人は少なかった。7年経った今でも、まだ最初から日本語で話してくれる人と会うのは珍しい。外国人が日本語を話せるということを期待している人は少ないようだ。日本に来てから「外国人の大学院生」としてさらに日本語の勉強を進め、日本文学を研究しながら夢中に過ごしたが、それによってどのように人生が変わるかを想像するのは難しかった。 私は22歳から東京で生活しているので、日本で「大人」になっている。母が初めて来日した時、私が2年間で様々なことを乗り越え、十分に成長したという印象を持ったそうだ。2回目は私が日本に来てから5年目、結婚式のために来た。その時は「もう大人になった」と言われた。私は自立し、新しい家族を作った。3回目は孫の世話をするために来た。私は「娘として来て、母になった」のだ。これは大きな人生の変化だ。 そして、母からは「あなたはだんだん日本人になっている」と何回も言われた。どういう意味かを考えてみたい。それは日本文化、価値観や態度を自分の性格の一部として受け入れるようになってきたということだと思う。例えば、約束の時間に間に合うように頑張ることで「日本人みたい」と評価してくれる。確かに私は時間を守る人になったが、私にとってそれは「日本人になっている」より、「日本で(大)人になっている」の方が、自分の人生にとってより大きな意味があると思う。言い換えれば、人生を変えるような出来事が日本で起こったのだ。そして自分の職業や人間関係、考え方は日本が背景になっているのだと思う。 日本で初めて自立した生活をし、修士号を取得し、結婚し、母になった。そして、今は博士号の取得に向けて取組んでいる。東京では保育園が不足しているという社会問題があるのに、ラッキーなことに子どもを保育園に入れて、これからは子育てをしながら研究者として活動しようとしている。本当にありがたいことである。 博士論文では日本の現代女性作家の作品における女性の身体表象について研究している。自尊心や自己受容に基づき、自分の体とポジティブな関係を築く手段として文学を用いたい。私が選んだのは川上未映子の『乳と卵』、桐野夏生の『東京島』、伊藤比呂美の「カノ子殺し」である。この研究が私の生活にも繋がっている。とりわけ、この研究は間違いなく、私が母親になるという個人的な道のりを助け、導いてくれていると感じる。これらの作家たちは妊娠、出産、授乳、子育てをする体について新しい見方を与えてくれた。まず、人生の変化は身体の変化であるということを理解できた。私が研究している日本文学に出てくる子育ては、皆あいまいで、矛盾し、もろく、完璧な、あるいは理想の母親は存在しないということを示している。 最後に、私にとって日本は、つまり「私の日本」は、母親になるために素晴らしい国だと思う。日本で「娘として来て、母になった」という個人的な道のりによって成長できる機会が与えられていることに日々感謝している。 <フリアナ・ブリティカ・アルサテ☆Juliana_Buritica_Alzate> 渥美国際交流財団2015年度奨学生。2010年4月に来日。国際基督教大学大学院アーツ・サイエンス研究科比較文化専攻で修士号を取得。現在、同研究科博士後期課程在学中。専門は比較文学およびジェンダー研究。 ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Xie Zhihai “The Self-Defense Technique Against Texting While Walking”

    *********************************************** SGRAかわらばん663号(2017年3月9日) *********************************************** SGRAエッセイ#524 ◆謝志海「歩きスマホの護身術」 スマートフォンが世にでる前から、私は歩きながら携帯電話を操作しないようにしている。私の友人の友人が、仕事帰りに最寄り駅から自宅までの夜道で携帯電話を見ながら歩いていて、たまたま工事中でロープが張られていたことに気付かず、それに引っかかり転倒し、膝を大きく切り11針を縫うことになったという。翌日から沖縄旅行を控えていたが、医者に海に入るどころか飛行機に乗ることも禁じられ、旅行はキャンセル。当日のキャンセルで代金は全額戻らず。私はこの惨事を被った方とは全く面識はないが、話を聞いた時「この出来事は私へのメッセージ、明日は我が身、今後携帯電話を見ながら歩かない」と決心した。それ以来、私はスマホを見ながらずんずん向こうから突進してくる人々にもなぜか寛容になれた。私が気をつけていれば大丈夫だと。しかしスマートフォンの急速な普及、そして様々な使われ方で、歩きスマホは社会問題、いや世界の課題のようだ。 ある日の日本経済新聞の見出しに「歩きスマホ万国共通」とあり、この記事には様々な国の歩きスマホ対策が紹介されていた。どの国でも事故があり問題視されているが、これといった解決策は見出されていないことまで共通している。中国湖南省で、母親の歩きスマホが原因でその子どもが交通事故死となった例が冒頭に紹介されていたが、中国の歩きスマホは深刻だ。死亡事故まで多発している。 例えば、2013年10月北京市で、17歳の女子高生が深い溝があることに気付かずに転落死。2016年8月には浙江省の男性が信号のない横断歩道をスマホを見ながら横断中に車に跳ねられ死亡。2015年11月、江蘇省の男性が階段に気付かず転落死。このように、歩きスマホの事故はキリがないほど出てくる。死に至るケースも多い。一方で歩きスマホに対する対策や危険の周知に関しては、これといって出てこないこともまた驚きだ。中国のスマートフォンユーザーは9.2億人と言われている。そのうち歩きスマホをする人は何億人いるのだろう?想像するだけでゾッとする。 歩きスマホが怖いのは中国だけではない。日本にもたくさんの歩きスマホ者がいる。日本で生活していて、歩きスマホに関して特に怖いと感じるのは、都心の混み合った駅のプラットホームで歩きスマホをする人たちと遭遇する時だ。スマホを凝視しながら足早に向かって来る人に何度もぶつかりそうになり、また歩きスマホ同士が接触している様も何度も目撃した。プラットホームで彼らにぶつかって、線路に落ちたらと思うととても怖い。最近私はホームの端っこに近づかないようにしている。日本のような先進国でもホームドアの設置が遅れている。 前述の新聞記事の結論は「結局は一人一人の意識改革が必要になる」であった。私がいつもしていることは、「混雑している場所でのスマホの操作は、道の端、柱の陰に速やかに移動して立ち止まって行う」である。迷惑にならないようにということと、衝突などから我が身を守るためである。実は私は歩きながら携帯を操作するというマルチタスクが苦手という自認もあるのだが。当分の間はこのように、自分で歩きスマホの人々から身を守るしかなさそうだ、どの国にいても。 <謝志海(しゃ・しかい)Xie_Zhihai> 共愛学園前橋国際大学専任講師。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイトを経て、2013年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。 ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • SGRA Forum #56 Report

    *********************************************** SGRAかわらばん662号(2017年3月2日) *********************************************** ◆瀬戸文美「第56回SGRAフォーラム『人を幸せにするロボット』報告」 あなたは、ロボットが人間に反乱を起こす日が来ると思うだろうか? 近年、日本のみならず世界中でヒト型ロボットの開発が行われており、また車両の自動運転などロボット技術の社会応用も進んでいる。その一方で人工知能の進化によるシンギュラリティ(技術的特異点)、人工知能やロボットが人間の能力を超え人間の仕事を奪うという将来への不安も取り沙汰されている。果たしてロボットは人間を幸せにするのか、ロボットが「こころ」を持つ日は来るのか、そもそもロボットとは何なのか。日本のロボット研究の第一人者である東大の稲葉雅幸教授を始めとする工学者と新進気鋭の哲学者が「人を幸せにするロボット」について自説を延べ、ディスカッションを行った第56回SGRAフォーラムをレポートする。 東京大学大学院情報理工学系研究科の教授である稲葉雅幸氏は『夢を目指す若者が集う大学とロボット研究開発の取り組み』と題して、稲葉研究室で行われているヒト型ロボットを中心とした研究とその教育効果について基調講演を行った。 稲葉氏は学部生の頃から現在まで、一貫して情報システム工学研究室に所属しロボットの研究開発を行ってきた。1993年に16個のモータを有する小型ヒト型ロボット、2000年には人間と同等のサイズのヒト型ロボット研究プラットフォームを開発。折しも福島第一原発事故を背景として米国国防省による災害救助ロボットのコンテスト『DARPAロボティクスチャレンジ』が世界全体の課題として行われ、それへの挑戦のためにベンチャー企業『SCHAFT』を創業したのが、稲葉研究室の卒業生である中西雄飛氏と浦田順一氏である。その後Googleに買収された同社には20名以上の稲葉研究室の卒業生が集まりロボット開発を行っている。 その一方で稲葉研究室でも「これまでできていなかったことを、誰もこれまでやったことのない方式でできるようにする」という方針のもと電磁モータ駆動・水冷気化熱利用により高出力を実現するヒト型ロボット『JAXSON』が開発された。稲葉氏によればロボットとは「感覚と行動の知的な接続法の研究」であり、「先端技術の総合芸術」であり、「工学分野における複数の技術の融合・統合体」であるという。稲葉研では学生がめいめい小型のヒト型ロボットを作り動かすことで、多様な技術を広く体験して研究テーマとなる問題を自分自身で発見し、それを深めていくというスキームを経験することができる。そのようなロボット研究開発について「『苦労』と感じるかもしれないけど、同時に『幸せ』なことでもある」という考えを示した。 立命館大学情報理工学部情報コミュニケーション学科・教授の李周浩氏は『ロボットが描く未来』と題し、SF作品などを通じて描かれるロボットとその未来技術、そして社会におけるロボット技術の在り方について話題提供を行った。 李氏は韓国出身で、幼少の頃に観たロボットアニメ『マジンガーZ』に魅了されロボット科学者の道を志した。1920年に『ロボット』という言葉が生み出されて以来、人間の理想を映すものや友達、従順な僕などとして現在までさまざまなロボットが描かれ、『ロボット』というものへの印象を人々の中で構築している。そこではロボットは、単に人間のために労働力を提供する機械としてだけではなく、人間が全知全能の創造主として自らの夢や希望を投影できる対象であり、人間を理想として発展している唯一技術として人々に夢を与えるものとして描かれている。また現実のものとしてのロボット技術は「期待のピーク」の直前に位置しているが(2016年ガートナー社ハイプ・サイクルより)、その一方で労働者階層・中間層の雇用がロボットや人工知能に代替されることを危ぶむ声も少なからず耳にする。明暗あれど現在ロボットは脚光を浴びていることは事実であり、この現状を踏まえてロボットが描く未来はどうなるのかという問いを後半のフリーディスカッションに投げかけ、李氏は講演を締めくくった。 3人目の講演者である東京大学教養学部助教の文景楠氏は、古代ギリシャ・アリストテレスを専門とする哲学者である。本フォーラムでは『ロボットの心、人間の心』と題して、「ロボットは心を持つのか?」という問いへのアプローチを示した。 この問いに答えるためには「心とは何か」、そして「心を持つ・持たないということをどうすれば判定できるのか」という2つの問いに先に答える必要がある。第1の問いに対して、心とは「痛みを感じるような何か」というように曖昧に定義し、その上で第2の問いに対しての「人間らしいそぶりを示す」という答えについて考察する。あなたのことを「心を持っていないロボット」と信じ込んでいる人がいた場合、あなたはどうやって自分が心を持っていることを示すだろうか。自身を殴らせることで痛みを感じている表情や様子を示しても、殴られた結果生じる身体のあざを示しても、それはただの「ふり」で巧妙なつくりのロボットだと言われれば反証はできない。 このように「『人間らしいそぶりを示す』ことで心の有無を判定する」ということ自体に嫌疑をかけると、ロボットはもとよりほとんどすべての人間に対して相手が心を持っていない可能性を考慮しなければならなくなるため、人間らしいそぶりを示すものは心を有していると考えるべきである。しかしこの「人間らしい」という基準が曖昧である以上、先の結論は「ロボットは心を持たないと断定すべき根拠はない(どういうロボットが心を持つロボットかはさらなる議論が必要)」と弱めた形で受け入れられることとなる。講演の最後に文氏は、「ロボットが心を持つか」という問いは「心を持つとはどういうことか」という問いを経由し人間の自己理解を問い直すものとして重要であるという考えを示した。 最後の講演では物書きエンジニアの瀬戸文美が「(絵でわかる)ロボットのしくみ」と題して、ロボットや科学技術を一般に広め身近なものとするにはどうしたらよいのか、自身の著書である「絵でわかるロボットのしくみ」を例としてその方法論を示した。ことロボットにおいては見た目や構造が人間と似ているため、技術的に困難であるなしに関わらず人間が行っていることはロボットも当然できるはずというバイアスが見る側にはかかってくる。姿形や派手な動きといった表面的なことだけではなく、その裏に存在する技術や技術者・研究者を伝えることがロボット技術の発展に重要であるという考えを述べた。また写真を並べたカタログ的な紹介冊子か専門的な教科書かという二極化していた従来のロボット書籍と異なり、数式や専門用語を用いずに分野全体の俯瞰を行いロボット工学へのはじめの一歩を踏み出すことを目的としたという著書のアプローチを示した。 その後のフリーディスカッションでは「人間と同様のロボットが誕生した場合にどんな法的整備が必要になるのか」「心の1つの要素として、ロボットは自由意志を持てるのか」といった会場からの問いに、4名の講演者がそれぞれの見解を述べ活発な議論が行われた。 当日の写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/photo-gallery/2017/8023/ <瀬戸文美(せと・ふみ)Fumi_SETO> 2008年東北大学大学院工学研究科バイオロボティクス専攻博士後期課程修了 工学博士 大学院修了後、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)主任研究員などを経て、現在は「物書きエンジニア」として研究や執筆活動を行う。その間、人間協調型ロボットの研究をしながら、科学の魅力や研究の面白さを伝える『東北大学サイエンス・エンジェル』の第一期生として、サイエンスコミュニケーション活動を行う。主な著作:『私のとなりのロボットなヒト:理系女子がロボット系男子に聞く』近代科学社(2012)、『絵でわかるロボットのしくみ(KS絵でわかるシリーズ)』平田泰久(監修)、講談社(2014)。  ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Cakir Murat “What I have learned in Japan”

    ******************************************************************** SGRAかわらばん661号(2017年2月23日) 【1】エッセイ:チャクル・ムラット「私が日本留学で学んできたこと」 【2】新刊紹介:包聯群編著「現代中国における言語制作と言語継承」 ******************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#523(『私の日本留学』シリーズ#7) ◆チャクル・ムラット「私が日本留学で学んできたこと―特に女性のすごさについて」 2006年に運よく日本留学の夢が叶い、今年で9年目になった。振り返ってみればあっという間に過ぎた時間であったが、日本留学をきっかけに「良き市民」になる学びのプロセスが始まったと思う。日本に来た当時と今を比べると、想像以上の成果があり、学んだことは計り知れない。専門的な知識や研究でのノウハウはその1つである。たとえば、問題意識をはっきりさせること、適切な課題や方法を設定すること、そして、研究者だけが理解するような研究では意味がないから、子どもにも分かるように研究のデザインを常に映画監督のごとく考えていくことなど、ここに書ききれない多くの学びがあった。 この9年間は、研究だけをやってきたわけではない。日本人や様々な国の人々との交流のおかげで、研究以上の学びがあった。研究だけの人生というのはつまらないと思ったことも多々あるから、その時にはできるだけ日本人の研究者と交流した。また研究者だけの人間関係では狭いから、子どもや一般の人ともできるだけ多く接したいと思うようにもなった。 特に、小中学校でのトルコの紹介といった形での国際交流活動を通して児童や生徒から学んだことは、私の人生観や世界観を変えるほど刺激的なものだった。子どもたち(子どもといってもみんな立派な「大人」たちだと思うが)に接して思い知らされたことは主に2つある。1つは、私が自分のことや自国のことをいかに知らないのかということだった。もう1つは、教えること、つまり、子どもたちの成長・学びを最大限に助けて導くことがどれほど難しいことなのかをよく理解したことである。 研究について苦しんでいるとき、子どもに関係する活動を行い、そこで得ている学びを自分で実感できるようになり、研究上の新たな気付きや達成感を味わった。だが、当時焦りや心配がいっぱいあった昔の私に、今の自分は、「まだまだ伸びしろがあるよ、先のことを考え過ぎたり、小さなことで悩んだりするよりもっと行動しなさい。その時にやるべきことをやりなさい」と言いたい。なかなか物事がうまくいかず達成感を味わうことができなくても、「それはそれでまた学びだよ」と言いたい。 こうした考えを強めたのは、自分の子どもが生まれた時と、その時から実感し始めた「女性のすごさ」のおかげである。 自分の育ってきた社会において、女性の社会的地位や女性に対する考え方というものにいつも疑問を感じて、どうやったらもっと女性が生き生きする社会にして行けるのだろうかということを考えたりしていた。しかし、今考えてみると、当時は本当の意味で「女性のすごさ」を理解していなかったとはっきりいえる。トルコ社会でも経済的に恵まれている女性たちは生き生きして、積極的で活発に動く人が多い。しかし、日本の女性と比べると、大きく違うところは「日本人女性のしたたかさ」である。 出産前と、出産後の子育ての長い過程が始まってからの妻の変化に対する自分の発見・驚きと戸惑いを忘れることができない。まず、女性が「子どもを産む」ということ自体がすご過ぎる。男性は女性より体力があるにしても、出産の痛みなどには絶対に耐えられない精神的に弱い生き物だと思う。また、子育てをし始めてからのたくましさ・したたかさが出産前より何十倍も強くなっている妻の姿を見たときに、一方で、子どもが産まれてもあまり変わらない、また変わろうとしているがなかなか思うように変えられない自分がそこにいて、今まで感じたことがない無力感に襲われた。その後、妻のペースにどんどん巻き込まれていくのだが、自分は何とかしてついていかなければいけないと思い、いろいろ学び始めた。このように女性が秘めている底なしのしたたかさと、守り・包み込むような優しさを身近に見て感じ、そこから自分は初めて女性を本当の意味で理解し始めた気がした。 一方、晴れて渥美財団のメンバーになれて、異なる側面から女性のすごさを発見することができた。それは、男性と違う女性にしかできないリーダーシップである。男性のリーダーシップはどちらかというと、持っている権力を通して人々が動くように働きかけ、影響を与えることが中心になっているといえる。しかし女性は、影響力を与えるというより、まずその組織の一員としての居場所を与え、一人ぼっちと感じないように大きな家族のあたたかさで包み込む。そこから大きなネットワークに「ダイナミックにつないで」個々人にアイデンティティを与える。そうすると、抵抗感を感じることなくいつの間にか各自は女性のリーダーシップに引っ張られていることに気付く。このような学びを経て、自分がもしリーダーの立場に立った時にどうすればいいのか、相手をどのようにつなぐか、その相互関係性を理解したといえよう。 よく考えてみると、この世の中はそもそも女性が作っているといっても過言ではない。我々男性は仕事や研究という狭いところでちまちましているのではなく、もっと多様な能力を持っている女性に学んで、世の中をよくしていかなければならない。私はどれほど狭い世界でしか考えていないのかを思い知らされ、もっと思考を広くしなければならないと感じた。 これらは私のこれまでの留学経験で得た貴重な体験であるが、良き市民になるための自分の人生の新たな段階での新たな学びは始まったばかりなのだ、と私は思う。 <チャクル・ムラット☆Cakir_Murat> 渥美国際交流財団2014年度奨学生。2015年度に関西外国語大学特任助教。2015年筑波大学人間総合科学研究科教育基礎学専攻博士後期課程単位取得退学(教育学)。獨協大学、文京学院大学、早稲田大学、筑波大学非常勤講師、トルコ大使館文化部/ユヌス・エムレ・インスティトゥート派遣講師。 -------------------------------------------------------------------------- 【2】新刊紹介 SGRA会員の包聯群さんより新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆包聯群編著「現代中国における言語制作と言語継承 第三巻」 本書は、2014年9月15日に学習院大学、2015年11月28日に東京大学東洋文化研究所にて実施された第四・第五回日中ワークショップで行われた口頭発表の内容を論文集としてまとめたものである。主に中国国内におけるモンゴル系言語を中心としているが、その他の言語も含まれている。 第一部「言語政策とバイリンガル教育」 第二部「モンゴル系諸語のダグル語・東部ユグル語」 第三部「モンゴル系言語について」 1)使用と変化、2)文法特徴、3)中国東北地区ホルチンモンゴル語の変化と教育状況、4)中国黒龍江省におけるモンゴル語教育と言語の実態 発行日:2016年10月28日 編著者:包聯群 発行所:株式会社 三元社 ISBN978-4-88303-410-9 ************************************************** ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
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