SGRAメールマガジン バックナンバー

  • Ogawa Tadashi “Economics and Religion Practice”

    ************************************************ SGRAかわらばん810号(2020年3月12日) 【1】エッセイ:小川忠「経済学と宗教実践―壁を乗り越える試み」 【2】寄贈本紹介:三谷博著『日本史のなかの「普遍」』 ************************************************ 【1】SGRAエッセイ#623 ◆小川忠「経済学と宗教実践―壁を乗り越える試み:円卓討議『東南アジア文化/宗教間の対話』に参加して」 第5回アジア未来会議の円卓討議B「東南アジア文化/宗教間の対話」の表題は「宗教は市場経済の暴虐を止められるか」というものだった。いささか粗削りなテーマ設定ではある。今日の世界が置かれている政治状況は、この一文で表現できるほど単純なものではない。それでも国際協調の精神が危機に瀕している今だからこそ、経済学、政治学、文化人類学、宗教学という専門の垣根を越えて集まり、世界が抱えている問題について議論することが必要である。そして行動が必要である。 まさに単刀直入に、会議冒頭で名古屋大学の平川均名誉教授が、そういう問題提起を行った。東南アジアは数十年わたり驚異的な経済発展を遂げ、貧困を削減し膨大な中間層を創出してきた。しかし強い光は、深い闇をも生む。こうした発展は、グローバル資本主義に一層組み込まれることを意味し、経済成長の果実を享受できる者と享受できない者との格差を拡げ、深刻な環境破壊をもたらした。 「グローバル資本主義が行き詰まりを見せるなか、明日を切り開くカギが過去に隠れているのではないか」「もう一度、アジア各地で息づいてきた宗教、伝統文化のなかに、新たな経済のかたちを考えるヒントがあるのではないか」「タコつぼ化した専門分野の壁を乗り越え、全体知の復権を構想しよう」と平川氏は参加者に呼びかけた。経済学の権威が、今日の経済学の限界をこれだけ率直に語るのは衝撃的であり、その誠実な問いかけは、各参加者の胸に深く届いたと確信する。 平川氏に続いて、基調講演を行ったのはフィリピン歴代大統領の経済顧問を務めてきたフィリピンを代表する経済学者、アジア太平洋大学のバーナード・ヴィレガス教授である。ヴィレガス氏は、国際間の貧富格差、そして一国内で広がる貧富格差、公職にあるものの汚職、ビジネスリーダーたちの社会貢献意識の低さを問題視した。政財界の指導者たちが、人々の公益をかえりみることなく、利潤を追求するのみでは社会的紐帯は成り立たないことを指摘した。他方、消費者も、自分の消費行動が地球環境にどのような影響を及ぼしているのかを考える想像力をもつべきと訴えた。 つまり健全な経済には社会倫理が不可欠であり、そうした社会倫理の土台となるのが、宗教や文化的価値観なのである。ヴィレガス氏の講演を聴いて思い浮かんだのは、渋沢栄一の道徳経済合一論である。 今から100年ほど前に、日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一は著書『論語と算盤』のなかで、利益は独占するものではなく、社会に還元すべきものであると説き、「富を為す根源は仁義道徳」と論じていた。あらためて『論語と算盤』をアジアの人々と一緒に読み直し、語り合いたいと感じた。 経済学の限界、新自由主義経済の閉塞状況に関する、平川・ヴィレガス両経済専門家の問題提起を受けるかたちで、世界の三大宗教(仏教、イスラム教、キリスト教)を基盤に社会的に行動し続けている知識人3人が、それぞれの立場からの発表を行った。 最初のプレゼンテーションは、フィリピンのシスター・メアリー・マナンザンである。彼女はマニラのベネディクト派女子修道院の院長にして、フェミニスト市民活動家でもある。シスターは「女性の貧困」に焦点をあて、フィリピンにおける女性の貧困の原因として、不平等な利益分配、土地と資本所有の不平等、外国資本の経済支配等をあげ、男性以上に女性のほうが、寿命・健康・教育・生活水準・政治参加等の面で抑圧的環境に置かれていることを指摘した。そのうえで、伝統的な教会の家父長的・西洋優越主義的イデオロギーが女性に屈従を強いてきた、と既存の教会のあり方を手厳しく批判した。そのうえで、女性の置かれている状況を変えていくためには、経済的な支援のみならず、ジェンダー平等の観点から女性を精神的に解放し、自己肯定感を持たせていくことが大切で、そこに宗教が果たすべき役割があるという。 次に発表したのは、タイの仏教に根差した平和・人権市民活動家のソンブン・チュンプランプリー氏である。仏教NGO「関与する仏教(社会参加仏教)」国際ネットワークの専務理事を務め、タイ、ラオス、カンボジア、ミャンマーでの草の根市民運動を組織している。 21世紀に入ってタイの政治は、タクシン派と反タクシン派の対立が民主主義を機能不全に陥らせ、軍政支配の復活を招きいれてしまった。分断はタイ国民の多くが信仰する仏教にまで及んでいる。仏教は、本来は暴力を戒める平和な宗教とみられているが、仏敵を倒すためには暴力行使も是とする過激僧がアジアの仏教界に現れ、物議をかもしている。 ソンブン氏は、ブッダが説いた「中道」の教えに立ち返り、過激を排し、貪欲と憎悪を捨て去ることが、現代の仏教徒に求められていると述べた。市場経済の暴走をくいとめる知恵もブッダが説いた価値のなかにあり、それは自立、自分と社会との調和、小規模な自給生活、自然との共生、瞑想、我執の消滅といったものである。「関与する仏教(社会参加仏教)」とは、このような価値に基づいて、人権抑圧、経済搾取、自然破壊に異議を唱え、人間の苦の根本にある強欲、敵意、無知に向き合うことを目指す実践的な仏教のあり方を指す。 ソンブン氏らの「関与する仏教(社会参加仏教)」は、今日の世界が置かれている状況に照らした仏教教義の創造的解釈といえよう。 インドネシア国立イスラム大学ジャカルタ校のジャムハリ副学長は、世界最大のイスラム教徒人口を擁する多宗教国家インドネシアにおいて、多数派のイスラム教徒が次第に少数派への寛容性を失い、少数派へのハラスメントを増大させている状況に警鐘を鳴らす報告を行った。同大学付属機関「イスラムと社会研究センター」が2017年に全国2000人を超える高校生・大学生・教員を対象に行った調査によれば、回答者の34%が少数派宗教への差別を是とし、23%が自爆テロを聖戦(ジハード)として許容すると答えたという。 インドネシアは21世紀半ばから高い経済成長率を維持し、今や国民の半数以上が中間層となった。中間層の拡大とともに、学歴社会化、デジタル社会化も進んでいる。先のアンケートに答えた高校生、大学生はインドネシア経済の躍進が生んだ新中間層の申し子ともいうべき存在である。都市部の、高学歴の中間層の若者が、なぜ他者への寛容性を失い、一部過激化するのか。これは、インドネシアだけでなく先進国の民主主義も、同じ問題に直面している。 ジャムハリ氏は、その理由の一つとして、経済発展とグローバリゼーションの加速化による伝統的な地縁・血縁社会の弱体化、共同体から放り出され厳しい競争にさらされている個人のアイデンティティー不安の問題を挙げた。 翌日、私がモデレーターをつとめた分科会セッションでは、宗教・倫理と経済の調和を図る試み、ケーススタディー報告を参加者にお願いした。前述したタイのソンブン氏は、仏教内部の寛容派と非寛容派の亀裂が深刻化するなかで、仏教内部の対話の重要性を指摘し、非寛容派仏教リーダーとの対話例を紹介してくれた。 フィリピン大学ロス・バニョス校で農業・応用経済を教えるジーニィ・ラピナ助教授はリベリア、ブルンジ、スーダンでUNDPの農村開発プロジェクトに携わってきた実践経験をもつ。彼によれば、農村開発において、その土地の文化・宗教を考慮に入れる必要があり、部族ごとのアイデンティティーに細分化され、時にそれが反目しあうなかで、対峙する共同体が共に利益を分かちあう共通インフラを作ることが、敵対意識軽減に効果的であると説明した。 インドネシア国立イスラム大学ジャカルタ校教員で歴史研究者アムリア・ファウジアは、社会的弱者への短期的な救援・支援を指す慈善(チャリティー)と長期的な自立を促すフィランソロピーの違いを論じ、インドネシア・イスラームには慈善とフィランソロピー両方の伝統が存在することを説明した。彼女によれば、インドネシア・イスラームにおいて活発なフィランソロピー活動が行われており、それが社会のセーフティ・ネットになっているという。一例として、私有財産を放棄し公益に資するためにモスク等に寄進し基金とする「ワクフ」と呼ばれる、欧米の財団制度に似たイスラム公益制度がある。アムリア氏は、インドネシアのワクフの全体像を描いた優れた論文を発表している。 最後に印象に残ったコメントを書きとめておきたい。冷戦時代、半世紀に渡り共産主義と戦ってきた、資本主義の牙城アメリカにおいて、近年共産主義・社会主義になびく若者が増えているという。「共産主義は死んだのか」とベレガス教授に聞いてみた。彼の答えは、「経済理論としての共産主義の命脈は尽きた。しかし社会的弱者への視線、公平・公正な利益分配というイデオロギーとしての共産主義は、依然として顧みる価値がある。」 共産主義は宗教を否定するといわれるが、階級のない平等な世界というユートピアを設定する共産主義は、それ自体が宗教的でもある。「人はパンのみにて生きるにあらず。」極度に数式化、理論化した経済学が行き詰まりを見せるなかで、宗教の復権現象が世界中で起きているのは、別個の現象に見えて、地下水脈のようにつながっているような気がする。 円卓会議の写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/photo-gallery/2020/15115/ <小川 忠(おがわ・ただし)OGAWA_Tadashi> 2012年早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士。1982年から2017年まで35年間、国際交流基金に勤務し、ニューデリー事務所長、東南アジア総局長(ジャカルタ)、企画部長などを歴任。2017年4月から跡見学園女子大学文学部教授。専門は国際文化交流論、アジア地域研究。 主な著作に『ヒンドゥー・ナショナリズムの台頭 軋むインド』(NTT出版)2000、『原理主義とは何か 米国、中東から日本まで』(講談社現代新書)2003、『テロと救済の原理主義』(新潮選書)2007、『インドネシア・イスラーム大国の変貌』(新潮選書)2016等。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】寄贈本紹介 SGRA会員で跡見学園女子大学の三谷博教授よりご著書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆三谷博著『日本史のなかの「普遍」:比較から考える「明治維新」』 日本史が日本だけでなく世界に開かれるためのその方法論と分析視角を提示する。近世後期から明治維新にかけての日本を素材に、その普遍性と特殊性をとらえ、比較史の観点から歴史を意識的にみる。言語と史料の境界を越え、日本史のより深い理解と、新たな問題設定の可能性を追究する。 タイトル:『日本史のなかの「普遍」:比較から考える「明治維新」』 著者:三谷博 出版社:東京大学出版会 出版年月:2020年1月30日 判型:A5 ページ数:392頁 ISBN:978-4-13-020157-5 詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.utp.or.jp/book/b488169.html ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Wu Xiaoxiao “Nagasaki, surrounding the ability to take action”

    ************************************************ SGRAかわらばん809号(2020年3月5日) 【1】エッセイ:武瀟瀟「行動力にまつわる長崎」 【2】寄贈本紹介:李テイ著『日本語教育におけるメタ言語表現の研究』 ************************************************ 【1】SGRAエッセイ#622 ◆武瀟瀟「行動力にまつわる長崎」 長崎についたのは午後でした。雨が降ったり止んだりしていて、出島と大浦大聖堂を見学し、夕食を済ませてホテルについたころにはもう7時半をすぎていました。稲佐山へ夜景を見に行こうと思っていましたが、疲れと雨のせいか、心が揺れ始めました。長い時間をかけて、行き方を調べました。ネットでは色々アクセス方法が書かれていますが、結論から言えば「車がないと難しい」「公共交通機関よりツアーバスがオススメ」とのことでした。夜に市営バスの本数も少ないし、帰る道も心配だし、「明日行こう」、「夜景なんか見なくてもいい」、そう自分に言い聞かせて諦めさせようとしました。 いつの間に、やりたいこと、欲しいものがあっても、始まる前に自分を諦めさせる習慣を身につけたのでしょう。下調べをしすぎ、考えすぎてしまい、結局自分の足枷になります。あるいはやるべきことが山積みで、やらなければならないと知りつつも、先延ばしにしてしまいます。時間がたてばたつほど、行動に移すためのエネルギーが膨大になります。また、先延ばしによって、約束を守れないことになってしまい、そこから罪悪感と恐怖心が生じ、さらに金縛りのように身の動きが取れなくなります。まるで駝鳥のように、迫ってくる「敵」から目をそらして砂の中に逃げます。このように、行動力に欠けることによって、先延ばしにするストレスと自己嫌悪から、さらに行動力が消えていくといった悪循環に陥ります。ですから、「明日行こう」とすれば、百パーセント翌日に行かないことが分かっていました。 結局ネット上のルートに一切従わず、ただ携帯のマップを手にして、ホテルを出ました。 日本語では「方向音痴」という表現があります。方角と聴覚、空間と音、一見無関係ですが、「建築は凍れる音楽」の比喩を思い出せば、実に絶妙な表現だと感心しました。徒歩から路面電車、徒歩からバス、また徒歩からロープウェイ、時には真逆の方向へ行ってしまったり、駅が見つからなかったり、気が付いたら同じ場所を何回もぐるぐる回っていました。しかし、不思議なことに、ホテルから第一歩を歩き出したら、恐怖や不安はだんだん軽くなり、ストレスも消える一方でした。 ロープウェイから降りたとき、遠方から歓声が聞こえ、山麓に大勢の人が動いているのが見え、何かのコンサートが終わるところでした。展望台のエレベーターの扉が開くと、そこに広がるのは光輝く長崎港でした。横に長い港が山々に包まれ、海面に映り込む地上の光は一層際立ちます。さすが日本三大夜景だと思いながら展望台のテラスを一周回り、そろそろ帰ろうとエレベーターへ向かう途中、爆音が聞こえ、思わず後ろを振り返ると、巨大な花火が目の前に咲いていました。真下の海に浮かぶ船から、花火が打ち上げられていました。20分ほど続いていた海上花火大会は実に美しいものでした。何よりも、上から見下ろす花火は初めてでした。 最初の一歩を歩き出したら、身も心も軽くなる。一番近い道ではなくても、歩き続けば、無駄なことは一つもない。行動すれば、絶対に現状よりよい方向へ展開する。それなのに、なぜ最初から、速やかに行動しないのでしょう。行動力が欠ける理由は人それぞれですが、まだ行われていないことに対する過度の思考はその大きな要因だと帰り道にそう思いました。考えれば考えるほど、失敗を恐れ、ネガティブなイメージを未来に投影します。とくに大事なことや困難度が高いことに対して、よりプレッシャーを感じやすく、行動に踏み出すのは時間がかかります。その過度思考の原因は、「完璧主義」や「PCN(先延ばし)症候群」などと言われます。人間、多少そういう「症状」がありますが、「重症者」は、周囲に大変な迷惑をかけることになりがちで、仕事と生活に支障が出るのは当然です。なにより、自信が食い尽くされ、精神衛生上の悪影響は数え切れません。 では、これを改善、解決する方法があるでしょうか。 ホテルを出た時に、稲佐山の山頂から花火を見ることになるとは想像もしませんでした。ただ、ここで行動しないとだめだと急に思いたち、勢いで出発しました。そのあとも、道に迷うのに精一杯で、無事つくことができるかどうか思う余裕さえありませんでした。つまり、事前に自分に考える時間を与えないといいでしょう。第一歩だけでも分かったらすぐ行動します。締め切りがすでに過ぎた論文やエッセイを書くのに、ワードファイルを開くことは一番困難度が高いと思います。それから書きかけた自分の文章を読むことも、また拷問のように感じます。ただ、一旦、最初の心理的な障害をクリアできたら、タスク自体はそこまで人を苦しめるものではなく、むしろ、山頂の夜景や、花火のように、「来てよかった」と思わせ、(意外に)楽しめるものです。ちなみに翌日、九州全体は記録的な豪雨となり、長崎では電車も止まってしまいました。「明日行こう」と先延ばしたら、このような素晴らしい風景を見る機会を逃してしまうことさえ、知らなかったでしょう。 <武瀟瀟(ぶ・しょうしょう)Wu Xiaoxiao> 渥美国際交流財団2018年度奨学生。中国上海出身。上海外国語大学英文学科英語文学・言語学専攻卒業。2011年9月にフランスパリ・ディドロ(パリ第7)大学東洋言語文化学科日本学(日本美術史)コースにて修士号取得。同年10月からパリ国立高等研究実習院(EPHE)歴史学・文献学研究科博士後期課程に在籍。2018年京都繊維大学工芸科学研究科造形科学博士修了。2019年4月から東京国立博物館学芸企画課アソシエートフェローとして働きながら、室町時代の水墨画、中世中国の画題の日本での受容を中心に研究中。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】寄贈本紹介 SGRA会員で日本大学文理学部助教の李テイさんよりご著書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆李テイ著『日本語教育におけるメタ言語表現の研究』 メタ言語表現の学習とコミュニケーションのメタ認知の向上を結びつける日本語教育を提案。日本語学習者の視点を基に、メタ言語表現の学習の意義を捉え直した上で、豊富な談話資料より収集したメタ言語表現を分析する。初級日本語クラスでの学び、インタビューで得られた学習者の語り、待遇コミュニケーション論と文章・談話論に基づいた分析、いずれも日本語教師や日本語教育研究者に有益である。 タイトル:『日本語教育におけるメタ言語表現の研究』 (シリーズ言語学と言語教育39) 著者:李テイ 出版社:ひつじ書房 出版年月:2020年1月31日 装丁:A5判上製カバー装 368頁 ISBN:978-4-8234-1021-5 詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1021-5.htm ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Kim Boram “Environment and Technology”

    ************************************************ SGRAかわらばん808号(2020年2月27日) 【1】エッセイ:金ボラム「環境と科学技術」 【2】「国史対話」メルマガを配信: 牧原成征「前近代日本史研究を志す留学生をどう迎え入れるか」 【3】寄贈本紹介:橋本明子著/李鵬程訳『漫長的戦敗』 ************************************************ 【1】SGRAエッセイ#621 ◆金ボラム「環境と科学技術」 「科学は地球を救い、また地球を壊していく。」これは筆者が修士課程から博士課程まで5年間に渡って再生可能エネルギーの一種である太陽光発電について研究してきた間にずっと頭の中に浮かんだ思いである。この文言を通して、自分が感じた「環境と科学」の関係性について述べてみたい。 近年、石油や石炭などの資源の枯渇や大気汚染、そして地球温暖化などの環境問題が深刻化している。それに伴い、1997年の京都議定書、そして2015年のパリ協定を採択するなど世界の各国は地球環境を守るための政策を次々と出している。その政策の中で、エネルギーに関する内容だけに焦点を合わせてみると、主に地球温暖化ガス排出の低減に目標を定めている。もちろん再生可能エネルギーの使用を進めている国の目的は地球環境の問題だけではなく、エネルギーセキュリティを守るためでもあるが、ここではその話は触れないことにする。 科学技術分野において、二酸化炭素排出の低減のために一番力を入れているのが、クリーンなエネルギー源の開発である。その種類は筆者が取り組んだ太陽光発電以外にも、風力発電、地熱発電、バイオマス発電などの発電そのものについての技術もあれば、電気モーターで駆動するエンジンを入れた自動車の開発など今まで石油を使用していた製品の電気化に関する技術もある。また、火力発電などから大量に発生した二酸化炭素を捕まえて、炭素系の燃料に還元するなどの戦略も提案され、それについての研究も行われている。このようなことを見ると、科学は未来の地球を救うことが出来る学問であると考えられる。しかしながら、筆者が常に疑問として抱えていたのが、今の環境問題を起こしたのも科学技術の発展であることである。 科学は人の生活を潤沢にするために多様なものを発明してきた。現在、人の生活になくてはならない携帯電話やパソコンなどの電気製品及び自動車や飛行機などの乗り物は勿論、衣類の機能性素材などもすべて科学が発展したことでできた産物である。また、増えつつある人口に合わせた大量生産もやはり科学技術の発展があったからこそ可能になった。ここで述べたことだけでも、科学の発展により人間の生活は潤沢になり、それに比例しエネルギーや地球埋蔵資源(金属など)の使用量は増え続けていることが分かる。18世紀後半に起きた産業革命以降、発展し続けた世界の経済は、今後も開発途上国の大幅な発展などによって、成長し続けると見積もられている。しかしそれゆえに、資源の枯渇や環境問題は今後も深刻化していくと推測されている。 科学の発展により、ナノ単位までの未知の世界は段々明らかになっていき、つい最近ではブラックホールの写真まで撮ることまで成功している。これからも科学はまだはっきりしていない地球・宇宙の現象を明確にし、人の生活を豊かにしてくれると考えられる。ただ、筆者はその発展した科学知識が人だけではなく地球環境のために用いられてほしいと願っている。人の生活のため地球を壊したのも科学であるが、それを克服する鍵も科学にあると思う。実際、現在は再生可能エネルギーの開発や車用の電気モーター、すぐに溶けるプラスチックの開発など、その努力が始まっている。工学を専門にした筆者も今後、地球のために自分の知識が使われるように研究に挑みたい。 <金ボラム Kim_Boram> 日韓共同理工系学部留学奨学生(国費)として来日。千葉大学工学部電子機械工学科卒。東京大学の工学系研究科にて電気系工学専攻修士号、博士号を取得。研究分野は高効率の量子井戸型太陽電池。現在、SAMSUNG電子の総合技術院にて専門研究員としてパワーデバイスを研究中。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】「国史対話」メールマガジン第12号を配信しました。 ◆牧原成征「前近代日本史研究を志す留学生をどう迎え入れるか」 http://www.aisf.or.jp/sgra/kokushi/J_Kokushi2020MakiharaEssay.pdf SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回、月末に配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。また、3言語対応ですので、中国語話者、韓国語話者の方々にもご宣伝いただきますようお願いいたします。 ◇国史メルマガのバックナンバーおよび購読登録は下記リンクをご覧ください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】寄贈本紹介 SGRA会員でポーランド州立大学訪問教授の橋本明子さんよりご著書の中国語版をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆橋本明子著/李鵬程訳『漫長的戦敗:日本的文化創傷、記憶与認同』 原著:橋本明子 翻訳:李鵬程 出版社:上海三聯書店 出版年月:2019年8月 ISBN 978-7-5426-6668-0 詳細は下記リンクよりご覧ください。 https://www.duokan.com/book/186686 尚、原著は英文ですが、日本語版について下記よりご覧いただけます。 https://www.msz.co.jp/book/detail/08621.html ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Kim Boram “Environment and Technology”

    ************************************************ SGRAかわらばん808号(2020年2月27日) 【1】エッセイ:金ボラム「環境と科学技術」 【2】「国史対話」メルマガを配信: 牧原成征「前近代日本史研究を志す留学生をどう迎え入れるか」 【3】寄贈本紹介:橋本明子著/李鵬程訳『漫長的戦敗』 ************************************************ 【1】SGRAエッセイ#621 ◆金ボラム「環境と科学技術」 「科学は地球を救い、また地球を壊していく。」これは筆者が修士課程から博士課程まで5年間に渡って再生可能エネルギーの一種である太陽光発電について研究してきた間にずっと頭の中に浮かんだ思いである。この文言を通して、自分が感じた「環境と科学」の関係性について述べてみたい。 近年、石油や石炭などの資源の枯渇や大気汚染、そして地球温暖化などの環境問題が深刻化している。それに伴い、1997年の京都議定書、そして2015年のパリ協定を採択するなど世界の各国は地球環境を守るための政策を次々と出している。その政策の中で、エネルギーに関する内容だけに焦点を合わせてみると、主に地球温暖化ガス排出の低減に目標を定めている。もちろん再生可能エネルギーの使用を進めている国の目的は地球環境の問題だけではなく、エネルギーセキュリティを守るためでもあるが、ここではその話は触れないことにする。 科学技術分野において、二酸化炭素排出の低減のために一番力を入れているのが、クリーンなエネルギー源の開発である。その種類は筆者が取り組んだ太陽光発電以外にも、風力発電、地熱発電、バイオマス発電などの発電そのものについての技術もあれば、電気モーターで駆動するエンジンを入れた自動車の開発など今まで石油を使用していた製品の電気化に関する技術もある。また、火力発電などから大量に発生した二酸化炭素を捕まえて、炭素系の燃料に還元するなどの戦略も提案され、それについての研究も行われている。このようなことを見ると、科学は未来の地球を救うことが出来る学問であると考えられる。しかしながら、筆者が常に疑問として抱えていたのが、今の環境問題を起こしたのも科学技術の発展であることである。 科学は人の生活を潤沢にするために多様なものを発明してきた。現在、人の生活になくてはならない携帯電話やパソコンなどの電気製品及び自動車や飛行機などの乗り物は勿論、衣類の機能性素材などもすべて科学が発展したことでできた産物である。また、増えつつある人口に合わせた大量生産もやはり科学技術の発展があったからこそ可能になった。ここで述べたことだけでも、科学の発展により人間の生活は潤沢になり、それに比例しエネルギーや地球埋蔵資源(金属など)の使用量は増え続けていることが分かる。18世紀後半に起きた産業革命以降、発展し続けた世界の経済は、今後も開発途上国の大幅な発展などによって、成長し続けると見積もられている。しかしそれゆえに、資源の枯渇や環境問題は今後も深刻化していくと推測されている。 科学の発展により、ナノ単位までの未知の世界は段々明らかになっていき、つい最近ではブラックホールの写真まで撮ることまで成功している。これからも科学はまだはっきりしていない地球・宇宙の現象を明確にし、人の生活を豊かにしてくれると考えられる。ただ、筆者はその発展した科学知識が人だけではなく地球環境のために用いられてほしいと願っている。人の生活のため地球を壊したのも科学であるが、それを克服する鍵も科学にあると思う。実際、現在は再生可能エネルギーの開発や車用の電気モーター、すぐに溶けるプラスチックの開発など、その努力が始まっている。工学を専門にした筆者も今後、地球のために自分の知識が使われるように研究に挑みたい。 <金ボラム Kim_Boram> 日韓共同理工系学部留学奨学生(国費)として来日。千葉大学工学部電子機械工学科卒。東京大学の工学系研究科にて電気系工学専攻修士号、博士号を取得。研究分野は高効率の量子井戸型太陽電池。現在、SAMSUNG電子の総合技術院にて専門研究員としてパワーデバイスを研究中。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】「国史対話」メールマガジン第12号を配信しました。 ◆牧原成征「前近代日本史研究を志す留学生をどう迎え入れるか」 https://mailchi.mp/20f1374e3764/sgra-kokushi-email-newsletter-12203197?e=56b534322b SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回、月末に配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。また、3言語対応ですので、中国語話者、韓国語話者の方々にもご宣伝いただきますようお願いいたします。 ◇国史メルマガのバックナンバーおよび購読登録は下記リンクをご覧ください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】寄贈本紹介 SGRA会員でポーランド州立大学訪問教授の橋本明子さんよりご著書の中国語版をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆橋本明子著/李鵬程訳『漫長的戦敗:日本的文化創傷、記憶与認同』 原著:[美]橋本明子 翻訳:李鵬程 出版社:上海三聯書店 出版年月:2019年8月 ISBN 978-7-5426-6668-0 詳細は下記リンクよりご覧ください。 https://www.duokan.com/book/186686 尚、原著は英文ですが、日本語版について下記よりご覧いただけます。 https://www.msz.co.jp/book/detail/08621.html ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Okawa Makoto “In the Gap between Democracy and Populism”

    ************************************************ SGRAかわらばん807号(2020年2月20日) 【1】エッセイ:大川真「民主主義とポピュリズムの狭間に」 【2】寄贈本紹介:三輪定宣著/臧俐・李広編訳『教育学概論』 ************************************************ 【1】SGRAエッセイ#620 ◆大川真「民主主義とポピュリズムの狭間に―第4回「国史たちの対話」円卓会議を終えて―」 「僕は永久革命というものは、けっして社会主義とか資本主義とか体制の内容について言われるべきものじゃないと思います。もし主義について永久革命というものがあるとすれば、民主主義だけが永久革命の名に値する。なぜかというと、民主主義、つまり人民の支配ということは、これは永遠のパラドックスなんです。ルソーの言いぐさじゃないけれど、どんな時代になっても「支配」は少数の多数にたいする関係であって、「人民の支配」ということは、それ自体が逆説的なものだ。だからこそそれはプロセスとして、運動としてだけ存在する。ギリシャの昔からあったし、資本主義になっても社会主義になっても、要求としての民主主義がなくなることはない。自発的選択によるか、「客観的」善を上から押しつけるかは不断に登場するディレンマです。」(丸山眞男インタビュー「丸山真男氏の思想と行動-5・19と知識人の「軌跡」-」(『週刊読書人』1960(昭和35)年9月19日号) 2020年1月9日、10日の両日にわたり、フィリピン・アラバン市ベルビューホテルで開催された第4回「国史たちの対話」円卓会議「『東アジア』の誕生-19世紀における国際秩序の転換-」に参加させて頂いた。フィリピンへの訪問、また「国史たちの対話」の参加自体が初めてであったが、その後の噴火による思わぬ滞在を含めて、たいへん印象深く意義深い国際シンポジウムであった。渥美国際交流財団の今西淳子常務理事をはじめ、関係各位のご厚情に心から感謝申し上げたい。   2日間にわたる個別発表、全体討論のすべてをトレースするのは紙数が許すところでは無い(※SGRAかわらばん806号において金キョンテ先生によるレポートが掲載されているので、概要を知りたい方はそちらも合わせてお読み頂きたい)。個人的には、1月12日にタール火山が噴火した後の、予期せぬ数日の滞在が今でも鮮明に心に残り、一緒に行動を共にしたメンバーの皆さんとの思い出を書くのも楽しいかと思ったが、会議中での三谷博先生と明石康先生からのご発言がその後も大きな宿題として重くのしかかっているので、そのことについて紹介し、私見を少し述べさせて頂く。以下の両先生の発言趣旨については、あくまで大川がまとめたものである。当日の発言を正確に再現できていないことをまずお詫びしたい。さて、「三谷博先生の発言」とは初日の基調講演で述べられた以下のような趣旨の発言である。 「日中韓の三国はそれぞれ政治体制も異なる。たとえば日韓は民主主義国家であるが、中国は共産主義国家である。この三国が政治体制の違いを乗り越えて、どのように共存共栄していくのかは大きな課題である。」 三谷先生は御著『愛国・革命・民主』(筑摩書房、2013年)などにおいて、近代化と公論空間との関係を分析しておられるが、一連のご研究の中で、「公論」と「暴力」の親和性を指摘されたことは非常に重要である。「公論」の名を借りて、権力者は自己の政治主張を正当化し、異論を唱える者への徹底的な排除を産み出すことが往々にしてあるからである。「公論」がthe_consensus(of_opinion)という面に偏ることなく、かつ陰惨な暴力に頼ることなく、多様性を伴ったpublic_opinionへと昇華することが19世紀以降の東アジア世界において共通した最重要課題であることは間違い無い。翻って現在はどうか。課題解決のために前進しているのか。むしろ近年は逆行しているのでないだろうか。明石康先生は円卓会議の総括のご挨拶において、次のような趣旨のご発言をされていた。 「「民主主義」は手放しに歓迎できるものではない。民主主義は多数決による決定とともに少数者の尊重も原理として成り立つ。現在のポピュリズムの蔓延は、前者ばかりが尊重され、後者が軽視されていることに起因する。」 ポピュリズム政治家の発言には、〈「真正な」(authentic)人民、民族〉対〈排除すべき人民、民族〉いう友敵論的構成が見られることを、ドイツの気鋭の政治学者ヤン=ヴェルナー・ミュラーは指摘している(『ポピュリズムとは何か』、日本語訳は岩波書店、2017年)。こうした流れに対抗するためにも市民社会におけるポリアーキー的な要素の高まりが求められるが、希望的な観測を持つのは難しくなっている。ポリアーキー的な要素が高まれば、現行の政治秩序が脅かされる可能性も高い。一定の高さの生活水準が実現された現代の東アジア世界においては、権力者の政権維持への固執だけではなく、「自由」ではなく「安定」を求めがちである民衆の心性からしても、「公論」がポリアーキー的な要素を強めて、ポピュリズム政治に対抗していくのは難しくなっている状況である。   しかし19世紀の東アジアの歴史を見ると、もう少し明るい可能性もあったことを強調したい。専制的、独裁的な政府に対抗する新聞・雑誌が誕生し、public_opinionとしての「公論」の持つ力は、その国の指導者にとっては最大の脅威となった。また前代とは比べものにならないほど活発となった国境を越えた移動や交流は、レイシズムがいかに浅はかで愚かであることを白日の下にさらし、国際的な共同体構想を東アジア世界で初めて意識させるに至った。 日本思想史の研究者である私は、18世紀の偉大な先人の言葉を引用して締めくくりたい。 「されば見聞広く事実に行きわたり候を学問と申す事に候故、学問は歴史に極まり候事に候。」(荻生徂徠『徂徠先生答問書』上)。 <大川真(おおかわ・まこと)OKAWA_Makoto> 1974年群馬県生まれ。東北大学文学部卒業。同大学院文学研究科文化科学専攻日本思想史専攻分野博士後期修了。博士(文学)。東北大学大学院文学研究科助教、吉野作造記念館館長を経て現在、中央大学文学部人文社会学科哲学専攻・准教授。専門は日本思想史、文化史、精神史。日本政治思想史。 主な著作:『近世王権論と「正名」の転回史』(御茶ノ水書房、2012年)。主要論文「サムライの国に持ち運ばれた「アメリカ」―日本のデモクラシーを考える―」(『淡江日本論叢』32号、淡江大学日本語文学系、2015年)、「吉野作造の中国論―対華二十一ヶ条からワシントン会議まで―」(『吉野作造研究』第14号、2018年)など -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】寄贈本紹介 SGRA会員で東海大学短期大学准教授の臧俐さんより編訳本をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆三輪定宣著/臧俐・李広編訳「教育学概論」 編訳:臧俐・李広 原作:三輪定宣 出版社:中国東北師範大学出版社 出版年月:2019年6月 ISBN 978-7-5681-5889-3 本書の最大の特徴は、多角的総合的に教育学を論考し、ミクロの教育学(いのちのリレーとしての側面)とマクロの教育学(人類史の中の位置づけとしての側面)の両面から「教育学」を探求した点にある。「人間と教育」「発達と教育」「社会と教育」をはじめ、「教育学の歴史(西洋、中国、日本)」から、「教育の権利・理念・目的」「教育学と教育研究」「教師の役割と教員養成」「教育学の課題」まで様々な角度から教育学を概観し、教育とは何か、教育は人間にどう関わり、人類史、人間社会をどのように創り出してきたのかという教育の本質に迫り、教育、教師、教育学の未来を展望する集大成の一冊である。教育は「人間をつくるしごと」という観点から、グローバル化が急進展した今日、国境や学問領域を越える相互理解や物事を多面的に思考する地球市民の育成が益々重要だと思われる。そのような中で、世界人口の18%を占める中国本土に、日本における教育学研究の最先端を発信することは意義が大きいと思われる。本書の上梓が「良き地球市民の実現」に少しでも貢献できれば幸いに思う。 ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Kim Kyongtae “Dialogue of National Histories #4 Report”

    ************************************************ SGRAかわらばん806号(2020年2月13日) 【1】金キョンテ「第4回国史対話レポート」 【2】「国史対話」メルマガを配信:金甫桄「門司港で高麗-モンゴル関係を思い浮かべる」 【3】寄贈本紹介:坂元ひろ子著、郭馳洋訳「中國近代思想的『連鎖』--以章太炎為中心」 ************************************************ 【1】金キョンテ「第4回国史対話レポート」 第4回「韓国・日本・中国における国史たちの対話の可能性」円卓会議は2020年1月9日と10日、フィリピン・アラバン市ベルビューホテルで開催された。今回のテーマは「『東アジア』の誕生―19世紀における国際秩序の転換―」だった。3国でそれぞれ活発な研究活動をしている研究者たちが3人ずつ発表した。 9日朝、円卓会議が始まった。冒頭の基調講演及び挨拶では、共通して「『アジア』とは何か」「共同の歴史のための研究者の役割」「歴史の大衆化の問題」などの問題が提起された。 続いて発表セッションが始まった。最初のテーマは「西洋の認識」で、大久保健晴先生(慶應義塾大学)の「19世紀東アジアの国際秩序と『万国公法』受容―日本の場合―」、韓承勳先生(高麗大学)の「19世紀後半、東アジア三国の不平等条約克服の可能性と限界」、孫靑先生(復旦大学)の「魔灯鏡影:18世紀から20世紀にかけての中国のマジックランタンの放映と製作と伝播」の発表があった。伝播と影響、変容という様相を扱った興味深いテーマだった。発表が終わった後は討論が続いた。『万国公法』受容の様相、西洋から伝播した新しい「思想」と「道具」の各国における受け入れ方の共通点と相違点、「不平等条約」という用語が果たして適切であるかについての悩みなどが論点として提示された。 2番目のテーマは「伝統への挑戦と創造」で、大川真先生(中央大学)の「18、19世紀における女性天皇・女系天皇論」、南基玄先生(成均館大学)の「日本民法の形成と植民地朝鮮での適用:制令第7号『朝鮮民事令』を中心に」、郭衛東先生(北京大学)の「伝統と制度の創造:19世紀後期の中国の洋務運動」の発表で、挑戦的な問題提起が目立った。このセッションでは女性論で見える当時と現在の共通点、植民地朝鮮における日本法の適用方式の特殊性、洋務運動の歴史的評価の変遷史などの論点があった。 3番目のテーマは「国境を越えた人の移動」だった。塩出浩之先生(京都大学)の「東アジア外交公共圏の誕生:19世紀後半の東アジア外交における英語新聞・中国語新聞・日本語新聞」、韓成敏先生(大田大学)の「金玉均の亡命に対する日本社会の認識と対応」、秦方先生(首都師範大学)の「近代中国女性のモビリティー経験と女性『解放』に関する再思考」の発表があった。人と人の繋がりによって転送される情報に着目した研究であった。移動を扱うと同時に、それぞれその伝送の媒体を設定するのが興味深かった。このセッションでは金玉均の活動と日本政界の関係、「女性解放」が必ずしも女性を自由にしなかったという指摘、新聞に入る情報を決定する主体が誰なのか、などをめぐる議論があった。 劉傑先生(早稲田大学)はこの日の対話について「国際秩序の転換を各国が受け入れた時期に注目すると、各国がどのように違っていたかが明らかになるだろう」と指摘した。さらに、「冊封・朝貢の概念が登場しなかったのは何故なのか、朝貢・冊封体制の終結と条約体制の始まりは果たして繋がりがあるのか」という問題を提起した。 10日の2セッションは討論だけで構成された。三谷博先生(跡見女子学園大学)は討論に先立ち、前日に提示された様々な論点を基に「今日はさらに進んだ討論が期待される」と述べ、さらに「研究者が互いに友達になり、今後、お互いを研究パートナーにしてもらいたい」という願いが伝えられた。 次は指定討論者からの質問だった。青山治世先生(亜細亜大学)はまず「東アジア」の相対化を提案した。平山昇先生(九州産業大学)は各国の研究の違いと共通点を共に認識するようになったと指摘した。共通点としては、前近代から近代に至る過渡期が共有されていること、そして国史専攻者の間で対話が可能だという発見であった。しかし研究者が自国に戻り、いかに自国民との対話が可能なのかについては反省することになると語った。朴漢珉先生(東国大学)は西欧から流入した近代の様々な要素の朝鮮における様相を詳しく紹介し、新たに「流入」したものとして疾病にも注目すべきものであるとした。孫衛国先生(南開大学)は「東アジア」誕生の意味について提言した。 次は司会者の論点だった。村和明先生(東京大学)は「3国の歴史を合わせたからといって『東アジア史』になるわけではない、日中韓の各国で同じような考え方を持っている人々がいたかもしれない」と述べた。彭浩先生(大阪市立大学)は歴史研究と大衆、政治の問題を指摘しながら、研究者同士は共通の認識を持つことができるが、教科書と大衆向けの媒体で反映されるとき、冷静に考えることができるかどうか悩んでいるとした。 発表者たちはこれらの質問に同意した。一方、ここまでの対話を通じて、分野史を超えて現代秩序の形成に対する問題まで考えるようになり、国境線と歴史的感情も乗り越えられるという期待を持ったという感想もあった。またこの対話を自国でどのように発信するのかを悩まなければならないという指摘も継続された。 発表者と討論者たちは次のような評価を残した。「19世紀後半は『アジア連帯』が模索されながらも、お互いの違いに違和感を抱いた時期だった。21世紀にこれをどう思うかは課題の一つである」「条約に対する対応の差異は、初期条件の差異にも注目する必要がある」「歴史の大衆化は、良い書物を出版するよりも、いかに伝えるかという媒体がより重要な時代になったということだ。研究者が変身を図る時だ」「研究者であり教育者としてこのような悩みを共有してほしい」等だった。 最後に三谷先生が「今回の対話では『アジア』という観点の妥当性の有無が論議された。19世紀は西洋をいかに受け入れていくかについて悩んだ一時期として、各国の対応方式の差を確認した」と総括し、続いて「研究者たちはこの成果を伝え、教育に反映できるように努力しなければならない」と指摘し、「この対話は続けられなければならず、十分に可能だという」期待を残した。最後に円卓会議にずっと参加してくださっていたアジア未来会議の明石康大会会長が、「豊かな議論がなされれば、議論が一致しなくても多くの教訓を受けていけるだろう」とし、「この対話を最後までよく続けてほしい」と話された。 第4回「国史たちの対話」では以前の3回までの会議に比べてはるかに活発な対話が行われたと思う。 参加者たちが以前に比べて非常に密接な交流が展開され始めた時代の19世紀後半を専門にしていたこと、したがって、歴史的事件や人物を共有すること、共通した問題意識を持っているということ、そしてフィリピンという第3の地域に来ていたということ、などがその理由だったと思われる。 今回の会議では言語の重要性を改めて感じるようになった。同時通訳者の苦労と活躍は言うまでもない。特に今回の対話では、相手国の言語駆使が可能な研究者が多く、休憩時間に互いに会話をする場面を目撃した。会議という形式を越え真の仲間になれるなら、国史たちの対話は半分以上成功したも同然だろう。やはり真の「対話」のためには実際の対話が必要だということだろう。 ※当日の写真を下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/photo-gallery/2020/14801/ <金キョン泰(キム・キョンテ)Kim_Kyongtae> 韓国浦項市生まれ。韓国史専攻。高麗大学校韓国史学科博士課程中の2010年~2011年、東京大学大学院日本文化研究専攻(日本史学)外国人研究生。2014年高麗大学校韓国史学科で博士号取得。韓国学中央研究院研究員、高麗大学校人文力量強化事業団研究教授を経て、全南大学校歴史敎育科助教授。戦争の破壊的な本性と戦争が導いた荒地で絶えず成長する平和の間に存在した歴史に関心を持っている。主な著作:壬辰戦争期講和交渉研究(博士論文) -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】「国史対話」メールマガジン第11号を配信しました。 ◆金甫桄「門司港で高麗-モンゴル関係を思い浮かべる」 https://mailchi.mp/e5d7dc3e5593/sgra-kokushi-email-newsletter-12177153?e=b842a3d01d SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回、月末に配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。また、3言語対応ですので、中国語話者、韓国語話者の方々にもご宣伝いただきますようお願いいたします。 ◇国史メルマガのバックナンバーおよび購読登録は下記リンクをご覧ください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】寄贈本紹介 SGRA会員で東京大学博士課程の郭馳洋さんより編訳本をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆坂元ひろ子著、郭馳洋訳「中國近代思想的『連鎖』--以章太炎為中心」 作者:坂元弘子 出版社:上海人民出版社 訳者:郭馳洋 出版年:2019-10 ISBN:9787208160644 詳細は下記リンクをご覧ください。 https://book.douban.com/subject/34826167/ ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Maquito “AFC visits my motherland”

    ************************************************ SGRAかわらばん805号(2020年2月5日) 【1】エッセイ:F.マキト「母国で開催したアジア未来会議」 【2】コラム紹介:明石康「東アジアに吹く新しい風」(秋田魁新報) ************************************************ 【1】SGRAエッセイ#618 ◆フェルディナンド・マキト「母国で開催したアジア未来会議」 2018年8月、台風襲来の韓国ソウルで開催された第4回アジア未来会議のクロージングパーティーで、僕たちは一生懸命参加者を舞台に誘ってフィリピン版カンナムスタイル*を一緒に踊って第5回アジア未来会議への参加を促した。実は、これは用意してきた企画では物足りないと言われたので、急遽YouTubeの投稿**を参考にセッションの合間に慌てて練習したものだった。普段このようなことをしたことのない僕にとって大変だったが、現在所属しているフィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)や渥美財団の関係者を含めた会場の皆さんが大いに盛り上がってくれたので手応えを感じた。練習用の動画のように、年齢や性別や職業や人種が違っていても、とにかく一緒に楽しくやろうということがアジア未来会議の目的に合致したのだろう。 * https://www.youtube.com/watch?v=mAb496EzVhk ** https://www.youtube.com/watch?v=lAeID7pBKMo 1年半の準備期間には、さまざまなネットワークが動員された。日本側では渥美国際交流財団のネットワークから鹿島フィリピンとフィリピンプラザ・ホールディングスが応援してくださった。今西淳子常務理事(Tita_Junko)は数回に渡ってマニラとロスバニョスを訪問して打合せを行った。角田英一事務局長(Kuya_Eiichi)が率いるロジスティクスのサポートも力強かった。2004年からマニラで行っている共有型成長セミナーの支援者であるSGRAフィリピンの仲間たちも積極的に協力してくれた。そして、UPLB公共政策・開発大学院(CPAf)のローランド・ベリョー学院長からは大学院を挙げて全面的な支援・協力をいただいた。ソウルの突然の踊りから2020年1月12日の花火(火山噴火)まで、皆さんいろいろ大変なことがあったと思うが、いつも優しい言葉とポジティブな態度で対応してくださり、心から感謝を申し上げたい。 実際、カンナムスタイルの踊りから始まって、この会議は、僕が普段したことのないことばかりだった。そして、母国フィリピンの発展を振り返る機会にもなった。 2020年1月9日、円卓会議A「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」で、唯一の東南アジア人として、しかも歴史が専門ではない僕が、大変光栄にも開会の挨拶をさせていただいた。三谷博先生と劉傑先生の暖かい歓迎を受けながら、19世紀初まで250年間も続いた「マニラ・アカプルコ間のガレオン貿易」について日本語で発表した。マニラは長期に渡って中継貿易のハブとして繁栄していたのに、なぜ今はそれが続いていないのか、AFC5のテーマを念頭に置きながら、母国の発展を振り返ってみる良い機会となった。 (発表資料は下記リンクからご覧いただけます) https://docs.google.com/presentation/d/1qsKsOwjUMnUnDB7lrT1vYKJJQ9AYZBnoB3VBWTQ7XVg/edit 10日の開会式の前に記者会見が開かれた。僕が司会を務め、アジア未来会議の明石康大会会長、渥美財団の今西常務理事、UPLB・CPAfのべリョー学院長がメディアの皆さんからの質問に答えた。今回はアジア未来会議の中でも、マスコミの参加が一番多かったのではないかと思う。1月5日には僕とべリョー先生がマニラで一番古いラジオ局の番組への出演依頼を受けたし、10日の記者会見の後でも熱心な記者たちが廊下や会場で参加者にインタビューしていた。基調講演をしたラウレル駐日フィリピン大使のインタビューが急遽手配され、5つのテレビ局が報道した。 (UPLBの報道関係事務所からの報告は下記リンクからご覧いただけます) http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/02/OPR-PUBLICITY-EFFORTS-FOR-AFC5light.pdf 開会式に続くシンポジウムは僕が企画から担当し、当日は司会と問題提起を務めさせていただいた。そもそも第5回アジア未来会議のテーマである「共有型成長」は、僕がずっと追究し続けている研究課題で、マニラにおいてもSGRAフィリピンの事業として2004年から毎年セミナーを開催している。今回のシンポジウムでは、既に27回開催したマニラセミナーを振り返りながら、研究やアドボカシーに協力してくださっている先生方(UPLBのCPAfのべリョー学院長、UPLBの大学院研究科のドング・カマチョ研究科長、UPLBのCPAfのジョーパイ・ディゾン教授、フィリピンのアジア・太平洋大学の経済学院のピター・ユ元学院長、フィリピン大学ディリマン校の建築学部の都会設計ラボのマイク・トメルダン研究所長)と一緒に「持続的な共有型成長:みんなの故郷、みんなの幸福」を検討した。 問題提起として、僕は、なぜ持続的な共有型成長がフィリピンだけではなく世界に必要なのかを訴えた。これも母国の発展を振り返ってみる機会であった。 (発表資料は下記リンクからご覧いただけます) https://docs.google.com/presentation/d/1pSMvHi1YgKzEK7ZUxsN0poUEdk70zItvbrq_jtBFMvQ/edit#slide=id.p1 11日、UPLB森林学部の森の中のキャンパスで行われた分科会で、僕は、フィリピン政府の要請で関わったR&D機関の研究について発表した。これはUPLB・CPAfの同僚であるジェング・レイエス先生とマイラ・ダビド先生との共同プロジェクトの結果であり、組織構築論を使って母国の発展について問いかけている。長年共同研究を続けている平川均先生に招かれ、2019年12月に神奈川大学で日本語で発表したものの英語版である。実は、同じ時間帯に、ベスト・ペーパーを受賞した地域通貨についての共著論文と、地価税についての共著論文の発表もあったが、ジョン・ペレス先生とセサー・ルナ先生それぞれに発表を任せた。 (組織構築論の発表資料は下記リンクからご覧いただけます) https://docs.google.com/presentation/d/1w_HHWD2CNXTBYrDyxC5CP69BHxRUPIRsVa1p6cuWhg4/edit#slide=id.p1 突然の日程変更があって、次のセッションの座長がダブル・ブッキングになってしまったが、ラクーン(元渥美奨学生)に救われた。狸(ラクーン)のパワーを今まで以上感じて心から感謝。日本、中国、韓国、台湾、モンゴル、ミャンマー、タイ、インドネシア、トルコ、イタリア、イギリス、ウクライナ、ナイジェリア、オーストラリア、コスタリカからわざわざフィリピンに集まってきてくださった仲間たちは、本当に心強かった。閉会式での「マ・キ・ト」コールは最高だった! 100年に1回の火山噴火に襲来されたマニラで開催した第5回アジア未来会議はとても大変だったが、参加してくださった皆さんが少しでも楽しい思い出を作ってくださったのであれば幸いである。火山噴火後の渥美財団の素早い対応は印象的で、ホテル延泊の一泊分を財団が負担したのは海外から一番早い災害援助であった。僕らもすごく安心した。 タール火山の祝福を受けたアジア未来会議の炎を台湾へお渡しします。 ※フィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)が撮った写真は下記リンクよりご覧いただけます。 https://drive.google.com/drive/folders/19F9tYKfem2cuVXc8qB5nefw5VeJCAod2 <フェルディナンド・マキト Ferdinand C. Maquito> SGRAフィリピン代表。SGRA日比共有型成長セミナー担当研究員。フィリピン大学ロスバニョス校准教授。フィリピン大学機械工学部学士、Center_for_Research_and_Communication(CRC:現アジア太平洋大学)産業経済学修士、東京大学経済学研究科博士、テンプル大学ジャパン講師、アジア太平洋大学CRC研究顧問を経て現職。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】コラム紹介 アジア未来会議大会会長の明石康様が、秋田魁新報のコラムにアジア未来会議および国史対話について書いてくださったのでご紹介します。 ◆明石康「東アジアに吹く新しい風」(秋田魁新報2020年1月24日朝刊) 「アジア未来会議」が今月中旬、5日間にわたりフィリピンのマニラで開かれ、大会会長として出席した。東南アジア諸国においても、北東アジアの日本、中国、韓国の3か国においても、新しい前向きの風が吹き始めていることを肌で感じることができた。 続きは下記リンクからお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/01/AkashiYasushi@AkitaSakigakeShinpo20200124.pdf ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Chen Tzu-Ching “The most beautiful scene in the Philippines”

    ************************************************ SGRAかわらばん804号(2020年1月30日) ************************************************ ◆陳姿菁「フィリピンの一番美しい風景」 フィリピンと言ったら、皆さんはどんなイメージでしょうか。マンゴ?パイナップル?英語は公用語?それとも出稼ぎの労働者でしょうか。今の私にとって、フィリピンと言ったら「優しい」という言葉が真っ先に頭に浮かびます。それは2020年1月12日のある出来事の実体験からの感想です。 2020年1月9日―13日にマニラで第5回アジア未来会議が開催されました。閉会の翌日に、恒例のスタディツアーが行われました。今回、私は5つのツアーの中でCツアーを選びました。 Cツアーを選んだのは、このコースは一人では行きにくいからこの機会を利用して、という単純な理由でした。 アジア未来会議の会場に着いて知り合いとおしゃべりをしていると、まだ迷っている人たちから何度も私のツアーの選択を聞かれました。そして、その後、何人もCツアーを選んでくれました。後で分かったのは、予定していたツアーを変えた人までいるほどでした。結局、Cツアーの3分の1から2分の1の参加者が私の影響で参加したようです。責任の重さを感じました。 出発当日の朝「面白くないツアーだったら、あなたを火山に置いていくよ」と皆に冗談を言われましたが、その時は誰一人その後起きる事態を予想だにしていませんでした。 いざ出発し、目的地のタガイタイに向かいました。馴染みのない地名かもしれませんが、先日フィリピンで起きた自然災害のニュースの主役で、世界で一番小さい活火山と言われるタール火山の所在地です。 はい、その通り、Cツアーは火山を見学するツアーです。 1911年に噴火してから休眠している火山を見学しようとする私達でした。 Cツアーは、まず火山を眺めるレストランでゆっくり昼食をとり、昼食後、火山を眺める展望台に向かい、写真撮影を楽しむというスケジュール。昼食の時には穏やかに見えた火山ですが、私たちが展望台に移動してから少しずつ変化を見せ始めました。 【展望台での会話】 私:ほらみて、あそこから煙が出始めましたよ! 参加者1:いや、あれは雲だよ 私:雲は下から出ないじゃないの、煙だよ! 参加者1:.... 続いて、他の参加者に 私:ねえねえ、あそこから煙が出ているのが見える? 参加者2:あれは水蒸気だよ 私:... さらに 私:徐先生、煙が大きくなっているわ、記念写真を撮りましょう。 徐先生:まあ、いいか、撮りましょう。 ベンチに腰を下ろして休んでいる徐先生が無理矢理私にひっぱられ、記念写真を撮りました(汗)。 その時には、私たちはまだその煙は日常の出来事としか思っていません。 その次の観光スポット(お土産買うための場所)ではトイレ休憩だけにして、節約できた時間を使って火山を真正面から見えるスターバックスに寄りたいと皆が路線変更を要求しました。コーヒーがほしい人とグッドフォトを撮りたいという参加者の一致した要望です。 その時です!私は人生初の火山灰に降られました。 腕や服に、ぽつりぽつりと降ってきた雨らしきの跡がくっきり残っています。写真を撮っていたので携帯電話を指でなぞったら砂だらけ。しかし、当時はただ雨が汚いと思い、火山灰の意識はありませんでした。 次から次へと参加者たちが汚い格好で帰ってきて、皆は初めて火山灰だと気づきました。 しかし、まだ、日常茶飯事と思っている我々ツアーの参加者です。 そこからです。 バスの窓越しに見える煙は壮大な大きさになり、火山灰もひどく降ってきます。 その時はまだ予定変更通りに10ー15分ほどスターバックスに寄ると思っていました。 しかし、ガイドさんが「会社から早く戻るようにという指示があった」ということで帰ることになりました。面白い経験をシェアしたいので、火山から立ち上がった煙の写真を今西さんに送った直後のことです。 スターバックスを渋々断念し、帰ることにした私達の車の中に突然携帯電話の警報が鳴り始めました。3級から4級に警報のレベルが上がるにつれ、皆がやっと事の重大さに気づきました。これは冗談ではないと気づいた私たちは急いで帰ることにしました。 しかしながら、結局大渋滞に遭い、立ち往生状態に陥り、やむを得ず遠回りして、脇道から帰ることになりました。 そのときの出来事です。不思議な行動を目の当たりにしたのです。 近くの住民が集まり始め、何か情報交換している姿が見えました。晩ご飯後の世間話かなと思いきや、集まっていた人たちが一気にばらばらになって、通りかかる車にあるポーズをし始めます。 突然、私たちが乗っていたバスもスピードダウンしてその中の一人の前に止まりました。住民はバケツをもって水をフロントガラスに向けて撒いてくれ始めます。必死に掃除しても掃除しきれないほど火山灰が厚く積もったフロントガラスがやっと辛うじて前が見えるようになりました。 お金をどれぐらい取るかなと私は思っていましたが、なんとそのまま車は動き出し、走り続けました。 帰る途中、このような光景を何度も見ました。 あまりにも不思議なので、私は思わずフィリピン人のガイドさんにその行動の理由を聞きました。 お金でもなく、何かお返しをほしいということもない、フィリピン人が優しいからだそうです。 自分が逃げるのを後にして、通りかかる車を掃除してくれる住民の行動はフィリピンの最も暖かく、美しい風景だと思わせるワンシーン、第5回アジア未来会議で、一番私の心に刻み込む出来事でした。 <陳姿菁(ちん・しせい)Chen_Tzu-Ching> SGRA会員。お茶の水女子大学人文科学博士。台湾教育部中国語教師資格、ACTFL(The_American_Council on_the_Teaching of_Foreign_Languages)のOPI(Oral_Proficiency_Interview)試験官(日本語)。台湾新学習指導要領(第二外国語)委員。開南大学副教授。専門は談話分析、日本語教育、中国語教育など。 ※フィリピンの火山噴火に関する他の参加者の報告を下記リンクよりご覧ください。 ランジャナさんの報告(フェイスブックより転載) http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/01/RanjanaFBReport.pdf 于暁飛さんの報告 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/01/YuXiaofeiReport.pdf 陳エンさんの報告(フェイスブックより転載) http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/01/ChenYanFBReport.pdf ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • The 5th Asia Future Conference Report

    ************************************************ SGRAかわらばん803号(2020年1月23日) ************************************************ ◆第5回アジア未来会議「持続的な共有型成長」報告 2020年1月12日(日)第5回アジア未来会議最終日の午後、スタディツアーの1グループがフィリピンの首都マニラから約70キロ南にあるタガイタイ観光を楽しんでいた正にその時に、タール火山が噴火しました。この規模の噴火は1911年以来とのこと。噴煙は一時、高さ1万5000メートルに達し、火山灰は会議場となったマニラ市南郊のアラバンにも達しました。翌13日(月)の帰国日、マニラの国際空港では欠航や遅れが相次ぎ、200名以上の会議参加者に影響を及ぼし、70名以上が会議場ホテルで延泊、それ以上が空港ターミナルや市内のホテルで長時間の待機を余儀なくされました。 1月9日(木)~13日(月)、フィリピンのマニラ首都圏アラバンにあるベルビューホテルと、ラグーナ州のフィリピン大学ロスバニョス校において、21ヵ国から294名の登録参加者を得て、第5回アジア未来会議が開催されました。総合テーマは「持続的な共有型成長―みんなの故郷、みんなの幸福」。今日、世界はこれまで経験したことがないほどの経済成長をとげているものの、この成長は受け入れがたい貧富格差の拡大と環境破壊を伴っているという問題意識に基づき、「持続的な共有型成長」のビジョンを議論すると共に、その実現を目ざすために必要と思われるメカニズムを多角的な視点から考察し、実現のための途を探ることを目標に、基調講演とシンポジウム、招待講師による円卓会議、そして数多くの研究論文の発表が行われ、広範な領域における課題に取り組む国際的かつ学際的な議論が繰り広げられました。 9日(木)午前9時から、同時通訳設備の都合で本会議に先立ち、円卓会議A「第4回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」が開始されました。東アジアの歴史和解を実現するとともに、国民同士の信頼を回復し、安定した協力関係を構築するためには歴史を乗り越えることが一つの課題であると捉え、日本の「日本史」、中国の「中国史」、韓国の「韓国史」を対話させる試みです。4回目の今回は19世紀の歴史に焦点を当て「東アジアの誕生-19世紀における国際秩序の転換-」というテーマで活発な議論が展開されました。(日中韓同時通訳) 10日(金)午前9時30分から開会式が始まりました。高校生の合唱隊によるお祈りの歌の後、明石康大会会長が第5回アジア未来会議の開会を宣言しました。共催のフィリピン大学ロスバニョス校のF.C.サンチェス学長の歓迎の挨拶に続き、羽田浩二駐フィリピン日本大使とフィリピン大学のD.L.コンセプション総長より祝辞をいただきました。 引き続き、J.C.ラウレル駐日本フィリピン大使の「ソーシャルメディア時代に持続可能な開発目標を達成するために」と題した基調講演ありました。その後、渥美財団の第1期奨学生でフィリピン大学ロスバニョス校助教授のF.C.マキトさんの進行で、フィリピンにおけるSGRAの活動の5名の協力者の先生方と一緒に「持続的な共有型成長」というテーマについて検討しました。 午後には円卓会議A、Bと5つの分科会セッションが並行して開催されました。 円卓会議B「東南アジアの叡智-社会倫理とグローバル経済-」では、市場資本主義経済に乗って東南アジア諸国はかつてない経済成長と発展をおう歌しているが、富と権力は一極に集中し、地域コミュニティーは疲弊しているという問題意識に基づき、フィリピン、インドネシア、タイから宗教家と経済学者を招いて、民族、宗教、文化のるつぼである東南アジアには過去の人々が成功と失敗に基づく経験知を通じて築き上げてきたさまざまな叡智やシステムがあり、それらは「混迷する」と言われる現代の経済学や経済社会にどのような光をあてるのだろうかという議論が展開されました。(使用言語:英語) 第5回アジア未来会議のプログラムは下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/conference-program/ 11日(土)午前8時、参加者は全員7台の大型バスに約1時間乗ってフィリピン大学ロスバニョス校に向かいました。今回の会場は、広大なキャンパスの中の森林学部で、参加者は冷房の効いたホテルの会議室から自然の中に解放され、円卓会議Bと40にわたる分科会セッションが開催されました。お昼には参加者は植物園まで散策し、森の中でお弁当を楽しみました。 第5回アジア未来会議では、合わせて50の分科会セッションで173本の論文発表が行われました。各セッションは、発表者が投稿時に選んだ「共有型成長」「平和」「環境」「イノベーション」などのトピックに基づいて調整され、学術学会とは趣を異にした多角的で活発な議論が展開されました。 分科会ではセッションごとに2名の座長の推薦により優秀発表賞が選ばれました。優秀発表賞の受賞者リストは下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/files/2020/01/List-of-AFC-2020-BEST-PRESENTATION-PRIZE-.pdf 優秀論文は学術委員会によって事前に選考されました。2019年1月20日までに発表要旨、7月31日までにフルペーパーがオンライン投稿された127本の論文を13のグループに分け、65名の審査員によって査読しました。ひとつのグループを5名の審査員が、次の5つの指針に沿って審査しました。投稿規定に反するものはマイナス点をつけました。(1)論文のテーマが会議のテーマ「持続的な共有型成長」と適合しているか、(2)わかりやすく説得力があるか、(3)独自性と革新性があるか、(4)国際性があるか、(5)学際性があるか、という指針に基づいて査読しました。各審査員は、グループの中の9~10本の論文から2本を推薦し、集計の結果、上位20本を優秀論文と決定しました。優秀論文リストは下記リンクからご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/files/2019/10/AFC5-Best-paper20191028.pdf 分科会セッションの後に参加者は再びバスに乗って山の上のアートセンターに移動して、午後6時30分からクロージングパーティーを開始しました。学生サークルによる歌とダンスの宴もたけなわの頃、優秀賞の授賞式が行われました。授賞式では、優秀論文の著者20名が壇上に上がり、明石康大会委員長から賞状の授与がありました。続いて、優秀発表賞50名が表彰されました。 パーティーの終盤では、第6回アジア未来会議の概要の発表がありました。台湾の中国文化大学の徐興慶学長による招待の挨拶とビデオによる大学案内がありました。 12日(日)、参加者はそれぞれ、マニラ観光ツアー、ケソンシティー観光ツアー、そして冒頭のタガイタイ観光ツアーに参加しタール火山の噴火に遭遇しました。 第5回アジア未来会議「持続的な共有型成長:みんなの故郷、みんなの幸福」は、(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)主催、フィリピン大学ロスバニョス校公共政策開発学部の共催、文部科学省、在フィリピン日本大使館、在日本フィリピン大使館の後援、(公財)高橋産業経済研究財団の助成、フィリピン大学連合および50を超える日本とフィリピンの組織や個人の方々からご協賛をいただきました。とりわけ、フィリピンプラザ・ホールディングスの皆様からは全面的なサポートをいただき、華やかな会議にすることができました。 主催・協力・賛助者リストは下記リンクからご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/01/AFC5_Host_Colloaborators_Sponsors.pdf 運営にあたっては、渥美元奨学生を中心に実行委員会、学術委員会が組織され、フォーラムの企画から、ホームページの維持管理、優秀賞の選考、写真撮影まであらゆる業務を担当しました。特に2名しかいないフィリピン出身の渥美元奨学生は企画の最初から最後まで大活躍でした。 300名の参加者のみなさん、開催のためにご支援くださったみなさん、さまざまな面でボランティアでご協力くださったみなさんのおかげで、第5回アジア未来会議を成功裡に実施することができましたことを、心より感謝申し上げます。 アジア未来会議は、国際的かつ学際的なアプローチを基本として、グローバル化に伴う様々な問題を、科学技術の開発や経営分析だけでなく、環境、政治、教育、芸術、文化など、社会のあらゆる次元において多面的に検討する場を提供することを目指しています。SGRA会員だけでなく、日本に留学し現在世界各地の大学等で教鞭をとっている研究者、その学生、そして日本に興味のある若手・中堅の研究者が一堂に集まり、知識・情報・意見・文化等の交流・発表の場を提供するために、趣旨に賛同してくださる諸機関のご支援とご協力を得て開催するものです。 第6回アジア未来会議は、2021年8月27日(金)から31日(火)まで、台湾の中国文化大学と共催で、台北市で開催します。皆様のご支援、ご協力、そして何よりもご参加をお待ちしています。 第5回アジア未来会議の写真(ハイライト) https://www.dropbox.com/sh/ou5v2w1yx4g7gko/AABAQ6jjyEmEnA0hxGqRnGFHa?dl=0 第5回アジア未来会議のフィードバック集計 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/01/AFC5feedback.pdf 第5回アジア未来会議報告(写真入り)日本語 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/01/JAFC5Report.pdf The_5th_Asia_Future_Conference_Report(English) http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2020/01/E-AFC5-Report.pdf 第6回アジア未来会議チラシ http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/files/2020/01/AFC_6_flyer.pdf (文責:SGRA代表 今西淳子) ********************************************* ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Jin Hongyuan “Miscellaneous Thoughts on Fukushima”

    ************************************************ SGRAかわらばん802号(2019年12月28日) 今年も1年間SGRAかわらばんをお読みいただき、ありがとうございました。 新年は第5回アジア未来会議の後、1月23日から始めます。 みなさまどうぞ良いお年をお迎えください。 2020年が、みなさまにとって、世界にとって、平和な年になりますように! -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【1】エッセイ:金弘渊「ふくしま雑感」 【2】新刊紹介:李恩民「中国華北農民の生活誌」 ************************************************ 【1】 SGRAエッセイ#616 ◆金弘渊「ふくしま雑感」 福島に行ったのは今回が初めてではなかった。 最初は2012年の夏のボランティアだった。東日本大震災直後、予定していた日本留学を迷っていた私は、偶然、中国浙江大学の電子掲示板で福島への大学生ボランティア募集を見つけた。電話をしてみたら、それは慶応大学からの日本人留学生が自ら福島県庁に連絡を取りながら、中国で大学生を募集して福島に行く民間交流活動だった。6泊7日の間、観光もしながら、仮設住宅で村民たちと話したり、農業施設を見学したりした。一番印象的に残ったのは、若者の多くが県外へ避難したけども、そこに残っているおじいさんたちが意外に意志が強くて元気なことだった。 「また来ます!」と別れる時に言ったが、再び福島を訪ねたのは7年後になった。 2019年9月、ふくしまスタディツアーで福島県の飯舘村へ行った。大学時代は農学部だったので、農業に関心を持っており、多少の知識はある。事前に福島県の経済状況を調べてみると、製造業がメインで、全体的に見れば農業の貢献は多くを占めてはいないが、いくつかの農産品が有名だということが分かった。例えば、全国有数の桃の産地として「あかつき」をはじめいくつかの品種がよく知られており、また、隣県の新潟、山形、宮城産の米に比べても負けない米のブランドもいくつもあり、さらに国産牛として福島牛も有名らしく、確かに「赤べこ」という郷土玩具をあちこちで見かけた。 だが、原発事故以後、福島産の農産物は急に全世界から着目されることになった。外国の輸入禁止などのニュースを頻繁に見かける。福島県内の原発事故の影響を受けていない地域で作った農産物も、すべて「福島産」として風評被害を受けていると知った。中国では「好事不出門、壊事伝千里」という諺がある。つまり、良いことが起こっても感心する人は少ないが、悪いことが起こったら事態が飛ぶように広がるということだ。買い叩かれる福島の農産物も同様だ。今年の農林水産省の報告では、6品目の農産品における値段の推移が調査され、ピーマン以外の米、牛肉、桃、ヒラメなどの値段は震災後、徐々に平均に近づいてはいるものの、依然全国平均を下回っている。福島における農業の復興が直面する最大のチャレンジは、物理的な放射能汚染ではなく、偏見の目だ。 飯舘村の話に戻る。偏見による二次被害が農家の利益に損害を与えていることは既に明らかであるが、放射能汚染から健康への潜在的影響はまだ分からない。今でも目に見えないに放射線が、半減期の長いセシウムから出ている。このような放射線物質は原発事故直後に風に乗ってやってきて、飯舘村の土に固定している。今回は、線量計を持って村の中を移動しながら自分で測定した。確かに、空中より地面に近い方、泥水が溜まる場所、防風林の中では原発の方からの風に当たる場所の放射線量がはるかに高いことが分かった。福島では、生活と生産を再開するため、物理的に表層の土を除去する除染作業を行なってきている。これに関して様々な報告があった。汚染土を深く地下に埋め込む提案があったが、結局は埋め立て選定地の大反対で実現しなかったという報告、あるいは、汚染土を再利用して道路の盛り土として新設道路に使う政府の計画などだ。しかしながら、汚染土の処理はいまだに良い解決方法がなさそうで、ただ丈夫なビニール袋に包んで、一時的にほぼ露天の状態で保存しているところが多い。 スタディツアーの2、3週間後、飯舘村も大きな台風19号に襲われ、大雨のために崖が崩れて汚染土の流失が問題になった。汚染水の流出のニュースを見たとき、心の中に非常に複雑な思いを抱いた。汚染水と汚染土は「熱すぎる芋のように、誰も触りたくない」と感じている。外国人の私は傍観者のように見ることしかできないという無力感が湧いてきた。 幸いなことに飯舘村の村民たちの顔を見た時に、その精神の強さ、心の強靭さにすごく感銘を受けた。もちろん多くの元村民たちが、7年の避難生活を経て帰らずに都市部に残ることは理解できる。だから避難指示を解除した後また帰ってきて生活し続ける村民たちを尊敬する。多くのNPOの方々が飯舘村の将来のために頑張る姿を見て、多種多様な生き方があると感心し、思い出に残る旅となった。 自然がいっぱいある飯舘村で、村民たちが飼い始めた子牛をたくさん見た。復興がさらに進んで、今度福島に行く時には、美味しい飯舘牛が味わえるようになっていることを祈る。 参考資料 「平成30年度福島県産農産物等流通実態調査」、農林水産省、平成31年3月 金さんが撮影したツアーの写真を下記よりご覧いただけます。 https://drive.google.com/drive/folders/1ImvVuYDohOcaCRVKvyEzWl0HRNVXyvlT?usp=sharing <金弘渊(きん・こうえん)Jin_Hongyuan> 渥美国際財団2019年度奨学生。中国杭州生まれ杭州育ち。中国浙江大学応用生物科学卒業、東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻博士(生命科学)修了。現在、東京大学先端生命科学専攻特任研究員。専門は進化発生学、進化ゲノム学、遺伝学。特に、「昆虫の擬態現象」を着目し、アゲハチョウの色素合成と紋様形成の分子機構及び進化過程を中心に研究中。 ※楊チュンティンさんのふくしまツアー報告は下記よりお読みいただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/2019/14075/ ※江永博さんのふくしまツアー感想文は下記よりお読みいただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/2019/14327/ ※謝蘇杭さんのふくしまツアー感想文は下記よりお読みいただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/2019/14333/ -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】 新刊紹介 SGRA会員の李恩民さんより新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆李恩民「中国華北農民の生活誌」 日中戦争から土地改革、人民公社、大躍進、文化大革命、日中・日米の歴史和解、生産請負制、改革開放、経済の高度成長へと続く一連の重大な歴史過程において、村民が身をもって経験したことを政府の対農村政策の変革の文脈に置きながら検討。3億5000万人をする中国華北地域。そこで生活を営んできた農民の生活の実相を忠実に描く。 発行所:御茶ノ水書房 ISBN:978-4-275-02115-1 発売日:2019年11月15日 詳細は下記よりご覧ください。 http://rr2.ochanomizushobo.co.jp/products/978-4-275-02115-1 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※論文募集・参加登録は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:sgra-office@aisf.or.jp Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************