SGRAメールマガジン バックナンバー

TAN Tianyang “Dreams Realized Through Study Abroad”

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SGRAかわらばん1003号(2024年2月15日)

【1】エッセイ:譚天陽「留学を通じて実現した夢」

【2】第21回SGRAカフェ「日本社会における二重国籍の実態」へのお誘い(2月17日、東京+オンライン)最終案内
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【1】SGRAエッセイ#756

◆譚天陽「留学を通じて実現した夢」

初めて日本に来たのは大学3年生の時です。大学の派遣留学プログラムを通し、鹿児島大学に留学することができました。

鹿児島大学では半年くらいの生活しか送りませんでしたが、とても印象深く、今でも忘れてはいません。その頃、初めての留学生のほとんどは日本語授業を中心に勉強していましたが、私は法学部の授業を積極的に取りました。そのおかげで、日本の法律はどのようなものなのかということに触れることができました。特に中国の法学部にはないゼミナールという授業形式に参加することで、グループワークや議論の大切さを初めて認識。そして、レポートの提出を重ねることによって、先生たちとの関係も深まりました。

帰国後、大学4年生になり卒業論文の執筆を始めました。日本と中国の法律の比較研究に先立ち、日本語論文の文献調査が必要でしたが、鹿児島大学でお世話になった先生から、貴重な情報を提供していただき先行文献を手に入れ、卒業論文を無事に完成することができました。母国では、一人の先生が担当する学生が多いため、丁寧な個人指導やゼミで議論してくれたり、帰国後もメールで親切に対応し調べてくれたりする先生はなかなかいません。

卒業論文を経験することで、さらに研究しようという意欲が生まれ、卒業後、日本へ再び留学することを決めました。研究生の半年間と修士課程の2年間を終え、修士論文が完成。日本文化をさらに理解し、研究を深めることができた2年半でした。学校でティーチングアシスタントなどを担当し、学会へ参加し、数々の学者の先生方と交流することで、日本の文化だけでなく、自分が目指すべき方向を見つけることができました。さらに奨学金を通じて財団の関係者及び先生、他大学の優秀な研究者と交流し、国際交流の大切さを認識することができました。感動と感謝の気持ちでいっぱいです。

留学生にとって、日本人と同様に学会へ参加し、懇親会などで先生たちと交流したり、ゼミで外国人でありながら後輩をサポートしたり、そして学校及び財団から経済的な支援を受けたりできたことはとても貴重でした。昨今、日本はたくさんの海外留学生を受け入れ、どの分野においても優秀な研究者が存在しています。自分も日本だけでなく各国から来日した優秀な研究者たちと深く交流することで、国際的な水準に達する研究を目指していきたいと思って、さらに博士後期課程に進学しました。

修士課程では、母国の中国と日本の比較研究だけだったのに対し、博士論文では世界の複数の国・地域での関連法制度を検討の材料にすることができました。さらに、海外の学会に参加して現地の学者と交流したり、学会のみならず、実務家の方とのつながりを深めたりすることで、博士論文だけでなく、人生の見方にも深く影響を与えてくれました。

修了後、私は日本の大学で研究を続ける予定です。この数年間を振り返ってみると、夢が次から次へと実現できました。学部時代は海外で学位を取得すること、修士課程の頃は研究者になることが夢で、博士後期課程では、これらの夢を実現することができました。今の夢といえば、自分の研究が世界に影響を与えることで、夢がかなうよう頑張っていきたい。

<譚天陽(たん・てんよう)TAN_Tianyang>
早稲田大学比較法研究所助教。2022年度渥美国際交流財団奨学生。2023年3月一橋大学大学院法学研究科博士号(法学)取得。知的財産法(特に著作権法)の研究をしている。

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【2】第21回SGRAカフェ「日本社会における二重国籍の実態」へのお誘い(最終案内)

下記の通り第21回SGRAカフェを会場及びオンラインのハイブリット方式開催いたします。参加をご希望の方は、会場、オンラインの参加方法に関わらず事前に参加登録をお願いします。

テーマ:「日本社会における二重国籍の実態 複数国籍保持者に対するスティグマ付与と当事者らの実践」
日 時: 2024年2月17日(土)14:00~16:30
方 法: 会場及びZoomミーティング
言 語: 日本語
申 込: 下記リンクからお申し込みください
http://bit.ly/48hqt2o

お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)

■ フォーラムの趣旨

政治家やスポーツ選手等の「二重国籍問題」が炎上しやすい日本社会。日本国籍だけを保有する人々だけが「国民」なのだろうか。「外国人」と「国民」の境界線に居ながら日本社会で生きている多くの人たちは、どのような葛藤を抱え「二重国籍」と向き合っているのか。今回のSGRAカフェでは、このような問いをみんなで考えていきたい。
日本の国籍法は、国籍唯一の原則を取り入れているが、それは複数国籍保持の禁止又は違法性を意味するのだろうか。国籍法をめぐる様々な誤解を解いた上で、国籍唯一の原則が導入された背景を考察する。また、国際的動向に逆らって、日本では複数国籍容認への動きが全く見られないだけではなく、むしろ過去15年間、行政による複数国籍防止対策が以前より徹底されているようにさえ窺える。この動きの背景は何か。
最後に、複数国籍保持者の当事者らはどのような問題に直面し、どのような実践を繰り広げているのか。国際結婚によって生まれた人たち、帰化を経て日本国籍を取得した人たち、外国籍を取得した海外居住中の元日本国籍保持者の事例から、国籍選択制度や国籍喪失/はく奪条項等をめぐる各個人の実践と、近年の動きを検討していく。

■ プログラム

14:00 イントロダクション:「多くの誤解を生んでいる日本の国籍法」
コーベル・アメリ(獨協大学特任講師)

14:10 基調講演:「日本社会における複数国籍の実態―放置主義から摘発強化への政策転換」
武田里子(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員)

14:55 話題提供1「日本における国籍と社会福祉及びソーシャルワーク」
ヴィラーグ・ヴィクトル(日本社会事業大学准教授)

15:05 話題提供2「国際-国家、そして家族史における国籍」
金崇培(国立釜慶大学助教授)

15:15 話題提供3「日本と中国の間で起きている国籍問題」
高偉俊(北九州市立大学国際環境工学部教授)

15:35グループディスカッション

16:05ディスカッション結果の共有
司会/モデレーター: コーベル・アメリ

16:30 閉会

プログラムの詳細
https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2024/01/SGRACafe21Program.pdf
ポスター
https://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2024/01/SGRAcafe21v2-1.jpg

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