SGRAメールマガジン バックナンバー

  • Isabel Fassbender “What is HOME?”

    ********************************************** SGRAかわらばん726号(2018年5月31日) 【1】エッセイ:イザベル・ファスベンダー「『ホーム』とは何か?」 【2】SGRAレポート紹介:「第2回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 ─蒙古襲来と13 世紀モンゴル帝国のグローバル化」 ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#570(私の日本留学シリーズ#21) ◆イザベル・ファスベンダー「『ホーム』とは何か?」 実は、このエッセイで何を書けばいいのか長い間想い悩んでしまって、言葉がまったく浮かんでこなかったので〆切をかなり押してしまった・・・。何となく、今までの、自分の日本での経験について書きたいと思い始めて筆をとった。決して難しいテーマではないはずだけれど、自分の今までの日本での経験を、なぜか、なかなか言葉にできない。このエッセイを10回ぐらい書こうとしても紙の白さに変わりはないのはなぜ? 私が日本にいるということ自体が、「留学」という範囲を大幅に越えてしまった気がする。日本とは私にとって一体何だろうか?と思ってしまう。日本における経験について再考察することは自分の「ホーム」はどこにあるのか?という自分のアイデンティティを考える、とても難しい問いにぶつかる。だから簡単に言葉にならなかったのではないかと今更ながらに気付いた。 日本に「ゲスト」として滞在するという新鮮な気分はもう全くない。そして、出身地であるドイツに一時帰国する際には、毎回カウンター・カルチャーショックが大きく、自分はもうその土地の人間ではない、母語にすら自信がないという不思議な気分になる。友達と話すときに急に日本語になったり、スーパーのレジでお辞儀をして変な目で見られたり。20年間あの街に住んでいたのに、自分が宇宙人であるかのような疎外感を感じる。他方、日本でも宇宙人であることに変わりはない。外見で判断され「外の人」として見なされるから、「ホーム」と言い切れるワケでもない。そして、昔から私の心の「ホーム」である母、姉、そして友人はここにはいない。でも、私の存在そのものを支えてくれる新たな心の拠り所、「ホーム」の全てである私が選んだ夫と子ども、そして新しくできた大事な友人達はいまもここで、傍にいる。 日本にも私には大切な家族がいて、何もそこまで複雑ではないはずなのに、なぜか、この白い紙を覗き、ハラハラしながら私の「ホーム」は一体どこにあるのか、「ホーム」というのは何か?ということを考えてしまう。 高校を卒業して、早くあの小さなつまらない街から出たかった。12歳ぐらいからその瞬間を待っていた。卒業後、まず5週間オーストラリアに旅に出てから、その後にジュネーヴに行って、1年間、高校で一生懸命に学んできた大好きなフランス語を勉強しながら、住み込みでベビーシッターをして2人の子どもの面倒をみた。そこで知り合った日本人女性のおかげで日本語に興味を持ち始めて、ベルリンで日本学を勉強することを決めた。大好きになっていたスイスが恋しくて、1年半後にチューリッヒに移住。その後、大阪へ留学し、またチューリッヒにもどって、転々としていた。定住しないことがとても気持ちよかった。そして2011年にチューリッヒ大学の日本学部を卒業した後、2回目の留学に旅立った。1年半後に又チューリッヒに戻り、修士号を取得するつもりでいたけれど、しかし、運命の歯車は別の方向に回ることになる。当初の予定とは異なり、正式に東京外国語大学大学院の修士課程に進学することになったのだ。その時に、今の夫に出会って、知らないうちにますます、日本は留学地ではなくなり、定住地になってきた。 2011年に旅立った時には予想だにしなかった決定的な出来事は、もちろん子どもができたこと。2016年7月に京都の小さな助産院にて最愛の「渚」が産まれた。私は20年間ずっとドイツにいたにもかかわらず、この子にドイツ語の名前を与えることは考えもしなかった。私たちのとても自然な物語の中で「渚」という名前がおりてきたのだ。 その渚ももうすぐ2歳になり、まさに幼児(Infancy)から抜け出して言葉を修得しようとする最中である。毎日、その過程を観察するのは、面白くて仕方がない。自分の子どもがドイツ語より日本語を母語にしているということは、とても不思議な感じがするが、違和感はない。そう考えると、どう考えても「留学」など卒業してしまっている。嬉しい反面、懐かしい気持ちにもなる。でも実は、今後どこに行くか、どこに住むか、どこが「ホーム」になりうるか、不安にもなるけれど、将来まだまだ様々な形での「留学」が待っているかもしれないと思うと、日本に「留学」しに来た時のあのワクワク感がどこからか改めて湧いてくる。結局人生のすべてが「留学」であるはず。知らない土地に行って、知らないことを学ぶという態度は一生忘れたくない。その気持ち自体が「ホーム」であるかもしれない。未知の輝きに満ちた瞳をもつこの可能性の塊を寝かしつけながら、ひしひしと私はそう感じ、想うのである。 <イザベル・ファスベンダー☆Fassbender,_Isabel> 渥美国際交流財団2017年度奨学生。ランツフート(ドイツ)出身。2011年チューリッヒ大学(スイス)日本研究科卒業。2014年東京外国語大学大学院総合国際学研究科地域国際専攻にて修士号取得。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程国際社会専攻に在籍、博士論文を執筆中。2018年4月から京都外国語大学と同志社大学にて非常勤講師としてドイツ語と日本社会について教えている。専門は家族社会学、ジェンダー論。 -・-・-・-・-・-・-・- 【2】SGRAレポート紹介 SGRAレポート第82号のデジタル版をSGRAホームページに掲載しましたのでご紹介します。下記リンクよりどなたでも無料でダウンロードしていただけます。冊子本は6月中旬にSGRA賛助会員と特別会員の皆様にお送りします。その他でも送付ご希望の方はSGRA事務局へご連絡ください ◆レポート第82号「第2回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性─蒙古襲来と13世紀モンゴル帝国のグローバル化」(第57回SGRAフォーラム講演録) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/report/2018/10611/ <フォーラムの趣旨> 東アジアにおいては「歴史和解」の問題は依然大きな課題として残されている。講和条約や共同声明によって国家間の和解が法的に成立しても、国民レベルの和解が進まないため、真の国家間の和解は覚束ない。歴史家は歴史和解にどのような貢献ができるのだろうか。 渥美国際交流財団は2015年7月に第49回SGRA(関口グローバル研究会)フォーラムを開催し、「東アジアの公共財」及び「東アジア市民社会」の可能性について議論した。そのなかで、先ず東アジアに「知の共有空間」あるいは「知のプラットフォーム」を構築し、そこから和解につながる智恵を東アジアに供給することの意義を確認した。このプラットフォームに「国史たちの対話」のコーナーを設置したのは2016年9月のアジア未来会議の機会に開催された第1回「国史たちの対話」であった。いままで3カ国の研究者の間ではさまざまな対話が行われてきたが、各国の歴史認識を左右する「国史研究者」同士の対話はまだ深められていない、という意識から、先ず東アジアにおける歴史対話を可能にする条件を探った。具体的には、三谷博先生(東京大学名誉教授/跡見学園女子大学教授)、葛兆光先生(復旦大学教授)、趙珖先生(高麗大学名誉教授/韓国国史編纂委員長)の講演により、3カ国のそれぞれの「国史」の中でアジアの出来事がどのように扱われているかを検討した。 第2回対話は自国史と他国史との関係をより構造的に理解するために、「蒙古襲来と13世紀モンゴル帝国のグローバル化」というテーマを設定した。13世紀前半の「蒙古襲来」を各国の「国史」の中で議論する場合、日本では日本文化の独立の視点が強調され、中国では蒙古(元朝)を「自国史」と見なしながら、蒙古襲来は、蒙古と日本と高麗という中国の外部で起こった出来事として扱われる。しかし、東アジア全体の視野で見れば、蒙元の高麗・日本の侵略は、文化的には各国の自我意識を喚起し、政治的には中国中心の華夷秩序の変調を象徴する出来事であった。「国史」と東アジア国際関係史の接点に今まで意識されてこなかった新たな歴史像があるのではないかと期待される。 もちろん、本会議は立場によってさまざまな歴史があることを確認することが目的であり、「対話」によって何等かの合意を得ることが目的ではない。 なお、円滑な対話を進めるため、日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語、中国語⇔韓国語の同時通訳をつけた。 <もくじ> ◆開会セッション[司会:李恩民(桜美林大学)] 【基調講演】葛兆光(復旦大学) 「『ポストモンゴル時代』?─14~15世紀の東アジア史を見直す」 ◆第1セッション[座長:村和明(三井文庫)、彭浩(大阪市立大学)] 【発表論文1】四日市康博(昭和女子大学) 「モンゴル・インパクトの一環としての『モンゴル襲来』」 【発表論文2】チョグト(内蒙古大学) 「アミール・アルグンと彼がホラーサーンなどの地域において行った2回の人口調査について」 【発表論文3】橋本雄(北海道大学) 「蒙古襲来絵詞を読みとく─二つの奥書の検討を中心に」 ◆第2セッション[座長:徐静波(復旦大学)、ナヒヤ(内蒙古大学)] 【発表論文4】エルデニバートル(内蒙古大学) 「モンゴル帝国時代のモンゴル人の命名習慣に関する一考察」 【発表論文5】向正樹(同志社大学) 「モンゴル帝国と火薬兵器─明治と現代の『元寇』イメージ」 【発表論文6】孫衛国(南開大学) 「朝鮮王朝が編纂した高麗史書にみえる元の日本侵攻に関する叙述」 ◆第3セッション[座長:韓承勲(高麗大学)、金キョンテ(高麗大学)] 【発表論文7】金甫桄(嘉泉大学) 「日本遠征をめぐる高麗忠烈王の政治的意図」 【発表論文8】李命美(ソウル大学) 「対蒙戦争・講和の過程と高麗の政権を取り巻く環境の変化」 【発表論文9】ツェレンドルジ(モンゴル国科学院歴史研究所) 「北元と高麗との関係に関する考察─?王時代の関係を中心に」 ◆第4セッション[座長:金範洙(東京学芸大学)、李恩民(桜美林大学)] 【発表論文10】趙阮(漢陽大学) 「モンゴル帝国の飲食文化の高麗流入と変化」 【発表論文11】張佳(復旦大学) 「『深簷胡帽』考─蒙元時代における女真族の帽子の盛衰史」 ◆全体討議セッション 司会/まとめ:劉傑(早稲田大学) 論点整理/趙珖(韓国国史編纂委員会) 総括/三谷博(跡見学園女子大学) ◆あとがきにかえて 金キョンテ(高麗大学)、三谷博、孫軍悦(東京大学)、ナヒヤ(内蒙古大学)、彭浩(大阪市立大学) ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第7回SGRAふくしまスタディツアー(2018年5月25日~27日、飯舘村) 「『ふるさと』に帰る…」<無事終了> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/10432/ ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月25日~26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」<無事終了> http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2018/10490/ ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) 論文募集は終了しました。<オブザーバー参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Ofosu “Lessons from the Road: Observations from driving in Japan”

    ********************************************** SGRAかわらばん725号(2018年5月24日) 【1】エッセイ:ジョセフ・オフォス「日本での運転から学んだこと」 【2】催事紹介:国際シンポジウム「ユーラシア草原を生きるモンゴル英雄叙事詩」(5月26日、東京) 【3】第8回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(5月25日~26日、台北) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」 (最終案内)※当日参加も受け付けます! ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#569(私の日本留学シリーズ#20) ◆ジョセフ・アンペドゥ・オフォス「日本での運転から学んだこと」 日本に来て1月も経たないうちに、私はある体験をした。それは最初で最後となるものではなく、その後も繰り返し体験することになる、日本文化に染み付いたものであった。その体験とは,電車の線路沿いの道路の改修に関するものである。驚くべきことに、作業員たちはたったの12時間で1kmほどの道路を掘り起こし、舗装し、そして塗り直したのである。ある日、私は午後9時頃に研究室から宿舎に帰る際に、作業員たちがバリケードや作業用の道具、照明などを準備しているのを目にした。そして翌朝8時、研究室へ向かう電車に乗るために歩いていると、なんと昨夜工事の準備をしていた道路が完璧に改修されていたことに気づいた。私はこのことにとても感心し,“作業員たちはたった一夜でどうやって作業を終えたのだろうか?”、“一体このメンテナンスはどの程度もつのだろうか?”といったことを考えながら駅までの道のりを楽しんだ。 他の国であれば、1kmもの道を改修するには何日、あるいは何週間もかかっただろう。この道は京王井の頭線の駒場東大前駅の近くの道だった。私はこの体験から、メンテナンスが素早く行われることは社会をより良く回すことにつながるということを学んだ。この体験は例外ではなく,むしろ日本社会のあらゆるところに見られるものであった。高速道路や一般道路を走ればこの体験はありふれたものであるとすぐに気づくだろう。もちろん改修が頻繁であるからといって、すぐにやり直さなければならない雑な仕事ぶりを暗示するものではない。むしろ安全と安心のために道路の改修は常に行われているのである。 私が日本の道路から学んだことはもう一つある。それは高速道路を運転する時、特に道が混雑している時には常に周りの人がどうしているかをよく見て、彼らに従って動くべきだということである。急いでいるからといって“決まり”から外れた動きをすると、かえって遅れることや後悔することにつながるからだ。例えば、片側2車線の道路で、隣の車線の方が車通りが少なく早く進んでいるように見えても、安直に車線変更するのはお勧めできない。なぜなら空いている道路の出口は実は混み合った高速の入口につながっているかもしれないからである。道路の標識は高速道路の入口や出口から1~2km程度しか離れていないところにしかないことがあり、気づいた時にはもう遅い、ということもある。ここから学んだことは、急ぐことは早く物事を進めることにはつながらず、むしろ痛い目にあう可能性もあるということだ。人生は急がず、ゆっくりと1歩ずつ進めばいい。 日本のドライバーの素晴らしいところは、常に感謝の気持ちを表すための準備をしていることである。他のドライバーに道を譲った際には、ほとんどの人が「ありがとうございます」とハザードランプを2、3回点滅してくれる。アクアラインや常磐高速、東名高速、首都高などで必ずと言っていいほど目にする光景である。ここから、他人が優しさや親切心を持って接してくれた際には感謝を表すべきだということを学べる。 私にとって、運転は昔から身の回りで起きていることを観察し、学ぶ場であったが、日本で運転することで新しく学べたことは思ったよりもたくさんあった。このような経験から根気や忍耐、勤勉さ、謙虚さ、そして近所の人を含む環境への思いやりなどを学んだ。 英語版(原文)は下記リンクよりお読みいただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/05/Lessons-from-the-Road_Essay_Joseph.pdf <オフォス・ジョセフ・アンぺドゥ Joseph_Ampadu_Ofosu> ガーナ出身。東京大学大学院新領域創成科学研究科先端エネルギー専攻小紫研究室博士課程。研究テーマは、未来の宇宙推進応用のためのレーザープラズマ物理とレーザー支持爆轟波。現在、イマジニアリング株式会社でプラズマアプリケーションの研究開発を行っている。 -・-・-・-・-・-・-・- 【2】催事紹介 SGRA会員で昭和女子大学教授のフスレさんより下記シンポジウムの案内をいただきましたのでご紹介します。興味のある方は直接ご参加ください。 ◆国際シンポジウム「ユーラシア草原を生きるモンゴル英雄叙事詩」 日時:2018年5月26日(土) 10:00-18:10(開場9:30) 会場:昭和女子大学 8号館6階オーロラホール    〒154-8533 東京都世田谷区太子堂1-7-57    東急田園都市線(半蔵門線直通)「三軒茶屋」駅下車 徒歩7分    参加費:無料 【報告者】 田中克彦 一橋大学名誉教授 チョイラルジャブ 内モンゴル大学教授 二木博史 東京外国語大学名誉教授・日本モンゴル学会会長 ボルジギン・フスレ 昭和女子大学国際学部国際学科教授 藤井真湖 愛知淑徳大学交流文化学部教授 上村明 東京外国語大学兼任講師 ドジョーギーン・ツェデブ ウランバートル大学教授 李守 昭和女子大学国際学部国際学科長 司会:岡田和行 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授/李守 昭和女子大学国際学部国際学科長 詳細は下記リンクをご覧ください。 https://univ.swu.ac.jp/sys/wp-content/uploads/IntSympMongolianEpic20180526.pdf -・-・-・-・-・-・-・- 【3】第8回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(最終案内) 下記の通り第8回日台アジア未来フォーラム 並びに 東呉大学マンガ・アニメ文化国際シンポジウムを台北市で開催します。当日参加も受け付けます。 ◆テーマ:「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性:コミュニケーションツールとして共有・共感する映像文化論から学際的なメディアコンテンツ学の構築に向けて」 開催日:2018年5月25日(金)午後3時~26日(土)終日 会場:東呉大学外双渓キャンパス第一教学研究棟普仁堂(大講堂) ●問合せ ※日本:SGRA事務局 sgra-office@aisf.or.jp ※台湾:東呉大学日文系 hua666@scu.edu.tw ●プログラム 詳細は下記リンクをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2018/10490/ ◇2018年5月25日(金)第一部(15:00~受付開始) 【特別講演】15:30~17:20 弘兼憲史先生(漫画家、『島耕作』シリーズ作者) テーマ:「漫画から学んできたこと」 ◇2018年5月26日(土)第二部(8:00~受付開始) 【招請講演1】8:40~9:25 表智之 (日本北九州市漫画ミュージアム専門研究員) テーマ:「研究者のネットワーク化とマンガ研究の進展-学会・地域・ミュージアム-」 【招請講演2】9:25~10:10 宣政佑 (韓国 Comicpop_Entertainment_President) テーマ:「韓国ではアジア漫画をどう見てきたか 」 【招請講演3】10:10~10:55 秦 剛 (北京外国語大学北京日本学研究センター教授) テーマ:「戦後日本最初の長編アニメーション『白蛇伝』における「中国」表象と「東洋」幻想」 【パネルディスカッション】11:10~12:10 テーマ:「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」 【招請講演4】 A会場 13:20-14:05 梁世佑(台湾U-ACG/旭傳媒科技(股)創弁人) テーマ:「台湾のオタクにみる日本アニメの受容と変化:作品の鑑賞、収集と行動」 【招請講演5】 B会場 13:20-14:05 黄瀛洲(台灣動漫畫評論團體「?呼?同盟」召集人) テーマ:「未来を見据えた台湾アニメの発展」 【論文発表】 14:10~17:10 各会場にて3本ずつ計18本論文発表を予定 第1セクション 14:10~15:30  A1/B1/C1 会場にて論文発表 第2セクション 15:50~17:10  A2/B2/C2 会場にて論文発表 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第7回SGRAふくしまスタディツアー(2018年5月25日~27日、飯舘村) 「『ふるさと』に帰る…」<募集終了> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/10432/ ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月25日~26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2018/10490/ ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) 論文募集は終了しました。<オブザーバー参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Magdalena Kolodziej “A Day I Visited Auschwitz”

    ********************************************** SGRAかわらばん724号(2018年5月17日) 【1】エッセイ:コウオジェイ「アウシュビッツ強制収容所博物館を訪ねた1日」 【2】第8回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(5月25日~26日、台北) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」(再送) ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#568 ◆マグダレナ・コウオジェイ「アウシュビッツ強制収容所博物館を訪ねた1日」 去年の9月に3週間ポーランドに帰った。親孝行と言うか、毎年必ず1回は実家に帰るようにしている。そして、去年はちょっと特別で1人の日本人の友達を連れて帰った。そうすると、ポーランドの観光でもしようという話になるのは当然であろう。ポーランドに来る多くの外国人がアウシュビッツ強制収容所博物館を訪ねる。私の実家は、そこから車で約1時間の距離なので近い。私自身は既に4回見学している。中学の時に1回、大学生の時に3回で、毎回外国人の友達を連れて行く。英語にはダーク・ツーリズム(dark_tourism)という言い方があって、まさに「暗い観光」といえるのかもしれない。人間は残酷で暗いものに引かれるということであろう。 晴れの日も、吹雪の日も、年中無休で開いているアウシュビッツ強制収容所博物館。昼間は混雑しているので自由に見学することができず、グループごとに行動しなければならない。そしてグループごとに博物館の社員であるガイドがつく。今回は日本人の友達と一緒だから、初めて日本語のガイドがついて見学することになった。中谷剛さん。ポーランド滞在30年近く、ガイドの仕事も20年以上のベテランである。 5回目の見学だからどういう話が出てくるのかだいたいわかる私が、あの有名な「労働は人間を自由にする(Arbei_macht_frei)」という入り口の門を通ると、泣きたくてたまらなくなる。どうして人間が他の人間にあんな残酷なことをさせたのか、そういう単純な気持ちで悲しかった。しかし、戦争も暴力も体験していない私が見学したと言っても、本当の残酷さはいくらも想像できないことで、センチメンタルな気持ちに過ぎなかったのかもしれない。 中谷さんは、早口でどんどん話が進む。グループは12-13人ぐらいで、私以外はみんな日本人であろうという人たち。強制収容所の歴史、組織、囚人の生活、監視人のことなどを聞き取ろうとしている。表面上、強制収容所はとても近代的な性格を持っていた。レンガの建物が並び、幼稚園もあり、囚人は給料ももらっていた(実際は、一切お金は使えない状態だったが)。ガス室での死、収容所での飢餓。囚人を使った医学的な実験。囚人が反対運動を起こさないために、囚人の間で階層制度を作り、囚人同士お互いに連帯や同情を持たせないように、囚人が囚人を監視するシステムなど。ヨーロッパの20世紀の歴史、反ユダヤ主義の歴史、ドイツと日本帝国のつながり、長崎に住んだことがありアウシュビッツで殺され、聖人になった神父マキシミリアン・コルベの話。 そして、中谷さんの話が知らないうちに現在にまで広がる。私たちにまで広がる。あの医学実験は、私たちのためになったのでは?当時のドイツ企業が強制労働を使い、それが今の経済成長に繋がっているのでは?もちろん仮定に過ぎない話だが、自分にとってのアウシュビッツの存在が、少しずつ大きく、リアルに見えてくる。また、当時の人たちは、ユダヤ人に対してある固定観念を持っていたから、強制収容所にユダヤ人を入れやすかったと言えるが、現在生きる私たちは誰に対してどういう固定観念を持っているのだろう?ヨーロッパでの難民の話、日本での部落民や少数民族の話。ドイツと日本でのヘイトスピーチに関わる法律とそれに関わる問題。 参加者はみんな少しずつうなずきを控え、さらなる沈黙に陥る。他人の歴史が自分のもののように見え、居心地が悪い。被害者、加害者という単純な枠があるにも関わらず、自分がどこに所属しているのか、自分は「いい人」と思っていたのが本当なのか、あの強制収容所を作った固定観念だって今も生きているのではないか、などと考えさせられる。 中谷さんは、「Aが正しいBがだめだ」と言うような単純な答えは出さない。日本人だからこそ、そういう話がしやすいのかもしれない。アウシュビッツ博物館を訪ねるユダヤ人とポーランド人(ロマ(中東欧に居住する移動型民族)や同性愛者も含む)は、そんなニュアンスがあって複雑なストーリーを聞きたくないかもしれない。加害者は加害者、被害者は被害者だろう。 2時間が経って、アウシュビッツを出て、近くにあるビルケナウという支部の強制収容所に向かう。その時に、中谷さんと初めて雑談し挨拶をする。中谷さんがびっくりして「あら、僕は今日初めてポーランド人にガイドをした、申し訳ない」というようなことを言う。謙遜の言葉かもしれない。あるいは、相手によって語れる歴史ってだいぶ違ってくるということであろう。考えさせられることばかり。次の世代にどうやって歴史を伝えるかと真剣に考えている中谷さん。 今回のポーランド旅行で1番刺激になった1日は歴史と現在を繋ぐ中谷さんの話を聞いた日だった。天気は晴れ、ビルケナウの芝生はまだ青かった。 <マグダレナ・コウオジェイ Kolodziej, Magdalena> 2017年度渥美奨学生。2018年デューク大学Art,_Art_History_Visual_Studies博士号取得。8月からデューク大学でポスドク非常勤講師として1年間日本美術史を教える。専門は、東アジアの近代美術史。 -・-・-・-・-・-・-・- 【2】第8回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(再送) 下記の通り第8回日台アジア未来フォーラム 並びに 東呉大学マンガ・アニメ文化国際シンポジウムを台北市で開催します。参加ご希望の方はSGRA事務局へご連絡ください。 ◆テーマ:「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性:コミュニケーションツールとして共有・共感する映像文化論から学際的なメディアコンテンツ学の構築に向けて」 開催日:2018年5月25日(金)午後3時~26日(土)終日 会場:東呉大学外双渓キャンパス第一教学研究棟普仁堂(大講堂) ●日本語申込み:https://goo.gl/k54cMY ※日本:SGRA事務局 sgra-office@aisf.or.jp ※台湾:東呉大学日文系 hua666@scu.edu.tw ●プログラム 詳細は下記リンクをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2018/10490/ ◇2018年5月25日(金)第一部(15:00~受付開始) 【特別講演】15:30~17:20 弘兼憲史先生(漫画家、『島耕作』シリーズ作者) テーマ:「漫画から学んできたこと」 ◇2018年5月26日(土)第二部(8:00~受付開始) 【招請講演1】8:40~9:25 表智之 (日本北九州市漫画ミュージアム専門研究員) テーマ:「研究者のネットワーク化とマンガ研究の進展-学会・地域・ミュージアム-」 【招請講演2】9:25~10:10 宣政佑 (韓国 Comicpop_Entertainment_President) テーマ:「韓国ではアジア漫画をどう見てきたか 」 【招請講演3】10:10~10:55 秦 剛 (北京外国語大学北京日本学研究センター教授) テーマ:「戦後日本最初の長編アニメーション『白蛇伝』における「中国」表象と「東洋」幻想」 【パネルディスカッション】11:10~12:10 テーマ:「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」 【招請講演4】 A会場 13:20-14:05 梁世佑(台湾U-ACG/旭傳媒科技(股)創弁人) テーマ:「台湾のオタクにみる日本アニメの受容と変化:作品の鑑賞、収集と行動」 【招請講演5】 B会場 13:20-14:05 黄瀛洲(台灣動漫畫評論團體「?呼?同盟」召集人) テーマ:「未来を見据えた台湾アニメの発展」 【論文発表】 14:10~17:10 各会場にて3本ずつ計18本論文発表を予定 第1セクション 14:10~15:30  A1/B1/C1 会場にて論文発表 第2セクション 15:50~17:10  A2/B2/C2 会場にて論文発表 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第7回SGRAふくしまスタディツアー(2018年5月25日~27日、飯舘村) 「『ふるさと』に帰る…」<募集終了> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/10432/ ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月25日~26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2018/10490/ ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) 論文募集は終了しました。<オブザーバー参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Song Kang “Useful or Useless”

    ********************************************** SGRAかわらばん723号(2018年5月10日) 【1】エッセイ:宋 晗「役に立つか立たないか」 【2】第8回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(5月25日~26日、台北)  「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」 ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#567 ◆宋 晗「役に立つか立たないか」 3月で学位を取得することになる。研究職のパイが小さくなっているなかで、すんなり就職が決まった自分は、大変幸運である。8年間在籍していた研究室からはなれるのは、やはりなんとしても名残惜しいもので、いままでの苦労も美しい過去のように思えてきた。もっとも過去はいつでも美しいのであるから、役に立たない感傷である。 役に立たないというと、世間では文学研究がまず想起されるようだ。まるで「役に立たない」が文学研究の枕詞かのようである。近年、この文学無用論はますます勢いを強めているが、率直にいって、文学の価値を分かりたくない人にとって文学研究は何の役にも立たない。無論、「役に立たない」というフレーズをどんなシチュエーションで、誰が誰に向けていったのかによって、反論は幾通りか存在するのであるが、つまらないと感じてしまったが最後、そこに執着する必要はないわけで、他のレクリエーションを楽しめばよろしい。文学研究のなかでも古典文学研究はいつ役に立つのか特にイメージしづらいようで、私などもファッションでやってるんだろうと何回かいわれたことがあった。だからこそ文学に堪能でない御仁は適当にシェイクスピアを文学無用論の槍玉に挙げるようであるが、とんと話の種にならない平安朝漢文学を専門とする私などにとってみれば、槍玉に挙げられるだけでもシェイクスピアは古典文学の顔なのだと思い、羨ましいかぎりである。 くやしまぎれにいうと、平安朝漢文学は平安時代では非常に役に立っていた。現代でいえば小説・テレビドラマ・ポップソングをあわせたハイカルチャーだったわけであるから、とても面白い文芸だったようである。いや、面白い文芸だったと断言しよう。だからこそ天神様の菅原道真は屈指の漢詩人としてふんぞり返っていたし(現存する作品を読めば自信家だったことが容易に想像される)、紫式部に「若紫はどこにいますか」ととぼけた質問をしたという藤原公任も、和歌を詠じて藤原道長に褒められたときは「いやはや、漢詩を作ったらもっと評価されたでありましょうな」などとうそぶいたのである。 平安朝由来の漢詩は近世に至っても儀礼的にではあるにせよ宮中では作られ続けられたのだが、つまり漢詩文は教養として、コミュニケーションのツールとしてつぶしが効いたのである。漢詩が作れなくても、名作名句を覚えておけば他人から一目置かれるので、今の新卒社員が日経新聞を社会常識として読むようなものである。読めばたちどころに儲けの種になるかはわからないが、読まなければ馬鹿にされるのである。近頃の若者は無学だ向上心がないだなどと陰口をたたかれるかもしれないのである。 つまりどういうことかというと、私は漢文学を研究することで、役に立つものはいつか役に立たなくなることが結論として得られたのだ。盛者必衰のなんとやらで、いまを時めく分野もいつかは無用になる時が来るのだろう。それでも、アクチュアルなコンテンツとしての魅力が色褪せてしまっても、文学が古典として後世に享受されるのは、一体どういうことだろうか。それはいわゆる人間の普遍の真理が古典に潜んでいるからに他ならない。自分がこれまでの人生で思い悩み、悟ったものはすべてはるか昔から伝えられてきた古典に書いてある。普段は文学を馬鹿にする人が、ひとたび外国人を前にするとむやみやたらに古典文学をふりかざす場面を、私は日本と中国で何度となく見てきた。結局、誰もが古典にこそ文化の精華が宿っていると認識しているのである。他国に向けて自国の特徴をアピールするときに古典文学はまだ役に立っているのである。 そうであるならば、分業体制が高度に発達した現代において、古典文学を解読できる専門家を育成することも大事なのではないだろうか。文学研究とは知のインフラのようなものである。そして私自身に立ち戻れば、研究は私の役に立っているのである。このような所見を、日本留学を通じて得られたことは非常に幸運なことといわねばならない。 <宋晗(そう・かん)Song_Kang> 2017年度渥美奨学生。2018年東京大学大学院人文社会系研究科博士号取得(文学)。現在、フェリス女学院大学文学部日本語日本文学科助教。専門は平安朝漢文学を中心とする日中比較文学研究。 -・-・-・-・-・-・-・- 【2】第8回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(再送) 下記の通り第8回日台アジア未来フォーラム 並びに 東呉大学マンガ・アニメ文化国際シンポジウムを台北市で開催します。参加ご希望の方はSGRA事務局へご連絡ください。 ◆テーマ:「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性:コミュニケーションツールとして共有・共感する映像文化論から学際的なメディアコンテンツ学の構築に向けて」 開催日:2018年5月25日(金)午後3時~26日(土)終日 会場:東呉大学外双渓キャンパス第一教学研究棟普仁堂(大講堂) ●日本語申込み:https://goo.gl/k54cMY ※日本:SGRA事務局 sgra-office@aisf.or.jp ※台湾:東呉大学日文系 hua666@scu.edu.tw ●プログラム 詳細は下記リンクをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2018/10490/ ◇2018年5月25日(金)第一部(15:00~受付開始) 【特別講演】15:30~17:20 弘兼憲史先生(漫画家、『島耕作』シリーズ作者) テーマ:「漫画から学んできたこと」 ◇2018年5月26日(土)第二部(8:00~受付開始) 【招請講演1】8:40~9:25 表智之 (日本北九州市漫画ミュージアム専門研究員) テーマ:「研究者のネットワーク化とマンガ研究の進展-学会・地域・ミュージアム-」 【招請講演2】9:25~10:10 宣政佑 (韓国 Comicpop_Entertainment_President) テーマ:「韓国ではアジア漫画をどう見てきたか 」 【招請講演3】10:10~10:55 秦 剛 (北京外国語大学北京日本学研究センター教授) テーマ:「戦後日本最初の長編アニメーション『白蛇伝』における「中国」表象と「東洋」幻想」 【パネルディスカッション】11:10~12:10 テーマ:「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」 【招請講演4】 A会場 13:20-14:05 梁世佑(台湾U-ACG/旭傳媒科技(股)創弁人) テーマ:「台湾のオタクにみる日本アニメの受容と変化:作品の鑑賞、収集と行動」 【招請講演5】 B会場 13:20-14:05 黄瀛洲(台灣動漫畫評論團體「?呼?同盟」召集人) テーマ:「未来を見据えた台湾アニメの発展」 【論文発表】 14:10~17:10 各会場にて3本ずつ計18本論文発表を予定 第1セクション 14:10~15:30  A1/B1/C1 会場にて論文発表 第2セクション 15:50~17:10  A2/B2/C2 会場にて論文発表 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第7回SGRAふくしまスタディツアー(2018年5月25日~27日、飯舘村) 「『ふるさと』に帰る…」<募集終了> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/10432/ ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月25日~26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2018/10490/ ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) 論文募集は終了しました。<オブザーバー参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Emanuele Davide Giglio “My Nichiren (2): Nichiren’s Diversity”

    ********************************************** SGRAかわらばん722号(2018年5月3日) 【1】エッセイ:ジッリォ「私の日蓮(2):日蓮の多面性」 【2】第7回SGRAふくしまスタディツアーへのお誘い(5月25日~27日、飯舘村)     「『ふるさと』に帰る…」<行って、見て、感じて、考える> 【3】第8回日台アジア未来フォーラムへのお誘い(5月25日~26日、台北)     「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」 ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#566 ◆エマヌエーレ・ダヴィデ・ジッリォ「私の日蓮(2):日蓮の多面性」 数年前から鎌倉期の日蓮(1222~1282)の「写本遺文」(真蹟非現存、真偽未決、殆どが15世紀から文献として始めて歴史に登場)という資料を研究する機会をいただいている。その際に日蓮遺文の思想史的研究について色々思うことがあったので、この度はエッセイの形で発表させていただきたい。 日蓮遺文における特定の思想の全体像を、思想史の観点から明らかにしようとするとき、3つの問題に慎重にならなけなければならない。1つは日蓮の多面性である。2つ目は「思想史的研究」と「宗教的注釈」との違いである。3つ目はどのような主体性を前提に日蓮遺文の思想史的研究を行うべきかという問題である。「研究者の主体性」の価値を繰り返し強調している日蓮学者では現在、元早稲田大学教授の花野充道先生の存在が特に目立っている。筆者の場合はひとまず、「キリスト教の文化から仏教学研究へ」と、「生まれ育ちの文化環境から受け継いだ思想的なカテゴリーを乗り越えて」という道のりなので、今日蓮に対して存在するあらゆる伝統・解釈・カテゴリー・研究方法などを日本でひと通り学び、他方解体し乗り超えていこうとする主体性に必然的になっている。   ●日蓮の多面性について 日蓮は臨機応変で、多面的な思想の持ち主であり、同類のテーマに関しても、時と場と人によって異類の視点を展開してゆき、遺文に見られる数々の思想は、多くの文献の中でばらばらになっており、情緒的で非体系的な形で説かれることがある。また、佐渡流罪(1271~1274)を契機に「法華行者」としての自己認識が増し、彼の中で大きな変化も起きる。一言で言えば、日蓮はこういうテーマについてこう考えていたと思えば、そうでもないと述べる文献が真蹟の中でも出てくる可能性が常にある。 例えば、羅什訳『法華経』「如来寿量品第十六」所伝の「久遠実成」の釈尊はこの娑婆世界の一切衆生の主師親にして本尊とすべしと述べる遺文は数多いのだが、「我等が己心所具」の釈尊を述べる遺文もある。他に、日蓮が己自身に対して主師親の三徳を授ける遺文があり、末法時代において釈尊ほどの仏よりも法華行者と称せられる日蓮とその弟子たちのほうが大事であり、供養に値すると述べられる遺文も見られる。さらに、『法華経』はそのまま釈尊の身体・力・命であるという「経仏同一説」が述べられる遺文があるが、『法華経』を「師」とし、仏を「弟子」とする遺文も見られる。 要するに、諸宗派と各教団はどれも、ある程度まとまった思想体系を紹介しているが、宗教思想史を見てみれば、それを立てるとき、宗祖の何かを選び、何かを無視し捨てなければならない。「体系」というものは、合理性を最重要と考え、経験の世界に何らかのコントロールを厳格に定めようとして始めて成立するものだからである。だが、日蓮ほどの多面性は日本仏教史のなかでも特殊な事例であり、簡単にコントロールできるものではない。ある意味で、諸宗派と各教団の思想体系や日蓮を首尾一貫した解釈に閉じ込めようとする試みは、どれも一つ残さず彼の実際のあり方から逸する要素を必然的に含んでしまう。そのときはむしろ、日蓮をより柔軟に受け止められる自由な思想史的研究の価値が明らかになってくるのではないかと考えている。 問題は、日蓮をどのような存在として考え、それを前提に彼の遺文をどのように扱うかである。この点で、「思想史的研究」と「宗教的注釈」との違いを考える必要性が出てくる。(つづく) <エマヌエーレ・ダヴィデ・ジッリォ☆Emanuele_Davide_Giglio> 渥美国際交流財団2015年度奨学生。トリノ大学外国語学部・東洋言語学科を主席卒業。産業同盟賞を受賞。2008年4月から日本文科省の奨学生として東京大学大学院・インド哲学仏教学研究室に在籍。2012年3月に修士号を取得。現在は博士後期課程所定の単位を修得のうえ満期退学。博士論文を修正中。身延山大学・東洋文化研究所研究員。 -・-・-・-・-・-・-・- 【2】行って、見て、感じて、考える―第7回SGRAふくしまスタディツアーへのお誘い SGRAでは2012年から毎年、福島第一原発事故の被災地である福島県飯舘村でのスタディツアーを行ってきました。そのスタディツアーでの体験や考察をもとにしてSGRAワークショップ、SGRAフォーラム、SGRAカフェなど、さまざまな催しを展開してきました。 今年も第7回目の「SGRAふくしまスタディツアー」を行います。 参加ご希望の方は、SGRA事務局へご連絡ください。 テーマ:「「ふるさと」に帰る…」 日 程:2018年5月25日(金)、26日(土)、27日(日) 人 数:10~15人程度 宿 泊:「ふくしま再生の会-霊山(りょうぜん)センター」 参加費:一般参加者は新幹線往復費用+12,000円(ラクーン会会員には補助が出ます) 申込み締切:5月10日(木) 申込み・問合せ:SGRA事務局 角田 E-mail: tsunodaaisf@gmail.com  Tel:03-3943-7612 プログラムの詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/04/FukushimaStudyTour7.pdf -・-・-・-・-・-・-・- 【3】第8回日台アジア未来フォーラムへのお誘い 下記の通り第8回日台アジア未来フォーラム 並びに 東呉大学マンガ・アニメ文化国際シンポジウムを台北市で開催します。参加ご希望の方はSGRA事務局へご連絡ください。 ◆テーマ:「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性:コミュニケーションツールとして共有・共感する映像文化論から学際的なメディアコンテンツ学の構築に向けて」 開催日:2018年5月25日(金)午後3時~26日(土)終日 会場:東呉大学外双渓キャンパス第一教学研究棟普仁堂(大講堂) ●申込み・問い合わせ ※日本:SGRA事務局 sgra-office@aisf.or.jp ※台湾:東呉大学日文系 hua666@scu.edu.tw ●プログラム ◇2018年5月25日(金)第一部(15:00~受付開始) 【特別講演】15:30~17:20 弘兼憲史先生(漫画家、『島耕作』シリーズ作者) テーマ:「漫画から学んできたこと」 ◇2018年5月26日(土)第二部(8:00~受付開始) 【招請講演1】8:40~9:25 表智之 (日本北九州市漫画ミュージアム専門研究員) テーマ:「研究者のネットワーク化とマンガ研究の進展-学会・地域・ミュージアム-」 【招請講演2】9:25~10:10 宣政佑 (韓国 Comicpop_Entertainment_President) テーマ:「韓国ではアジア漫画をどう見てきたか 」 【招請講演3】10:10~10:55 秦 剛 (北京外国語大学北京日本学研究センター教授) テーマ:「戦後日本最初の長編アニメーション『白蛇伝』における「中国」表象と「東洋」幻想」 【パネルディスカッション】11:10~12:10 テーマ:「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」 【招請講演4】A会場 13:20-14:05 梁世佑(台湾U-ACG/旭傳媒科技(股)創弁人) テーマ:「台湾のオタクにみる日本アニメの受容と変化:作品の鑑賞、収集と行動」 【招請講演5】B会場 13:20-14:05 黄瀛洲(台灣動漫畫評論團體「?呼?同盟」召集人) テーマ:「未来を見据えた台湾アニメの発展」 【論文発表】14:10~17:10 各会場にて3本ずつ計18本論文発表を予定 【第1セクション】14:10~15:30  A1/B1/C1 会場にて論文発表 【第2セクション】15:50~17:10  A2/B2/C2 会場にて論文発表 詳細は下記リンクをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2018/10490/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第7回SGRAふくしまスタディツアー(2018年5月25日~27日、飯舘村) 「『ふるさと』に帰る…」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/10432/ ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月25日~26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2018/10490/ ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) 論文募集は終了しました。<オブザーバー参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Invitation to Nittai Forum #8 / Nikkan Forum #17 Report

    ********************************************** SGRAかわらばん721号(2018年4月26日) 【1】 第8回日台アジア未来フォーラムへのお誘い 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」 【2】 金雄熙「第15回日韓アジア未来フォーラム報告」 『北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く』 ********************************************** 【1】第8回日台アジア未来フォーラムへのお誘い 下記の通り第8回日台アジア未来フォーラム 並びに 東呉大学マンガ・アニメ文化国際シンポジウムを台北市で開催します。参加ご希望の方はSGRA事務局へご連絡ください。 ◆テーマ:「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性:コミュニケーションツールとして共有・共感する映像文化論から学際的なメディアコンテンツ学の構築に向けて」 開催日:2018年5月25日(金)午後3時~26日(土)終日 会場:東呉大学外双渓キャンパス第一教学研究棟普仁堂(大講堂) ●申込み・問い合わせ ※日本:SGRA事務局 sgra-office@aisf.or.jp ※台湾:東呉大学日文系 hua666@scu.edu.tw ●プログラム 2018年5月25日(金)第一部(15:00~受付開始) 【特別講演】15:30~17:20 ●弘兼憲史先生(漫画家、『島耕作』シリーズ作者) テーマ:「漫画から学んできたこと」 2018/5/26 第二部(8:00~受付開始) 【招請講演1】8:40~9:25 ●表智之 (日本北九州市漫画ミュージアム専門研究員) テーマ:「研究者のネットワーク化とマンガ研究の進展-学会・地域・ミュージアム-」 【招請講演2】9:25~10:10 ●宣政佑 (韓国 Comicpop_Entertainment_President) テーマ:「韓国ではアジア漫画をどう見てきたか 」 【招請講演3】10:10~10:55 ●秦 剛 (北京外国語大学北京日本学研究センター教授) テーマ:「戦後日本最初の長編アニメーション『白蛇伝』における「中国」表象と「東洋」幻想」 【パネルディスカッション】11:10~12:10 テーマ:「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新たな可能性」 【招請講演4】 A会場 13:20-14:05 ●梁世佑(台湾U-ACG/旭傳媒科技(股)創弁人) テーマ:「台湾のオタクにみる日本アニメの受容と変化:作品の鑑賞、収集と行動」 【招請講演5】 B会場 13:20-14:05 ●黄瀛洲(台灣動漫畫評論團體「?呼?同盟」召集人) テーマ:「未来を見据えた台湾アニメの発展」 【論文発表】 14:10~17:10 各会場にて3本ずつ計18本論文発表を予定 ●【第1セクション】14:10~15:30  A1/B1/C1 会場にて論文発表 ●【第2セクション】15:50~17:10  A2/B2/C2 会場にて論文発表 詳細は下記リンクをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2018/10490/ -・-・-・-・-・-・-・- ◆金雄熙「第17回日韓アジア未来フォーラム『北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く』報告」 2018年3月16日(金)、The-Kホテルソウルで第17回日韓アジア未来フォーラムが開催された。今回のフォーラムのテーマは、2016年2月に東京で開催された第15回日韓アジア未来フォーラム「これからの日韓の国際開発協力:共進化アーキテクチャの模索」、2016年10月1日に北九州で開催された第3回アジア未来会議の自主セッション「アジア型開発協力の在り方を探る」、そして2016年12月に仁川松島で開催された第16回日韓アジア未来フォーラム「日中韓の国際開発協力:新たなアジア型モデルの模索」における各議論を受け、「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」となった。今年の8月24日から同じ場所で開催する第4回アジア未来会議のプレ・カンファランスでもあった。 今後、北朝鮮の非核化問題がいかなる方式で解決されようとも、北朝鮮に対する開発支援はこれからの交渉プロセスや問題の解決以降において、韓国や日本を含め、国際社会が避けては通れない重要な課題である。今回のフォーラムでは、北朝鮮への開発協力に対する体系的な理解を深めるとともに、主なアクターたちの対北朝鮮支援のアプローチとその現状について議論し、新たな開発協力モデルの可能性を探った。 フォーラムでは、渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)の今西淳子(いまにし・じゅんこ)代表による開会の挨拶に続き、3名の専門家による報告が行われた。まず、孫赫相(ソン・ヒョクサン)慶熙大学公共大学院院長が「北朝鮮開発協力の包括的理解と多様なアプローチ」というタイトルで、北朝鮮開発協力をめぐる争点(食糧援助は必要か、援助の目的は何か、援助物資の引き渡し過程は透明か、援助活動におけるNGOの役割は何かなど)、北朝鮮開発協力の歴史と現状、そして市民社会(NGO)、国際機構、人道的支援、体制転換国の開発モデル、技術協力など多様なアプローチについて紹介した。 朱建栄(しゅ・けんえい)東洋学園大学人文学部教授は、「中国と北朝鮮の関係につむじ風――その変化に注目せよ」という題で、第二次大戦後の長きにわたって、北朝鮮を事実上、自国の安全保障の緩衝地帯と見做し、ピョンヤンに対して惜しまない経済支援を行ってきた中国が、北朝鮮の核開発に危機感を高めた2年前から「優先目標の非核化に経済関係を服従させる」政策を取り始め、2017年12月、空前に厳しい国連安保理の制裁決議にも同調したことに注目した。そしてピョンチャン冬五輪後、習近平政権は北朝鮮、及びTHAAD問題を抱える韓国との関係をどのように進めるかについて報告した。 文炅ヨン(ムン・キョンヨン)全北大学国際人文社会学部教授は、韓国と国際社会の北朝鮮開発協力について、その現状と評価について最新の状況を踏まえながら報告を行った。北朝鮮に対する支援は、他の開発途上国に対する支援とは異なり、支援の主体である韓国および国際社会にとってジレンマを抱える問題であるとした。また国際社会の対北朝鮮支援は人道的レベルの最小限の支援にとどまっており、対北朝鮮支援が始まって20年になる現在でも北朝鮮は依然として救護的性格の緊急支援が必要な状態であると強調した。さらに北朝鮮の非核化問題が進んだ場合、対北朝鮮支援の方向性として、人道的支援から開発協力への転換を模索する必要があると主張した。 コーヒーブレイクを挟んだ討論は、時間の制約でフロアーにオープンすることはできなかったが、それぞれの立場や専門領域を踏まえた内容の濃い議論が展開された。最後に、李鎮奎(リ・ジンギュ)未来人力研究院理事長により、タイムリーなテーマの選定に触れるコメントと閉会の辞で締めくくられた。今回のフォーラムは、最初「北朝鮮開発協力の理解-開発協力のフロンティア」というタイトルがついていたが、参加予定であった日本大使館の方が「開発協力のフロンティア」というサブ・タイトルでは参加しにくいということで変更した経緯がある。今西さんが開会の挨拶で述べられたように、日韓、そして日韓中のプロジェクトは、「なんだか面倒なこと」がとても多いが、それぞれの立場や利害を配慮しながら、目先の変化に惑わされず、地道に進めていくことが大事なのではないかと思う。 これからも、ポスト成長時代における日韓の課題と東アジアの協力について、実りのある日韓アジア未来フォーラムを進めていくためには、具体的な共通の課題について掘り下げた検討を重ねていかなければならない。目下北朝鮮の非核化局面でジャパンパッシング(日本排除)が言われたりするが、いうまでもなく、日本は朝鮮半島の非核化、平和体制の構築、北朝鮮開発協力において欠かせない存在である。今回のフォーラムでは、韓国や中国に比べ、日本の影が薄かったようにも思われる。次回のフォーラムでは、北朝鮮問題を含めて開発協力における日本のプレゼンスに注目しつつ、ここ3か年の成果をまとめあげるといいのではないかと思っている。 最後に17回目のフォーラムが成功裏に開催できるようご支援を惜しまなかった今西代表と李先生、そして8月24日からの第4回アジア未来会議の段取りと予行演習で韓国を訪ねた渥美財団スタッフの皆さんに感謝の意を表したい。 当日の写真は下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/photo-gallery/2018/10425/ <金雄煕(キム・ウンヒ)Kim_Woonghee> 89年ソウル大学外交学科卒業。94年筑波大学大学院国際政治経済学研究科修士、98年博士。博士論文「同意調達の浸透性ネットワークとしての政府諮問機関に関する研究」。99年より韓国電子通信研究員専任研究員。00年より韓国仁荷大学国際通商学部専任講師、06年より副教授、11年より教授。SGRA研究員。代表著作に、『東アジアにおける政策の移転と拡散』共著、社会評論、2012年;『現代日本政治の理解』共著、韓国放送通信大学出版部、2013年;「新しい東アジア物流ルート開発のための日本の国家戦略」『日本研究論叢』第34号、2011年。最近は国際開発協力に興味をもっており、東アジアにおいて日韓が協力していかに国際公共財を提供するかについて研究を進めている。 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第7回SGRAふくしまスタディツアー(2018年5月25日~27日) 「『ふるさと』に帰る…」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/10432/ ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2018/10490/ ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) 論文募集は終了しました。<オブザーバー参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Sun Junyue “Leaders of This Country ….”

    ********************************************** SGRAかわらばん720号(2018年4月19日) 【1】 エッセイ:孫軍悦「この国の指導者・・・」 【2】 寄贈本紹介:「古典「漢文」の教材研究」 ********************************************** 【1】エッセイ#565 ◆孫軍悦「この国の指導者、なんとかせなあかんと思うけど、ちゃうか?」 就活、婚活、妊活、保活、習活、終活……活きることに忙殺される時代で、私も久しく世間に眼を向ける余裕がなかった。 一歳の息子を保育園へ送る朝、国会議員が駅前で演説をしていた。改札を出て、信号を待ち、道路を渡った約2分のあいだ、彼は延々と天気の話をしていた。息子は、街頭演説があるたびに身を乗り出して熱心に聴いていた。でも、息子よ、今は天気の話だ、お前の未来の話ではないのだ。 保育園から出て喫茶店に入った。授業を準備するために魯迅の『阿Q正伝』を開いた。が、隣のおばちゃんが話しかけてきた。 「何してんの?お勉強?えらいなあ。今の時代は勉強せなあかんな。おばちゃんの娘も言っとったわ、英語があかんから、昇進できへんって。娘はもう40やけど、東京で一人暮らししてんねん。こないだ、娘は指が痛いから病院へ行ってん、先生は何の病気かわからへんから、とりあえず薬を出してくれはったんやけどな、家に戻ったら失神して倒れたんや。おかしいやろ。おばちゃんも、大きい病院へ精密検査でも受けてきいやって言ってるけどな、仕事が忙しいからいけへんって。こないだ、こたつに入って寝てたら、焦げくさい匂いがしたって、新しいのをこうたらええのに。近くにホームセンターあるんやろうか。おばちゃん心配やけど、でもいかへん。いったらじゃまになる。 あんた結婚してんの?あ、そう、子供もいてはるの?ご両親は?あ、そう、中国からきてるの。おばちゃんは偏見もってへんで。昔働いてたところにも中国人の子何人もおったわ。みんなええ子やった。中国もいま大変やなあ。あれ、なんちゅうの?あたりや?あれほんまにかわいそうやわ。自分から車にぶつけていくなんて。あれは、国の指導者なんとかせなあかんと思うわ。ちゃうか。日本には、こんなかわいそうなことはないわ。」 私は何か言おうとしたが、何も言えなかった。間抜けな愛想笑いをしただけだった。おばちゃんの言っていることは誠に正しい。魯迅はロシア語訳「阿Q正伝」の序文に、次のようなことを書いた。人と人との間に築かれた高い壁のせいで、われわれはいま他人の肉体的苦痛だけでなく、精神的苦痛でさえも感じられなくされてしまった。小説が出版された後、「病的だと思う者、滑稽だという者、風刺だと考える者、あるいは冷嘲だと受け止めた者もいて、自分でさえも、本当は心の中に恐ろしい氷塊が蔵されているのではないかと疑ってしまうほどだ。」「ただ黙って生き、萎れ、枯死していく」沈黙の国民の魂に、たとえいかなる固陋があったとしても、魯迅は単に諷刺、冷笑するために書いたわけではなかった。 止まっている車にわざとぶつかっていくあたりやの男性の滑稽な姿も、傷つけられたと嘘を付いて賠償金を迫り、無辜の少年を自殺に追い込んだ老婆の不誠実さも、現代中国の国民の魂にほかならない。それに同情の念が微塵もなく、道徳的退廃ばかりを嘆き、国の指導者の責任に思い至るどころか、むしろ国家のために弁解めいた言葉を無意識のうちに探している私の心にも、やはりいつのまにか、恐ろしい氷塊が蔵されたのではないか。 だが、おばちゃんよ、病院へ行く暇もなく働き詰めた娘さんが独りで焦げ臭いこたつに潜り気を失うなんて、この国の指導者もなんとかせなきゃあかんと思うけど、ちゃうか。耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んできたこの国の国民もその国の国民もあの国の国民も、もはや「国家」という高い壁を越え、他者の肉体的、精神的苦痛――それは紛れもなく自らの苦しみの鏡像に他ならないにもかかわらず――を思いやる余裕が持てなくなった。一度旋風が吹き荒れれば、赤でもグリーンでも熱狂する。このような現実ほど危機的な状況はあるだろうか。 喫茶店を後にして松屋に入った。一人の南アジア系の女性店員が水を注いでくれた。インド映画に出てくる女優のような大きな瞳だ。ある少年が食券を買い間違えたことを説明すると、彼女は首をかしげながら厨房に入った。5分ほど経つと、白髪のおじいさんが出て来て再び事情を聴いて厨房に入った。さらに5分経って、少年に小銭を握らせ、食券を買いなおすよう求めた。そういえば、この頃足繁く通った日高屋にも、日本人どころか、中国人の店員すらまだ一度も見ていない。大半東南アジア系の男性が中華鍋を振るっている。ここは、国籍も民族も性別も年齢も関係なく、低賃金の労働者と低所得の消費者が集う世界だ。グローバル時代の労働市場と消費市場には、中国人の作る毒餃子を日本人が食する、日本人の創る商品を中国人がボイコットできる、という阿呆な空想は通用しない。私がテレビ番組のプロデューサーなら、彼ら、彼女たちにマイクをむけたい。YOU、何をしに日本に来たの?YOU、日本に住み続けた理由は?YOU、どうして悠々自適の老後を楽しまず、こんなところで働いているの?YOU?YOU?YOU? 粒らの瞳の女性店員が作ったキムチチゲを平らげたとき、少年はまだお茶を啜りながら静かに待っていた。 コンビニに寄ると、名札に「リウ」とある青年が手早く商品の陳列をしている。時給820円、819円の最低賃金より一円高い。東大赤門前の瀬佐味亭のラーメンは一杯800円。税抜き価格なら、彼が1時間荷卸し、レジ打ち、声掛けしても、セサミンたっぷりのラーメン一杯が食べられないということだ。彼の納めた税金の一部は、沖縄県民の怒号のなかでオスプレイの配備に使われ、原発反対の住民の不安をよそに東電の事故処理に潰えてしまう。160円の交通代を節約するために一駅も二駅も歩く人は、1兆6000億の五輪開催費となると、訳が分からなくなる。滝川クリステルさんにもう一度やってほしい。「お・も・て・な・し」、「もっ・た・い・な・い」と。 年の瀬の北風は骨に沁みる。今夜雨が降りそうだ。明朝あの国会議員はまた駅前で天気の話をするだろう。彼に一言伝えてもらいたい。この国の指導者、いや、この世界の指導者たち、なんとかせなあかんと思うけど、ちゃうか。(2016年12月初稿、2018年3月改稿) <孫軍悦(そん・ぐんえつ)☆Sun_Junyue> 2007年東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。学術博士。現在、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部専任講師。専門分野は日本近現代文学、日中比較文学、翻訳論。 -・-・-・-・-・-・-・- 【2】寄贈本紹介 SGRA会員で早稲田大学講師の李軍さんから共著書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆堀誠編「古典「漢文」の教材研究」 古文嫌い・漢文嫌いの高校生の度合いは七割を超え、いわゆる理数の教科を押さえてトップである。 こうした教育環境の中で、古典の漢文教材がどのように採られ、学ばれているか。また、高等学校で「国語総合」が共通必履修科目となり、古典学習が必須となる環境の中で、どのような教材学習の可能性が見出しうるか。よりよい国語教育の観点から課題を考えていく。 著者:堀誠編著 発行所:学分社 シリーズ・巻次:早稲田教育叢書36 出版年月日:2018/03/30 ISBN:9784762027901 判型・ページ数:A5・168ページ 定価:本体1,800円+税 詳細は下記リンクをご参照ください。 http://www.gakubunsha.com/book/b356962.html ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第7回SGRAふくしまスタディツアー(2018年5月25日~27日) 「「ふるさと」に帰る…」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/10432/ ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<ご予定ください> ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) 論文募集は終了しました。<オブザーバー参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Invitation to SGRA Fukushima Study Tour #7

    ********************************************** SGRAかわらばん719号(2018年4月12日) ********************************************** ◆行って、見て、感じて、考える―第7回SGRAふくしまスタディツアーへのお誘い 関口グローバル研究会(SGRA)では2012年から毎年、福島第一原発事故の被災地である福島県飯舘村でのスタディツアーを行ってきました。そのスタディツアーでの体験や考察をもとにしてSGRAワークショップ、SGRAフォーラム、SGRAカフェなど、さまざまな催しを展開してきました。 今年も第7回「SGRAふくしまスタディツアー」を行います。 参加ご希望の方は、SGRA事務局へご連絡ください。 テーマ:「「ふるさと」に帰る…」 日 程:2018年5月25日(金)、26日(土)、27日(日) 人 数:10~15人程度 宿 泊:「ふくしま再生の会-霊山(りょうぜん)センター」 参加費:一般参加者は新幹線往復費用+12,000円(※ラクーン会会員には補助が出ます) 申込み締切:5月10日(木) 申込み・問合せ:SGRA事務局 角田 E-mail: tsunodaaisf@gmail.com  Tel:03-3943-7612 【プログラム】プログラムは現地の状況を見ながら進めます ■1日目:5月25日(金) 朝:午前9時頃 東京⇒福島(新幹線) 午後:飯舘村内の視察・見学 夜:飯舘村住民、ふくしま再生の会のメンバーとの語らい 「新しい「ふるさと」をつくる」(菅野宗夫) 「ふくしま再生の会の活動/何を目指すのか」(田尾陽一) ■2日目:5月26日(土) 午前:飯舘村内の視察・見学 新しい村づくりプロジェクトの見学:太陽光発電+牛の放牧、花のハウス栽培、酒米作り 午後:飯舘村の方々との対話 飯舘村佐須市区老人会:菅野永徳「「新しいふるさと」づくり。地域の文化をどう残すか」 夜:地域住民との懇親会・若い世代との語らい「今、本当に必要なこと」 ■3日目:5月27日(日) 午前:「田植え」飯舘村、再生の会の方々との協働作業 午後:午後4時頃 飯舘⇒福島、福島⇒東京(新幹線) ★食事は自炊します!お料理自慢の方、自分の国の料理を作りたい方、大歓迎です! ★ツアーの安全性について: 1.飯舘村の活動地域の放射線量は低くなり、飯館村内では徐々に住民が帰還しはじめています。 2.ツアーには放射能問題の専門家が同行し、放射線量が高いと思われる場所での活動は行いません。 3.一人一人が放射線測定器を持ち、自分で計測し、ポイントごとに安全を確認しながら行動します。 プログラムの詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/04/FukushimaStudyTour7.pdf 今までのSGRAふくしまスタディツアーの報告や感想文は下記リンクよりお読みいただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/tour/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第7回SGRAふくしまスタディツアー(2018年5月25日~27日) 「「ふるさと」に帰る…」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/10432/ ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<ご予定ください> ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) 論文募集は終了しました。<オブザーバー参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Sim Woohyang “Camino de Santiago, a Long 800km Way”

    ********************************************** SGRAかわらばん718号(2018年4月5日) ********************************************** SGRAエッセイ#564(私の日本留学シリーズ#18) ◆沈雨香「サンティアゴ巡礼の道、800㎞の道のり」 カミノ・デ・サンティアゴ(Camino_de_Santiago、スペイン巡礼の道)は、フランスのサン・ジャン・ピエ・ド・ポル(Saint_Jean_Pied_de_Port)からスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago_de_Compostela)までの800㎞の道である。1000年以上の歴史があるとされているこの道は、元々は聖ヤコブのゆかりの聖地を巡礼する宗教的なものだったのだが、今日は様々な目的の人々がそれぞれの思いを背負い、道に立っている。この道を歩く人は巡礼者と呼ばれ、800㎞を一か月ほどかけてひたすら歩く。私は2013年、今までの自分を振り返り、これから自分が歩む方向を考えるためこの道の上に立った。 当時私は修士2年で、博士進学と今後の自分の進路について、色々頭を悩ませていた時期であった。そもそも私は歩くことが大好きで、普段から何かを考える時はよく散歩をしていたので、1か月間、非現実的な環境で、ひたすら歩きながら考え事ができる贅沢な時間に大きな魅力を感じた。それがわざわざ遠いスペインまで行き、800㎞を歩く苦労を買った理由である。結果的に、巡礼の道はかけがえのない思い出として私の人生に大きな影響を及ぼした。美しい景色、今も良き友達である巡礼者仲間を含め、当時の記憶は2018年の今も色あせず、焼き付けられたかのように鮮明なものである。そして、この800㎞があったからこそ、私は博士課程に進学し、博士論文が書けていると言っても過言ではない。 とはいえサンティアゴまでの道のりは辛いものであった。ただただ歩くだけだったのに、それを毎日8時間ほど繰り返すと、両足には大きな水ぶくれがあちこちにできで、圧迫され続けた小指の爪は黒く変色し、結局剥がれてしまった。生活用品、着替え、水、寝袋など長期の旅に必要な物を詰め込んだ12㎏のバックパックをずっと背負っていた肩も、腰も、ひざも足首も痛み、終盤には鎮痛剤を飲まないと痛くて歩けないほどであった。大変だろうとは思っていたものの、私の想像をはるかに超えるつらさだった。あまりのつらさに、「私何やってるんだろう。なんでこんなつらい思いしているんだろう。やめようかな。早く終わらないかな。私にはもう無理かな。」と何度つまずいて、何度思ったことか。 しかし、実際私の選択肢に諦めは無く、当然のことながら、サンティアゴに着くには毎日黙々と約25㎞を重ねることしかない。最後は「もうこんなつらい思いをしたのだから、絶対サンティアゴ行ってやる!行ってこのつらさの先に何があるかこの目で見てやる!サンティアゴがこんな苦労する価値があるものだったのか確かめてやる!」との思いで歩き続けた。そして、32日目、到底着けそうになかった目的地、サンティアゴについに到着した。しかし、サンティアゴそのものに私は何も感じられなかった。そう、サンティアゴそのものには意味があるわけではない。そして気づいた。大事なのは過程、私が毎日いろんな思いで苦しみながら歩いた一歩一歩、歩きながら感じた事、考えた事、出会った人々そして交わした会話、共にした時間。私が800㎞を歩いた意味はその過程を経ることであった。大事なのは目的とその結果そのものではなく、そこまでたどり着く道のりにあること、その過程であることを痛感した瞬間であった。 そして、2018年の私はまたとてもとてもつらい道の上に立っている。ただただ自分の頭にあるものを文字にしていく作業の繰り返しが、この上なく苦しくてつらい。「私何やってるんだろう。なんでこんなつらい思いをしているんだろう。やめようかな。早く終わらないかな。私にはもう無理かな。」と何度つまずいて、何度思っているか。しかし、今はただただ一字一字を書いていくしかないこと、それが重なって博士論文という目的地に着けること、そしてこの過程が何よりも大事であること、この道のりそのものが大きな意味をなしていることをわかっている。だから、今日もまたパソコンに向かう。 <沈雨香(シン・ウヒャン)Sim_Woohyang> 2017年度渥美奨学生。2008年来日。早稲田大学教育学部卒業後、同大学教育学研究科で修士課程修了。現在は博士課程に在籍し博士論文を執筆しながら、早稲田大学教育・総合科学学術院の助手に着任。専門は教育社会学。中東の湾岸諸国における高等教育の研究を主に、近年の日本社会における大学のグローバル化とグローバル人材に関する研究など、高等教育をテーマにした研究をしている。 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第7回SGRAふくしまスタディツアー(2018年5月25日~27日) 「『ふるさと』に帰る…」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2018/10432/ ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<ご予定ください> ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) 論文募集は終了しました。<オブザーバー参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • KABA Melek “Strange Problem of Identity”

    ********************************************** SGRAかわらばん717号(2018年3月29日) ********************************************** SGRAエッセイ#563 ◆カバ・メレキ「不思議なアイデンティティ問題―悩み相談か日記かわからない私事の話―」 アイデンティティの問題から書き出したら、何だか人文社会学の研究者が「米国におけるアフリカ系移民」とか、最近でいう「トルコのシリア人移民問題における子供たちのトルコ語教育」のような内容が期待されるような気がする。 そうではなく、長期日本滞在者の帰国後のアイデンティティの問題が気になるのである。渥美国際交流財団、つまり我々が言う「渥美の家族」の中には、博士課程の数年ほどの時間を日本で過ごした者もいれば、もっと長く日本に居た者もいる。私の日本滞在は13年に及んだ。大学が終わって文部科学省の奨学金の受験を経て日本に行ってみたら日本の文化と人がとても好きになり勉強しながらずっと日本に居た。研究生や大学院は9年間、そして育児は2年間、その後仕事体験2年未満といったような流れで、学者の生活、社会人の生活、仕事体験、あれもこれも全部日本で体験した。女性の身なら良くわかる結婚、出産や育児体験までも同じ。そのような体験を経て自国愛とも言うべき理由と親の面倒を見たいという責任感の混じりあったところで帰国を決心した。人はどうせ体力よりも気持ちで動くから。帰国後はトルコ中部カッパドキアの大学の日本語日本文学専攻科で教え始めた。 ずっと日本語のみだった日常会話、人々の間のほど良い距離感と尊敬しあう態度、ゴミのない道、ウォシュレット便座まで、そして仕事に本当に忠実な態度からお好み焼きや湯豆腐まで私の日本の生活の中で大好きだった物事が急にどこかへ消えた。ここトルコはここなりにゆっくりした生活で子供の時間も取れるし、勤務時間もさほど厳しくはなく余裕がある。大学の先生というものはトルコならかなり楽で「カッコイイ」仕事だ。親もとても喜び、まだ一人しかない孫の顔を頻繁に見て、その成長を見守ることができて本当に嬉しそう。 しかし、楽な仕事をしても何か喪失感のような、電車の中で書いたばかりの論文とか何かを忘れ物した時のような、または何か「ありがとう」と書くときに最後の「う」を打ち忘れたような気がしてしまう。私の忘れ物は何だろう。 日本にいた時にも色々と問題を抱えることはどの外国人にもあった。何もなくても品川の「入国管理局」にいってビザの更新がある、東京だと建物ばかりで土も空も見えない、それに外国人だからいつもこの土地の人間ではないという帰属感の不在、ゴミの分別は8種類もありペットボトルのキャップとラベルを外して出すとか、詳細にこだわらなければならない生活上のやり取りも多かった。ただ、我々「日本のクレオール」はそれにはもう慣れていたのが問題である。「慣れ」が一番恐ろしいと言われる。自分の国にいてもその生活のリズムに「慣れない」ということはやはり苦になる時がある。 そんな日本が懐かしくなっていたある日突然、日本にいる友達から花見の写真が送られてきたら涙が勝手に出てきたのが自分ながら驚きと孤独感を感じさせた。 ある日カッパドキアに来た日本人の親子が迷子になっていたので道案内をした。結局自宅に呼びご飯も一緒に食べた。そのお母さんと日本語で話せて不思議な気持ちが胸に一杯入ってきた。私は何者なのか。トルコ人であれば、こう感じるトルコ人はそんなにいるのか。最初から日本人でもない。母国語、身体から国籍や目の色まで大分違う。自分は周りのトルコ人に「日本人化した」トルコ人として見られる。私の行動パターンは一般的なトルコ人とは何だか違うと言われたことも数回あった。日本人から見ればドナルド・キーンが日本国籍を取っても日本語が大好きな「アメリカ人の身体」として目に映るような気がする。人間の気持ちがその額とか体のどこかに文字とかで表記されるような身体の仕組みがあったら、ドナルド・キーンの自己意識がすぐに分かることができたような気がする。もしかしたら一つ以上の文化が一人の人間の中に共存することが本当に可能なのかもしれない。 私と同じような気持を胸の中で一杯感じている「渥美」の誰かがいるかも知れない。また今度新年会か軽井沢で会いたいと思う。その日までお互い、日本文学とトルコ文学における西洋化の問題を比較して考察したり、自国のどこかの雑誌に論文を投稿したり、アイデンティティの問題を考えたり、国境というものの必要性があるのかどうかについて考えたりなどをして頑張りたい。 <カバ・メレキ KABA_Melek> 渥美国際交流財団2009年度奨学生。トルコ共和国ネヴシェル・ハジュ・ベクタシュ・ヴェリ大学東洋言語東洋文学部助教授。2011年11月筑波大学人文社会研究科文芸言語専攻の博士号(文学)取得。白百合女子大学、獨協大学、文京学院大学、早稲田大学非常勤講師、トルコ大使館文化部/ユヌス・エムレ・インスティトゥート講師を経て2016年10月より現職。 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<ご予定ください> ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) 論文募集は終了しました。<オブザーバー参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************