SGRAイベントへのお誘い
-
2025.02.05
第75回SGRAフォーラム・第45回持続的な共有型成長セミナー 「東アジア地域市民の対話」へのお誘い
下記の通り第75回SGRAフォーラム・第45回持続的な共有型成長セミナー 「東アジア地域市民の対話」を対面とオンラインのハイブリットで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。 テーマ:「東アジア地域市民の対話 国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(LLABS)の可能性を探る」 日 時:2025年4月12 日(土)午後2時~午後5時(日本時間) 方 法: 会場参加とオンライン参加(Zoom ウェビナーによる)のハイブリット開催 会 場:桜美林大学 新宿キャンパス創新館(南館)JS302号室(地図) 言 語:日本語・英語(同時通訳) 申 込:参加申込(参加には事前登録が必要です) お問い合わせ:SGRA事務局([email protected]) ■フォーラムの趣旨 地理学的にいえば、「東アジア」は、北東アジア(日本、中国、韓国)と東南アジア(ASEAN加盟国)の双方から構成され、「多様性の中の調和」原則の現出ともいえる「東アジア統合」というASEAN+3(日中韓)のビジョンを共有している。東アジアはこのビジョンに向けて大きな前進を遂げたが、近年中国が関わる出来事がビジョンに向けた地域の進歩を頓挫させていることも否定できない。 国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(Local-to-Local-Across Border Schemes、以下LLABS)は、渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)とフィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)経営開発学部(CPAf)のさまざまなコラボレーションとして、フェルディナンド・C・マキト博士が主導する「持続可能な共有成長セミナー」を通じて生まれた。UPLBチームは、フィリピン内務省の地方政府アカデミーと地方自治省のために LLABS研究プロジェクトを実施した。 本フォーラムでは、桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群とSGRAの協力によって、これまで主にフィリピンで検討されてきた LLABS構想について、北東アジアの研究者と一緒に議論し、実現の可能性について探る。 会場とオンラインのハイブリッド形式で開催し、共催のフィリピン大学オープンユニバーシティ(UPOU)を通じて広くオンライン参加者を募る。 ■プログラム 基調講演 「国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(LLABS)の概要と意義」 フェルディナンド・マキト(フィリピン大学オープンユニバーシティ(UPOU)講師) LLABS 構想の背景には、東アジア全体に広がる2大潮流がある。一つは東南アジア諸国連合(ASEAN)+3(日中韓)に代表される”地域統合”の思想で、もう一つは政治的および財政的決定権を地方政府に委ねる”地方分権”の思想である。果たしてこれらの潮流は互いに代替し合うか、あるいは補完し合うかという疑問が本フォーラムの出発点である。 地域統合の戦略が状況次第で機能しないことは、西フィリピン海や南シナ海で紛争が続いていることなどからみても明らかだ。行き詰まりの状況を打開する策をLLABS構想が提供できると期待されている。またその他のケースでも、LLABS構想がこの2大潮流を前進させる補助的メカニズムとして機能し、地域統合と地方分権が補完的な関係になる可能性が示唆されている。事例研究として、フィリピン大学オープンユニバーシティ(UPOU)が神奈川県相模原市藤野とフィリピンのラグナ州バニョスで進めている2つの取り組みを紹介しながらLLABS構想の意義を考察する。 討論1「ASEAN+3と日本。LLABS の可能性」 コミュニティ連携:成長のトライアングル、中華街、「カレー移民」に見る教訓 佐藤 考一(桜美林大学リベラルアーツ学群教授) 国境を超える地方自治体・地域コミュニティの連携構想(LLABS)というのは、夢のある話であるが、難しい話でもある。ASEANの成長のトライアングル構想については、成功の条件として、新興工業国・地域(NIES)のような先進地域と発展途上地域の垂直分業関係、良港の存在、近接性、インフラ整備の度合いと資金源、治安問題がないことなどが必要で、さらに世界的な供給連鎖管理(SCM)の流れに乗れることも必要である。現在までのところ、3つのトライアングルのうち、成功したとはっきり言えるのは南のトライアングルだけである。日本国内の小さなコミュニティー連携について言えば、中華街、「カレー移民」について成功例と失敗例がある。 外国人労働者が言語や宗教、文化の問題を乗り超えて日本社会に溶け込めるか、日本側が彼らの受け入れにどれだけ努力しているか、移民の子供の教育機会が充実しているかなどが問題になる。互いに歩み寄りながら、相互理解と共益を目指す事が必要である。なお、日本の中華街には、中国文化を売り込んで観光名所として成功するしたたかさもある。 討論2「ASEAN+3と中国。LLABS の可能性」 中国および東北アジア地域における越境開発協力と地方自治体国際協力の枠組み 李 鋼哲(INAF研究所代表理事・所長) 東北アジアにおける地域主義は1990年代前後から冷戦崩壊の頃、国境を超える地域開発の活性化とともに台頭する。様々な越境的地域開発のプロジェクトが立ち上がり、極地経済圏(サブ・リージョン・エコノミック・ゾーン)形成の動きが出現し、それがこの地域の経済成長の大きな原動力となった。 (1)環日本海国際経済圏構想(1980~90年代)。 (2)図們江地域開発構想と計画(TRADP)(1991年~)。 (3)環黄海・渤海経済圏構想(1990年代~)。 (4)両岸四地経済圏構想:中国の広東省・福建省と台湾、香港、マカオ(1990年代~)。 (5)メコン川流域経済圏構想GMS(1991年~、中国広西チワン族自治区と東南アジア5ヵ国)。 そのような流れの中で「北東アジア地域自治体連合」(国際機構)が1996年に成立、その他にも様々な地方間国際交流の枠組みが形成された。中国の地方政府(自治体)が、国境を越えた地方間の経済・文化交流のプラットフォームの活性化により地域経済成長と中国の高度経済成長を支えてきた軌跡を考察する。 討論3「ASEAN+3と韓国。LLABS の可能性」 韓国地方政府の国際レジーム形成の取り組み:日中韓地方政府交流会議を事例として 南 基正(ソウル大学日本研究所所長) 韓日中地方政府交流会議(以下、日本語での報告であることを考慮し「韓日中」は「日中韓」と表記)は韓国、日本、中国の地方政府が実質的な交流を進めることを目標に、大韓民国市道知事協議会、日本自治体国際化協会、中国人民対外友好協会など3つの機関が共同で開催する地方政府間協力の枠組みである。1999年にソウルで最初の会議が開催され、以来2024年に25回目の会議が韓国光州で開催されるまで、輪番制で毎年開催されている。ただ一度、20年に新型コロナウイルス感染症の影響で延期になったが、これも非政治的な理由での「延期」であり、中断したことはなかった。25年は中国・江蘇省塩城市での開催が決まっている。 報告では、日中韓地方政府交流会議に対する大韓民国市道知事協議会の取り組みを事例に、北東アジアにおいて地方政府が主導する国際レジームの特徴と意味を確認する。具体的には次の2点である。第1はASEAN+3との相関性の究明。日中韓地方政府交流会議が始まったのはASEAN+3発足2年後の1999年で、韓国がASEANとの連携を大きく意識し始めた時であった。そして金大中政権になりASEANへの接近も見られた。韓国の地方政府が地方外交を開始し、ASEAN方式に注目したのがこの頃であった。それが継続の力になっていたと考えられる。そこで、第2に試みるのは日中韓首脳会談との比較である。日中韓首脳会談は2008年の初開催以来、24年に9回目の会談が開催されたが、13年と14年、16年と17年、20年から23年まで、3度の中断があった。それぞれ政治的な状況が大きな影響を与えていた。一方で、日中韓地方政府交流会議はこの時期も継続され、背景にどのような努力があったのかを確認することは、この地域の平和共存のための知恵を与えてくれるだろう。 討論4「ASEAN+3と台湾。LLABSの可能性」 政治的制約を超える台湾と東南アジアの「非政府間」の強い結びつき 林 泉忠(東京大学東洋文化研究所特任研究員) 台湾とASEAN10カ国とは、正式の外交関係を有しておらず、また「ASEAN+3」にも入っていないが、両者の関係は実に微妙で密接な状況にある。戦後の台湾は、かつて東南アジア8カ国とそれぞれ国交を樹立したが、1970年代における両岸(中台)の国際地位の逆転で次々と断交していく。だが、やがて台湾は韓国、香港、シンガポールと共に「アジアNIES」の一員として経済発展を遂げ、東南アジアへの経済進出も目立つようになった。 2016年、蔡英文民進党政権は中国への経済依存を減らし、「新南向政策」を打ち出した。それによって、台湾と東南アジアの結びつきはさらに深まり、人的・経済的な国境を超えたつながりが強化されている。今後、特にデジタル経済・医療・教育・労働者受け入れの分野での協力が引き続き重要視されるだろう。他方、「星光計画」としてシンガポール軍が台湾で軍事訓練を実施したり、台湾は南沙諸島にある自然形成された陸地面積が最大の太平島を実効支配したりしている。 全体として、台湾とASEANの関係は中国の圧力や自由貿易協定(FTA)の未締結といった課題もあるが、政治的な制約を超えて実質的な相互依存関係を深めており、今後も国境を超えた交流が広がっていくと思われる。 自由討論 フィリピン市民の意見 … ジョアン・セラノ(フィリピン大学オープンユニバーシティ教授) インドネシア市民の意見 … ジャクファル・イドルス(国士舘大学21世紀学部専任講師) タイ市民の意見 … モトキ・ラクスミワタナ(早稲田大学アジア太平洋研究科) 総括 平川 均(名古屋大学名誉教授) ※詳細は、下記リンクをご参照ください。 ・プログラム 皆さまのご参加をお待ちしております。 English Page -
2025.01.08
第23回SGRAカフェ「岐路に立つシリア ~ 抑圧から希望へ、不確実な未来への歩み ~」へのお誘い
下記の通り第23回SGRAカフェを会場及びオンラインのハイブリット方式で開催します。参加ご希望の方は、会場、オンラインの参加方法に関わらず事前に参加登録をお願いします。 テーマ:「岐路に立つシリア ~ 抑圧から希望へ、不確実な未来への歩み ~」 日 時: 2025年2月8日(土)14:00~15:30(その後懇親会) 方 法: 渥美国際交流財団ホール 及び Zoomウェビナー 言 語: 日本語 主 催: (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会 [SGRA] 申 込: こちらよりお申し込みください お問い合わせ:SGRA事務局([email protected]) ■ プログラム 14:00 開会 司会 シェッダーディ アキル (慶應義塾大学) 14:05 講演 ダルウィッシュ ホサム(ジェトロ・アジア経済研究所) 14:45 討論 モハメド オマル アブディン(参天製薬株式会社) 15:00 質疑応答 & ディスカッション 司会・モデレーター:シェッダーディ アキル オンラインQ&A担当:岩田和馬(東京外国語大学) 15:30 閉会 ■ 講師からのメッセージ シリアは今、歴史的な転換点に立っています。2011年の民衆蜂起から始まった闘いは、ついに54年にわたるアサド独裁体制の終焉に帰結しました。しかし、その代償はあまりに大きく、数十万人の命が失われ、1,300万人以上が故郷を追われる結果となりました。本イベントでは、アサド政権崩壊に至る過程を振り返り、シリア社会が直面する課題に光を当てます。抑圧と恐怖の時代から、希望と再建へ——不確実な未来への歩みを共に考察します。シリアの未来に待ち受ける困難と可能性、新たな国家再建の道とは何か。皆様と一緒に考える機会になれば幸いです。 ■ 講師紹介 ダルウィッシュ ホサム Housam DARWISHEH ジェトロ・アジア経済研究所地域研究センター研究員。専門はエジプト政治、中東・北アフリカの現代政治、地政学、国際関係。ダマスカス大学英文学・言語学部を卒業後、東京外国語大学大学院地域文化研究科で平和構築・紛争予防プログラムの修士課程および博士課程を修了し、2010年に博士号を取得。東京外国語大学大学院で講師・研究員を務めた後、ジェトロ・アジア経済研究所研究員、米国ジョージタウン大学現代アラブ研究所(CCAS)客員研究員を経て、現職。主な著作に、「エジプトの司法と『1月25日革命』―移行期における司法の政治化」(玉田編『政治の司法化と民主化』晃洋書房 2017年)、“Egypt-Sudan Relations: The Dynamics of Changing Power Relations in the Nile River Basin and Horn of Africa”(IDE Middle East Review Vol. 7、2019年)や “Geopolitics of Transboundary Water Relations in the Eastern Nile Basin” (IDE Discussion Paper 921, 2024)などがある。 ■ 討論者紹介 討論者:モハメド・オマル・アブディン Mohamed Omer ABDIN 参天製薬株式会社のCore Principles and Sustainability部門でCSV活動(共通価値の創造)を担当し、企業の強みを活かして視覚に関する社会課題の解決に取り組む。また、東洋大学国際共生社会研究センターの客員研究員として研究活動を継続している。東京外国語大学ではスーダン北部における権力闘争をテーマに研究を行い、2014年に博士号(学術博士)を取得。その後、日本学術振興会研究員、学習院大学や立教大学の講師等を経て現職。専門分野は政治学、平和構築、包括的教育など多岐にわたり、持続可能で公正な解決策の実現を目指し、多様な社会課題に取り組んでいる。さらに、2018年より「東京都多文化共生推進委員会委員」に着任し、都の多文化共生政策策定に有識者として携わっている。 プログラム詳細 -
2024.11.07
第18回SGRAチャイナフォーラム「アジア近代美術における〈西洋〉の受容」へのお誘い
下記の通りSGRAチャイナフォーラムをハイブリッド形式で開催いたします。会場でもオンラインでも参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。 テ ー マ:「アジア近代美術における〈西洋〉の受容」 日 時:2024年11月23日(土)午後3時~5時(北京時間)/午後4時~6時(東京時間) 会 場:北京外国語大学北京日本学研究センター多目的室とオンライン(Zoom) ※北京外国語大学会場で参加する場合は、入校の際に身分証のスキャンが必要となります。 言 語:日中同時通訳 共同主催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 北京外国語大学北京日本学研究センター 清華東亜文化講座 後 援:国際交流基金北京日本文化センター 協 賛:鹿島建設(中国)有限公司 ※参加申込(リンクをクリックして登録してください) (参加方法に関わらず参加用URLが届きます。会場参加の方は当日会場にお越しください。) お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■フォーラムの趣旨 昨年開催した「東南アジアにおける近代〈美術〉の誕生」では、日本における東南アジア美術史の第一人者である後小路雅弘先生(北九州市立美術館館長)を講師に迎え、いまだ東北アジア地域では紹介されることが少ない東南アジアにおける近代美術誕生の多様な様相について学んだ。その続編として今回は、初期の東南アジアの美術家にとって重要な存在であったゴーギャンを取り上げ、東南アジア近代美術おいて〈西洋〉がどのように受容され、そこにどのような課題が反映していたのかを考察する。 ■ プログラム 総合司会 孫 建軍(北京大学日本言語文化学部/SGRA) 【開会挨拶】 周 異夫(北京外国語大学日本語学院長兼日本学研究センター長) 野田昭彦(国際交流基金北京日本研究センター所長) 【講演】後小路雅弘(北九州市立美術館館長) 「アジア近代美術における〈西洋〉の受容─東南アジアのゴーギャニズム」 【指定討論】 討論者: 王 嘉(北京外国語大学) 二村淳子(関西学院大学) 【自由討論】 モデレーター:林 少陽(澳門大学歴史学科/SGRA/清華東亜文化講座) 【閉会挨拶】 王 中忱(清華東亜文化講座/清華大学中国文学科) ■講演内容 【講演】後小路雅弘「東南アジア近代美術における〈西洋〉の受容─東南アジアのゴーギャニズム」 [講演要旨] 前回の本フォーラムでは、「東南アジアにおける近代〈美術〉の誕生」というテーマのもと、欧米列強による植民地統治下の1930年代に見られた近代美術誕生の萌芽的な動きを国ごとに紹介し、その共通性と固有性について考察した。その背景には、19世紀末から盛んになったナショナリズムや民族自決の高まりといった国際的な動向があったが、激動のアジア近代史の奔流の中で、近代美術運動のパイオニアたちは何を目指したのかを読み解いた。 今回は、東南アジアを中心に、他のアジア地域の作例も含め、アジア近代美術の、とりわけ初期の段階において、〈西洋〉の受容がどのようなかたちで行われたのか、またそこにはアジアの近代美術のどのような課題が反映していたのかについて考察する。 アジアの近代美術は、西欧の近代美術の大きな影響を受けながら誕生し、展開していったことは間違いない。しかし、ここでは、その影響を受け容れた側(アジアの近代美術)の主体性、主体的な創造性に注目する。アジアの近代美術のパイオニアたちは、〈西洋〉をどのように「主体的に」受け容れ、そこにどのような問題意識を持ち、どのように内発的な創造性を展開したのだろうか。 東南アジアの美術家たちにとって、とりわけ重要な存在はポスト印象派のポール・ゴーギャンであった。ゴーギャンは、成熟した西欧文明に倦んで、野生の荒々しい生命力を求めて南太平洋へ移住し、そこで新境地を開いた。東南アジアの美術家たちは、ゴーギャンの南太平洋での作品を参照し、自らの作品に取り込みながら、自身の課題に取り組んでいく。そこには、新たな国家建設の夢や、まだ見ぬ〈故郷〉の姿が反映していた。 アジアの初期近代美術家たちはゴーギャンに何を見ていたのか─東南アジアを中心にそれ以外の地域も含め、いくつかの作品を取り上げ、その分析を通して、アジアの近代美術が何を求め、何を生み出したのかについて具体的に考えたい。 ※プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。 日本語版 中国語版 中国語版ウェブサイト -
2024.10.07
第11回日台アジア未来フォーラム「疫病と東アジアの医学知識――知の連鎖と比較」のご案内
下記の通り第11回日台アジア未来フォーラムを開催いたします。東アジア日本研究者協議会第8回国際学術大会内で開催するため、ご希望の方は同大会への参加申込(会場参加のみ)をお願い致します。 テーマ:「疫病と東アジアの医学知識――知の連鎖と比較」 日 時: 2024年11月10日(日)9:00~12:10(台湾時間) 会 場:淡江大学淡水キャンパス驚声大楼 言 語: 日本語 主 催: (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会 [SGRA] 共 催:中央研究院史語所世界史研究室 協 力:東アジア日本研究者協議会 賛助:中鹿營造股份有限公司、他 申 込: 東アジア日本研究者協議会第8回国際学術大会HPよりお申し込みください お問い合わせ:SGRA事務局([email protected]) ■ 開催趣旨 2019年12月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が中国の武漢市から流行し、多くの死者が出て全世界的なパンデミックを引き起こした。人と物の流れが遮断され、世界経済も甚大な打撃を受けた。この出来事によって、私たちは東アジアの歴史における疫病の流行と対処の仕方、また治療、予防の医学知識はどのように構築されていたか、さらに東アジアという地域の中で、どのように知の連鎖を引き起こして共有されたかということに、大きな関心を持つようになった。会議では中国、台湾、日本、韓国における疫病の歴史とその予防対策、またそれに関わる知識の構築と伝播を巡って議論をする。 ■ プログラム 9:00 開会挨拶 〔 第1部 報告 〕 9:10~9:30 報告1 李尚仁(中央研究院歴史語言研究所) 「コロナから疫病史を考え直す――比較史研究はまだ可能であろうか」 コロナの大流行以降、このパンデミックに対する国々の対応策が異なっていることがメディアの報道とコメントの焦点になっていた。しかし、このような差異は今回のコロナの流行によって初めて発生したことではない。歴史的にみれば、実際たびたび起こっている。歴史学者のPeter Baldwin は、一連の疫病の歴史を比較する著作において、この問題について、全面的な検討をした。拙稿は彼の著作を回顧しながら、彼の研究の問題意識は実はErwin H. Ackerknecht の古典的な論文を誤読したことを指摘する。さらに、両者の比較研究の問題点と制約を検討することによって、英国と台湾のコロナに対する対応の差異を例として、これらの差異の歴史的な淵源を探求し、また疫病の比較史研究を振り返ろうと思う。 9:30~9:50 報告2 朴漢珉(東北亜歴史財) 「清日戦争以前朝鮮開港場の検疫規則」 本稿では、日清戦争勃発以前、朝鮮政府が「朝鮮通商口防備瘟疫暫設章程」を制定した後、開港場で検疫規則を運営する過程で現れた改正問題が何だったかを検討した。開港場は船舶を利用した人と物資の移動を一次的に管理し統制できる関門だった。開港場を中心に感染症予防のための防疫活動をどのように展開し、各国とどのように協力していくかが核心的な問題だった。特に検疫問題に対して利害関係が最も大きくかかっていた当事国は朝鮮と日本だった。両国は臨時検疫規則を制定し運営する過程で、数回にわたって議論しながら立場を調整していった。日本の元山領事と釜山領事は今後の改善が必要な事項を中心に意見を提示した。朝鮮の海関官員と居留地検疫委員の間の監督管理問題、検疫委員の人数拡大、入港後に船舶から発生した患者を避病院に移して治療する時にかかった経費をどのように処理するかなどがこれに該当する問題だった。仁川領事の林権助は朝鮮政府の検疫規則運営に対して不満と不信感を表わし、日本の利益に合うように検疫規則を新しく制定しなければならないと主張した。日本弁理公社の梶山鼎介は運営上の問題点を改善するために領事たちから意見を取りまとめ、建議事項に基づいて検疫規則改正案を用意した。しかし、検疫規則の改正は朝鮮をはじめ各国の外交官とも協議し、同意を得なければならない問題であった。したがって、朝鮮を相手にする検疫規則改正交渉が日本側の意図通り容易に行われないまま、日清戦争を迎えることになった。 9:50~10:10 報告3 松村紀明(帝京平成大学) 「幕末から明治初期の種痘について」 1874 年(明治 7 年)に発布された「医制」は、日本で初めて医療制度や衛生行政に関する各種規定を定め近代日本の医療制度の方向性を示したとされ、これ以後、「医制」の趣旨を実現する方向で各種法令が制定され医療の近代化が進められて行った。しかしながら明治政府は、江戸時代末期から既に各地で実施されていた天然痘に対する予防接種=種痘に対しては、「医制」に先行する形で、1870 年(明治 3 年)には「大学東校種痘館規則」(種痘館規則)、翌 1871 年 (明治 4 年)には「東校中ニ種痘局ヲ設ケ規則ヲ定ム」(種痘局規則)などを定め、種痘技術や痘苗、そして施術者である種痘医の管理を試みている。これまでは、日本における医療制度の近代化は、「医制」や上記の種痘法令などによる明治政府の中央集権的な施策を中心に進められてきたと考えられてきた。その内実について、特に明治 10 年代までの民間主導で種痘が行われた岡山県や種痘医が不足していた千葉県における種痘実施の実情を紹介しながら、再検討する。 10:10~10:30 報告4 町泉寿郎(二松学舎大学) 「感染症と東アジア伝統医学」 中国の医事制度はどちらかと言えば為政者に奉仕することに主眼があるため、発病を回避するための日頃の健康管理や予兆を知る診断が重視された。流行性感染症の治療は、為政者のための医療と言うよりどちらかと言えば民間人のための医療の性格が強い分野であるが、季節性の流行性感染症の実態を政事主体が把握するという発想は中国古代からあった。また、国家が一般人向けの薬剤頒布所を設けることは宋代から行われている。古代に遡る流行性感染症とその治療法としては、後漢の『傷寒論』が先ず想起される。本来『傷寒論』は「傷寒」というある特定の流行性感染症に特化した治療法であったものが、読み継がれていく中で「傷寒」をすべての発熱性の流行病に当てはめるようになった。これは『傷寒論』が東アジア伝統医学に大きな意義を占めたことを意味するものであるが、半面では『傷寒論』の原型をとらえることを困難にしている面がある。「運気論」は宋代以降に流行し、金元医学の理論化にも寄与した。日本では15~16 世紀にはよく読まれ、曲直瀬道三もこの理論に通暁し、17 世紀を通して浸透した。 18 世紀に入ると古学派・古方派の台頭とともに原典回帰傾向や陰陽五行論への不信感が強まり、「運気論」への関心は急速に低下する。そして、18 世紀後半からには清国からの温疫学説伝入や新しい伝染病の蔓延によって、再び病気と天地の運行の相関関係への関心が高まり、再び「運気論」に注意する医家もでてきた。伝染病の原因を「天地間一種厲気」とする考えは明治期に及び、細菌学の発達による病原菌発見まで続く。「公衆衛生」という西洋由来の発想を東アジア世界に当てはめると、18 世紀ごろまで下り(例えば、清・乾隆 14 年刊の『医宗金鑑』など)、洋学の影響をより具体的に検討する必要が生じる。一方で、公衆衛生に関する東アジア伝統医学の考え方としては「養生」=セルフケアの考え方が極めて古くから存在する。近代的な「公衆衛生」の考え方と、伝統的な「養生」の考え方をどこでどのように切り分けるのかは、東アジア伝統医学と「公衆衛生」を考えるうえでの論点となると思われる。 10:30~10:40 休憩 〔 第2部 指定討論 〕 10:40~10:50 討論1 市川智生(沖縄国際大学) 10:50~11:00 討論2 祝平一(中央研究院歴史語言研究所) 11:00~11:10 討論3 巫毓荃(中央研究院歴史語言研究所) 11:10~11:20 討論4 小曽戸洋(北里大学東洋医学総合研究所) 〔 第3部 自由討論 〕 11:20~12:00 自由討論 12:00 閉会挨拶 ※プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。 プログラム詳細 -
2024.09.18
第22回SGRAカフェ「逆境を超えて:パレスチナの文化的アイデンティティ」
下記の通り第22回SGRAカフェを会場及びオンラインのハイブリット方式開催いたします。参加をご希望の方は、会場、オンラインの参加方法に関わらず事前に参加登録をお願いします。 テーマ:「逆境を超えて:パレスチナの文化的アイデンティティ」 日 時: 2024年10月5日(土)11:00~12:30(その後懇親会) 方 法: 会場及びZoomウェビナー 言 語: 日本語 主 催: (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会 [SGRA] 申 込: こちらよりお申し込みください お問い合わせ:SGRA事務局([email protected]) *ポスターに使われている刺繍の模様はTatreez Traditionsのデザインに基づいているものです。 ■ 開催趣旨 第20回SGRAカフェ「パレスチナについて知ろうー歴史、メディア、現在の問題を理解するために」(2024年2月3日、渥美財団ホール)と第73回SGRAフォーラム「パレスチナの壁:『わたし』との関係は?」(6月25日、昭和女子大学)に続き、「パレスチナを知ろう」シリーズの締めくくりとして、今年最後のSGRAイベントを開催します。これまでは国際政治やパレスチナ問題の現状に焦点を当ててきたことを踏まえ、今回は文化、文学、芸術にスポットライトを当てます。 パレスチナに関するニュースは戦争や紛争に偏りがちですが、パレスチナ人には逆境の中で形成された独自で多様な文化的アイデンティティ―があります。パレスチナの文学や芸術は民族が国家を奪われ、自決権を認められず、土地や文化の喪失を経験してきた中で、「故郷」をどのように捉えているかを映し出しています。 パレスチナの芸術や文学がいかにして平和的な抵抗の手段となり、抑圧や占領に対抗する一つの形となっているのかについても探求します。メディアでは語られることのないパレスチナの別の側面をご紹介し、このシリーズがポジティブな視点で終わることを目指します。 ■ プログラム 11:00-11:05 開会 司会:シェッダーディ アキル (慶應義塾大学) 11:05-12:05 講演 講師:山本薫(慶應義塾大学) 12:05-12:30 質疑応答・ディスカッション オンラインQ&A担当:銭海英(明治大学) ■ 講師紹介 山本薫 Kaoru Yamamoto 慶應義塾大学総合政策学部准教授。東京外国語大学博士(文学)。専門はアラブ文学。パレスチナをはじめとするアラブの文学・映画・音楽などの研究・紹介を行う。近刊に「パレスチナ・ガザに響くラップ」島村一平編著『辺境のラッパーたち―立ち上がる「声の民族誌」』青土社、アダニーヤ・シブリー『とるに足りない細部』(翻訳)河出書房新社。 ■ 講師からのメッセージ 2023年10月7日にガザ地区からイスラエル領内への奇襲が行われたことへの報復として、パレスチナ人へのジェノサイドが開始されてからもうすぐ1年になります。しかし、イスラエルによる攻撃はパレスチナ人の生命・財産に対するものにとどまりません。19世紀末に始まるユダヤ人のパレスチナへの組織的入植の目的は、ユダヤ人国家イスラエルを建設してパレスチナのアラブ人を追放するだけでなく、その存在の歴史的記憶を抹消することにもありました。そのためパレスチナ人の闘争は、自分たちの生命・財産を守り、正当な権利を回復するための政治的・軍事的・経済的・法的な闘いであるだけでなく、歴史と記憶をめぐる闘いでもあり、その点において文化はきわめて重要な役割を果たしてきたのです。本イベントでは、パレスチナ人が文化を通じて自分たちの歴史的存在とその人間的価値を証明してきた歩みをご紹介します。 ※プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。 プログラム詳細 -
2024.06.05
第 74 回 SGRA フォーラム 第 9回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 「東アジアの『国史』と東南アジア」へのお誘い
下記の通り第9回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性を開催いたします。参加ご希望の方は、必ず事前に参加登録をお願いします。オンラインで参加の場合は、一般聴講者はカメラもマイクもオフのウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。 テーマ:「東アジアの『国史』と東南アジア」 日 時:2024年 8 月 10 日(土)9:00~12:30(タイ時間)11:00~14:30(日本時間) 8 月 11日(日)9:00~15:30(タイ時間)11:00~17:30(日本時間) 会 場: チュラーロンコーン大学(タイ国バンコク市)及びオンライン(Zoomウェビナー) 言 語:日中韓3言語同時通訳付き 主催: 日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性実行委員会 共催: 渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 助成:東京倶楽部 ※参加申込(クリックして登録してください)(参加費:無料) お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■開催趣旨 「国史たちの対話」企画は、日中韓「国史」研究者の交流を深めることによって、知のプラットフォームを構築し、三国間に存在する歴史認識問題の克服に知恵を提供することを目的に対話を重ねてきた。第 1 回で日中韓各国の国史研究と歴史教育の状況を確認することからスタートし、その後 13 世紀から時代を下りながらテーマを設け、対話を深めてきた。新型コロナ下でもオンラインでの対話を実施し、その特性を考慮して、歴史学を取り巻くタイムリーなテーマを取り上げてきた。 昨年は対面型での再開が可能となったことを受け、「国史たちの対話」企画当時から構想されていた、20 世紀の戦争と植民地支配をめぐる国民の歴史認識をテーマに掲げた。多様な切り口から豊かな対話がなされ、「国史たちの対話」企画の目標の一つが達成された。今後はこれまでの対話で培った日中韓の国史研究者のネットワークをいかに発展させていくか、またそのためにどのような方針で対話を継続していくかが課題となるだろう。 こうした新たな段階を迎えて、第 9 回となる今回は、開催地にちなみ、「東南アジア」と各国の国史の関係をテーマとして掲げた。日本・中国・韓国における国史研究は、過去から現在に至るまで、なぜ、どのように、東南アジアに注目してきたのだろうか。過去の様々な段階で、様々な政治、経済、文化における交流や「進出」があった。それらは政府間の関係であったり、それにとどまらない人やモノの移動であったりもした。こうした諸関係や、それらへの関心のあり方は、各国ではかなり事情が異なってきた。こうした直接・間接の関係の解明に加え、比較的条件の近い事例として、自国の歩みとの比較も行われてきた。そもそも「東南アジア」という枠組み自体も、国民国家や「東アジア」といった枠組みと同様、世界の激動のなかで生み出されたものであり、歴史学の考察対象となってきた。 本シンポジウムでは、各国の気鋭の論者により、過去の研究動向と最先端の成果が紹介される。これらの研究は、どのような社会的・歴史的な背景のもとで進められてきたのか。こうした手法・視座を用いることで、自国史にいかなる影響があり、また今後はどのような展望が描かれるのか。議論と対話を通じて3カ国の国史の対話を、より多元的な文脈のうちに位置づけ、さらに開いたものとし、発展の方向性をも考える機会としたい。 ■プログラム 8月10日(土)9:00~12:30(タイ時間)、11:00~14:30(日本時間) 【第1セッション(9:00-10:30) 司会:劉傑(早稲田大学)】 開会挨拶:三谷 博(東京大学名誉教授) 基調講演:楊 奎松(北京大学・華東師範大学) ポストコロニアル時代における「ナショナリズム」衝突の原因 ―毛沢東時代の領土紛争に関する戦略の変化を手掛かりに 【第2セッション(11:00-12:30) 司会:南基正(ソウル大学)】 発表: タンシンマンコン・パッタジット(東京大学) 「竹の外交論」における大国関係と小国意識 吉田ますみ(三井文庫) 日本近代史と東南アジア―1930年代の評価をめぐって― 尹 大栄(ソウル大学) 韓国における東南アジア史研究 高 艷傑(厦門大学) 華僑問題と外交:1959年のインドネシア華人排斥に対する中国政府の対応 8月11日(日)9:00~15:30(タイ時間)、11:00~17:30(日本時間) 【第3セッション(9:00-10:30) 司会:彭浩(大阪公立大学)】 指定討論と自由討論 討論者: 【韓国】鄭 栽賢(木浦大学)、韓 成敏(高麗大学) 【日本】佐藤雄基(立教大学)、平山 昇(神奈川大学) 【中国】鄭 潔西(温州大学)、鄭 成(兵庫県立大学) 【第4セッション(11:00-12:30) 司会:鄭淳一(高麗大学)】 自由討論 討論まとめ:劉傑(早稲田大学) 【第5セッション(14:00-15:30) 司会:塩出浩之(京都大学)】 国史対話のこれから 閉会挨拶:宋 志勇 ※同時通訳 日本語⇔中国語:丁 莉(北京大学)、宋 剛(北京外国語大学) 日本語⇔韓国語:李 ヘリ(韓国外国語大学)、安 ヨンヒ(韓国外国語大学) 中国語⇔韓国語:金 丹実(フリーランス)、朴 賢(京都大学) ※プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。 ・プロジェクト概要 中国語版ウェブサイト 韓国語版ウェブサイト -
2024.05.21
第73回SGRAフォーラム「パレスチナの壁:『わたし』との関係は?」へのお誘い
下記の通り第73回SGRAフォーラムを会場及びオンラインのハイブリット方式開催いたします。参加をご希望の方は、会場、オンラインの参加方法に関わらず事前に参加登録をお願いします。 テーマ:「パレスチナの壁:『わたし』との関係は?」 日 時: 2024年6月25日(火)17:30~19:00(その後、懇親会を開催します*) 方 法: 会場及びZoomウェビナー 会 場:昭和女子大学学園本部館3F中会議室(アクセスについてはこちらをご覧ください。) 言 語: 日本語・英語(同時通訳**) 申 込: こちらよりお申し込みください * フォーラム後、パレスチナ料理の懇親会にもぜひご参加ください!(参加費無料) ** 同時通訳はZoomで行うため、会場にて同時通訳を利用する方は、端末(スマートフォン、ノートパソコン等)およびイヤホンをご持参ください。 お問い合わせ:SGRA事務局([email protected]) ■ フォーラムの趣旨 パレスチナ問題は「複雑すぎる」と言われます。しかし、客観的な事実や人道的な観点から考えると、この問題はすべての人に関わっています。フォーラムでは専門家、パレスチナ出身者、パレスチナ支持の活動を行っている学生の声を取り上げ、なぜこの問題が全ての人にとって重要なのか、そしてその問題を取り上げようとするときに直面する壁について話し合います。 「壁」という言葉には複数の意味が込められています。一つは、パレスチナ問題について公然と話すことを阻む見えない壁であり、タブーと言論の自由への抑圧を象徴しています。もう一つは、パレスチナ領土での継続的なアパルトヘイト(人種隔離)と植民地化の結果として存在する物理的な分離の壁です。世界中での学生の抗議活動は、これらの見えない壁を取り壊す試みであり、パレスチナ問題に対する公開討論を促進する力となっています。これはパレスチナ問題に対する新たな視点を提供すると同時に、世代間の意識の違いとその変化を示唆しています。 フォーラムを通じて、参加者がパレスチナ問題に対する多面的な理解を深め、グローバルおよびローカル、マクロとミクロな視点からのアプローチを考察する機会になると期待しています。 ■ プログラム 17:30 開始(司会:シェッダーディ・アキル、慶応大学訪問講師) 挨拶(今西淳子、渥美財団SGRA代表) 17:35 発表① ハディ ハーニ(明治大学特任講師) 「パレスチナ問題の基礎知識:改めて、歴史と政治的構図の要点を抑える」(日本語) 18:05 発表② ウィアム・ヌマン(東京工業大学大学院生) 「建築の支配:植民地主義の武器としての建造環境」(英語) 18:20 発表③ 溝川貴己(早稲田大学学部生) 「立ち上がる学生、クィア、環境活動家たち:2023年10月以降の東京のパレスチナ解放運動」(日本語) 18:35 質疑応答・ディスカッション(日本語・英語) モデレーター:徳永佳晃(日本学術振興会特別研究員PD 日本大学) オンラインQ&A担当:郭立夫(筑波大学助教) 19:00 閉会・懇親会開始 【発表概要】 発表① 「パレスチナ問題の基礎知識:改めて、歴史と政治的構図の要点を抑える」 (ハディ ハーニ、明治大学特任講師) 現在、世界中でパレスチナ人と連帯する運動が巻き起こっており、日本社会にも多くの参加者がいます。ただし「停戦」のみならず、その先に正義を実現するためには、構造的かつ本質的な変化へとつながる長期的な視野を持つことも重要です。そのために第一に重要なことは、シンパシーだけではなく、知識と論理に裏打ちされた正しさに則って行動することだと考えられます。このため今回のイベントでは、最新情勢や新事実の解説というよりは、パレスチナ問題の長く複雑な歴史や、現状の政治的構図を理解するうえで重要かつ基本的なポイントを解説し、全ての人が共有すべき基礎を確認することを目的としています。 発表② 「建築の支配:植民主義の武器としての建造環境」 (ウィアム・ヌマン、東京工業大学大学院生) 建築は政治を具現する。設計者の世界観を表すものであると同時に、政治的コントロールのための装置として使われることもある。このことは、ヨルダン川西岸やガザの植民地建築にはっきりと表れているが、東京や世界中のパレスチナ支援デモの場所として選ばれている公共空間にも、目に見えない形で表れている。本発表では、パレスチナ人に対する日常的な抑圧と統制に寄与している建築装置と、世界中の公共空間におけるそれに匹敵する、しかし控えめな建築的統制装置との類似性を描き出そうと試みる。 発表③ 「立ち上がる学生、クィア、環境活動家たち:2023年10月以降の東京のパレスチナ解放運動」 (溝川貴己、早稲田大学学部生) 2023年10月以降、在日パレスチナ人だけでなく、学生、クィアコミュニティ、環境活動家といった様々な人々のコミュニティが、即時停戦とパレスチナ解放を訴えて、デモやイベントを行っていた。ここでは、この人々がパレスチナ/イスラエルにどのように向き合い、この7か月間どのような試みを行ってきたか、東京での事例を紹介する。 ※プログラムの詳細は、下記リンクからご参照ください。 SGRAForum73Program -
2024.04.16
第22回日韓アジア未来フォーラム「ジェットコースターの日韓関係-何が正常で何が蜃気楼なのか」へのお誘い
下記の通り第22回日韓アジア未来フォーラムをソウル大学国際大学院会議室とZoomのハイブリッド形式で開催しますので奮ってご参加ください。 テーマ:「ジェットコースターの日韓関係-何が正常で何が蜃気楼なのか」 日 時:2024年5月18日(土)14:00~17:40 共同主催:(財)未来人力研究院(韓国)、ソウル大学日本研究所、(社)韓国現代日本学会、(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 方 法:ソウル大学国際大学院140-2棟4階国際会議室およびZoom 言 語:日本語・韓国語(同時通訳) 参加費:無料 お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) 参加方法: ◇会場参加ご希望の方は、直接会場へお越しください。 ◇オンライン参加ご希望の方は、下記リンクより聴講していただけます。 -ZOOM ID: 891 2903 1030 -ZOOMリンク: https://snu-ac-kr.zoom.us/j/89129031030 ※以前掲載していたものとZoom ID、リンクが変更になりましたのでご注意ください。 ◆フォーラムの趣旨 21世紀の新しい日韓パートナーシップ共同宣言後、雪解け期を迎えた日韓関係は、その後浮き沈みを繰り返しながら最悪の日韓関係と言われる「失われた10年」を経験した。徴用工問題に対する第三者支援解決法を契機に、2023年の7回にわたる首脳会談を経て日韓関係は一挙に正常化軌道に乗った。一体、日韓関係において何が正常で、何が蜃気楼なのか?徴用工問題解決の1年後の成果と課題、そして日韓協力の望ましい方向について考える。日韓同時通訳付き ◆プログラム 《開会》午後2時 司会:嚴泰奉(オム・テボン:現代日本学会総務理事) 【開会の辞】 李鎮奎(イ・ジンギュ:未来人力研究院理事長) 南基正(ナム・キジョン:ソウル大学日本研究所長) ◇第1部 報告と指定討論:日韓関係の復元、その一年の評価と課題 (100分) 司会:李元徳(イ・ウォンドク:国民大学教授) 【報告1】西野純也(にしの・じゅんや:慶応大学教授) 「日韓関係の復元、その一年の評価と課題:政治安保」15分 【報告2】李昌玟(イ・チャンミン:韓国外国語大学教授) 「日韓関係の復元、その一年の評価と課題:経済通商」15分 【報告3】小針進(こはり・すすむ:静岡県立大学教授) 「日韓関係の復元、その一年の評価と課題:社会文化」15分 【討論1】金崇培(キム・スンベ:釜慶大学日語日文学部准教授)7分 【討論2】安部誠(あべ・まこと:アジア経済研究所上席主任調査研究員)7分 【討論3】鄭美愛(ジョン・ミエ:ソウル大学日本研究所客員研究員)7分 ◇第2部 パネル討論:日韓協力の未来ビジョンと協力方向 (80分) 司会:南基正(ナム・キジョン:ソウル大学日本研究所長) 【パネリスト】 西野純也(にしの・じゅんや:慶応大学) 小針進(こはり・すすむ:静岡県立大学) 安部誠(あべ・まこと:アジア経済研究所) 崔喜植(チェ・ヒシク:国民大学) 李政桓(イ・ジョンファン:ソウル大学) 鄭知喜(チョン・チヒ:ソウル大学日本研究所) 趙胤修(チョ・ユンス:東北アジア歴史財団) 【閉会の辞】 今西淳子(いまにし・じゅんこ:渥美国際交流財団常務理事・SGRA代表) 金雄煕(キム・ウンヒ:韓国現代日本学会長) 《閉会》午後5時40分 詳細はプログラムをご覧ください。 プログラム(日本語) -
2024.02.02
第21回SGRAカフェ「日本社会における二重国籍の実態」へのお誘い
下記の通り第21回SGRAカフェを会場及びオンラインのハイブリット方式開催いたします。参加をご希望の方は、会場、オンラインの参加方法に関わらず事前に参加登録をお願いします。 テーマ:「日本社会における二重国籍の実態 複数国籍保持者に対するスティグマ付与と当事者らの実践」 日 時: 2024年2月17日(土)14:00~16:30 方 法: 会場及びZoomミーティング 言 語: 日本語 主 催: (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会 [SGRA] 申 込: こちらよりお申し込みください お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■ フォーラムの趣旨 政治家やスポーツ選手等の「二重国籍問題」が炎上しやすい日本社会。日本国籍だけを保有する人々だけが「国民」なのだろうか。「外国人」と「国民」の境界線に居ながら日本社会で生きている多くの人たちは、どのような葛藤を抱え「二重国籍」と向き合っているのか。今回のSGRAカフェでは、このような問いをみんなで考えていきたい。 日本の国籍法は、国籍唯一の原則を取り入れているが、それは複数国籍保持の禁止又は違法性を意味するのだろうか。国籍法をめぐる様々な誤解を解いた上で、国籍唯一の原則が導入された背景を考察する。また、国際的動向に逆らって、日本では複数国籍容認への動きが全く見られないだけではなく、むしろ過去15年間、行政による複数国籍防止対策が以前より徹底されているようにさえ窺える。この動きの背景は何か。 最後に、複数国籍保持者の当事者らはどのような問題に直面し、どのような実践を繰り広げているのか。国際結婚によって生まれた人たち、帰化を経て日本国籍を取得した人たち、外国籍を取得した海外居住中の元日本国籍保持者の事例から、国籍選択制度や国籍喪失/はく奪条項等をめぐる各個人の実践と、近年の動きを検討していく。 ■ プログラム 14:00~ イントロダクション 「多くの誤解を生んでいる日本の国籍法」 コーベル・アメリ(獨協大学特任講師) 日本政府は二重国籍の防止・解消に本当に積極的と言えるのか。その議論の前提として二重国籍が発生する主なケースを紹介しながら、その解消を目指す諸制度と限界を解説する。 14:10~ 基調講演 「日本社会における複数国籍の実態―放置主義から摘発強化への政策転換」 武田 里子(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員) 国連加盟国中、複数国籍非寛容国は23%(2020年)にとどまり、日本はこのグループに区分されている。一方で日本における複数国籍者はすでに100万人を超えた。日本政府は2000年代に入り、なぜ、重国籍放置主義から摘発強化に政策転換したのか。本報告では、はじめに国籍法の変遷を整理し、次に調査から得られた当事者が抱える国籍問題と、国籍法11条1項* 違憲訴訟における被告(国)の主張、”国籍唯一の原則と重国籍削減の合理性”を重ね合わせることで、実態と国籍法制の矛盾を浮かび上がらせる。結論として、国籍問題も「失われた30年」の要因のひとつになっていることを示し、後半の議論につなぎたい。 *「日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」 14:45~ 話題提供 話題提供1 「日本における国籍と社会福祉及びソーシャルワーク」 ヴィラーグ・ヴィクトル(日本社会事業大学准教授) 国籍は様々な社会サービスの受給資格を通して日々の生活に影響を及ぼしている。前半は日本の公的な福祉制度と国籍の関係について整理する。後半はソーシャルワーク専門職の視点から国籍唯一の原則や複数国籍防止対策について考察し、問題提起する。 話題提供2 「国際-国家、そして家族史における国籍」 金 崇培(国立釜慶大学助教授) 依然として国際関係や国家が持つ権力の構造は「個人」に影響を及ぼしている。本発表は発表者の家族史やパーソナル・ヒストリーによって国籍問題の一側面を紹介しようとする試みである。 話題提供3 「日本と中国の間で起きている国籍問題」 高 偉俊(北九州市立大学国際環境工学部教授) グローバルな移動に便利な日本のパスポートか、家族が同じ国籍(中国籍)であるというアイデンティティか。日本に帰化する中国人も多い中、その狭間で考えた日本と中国の国籍問題について自身を含む様々な事例を紹介する。 15:25~ <休 憩 5分> 15:30~ グループディスカッション 16:05~ ディスカッション結果の共有 司会/モデレーター: コーベル・アメリ 16:25~ 閉会挨拶 16:30 閉会 ※プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。 プログラム詳細 -
2024.01.09
第20回SGRAカフェ「パレスチナについて知ろう― 歴史、メディア、現在の問題を理解するために」
下記の通り第20回SGRAカフェを会場及びオンラインのハイブリット方式開催いたします。参加をご希望の方は、会場、オンラインの参加方法に関わらず事前に参加登録をお願いします。 テーマ:「パレスチナについて知ろう― 歴史、メディア、現在の問題を理解するために」 日 時: 2024年2月3日(土)14:00~15:30 方 法: 会場及びZoomウェビナー 言 語: 日本語 主 催: (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会 [SGRA] 申 込: こちらよりお申し込みください お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612) ■ フォーラムの趣旨 パレスチナの歴史、メディアの役割と影響、現在の政治的・社会的・人道的な問題についてのイベントです。パレスチナは中東の重要な地域であり、イスラエルとの紛争や国際社会との関係が注目されています。しかし、多くの人はパレスチナの実情や人々の声を知らないまま、偏った情報や先入観に基づいて判断してしまうことがあります。本イベントでは、パレスチナの歴史的背景やメディアの表現方法を分析し、現在の問題に対する多様な視点や意見を紹介します。パレスチナについて知ることで、平和的な解決に向けた理解と共感を深めることを目的としています。大切なのは、同じ地球市民の一員として、この問題がこのままでいいのか、どうあるべきなのかを考えること、そしてそれに基づいて、何ができるか考え、実際に行動することではないでしょうか。今回はその出発点となるように、パレスチナ問題の歴史や現状、メディアとの向き合い方などについて、皆さんと一緒に考えたいと思います。 ■ プログラム 14:00~ 開会挨拶 14:05~ ハディ先生による発表 14:50~ 質疑応答・ディスカッション 15:25~ 閉会挨拶 15:30 閉会 【登壇者紹介】 講師:ハディ ハーニ Hani Abdelhadi 1992年埼玉県生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。同大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。2023年より明治大学特任講師。東京ジャーミイ文書館理事等を兼務。主な論文に「パレスチナ問題における解決案の行き詰まり」「イスラーム法からみるパレスチナ問題」などがある。 討論者・司会:シェッダーディ アキル Cheddadi, Mohammed Aqil モロッコ出身。モロッコ国立建築学校卒業。慶應義塾大学政策・メディア研究科環境デザイン・ガバナンス専攻修士号取得・博士課程在学。同大学総合政策学部訪問講師。2022年度渥美奨学生。本カフェでは日本在住のアラブ人という視点からパレスチナ問題の現状や解決の可能性について考える。 ※プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。 プログラム詳細