SGRAメールマガジン バックナンバー

  • SGRA Forum #61 “Globalization!? of Higher Education in Japan” Report

    *********************************************** SGRAかわらばん749号(2018年11月15日) *********************************************** ◆沈雨香「第61回SGRAフォーラム『日本の高等教育のグローバル化!?』報告」 今日の日本では「留学」と英語教育をキーワードに積極的なグローバル人材育成が推し進められている。10月13日開催された第61回SGRAフォーラムでは、「日本の高等教育のグローバル化!?」をテーマに、留学と英語教育を柱とするグローバル人材育成の現状を今一度振り返り、今後の在り方について建設的な討論が行われた。産学官民の関心が高い話題だけあって、休日にも関わらず、フォーラム会場は大学教員、日本人大学生、外国人留学生、企業関係者等、70人を超える参加者で賑わった。 司会を務めた張建・東京電機大学特任教授と今西淳子・渥美財団常務理事のあいさつでフォーラムはその幕を開けた。最初に、沈雨香・早稲田大学助手による、送り出し/受け入れ留学を通した大学のグローバル化とグローバル人材育成への問題提起があった。沈は留学をグローバル人材育成の柱とし、国を挙げた金銭的援助が精力的に行われてはいるものの、短期留学のみが急速に増加している現象を指摘した。そのうえで早稲田大学の学部生を対象に行われたアンケート調査結果をもとに、グローバル人材育成における短期留学の効用とキャンパス内国際交流の有効活用について疑問を投げかけた。 その後、吉田文・早稲田大学教授により「日本の高等教育のグローバル化、その現状と今後の方向について」を題材に日本におけるグローバル人材育成の背景と現状、またその課題についての基調講演があった。吉田教授は現代の日本におけるグローバル人材育成の主体が、会社から社会へ、社会から国家へ、そして大学へといかに変遷してきたか、さらに、その中でグローバル人材像がいかに変容してきたのか、その内容を詳しく述べた。その後、伸び悩んでいる長期海外留学と拡大する短期留学(海外研修)の現状を提示し、外国人との共生という社会の問題と日本企業のグローバル人材に対する矛盾ともいえる採用態勢を今後の課題とした。 一方、隣の国の韓国では海外留学が活発に行われている。そこで、本フォーラムでは韓国のシン・ジョンチョル・国立ソウル大学教授を招き、「韓国人大学生の海外留学の現状とその原因の分析」について講演をお願いした。その中でシン先生は、韓国人大学生の海外留学が1990年代から増加し、今は一定水準を維持していることや、その海外渡航目的が年々多様化していることを挙げ、その原因についての考察と、日本と韓国の現状比較を話された。過剰な留学ブームが続く韓国と留学の減少が懸念されている日本。両国の社会・経済状況を踏まえた、留学だけに依存しない、グローバル人材育成の在り方について提案する形で先生の発表は終了した。 問題提起と2つの基調講演を終えた後は、昭和女子大学のシム・チュン キャット准教授の進行の下、複数の日本の大学による事例報告と参加者を交えたパネルディスカッションが行われた。まず、関沢和泉・東日本国際大学准教授により、地方の小規模私立大学における留学プログラムの実践とその成果についての報告があった。関沢准教授は短期のプログラムがその後の留学への呼び水となったケースなどを紹介しながら、地方大学生の場合は金銭的問題が留学への主な阻害要因であると、さらなる留学推進への課題を提示した。 次に、関西外国語大学のムラット・チャックル講師より、関西外国語大学におけるグローバル人材育成のためのカリキュラムの紹介と実践と成果の報告があった。英語授業と外国人留学生との交流を活用し、留学に行かずにしてグローバル人材育成を行っているプログラムを紹介した上で、学生の就職意識調査の結果から大学における就職ガイダンスの在り方を課題として提示した。 最後に、金範洙・東京学芸大学特命教授からはご自身の民間機関が実施する教育コンソーシアムの概要と実際の韓国短期留学プログラムの実践事業例を題材に国際的な教育協力の試みについての報告が発表された。国境を越えて行われる政府間共同事業を紹介し、今後のグローバル人材育成の体制や方法について示唆を与えた。 続いて行われたフリーディスカッションでは、参加者と登壇者の間で積極的な意見交換が行われた。留学を経験した日本人学生からは自らの経験を踏まえた留学に対する意見や韓国の事例に対する質問があった。人材マネジメント業界で勤める社会人参加者からは今後の企業の努力や姿勢についての質問があり、さらに、留学生参加者からは実際の留学経験から感じた日本人学生との交流の難しさや解決方法についての話があるなど、フォーラムの終了時刻を延長せざるを得ないほどたくさんの質問や意見が会場を飛び交っていた。これらの白熱した議論は、グローバル人材の定義、さらなるグローバル化が進む現代社会の在り方、さらに、その社会での生き方について真剣に考えなければならないとの問題意識を喚起させるものであったといえよう。 フォーラムの写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/photo-gallery/2018/11883/ 当日のアンケートの結果は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/11/Forum61feedback.pdf <沈雨香(シン・ウヒャン)Sim_Woohyang> 2017年度渥美奨学生。早稲田大学教育学部卒業後、同大学教育学研究科で修士課程修了。現在は博士課程に在籍し博士論文を執筆しながら、早稲田大学教育・総合科学学術院の助手。専門は教育社会学。中東の湾岸諸国における高等教育の研究を主に、近年の日本社会における大学のグローバル化とグローバル人材に関する研究など、高等教育をテーマにした研究をしている。 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第12回SGRAチャイナ・フォーラム「日中映画交流の可能性」 (2018年11月24日、北京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/11941/ ◇第5回アジア未来会議「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 (2020年1月9日~13日、マニラ近郊)<論文(発表要旨)募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRA の事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • SGRA Forum #61 Report

    *********************************************** SGRAかわらばん749号(2018年11月15日) *********************************************** ◆沈雨香「第61回SGRAフォーラム『日本の高等教育のグローバル化!?』報告」 今日の日本では「留学」と英語教育をキーワードに積極的なグローバル人材育成が推し進められている。10月13日開催された第61回SGRAフォーラムでは、「日本の高等教育のグローバル化!?」をテーマに、留学と英語教育を柱とするグローバル人材育成の現状を今一度振り返り、今後の在り方について建設的な討論が行われた。産学官民の関心が高い話題だけあって、休日にも関わらず、フォーラム会場は大学教員、日本人大学生、外国人留学生、企業関係者等、70人を超える参加者で賑わった。 司会を務めた張建・東京電機大学特任教授と今西淳子・渥美財団常務理事のあいさつでフォーラムはその幕を開けた。最初に、沈雨香・早稲田大学助手による、送り出し/受け入れ留学を通した大学のグローバル化とグローバル人材育成への問題提起があった。沈は留学をグローバル人材育成の柱とし、国を挙げた金銭的援助が精力的に行われてはいるものの、短期留学のみが急速に増加している現象を指摘した。そのうえで早稲田大学の学部生を対象に行われたアンケート調査結果をもとに、グローバル人材育成における短期留学の効用とキャンパス内国際交流の有効活用について疑問を投げかけた。 その後、吉田文・早稲田大学教授により「日本の高等教育のグローバル化、その現状と今後の方向について」を題材に日本におけるグローバル人材育成の背景と現状、またその課題についての基調講演があった。吉田教授は現代の日本におけるグローバル人材育成の主体が、会社から社会へ、社会から国家へ、そして大学へといかに変遷してきたか、さらに、その中でグローバル人材像がいかに変容してきたのか、その内容を詳しく述べた。その後、伸び悩んでいる長期海外留学と拡大する短期留学(海外研修)の現状を提示し、外国人との共生という社会の問題と日本企業のグローバル人材に対する矛盾ともいえる採用態勢を今後の課題とした。 一方、隣の国の韓国では海外留学が活発に行われている。そこで、本フォーラムでは韓国のシン・ジョンチョル・国立ソウル大学教授を招き、「韓国人大学生の海外留学の現状とその原因の分析」について講演をお願いした。その中でシン先生は、韓国人大学生の海外留学が1990年代から増加し、今は一定水準を維持していることや、その海外渡航目的が年々多様化していることを挙げ、その原因についての考察と、日本と韓国の現状比較を話された。過剰な留学ブームが続く韓国と留学の減少が懸念されている日本。両国の社会・経済状況を踏まえた、留学だけに依存しない、グローバル人材育成の在り方について提案する形で先生の発表は終了した。 問題提起と2つの基調講演を終えた後は、昭和女子大学のシム・チュン キャット准教授の進行の下、複数の日本の大学による事例報告と参加者を交えたパネルディスカッションが行われた。まず、関沢和泉・東日本国際大学准教授により、地方の小規模私立大学における留学プログラムの実践とその成果についての報告があった。関沢准教授は短期のプログラムがその後の留学への呼び水となったケースなどを紹介しながら、地方大学生の場合は金銭的問題が留学への主な阻害要因であると、さらなる留学推進への課題を提示した。次に、関西外国語大学のムラット・チャックル講師より、関西外国語大学におけるグローバル人材育成のためのカリキュラムの紹介と実践と成果の報告があった。英語授業と外国人留学生との交流を活用し、留学に行かずにしてグローバル人材育成を行っているプログラムを紹介した上で、学生の就職意識調査の結果から大学における就職ガイダンスの在り方を課題として提示した。最後に、金範洙・東京学芸大学特命教授からはご自身の民間機関が実施する教育コンソーシアムの概要と実際の韓国短期留学プログラムの実践事業例を題材に国際的な教育協力の試みについての報告が発表された。国境を越えて行われる政府間共同事業を紹介し、今後のグローバル人材育成の体制や方法について示唆を与えた。 続いて行われたフリーディスカッションでは、参加者と登壇者の間で積極的な意見交換が行われた。留学を経験した日本人学生からは自らの経験を踏まえた留学に対する意見や韓国の事例に対する質問があった。人材マネジメント業界で勤める社会人参加者からは今後の企業の努力や姿勢についての質問があり、さらに、留学生参加者からは実際の留学経験から感じた日本人学生との交流の難しさや解決方法についての話があるなど、フォーラムの終了時刻を延長せざるを得ないほどたくさんの質問や意見が会場を飛び交っていた。これらの白熱した議論は、グローバル人材の定義、さらなるグローバル化が進む現代社会の在り方、さらに、その社会での生き方について真剣に考えなければならないとの問題意識を喚起させるものであったといえよう。 フォーラムの写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/photo-gallery/2018/11883/ 当日のアンケートの結果は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/11/Forum61feedback.pdf <沈雨香(シン・ウヒャン)Sim_Woohyang> 2017年度渥美奨学生。早稲田大学教育学部卒業後、同大学教育学研究科で修士課程修了。現在は博士課程に在籍し博士論文を執筆しながら、早稲田大学教育・総合科学学術院の助手。専門は教育社会学。中東の湾岸諸国における高等教育の研究を主に、近年の日本社会における大学のグローバル化とグローバル人材に関する研究など、高等教育をテーマにした研究をしている。 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第12回SGRAチャイナ・フォーラム「日中映画交流の可能性」 (2018年11月24日、北京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/11941/ ◇第5回アジア未来会議「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 (2020年1月9日~13日、マニラ近郊)<論文(発表要旨)募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRA の事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Mailisha “Linking and Fostering the Cercle of Cooperation”

    *************************************************** SGRAかわらばん748号(2018年11月8日) 【1】エッセイ:マイリーサ「繋げて育む協働の輪」 【2】新刊書紹介:柳忠熙「朝鮮の近代と尹致昊」 *************************************************** 【1】 SGRAエッセイ#580 ◆マイリーサ「繋げて育む協働の輪―ふくしまスタディツアーに参加して」 2018年5月25日、私は初めてSGRAふくしまスタディツアーに参加させていただきました。渥美国際交流財団SGRAでは2012年から毎年、原発事故の被災地である飯舘村を訪れています。出発の前、私はSGRAスタディツアーに参加した先輩方の感想文を読み、飯舘村の状況について少し事前勉強をさせていただきましたが、現場では、飯舘村がおかれている厳しい状況を改めて感じることができました。 「ふくしま再生の会」理事長の田尾さんのご案内で、私たちは住民の帰還開始から1年となる飯舘村を見学しました。正直、この美しい里山が消滅の危機に直面していると思いました。そして、「ふくしま再生の会」が非常に困難な課題の解決に挑んでいるというのも初日の感想でした。日本の農山村は元々人口減少や高齢化の進行に苦しんでいますが、原発事故災害という特殊な環境において、その傾向はいっそう拍車をかけられています。 しかし、このスタディツアーで、私は次第にある現象に気づき、ここは交流人口がとても多いことに驚きました。というのは、ツアー中に私たちは他地域からの訪問者をよく見かけました。土曜日になると、何世帯かの高齢者しかいない限界集落に奇跡が起きていました。田植えを翌日に控え、佐須地区の「再生の会」の拠点に様々な分野の幅広い世代の人々が訪れていました。 やはり、人と人が集う場所には明日への活力が生まれると、私はその時強く感じました。原発事故が発生した3ヶ月後から、ここ佐須地区を舞台に、村民・専門家・ボランティアの協働による除染法の開発や農作物の栽培試験の取り組みが始まっていましたが、種まき、田植え、稲刈りなど1年を通して村民は多くの参加者の方々と一緒に米を育ててきました。現在は人々の繋がりによる協働の輪が広がりつつあります。 話によると、ほぼ毎週末(土日)、「ふくしま再生の会」の活動拠点に人びとが集まり、各種の活動を行っています。埼玉県立鴻巣高校のボランティアや東京大学のサークルのツアーなど若者たちが来ていました。そうした中で、大学と結ぶ活動の創造的展開も生み出されています。東京大学や明治大学などとの協働により、住民の目線による農地再生の取り組みと新しい地域づくりも可能になっているのではないかと感じました。 人々のつながりの「輪」は、環境保全に限らず、歴史と文化の継承という可能性も生み出しています。山津見神社拝殿の天井絵(オオカミ絵)の復元プロジェクトへの協力、明治時代に造られた校舎の保全と活用、味噌づくり継承プロジェクトなどはその好例です。こうした持続的な交流と協働こそが、「ふるさと再生」の仕組みを作り上げることができるのではないかと感じました。外国人の私は、日本のこのような多様な主体を持つ社会活動の展開とそれによる社会的価値創造にとても励まされました。 飯舘村は、日本の最も美しい村の一つとして知られていますが、飯舘村に行ってさらに、信じられないほど美しい光景に出会いました。それは「繋げて育む協働の輪」です。私は人々のつながりに非常に感動しました。またこの美しい村に行きたいです。 ※2018年5月に実施したSGRAスタディツアーの報告は、下記リンクよりお読みいただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/2018/10830/ <マイリーサ Mailisha> 昭和女子大学国際学部教授。2000年一橋大学社会学研究科博士課程修了、博士(社会学)。専門分野は教育社会学、農山村の地域づくり。近年、日本の里山保全と中国の少数民族地域での環境問題を研究対象としている。日本学術振興会外国人特別研究員、立教大学非常勤講師、昭和女子大学人間文化学部特命教授などをへて、現職。主な著書に『内発的村づくりにおける人間形成をめぐって』(一橋大学大学院社会学研究科博士学位論文、2000年)「流域の生態問題と社会的要因――」中尾正義等編『中国辺境地域の50年史』(東方書店、2007年)他。 -・-・-・-・-・-・-・- 【2】新刊書紹介 SGRA会員の柳忠熙さんから近刊著書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆柳忠熙「朝鮮の近代と尹致昊-東アジア知識人エトスの変容と啓蒙のエクリチュール」 内容紹介: 19世紀から20世紀へといたる転換期を生きた知識人・尹致昊(ユン・チホ)の人生,思想を通して,東アジアの近代を再考する試み.東アジアの知識人として,近代ヨーロッパといかに向き合い,新たな近代をめざしたのか,歴史的・文化的・思想的な諸文脈から総合的に理解し,変容する時代のダイナミズムを描く. 発行所:東京大学出版会 ISBN:978-4-13-016038-4 発売日:2018年10月30日 判型:A5 ページ数:418頁 http://www.utp.or.jp/book/b375469.html ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第12回SGRAチャイナ・フォーラム「日中映画交流の可能性」 (2018年11月24日、北京)<参加者募集中> ◇第5回アジア未来会議「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 (2020年1月9日~13日、マニラ近郊)<論文(発表要旨)募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRA の事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Invitation for the SGRA China Forum #12

    ********************************************** SGRAかわらばん747号(2018年11月1日) 【1】SGRAチャイナ・フォーラムへのお誘い 「日中映画交流の可能性」(11月24日、北京) 【2】新刊書紹介:「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」 ********************************************** 【1】第12回SGRAチャイナ・フォーラム「日中映画交流の可能性」へのお誘い 下記の通りSGRAチャイナ・フォーラムを北京で開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 ※お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp,03-3943-7612) テーマ:「日中映画交流の可能性」 日 時:2018年11月24日(土)午後2時~5時 会 場:中国人民大学逸夫会堂第二報告庁 (北京市海淀区中関村大街59号中国人民大学校内(明志路)) 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 共 催:中国人民大学文学院、清華東亜文化講座 助 成:国際交流基金北京日本文化センター ■フォーラムの趣旨 日中友好の基礎は民間交流に在り、お互いをより幅広く、正しく知るためには、相手の「心象風景」を知ることが、民間交流の基礎を固める上で重要である。映画は、その大事な手段であり、この40年にわたり、大きな役割を果たしてきた。 1977年と78年に、日本と中国でそれぞれ最初の映画祭が開かれた。中国では日本映画ブームが起こり、日本でも中国への関心から多くの観客が訪れた。このときの高倉健の影響力は衰えることなく、2014年の同氏の逝去に際し外交部スポークスマンが追悼の発言を行ったことは知られている。 日本映画の上映は、その後の「Love_Letter」や「おくりびと」、「君の名は。」にいたるまで、中国に日本人の細やかな感情を伝え、等身大の日本人に親しみを感じさせてきた。そして、日本にロケした中国映画は、北海道ブームをもたらすなど、現在の日本旅行ブームの原動力にもなっている。また、中国映画の上映は、「芙蓉鎮」や「さらばわが愛、覇王別姫」が波乱の現代史に生きる中国人の姿を伝え、「ヒーロー」や「レッドクリフ」が歴史スペクタクルの楽しさを教えてくれた。 日中の国同士の関係に摩擦が生じたときも、映画交流はさらに発展を続け、映画祭の開催や劇場公開、合作映画の制作やインディペンデント映画の紹介、さらには回顧展の開催など、多様化が見られ、お互いに影響を与え合ってきた。近年はSNSによる発信など、中国の若者の日本への関心が増加しているが、日本でも賈樟珂や婁燁の作品が上映され、今年は「空海――美しき王妃の謎」がヒットし、「中国電影2018」で最新作が紹介されるなど、新たな動きが起こっている。4月の合作映画の撮影に関する日中政府間協議の締結も、重要な一歩である。 いまや中国は世界第1位のスクリーン数と第二の映画製作本数を誇る映画の一大市場であり、日本も世界第4位の映画製作本数を維持している。世界の映画産業のひとつの中心は、まさに東アジアにあると言ってもよいだろう。本フォーラムでは、この映画大国である日本と中国の40年にわたる映画交流を、日本と中国の側からそれぞれ総括を行い、意見交換を行い、今後の展望を検討することを目的としている。 刈間文俊氏は、1977年の中国映画祭から字幕翻訳に携わり、これまで100本に近い中国映画の字幕を翻訳し、中国映画回顧展のプロデュースを行うなど、日本での中国映画の紹介に携わってきた。王衆一氏は、日本映画に精通し、『人民中国』編集長として多くの日本の映画人と交友を持ち、『日本映画の110年』を翻訳し北京で出版している。日中の映画交流の歩みを現場で知る二人の発表をもとに、日中双方の識者による討論を行う。日中同時通訳付き。 ■プログラム 総合司会:孫 郁(中国人民大学文学院) 【講演1】刈間文俊(東京大学名誉教授) 【講演2】王衆一(『人民中国』編集長) 【総合討論】 討論者:李道新(北京大学)、秦嵐(中国社会科学院)、周閲(北京語言大学)、陳言(北京市社会科学院)、林少陽(東京大学) 司会者:顔淑蘭(中国社会科学院) 〇同時通訳(日本語⇔中国語):文俊(北京語言大学)、宋剛(北京外国語大学) ※プログラムの詳細は、下記URLをご参照ください。 日本語  https://goo.gl/fnQsva 中国語  https://goo.gl/VZG6JV -・-・-・-・-・-・-・- 【2】新刊書紹介 台湾文藻外語大学の林淑丹先生より編著書をお送りいただきましたのでご紹介します。この本は、2016年5月21日に、SGRAが文藻外語大学日本語文系、台湾大学日本語文学系、台湾大学日本研究センターと共同で主催した第6回日台アジア未来フォーラム「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」にもとづく論文集です。 ◆林淑丹・陳明姿篇「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」(日本学研究叢書27) 近代以後の世界において、資本は移動する範囲を徐々に拡大し、情報化やグローバル化以後はその加速度をますます強めつつある。それは人間たちの移動と定住の布置関係に影響を及ぼし、文化変容のダイナミズムに地殻変動をもたらしている。東アジアにおけるさまざまな文化事象を考える際にも、地域やジャンルを横断する思考が求められている。個々の地域に固有の出来事と見える場合でも、それらはエスニックな想像やテクノロジー、経済、メディアを介して流布する言説などによって、重層的かつ乖離的に織り合わされている。こうした状況のもと、東アジア圏のさまざまな共同体において分有されてきた記憶が、人々の越境を通じて再編成されていくありようを考察することが、学問的に重要な課題となる。また、国家や文化の境界をめぐる摩擦や論争は今日でもなお頻繁に起きているが、そうした境界がむしろ混じりあう地点に注意を払いつつ、ともに生きるという意味での「共生」を実現していく可能性を探る必要がある。本書は、このような視点から、東アジアにおける知の交流の変容を論究したものである。 (本書「まえがき」より)。 目次 1 西成彦「元日本兵の帰郷」 2 呉光輝「越境、記憶、共存の根底における「東洋」という概念―近代中日の知識人を中心にー」 3 林淑丹「生命と共同体の記憶―『楢山節考』の世界―」 4 石川隆男「張文環文学にみる保存的記憶―『山茶花』を例としてー」 5 謝恵貞「越境するノスタルジアー東山彰良『流』におけるアウトロー像を通してー」 6 曾齡儀「宇治茶と台湾烏龍茶―三好徳三郎と日台間における茶の交流」 7 番匠健一「日本統治期台湾における「植民論」と「植民地的近代」―後藤新平と高岡熊雄の関係に着目してー」 8 陳建源「東アジア大衆観光における多元的な文化実践―台湾の士林官邸と蒋宋家族の逸話を例にー」 出版單位: 國立臺灣大學出版中心 叢書系列: 日本學研究叢書 27 ISBN: 978-986-35-0274-6 GPN: 1010700354 定價: 560 元 http://www.press.ntu.edu.tw/index.php?act=book&refer=ntup_book01020 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第12回SGRAチャイナ・フォーラム「日中映画交流の可能性」 (2018年11月24日、北京)<参加者募集中> ◇第5回アジア未来会議「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 (2020年1月9日~13日、マニラ近郊)<論文(発表要旨)募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRA の事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • AFC#4 SGRA Session Reports (Part 1)

    ********************************************** SGRAかわらばん746号(2018年10月25日) 【1】朱 琳:第4回アジア未来会議SGRAセッション報告 「東アジアのナショナリズムを再考する」 【2】ボルジギン・フスレ:第4回アジア未来会議SGRAセッション報告 「現代モンゴル地域における社会変容」 ********************************************** 【1】朱 琳「AFC#4:SGRAセッション『東アジアのナショナリズムを再考する』報告」 第4回アジア未来会議の一環として、私が企画責任者を務めるグループセッションが8月26日(日)午後にソウルのThe_K-Hotelで開催された。セッションのテーマは「東アジアのナショナリズムを再考する――日・中・韓の近代史からの問い」である。 今日、東アジア諸国の相互依存が一層深まる一方で、感情的摩擦が次第に表面化するようになった一面も否定できない。それは、それぞれ周辺文化への理解の未熟さや、「東アジア」という空間形成の歴史的経緯の軽視などに由来したところが多いと言えよう。そこで、文化のグローバリゼーション(光と影の両面)などに対応しうる「国民国家」というシステムのより広い文脈での位置づけ、および総合的な見通しが問われている。このような問いに検討を加えるために、狭義の一国史に限定することなく、「東アジア」という「場」を多様な文化が接触・連鎖する「舞台」として複眼的・動態的に認識し考察する必要があるように考えられる。 このような問題意識のもとで、今回は3名の発表者と2名の討論者を迎えてセッションを組んでみた。 まず、李セボン氏(延世大学比較社会文化研究所・専門研究員)は「儒者の視点から見た「文明」とナショナリズム――中村正直を中心に」という題で発表した。主に幕末から明治初期にかけて活動し儒学というレンズを通して西洋を見た中村正直(1832~1891)の思想を手がかりに、儒者のいう「文明」とナショナリズムの関係について考察している。 ついで、黄斌氏(早稲田大学地域・地域間研究機構・次席研究員)は「アジア主義・ナショナリズムとマルクス主義の狭間――李大釗の葛藤」という題で発表した。中国ナショナリズムの系譜を時系列に整理した上、その系譜の中に中国共産党の創立に参加した李大釗(1889~1927)の思想を位置づけ、その思想の変容および影響などを分析している。 3番目の発表者は柳忠煕氏(福岡大学人文学部東アジア地域言語学科・専任講師)であり、発表題目は「朝鮮知識人の戦争協力と〈朝鮮的なもの〉――尹致昊と李光洙を中心に」である。帝国日本の戦争遂行に協力した植民地朝鮮の知識人の政治的想像力とはどのようなものだったのかという問題提起を行い、尹致昊(1865~1945)と李光洙(1892~1950)の二人のそれぞれの戦争協力の理由と論理を明らかにし、〈帝国/植民地〉という状況における〈朝鮮的なもの〉の保存への試みとその逆説を解析している。 討論者として、平野聡氏(東京大学大学院法学政治学研究科・教授)と劉雨珍氏(南開大学外国語学院・教授)を迎えた。3名の発表内容について逐一、感想とコメントをされただけでなく、的確なアドバイスもいただいた。 セッションとして、必ずしも最初から意識していたわけではないが、結果的に明治・大正・昭和の3つの時期をカバーし、そして日・中・韓の3国の知識人の思想的葛藤と苦闘を凝縮的にそれぞれの発表に反映させたことになり、よくバランスがとれた。発表者と討論者に加え、聴衆も積極的に参加してくれたおかげで、大変濃密な議論の時間を過ごすことができた。 聴衆に福島大学のある教授がおられ、会議後、ここソウルでこんなに高いレベルの発表およびコメントを聞けるとは思わなかったという。この言葉を励みに、今後できればよりよい企画を提案できるよう協力していきたい。 *発表者、討論者、そして、何よりも渥美国際交流財団の関係者の方々のおかげで、セッションを成功裏に開催できたことを心より感謝申し上げます。皆さま、本当にどうもありがとうございました! 当日の写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/10/SGRASessionZhuTeamphoto2.pdf <朱 琳(シュ・リン)ZHU_Lin> 東北大学大学院国際文化研究科准教授。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門はアジア政治思想史。 -・-・-・-・-・-・-・- 【2】ボルジギン・フスレ「AFC#4:SGRAセッション『現代モンゴル地域における社会変容』報告」 2018年8月26日の午後に開催された第4回アジア未来会議自主セッション「現代モンゴル地域における社会変容」は、激変する北東アジア社会の複雑な状況を視野に入れながら、最新の資料を駆使して、モンゴル地域における社会変遷を焦点に特色ある議論を展開することを目的とした。同セッションでは、国立政治大学民族学部准教授の藍美華(LAN_Mei-hua)先生と私が共同で座長をつとめた。 SGRA会員、内モンゴル大学モンゴル研究センター准教授のリンチン(仁欽、Renqin)氏の報告「20世紀後半の内モンゴルにおける草原生態系問題の検討」は、20世紀後半の内モンゴルにおける放牧地開墾問題の実態はどうだったか、その背景と要因は何であったか、放牧地開墾問題はモンゴル人地域社会に何をもたらしたか、さらに今日の内モンゴルにおいても生じている環境、漢化、自治区の自治権の低下、人口、言語教育など非漢民族の生存権問題と如何に関連しているのかなどについて考察した。 リンチン氏は、結論として、下記の事を指摘した。 第1に、「大躍進」運動では、農業地域か牧畜業地域かを問わず、内モンゴル地域では「農業を基礎にする」という方針のもと、「牧畜業地域の食糧と飼料の自給」という名目で、中華人民共和国建国以来最大規模の放牧地が開墾された。 第2に、「文化大革命」期間の「牧民はみずから穀物を生産すべき」のスローガンのもとで、内モンゴル生産建設兵団による2回目の大規模の放牧地開墾が行われた。しかし、その結果、食糧と飼料の自給が成し遂げられるどころか、むしろ穀物は減産したのである。 第3に、草原生態系への破壊的影響をもつ開墾により、放牧に利用できる草原の面積が縮小したため、牧民たちは生産手段でもある放牧地を失い、生活の困窮状態に陥った。 第4に、近年、北京、天津にとどまらず、はるか朝鮮半島、日本にまで猛威を振るっている「黄沙」の主な発生源は内モンゴルとされているが、そう簡単に結論づけることはできない。内モンゴルにおける環境問題は、実際このようは政治的・社会的・人為的要因があった。 SGRA会員、昭和女子大学国際学部国際学科教授のマイリーサ(Mailisha)氏の報告「観光化の中における文化伝承」は、甘粛省粛南ヨグル族自治県白銀モンゴル自治郷(1930年代に外モンゴルから河西回廊に移住したハルハ・モンゴル人の村落)における「伝統文化の担い手と継承のための工夫」の事例を検証した。言語や文化の消滅の危機にさらされている少数民族の生存戦略と、その潜在的な可能性について検討し、「民族風情園」など「中国的な見せる観光」における問題点を指摘し、たいへん興味深かった。 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程ソルヤー(Suruya)氏の報告「フルンボイル地域における民族衣装の再創造――ダウル人を中心に――」は、日本における文化人類学の先端的な研究成果を吸収し、ホブズボウムとレンジャーの「伝統の創造」論を踏まえ、先行研究を批判的に参考にしながら、民族表象の問題として民族衣装に焦点をあてた。フィールドワークで得た成果に基づいて、ダウル人の民族衣装を中心に、内モンゴル・フルンボイル地域におけるモンゴル系サブグループの民族衣装が、20世紀以降、いかに衰退から「再生」へと発展してきたのか、それがフルンボイルのモンゴル系サブグループのアイデンティティの再構築とどのような関係をもっているかなどについて検討をおこなった。今日、ダウル人は伝統を取り戻そうと、その民族衣装を再構築し続けているが、そのプロセスにおいて、実際は、多くの伝統が失われ、また新たな「伝統」が生まれ続けていることなどを指摘した。 桐蔭横浜大学FIJ欧米・アジア語学センター非常勤講師ボヤント(Buyant)氏の報告「内モンゴルにおける土地紛糾の一考察」は、モンゴル人社会の現状を踏まえ、映像資料を含む第一次資料を用いて、2010年以降、内モンゴル地域で農民・牧畜民と地方政府の間で起きた土地・生態環境をめぐる紛糾を焦点に、さまざまな矛盾や葛藤を抱えている多民族国家中国の民族問題の現状について考察し、検討した。1978年に「改革開放政策」が提唱されて40年が経過した現在、少数民族地域におけるインフラ整備や資源開発、経済成長、党幹部養成等は目覚ましい勢いで進んでいる一方、「党国家」をおびやかす事件が多発し、少数民族をとりまく状況は急速に変わっている。氏の報告は刺激的であり、関心をもたらせた。 セッションの最後に、藍美華氏がセッション報告の成果をまとめ、今後の研究の展開について期待をかけた。 当日の写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/10/SGRASessionHuselTeamphoto.pdf <ボルジギン・フスレ Borjigin_Husel> 昭和女子大学国際学部教授。北京大学哲学部卒。1998年来日。2006年東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了、博士(学術)。東京大学大学院総合文化研究科・日本学術振興会外国人特別研究員、昭和女子大学人間文化学部准教授などをへて、現職。主な著書に『中国共産党・国民党の対内モンゴル政策(1945~49年)――民族主義運動と国家建設との相克』(風響社、2011年)、共編著『国際的視野のなかのハルハ河・ノモンハン戦争』(三元社、2016年)、『日本人のモンゴル抑留とその背景』(三元社、2017年)他。 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第5回アジア未来会議「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 (2020年1月9日~13日、マニラ近郊)<論文(発表要旨)募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRA の事業はまずます発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • The 5th Asia Future Conference: Call for Papers

    ********************************************** SGRAかわらばん745号(2018年10月18日) 【1】第5回アジア未来会議:発表要旨の募集開始! 「持続的な共有型成長:みんなの故郷、みんなの幸福」 (2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 【2】第3回東アジア日本研究者協議会のご案内 SGRAより2パネル参加(10月27日、京都) 1.現代日本社会の「生殖」における男性の役割―妊娠・出産・育児をめぐるナラティブから 2.アジアにおける日本研究者ネットワークの構築―SGRA(渥美国際交流財団)の取り組みを中心に ********************************************** 【1】第5回アジア未来会議☆発表要旨の募集開始! 渥美国際交流財団関口グローバル研究会は、バンコク、バリ島、北九州、ソウルに続き、マニラ近郊にて第5回アジア未来会議を開催します。アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心のある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。アジア未来会議は、学際性を核としており、グローバル化に伴う様々な課題に対して、科学技術の開発や経営分析だけでなく、環境、政治、教育、芸術、文化の課題も視野にいれた多面的な取り組みを奨励します。毎回400名以上の参加者を得、200編以上の論文発表が行われます。活発な議論の場を創るため、皆様の積極的なご参加をお待ちしています。 日時:2020年1月9日(木)~13日(月)(到着日と出発日を含む) 場所:フィリピン国マニラ首都圏アラバンとラグナ州ロスバニョス 総合テーマ:持続的な共有型成長-みんなの故郷(ふるさと)、みんなの幸福(しあわせ) http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は下記の要項にしたがって論文・小論文・ポスター/展示の発表要旨を募集しています。アジア未来会議は、特定分野の学会ではないので、一般の人々にもわかる発表を心掛けてください。 〇上記総合テーマに含まれる下記トピックに関連する研究発表の提案を募集中。 【効率】成長と繁栄 地域貿易と統合 グローバル化 移動 連携性 技術/社会革新 【公平】平和 公共/民間ガバナンス 紛争解決 人権 公平性 倫理 【環境】持続性 環境 生物多様性 気候変動 被災リスク管理 【人間】特別支援 文化/宗教研究 健康 教育 歴史 特別枠 共有型成長のメカニズム 〇発表言語 第5回アジア未来会議の公用語は英語と日本語です。登録時に、まず口頭発表およびポスター/展示発表の言語を選んでいただきます。英語で発表する場合の発表要旨は250語以内に纏めてください。日本語で発表する場合は、発表要旨のみ日本語(600字)と英語(250語)との両方で投稿していただきます。論文および小論文は日本語のみでけっこうです。 〇発表の種類 1.小論文(2~3ページ) 2.論文(5ページ以上10ページ以内) 3.ポスター/発表展示 〇分科会セッションの割り当て 分科会は、2020年1月10日(金)にアラバンで、1月11日(土)にフィリピン大学ロスバニョス校で開催します。 1.一般セッション(個人投稿:アジア未来会議実行委員会が割り当てる) 2.グループセッション(グループで独自のセッションを作る) 3.学生セッション 〇発表要旨の提出期限 [A] 奨学金・優秀論文賞の選考対象となる論文の発表要旨の投稿 2018年10月17日から2019年1月1日 [B] 論文・小論文・ポスター/展示の発表要旨の一般投稿(奨学金・優秀論文賞の対象外) 2018年10月10日から2019年6月30日 詳細は下記ウェブサイトをご覧ください。 画面上のタブで言語(英語か日本語)を選んでください。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/call-for-papers/ -・-・-・-・-・-・-・- 【2】第3回東アジア日本研究者協議会のご案内 東アジア日本研究者協議会は、東アジアの日本研究関連の学術と人的交流を目的として2016年に発足し、韓国・仁川で第1回国際学術会議が開催されました。2017年の第2回会議(於中国・天津)に続き、本年10月末には第3回会議が日本・京都で開催されることとなりました。 歴史的な壁のため、さらに東アジアでは自国内に日本研究者集団が既に存在することもあり、国境・分野を越えた日本研究者の研究交流が妨げられてきた側面があります。東アジア日本研究者協議会は日本研究の質的な向上、自国中心の日本研究から多様な観点に基づく日本研究への志向、東アジアの安定と平和への寄与の3つを目的としています。SGRAは同協議会の理念に賛同して毎回参加し、本年は下記の2パネルを開催します。これを機会に皆様のご参加やご関心をお寄せいただければ幸いです。 〇第3回東アジア日本研究者協議会国際学術大会 日時:2018 年 10 月 26 日(金)~ 28 日(日) 会場:国際日本文化研究センター(10月26日)・京都リサーチパーク(10月26日、27日、28日) 主催:東アジア日本研究者協議会、国際日本文化研究センター 共催:国際交流基金 助成:鹿島学術振興財団、村田学術振興財団 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://eacjs.rspace.nichibun.ac.jp/ 【SGRA参加パネル】 ◆セッションB1:「現代日本社会の「生殖」における男性の役割――妊娠・出産・育児をめぐるナラティブから」 (分科会1:10月27日(土)9:30-11:00、京都リサーチパーク) 〇パネル趣旨 現代日本における最重要の社会的課題として「少子化」は、依然として大いに議論されている。そのなかで、個人の妊娠・出産・育児には、国家や企業、マスメディアからの介入がみられるが、その言説では、若い女性が子供を産み育てるために身体・キャリア・恋愛などの人生のあらゆる側面をプランニングし、管理する必要性が説かれている。そうした「妊活」(妊娠活動)や育児に関わる言説には、今も尚、母性神話が強く根付いている。一方、そこに男性の存在感は稀薄であり、家庭内における「父親の不在」がしばしば指摘されている。たとえ「イクメン」という言葉が流行し、子育てに参加したい気持ちはあっても、長時間労働や日本企業独特の評価制度などに縛られ、それを許されない男性は多い。 上記の背景を踏まえた上で、本パネルでは、社会学と文学のそれぞれの視点から、妊娠・出産・育児における男性の役割がいかにして語られるかを考えていく。 〇プログラム 司会:コーベル・アメリ(パリ政治学院) 発表1:ファスベンダー・イサベル(東京外国語大学) 発表2:グアリーニ・レティツィア(国際基督教大学ジェンダー研究センター) 討論1:デール・ソンヤ(一橋大学) 討論2:モリソン・リンジー(武蔵大学) ◆セッションB3:「アジアにおける日本研究者ネットワークの構築――SGRA(渥美国際交流財団)の取り組みを中心に」 (分科会3:10月27日(土)13:45-15:15、京都リサーチパーク) 〇パネル趣旨: 「関口グローバル研究会」(SGRA)は渥美国際交流財団が支援した元奨学生が中心となって活動している研究ネットワークである。21世紀の幕開けに設立されたSGRAは、第1回フォーラム「21世紀の日本とアジア」を皮切りに、多分野多国籍の研究者によって、多面的なアプローチから研究を行っている。その集大成として2013年に第1回アジア未来フォーラム(AFC)が開催され、今夏に第4回AFCは成功裏に幕を閉じた。 2014年第2回AFC@バリ島円卓会議の続編として行なわれた2015年第49回SGRAフォーラム「日本研究の新しいパラダイムを求めて」において、「日本研究」をアジアの「公共知」として育成するために、アジアで共有できるアジア研究を目指すネットワークの構築が喫緊の課題だというコンセンサスが得られた。また、東アジアに創られた「知の共同空間」での「共同体」の構築に欠かせない「方法としての東アジアの日本研究」の意義も再認識された(SGRAレポートNo.74<2016.6発行>より)。 その翌年に第1回東アジア日本研究者協議会(EACJS)がソウルで開催され、2017年第2回@天津に続き、今秋第3回EACJS@京都の開催を迎える運びになった。いわば、SGRAフォーラムで展開された有識者らの論議が起爆剤になり、東アジアの日本研究者を集結する「知の共同空間」を誕生させたのではないかともいえよう。 本パネルでは、アジアにおける日本研究者ネットワークの構築が実現するまでに、2000年発足以来継続してきたSGRAの取り組みを振り返り、今後目指すべき新地平を探る。特に、SGRAフォーラムとシンクロして、アジア各地域で展開される、「日韓アジア未来フォーラム」(2001~)、「日比共有型成長セミナー」(2004~)、「SGRAチャイナフォーラム」(2006~)、「日台アジア未来フォーラム」(2011~)に焦点を当て、地域ごとの活動報告に伴い、より創発的に共有できる「知の共同空間」の構築に解決すべき課題、未来を切り拓く骨太ビジョンの策定等について、活発的な意見交換を行う。 〇プログラム 司会:劉傑(早稲田大学) 発表1:金雄熙(韓国・仁荷大学) 発表2:マキト、フェルディナンド(フィリピン大学ロスバニョス校) 発表3:孫建軍(中国・北京大学) 発表4:張桂娥(台湾・東呉大学) 討論1:稲賀繁美(国際日本文化研究センター) 討論2:徐興慶(台湾・中国文化大学) プログラムの詳細は、下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/11783/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第61回SGRAフォーラム(2018年10月13日、東京) 「日本の高等教育のグローバル化!?」<盛会裏に終了しました> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/11740/ ◇第5回アジア未来会議「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 (2020年1月9日~13日、マニラ近郊)<発表要旨募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRA の事業はまずます発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • AFC#4 Roundtable Report “Dialogue of National Histories”

    ********************************************** SGRAかわらばん743号(2018年10月4日) 【1】第4回アジア未来会議 円卓会議「第3回国史たちの対話の可能性」報告 「17世紀東アジアの国際関係―戦乱から安定へ―」 【2】第61回SGRAフォーラムへのお誘い(最終案内) 「日本の高等教育のグローバル化!?」(10月13日、東京) *当日参加も受け付けます ********************************************** 【1】第4回アジア未来会議「国史たちの対話の可能性」円卓会議報告 ◆金キョン泰「『17世紀東アジアの国際関係―戦乱から安定へ―』報告」 2018年8月25日から26日、ソウルのThe_K-Hotelで第3回「国史たちの対話の可能性」円卓会議が開かれた。今回のテーマは「17世紀東アジアの国際関係―戦乱から安定へ―」で、「壬辰・丁酉倭乱」と「丁卯・丙子胡乱」という国際戦争(戦乱)や大規模な戦乱を取上げ、その事実と研究史を確認した上で、各国が17世紀中頃以降いかに正常化を達成したかを検討しようという趣旨であった。各国が熾烈に争った戦乱と、相互の関係を維持しながらも、各自の方式で安定化を追求した様相を一緒に考察しようとしたのだ。 8月24日夕方のオリエンテーションでは国史対話に参加する方々の紹介があり、翌朝から2日間にわたって熱い議論が繰り広げられた。三谷博先生(跡見学園女子大学)の趣旨説明に続いて、趙珖先生(韓国国史編纂委員会)の基調講演があった。17世紀に朝鮮で危機を克服するために起きた数々の議論を参照しながら、17世紀のグローバル危機論の無批判的な適用を避けて、東アジア各国の実際の様相を内的・外的な観点から包括的に検討すれば、3国の歴史の共同認識に到達できると提言した。 第2セッションの発表テーマは「壬辰倭乱」だった。崔永昌先生(国立晋州博物館)は「韓国から見た壬辰倭乱」で、韓国史上の壬辰倭乱の認識の変化過程を具体的に分析した。鄭潔西先生(寧波大学)は「欺瞞か妥協か―壬辰倭乱期の外交交渉」で、従来は「欺瞞」と解されていた明と日本の講話交渉について再検討し、明と日本の交渉当事者が真摯に事に当っていたことを明らかにした。また、豊臣秀吉は講話交渉のなかで日本を明の下に、朝鮮をまた日本の下に位置させようとして朝鮮の王子などの条件を提示したが、明はそれを拒否したと報告した。荒木和憲先生(日本国立歴史民俗博物館)は「『壬辰戦争』の講和交渉」で、壬辰倭乱後の朝鮮と江戸幕府との間の国交交渉における対馬の国書偽造とこれを黙認した朝鮮の論理に注目した。壬辰倭乱というテーマは3国ですでに多くの研究が蓄積された分野であり、対立点も比較的に明確である。各国の史料に対する相互の理解が高まっているので、今後、より実質的かつ発展的な議論が期待されている。 第3セッションの発表テーマは「胡乱」だった。許泰玖先生(カトリック大学)は「『礼』の視座から見直した丙子胡乱」で、朝鮮が明白な劣勢にあっても清と対立(斥和論)した理由を、朝鮮が「礼」を国家の本質と信じていたことによると分析した。鈴木開先生(滋賀大学)は「『胡乱』研究の注意点」で、韓国の丙子胡乱の研究で「丁卯和約」と「朴蘭英の死」を扱う方式について紹介し、史料の重層性と多様性を理解するために利用できる事例とした。祁美琴先生(中国人民大学)は「ラマ教と17世紀の東アジア政局」で、清朝が政治的混乱を収拾していく過程でラマ教を利用しており、ラマ教もこれを利用して歴史の主役になれたことを明らかにした。清朝が中原を支配する過程で当時存在したいくつかの政治体や宗教体の実情も視野に入れなければならないという事実を再認識させてくれた。 本テーマは、倭乱に比べて3国間共同の対話が本格的に行われていない分野であると思う。史料の共有と検討はもちろん、3国の思想(あるいは宗教)にも大きな変動をもたらした事件として、一緒に議論する部分が多い研究分野と考えられる。 第4セッションの発表テーマは「国際関係の視点から見た17世紀の様相(社会・経済分野を中心に)」だった。牧原成征先生(東京大学)は「日本の近世化と土地・商業・軍事」で、豊臣政権後、江戸幕府に至る財政制度と武家奉公人の扱いの変動を分析した。変化の起きた点を明快に指摘し、専門でない人でも容易に理解することができた。崔ジョ姫先生(韓国国学振興院)は「17世紀前半の唐糧の運営と国家の財政負担』で、壬辰倭乱当時、明の支援に対する軍用糧食を意味した「唐糧」が、「胡乱」を経て租税に変化する様相を具体的な分析を通じて説明した。趙軼峰先生(東北師範大学)は「中朝関係の特徴および東アジア国際秩序との繋がり」で、「東アジア」と「朝貢体制」という概念について問題を提起して、本会議が対象としている17世紀以降の韓中関係の特性を紹介し、該当の概念語に対する代案が必要であることを提言した。 政治の動きの下にあって社会を動かす根元、社会・経済に対する関心は、本主題の発表者相互間はもちろん、他のテーマを担当した発表者や参加者たちも積極的な関心を示した分野だった。政治と同様に各国の経済構造は相当な差異を見せるという事実を確認し、これも今後の「国史」間の活発な交流が期待される分野であることを確認した。 セッション別の相互討論と、第5セッションの総合討論では、発表者が考える歴史上から具体的な論点まで多様な範囲の質疑応答が続いた。より熱烈な討論を期待した方たちが物足りなさを吐露したりもしたが、これは決して発表会が無気力であったという意味ではないと考えている。「国史」学者たちが自分の意見を強調する「戦闘的」討論から、外国史の認識を蓄積しつつ、さらに一段階上のレべルに進み始めたことを証明するものだったと思う。 また、「公式討論」の他に、他の国の異なる様相を理解して、その根源がどこにあるか再確認しようとする個別の討論があちこちで行われていたことを目撃した。そして、研究者間の個人的な交流も不可欠であるという考えを持つようになった。 3国の参加者たちが定められた発表と討論時間外にも長時間、共に自由に話し合う時間が必要だと思った。もちろん現実的には仕事が山積の状況で、さらに長い時間を一緒に過ごすのは難しいだろうが、3国以外の土地で会議を開催したり、オンラインを通じた持続的な対話をしたりして、問題意識の共有を進める方式も有効であろう。 また、今までの対話を通じて、自分の専門分野がもつ独特の用語や説明方式に固執せず、これを他の専門分野の学者にどうすれば簡単に伝えられるか、さらに、一般の人たちも理解できるようにする方式を考える必要があるという気がした。筆者もまた同じ義務を持っている。 3回の「対話」に参加しながら、ずっと感じるのは、言語の壁が大きいという事実だった。3国は「漢字」で作成された過去の史料を共有することができるという長所を持っている。歴史的にも近い距離で共通の歴史的事件をともに経験した。互いに使用する史料では疎通できるが、史料に根拠した自分の見解を伝えて相手の意見を聞くには「通訳」という手続きを経なければならなかった。3国の研究者たちがお互いの問題意識を認識してこれを本格的に論議を始める直前に会議の時間が尽きたような惜しい気持ちが残ったのは事実である。 しかし、多大な費用と努力を傾けた同時通訳は確かに今回の3国の国史たちの対話に大きく役立った。十分ではないが、2回目に比べて1歩、1回目に比べて2歩前進したという感じがした。 対話の場を作っていただいただけでなく、言語の障壁を少しでも低めるための努力をしてくださった渥美国際交流財団に感謝する。当初より5回で計画されている「対話」だが、その後も、たとえ小規模でもさらに踏み込んだ対話を交わすことができる、小さいながら深い「対話の場」が随時開かれることを期待する。 韓国語版は下記よりお読みいただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/10/Kokushi3ReportKorean.pdf 会議の写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/10/Kokushi3Photo-1.pdf 報告書は2019年春にSGRAレポートとして発行予定ですが、関連資料は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/research/kokushi/2018/10227/ <金キョンテ☆Kim_Kyongtae> 韓国浦項市生まれ。韓国史専攻。高麗大学校韓国史学科博士課程中の2010年~2011年、東京大学大学院日本文化研究専攻(日本史学)外国人研究生。2014年高麗大学校韓国史学科で博士号取得。韓国学中央研究院研究員を経て現在は高麗大学校人文力量強化事業団研究教授。戦争の破壊的な本性と戦争が導いた荒地で絶えず成長する平和の間に存在した歴史に関心を持っている。 主な著作:壬辰戦争期講和交渉研究(博士論文) -・-・-・-・-・-・-・- 【2】第61回SGRAフォーラムへのお誘い(最終案内) 下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。当日参加も受付けます。 ◆「日本の高等教育のグローバル化!?」 ~グローバル人材育成とはなんだろうか~ 日時:2018年10月13日(土)午後1時30分~4時30分 その後懇親会 会場:早稲田大学 国際会議場第一会議室 http://www.color-science.jp/zenkoku2013/img/kokusaikaigijou.pdf 参加費:フォーラム・懇親会ともに無料 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp, 03-3943-7612) ◇フォーラムの趣旨 2012年に日本再生戦略の中で若者の海外留学の促進とグローバル人材育成が謳われ、5年が経過した。グローバル人材の育成には、多方面かつグローバルな観点での議論と政策が不可欠であるが、現在の諸政策は外国語能力の向上と異文化理解の体得を推進するに留まっている。例えば、TOEFL・TOEICを利用した英語習得及び評価や英語での授業展開を中心としたものや、海外留学の推奨など日本から海外に出る方向に集中していることが挙げられる。また、その対象が日本人に限られている点など、現時点におけるグローバル人材育成の方針は一方面かつローカルな視点から進められているようにとれる。 一方、教育の受け手であり、育成される対象である若者がこのような現状をどのように受け止め行動しているのかはあまり議論されず取り残されたままである。今後スーパーグローバル大学(SGU)から全国の大学にグローバル人材育成教育の政策がさらに促進・拡大されることを踏まえると、今一度現状を振り返る必要がある。 そこで本フォーラムでは、高等教育のグローバル化をめぐる大学と学生の実態を明らかにし、同様の施策をとる他国との比較を通して同政策の意義を再検討する。さらに日本に住み教鞭を執る外国人研究者が中心となって発表することで本テーマに新たな視点をもたらすことが期待される。 ◇プログラム 総合司会:張建(東京電機大学特任教授) 【問題提起】 沈雨香(早稲田大学助手) 「スーパーグローバル大学(SGU)の現状と若者の受け止め方:早稲田大学を例として」 【講演1】 吉田文(早稲田大学教授) 「日本の高等教育のグローバル化、その現状と今後の方向について」 【講演2】 シン・ジョンチョル(ソウル大学教授) *逐次通訳付 「韓国人大学生の海外留学の現状とその原因の分析」 【事例報告】 ・関沢和泉(東日本国際大学准教授)「内向き志向なのか――地方小規模私立大学における《留学》」 ・ムラット・チャクル(関西外国語大学講師)「関西外国語大学におけるグローバル人材育成の現状」 ・金範洙(東京学芸大学特命教授)「日本の高等教育のグローバル展開を支えるサブプログラム事例」 【フリーディスカッション】「日本の高等教育のグローバル化!?」 -討論者を交えたディスカッションとフロアとの質疑応答- モデレーター:シム・チュンキャット(昭和女子大学准教授) ※プログラムの詳細は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/09/SGRAForum61Program.rev2_.pdf ※ポスターは下記リンクよりダウンロードしていただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/11740/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第61回SGRAフォーラム(2018年10月13日、東京) 「日本の高等教育のグローバル化!?」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/11740/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRA の事業はまずます発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • AFC#4 Roundtable Report “Tolerance and Reconciliation”

    ********************************************** SGRAかわらばん743号(2018年10月4日) 【1】第4回アジア未来会議 円卓会議「東南アジア宗教間の対話」報告 「寛容と和解―紛争解決と平和構築に向けた宗教の役割」 【2】第61回SGRAフォーラムへのお誘い(再送) 「日本の高等教育のグローバル化!?」(10月13日、東京) ********************************************** 【1】第4回アジア未来会議 円卓会議「東南アジア宗教間の対話」報告 ◆「寛容と和解―紛争解決と平和構築に向けた宗教の役割」 2016年秋の第3回アジア未来会議での円卓会議「東南アジア宗教間」の対話では、グローバリゼーションに翻弄される東南アジア各国の諸課題への宗教の対応が議論された。 この時に、重要なトピックの一つとして提示されたのが、宗教間の「対立と和解」であった。今回、2018年8月24日から28日までソウルで行われた第4回アジア未来会議では、「寛容と和解」をテーマとして円卓会議「東南アジア宗教間の対話『寛容と和解-紛争解決と平和構築に向けた宗教の役割』」を開催した。 対立や紛争では、その原因が政治経済的な課題であるにもかかわらず宗教の対立としての様相を帯びることが多い。宗教が民族や集団の基層文化のなかに深く根ざしているからにほかならないからである。民族、宗教のモザイクといわれる東南アジアにおいても、その傾向が顕著に表れ、対立が暴力的な宗教間の紛争に至ることも少なくない。 しかし、その一方で東南アジアでは、平和的な手段により対立や紛争を解決した事例も多く、和解に至るプロセスの経験も蓄積され始めている。今回の円卓会議では、東南アジア及び日本在住の宗教者、宗教研究者が集い、タイ、ミャンマー、インドネシア、ベトナム、フィリピンにおける紛争解決、平和構築の経験、事例をベースとして和解、平和構築に向けた宗教および宗教者の役割を探った。 【各国からの事例発表】(円卓会議は英語で行われた) 発表1:タイ Vichak_Panich(Vajrasiddha_Institute_of_Contemplative_Learning) “Buddhism_of_the_Oppressed:_Restoring_Humanity_in_Thai_Buddhist_Society” 「虐げられし者達の仏教へ―タイ仏教に人間性の回復を」 発表2:ミャンマー Carine_Jaquet(The_Research_Institute_on_Contemporary_Southeast_Asia) “Brief_Report_on_the_Situation_of_Rohingya_People” 「報告―ロヒンギャの人々の現状」 発表3:インドネシア Kamaruzzaman_Bustamam-Ahmad(Ar-Raniry_State_Islamic_University) "The_Dynamics_of_Muslim_Society_in_Aceh_after_Tsunami” 「津波災害後のアチェのイスラム社会のダイナミズム」 発表4:ベトナム Emmi_Okada(The_University_of_Sydney) "Reaching_Beyond_the_Religious_Divide_for_Peace: The_Experience_of_South_Vietnam_in_the_1960s" 「平和と宗教の分断を超えて―1960年代の南ベトナムの経験から」 発表5:フィリピン Jose_Jowe_Canuday(Ateneo_de_Manila_University) "Muslim_and_Christian_Dialogues_in_the_Southern_Philippines: Enduring_Grassroots_Inter-religious_Actions_in_a_Troubled_Region” 「南部フィリピンのイスラム教とキリスト教の対話 ―試練に耐える紛争地域におけるグラスルーツの宗教間対話の試み」 (文責:角田英一) ◆小川忠「第4回アジア未来会議円卓会議『東南アジア宗教間の対話』に出席して」 会議テーマは「異なる宗教間」の対話であったが、「同じ宗教内」での対話こそ必要とされている。これが、今回の会議に出席して強く感じたことだ。 監修者の島薗進先生が会議冒頭で述べられた通り、世界中で宗教復興ともいうべき現象が顕著になっている。多様な宗教が混在する東南アジアも例外ではない。そして「イスラム過激派テロ」「ロヒンギャ問題」「ミンダナオ紛争」等日々接する東南アジア報道から、冷戦終結直後に政治学者ハンティントンが提起した通り、宗教を基盤とする文明が互いに対立し、流血を生んでいるかの如き印象をもってしまう。特にイスラム教については、その狂信性、好戦性ゆえに対立、暴力を拡散させているというイメージが、世界中に拡がっている。 しかし、イスラム教、仏教、キリスト教と様々な宗教的背景をもつ本会議出席者たちは、「宗教紛争」とされるものの多くは、植民地支配の負の遺産、国民国家建設の失敗、政治権力の宗教動員等によるものであって宗教が根本原因ではない、と指摘した。さらにイスラム教のみならず、平和的な宗教とされる仏教においても、排外的ナショナリズムと結合し他宗教に対する敵意を煽る強硬派が次第に勢力を拡大している。 そしてイスラム教、仏教内部において、政教分離を拒否し宗教とナショナリズムの結合を目指す動きが強まっている一方、これに抗し、宗教を政治から切り離し一定の距離を置き人権、民主主義を育てていこうというリベラル派が存在することも浮き彫りにされた。両者の亀裂が深まっているのが昨今の状況だ。それゆえに同一宗教内の対話が重要なのである。 対話の鍵を握るのは、宗教教義を「解釈する力」である、という指摘もあった。同じ宗教のなかにも相反する教義が存在する。宗教の有する多面性を理解した上で、今日の世界にあう創造的な解釈力が、それぞれの宗教において求められている。 グローバリゼーションが宗教にもたらしている衝撃も議論となった。グローバリゼーションとは、欧米発の情報、文化、価値観が世界中に拡がり、世界の画一化が進行するというイメージがあるが、ことはそれほど単純ではない。グローバリゼーションには様々な潮流が存在する。中東発のワッハーブ主義、サラフィー主義という厳格化、原理主義的イスラム思想が、インドネシアのアチェ他東南アジアで影響を強めている状況が報告された。 そしてグローバリゼーション時代に発達したソーシャル・メディアが、国境を越える大量の情報流入を東南アジア地域にもたらしている。それは国際的な対話と相互理解を育む機会を増大させるとともに、テロを煽る過激組織プロパガンダの影響力拡大にもつながっている。またグローバリゼーションに反発する排外感情の高まりという副作用も看過できない。ソーシャル・メディアは世界の平和にとって諸刃の刃のような存在、という見方が参加者のあいだで共有された。 各報告を聞くにつけ、東南アジア各国において宗教と社会の関係は多様かつ複雑であり、それを一般化して語るのがいかに危険であるかを再認識した。また対立から和解への道のりが容易ではない、とも感じた。しかし、ミンダナオの事例報告で述べられた通り、平和的手段により紛争を解決しようという模索がこれまで何度も試みられ、そのなかで和解に至る経験も蓄積され始めている。今できることを一歩一歩進めていくしかない。 多様な宗教的背景をもった東南アジアと日本の知識人が虚心坦懐に議論する場はありそうで実はさほど多くない。そうした貴重な機会を提供してくれた主催者の渥美国際交流財団関口グローバル研究会の見識に敬意を表し、感謝したい。 <小川 忠(おがわ・ただし)OGAWA_Tadashi> 2012年早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 博士。1982年から2017年まで35年間、国際交流基金に勤務し、ニューデリー事務所長、東南アジア総局長(ジャカルタ)、企画部長などを歴任。2017年4月から跡見学園女子大学文学部教授。専門は国際文化交流論、アジア地域研究。 主な著作に『ヒンドゥー・ナショナリズムの台頭 軋むインド』(NTT出版)2000、『原理主義とは何か 米国、中東から日本まで』(講談社現代新書)2003、『テロと救済の原理主義』(新潮選書)2007、『インドネシア イスラーム大国の変貌』(新潮選書)2016等。 英文の報告書は下記リンクよりお読みいただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/10/AFC4-Inter-Religious-Dialogue-Report.pdf 円卓会議の写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/10/AFC4_RoundtableB_Photo.pdf -・-・-・-・-・-・-・- 【2】第61回SGRAフォーラムへのお誘い(再送) 下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 ◆「日本の高等教育のグローバル化!?」 ~グローバル人材育成とはなんだろうか~ 日時:2018年10月13日(土)午後1時30分~4時30分 その後懇親会 会場:早稲田大学 国際会議場第一会議室 http://www.color-science.jp/zenkoku2013/img/kokusaikaigijou.pdf 参加費:フォーラム・懇親会ともに無料 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp, 03-3943-7612) ◇フォーラムの趣旨 2012年に日本再生戦略の中で若者の海外留学の促進とグローバル人材育成が謳われ、5年が経過した。グローバル人材の育成には、多方面かつグローバルな観点での議論と政策が不可欠であるが、現在の諸政策は外国語能力の向上と異文化理解の体得を推進するに留まっている。例えば、TOEFL・TOEICを利用した英語習得及び評価や英語での授業展開を中心としたものや、海外留学の推奨など日本から海外に出る方向に集中していることが挙げられる。また、その対象が日本人に限られている点など、現時点におけるグローバル人材育成の方針は一方面かつローカルな視点から進められているようにとれる。 一方、教育の受け手であり、育成される対象である若者がこのような現状をどのように受け止め行動しているのかはあまり議論されず取り残されたままである。今後スーパーグローバル大学(SGU)から全国の大学にグローバル人材育成教育の政策がさらに促進・拡大されることを踏まえると、今一度現状を振り返る必要がある。 そこで本フォーラムでは、高等教育のグローバル化をめぐる大学と学生の実態を明らかにし、同様の施策をとる他国との比較を通して同政策の意義を再検討する。さらに日本に住み教鞭を執る外国人研究者が中心となって発表することで本テーマに新たな視点をもたらすことが期待される。 ◇プログラム 総合司会:張建(東京電機大学特任教授) 【問題提起】 沈雨香(早稲田大学助手) 「スーパーグローバル大学(SGU)の現状と若者の受け止め方:早稲田大学を例として」 【講演1】 吉田文(早稲田大学教授) 「日本の高等教育のグローバル化、その現状と今後の方向について」 【講演2】 シン・ジョンチョル(ソウル大学教授) *逐次通訳付 「韓国人大学生の海外留学の現状とその原因の分析」 【事例報告】 ・関沢和泉(東日本国際大学准教授)「内向き志向なのか――地方小規模私立大学における《留学》」 ・ムラット・チャクル(関西外国語大学講師)「関西外国語大学におけるグローバル人材育成の現状」 ・金範洙(東京学芸大学特命教授)「日本の高等教育のグローバル展開を支えるサブプログラム事例」 【フリーディスカッション】「日本の高等教育のグローバル化!?」 -討論者を交えたディスカッションとフロアとの質疑応答- モデレーター:シム・チュンキャット(昭和女子大学准教授) ※プログラムの詳細は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/09/SGRAForum61Program.rev2_.pdf ※ポスターは下記リンクよりダウンロードしていただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/11740/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第61回SGRAフォーラム(2018年10月13日、東京) 「日本の高等教育のグローバル化!?」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/11740/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRA の事業はまずます発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Husel “Trip to Khabarovsk”

    ********************************************** SGRAかわらばん742号(2018年9月27日) 【1】エッセイ:ボルジギン・フスレ「ハバロフスクの旅」 【2】第61回SGRAフォーラムへのお誘い(再送)   「日本の高等教育のグローバル化!?」(10月13日、東京) ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#579 ◆ボルジギン・フスレ「ハバロフスクの旅」 溥儀のシベリア抑留に関する調査のため、7月中旬にハバロフスクに行った。ロシアには何度も行ったことがあるが、ハバロフスクは初めてであった。今回の調査は、有名な言語学者で、ロシア語が堪能なK先生に同行した。 アシアナ航空が1時間以上も遅延したため、仁川空港に着いたのは7月11日の夜であった。空港内のホテルで一泊して、ロシアのオーロラ航空に乗り換えて、ハバロフスクに着いたのは12日の午後であった。アシアナ航空も、オーロラ航空も、ビールやワインなどアルコール類の飲み物を提供しないため、宿泊先のSopkaホテルでシャワーを浴びた後、すぐK先生と一緒に街に出て、ビールを売る店を探した。 ロシア人は親切だ。2人に道を尋ねたら、ともに「栄光広場を通って、坂を登り、ツルゲーネフ通りを通って、レーニン通りに沿ってまっすぐ行くと、曲がり角に赤い屋根のスーパーがある。そのスーパーはビールを売っている」と丁寧に教えてくれた。 言われた通りに10分間ほど歩いたら、赤い屋根のスーパーを見つけた。このスーパーには輸入品が多く、日本製のお菓子やチップスなども売っていた。K先生の薦めに従って、ドイツ製とオランダ製のビールを1種類ずつ購入した。K先生は2種類の干し魚とアーモンドなども購入した。 ホテルに帰る途中、栄光広場を通ったところ、「ここで飲もうよ。景色もいいし、空気もいい」とK先生が言った。「そうですね」と、その場で飲もうと思ったが、K先生が広場の「大祖国戦争犠牲者慰霊碑」と「永遠の炎」を指さしながら、「彼らには見せたくない。あっちにしよう」と言った。そして、2人は一緒に広場の端っこの、「永遠の炎」が見えない一角に座り、ビールを開けた。 ビールも、干し魚も本当に美味しかった。これまでさまざまな干し魚を食べたことがあるが、ここで食べたものが最も美味しかった。ホテルで夕食を終えて、2人は一緒に翌日の日程などを確認した。 翌日、朝食の後、K先生と一緒に、タス通信の報道も含む、手元にある溥儀に関する資料をホテルのフロントに見せながら、ロシア語と英語を交えて話し合った。目的地はクラースナヤ・レーチカ(中国で“紅河子”)――かつて溥儀や日本人の一部の将官が収容されたところで、今は「皇室通り」と命名されている。フロントは親切にいろいろなところに電話をかけて、場所を確認し、タクシーも予約してくれた。モスクワやサンクトペテルブルク、カザン、ウラン・ウデなど、ロシアのいろいろな所に行ったが、どこのホテルも英語の堪能なスタッフがいる。 タクシーに乗って、皇室通りを目指して走った。30分後、ハバロフスクから21キロほど離れたところの「村」、いいえ、今では立派なリゾートとなったリヴイエラ・ホテルに着いた。 ウースリ川に面するこのリゾートにはリヴイエラ・ホテルのほかに、皇宮ホテル、ウースリ・ホテル、青年ホテル、快適ホテルなども建てられ、ロシア料理のほかに、中華料理やアルメニヤ料理、ウズベキスタン料理などを提供するさまざまなレストランがある。また、スポーツ館や映画館、ミニゴルフ場、バトミントンコート、プール、ビーチ、こども園、スケート場やスキー場などがあり、パンフレットや看板などはすべてロシア語・中国語対照で書かれている。 「溥儀の旧居」と尋ねたら、すぐリゾートの西側の皇宮ホテルに案内された。行ってみると2階建ての建物である。スタッフ(管理人?)が1人だけ。その人に1階の溥儀皇帝「博物館」に案内された。入場券は一人100ルーブルである。ホテルの宿泊者は無料で入れる。入ってみたら、狭い室に溥儀がシベリアに抑留された1945~50年の年表や、溥儀が書いた絵とノート、皇后ゴブロ・婉容(Wanrong,1906~46年)の弟で、溥儀の妹婿にもなった潤麒(Runqi,1912~2007年)が書いた絵、溥儀の東京裁判での証言、中国から送った皇室のテーブルや椅子などが展示されている。溥儀と潤麒が書いた絵やノートなどが見られたのは、意外な喜びだった。 しかし、この建物は、手元の資料やタス通信の報道の内容と異なっていることに気が付いて、スタッフに確認した。「溥儀はハバロフスクでいくつかのところで生活していた。ここはそのなかの1つだ」と、溥儀はここに住んだことがあることを強調した。 K先生としつこく、リゾート内で探してみた。この建物は「皇室通り3号」に位置している。タス通信の報道では、溥儀の旧居は「皇室通り5号」になっている。リゾート内を2回も回ってみたが、皇室通り5号というところは見当たらなかった。 皇宮ホテルに近いリゾートの出口で、守衛室のスタッフの中年の女性に尋ねたところ、「入場料を払ったか。100ルーブルだ」と言われた。なるほど、リゾートに入るのに、入場料を支払わなければならないのだ。その時、K先生がその女性に、「彼(フスレ)は皇后の親戚で、われわれは日本から溥儀皇帝の遺跡を探しに来たのだ」と説明すると、その女性の態度が一変し、私と握手して、「どうぞ、どうぞ」と言い、入場料が免除された。実は、私の上の姉は身体障碍者で、その夫は皇后ゴブロ・婉容の従弟郭文通(満洲国軍少将)の息子である。親戚と言えば親戚である。「皇室通り5号はどこにあるのか」と聞いたら、その女性は「むこうだよ」と、リヴイエラ・ホテルのほうを指さした。 K先生と「皇室通り5号」を探し続けた。なかなか見当たらない。疲れたころ、リヴイエラ・ホテルの外側に聳えているコンクリートの監視哨らしい建物が目を引いた。タス通信の資料と合わせて見たら、「あそこだ」と、私は興奮してK先生に言った。 2人は急いでリゾートを出た。そこで、やっと気が付いた。リヴイエラ・ホテルの外側の壁には「皇室通り5号」の看板があり、そのとなりに、溥儀が収容されていた2階建ての木造の建物とコンクリートの高い監視哨がある。収容所というより、別荘のような建物だ。ここは工事中で、入り口には「立ち入り禁止」の看板が掛かっている。私はカメラを出して、シャッターを押し続けた。工事をしている大工のリーダーらしい年配の方が私に手を挙げて、「中に入っていいよ」と言った。 それを聞いて、喜んでK先生と一緒に敷地の中に入った。さまざまな角度からこの溥儀の旧居と監視哨の写真を撮り続けたところ、突然、木造の建物から厳しい顔をした痩せた中年の男性が出てきて、たいへん怒って、「ここは立ち入り禁止だ。撮影も禁止だ。どうやって入ってきたのだ。画像を消して、出て行って」と私たちを叱った。そこで、K先生は、その方に挨拶して、「私達は日本から来た」、そして私を指さしながら、「彼は皇后の親戚で、われわれは溥儀皇帝の遺跡を探しに来たのだ」と説明した。それを聞いたその方は、私に握手を求めながら、「ここは立ち入り禁止だ。撮影も禁止だ。写真を消さなくてもいいが、これ以上撮るな。早くここから出て行ってください」と言った。 そこを離れて、リヴイエラ・ホテルのなかのバーに入った。溥儀の旧居を確認できたことで、K先生は高級ヴォッカを注文し、私はビールで、2人は乾杯した。 午後、タクシーで、いったん、Sopkaホテルに戻った。その後、再び街に出て、散策をした。K先生は元気だ。84才の高齢にも関わらず、アムルースキー並木通りなどを回って、青年同盟広場にあるウスペンスキー大聖堂まで、2時間も歩き続けた。 2人は青年同盟広場の傍にある香港レストランで夕食をした。中年と年配の客もいれば、若者も少なくない。ディスコやワルツの曲が流れ続け、皆飲んだり、踊ったりしていた。30分もたたないうちに、K先生はとなりのロシア人のグループと合流した。84才の高齢で、ロシア人のおばさんたちと、飲んだり、踊ったりした。私も何度も誘われたが、踊る勇気はなく、最後まで断った。 夜のハバロフスクの街はロマンティックな雰囲気に包まれていた。 14日はまず、ハバロフスク軍事史博物館に行った。途中、スパソ・プレオブラジェンスキー大聖堂とハバロフスクの港にも訪れてみた。ハバロフスクのこの港はウースリ川を通して、中国の撫遠県との間を毎日1回、客船が6隻ずつ(中国から6隻、ロシアから6隻)往復の運航を行っている。 せっかくハバロフスク軍事史博物館が見つかったが、なんと閉館、しかも閉館は2年間も続いていることが分かった。館内で工事はしていないが、博物館の外側では増築の工事をしている。そのとなりの青年同盟広場には新たに建てられた記念碑が聳えており、その一角に日本人抑留者の姿も刻まれている。 その後、ハバロフスク郷土史博物館を見学した。ここには、ハバロフスクの自然・歴史・民俗・宗教・科学研究の成果・スポーツ・対外交流など、複数の展覧室を設けており、溥儀の通訳を務めたことのあるG.G.ペルミコフを記念するコーナーやハバロフスク裁判のコーナーも設けている。溥儀のハバロフスク抑留におけるいくつかのことを再度確認できた。 その後、ウースリ川に面する展望台に行ってみた。ここには大勢の中国人や韓国人の観光客が集まっていた。展望台の隣に、ロシア語・朝鮮語が刻まれている記念碑があり、朝鮮労働党中央委員会総書記金正日が2001年8月17日にこの展望台を訪れたと書かれている。実は、ハバロフスクは北朝鮮と密接な関係がある。第2次世界大戦期、ここにはソ連の援助を受けている朝鮮人のゲリラ部隊があった。今、この街には、キム・ユー・チェン通りと命名された道がある。 展望台を後にして、Intourist_Hotelを探しに行った。K先生が最初にハバロフスクに来たのは1968年であり、当時宿泊したのはこのホテルであった。しかし、ホテルは見つかったものの、K先生にとって、それは見る影もなく、完全に変わっていた。その後、K先生の思い出を探すため、2人はムラピョフ・アムールスキー通りに沿って、レーニン広場まで歩き続けた。 ハバロフスクに滞在した3日間に、たくさんの中国人や韓国人の観光客を見かけたが、日本人の観光客にはあまり出会えなかった。第2次世界大戦終結後、多くの日本人がハバロフスクに抑留され、ここには日本人墓地があり、また日本領事館も設けられている。 15日、朝食の後、ハバロフスク空港に行った。チェックインの手続きが煩雑で、かなり時間がかかった。その後の安全検査は、非常に厳しく、金属探知機が反応はなかったけれども、ポケットの底まで調べられた。私が安全検査を終えたところ、ちょうどK先生がとなりの冂型の探知機を通ってきて、赤信号が光って、警報が鳴った。中年の女性の検査員が携帯用の金属探知機でK先生の腰をさしながら、ロシア語で「○○を開けて下さい」と言った。K先生は、はっきり聞こえなかったせいなのか、微笑みながら自分のベルトを開けて、ズボンを脱いだ。それをみた女性の検査員はたいへん困ったようで、慌てて、大声で「ズボンを履いて下さい」と言った。それを見た周りの人もみんなびっくりしたようで戸惑っていた。 「君が“開けて下さい”と言ったじゃない。僕が脱ぎたいわけではないよ。君が“開けて下さい”と求めたのだから」とK先生がロシア語でそのように返した。 「“ポケットを開けて下さい”。ズボンじゃないよ。はやくズボンを履いて、ポケットを開けて下さい」と女性の検査員はなかなか落ち着かない。 周りの人はみんなやっと事情がわかって、笑った。 「そうか。ポケットか。はっきり言おうよ」と、K先生は淡々と、ズボンを履いた。 ポケットを開けたら、ハンカチなどはあったものの、金属らしいものはなかった。 「危険物が発見されなくて、残念だね」とK先生が冗談を言った。 結局、安全検査はこのように「無事」、済んだ。 空港の2階には免税店とコーヒー屋がある。K先生は免税店にはまったく興味がなく、コーヒー屋で1200ルーブル(約2000円)で187mlの高級ワインを購入した。私は600ルーブル(約1000円)で缶ビール1本を購入した。仁川空港のワインとビールも高かったが、ハバロフスク空港のビールは私が訪れた空港のなかで、最も高い気がする。 「ロシアが空港のお酒の値段をこんなに高くしているのは、ロシア人に飲ませない考えだ」とK先生は言った。 私は「空港で酔っ払いを防ぐために、こうしたのでしょう」と言おうと思ったが、黙ったままにした。 「これは本当に美味しい」と、K先生は満足そうにワインを堪能しながら、今回のハバロフスクの旅についての感想をいろいろと語っていたが、突然、「生命は自然がつくったもののなかでもっとも美しいものだ」と言い出した。 「どういうこと?」 「ゲーテの言葉だ」とK先生は、壁に飾ってあるポスターを指さしながら、言った。 それはハバロフスクの空港の広告だった。ドイツの大文豪ゲーテの名言を借りて空港のキャッチフレーズにするのは、ロシアらしいと思う。 免税店でワインを購入して、K先生にプレゼントした。 シベリア航空567便は定刻通りに東京に向かった。 旅の写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/09/SGRAKawaraban579Photoslight.pdf <ボルジギン・フスレ Borjigin_Husel> 昭和女子大学国際学部教授。北京大学哲学部卒。1998年来日。2006年東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了、博士(学術)。東京大学大学院総合文化研究科・日本学術振興会外国人特別研究員、昭和女子大学人間文化学部准教授などをへて、現職。主な著書に『中国共産党・国民党の対内モンゴル政策(1945~49年)――民族主義運動と国家建設との相克』(風響社、2011年)、共編著『国際的視野のなかのハルハ河・ノモンハン戦争』(三元社、2016年)、『日本人のモンゴル抑留とその背景』(三元社、2017年)他。 -・-・-・-・-・-・-・- 【2】第61回SGRAフォーラムへのお誘い(再送) 下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 ◆「日本の高等教育のグローバル化!?」 ~グローバル人材育成とはなんだろうか~ 日時:2018年10月13日(土)午後1時30分~4時30分 その後懇親会 会場:早稲田大学 国際会議場第一会議室 http://www.color-science.jp/zenkoku2013/img/kokusaikaigijou.pdf 参加費:フォーラム・懇親会ともに無料 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp, 03-3943-7612) ◇フォーラムの趣旨 2012年に日本再生戦略の中で若者の海外留学の促進とグローバル人材育成が謳われ、5年が経過した。グローバル人材の育成には、多方面かつグローバルな観点での議論と政策が不可欠であるが、現在の諸政策は外国語能力の向上と異文化理解の体得を推進するに留まっている。例えば、TOEFL・TOEICを利用した英語習得及び評価や英語での授業展開を中心としたものや、海外留学の推奨など日本から海外に出る方向に集中していることが挙げられる。また、その対象が日本人に限られている点など、現時点におけるグローバル人材育成の方針は一方面かつローカルな視点から進められているようにとれる。 一方、教育の受け手であり、育成される対象である若者がこのような現状をどのように受け止め行動しているのかはあまり議論されず取り残されたままである。今後スーパーグローバル大学(SGU)から全国の大学にグローバル人材育成教育の政策がさらに促進・拡大されることを踏まえると、今一度現状を振り返る必要がある。 そこで本フォーラムでは、高等教育のグローバル化をめぐる大学と学生の実態を明らかにし、同様の施策をとる他国との比較を通して同政策の意義を再検討する。さらに日本に住み教鞭を執る外国人研究者が中心となって発表することで本テーマに新たな視点をもたらすことが期待される。 ◇プログラム 総合司会:張建(東京電機大学特任教授) 【問題提起】 沈雨香(早稲田大学助手) 「スーパーグローバル大学(SGU)の現状と若者の受け止め方:早稲田大学を例として」 【講演1】 吉田文(早稲田大学教授) 「日本の高等教育のグローバル化、その現状と今後の方向について」 【講演2】 シン・ジョンチョル(ソウル大学教授) *逐次通訳付 「韓国人大学生の海外留学の現状とその原因の分析」 【事例報告】 ・関沢和泉(東日本国際大学准教授)「内向き志向なのか――地方小規模私立大学における《留学》」 ・ムラット・チャクル(関西外国語大学講師)「関西外国語大学におけるグローバル人材育成の現状」 ・金範洙(東京学芸大学特命教授)「日本の高等教育のグローバル展開を支えるサブプログラム事例」 【フリーディスカッション】「日本の高等教育のグローバル化!?」 -討論者を交えたディスカッションとフロアとの質疑応答- モデレーター:シム・チュンキャット(昭和女子大学准教授) ※プログラムの詳細は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/09/SGRAForum61Program.rev2_.pdf ※ポスターは下記リンクよりダウンロードしていただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/11740/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第61回SGRAフォーラム(2018年10月13日、東京) 「日本の高等教育のグローバル化!?」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/11740/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRA の事業はまずます発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Xie Zhihai “Encouragement of Fixed-point Observation”

    ********************************************** SGRAかわらばん741号(2018年9月20日) 【1】エッセイ:謝志海「定点観測のすすめ」 【2】催事案内:APYLP ジョイント・セッション   「アジアのジャーナリズム」(10月14日、東京) 【3】第61回SGRAフォーラムへのお誘い(再送)   「日本の高等教育のグローバル化!?」(10月13日、東京) ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#578 ◆謝志海「定点観測のすすめ」 インターネットとスマートフォンが当たり前にある昨今、この2つがあればどこにいても一瞬にして大量の情報を得られるようになった。一方で情報の質と正確さも問われるようになり、我々は溢れかえった情報から本物で質の高い情報を集めることが大切になってきた。そこで思うのは、やはり自分の身体を動かし自分の目と耳で情報を集めること。国際関係を専門とする私にとっては、身体を使ってとなるといろんな国を飛び回ることになる。それはどう考えても難しいのだが、やってのけている人もいるのだ。 その方は一言では肩書きを説明しきれないのだが、多摩大学の学長を務める寺島実郎氏である。彼のインタビューや彼の本を読むと繰り返し出てくる言葉がある――「定点観測」。テレビでよく見かける方なので、正直私は世界を飛び回っているイメージが無かったのだが、彼はアメリカ、イギリス、中東などの国々と都市を毎年同じ時期に訪ね、その場所にいる友人やキーマンから直接話を聞いている。現地で自身が見たもの聞いたもの感じたものこそがまさに「本物」の情報であり、東京でスマートフォン片手に情報検索して、この情報は信憑性があるのか?誰が書いたのか?など検証している時間よりもずっと早くて有意義なのではないかという気がしてくるのだ。 私も今年の春、かつて生活していた北京へ6年振りに行ったのだが、あいた口がふさがらないとはこのことで、変わり果てていた。日本に居てテレビでよく目にする最近の中国と言えば、例えば池上彰氏が教える中国では、すべてをスマートフォンで決済している街の人たち、車のライドシェアやレンタルサイクルといったシェアエコノミー、そして電気自動車の発達と、もしかしたら日本より進んだテクノロジーで便利な暮らしに見えるかもしれない。その実はというと、街は混沌としていた。私が住んでいた時よりも随分と伸びた地下鉄の駅も地上に上がれば、シェアサイクルの自転車が乱雑に積み上げられていて、歩道を占領している。まだ日本には進出していないライドシェアが一般的になっている割には一日中ひどい渋滞。 タクシーの運転手が言うには、スマートフォンを使ってどこでも配車手配が出来るようになったはいいが、ドライバーと手配した人との場所の行き違いなどもあり、余計な混雑を起こしているケースもあるそうだ。シェアエコノミーが発達しているようで、経済の発展により増えている車。中国では車の所有、特に輸入車に乗ることはまだまだ富の象徴であるのだ。北京の交通渋滞は日本でも有名だが、スマートフォンアプリで何でも出来るという便利さに都市の秩序が追いついていないのではないか?上海には年に一度は仕事で訪れていたのだが、北京という街には大層驚き、中国に関しては年に一度の定点観測では見逃しが多いということと、一つの都市だけを訪れるだけではいけないことを痛感したのであった。 そして現在、群馬県に住む私は東京へは、週に一度の講義や学会などで度々足を運ぶのだが、2020年のオリンピックへ向けて刻々と変わってゆく東京を体感することができる。タクシーが変わる、都心のバスにはオリンピックのキャラクター。そして何より、街中は英語に加え中国語(しかも簡体字と繁体字の両方!)と韓国語の表示が増え国際都市へ一途に向かっているなあと思うのである。東京に住んでいたままだったらあまり感じなかった事なのだろうか? 私は出来る限り自分が専門とする分野に関係する場所、興味がある場所には自分で行き、歴史が変わる様、潮目の変わりを見逃すことのないようにしたいと思う。「定点観測」というと、この有名なスピーチを思い出さずにはいられない。おそらくすでに星の数ほど引用されているであろう、故スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学における2005年の卒業式でのスピーチの後半:「先を見て点をつなぐことはできない。振り返ってそれらをつなぐことしかできない。だからあなた自身が将来なにかしらの形で点がつながると信じること。何かを信じること。」自分が信じた点へ赴き、点を増やし、今後の研究や授業に活かしたいと強く思うのだ。 <謝志海(しゃ・しかい)Xie Zhihai> 共愛学園前橋国際大学准教授。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイト、共愛学園前橋国際大学専任講師を経て、2017年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。 -・-・-・-・-・-・-・- 【2】催事紹介:APYLPジョイント・セッション「アジアのジャーナリズム」 渥美財団SGRAは、2018年3月に国際文化会館に発足したアジア太平洋地域の未来を担う次世代リーダーたちのためのコミュニティー「アジア・パシフィック・ヤング・リーダーズ・プログラム(APYLP)」に参画することになりました。APYLPは、アジア太平洋地域の未来を担うさまざまなリーダーシップ・プログラムを繋ぎ継続的な研鑚の機会を提供することで、フェローたちがプログラムの垣根を越えて新たな取り組みを生み出すことを目指しています。 その第1回ジョイント・セッションが、下記の通り実施されますのでご案内します。参加ご希望の方は、直接国際文化会館にお申込みください。 日 時:2018年10月14日(日)1:00~3:00pm(開場:12:30pm) 会 場:国際文化会館講堂 共同主催:APYLP、アジア・リーダーシップ・フェロー・プログラム(ALFP) 共催助成:国際交流基金アジアセンター、米日財団、MRAハウス 言 語:日本語/英語(同時通訳つき) 参加費:無料(要予約:定員120名) 詳細・お申込みは下記リンクから。 https://www.i-house.or.jp/programs/apylp_jointsession181014_2/ ALFP 講演会シリーズ/APYLP ジョイント・セッション ◆テーマ:「アジアのジャーナリズム~第一線で闘うジャーナリストに聞く~」 〇スピーカー: クンダ・ディクシット(Nepali_Times紙編集者・発行人) サバ・ナクヴィ(フリージャーナリスト) コン・リッディ(バンコクポスト紙編集者) 〇司会: 水野孝昭(神田外語大学教授、元朝日新聞ニューヨーク支局長) -・-・-・-・-・-・-・- 【3】第61回SGRAフォーラムへのお誘い(再送) 下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 ◆「日本の高等教育のグローバル化!?」 ~グローバル人材育成とはなんだろうか~ 日時:2018年10月13日(土)午後1時30分~4時30分 その後懇親会 会場:早稲田大学 国際会議場第一会議室 http://www.color-science.jp/zenkoku2013/img/kokusaikaigijou.pdf 参加費:フォーラム・懇親会ともに無料 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp, 03-3943-7612) ◇フォーラムの趣旨 2012年に日本再生戦略の中で若者の海外留学の促進とグローバル人材育成が謳われ、5年が経過した。グローバル人材の育成には、多方面かつグローバルな観点での議論と政策が不可欠であるが、現在の諸政策は外国語能力の向上と異文化理解の体得を推進するに留まっている。例えば、TOEFL・TOEICを利用した英語習得及び評価や英語での授業展開を中心としたものや、海外留学の推奨など日本から海外に出る方向に集中していることが挙げられる。また、その対象が日本人に限られている点など、現時点におけるグローバル人材育成の方針は一方面かつローカルな視点から進められているようにとれる。 一方、教育の受け手であり、育成される対象である若者がこのような現状をどのように受け止め行動しているのかはあまり議論されず取り残されたままである。今後スーパーグローバル大学(SGU)から全国の大学にグローバル人材育成教育の政策がさらに促進・拡大されることを踏まえると、今一度現状を振り返る必要がある。 そこで本フォーラムでは、高等教育のグローバル化をめぐる大学と学生の実態を明らかにし、同様の施策をとる他国との比較を通して同政策の意義を再検討する。さらに日本に住み教鞭を執る外国人研究者が中心となって発表することで本テーマに新たな視点をもたらすことが期待される。 ◇プログラム 総合司会:張建(東京電機大学特任教授) 【問題提起】 沈雨香(早稲田大学助手) 「スーパーグローバル大学(SGU)の現状と若者の受け止め方:早稲田大学を例として」 【講演1】 吉田文(早稲田大学教授) 「日本の高等教育のグローバル化、その現状と今後の方向について」 【講演2】 シン・ジョンチョル(ソウル大学教授) *逐次通訳付 「韓国人大学生の海外留学の現状とその原因の分析」 【事例報告】 ・関沢和泉(東日本国際大学准教授)「内向き志向なのか――地方小規模私立大学における《留学》」 ・ムラット・チャクル(関西外国語大学講師)「関西外国語大学におけるグローバル人材育成の現状」 ・金範洙(東京学芸大学特命教授)「日本の高等教育のグローバル展開を支えるサブプログラム事例」 【フリーディスカッション】「日本の高等教育のグローバル化!?」 -討論者を交えたディスカッションとフロアとの質疑応答- モデレーター:シム・チュンキャット(昭和女子大学准教授) ※プログラムの詳細は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/09/SGRAForum61Program.rev2_.pdf ※ポスターは下記リンクよりダウンロードしていただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/11740/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第61回SGRAフォーラム(2018年10月13日、東京) 「日本の高等教育のグローバル化!?」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/11740/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRA の事業はまずます発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
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