SGRAメールマガジン バックナンバー

  • Invitation to SGRA Panel Session at EACJS (Part 1)

    ********************************************** SGRAかわらばん792号(2019年10月11日) 【1】東アジア日本研究者協議会へのお誘い(11月1~3日、台北) SGRA参加パネル(1)「明治期の小説と口絵・挿絵―絵の役割―」 【2】新刊紹介『世界のしんどい学校』 【3】SGRAチャイナ・フォーラムへのお誘い(再送) 「国際日本学としてのアニメ研究」(10月19日、北京) ********************************************** 【1】第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い 東アジア日本研究者協議会(EACJS)は、東アジアの日本研究関連の学術と人的交流を目的として2016年に発足されました。SGRAはその理念に賛同し今年も3つのパネルに参加いたします。各パネルの発表内容を順次ご案内しますので、これを機会に皆様のご参加やご関心をお寄せいただければ幸いです。 【東アジア日本研究者協議会の趣旨と歩み】 北米を中心としたAAS(アジア学会)、欧州を中心としたEAJS(欧州日本学会)が存在するのに対し、東アジア地域における日本研究者の集う場として2016年に発足された協議会。「東アジアにおける日本研究関連の学術と人的国際交流」を目的に毎年、東アジア各都市で国際学術大会が開催されている。 ◇協議会趣旨 一、日本研究の質的な向上。 一、地域の境界に閉ざされた日本研究から脱し、より多様な観点と立場からの日本研究を志向。 一、東アジアの安定と平和への寄与。 ◇国際学術大会の歩み 第1回は2016年韓国・仁川、第2回は2017年中国・天津、第3回は2018年日本・京都で開催。 第4回が本年11月に台湾・台北で開催される。 【第4回東アジア日本研究者協議会国際学術大会in台北】 日時:2019年11月1日(金)~3日(日) 会場:福華国際文教会館、台湾大学 http://www.howard-hotels.com.tw/jp/civil-service/home/ 主催:第4回東アジア日本研究者協議会、台湾大学日本研究センター 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://cjs.ntu.edu.tw/eacjs/index.html ◆SGRA参加パネル(1)|「明治期の小説と口絵・挿絵―絵の役割―」 分科会C(一般パネル) 11月2日(土)14:15-15:45 於 台湾大学普通教学館202号室 パネル趣旨: 江戸時代から明治時代になって、新しい印刷技術、また雑誌や新聞などの新たなメディアが出現した。それによって、江戸時代の作品がさまざまな形態で次から次へ再出版された。小説の再刊に際しては、本文の内容は変わらないままで、口絵や挿絵が新たに描き直されるということがよくあった。そのため、挿絵から作品の成立背景、ひいては作品の本質を窺い知ることができる。ところが、文学研究では、挿絵は小説の付属品だと思われがちであり、本文と挿絵との関係についての研究は少ない。本パネルでは、口絵・挿絵と小説との相互関係について議論する予定である。本パネルの発表を通して、小説と挿絵に関する研究が重視され、前進することを期待する。 パネリスト: 司会者  張桂娥 (東呉大学) 発表者 1 出口智之(東京大学) 発表者 2 梁蘊嫻 (元智大学) 討論者 1 延広真治(東京大学) 討論者 2 藍弘岳 (交通大学) 発表要旨: 【発表1】出口智之(東京大学) 「明治期絵入り新聞小説と単行本の挿絵戦略―尾崎紅葉「多情多恨」に即して―」 あまり知られていないことだが、明治中期以降の近代文学の時代に入ってもなお、小説作者たちは江戸期の戯作と同様、口絵や挿絵の下絵を描いて画工に指示することが求められていた。そうした彼らにとっての自作とは、本文だけでなく口絵や挿絵もその範疇に入っていたはずであり、時として本文で記述しない過去の重要な出来事や物語の結末を絵で示すなど、積極的に活用することもあった。本発表ではこうした観点から、尾崎紅葉「多情多恨」について、初出時(『読売新聞』明治29年)と単行本(春陽堂、明治30年)に用いられた挿絵の違いを検討してみたい。特に、『読売』連載時の挿絵が他紙には見られない独特の様式であること、単行本の挿絵制作に際して画工に与えた指示画二葉が残っていることなどを手がかりとし、媒体にあわせて変化する紅葉の戦略を考察する予定である。 【発表2】梁蘊嫻(元智大学) 「明治時代に出版された『絵本通俗三国志』―青柳国松版を中心に―」 『絵本通俗三国志』(池田東籬作・二世葛飾北斎画)天保7(1836)年から天保12年に出版された絵本読本である。本作は挿絵が400図も超え、江戸時代の「三国志物」の中で数量が最も多い作品である。明治時代になると、『絵本通俗三国志』は30種以上のバージョンが刊行された。数多くの出版物の中で、二世北斎の絵を模写したものもあれば、斬新な挿絵を読者に提供しようとするものもある。明治20年に青柳国松によって出版された『絵本通俗三国志』は後者である。本書は、明治15年に、清水市次郎出版したものを継承したものと思われるが、清水市次郎版と大きい違いが見られる。青柳国松は清水市次郎版の前半、すなわち小林年参の挿絵をすべて削除し、水野年方による挿絵を取り替えたのである。このことから、古典としての『絵本通俗三国志』を区別し、独自性を出そうとする出版社の意図が窺われる。本発表では、青柳国松版『絵本通俗三国志』の独自性を分析する。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】新刊紹介 SGRA会員で昭和女子大学准教授のシム・チュンキャットさんから、新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆「世界のしんどい学校―東アジアとヨーロッパにみる学力格差是正の取り組み」 韓国、香港、シンガポール、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、計7カ国の「しんどい」地域(低所得層や移民が多く居住する地域)に立地する小学校で、学力格差の問題がどのように解決されようとしているかという国際比較研究を行った成果である。 監修:志水宏吉 編者:ハヤシザキ・カズヒコ、園山大祐、シム・チュンキャット 発行:明石書店 ISBN:9784750348803 判型/ページ数:A5/336ページ 出版年月日:2019/09/20 詳細は下記リンクをご覧ください。 https://www.akashi.co.jp/book/b481084.html -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】「第13回SGRAチャイナ・フォーラム『国際日本学としてのアニメ研究』へのお誘い(再送) 下記の通りSGRAチャイナ・フォーラムを北京で開催いたします。参加ご希望の方は直接会場へお越しください。 テーマ:「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 日 時:2019年10月19日(土)午後2時~5時 会 場:北京外国語大学北京日本学研究センター多目的室 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 共 催:北京外国語大学日本語学院、清華東亜文化講座 後 援:国際交流基金北京日本文化センター お問い合わせ:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp 03-3943-7612) ■フォーラムの趣旨 企業が主導して、複数の作家が同一のキャラクターや世界観(背景世界)を共有して創作物を同時多発的に生み出し、さらにそこにファンが二次創作やコスプレの形で創造的に参加する「メディアミックス」は、日本のアニメーションを中心とするコンテンツ産業の特徴的手法とされ、 Marc_Steinberg 『Anime's_media_mix: Franchising_toys_and_characters_in_Japan』(2012)以降、アニメの学術研究の新しい領域として注目を集めている。本フォーラムではSteinbergの議論では不十分であったメディアミックスの東アジアでの歴史的な起源について中・日双方から検証したい。 ■プログラム 【講演1】大塚英志(国際日本文化研究センター教授) 「『翼賛一家』とメディアミックスの日本ファシズム起源」 【講演2】秦剛(北京日本学研究センター教授) 「日本アニメにおける『西遊記』のアダプテーション:変異するキャラクター」 討論者: 古市雅子(北京大学マンガ図書館館長准教授) 陳エン(東京大学総合文化研究科博士課程) ※プログラムの詳細は、下記URLをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13890/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第13回SGRAチャイナ・フォーラム(2019年10月19日、北京) 「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13890/ ◇第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い(2019年11月1日~3日、台北) SGRA参加パネル (1)「明治期の小説と口絵・挿絵―絵の役割―」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/2019/13958/ (2)「日本のODAとアジア:再評価の試み」 (3)「日本における女性ムスリムの現状:留学中に直面する課題と彼女らの挑戦」 ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Stefan Wuerrer “After all it comes back to ‘Who are Victims?’ and ‘Where is Disaster Area?'”

    ********************************************** SGRAかわらばん791号(2019年10月3日) 【1】エッセイ:シュテファン・ヴューラー 「やっぱり『被災者とはだれ?』『被災地とはどこ?』に還ってくる」 【2】SGRAチャイナ・フォーラムへのお誘い(再送) 「国際日本学としてのアニメ研究」(10月19日、北京) ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#610 ◆シュテファン・ヴューラー「やっぱり『被災者とはだれ?』『被災地とはどこ?』に還ってくる」 初めて福島に行ったのは、去年の5月だった。渥美財団のふくしまツアーに参加し、福島県・飯館村に2泊3日滞在した。行った先でもっとも印象に残って、ずっと気になって、そして今回もまた、CISV日本協会関東支部主催の「International_People’s_Project(IPP)ふくしま」に、SGRAのヴォランティア通訳者として参加し再び飯館村を訪れようと思った動機の一つとなったのは、責任の不平等な「分配」、負担の不平等な「分配」、「こっち」と「そっち」という線引きの恣意性を意識させる、もっと簡単に言ってしまえば、福島の再生とは誰の問題なのかという問いを投げかけてきた声だった。 いうまでもなく、印象に残ったことはその他にも様々にある。オーストリア東北部にある父の故郷を連想させた美しい森と畑の間に広がる、周りに溶け込むような深緑色、あるいは派手に目立つ不気味な黒のシートでカバーされている汚染土の山々の無視しようもない存在。その山々が現政府にとって「オリンピックで手がいっぱい」なゆえ、ずっと農業地を占領している問題。放射能汚染で農地として使えなくなった畑の一部に広がるソーラーパネルの何十パーセントかが大企業のもので、現地に届くのが借地料のみである問題。 そしてそんな状況の中で、原発事故と津波による被害が良くも悪くも若い世代にとって故郷を後にして別の場所で根を下ろす契機となった一方、年配の人が、自分が生まれ育って何十年間も生きてきた地域を再生させようと踏ん張っているという、ローカル・コミュニティを走る亀裂―ずっと東京に住んでいると、新聞やテレビでは3.11、福島第一原発事故、放射能汚染の問題はとっくに終わった話らしく、これらの問題について知る機会が少ない。だから、被災地、「現場」に身を置いてみてその場を生きている人たちの話を聞くことは、このようにもう少し具体的な問題意識を持たせてくれる貴重な経験だ。 去年そう思って感想をまとめたところ、一つの疑問が浮上してきた。「現場」とはおかしな表現なのではないかと。「現場」、被災地とはどこだ。放射能汚染で避難指示区域となった場所?帰還困難区域?復興作業、除染作業が行われている市町村?福島原発?それじゃ東京は?日本は?太平洋は?―「現場」はどこだ。今回もまた、実は飯館村に行く前に、まだ荷造りもしていない出発の数日前から、去年の飯館村での経験を思い出し、去年のこの疑問が浮かんできた。そのきっかけとなったのは、IPPふくしまの外国人参加者2人と一緒に、日本語が話せないこの2人の通訳者、コミュニケーションのサポートとして、1泊2日ホームステイすることとなったホストの星野さんがあらかじめ送って下さった、飯館中学校のある生徒による英語弁論大会のスピーチである。 CISVは平和で公正な世界の実現に貢献する地球市民を育成することを目標に、世界69カ国の国々で、11歳以上全ての年齢の人々を対象にした国際教育プログラムと地域プロジェクトを実施している民間非営利団体である。その教育プログラムの一つであるIPPは、19歳以上の参加者が地域の課題にその土地の人々、関係する団体と協力して取り組む2~3週間のプログラムで、今年の8月11日から24日まで福島県飯館村で開催された。前半は滞在している地域・飯館村について知ってインプット、後半は地域に貢献してアウトプットという2部構成のこのプロジェクトのちょうど真ん中の週末は、飯樋地区・佐須地区の有志のご家庭での1泊の村内ホームステイと、その次の日に、廃炉資料館と福島第一原発廃炉工事現場の視察があった。 他の渥美財団の元奨学生4人と一緒にこの3日間のプログラムに通訳サポートとして参加した。ホームステイは、小宮地区の山中にある、百数十頭飼っている牛舎を見学し、震災後の福島での農業について知ったり、真野湖へドライブして綺麗な景色に圧倒されながら真野ダムの歴史について学んだり、ホストが家の庭で、人が集まって交流できるもう一つの場所として作った石窯でピザを焼いて星空の下で食事したり、ホストの家にあった様々な楽器でジャムセッションもやったり、また飯樋町コミュニティーの協働草刈りを手伝ったりと、盛りだくさんの2日間だった。飯館村周辺のやはり今でも問題の多い現状を、しかし、この地域の自然の豊かさとこの地域の人たちの心の広さとともに、いくつか新しい視点から経験できた。それを可能にしてくれたホストの星野さんに感謝の気持ちしかありません。 その新しい視点の一つとなったのは、飯館村地域包括支援センターに保健師として勤めており、飯館村周辺のとりわけ年寄りの人のケアに携わっているホストが、「対話のきっかけとして」あらかじめシェアしてくれた、上述の飯館中学校の生徒による英語弁論大会のスピーチである。学生の名前は佐藤安美、スピーチのタイトルは「Don’t_Call_Us_Victims」(被災者と呼ばないで)。その中で、佐藤さんは次のように書く。 「私には口にしたくない言葉があります。それは『被災者』という言葉です。災害による被害を被った人のことを意味します。私はもう被災者ではありません。そう呼ばれることにうんざりしています。〔・・・〕多くの人はメディアから情報を得て、それを真実だと信じています。実際に私は震災についてテレビ番組をたくさん見ましたし、インタビューもたくさんされました。だから、私たちは一生懸命がんばっているという事実を皆さんに伝えようとしてきました。しかし〔・・・〕映像やインタビューは誇張した話で作られていました。私たちをただの被災者に仕立て上げるのです。彼らの望む通り、私たちは永遠に被災者であり続けなければいけないのでしょうか。確かに、被災者はみじめなものとして受け取られがちです。でも私はそうは思いません。被災者は必ずしもかわいそうではないのです。」(村の広報誌「いいたて」2017年12月号、8頁) このスピーチを読んで、去年の疑問―被災地、「現場」とはどこだ―を思い出し、考え込んだ。「被災者」とは誰だ。というか誰かを「かわいそうに」と「被災者に仕立て上げる」こととはどういうことかと。思うに、それは「こっち」を「そっち」から分断するための恣意的な線引き、「そっち」の無責任な放置だったりするのではないか。ならば、「じゃ線引きやめよう」という訳にもいかない。他でもない「わたし」であろうとする人間である以上、いずれ線引きはするから。「こっち」と「そっち」と。線引きのない夢の世界へと浪漫飛行するより有意義なのは、だから、なぜ線引きがなされるのか、線引きのその機能について考えることである。そしてそれは、佐藤さんの「うんざり」、「現場」とはどこ?「被災者」とは誰?という私の疑問、福島の再生が誰の問題、誰の責任なのかという問いとも無関係ではない。 「現場」あるいは「被災地」という語は、特定可能な「そっち」に対しての「現場」、「被災地」でないどこかが存在しているという観念を前提に意味を持つのである。だから、東日本大震災や福島第一原発の事故などが話題になったとき、特定の地域や地区を指して「被災地」という言葉を―あるいはその地域に住んでいる人に対して「被災者」という言葉を―使ってしまえば、それと無関係な「非・被災地」「非・被災者」があるという線引きが想像上、含意として再生産される。「非・被災地」としての「こっち」、「非・被災者」としての「私」という幻想が抱けるわけである。 「~してあげる」とか「支援」とか、あるいはまた「かわいそうに」という「福島」とよくセットになっている表現と同じである。「~してあげる」は、借りと貸しの世界において、「そっち」の事情だけど「そっち」のために「こっち」は境界線を越えて―一時的に「現場に入って」―手を貸そうという「善意」を言葉にしたものである。えらい、えらい。だが、「してあげた」後は?やっぱり「こっち」は「こっち」、「そっち」は「そっち」?「支援」だって、する側と受ける側に世界が分かれる。その場合、「現場」はどっち?支援をする「こっち」?それとも受ける「そっち」? その上、「支援してあげよう」と言うとき、そもそも支援できるための資源や余裕が「そっち」ではなく「こっち」に属するものだという―線引きを通じてこそ可能な―自己肥大的な「優しい私」の演出も無意識に遂行されることにならない? 誤解しないでほしい。支援などやめようなんて言いたいわけではない。「かわいそうに」と「そっち」側を作っておいて、たまに「やってあげよう」と「優しい私」に陶酔しつつ責任逃れするのをやめようと言いたい。共振、共感、協働を。自分なりに、お互いの違いを尊重しつつ。というのも、3.11に起きた地震と津波による大規模な自然災害と福島第一原発事故による放射能汚染とそれらの後遺症は、間違いなく特定のニーズのある地域を生み出したが、それはわれわれの問題、われわれの責任だから。この国のどこに住んでいようが、原発でつくられたエネルギーを3.11以前から、そして3.11以後も使っている「わたし」。原発の建設と再稼働に賛成する政党に票を入れた「わたし」と入れなかった「わたし」。福島の再生よりオリンピックを重視する政府を支持する「わたし」と支持しない「わたし」。 これから海外に移住するかもしれない「わたし」でも、ずっと日本国内にいるだろう「わたし」でも、程度の差はあれど福島の再生は、これらすべての「わたし」、「われわれ」の問題と「われわれ」の責任である。「かわいそうに」と、勝手に「こっち」を基準にして「そっち」に憐れみに見せかけた無関心で対応するのではなく、「支援」の一時的な善意パフォーマンスでもない。被災地が奪われてきたあらゆる資源へのアクセスを再び可能にする。「こっち」でもなければ「そっち」でもなく、一人称複数の「われわれ」で。環境汚染と自然災害が国境や県境を跨ぐ問題であるためだけではない。原発が建てられた時点ですでに、建てられた地域に負担とリスクが一方的に押し付けられたためでもある。 去年、受け入れて案内してくださったふくしま再生の会のチラシに「共感」と「協働」という言葉が大きく載っていて、去年も今年も、飯館村で実際に聞いた話も、「共感」「協働」「共有」の必要性を訴える声が少なくなかった。互いのニーズや立場の違いを無視することなく、いかに「共感」「協働」「共有」が「わたし」にとって可能なのか―この問いに対する答えを模索していくことが、私が去年、そして今年再び、飯館村から持って帰った最大の課題であり、これからも取り組んでいきたい課題である。 <ヴューラー・シュテファン Stefan_WUERRER> 渥美国際財団2018年度奨学生。オーストリア出身。ウィーン大学の東アジア研究科と比較文学科卒業。在オーストリア日本国大使館推薦で国費留学生として、2015年東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コースで修士学位を取得。現在同大学の博士後期課程に在学中。武蔵大学人文学部グローバル・スタディーズコース非常勤講師。専門は戦後日本文学、女性文学、ジェンダー・スタディーズ、カルチュラル・スタディーズ。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】「第13回SGRAチャイナ・フォーラム『国際日本学としてのアニメ研究』へのお誘い(再送) 下記の通りSGRAチャイナ・フォーラムを北京で開催いたします。参加ご希望の方は直接会場へお越しください。 テーマ:「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 日 時:2019年10月19日(土)午後2時~5時 会 場:北京外国語大学北京日本学研究センター多目的室 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 共 催:北京外国語大学日本語学院、清華東亜文化講座 後 援:国際交流基金北京日本文化センター お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp 03-3943-7612) ■フォーラムの趣旨 企業が主導して、複数の作家が同一のキャラクターや世界観(背景世界)を共有して創作物を同時多発的に生み出し、さらにそこにファンが二次創作やコスプレの形で創造的に参加する「メディアミックス」は、日本のアニメーションを中心とするコンテンツ産業の特徴的手法とされ、 Marc_Steinberg 『Anime's_media_mix: Franchising_toys_and_characters_in_Japan』(2012)以降、アニメの学術研究の新しい領域として注目を集めている。本フォーラムではSteinbergの議論では不十分であったメディアミックスの東アジアでの歴史的な起源について中・日双方から検証したい。 ■プログラム 総合司会:孫建軍(北京大学准教授) 開会挨拶: 董炳月(清華東亜文化講座、社会科学院文学研究所教授) 徐 滔(北京外国語大学日語学院院長) 【講演1】大塚英志(国際日本文化研究センター教授) 「『翼賛一家』とメディアミックスの日本ファシズム起源」 【講演2】秦剛(北京日本学研究センター教授) 「日本アニメにおける『西遊記』のアダプテーション:変異するキャラクター」 【総合討論】「メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 モデレータ:顔淑蘭(社会科学院文学研究所研究員) 討論者: 古市雅子(北京大学マンガ図書館館長准教授) 陳エン(東京大学総合文化研究科博士課程) 閉会挨拶:今西淳子(渥美国際交流財団関口グローバル研究会代表) ※プログラムの詳細は、下記URLをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13890/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第13回SGRAチャイナ・フォーラム(2019年10月19日、北京) 「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13890/ ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Love Kindstrand “Social Phenomenon called Greta”

    ********************************************** SGRAかわらばん790号(2019年9月26日) 【1】エッセイ:ロヴェ・シンドストラン「グレタという社会現象」 【2】「国史対話」メルマガを配信:孫衛国「歴史と私」 ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#609 ◆ロヴェ・シンドストラン「グレタという社会現象」 「聞いてください」少女は不器用な手つきでマイクを握って、聴衆を見渡しながら話しだした。「今からあなたがたに、自分の家が燃えているかのように、パニックに陥ってもらいます。」そうやって今年のEU経済社会評議会で集まった政治家を脅かしたのは16歳のスウェーデン人、グレタ・トゥーンベリだった。たった1年で、凄まじい勢いで注目を集め、ある種の時代精神の象徴にもなったグレタさんは、いまやオバマ前米大統領やローマ教皇と面会し、今年のノーベル平和賞にも推薦されるに至った。 その突然の名声は昨夏、15歳のグレタさんが「気候変動問題のための学校ストライキ」を宣言するところから始まった。スウェーデン政府に温暖化対策の強化を求めて総選挙までの2週間、国会前で座り込みを行った。大勢の歩行者が通りかかる国会前で、石で押えたダンボールにその論拠を明記した。「大人は私達の未来を台無しにしている。だから私もそうさせてもらいます!」限られた資源を無駄にする「消費の世代」としてのオトナと、地球を受け継ぐその子孫――こんな対立を想起させるレトリックが大きな反響を呼んだ。3日もたたないうちにほとんどの国内マスメディアに絶賛する形で取り上げられ、海外でも報道されると、ヨーロッパ諸国をはじめ全世界の若者へ呼びかけたグレタさんに触発されてストライキに参戦した高校生たちは3万人以上であった。そして毎日新聞によると、2019年5月に日本を含む世界125カ国2350都市で開催されたデモには高校生以外も含めて約180万人が参加したという。 グレタさんはEUの経済社会評議会で欧州の排出量を10年間で80%削減する必要性を訴え、更に国連の第24回気候変動枠組条約締約国会議でもなお厳しい標準を立てて、先進国の排出量を毎年15%削減するよう要求した。また、気候変動をキーワードに世界中のグローバリストが毎年集まる世界経済フォーラムにも招待されて32時間の夜行列車で向かったグレタさんは、1500機以上の個人所有のジェット機に乗ってきたエリート層の常識を問うスピーチで、気候変動対策は左右ではなく上下の対立であるというスタンスをはっきりさせた。 選挙が終わった後も毎週金曜日だけ学校ストライキを続けているグレタさんは、そういった具体的な目標を立てながらも原子力などの難問に関しては長らく言葉を濁している。気候変動に対処するには、「大聖堂の思考(カテドラル・シンキング)」が必要だと彼女はいう。すなわち、巨大な聖堂の建築に例えると、入念な準備が必要な尖塔の建て方まであまり把握していなくても、その基礎の建設に大胆に挑むということだ。グレタさんによる新世界秩序としての気候変動対策は確かに反抗的な患者への荒療治のようなものである。しかしそれと同時に、起工から140年経ってもなかなか完成の姿を示さないバルセロナのサグラダ=ファミリア(聖家族教会)を連想させる包括的な取り組みでもある。「最善の方法はわからないが達成に向けてやるしかない。」スウェーデン国民の多くをうろたえさせる台詞だけがヒステリックに拡散される中、この2面性はあまり注目されない。 先進国で次々とグレタさんの名声が上がるものの、スウェーデン国内のマスコミは今年に入ると、少しずつではあるが、彼女のそのサクセスストーリーの隅にある闇に焦点を合わせるようになった。座り込みの初日に「偶然出くわした」イングマール・レンツホグというスピンドクター(広報活動などを通じて情報操作に長けた人)が同日投稿したユーチューブ動画が、いわゆる「アストロターフィング」(人工芝運動:団体・組織が背後に隠れ、自発的な草の根運動に見せかけて行う意見主張・説得・アドボカシーの手法)の証拠として注目され、その動画は間もなく撤回された。 その後、レンツホグ氏の運営する広告代理店がグレタさんの家族の知らないところでグレタ現象を「流行らせた」と自慢し、1億円の投資を呼び込んだことが朝刊紙にスクープされた。更に座り込みが始まった数日後にグレタさんの両親が発売した、娘の温暖化に燃やした情熱をアスペルガー症候群の診断と結び付けるプライバシー侵害の本がベストセラーになった不審なタイミングから、グレタさんの活動を「児童就労」或いは「少年兵」と風刺した作品も出回った。これを受けて、NHKに相当するスウェーデンの国営放送であるSVTまで、5月に「ピーク・グレタ現象」について報道し、彼女が象徴する思潮の限界を探った。 グレタさんの不信者に言わせると、プライベートジェットで世界を飛び回り神様のように振る舞う金持ちたちにとって本当に脅威になりうる人はそもそもダボスに呼ばれない。この招待はある意味グローバルな支配層による気候変動説とそれに従う終末論の容認をも意味する。マイカー所有者を象徴する黄色いベストをシンボルに、地方の人々により大きな影響を与える燃料税の引き上げに反対し、グレタさんのストとほぼ同時期に勃発したジレ・ジョーヌ運動のように、都会の富裕層を慰めるタテマエの温暖化対策が地方の持たざる者を苦しめる傾向を指摘する声も増えつつあった。 一方、ほとんどのマスコミを含むグレタさんを絶対正義とする信者が、従わない人々の魔女狩りを始めると、「傲慢なオトナvs地球を受け継ぐ子供」というグレタさんの対立構造が、むしろ(グレタさんに代表させる)「聖なる女性性」と(彼女を批評する声の)「毒々しい男性性」を競わせるお馴染みの修辞学に取って代わった。おまけにこのつまらない二元論自体を批評する論客まで後者の一員とされて一笑に付された。このように、最初から賛否両論を巻き起こしたグレタさんの活動にまつわる論争は少しずつ過激化し、分裂していく。 第62回SGRAフォーラムのふりかえり対談(SGRAレポート第89号、2019年11月発行予定)で渥美財団の角田英一氏が指摘する「再生可能エネルギーの『神話化』によって見逃されてしまっていること」があるとすれば、(かつて民主党に投票しない人を「嘆かわしい(デプロラブル)」と呼んだヒラリー・クリントン大統領候補者の失言にも示された)こういう「民衆への軽蔑」はその一つと言っても良いかもしれない。何れにせよ「大聖堂の思考」のかけらも無いし、本格的に温暖化という課題に立ち向かえる大衆運動の基盤になり得るとも思えない。 そういえば毎週金曜日だけ、政府の無関心を国会前で訴えた若者が日本にもいた。いわゆる2015年安保の時から「自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs)」の集会は大人数の参加者を集めて「若者」の代弁者としてマスコミに書き立てられた。しかしながら、周りにいた多くのオトナ、特に団塊世代の活動家の夢を抱える形で活動を展開させられたのも事実だ。彼ら彼女らは若者にとって最悪の展開を防ぐには何をすればいいかわからない、でも“とりま”(とりあえず、まあ)何とかしなきゃいけない――グレタさんとの共通点は少なくない。 しかし被選挙権が18歳まで引き下げられてしまった日本でも反原発ムードが続くなか、「大聖堂の思考」に示されるような合意形成は進まず、選挙の議論も再稼働の是非にとどまってしまう。若者の中では温暖化に関する関心はほとんどない。この前の選挙で反原発の票を多く取った「れいわ新選組」でさえ「主力は火力」を公約に入れている。9月20日の「グローバル気候マーチ」まで、グレタさんの活動を積極的に報道するマスコミは毎日新聞だけだった。他の国々に比べて日本が盛り上がっているとは言えないが、興味のあるオトナは是非グレタさんのように動き出した若者の話を聞いてあげてください。 <ロヴェ・シンドストランド Love Kindstrand> スウェーデン出身。シカゴ大学文化人類学博士後期課程。上智大学比較文化研究所客員研究員。研究テーマは現代日本における社会運動の倫理と美学。2017年度渥美奨学生。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】「国史対話」メールマガジン第8号を配信しました。 ◆孫衛国「歴史と私:私の中韓関係史研究の道のり」 https://mailchi.mp/ef371788990e/sgra-kokushi-email-newsletter-208754 SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回、月末に配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。また、3言語対応ですので、中国語話者、韓国語話者の方々にもご宣伝いただきますようお願いいたします。 ◇国史メルマガのバックナンバーおよび購読登録は下記リンクをご覧ください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第13回SGRAチャイナ・フォーラム(2019年10月19日、北京) 「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13890/ ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Invitation to SGRA China Forum #13

    ********************************************** SGRAかわらばん789号(2019年9月19日) 【1】SGRAチャイナ・フォーラムへのお誘い 「国際日本学としてのアニメ研究」(10月19日、北京) 【2】新刊紹介:三谷博・張翔・朴薫編『響き合う東アジア史』 ********************************************** 【1】第13回SGRAチャイナ・フォーラム「国際日本学としてのアニメ研究」へのお誘い 下記の通りSGRAチャイナ・フォーラムを北京で開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 ※お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp 03-3943-7612) テーマ:「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 日 時:2019年10月19日(土)午後2時~5時 会 場:北京外国語大学北京日本学研究センター多目的室 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 共 催:北京外国語大学日本語学院、清華東亜文化講座 後 援:国際交流基金北京日本文化センター ■フォーラムの趣旨 企業が主導して、複数の作家が同一のキャラクターや世界観(背景世界)を共有して創作物を同時多発的に生み出し、さらにそこにファンが二次創作やコスプレの形で創造的に参加する「メディアミックス」は、日本のアニメーションを中心とするコンテンツ産業の特徴的手法とされ、 Marc_Steinberg『Anime's_media_mix: Franchising_toys_and_characters_in_Japan』(2012)以降、アニメの学術研究の新しい領域として注目を集めている。本フォーラムではSteinbergの議論では不十分であったメディアミックスの東アジアでの歴史的な起源について中・日双方から検証したい。 ■プログラム 総合司会:孫建軍(北京大学准教授) 開会挨拶: 董炳月(清華東亜文化講座、社会科学院文学研究所教授) 徐滔(北京外国語大学日語学院院長) 【講演1】大塚英志(国際日本文化研究センター教授) 「『翼賛一家』とメディアミックスの日本ファシズム起源」 【講演2】秦剛(北京日本学研究センター教授) 「日本アニメにおける『西遊記』のアダプテーション:変異するキャラクター」 【総合討論】「メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 モデレータ:顔淑蘭(社会科学院文学研究所研究員) 討論者: 古市雅子(北京大学マンガ図書館館長准教授) 陳エン(東京大学総合文化研究科博士課程) 閉会挨拶:今西淳子(渥美国際交流財団関口グローバル研究会代表) ※プログラムの詳細は、下記URLをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13890/ ■講演要旨 【講演1】大塚英志(国際日本文化研究センター教授) 「『翼賛一家』とメディアミックスの日本ファシズム起源」 戦後のアニメーションビジネスなどの新しいメディア戦略と無批判に信じられていた、統一的な「版権」の管理のもとで世界観とキャラクターを共有し、多メディアで複数の作り手により同時多発的にコンテンツを展開する「メディアミックス」が、実は戦時下の日本に於いて大政翼賛会によって設計されたことを歴史的に検証する。この大政翼賛会のメディアミックス「翼賛一家」に、長谷川町子や手塚治虫ら戦後の日本アニメに原作を提供する代表的作者が無名時代に参加したことの背景と意味、また、「朝日新聞」を中心に「翼賛一家」の読者投稿が推進され、戦後の日本の同人誌文化の特色と言える「二次創作」という参加型文化が日本ファシズム期に形成されたことも資料に基づき考察する。 さらに、この大政翼賛会のメディアミックスが旧満州、上海、台湾などでも展開された「大東亜共栄圏」構築のプロパガンダのツールであったことも資料から概観し、東アジアまんがアニメーション研究に戦時下歴史研究が不可避であることを示す。 【講演2】秦 剛(北京日本学研究センター教授) 「日本アニメにおける『西遊記』のアダプテーション:変異するキャラクター」 中国アニメ最大のIP(知的財産)と見なされる孫悟空は、日本のアニメにおいても長らく共有されてきたキャラクターのひとつである。“西遊記もの”アニメの創作において、中国と日本は相互に刺激し合いながらもまったく異なる道を歩んできた。それによってまず考えつくのは、なぜ東アジア地域において『西遊記』アニメによるアダプテーションが作られ続けてきたのか、天竺への旅を描いた長大な物語とアニメーションというジャンルとの本質的な結びつきは何だったのか、といった問題だ。 本講座では手塚治虫が制作に関わった作品を中心に、日本の“西遊記もの”アニメの創作の流れを要約的に振りかえってみたい。それはサブカルチャーに現れる「日本的想像力」の特質とその背後にある社会的、歴史的文脈を理解するための恰好な手がかりになるであろうが、そこで忘れてならないのは、アニメと漫画やテレビドラマなど隣接するメディアとの密接な関連性である。たとえば、日本ではテレビドラマの三蔵法師役を人気女優が演じるのが通例だが、これは『西遊記』をめぐる日本のサブカルチャーの特殊な現象であり、理解しがたい謎である。このような現象を生み出した文化的要因はテレビドラマでではなく、むしろアニメの中で育まれてきたものだと筆者は見ている。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】新刊紹介 「国史たちの対話の可能性」プロジェクトのコアメンバーの三谷博先生より新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆三谷博・張翔・朴薫編『響き合う東アジア史』 内容紹介 いま東アジアではどのような関心から,歴史研究がおこなわれているのか.日中韓の中堅・若手歴史家が互いの最先端の研究を披瀝し,その問題設定,方法を詳らかにし,共通性と多様性のなかに東アジアにとっての有意義な新知見はいかに獲得できるかを提示する. 東京大学出版会 ISBN978-4-13-026266-8 発売日:2019年08月30日 判型:A5 ページ数:440頁 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.utp.or.jp/book/b454593.html ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第8回SGRAふくしまスタディツアー 「『ふるさと』の再生」(2019年9月21日~23日、福島県飯舘村) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13510/ ※定員に達したので募集を締切りました。 ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • KIM Soongbae “Japan-Korea Relationship and International Politics”

    ********************************************* SGRAかわらばん788号(2019年9月12日) ********************************************* ◆金崇培「戦後と解放の日韓関係、そして国際政治学」 1945年を普遍的基準として、「戦後日韓関係」とする見解がある。人類史において、常に戦争は大きな問題であった。しかし、一方で植民地問題を平和の反対概念として捉える者もいる。過去、数回にわたって衝突したドイツ‐フランス間の集団的武力戦争とその戦後は、日韓とは違う。アジア太平洋戦争によって敗戦した日本の戦後と、1950年に勃発した朝鮮戦争による韓国の戦後は違う。何よりも日本と韓国の間には、1945年まで続いたアジア太平洋戦争の渦中において、植民地問題があり、それに対する認識と経験が違う。日本と韓国の歴史には「戦後」だけでは説明できない「種差」が存在している。 「戦後」という用語は、日本の時代区分と観念の変換点として大きな意味がある。たとえ、日本国憲法が公布された1946年11月3日が、明治天皇の誕生日であり、当時の政治指導者たちがそれを意識して公布日を決定したとしても、そして朝鮮戦争において日本が基地国家として重要な役割を行ったとしても、戦後日本が直接的に戦争に関与しなかったことは、「平和国家」を自称することができるであろう。それでも21世紀における「戦後レジーム」の提唱が「憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組み」から「二十一世紀となった今、時代の変化に伴い、そぐわなくなった部分については、自分たちの力で二十一世紀の現在にふさわしい新たな仕組みに変えていくべき」ならば、日本において1945年直後の歴史は、今現在と直結するものである。 1945年11月、首相であった幣原喜重郎を中心に戦争調査会が発足した。自律的に戦争の原因と実情を調査することは「平和的なる、幸福なる文化の高い新日本の建設」に必要であった。そのため調査会は日中戦争および太平洋戦争だけでなく、第一次世界大戦、日露戦争、明治維新などの時代まで遡ったが、そこに朝鮮半島に対する認識はなかった。このような認識は、日本特有のものでもない。1946年から始まった東京裁判は、1928年から45年までの日本人指導者による不法行為を審理した。周知のように、この裁判では、植民地問題が欠落したため、リベラルな日本人研究者はこの点を指摘してきた。しかし判決文をよく見ると、欠落というより、連合国は1928年以前に日本が取得した権利として、1910年の「韓国併合(Annexation_of_Korea)」を認定していた。 一方、韓国で使用される「解放」とは「戦後」と同じ時間軸を有している。1945年7月26日、連合国はポツダム宣言を提示した。日本が受諾しないなかで、米国は広島、長崎に原爆を投下した。歴史上、日本は原子爆弾による唯一の被害国であるが、唯一の民族ではなかった。朝鮮半島や台湾、そして中国本土にルーツがある民族もやはり原爆の被害者であった。 8月14日午後11時に日本はポツダム宣言を受諾した。翌日15日、玉音放送によって「大東亜戦争」の終結が宣言されたが、この詔書にある日付は8月14日だった。15日以降も、日本軍とソ連軍の戦闘は続き、9月2日に日本が降伏文書を調印することで、戦争は終結した。多くの国が9月2日を対日戦勝記念日とするが、日本にとって8月15日の意味合いは終戦であり戦後の始まりでもあった。一方の朝鮮半島でも、昭和天皇の声明は「解放」と無関係ではなかった。そして3年後の1948年8月15日、韓国は独立を宣言し、12月12日の国連総会における決議第195号(Ⅲ)にて、国際的承認を得た。 当時の韓国では、早い時期から日本に対する賠償請求が論議されており、1919年のドイツに対する過酷なヴェルサイユ条約もまた法的根拠として参照された。ただし、日本に対する韓国の賠償要求とは「懲罰」や「報復」でなく、「暴力」と「貪欲」に対する「被害回復」であった。1949年、韓国の「対日賠償要求調書」では、「1910年から1945年8月15日までの日本の韓国支配」とあることから、植民地時期を述べている。また、「日中戦争ならびに太平洋戦争に起因した人的被害」が述べられていることから、戦争による被害性も含まれていた。つまりその要求には、「植民地責任」と「戦争責任」が含まれていた。 しかし1951年、連合国と日本間の「戦争状態」を正式に終結させ、日本の主権を回復させたサンフランシスコ平和条約において、韓国は署名国の資格を与えられなかった。サンフランシスコ平和条約は冷戦と朝鮮戦争という「熱戦」の中で、アジア太平洋戦争後の「戦後秩序」を形成したが、植民地解放後の秩序形成に関しては特別な規定がなかった。 そのような点からサンフランシスコ平和条約を批判することはできるが、歴史的に多くの平和条約は「戦争とその後」に主眼を置いたものであり、敗戦国が保有していた植民地の分離条項があったとしても、「植民地問題とその後」を考慮するものではなかった。それでも1965年の日韓基本条約前文にあるように、1948年に国連によって主権が認定された韓国と、1951年にサンフランシスコ市で署名された平和条約によって主権を回復した日本は、国交を結んだ。以降、両国は過去に対する認識の乖離を少しずつ狭めながらここまで歩んできた。「河野談話」、「村山談話」、そして1998年の「日韓共同宣言」は代表的である。しかし最近の日韓関係の様相は、過去の問題が依然として大きいことを痛感させる。それは両国が相互補完性を有していた経済・安保領域まで波及した。 人間の本質と同様に、国家もやはり名声や願望の総体である威信(prestige)を追求する。そのような現在の日韓関係の危機をどのように克服すべきか、その「実践論」を導き出すことは容易ではない。それでも政治指導者間の信頼構築、安保も含めた戦略性の確認、問題に対する解決優先順位の確立、民間団体交流の継続性などがすでに提議されているように、相互理解と自己省察は必要である。その上で、解決法でなくとも「国際政治学」では、包括的に次のような点を述べることができる。 第1に、ラテン語起源を成句とする「合意は守られなければならない(pacta_sunt_servanda)」という警句は、現代において主権国家間の約束が私人間の約束以上に意味があり、国際法によっても効力があるとされる。これは「条約法に関するウィーン条約」の前文でも規定されている。 第2に、ローマ帝国から独立したスイスの法学者であり外交官であったヴァッテル(Emer_de_Vattel、1714-1767)は、著名な『国際法(Le_Droit_des_Gens)』にて、平和を回復するためには、厳格な正義の原則よりも、譲歩や妥協によって、主張間の整合性を見つけることであるとした。 第3に、国際政治学における「和解(reconciliation)」の理論は、和解方式に対する考察から体系化されてきた。条約などによる制度的和解、賠償による物理的和解、そして追悼や記念式典などを通じた観念的和解による三重構造は、国家間に安定性をもたらす。 1から3の国際政治学的視点は、主に「戦争と平和」のテーゼから生まれたものである。よって「植民地と平和」の観点が要求される日韓の関係性は、国際政治学の発展性を必要とする。遠くない未来において主権国家による戦争が行われた場合、平和条約によって戦争を正式に終結させることはあるであろう。しかし現代世界において、これから「植民地支配」が成立することはまずない。戦争と植民地はともに残酷であるが、これからも起こりうる戦争への危機感にくらべ、植民地問題は起こりえない過去の問題として残存する。日本と韓国の認識の差異は過去に対する解釈と認識から派生するが、「日韓関係の国際政治学」があるならば、「戦争と平和、そして植民地」というテーゼを両国史だけでなく、世界史に提起させるものである。 <金崇培(キム・スウンベ)KIM_Soongbae> 政治学専攻。関西学院大学法学部法律学科卒。韓国の延世大学政治学科にて修士号、博士号を取得。現在、忠南大学人文学部招聘教授。研究分野は東アジア国際政治史。在日韓国人三世。著書に『歴史認識から見た戦後日韓関係「1965年体制」の歴史学・政治学的考察』(共著、社会評論社、2019年)、『韓日関係の緊張と和解』(共著、韓国語、ポゴサ、2019年)、論文に「反ヴェルサイユ‐国際的民族自決論と韓国的分化」(韓国語、国際政治論叢、2019年)など。 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第8回SGRAふくしまスタディツアー 「『ふるさと』の再生」(2019年9月21日~23日、福島県飯舘村) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13510/ ※定員に達したので募集を締切りました。 ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Jin Hongyuan “SGRA Cafe #12 Report”

    ********************************************* SGRAかわらばん787号(2019年9月5日) ********************************************* ◆金弘渊「第12回SGRAカフェ『「混血」と「日本人」:ハーフ・ダブル・ミックスの社会史』報告」 2019年7月27日、第12回SGRAカフェが開催された。午後の蒸し暑い坂道を登り、たどり着いた鹿島新館には、予想以上に多くの人が集まっていた。今回のテーマは『「混血」と「日本人」:ハーフ・ダブル・ミックスの社会史』であり、発表者は上智大学の下地ローレンス吉孝先生だ。私は大学時代からずっと生物についてばかり勉強してきたので、文系世界は門外漢であり、こんな真面目な社会学セミナーの参加は初めてで正直なところ最初は不安だった。 でもその不安はすぐに解けた。皆さん普通に私服でお越しになっていたし(日本で参加した生物学会ではスーツがメジャーな格好だ)、私が着いた頃にはまだ時間に余裕があったため、多くの人たちはコーヒーを飲みながら談笑していて、そんなリラックスな雰囲気がよかった。 講演は午後2時からスタートした。はじめに司会の立命館大学言語教育センターのファスベンダー・イザベル先生より、パネリストの紹介と今回のSGRAカフェのテーマについて説明があった。その後、下地先生の発表が始まり、最初はご自分の家族について語られ、続いて「混血」の歴史についての発表があった。日本の戦後から今までの数十年の期間に着目し、日本人と外国人の間で生まれたいわゆる「混血」の人々が、日本社会においてどのように位置付けされてきたかを歴史的、政治的、文化的な角度から分析された。後半は、「混血」の生活史について掘り下げた内容で、その中で下地先生が6年をかけて、日本国内の50人以上の「ハーフ」の方々にインタビューされた調査結果が報告された。 私が一番好きだったトピックは、この実際に聞き取りした一人一人の物語だ。私は理工学出身のため、物事を観察する時、他人の気持ちを考えず論理的な視点からしか見ないことがよくある。しかし今回の発表では「ハーフ」の方々から直接聴取されたごく日常的な差別の経験が紹介され、その内容に思いのほか心を動かされた。自分は外国人として日本留学しており、中国人のため外見だけでは「外国人」とは判断されないけれど、自分のボロボロな日本語を日本人に聞かせると、大体初対面の方から「日本語お上手ね」のように褒められるケースが多い。自分の日本語があまり上手じゃないのを知っているから、そうは言われても相手に悪意があるのではないかと思ってしまう。どうしてこのような反応が返ってくるのか、ずっと考えてきたが、それはおそらく相手が私に対して抱く予測(顔からの判断して日本人だろうと思うこと)が外れ、実は外国人だと分かった時のごく一般的な反応だと自分に説得してきた。 でも、一時的な留学生の身分とは異なり、数十年にわたる人生の中で、毎日そのような定番の質問と返事が繰り返されるとしたら、日本人としての「ハーフ」の方々には相当なストレスが溜まるだろう。 私は比喩が好きではないけれど、「ハーフ」の生活史に関することは生物の免疫になんとなく相似すると感じた。人間は生まれた時点では免疫システムがか弱い。その理由は、免疫システムが、自分自身の認識がまだできていないからだ。子どもから大人になる時期に、免疫システムは自分自身の細胞を認識できるようになり、病気との戦いを経験することで鍛えられ、病原体に対するバリアを作るための境界線も自ら引けるようになる。要は、生物の成長にとって大事なことは、免疫システムの成長の過程における自分自身の「アイデンティティ」の確立なのである。 しかし、いったん確立した「アイデンティティ」が何らかの要因(例えば薬やアレルギーなど)でバランスを失ったり、本来の自分とミスマッチを繰り返したりするようになると、免疫システムは自分自身の細胞まで攻撃してしまうようになる。難病として多く認識されている自己免疫疾患はその例だ。似たような感じで、同じ日本人の母集団にいるのに、「ハーフ」の人たちが日本人としての所属意識を失ったり、幼少期から人格の確立に悩んだり、大人になっても「アイデンティティ」を他人から疑われ続けたりすると、いくら精神力があってもとても深く傷付けられることは容易に想像できた。 もちろん、ここでは誰かが病気になっているというわけではない。「ハーフ」たちが経験した差別は、アイデンティティを認識するときに生じる「情報不均衡」に加え、ほぼ単一民族から構成される日本の社会の中でさらに拡大されると考える。私は生物をやっているので、様々な可能性を生む「多様性」という言葉が好きだ。熱帯雨林のような著しい多様性が存在する生態システムには、さまざまな珍奇な生物が見られ、その包容力があるからこそ熱帯雨林は成り立っている。だが、人間社会はやはり自然より複雑だ。仮に国家の歴史と地理的な条件から独自の民族的性格が捉えられたとしても、その唯一の標準だけをもってその民族全体を測ることはできない。元々多民族の国、または複数の移民から構成される国では、「ハーフ」たちへの差別はどうなのだろうと考えると、結構興味深くなるテーマだった。 下地先生の素晴らしい講演は来場者からの拍手の中、終了した。その後、今回のセミナーにいらっしゃった「ハーフ」の方々も自分の経験談を皆さんにシェアし、貴重なご意見と有意義なコメントが集まった。とても勉強になった2時間だった。 SGRAカフェの後は、渥美国際財団が主催した真夏のBBQ。今回も神奈川県・小田原からの新鮮な「海の幸」がメインディッシュになり、ラクーン会の先輩たちによる美味しい料理もいただいた。ご来場の方々も増え、2時間ほど歓談とご馳走を楽しんだ。 当日の写真は下記よりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/cafe/2019/13835/ <金弘渊(キン・コウエン)Jin_Hongyuan> 渥美国際財団2019年度奨学生。中国杭州生まれ杭州育ち。中国浙江大学応用生物科学卒業、東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻博士(生命科学)修了。現在、東京大学先端生命科学専攻特任研究員。専門は進化発生学、進化ゲノム学、遺伝学。特に、「昆虫の擬態現象」を着目し、アゲハチョウの色素合成と紋様形成の分子機構及び進化過程を中心に研究中。 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第8回SGRAふくしまスタディツアー 「『ふるさと』の再生」(2019年9月21日~23日、福島県飯舘村) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13510/ ※定員に達したので募集を締切りました。 ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Liang Yihua “Some Thoughts about Cross-Cultural Experience”

    ********************************************* SGRAかわらばん786号(2019年8月29日) 【1】エッセイ:梁奕華「異文化体験についての雑感」 【2】「国史対話」メルマガを配信:徐静波「日本史との出会い」 ********************************************* 【1】SGRAエッセイ#608(私の日本体験シリーズ#35) ◆梁奕華「異文化体験についての雑感」 今年は私が日本に来て5年目である。博士課程まで進学するたくさんの留学生の中で、決して長くはないが、来日前に日本のことを中国の大学で4年間、大学院で3年間勉強してきたためか、いわゆる「カルチャーショック」というようなものはさして感じたことがない。一般的に中国人が驚くべきと思われることに遇っても、以前に習った知識で、その現象を――完全に解釈できなくても――歴史的面やら文化的な面やらからある程度理解することができる。だから、異文化を見たり触れたりした際に生じる大きな心理的ショックを受けたり戸惑ったりすることがない。 強いて言えば、正座という習慣の根強さにビックリしたということがある。私の理解では、本来、畳の上で、あるいは低い家具のある部屋の中で正座するのが一般的であろう。しかし、図書館で、ちゃんとした木製の高い椅子の上に正座して本を読んだり、パソコンで文章を書いたりする人をよく見かける。特に女子が多い。多分、日本の女性は小柄だから、そういうふうに座ったほうが楽なのであろう。ところが、図書館の椅子のみならず、パソコン室のオフィスチェアの上にも正座する。オフィスチェアは高さが調節できるのに、それでもその上に正座するの?キャスターがあるので、不安定ではないの?それで座り心地がいいの?もっと集中できるの?と、とても不思議に思える。多分、毎日長時間座って作業をする私にとっては、論文を速く書くために如何にして座り心地がよくなるかというところに興味を惹かれたのであろう。以前から日本人が正座の習慣を持っていると知っていても、日本人が背の高い椅子の上にも正座するということは、私にとっては割と強いカルチャーショックであった。 中国では、「万巻の書を読むは万里の路を行くに如かず」という言い習わしがあるが、理論より実際のほうが大事という趣旨である。私にとって、正座の件はまさしくその通りである。異文化体験の意義もそこにあるのだと考えている。外国のことをどれほど本で習っても、実際に体験しないと、到底完全に理解できないのであろう。 異文化体験は、一般的に次のようないくつかの段階があると考えられている。新鮮で楽しく感じる段階、戸惑ったり焦ったりする段階、不満や怒りが生じる段階、その不満や怒りが弱くなって沈静化する段階、ようやく全てを受け止めて消化していく段階、などがある。むろん、個人差があり、また誰でも同じ順序で全ての段階を経験するわけでもない。現に、不満や怒りが生じる段階にとどまり、異文化を受け入れて消化できない実例もたくさん見てきた。恐らく、私はどんな段階においてもあまり強烈ではないほうに属しているのであろう。しかしながら、さして「カルチャーショック」を受けていないとは言え、やはり異文化接触の利点をしみじみと感じた。 言うまでもなく、その利点の1つ目は、視野が広がること。自分が慣れ親しんでいる環境を離れて、外国に行ってみたら、必ず今まで自分が「常識」だと思っていた考えが覆される。そして、今までの常識が通じないことにあったら、別の角度から物事を考えるようになる。 以前、学部の時に、私たちを教えていた日本人の先生が帰国する前に、自分の異文化体験を話してくれたことがある。「世の中には違う文化があるのだと実感しました。そして、違いは単に違いだけで、違いはあるけど、決して「上下」がない、と初めて分かりました」、と。この話は今でも覚えている。異文化と接しはじめた時、どちらかが「正しく」「優れている」、どちらかが「間違っている」「劣っている」と判断しがちだが、しかし、異文化の中で長くいると、そのような上下関係で文化間の違いを考えるのではなく、単に違うのだ、と素直に受け入れるようになる。それは、他の文化を長く実感してきたから、別の角度から物事を考えることができるようになるからだと考えられる。そうすると、異文化、さらに他人に対する態度がより寛容的になり、より柔軟な思考もできるようになる。 また、異文化体験による2つ目のメリットは、自文化に対する認識がより深まる。自分を育ててきた文化や環境を今までずっと当たり前だと思っていたが、他の文化との比較によって、その良さや奥の深さを見直す。特に「逆カルチャーショック」を受けた時に、今まで見えなかった嫌な部分や、不可解なところにも気付くが、それもまた勉強の機会になる。 私は現在、平安朝の漢文学を中心とする和漢比較文学を専門としているが、本来は中国文学を専攻にしたかった。大学の入学試験がうまくできなかったため、中国言語文学科に入れずに日本言語文学科に入った。振り返ってみると、日本文学を勉強して本当によかったと思う。日本文学との比較を通して、中国文学の性格をより鮮明に理解することができたと感じる。例えば、中国文学の政治性が強いことと、日本文学の脱政治性が強いことがよく言われている。最初、日本文学に接した時、中国文学を比較の基準として日本のほうを眺めていたが、政治との関連を当たり前の前提と見なして、日本文学の脱政治性を不思議に思った。しかし、現在はむしろ、中国における文学と政治との関係の緊密さが異常に思え、その辺りに不可解な点が色々とあると考えるようになった。同時に、中国では文学はいつも政治の付属でありながら政治から脱出しようともしつつあるが、そのダイナミックな関係で生まれた緊張感こそ、中国文学の魅力だと感じる。日本文学に接触したからこそ、このような認識を持つことができるようになった。 大学院に入った当初から、私は人文系の研究者を目指しているが、同時に人文系の研究者はその殆どが教育者でもあるので、将来教育者として学生に何を教えればよいのだろうという問題もよく考えている。私が最も学生に伝えたい、しかも、伝えるべきことは、誰がどんな作品を著したというような知識ではなく、問題を取り扱う際に持つべき、より柔軟かつ包容的な思考の方式であると思う。これは私が日本に留学してから体得した最も重要なことであり、一生の宝物にしたいものでもある。 <梁奕華(りょう・えきか)Liang Yihua> 渥美国際財団2018年度奨学生。中国出身。2010年(中国)厦門大学卒業、2013年同大学修士学位(文学)を取得。2014年在中国日本語国大使館の推薦によって国費留学生として、東京外国語大学で博士後期課程を修業し、2019年3月満期退学、9月博士学位(学術)を取得予定。現在、同大学の国際日本学研究院の特別研究員。専門は、奈良平安時代の漢文学、和漢比較文学。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】「国史対話」メールマガジン第7号を配信しました ◆徐静波「日本史との出会い」 https://us20.campaign-archive.com/?u=8a804637298104d9c09f6d173&id=cf0ef242d5 SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回、月末に配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。また、3言語対応ですので、中国語話者、韓国語話者の方々にもご宣伝いただきますようお願いいたします。 ◇国史メルマガのバックナンバーおよび購読登録は下記リンクをご覧ください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第8回SGRAふくしまスタディツアー 「『ふるさと』の再生」(2019年9月21日~23日、福島県飯舘村) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13510/ ※定員に達したので募集を締切りました。 ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Min Dongyup “Encounter with ‘Historical Thinking'”

    ********************************************* SGRAかわらばん785号(2019年8月22日) ********************************************* SGRAエッセイ#607(私の日本留学シリーズ#34) ◆閔東曄「『歴史的な思考』との出会い」 ふと気づくと、日本での留学生活も10年をすぎている。今では大学院で歴史の研究をしているが、10年前には想像もできなかったことだ。しかしよく考えてみれば、これまでの経験が積み重なって今の研究の原動力となっている。どうして私はここにいるのか。その発端は留学の2文字にはあまりにもふさわしくない出来事だった。 韓国で大学に入学し、経済学を専攻しようと思っていた私は、どこにでもいるような、海外とは縁のない普通の大学生だった。兵役のために大学を休学し、その後復学を望んでいた私は、韓国社会に敷かれているレールに乗ってそのままその後の人生を進めようとしていた。大学を卒業すれば安定した職場に就職し、結婚をして家庭を築き、幸せな生活を送る。それとは違う人生を思い描く余裕も、能力も、その頃の私にはなかった。しかしそれと同時に、なぜか漠然とした不安を覚えていた。このままでいいのだろうか。私はいったい何がしたいのだろうか。新しい刺激を求めて旅行に出ることを決心したのは、こうした不安に自分なりに答えようとしたからである。そして行くからには、韓国国内ではなく、まったく違う世界を経験してみたいと思った。中学生の時からJ-popやアニメ、漫画に接していて日本に関心を持っていた私が、はじめての海外旅行先として日本を選んだことはもしかすると自然なことだったのかもしれない。 こうして10日間のバックパック旅行がはじまった。関東地方と関西地方を夜行バスに乗って回った。はじめて訪れた「海外」は何もかもが新鮮で驚きの連続だった。しかし私が旅行中に感じたことは、「カルチャー・ショック」という言葉で簡単に片付けてしまうことのできないものだった。韓国で生まれ育った私にとって、日本で経験するすべてのことが、韓国人としての「自己」とは異なる「他者」を経験し、「自己」について省みるきっかけとなったのだ。またそれは、はじめて私に「国」というものを意識させてくれた。旅行から帰ってきた私は、日本での経験を忘れられず、再び日本行きを準備した。そして3ヶ月後、大きなスーツケースを持って、私は新宿駅西口に降り立った。 日本語学校で日本語を一から学びなおす、という生活がはじまった。今振り返ると、日本語の勉強だけが目的だったわけではない。旅行中に受けた衝撃を、それを経験させてくれた日本という国にしばらく滞在しながら自分なりに消化しようともがいていた。それまでの「私」を成り立たせてきた「韓国」から解き放たれた瞬間、「韓国」も相対化でき、「日本」について勉強することによって「国」とは何かについて真摯に向き合えるような気がしたのだ。そしてそうしているうちに、それまで自明だと思ってきたことが、自明ではなくなった。人は、「常識」を疑い、それがなぜ「常識」となったのかについて思考をめぐらす時、自然と歴史的な思考につながっていく。 韓国と日本の間には、長らく解決困難な歴史認識の溝が存在する。「国」を相対化しはじめた私は、それらを解決するためにはどのようなことが必要なのかを考えるようになった。大学でより専門的な勉強がしたいと思うようになり、そのためには大学の専攻を変える必要があった。日本でもう一度大学受験をし、日本の大学で様々な学問に触れることになった。大学では、リベラル・アーツを重視する風土のなかで、様々なディシプリンから韓国と日本の歴史問題についてアプローチすることができた。さらにそれだけでは満足できず、今度は歴史認識問題の解決のために必要な思考を、研究を通して自ら創り出したいと思い、卒業後に大学院の道を選んだ。そして現在、近現代朝鮮史と日朝関係、特に思想・文化を中心に研究を進めている。 歴史認識問題そのものは、どこにでもある普遍的な問題である。そうした問題を生み出す思考の構造について、そしてそれを乗り越える思考のあり方について、日韓の近現代史という具体的なフィールドを通して考えていくことがこれからの私の課題である。私が日本留学を通して勉強できたことは、私たちの思考の前提となるものを見つめなおすことであり、自明なものを相対化し、「常識」の背後にある構造を見抜く歴史的思考力にほかならない。 <閔東曄(ミン・ドンヨプ)Min Dongyup> 渥美国際財団2018年度奨学生。韓国ソウル生まれ。横浜国立大学教育人間科学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士後期課程単位取得後退学。現在、東京大学大学院総合文化研究科研究生、横浜国立大学・武蔵大学・フェリス女学院大学・日本健康医療専門学校等非常勤講師。専門は、歴史学、近現代日朝思想史、日韓(朝)地域研究。特に、「近代の超克」をめぐる帝国/植民地の思想空間に関心を持って勉強中。 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第8回SGRAふくしまスタディツアー 「『ふるさと』の再生」(2019年9月21日~23日、福島県飯舘村) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13510/ ※定員に達したので募集を締切りました。 ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • La Insook “My Hope for Japan-Korea Goodwill”

    ********************************************* SGRAかわらばん784号(2019年8月15日) 【1】エッセイ:羅仁淑「昨今の日韓関係と日韓親善活動への思い」 【2】第8回SGRAふくしまスタディツアーへのお誘い(再送) ~行って、見て、感じて、考える~(9月21日~23日、飯舘村) ********************************************* 【1】SGRAエッセイ#606 ◆羅仁淑「昨今の日韓関係と日韓親善活動への思い」 先ず活動をする私たちが楽しく、結果として日韓友好・親善に役立つ活動をする、文化交流と知的交流の中間レベルの活動をする、政治や宗教とは距離を置く、をモットーに2009年12月より日韓友好の思いを抱いている方々と手書きの手紙交流から活動をはじめた「暖流」(2013年4月NPO法人格取得)を紹介させて頂きたい。韓流ブームに後押しされ、仲間も増え、小規模ながらも順調(?)な親善活動が続いている。 日本では、☆古代から現代までの朝鮮半島の歴史を学習する「歴史学習会」の開催。☆韓国に因んだ場所を歩きながら会員同士の親睦を図る「散策会」。☆各分野の韓国専門家による「講演会」の開催(17回)。☆キムチやポジャギーなど「韓国文化の講習会」。☆舞や楽器など民族文化とK-POPなど現代文化の「公演会」などを。韓国では、☆本部と韓国支部の会員の作品を展示する「日韓親善交流展覧会&文化交流会」。☆有田焼の創始者李参平さんの一生を描いた小説の翻訳出版(2015年の優秀図書に選定)。☆ソウル市施設公団との共催で暖流会員がモデルを演じた「和服ファッションショー」。さらに、幸運にも4年前から世田谷区の補助金事業や「せたがや国際メッセ」でも活動するようになった。ささやかな達成感(自己満足?)を感じているところにいきなり暴風が吹き荒れ、韓国離れが激しくなった。「日韓親善」という言葉が顔負けするほどに。 何が原因で、これから暖流はどうすべきか? 可視的な流れは、文在寅政府による慰安婦問題の日韓合意の破棄(2015年12月28日、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した日韓政府間の合意)と韓国最高裁による被徴用者裁判の判決を受け、日本政府が国家間の条約を守らぬ国は信用ならないと韓国をホワイト国家から除外したことである。しかし、この問題は日韓両国間の問題としてアプローチすることは正しくなく、米・中の覇権争いを念頭に置きつつ考えなければならない。しかし、筆者の能力と紙幅上の制約から日韓間に、さらに被徴用者裁判に限定し、日韓問題と今後の暖流のことを考えてみたい。また、日韓問題に関しては主観を挟まず事実のみ整理することに努めたい。 日本は「日韓併合条約」(韓日併合、朝鮮併合とも言う)が締結された1910年8月22日より朝鮮総督府が降伏文書に調印する1945年9月9日まで約35年間朝鮮半島を支配していたが、1965年6月22日、「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」(以下基本条約という)とその付随協約として「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」(以下請求権協定という)が締結され、両国間の関係が正常化された。 基本条約と請求権協定の骨子は国交樹立と韓国に対する経済協力、そして両国間の請求権に関するものであり、請求権協定の主な内容は、☆朝鮮に投資した日本の資金及び日本人の全ての財産の放棄(当時の総督府や軍の財産を除いた民間の財産は約47億円、韓国の1年間国家予算は約3.5億ドル、日本の外貨準備金は約17億ドル)、☆無償3億ドル(1,080億円)、長期低利の貸付2億ドル(720億円)の供与(第1条)、☆請求権問題は完全かつ最終的な解決の確認(第2条)、☆協定の解釈や実施に関する紛争は先ず外交上の経路を通じて解決し、解決できない場合は両国政府が各1人ずつ任命した仲裁委員と、その2人の仲裁委員の合意あるいは第3国政府の指名する第3の仲裁委員で構成された仲裁委員会の決定に服すこと(第3条)である。 次に被徴用者への韓国政府の対応をみてみよう。朴正煕政府は請求権協定による無償3億ドルを産業の育成やインフラの整備に費やし、9年後の1974年に「対日民間人請求権補償に関する法律」を制定し、1975年から1977年まで被徴用死亡者8,552人に1人当たり30万ウォン、債券など74,963件に66億1,695万ウォン、合わせて91億8,252万ウォンを支給した(これは無償3億ドルの5.4%に該当)。しかし、2012年、盧武鉉政府は朴正煕政府による被害者補償が不十分であったと、再び6,334億ウォンを支給した(その内訳は、死亡者・行方不明者に1人当たり2,000万ウォン、負傷者に2,000万ウォンを上限に障害程度による慰労金、生存者に毎年80万ウォンの医療支援金)。 今度は韓国の「落星台経済研究所」李宇衍氏の研究を引用しながら徴用についてみよう。日本による炭鉱・鉱山・軍需企業勤労など戦時目的の労働動員は1939年9月から1945年2月まで約6年間、殆ど3南地方(慶尚道、全羅道、忠清道)を中心に、「募集」(1939年9月~1942年2月)からはじまり「官斡旋」、「徴用」(1944年9月~1945年3月)の順に為された。2年契約で、延べ72万4,000人が動員された(募集約20万、官斡旋約33万、徴用19万)。 募集は一般就業と同じ性格のもので、責任者は企業の労務管理者であったが、企業任せでは募集された人員が少なかったので、総督府が地域別に募集数を割当て、総督府の行政体系の末端である面(日本の町に相当)の面長を責任者とする官斡旋がはじまった。しかし来日費用がかからず安全に来られる官斡旋で来日した者の約40%が逃亡し一般就業をしてしまうことが発生した。令状を出す徴用は1944年9月から1945年3月まで約6カ月間行われた。拒否が可能だが受容すれば援護対象として優待され月給が募集や官斡旋より高かった。 労働動員が行われた1939年9月から1945年2月までのほぼ同期間の一般就業者数は、官斡旋や徴用からの逃亡者を除いても170万人に上った。このように新文明への憧れや高所得確保への期待で来日に憧れていた若者は多かったにもかかわらず、労働動員が必要であった炭鉱・鉱山・軍需企業では働きたがらなかったからである。 次に、朝鮮人労働者に対する未払い(未集金)について整理することにする。 朝鮮人労働者たちは賃料や公共料金の負担がなく、食事代が安く、韓国人が舎監である寄宿舎で生活し、給料はインフレ抑制のためいつでも使える少額の社内貯蓄を除いて郵逓局に強制貯蓄され、契約満了で帰国する時まで引出ができなかった。また、企業は朝鮮人労働者の人数、貯蓄額、送金額、支給額を毎月行政当局(市、警察など)に報告することになっていた。終戦時、残っていた労働者は32万人(逃亡者を含む)であったが、彼らの7月25日の給料日から8月15日までの給料、退職積立金(労使負担)、そして退職金などを清算しないで帰国した者の未払金(未集金)がある。日本政府は1946年、各企業に朝鮮人に対する未払金を文書に整理させ(項目別総計の資料はあるが、個人別資料は公開されていない)、全額を裁判所に供託させた。 最後に被徴用者裁判についてみよう。被徴用者訴訟に対する2018年10月30日韓国最高裁の判決の始まりは1997年に遡らなければならない。 1997年12月24日、ヨ・ウンテクさんとシン・チョンスさんの2人の原告が新日鉄を被告に強制徴用と奴隷労働に対する賠償請求を大阪地裁に提訴したが、敗訴する(2001年3月27日)。さらに大阪高裁と最高裁でもそれぞれ控訴や上告が棄却された(2002年11月19日、2003年10月9日)。 その後、2005年2月28日にイ・ジュンシクさんとキン・キュウスさんが加わり4人で、今度は韓国ソウル中央地裁に提訴するが、ここでも原告敗訴で終わり(2008年4月3日)、高裁でも控訴棄却になった(2009年7月16日)。しかし、最高裁では逆転して事件を高裁に破棄差戻すことになる(2012年5月24日)。高裁は最初の判決と異なり新日鉄住金に原告一人当たり1億ウォンの賠償を命じ(2013年7月10日)、それが最高裁で最終確定されたのである(2018年10月30日)。 韓国最高裁の判決を受けた日本政府は韓国に対する輸出規制を、さらにそれを受けた韓国は日本製品に対する不買運動を、と両国関係は悪化の度合いを高めている。こういう時こそ民間交流が大切なのではと考えている。曇ったり降ったりの後は必ず晴れると信じつつ日韓親善活動に邁進して行きたい。 <羅仁淑(ら・いんすく)La_Insook> 博士(経済学)。専門分野は社会保障・社会政策・社会福祉。SGRA会員。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】第8回SGRAふくしまスタディツアーへのお誘い(再送) ~行って、見て、感じて、考える~ 関口グローバル研究会(SGRA)では2012年から毎年、福島第一原発事故の被災地である福島県飯舘(いいたて)村でのスタディツアーを行ってきました。そして、スタディツアーでの体験や考察をもとにしてAFCワークショップ、SGRAフォーラム、SGRAカフェなど、さまざまな催しを展開してきました。 2017年に7年間の避難生活が解除され、住民も徐々に「ふるさと」に帰り始めていますが、昔のままの生活を取り戻すことはできません。飯舘村の住民たちは、新しいふるさと作りに向けて進み始めています。今回のツアーでは、新しいふるさとつくりのシンボルとしての「佐須の地域再生可能エネルギー事業」と北川フラム氏を中心に計画されている「飯舘村アートプロジェクト」に焦点を当てて、新しいふるさとつくりのヴィジョンと計画を共に考えます。 テーマ:「ふるさと」の再生 日 程:2019年9月21日(土)、22日(日)、23日(祝) 人 数:10~15人程度 宿 泊:ふくしま再生の会体験宿泊施設「風と土の家」 参加費:一般参加者は12000円+新幹線往復料金 渥美奨学生・元奨学生(ラクーンメンバー)は補助あり 申込み締切り:9月10日(火) 申込み・問合せ:渥美財団SGRA事務局 角田(つのだ) E-mail:tsunoda@aisf.or.jp Tel: 03-3943-7612 詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2019/07/Fukushima8chirashi.pdf ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第8回SGRAふくしまスタディツアー ※申し込みは9月10日まで 「『ふるさと』の再生」(2019年9月21日~23日、福島県飯舘村) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13510/ ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Xie Zhihai “Rethinking Japan’s Energy Security 8 Years After Fukushima”

    ********************************************* SGRAかわらばん783号(2019年8月8日) 【1】エッセイ:謝志海「福島原発事故から8年、日本のエネルギー保障を再考する」 【2】第8回SGRAふくしまスタディツアーへのお誘い(再送) ~行って、見て、感じて、考える~(9月21日~23日、飯舘村) ********************************************* 【1】SGRAエッセイ#605 ◆謝志海「福島原発事故から8年、日本のエネルギー保障を再考する」 東日本大震災における東京電力福島第一原子力発電所の惨事から、8年の歳月が過ぎた。以来ずっと、日本では原子力の在り方について物議を醸している。なにしろ2011年の震災以前の日本では、電力供給の10%以上を占めていたのは原子力だったからだ。日本のエネルギー保障は、今でも過酷な挑戦を強いられている。 まず、日本国内のほとんどの原発の停止により、国内のエネルギー自給率は2010年の20.2% から、2011年の11.5%に急落した。その後も自給率は10%を下回り続けている。これは他の国と比べると、驚くべき低い数値である。 すなわち、日本は莫大な量のエネルギー源を他国からの輸入に頼っている。これは国家財政を悪化させるだけでなく、政治リスクを伴う。日本の原油輸入の80%以上は中東からであり、政治的に不安定な地域から、まとまった量を確保し続けるのはたやすいことではない。 第2に、日本は他の先進国と比べ、化石エネルギーへの依存がかなり高い。1973年のオイルショック時には、化石エネルギーは日本のエネルギー・ミックスの94%まで占めていた。その後の日本はその偏りを改善すべく多大な努力に重ね、2010年には80%まで下がった。しかし、原発事故を経て2016年には、化石エネルギーへの依存は89%に逆戻りし、オイルショック時の値にかなり近くなってしまった。このリバウンドはひとえに、原子力発電中止の埋め合わせを意味している。原油がエネルギー源の40%以上を占める今の日本は、もし再びオイルショックが起きれば、より深刻なダメージを受けるだろう。 3つ目として、エネルギー費の急上昇により、電気料金の値上がりの激しさがあげられる。2010年と比べ、電気料金のピークだった2014年の電気料金は、家庭でおよそ24%、企業では38%もの上昇となった。近年、電気料金は下がりつつあるが、家庭、企業のどちらにとっても、2010年と比べると、いまでも10%高いままである。 この電気料金の価格上昇は、産業界にとっては、経費の増大を意味し、無論業績に悪影響を及ぼす。一般家庭においても、この価格上昇は生活を脅かし、消費への刺激は抑えられ、生活の質の低下にまでなりかねない。 4つ目に、再生可能エネルギーの発展は日本の次なるエネルギー需要に応え得るかということだが、現在時点では、再生可能エネルギーが原子力と化石エネルギーの代替となるには程遠い。経済産業省資源エネルギー庁のデータによると、再生可能エネルギーの割合は緩やかな上昇傾向にあり、2010年の4.3%から2016年には7%となっている。日本では太陽光パネルは設備費用が高くつくなどの理由によって、再生可能エネルギーの普及は長い時間を要している。 では日本はどのようにエネルギー保障に取り組むべきか? 新しい代替エネルギー源の獲得戦略に向けた舵取りに邁進すべきであろう。2010年のエネルギー自給率を取り戻す、もしくはそれ以上を目指すなら、天然資源の少ない日本では、再生可能エネルギーが唯一の解決策であろう。福島第一原発の廃炉作業は難航の一途から抜け出せず、近隣住民もいまだに震災前の暮らしに戻っていないなか、原発の再開は現実味に乏しい。 2018年7月日本政府は、エネルギー政策の基本的な方向性を示すために「(第5次)エネルギー基本計画」を策定した。この計画で、日本のエネルギー自給率を、2016年の8%から、2030年の年には24%へと上げることを目標として掲げている。一見非現実的だが、日本が再生可能エネルギーを発展させ、広げることに集中すれば、決して不可能なことではないだろう。 しかしながら、このエネルギー基本計画は、日本のエネルギー政策の未来を明確にすべきものであるはずなのに、いくつかの曖昧さが見られる。指摘すべき点の1つとしては、計画の中のエネルギー政策の優先順位が不明確なことである。政府は2030年までに、再生可能エネルギーを主力電源とすることを掲げているが、同時に原子力発電所の修復と、その後の原子力発電の割合を20~30%にあげる試みも計画している。 小泉元総理は東日本大震災後から、「原発ゼロ」提唱者として知られ、原発がなくても日本は生き残れることを繰り返し主張してきた。最近の講演では、日本政府が「原発は安全で環境にも優しくローコスト」と謳うエネルギー政策に疑問を呈している。 テレビに出演するコメンテーターたちは、日本は有事においても必要に応じてものの見方を根本から考え直すことと決断力が乏しいと指摘している。確かに、日本が原子力エネルギーをきっぱりと諦めなければならない時に、政府がしっかりと政治的判断を下せるのか疑問である。福島第一原発事故により、ドイツは原子力エネルギーから離れることを宣言した。しかし原発事故の被害者である日本が原子力発電と縁を切ることができないとは、なんたる皮肉であろう。 日本政府は今も原発ゼロにためらいを見せているが、多数の日本国民はすでに、原子力発電は廃れていくものととらえ、再生可能エネルギーこそが今後の日本のエネルギーを担うと信じている。現に、今では個人が太陽光パネルを設置し、電力を蓄え電力会社に売ることも知れ渡っている。 日本もそろそろ自信を持って再生エネルギーの可能性に賭けてみるべきだろう。例えば、2018年のゴールデンウィーク時、九州では使われた電力の93%が再生エネルギーで賄えたという。過去8年、日本はほぼ原子力発電に頼らずやってこられたのだから、今後も再生エネルギーの使用が拡大されれば、原発を持たない国になれるだろう。 最後に、日本のエネルギー問題の解決にはやはり、技術の革新の大改革が必要だろう。それをすでにやってのけているのが、トヨタであり、次世代の車として水素燃料電池で動く車「ミライ」を発表した。この「ミライ」はゼロ・エミッション(排出物ゼロ)だけでなく、水素で作られたエネルギーを貯めておき、非常時に使うこともできる。「ミライ」は日本のエネルギー政策の未来に一石を投じるかもしれない。同じような技術革新が他の産業界でも起きることを期待する。 ※原文は英語。オーストラリアのオンラインジャーナル『The Diplomat』(2019年3月21日)に掲載 https://thediplomat.com/2019/03/rethinking-japans-energy-security-8-years-after-fukushima/ <謝志海(しゃ・しかい)Xie_Zhihai> 共愛学園前橋国際大学准教授。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイト、共愛学園前橋国際大学専任講師を経て、2017年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】第8回SGRAふくしまスタディツアーへのお誘い(再送) ~行って、見て、感じて、考える~ 関口グローバル研究会(SGRA)では2012年から毎年、福島第一原発事故の被災地である福島県飯舘(いいたて)村でのスタディツアーを行ってきました。そして、スタディツアーでの体験や考察をもとにしてAFCワークショップ、SGRAフォーラム、SGRAカフェなど、さまざまな催しを展開してきました。 2017年に7年間の避難生活が解除され、住民も徐々に「ふるさと」に帰り始めていますが、昔のままの生活を取り戻すことはできません。飯舘村の住民たちは、新しいふるさと作りに向けて進み始めています。今回のツアーでは、新しいふるさとつくりのシンボルとしての「佐須の地域再生可能エネルギー事業」と北川フラム氏を中心に計画されている「飯舘村アートプロジェクト」に焦点を当てて、新しいふるさとつくりのヴィジョンと計画を共に考えます。 テーマ:「ふるさと」の再生 日 程:2019年9月21日(土)、22日(日)、23日(祝) 人 数:10~15人程度 宿 泊:ふくしま再生の会体験宿泊施設「風と土の家」 参加費:一般参加者は12000円+新幹線往復料金 渥美奨学生・元奨学生(ラクーンメンバー)は補助あり 申込み締切り:9月10日(火) 申込み・問合せ:渥美財団SGRA事務局 角田(つのだ) E-mail:tsunoda@aisf.or.jp Tel: 03-3943-7612 詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2019/07/Fukushima8chirashi.pdf ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第8回SGRAふくしまスタディツアー ※申し込みは9月10日まで 「『ふるさと』の再生」(2019年9月21日~23日、福島県飯舘村) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13510/ ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************