-
2022.10.27
SGRAレポート第99号
第68回SGRAフォーラム
「夢・希望・嘘 -メディアとジェンダー・セクシュアリティの関係性を探る-」
2022年11月1日発行
<フォーラムの趣旨>
現代社会に生きる者がメディアの影響からのがれることは難しい。服から食べ物まで、私たちの日常的なあらゆるものの選択はメディアに左右されている。
同様に、子供のころからジェンダーやセクシュアリティに関わる情報にさらされ、女性は、男性は、いかに行動すべきなのか、どのようなジェンダーやセクシュアリティが存在するのか、恋愛とは何なのかというイメージもメディアにより作られている。メディアは意見を作るための貴重なツールであるだけでなく、意見を変えるためのツールでもある。
本フォーラムではメディアはどのように恋愛、ジェンダーやセクシュアリティの理解に影響を与えているのか?視聴者やファンはどのようにメディアと接触しているのか?社会的な変化のために、メディアをどのように利用することができるのか? など、現代におけるメディアとジェンダーおよびセクシュアリティの関係性のさまざまな様相を皆さんと共に掘り下げ、探ってゆくことを目指した。
<もくじ>
【第1 部】
[基調講演]
今の時代、白馬に乗った王子様って必要?
―リアリティーテレビの「バチェラー・ジャパン」と「バチェロレッテ・ジャパン」から見たジェンダー表象―
ハンブルトン・アレクサンドラ(津田塾大学)
[質疑応答]
質問者:デール・ソンヤ(インディペンデントリサーチャー)
回答者: ハンブルトン・アレクサンドラ(津田塾大学)
Q&Aコーディネーター:郭 立夫(東京大学)
【第2 部】
[発表①]
夢を売り、夢を描く
―ジェンダー視点からみる宝塚歌劇団の経営戦略と関西圏のファン文化―
バラニャク平田ズザンナ(お茶の水女子大学)
[発表②]
中国本土のクィア運動におけるメディア利用
―北京紀安徳咨詢センターによるメディア・アクティビズムを中心に―
于 寧(国際基督教大学)
[発表③]
#MeTooからデンジャンニョ(味噌女)まで
―韓国のメディアにおける「フェミ/嫌フェミ」をめぐって―
洪ユン伸(一橋大学)
【第3 部】 ディスカッション
パネリスト: ハンブルトン・アレクサンドラ(津田塾大学)
バラニャク平田ズザンナ(お茶の水女子大学)
于 寧(国際基督教大学)
洪 ユン伸(一橋大学)
Q&A コーディネーター:郭 立夫(東京大学)
講師略歴
あとがきにかえて
デール・ソンヤ(インディペンデントリサーチャー)
-
2022.10.18
下記の通りSGRAチャイナフォーラムをオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。
テーマ:「モダンの衝撃とアジアの百年 ―異中同あり、通底・反転するグローバリゼーション―」
日時:2022年11月19日(土)午後3時~5時(北京時間)/午後4時~6時(東京時間)
方法:Zoom Webinarによる/日中同時通訳付き
共同主催:
渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
北京大学日本文化研究所
清華東亜文化講座
後援:国際交流基金北京日本文化センター
協 賛:鹿島建設(中国)有限公司
※参加申込(リンクをクリックして登録してください)
お問い合わせ:SGRA事務局(
[email protected] +81-(0)3-3943-7612)
■フォーラムの趣旨
山室信一先生(京都大学名誉教授)の『アジアの思想史脈―空間思想学の試み』(人文書院、2017年。徐静波・訳『亚洲的思想史脉——空间思想学的尝试』上海交通大学出版社・近刊予定)と『モダン語の世界へ:流行語で探る近現代』(岩波新書、2021年)などを手がかりに行った昨年度のフォーラム「アジアはいかに作られ、モダンはいかなる変化を生んだのか?」の続編として、前回に提起した空間論・時間論・ジェンダー論における論的転回の具体的現れについて考える。そして、それらが生活世界にどのような衝撃を与え、現在の私たちの時空感覚や身体的感性や倫理規範などにいかに通底しているのかを検討する。
■プログラム
総合司会 孫 建軍(北京大学日本言語文化学部/SGRA)
【開会挨拶】今西淳子(渥美国際交流財団/SGRA)
【挨拶】野田昭彦(国際交流基金北京日本研究センター)
【講演】山室信一(京都大学名誉教授)
「モダンの衝撃とアジアの百年―異中同あり、通底・反転するグローバリゼーション―」
【討論】
モデレーター:林 少陽(澳門大学歴史学科/SGRA/清華東亜文化講座)
討論者:
陳 言(北京市社会科学院)
高 華鑫(中国社会科学院外国文学研究所)
山室信一(京都大学名誉教授)
【閉会挨拶】劉 暁峰(清華東亜文化講座/清華大学歴史系)
〇同時通訳(日本語⇔中国語):丁 莉(北京大学)、宋 剛(北京外国語大学/SGRA)
■講師からのメッセージ
討議では、前回の続きとして「近代と現代の二つのモダン」がアジアという空間においていかなる衝撃を与え、それがどのような時間論的転回とジェンダー論的転回を生んだのかについて具体的な事例をあげて考えたいと思います。
そこでは現在の私たちにとって当たり前の通念となっていることが、決して当然のこととして受け容れられた訳では無く、日常生活における所作や装身や感性や倫理・規範など多層的な激変を伴うものであったことに着目する必要があるかと思います。
同時に、そこでは欧米への対応とともに中国・韓国・日本の相互の反発や啓発によって平準化・類同化・固有化という興味深い現象を引き起こしたことも見逃せません。
実は、そうした現象が現れること自体が、アジアという時空間に共属感覚を抱くようになる要因でもあったと言えます。
こうしたモダンの衝撃のなかでも、現在の私たちにとっても思想課題として立ちはだかっているのが男女の性差という問題でしょう。いや、私が「モダン語の世界」とみている百年前の時空間の中で最も大きな衝撃として噴き出したのが、性差や性愛や性美などをいかに捉え、それをどのように生活世界の中に取りいれるか、あるいは全く逆にそれらを異常や風俗壊乱などとして排除していくのかという問題でした。ただ、同時にまた近代において否定された異性装が、新たなモードとして人気を博したのも現代の特徴でした。
そこではモダンと反モダン、アバンギャルドとプリミティヴィズムなどの相反する尖端が共存するという事態が現れます。その混沌たる気運を生んだのが、同時期に普及したニュー・メディアである写真や映画やレコードなどの世界的流通でした。これらのニュー・メディアはモンタージュや速写や透視などの技法によって空間論的転回と時間論的転回の接合という人類史的視点からみても画期的事態を生み出します。
私たちの時間感覚と空間感覚そして性差感覚は、第一次世界大戦の戦争形態の変化を経て決定的に転換するのです。
このようにして生じた変化が現在の私たちの生活世界にいかに繫がっているのか否か、という議論を通して、アジアにとってモダンやグローバリゼーションさらにはアメリカニズムとは何だったのか、を百年というタイムスパンの下で検討したいと思います。
最後に時間が許せば、「思詞学」という視点のもつ意義について再考し、忌憚のない御批判を戴きたいと切望しています。
※プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。
日本語版
中国語版
-
2022.10.13
「来年、台湾台北で会いましょう!」
中国文化大学元学長の徐興慶先生、台湾のラクーン(元渥美奨学生)たちと一緒に、2020年1月にフィリピンで開催された第5回アジア未来会議のクロージングパーティーのステージに上がり、皆さんに呼びかける自分の声が耳元で響いていた光景が昨日の出来事のようです。
翌日のツアーで火山の噴火を目の当たりにし、そして火山灰で滑走路が閉鎖され、空港では長時間待たされ、混乱の中で帰国便の変更をしたことなど、皆さんは覚えているでしょうか。
帰国後、第6回アジア未来会議の準備が始まりました。いえ、準備はもっと前から始まっていました。火山見学の途中、噴火する直前の火山の横の展望台で、徐先生から「準備委員会の連絡グループを作りましょう」と指示を受けた時に始まっていました。
フィリピン大会から約1カ月後、日本から今西さんと角田さんの2人、タイからはアジア未来会議(AFC)事務局3人組が台湾で集合しました。
宿泊施設の視察、おもてなしの台湾料理の試食など朝から晩までぎっしりとスケジュールが詰まっていました。台湾の魅力をどのように皆さんに知ってもらうか、いろいろなアイディアが飛び交っていました。
101ビルはランドマークとして広く知られているかもしれません。では、圓山ホテル(ザ・グランドホテル)はご存知でしょうか。赤い柱と金の瓦の14階建て中国宮殿様式のホテルで、台湾では初めての5つ星ホテルです。歴史のある圓山ホテルの格式を味わってもらう宴会場を探しました。高さ11メートルの天井に、渦を巻いて空を飛ぶ龍が珠を吐き出すホールを見学し、ここでクロージングパーティーを開いたらきっと一層華やかな雰囲気を引き立てられるのではないか、視察チームは様々な想像を巡らせて、その会場を予約することにしました。
その頃は新型コロナが世界にこんなに大きな影響を与えるとは思いもよりませんでした。台湾ではすでに警戒態勢で、マスクは配給制になっていました。視察チームが帰国する際に、空港で今西さんが「マスクをあげようか」と言ってくれたのをまだ鮮明に覚えています。「いえいえ今西さん、ご自分に取っておいた方がいいですよ」と答えましたが、まさかその後日本でもしばらくマスクが不足するとは思いませんでした。
2020年3月19日、今西さんたちが帰国して間もなく台湾は国境を閉じ、新型コロナは火に油を注ぐような勢いで世界中に広まっていきました。
新型コロナの収束が見えない中、対面で会議が開けるか台湾の準備委員会では議論を重ねました。様々な国の学者と対面で議論し、学際的な交流をするのはアジア未来会議の醍醐味です。その醍醐味を最大限に保ちたいという思いを優先し、2021年8月に台湾で開催予定だった第6回アジア大会の延期を決めました。「1年延期すれば、なんとか光が見えてくるでしょう」と準備委員会で議論しました。そして本番の大会の宣伝を兼ねて、オンライン式の「プレカンファランス」を開くことになり、2021年8月26日(木)に実施しました。
「プレカンファランス」が大成功に終わり、いよいよ本番を目指します。しかし、新型コロナがベータからデルタ、オミクロンへと次から次へ変異し事態が思わぬ方向へと進んでいきました。オンラインかハイブリッドか対面か、どの形にするか最後の最後まで決めかねていました。準備委員会としてはアジア未来会議の醍醐味である対面会議での交流を大事にしたいと考えていましたが、ご存じの通り入国制限があり、最後はハイブリッド形式に決まりました。アジア未来会議が始まってから初めてのチャレンジです。
大会数日前にはパネリストや通訳などに続々と感染者が出て、臨時的措置を取らなければならない慌ただしい雰囲気が漂っていました。あと数分で日付が変わる25日の真夜中に、事務局から26日に公開する英語のお知らせの中国語への翻訳の依頼が入り、「間に合うか間に合うか」と秒単位で緊張しながらのやり取りです。さまざまなネットワークやチームメンバーが動員された大会がいよいよ開幕を迎えると実感しました。
8月27日当日、台北市北部の山に位置する中国文化大学で大会が始まりました。台湾ではまだ新型コロナ対策として「社交距離」、「マスク着用」など様々な規制があるにも関わらず、大会ホールには大勢の人が集まっていました。
シンポジウムでは基調講演者の前(第14代)中華民国副総統の陳健仁先生をはじめ、各国・各分野で活躍する先生方が新型コロナについて様々な視点から話をしてくれました。パネリストの一人である黄勝堅先生(台北市立聯合病院前総院長)の言葉を借りますと、基調講演とシンポジウムの話はまさに大会趣旨である「みんなの問題、みんなで解決」にぴったりだと、私も思わずうなずいていました。
開催会場の中国文化大学側の総動員、日本(+タイ)側のスタッフ、そして台湾の多数の学校をまたぐ準備委員会の委員たちが積極的に協力してくれたおかげで、3日間にわたった基調講演、シンポジウム、円卓会議、分科会などがスムーズに行われ、活発な議論が展開されました。大会が順調に行われた裏ではたくさんの方々の協力が欠かせませんでした。心から感謝を申し上げます。
私は準備委員の一員であるほか、コメンテーター、座長、共同発表、個人発表など数役を担い、日本語、中国語、慣れない英語を切り替えながら気を張り詰めて3日間を過ごしました。新しく取り入れた研究テーマが「ベストプレゼンテーション」という評価をいただき、とても励みになりました。新しい研究やチャレンジの成果をシェアできる場として、異なる分野、異なる国の学者が異なる視点で議論できる場として、大会の様子を見て「あー参加して良かった」とつくづく思いました。
第6回アジア未来会議は無事に閉幕しました。対面会議ではない形で開催され残念な気持ちはありますが、これからの時代はハイブリッド形式が普通になるのではという感想もあります。
第1回から第6回、コロナのない時代、コロナの時代、ポストコロナの時代、そしてウィズコロナの時代、これからはどんな時代になるのでしょうか。第7回アジア未来会議は最初の開催地であるバンコクに戻ります。どんな話題が繰り広げられるのか、とても楽しみです。
では、台湾の台北からタイのバンコクへバトンタッチします。
皆さん、2024年8月にバンコクで会いましょう。
英語版はこちら
<陳姿菁(ちん・しせい)CHEN Tzu-Ching>
SGRA会員。お茶の水女子大学人文科学博士。台湾教育部中国語教師資格、ACTFL(The American Council on the Teaching of Foreign Languages)のOPI(Oral Proficiency Interview)試験官(日本語)。台湾新学習指導要領(第二外国語)委員。開南大学副教授。専門は談話分析、日本語教育、中国語教育など。
2022年10月13日配信
-
2022.09.21
第6回アジア未来会議は2022年8月27日(土)~29日(月)、ハイブリッド形式で実現しました。本来は2021年8月に台北市で開催する予定でしたが、新型コロナウイルスの世界的な流行により1年延期し、その代わりに同年8月26日に1日限りの「プレカンファランス」をオンラインで開催しました。それから1年。東アジアではまだパンデミックの収束の目途が立たない状況ですが、台湾の中国文化大学をメイン会場とし、海外からはオンラインで参加というハイブリッド形式で、多くの人が参加できる会議を実施することができました。
総合テーマは「アジアを創る、未来へ繋ぐ―みんなの問題、みんなで解決」です。2020年1月のマニラ会議の閉会式で、共催の中国文化大学の徐興慶学長(当時)が台湾での開催を宣言。同年2月には渥美財団の担当チームが訪台して会場や宿泊施設、宴会場を視察し、中国文化大学で最初の準備会議を開催しました。当時もほとんどの人がマスクを着用していましたが、その後台湾と日本の往来が全くできなくなり、しかも2年半以上も続くとは誰も予想できませんでした。
今回のアジア未来会議は全員が一堂に集まることはできませんでしたが、最新のオンライン会議技術を駆使して3日間にわたって実施され、基調講演とシンポジウム、3つの円卓会議と179篇の研究論文発表を行い、広範な領域における課題に取り組む国際的かつ学際的な議論が繰り広げられました。今、アジアや世界は大きく変化しています。このような時だからこそ「みんなの問題、みんなで解決」の必要性が強調されました。
8月27日(土)は台北市の中国文化大学の会場とハイブリッド形式で実施。午前は12の分科会で英語、日本語、または中国語による45篇の論文発表が行われました。分科会はZoom会議のブレイクアウトルーム機能を使い、会場の座長や発表者もオンライン会議に参加しました。午後2時(台湾時間)、中国文化大学と東京の渥美国際交流財団をつないで開会式が始まりました。会場参加者は220名、Zoomウェビナーへの参加者は324名でした。最初に明石康大会会長が第6回アジア未来会議の開会を宣言しました。続いて渥美国際交流財団の渥美直紀理事長が主催者として、中国文化大学の王淑音学長が共催者としてあいさつし、日本台湾交流協会台北事務所の泉裕泰代表と中国文化大学傑出校友会の黄良華会長から祝辞をいただきました。
次は、前中華民国副総統の陳建仁博士による基調講演「国際感染症と台湾―新型コロナウイルスとの共存かゼロコロナか?」(中英、中日同時通訳)でした。感染症対策の第一人者だけにパワフルなお話で「台湾の100万人当たりの累計感染者は世界最少で、同死亡者もニュージーランドに次ぎ2番目に少なく、2020年のGDP成長率3%超を維持できたという『成功の主役』は台湾の人々である」と強調しました。
シンポジウム「パンデミックを乗り越える国際協力―新たな国際協力モデルの提言」(中英、中日、英日同時通訳)では、中国文化大学の徐興慶先生がモデレーターを務め、国立台湾大学の孫效智先生、ソウル大学の金湘培先生、台北市立聯合病院の黄勝堅前総院長、日本の国立国際医療研究センターの大曲貴夫先生、中国文化大学の陳維斌先生が会場やオンラインで登壇され、それぞれ哲学、国際政治学、医学、公衆衛生学、国際交流の視点から分析し、国際的な協力によっていかにパンデミックを「みんなの問題、みんなで解決」していくか検討しました。
8月28日(日)と29日(月)には、円卓会議と分科会(研究論文発表)を行いました。円卓会議I「あなたは大丈夫―アジアにおけるメンタルヘルス、トラウマ、疲労」と円卓会議II「コミュニティとグローバル資本主義―It’s a small world after all」(いずれも英語)では、パンデミックだけでなく、自然災害や戦争によって現れたコミュニティのさまざまな課題、さらにはそれが人々の精神、感情に与えた影響についてアジア各国から報告があり、いかに対応していくかを議論しました。また、一般社団法人東北亞未来構想研究所(INAF)主催の「台湾と東北アジア諸国との関係」(日本語)セッションでは、東北アジア地域協力の視点から台湾に照準を合わせて、各国との国際政治・経済・文化などの関係について多面的に検討しました。
円卓会議と併行して34の分科会(参加登録者308名)を開催し、英語と日本語の134篇の論文の口頭発表が行われました。世界各地から2名の座長と4名の発表者がZoomのブレイクアウトルームにオンラインで参加し、研究報告と聴講者を交えた活発な議論が展開されました。アジア未来会議は国際的かつ学際的なアプローチを目指しており、各セッションは使用言語と発表者が投稿時に選んだ「環境」「教育」「言語」などのトピックに基づいて調整されました。
第6回アジア未来会議のプログラム
分科会ではセッションごとに座長の推薦により優秀発表が選ばれました。
優秀発表賞受賞者リスト
会議に先立って学術委員会が優秀論文を選考しました。1年間の開催延期があったため、3年間の間に優秀論文の選考を2回実施しました。1回目の選考についてはプレカンファランス報告をご覧ください。2回目の選考は2021年8月31日までに発表要旨、2022年3月31日までにフルペーパーがオンライン投稿された133篇の論文を12のグループに分け、各グループを6名の審査員が以下の7つの指針に沿って審査しました。 (1)会議テーマ「アジアを創る、未来へ繋ぐ―みんなの問題、みんなで解決」との関連性、 (2) 構成と読みやすさ、 (3) まとまりと説得力、 (4)オリジナリティ、 (5) 国際性、 (6) 学際性、 (7) 総合的なおすすめ度。投稿規定に反するものはマイナス点をつけました。各審査員はグループの中の9~10本の論文から2本を推薦し、集計の結果、上位18本を優秀論文と決定しました。
第6回アジア未来会議優秀論文リスト
優秀論文集『アジアの未来へ-私の提案-Vol.6B』は2023年3月に出版予定です。
また、台湾実行委員会による台湾特別優秀論文も同じプロセスで選考されました。
台湾特別優秀論文リスト
分科会セッションの後の閉会式もオンラインで実施されました。本会議の短い報告のあと、優秀発表賞が発表されました。最後に次回2024年に開催される第7回アジア未来会議のお誘いが開催地のバンコク市から呼びかけられました。
コロナ禍の第6回アジア未来会議の開催経緯については、プレカンファランス報告もご参照ください。
第6回アジア未来会議「アジアを創る、未来へ繋ぐ―みんなの問題、みんなで解決」は、(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)主催、中国文化大学の共催、(公財)日本台湾交流協会の後援、国家科学及び技術委員会と(公財) 高橋産業経済研究財団の助成、台湾大学日本研究センターと台中科技大学日本研究センターの協力、そして日本と台湾の組織や個人の方々からご協賛をいただきました。
主催・協力・賛助者リスト
運営にあたっては、中国文化大学を中心に台湾実行委員会が組織され、基調講演とシンポジウムを企画実施してくださいました。また台湾特別優秀論文賞を設けて台湾在住の研究者を特別支援しました。アジア未来会議全般の運営は、元渥美奨学生の皆さんが、優秀賞の選考、セッションの座長、技術サポート、翻訳や通訳等、さまざまな業務を担当してくださいました。とりわけ、台湾出身の方々は台湾実行委員会メンバーとして諸調整や翻訳等をお手伝いくださいました。
論文を投稿・発表してくださった200名のみなさん、会場またはオンラインでお集りくださった基調講演・シンポジウム500名、分科会300名の参加者のみなさん、開催のためにご支援くださったみなさん、さまざまな面でボランティアで協力してくださったみなさんのおかげで、第6回アジア未来会議を成功裡に実施することができましたことを心より感謝申し上げます。
第7回アジア未来会議は、2024年8月9日(金)から13日(火)まで、チュラロンコーン大学文学部東洋言語学科日本語講座の共催で、タイ王国バンコク市で開催します。皆様のご支援、ご協力、そして何よりもご参加をお待ちしています。
第6回アジア未来会議の写真(ハイライト)
第6回アジア未来会議フィードバック集計
基調講演とシンポジウムのフィードバック集計
第7回アジア未来会議論文募集のチラシ
<今西淳子(いまにし・じゅんこ)Junko_Imanishi>
学習院大学文学部卒。コロンビア大学人文科学大学院修士。1994年の設立時より(公財)渥美国際交流財団に常務理事として関わる。留学生の経済的支援だけでなく国際的かつ学際的研究者ネットワークの構築を目指し、2000年に「関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)」を設立。2013年より隔年でアジア未来会議を開催し実行委員長を務める。
2022年9月22日配信
-
2022.09.15
「第7回日本・中国・韓国における国史たちの対話」は、2022年8月6日にオンラインで開催された。テーマは「『歴史大衆化』と東アジアの歴史学」だった。歴史大衆化と「パブリック・ヒストリー」は国籍や専攻分野を飛び越えて対話のできるテーマであり、実際に時間が不足するほど熱を帯びた議論が交わされた。
第1セッションは李恩民先生(桜美林大学)の司会で進められた。彭浩先生(大阪公立大学)による開催の趣旨に続き、韓成敏先生(高麗大学)の問題提起があった。2019年にフィリピンで開かれた「第4回国史たちの対話」以来、情熱的に参加し鋭いご意見を頂いている韓先生の問題提起は時宜を得たものだった。その題目は「『歴史の大衆化』について話しましょう」。韓先生は普段から同僚の学者たちと共に同テーマについて深く考えており、今回の問題提起はそういった議論をまとめたものでもあった。
韓国の事例を歴史学の危機と歴史学者の危機、そして現実的問題(歴史学科の存続と卒業生の就職)といった三つの部分に分けて紹介した。要するに、時代の変化に応じて歴史学も変わり対応すべきということだった。歴史学者による歴史への独占の時代が終わったことを認め、変化しなければならないということだ。
韓先生はその対応策の一つとして「パブリック・ヒストリー」を紹介した。この概念や手法はまだ日中韓の3カ国で理論として定着しているわけではないが、その取り組みは早ければ早いほど良いという。「歴史学が自らの存在意義を証明すべき時期」という提言も同時になされた。
これに対し、指定討論者の日中韓の研究者である中国の鄭潔西先生(温州大学)、日本の村和明先生(東京大学)、韓国の沈哲基先生(延世大学)たちは、慎重ながらも積極的に意見を提示した。各者から似てはいるが、それぞれ異なる考えを示していただいた点は興味深かった。国ごとに、例えば歴史家が譲ってはいけないことなどの「歴史学界の権威」や、これからの役割などについてある程度違いも見られた。特に中国の場合、大衆の歴史議論への参加が活発で、これを肯定的に捉える観点があるように思った。にもかかわらず、ニューメディアと共に非専門的な歴史家たちが大衆の求めるところに便乗する場面と、歴史学が職業として安定性を失っている現状(就職の困難さ)は共通しているようだった。これは世界的な問題なのか。「パブリック・ヒストリー」というオルタナティブを認め、そのためのスペースが用意されるべきという意見もあった。また、3カ国で共通して「パブリック・ヒストリー」の範囲を定め、概念を定義する必要性も呼びかけられた。
第2セッションは南基正先生(ソウル大学)の司会。まず劉傑先生(早稲田大学)の論点整理があった。歴史が政治と関わって、道具になってしまう場合に注意しなければならない点、一般の歴史家が克服すべき問題、歴史家が対応しきれていない問題について触れられた。
自由討論では次のような議論があった。歴史的経験から始まる活発な「大衆の歴史」の様子、メディアと急激に変化する世界という現状を指摘した毛立坤先生(南開大学)。国家が管理してきた歴史に対する挑戦は常にあったから、歴史の大衆化は必然的と指摘、人々皆が自ら歴史家になりたいというのがパブリック・ヒストリーの核心であり、むしろ、機会であり多様性を認め包容力を持つ態度が重要である。しかし、もちろん、度が過ぎた商業化、政治的介入、歴史修正主義などの「耐えられないこと」は拒否すべきであるという金ホ先生(ソウル大学)。また、塩出浩之先生(京都大学)や佐藤雄基先生(立教大学)は、前向きに大衆の歴史を受け止め、機会と捉えるべきで、大衆の歴史の効果性もあると指摘した。
比較的楽観的もしくは歴史学者の積極的な変化を促すこうした見解以外にも様々な意見があった。平山昇先生(神奈川大学)は、この現象が近代日本において歴史的に存在していた事実を思い出すべきということを強調した。村先生は危機と機会の両立には賛成だが、歴史専門家が専門家以外の人々と話を進められるかについては懐疑的な見解を示した。いわゆる疑似歴史学の最も大きな危険性は社会を分断させることで、例えば、「敵を作り出すこと」という指摘は重要だ。二つの食い違った議論ではなく、実際には歴史学者として似たような悩みを抱えつつ、やや違うオルタナティブを考えているように感じた。歴史大衆化は歴史学者の皆が考え抜く問題であり、はねのけて勝利するような種類の問題ではないと考える。
第3セッションは再び李恩民先生の司会で、三谷博先生(東京大学名誉教授)の総括及び趙珖先生(高麗大学名誉教授)の閉会挨拶で幕を閉じた。両先生ともに「若き」研究者たちの悩みに理解を示し、ねぎらいの言葉も頂いた。
今回の「対話」は肩の荷を少し下ろして、自由に話をしようというのがねらいの一つだっただろう。しかし、対話をしてみたら、同じ悩みを抱えている研究者らの話を伺って、嬉しい気持ちになる一方で、重荷を担わされた気がした。これからの歴史学者の役割はどうなるか。今回の対話で我々は「大衆」という用語を用いたが、大衆もひとくくりにして捉えてはいけないだろう。大衆の中には善悪が明確に分けられた感動的な歴史物語が好きな人、特定分野に関して専門の研究者よりマニアックな興味関心を持っている人、暗記中心の歴史教育により興味を失った人もいるだろう。もしくは自分が知っていた歴史は全て偽物だと、いわゆる歴史修正主義に傾く人もいるかもしれない。一人の歴史研究者が全ての大衆を満足させることはできないだろうが、このように多様な大衆の前で歴史専門家として果たすべき役割は確かにあると思う。
筆者は大衆向けの講演と学術会議の中間に位置付けられるような催し・イベントにたまに足を運ぶ。しかし、そうした催しが、面白くなく、感動的でもないという話を聞くことがある。歴史ドラマのような感動的な講演を求めていた方々だったのだ。最初は納得できないところもあったが、今はそうは思わないようにしている。時にそれらの方々の興味に合わせ面白い話をいくつか用意することもある。
最近は一つの職業にも多様な役割が求められているように感じる。これからは歴史研究者も良い学術論文を書く基本的な任務以外に、大衆が少なくとも間違った歴史に引き込まれないように方向を案内する役割を担わなければならないと思う。もちろん大衆が受け入れられる言語と形式で。面白くても間違った話であればそれを直すべきだろうし、歴史マニアが看過しがちな歴史的な洞察力を提示すべきだ。大衆向けの書籍や外国の良い書籍を翻訳する作業、多様なメディアを用い、正確な歴史を教えること等が具体的な方法になるだろう。そういった仕事を学者の役割ではないとして無視してはならないし、ひるんでもならないと思う。現代社会で大衆とのつながりは歴史研究者の義務だと思う。できること、すべきことは、しなければならない。化石のような学問に満足すると、そのような役割しか担うことができないだろう。
当日の写真
アンケート集計結果
■ 金キョンテ(キム・キョンテ)KIM_Kyongtae
韓国浦項市生まれ。韓国史専攻。高麗大学韓国史学科博士課程中の2010年~2011年、東京大学大学院日本文化研究専攻(日本史学)外国人研究生。2014年高麗大学韓国史学科で博士号取得。韓国学中央研究院研究員、高麗大学人文力量強化事業団研究教授を経て、全南大学歴史敎育科助教授。戦争の破壊的な本性と戦争が荒らした土地にも必ず生まれ育つ平和の歴史に関心を持っている。主な著作:壬辰戦争期講和交渉研究(博士論文)、虚勢と妥協-壬辰倭乱をめぐる三国の協商-(東北亜歴史財団、2019)
(原文は韓国語、翻訳:尹在彦)
2022年9月15日配信
-
2022.09.08
下記の通り第18回SGRAカフェをオンラインにて開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。
テーマ:「韓日米の美術史を繋ぐ金秉騏画伯」
日 時: 2022年10月29日(土)11:00~12:30
方 法: Zoomウェビナー による
言 語: 日本語・韓国語(同時通訳付き)
主 催: (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会 [SGRA]
申 込: こちらよりお申し込みください
お問い合わせ:SGRA事務局(
[email protected] +81-(0)3-3943-7612)
■ フォーラムの趣旨
1916年に平壌に生まれた金秉騏(キム・ビョンギ)は1930年代に学生として東京で過ごし、1947年以降はソウルで教育者・評論家として活躍、1965年にアメリカに渡りました。晩年は韓国に戻り、今年2022年3月1日に105歳で亡くなるまで具象と抽象をさまよう魅力的な絵を描き続けました。韓国ではオーラルヒストリー・インタビューを多く受けて、韓国美術史における時代の重要な証人と見なされています。
金秉騏の長いキャリアを通してアートの世界的な動きをさかのぼることができる一方、どの国の美術史にも簡単には収まりきらない様々な活動の軌跡を見ることができます。この企画では金秉騏画伯の韓国・日本・アメリカ美術史における立ち位置を示し、それらの美術史上の接点、空白、そして限界について語り合い議論していきます。
■ プログラム
挨拶、カフェの趣旨、発表者の紹介
ヤン・ユー グロリア九州大学人文科学研究院広人文学コース講師
問題提起:金秉騏の人生と画業
コウオジェイ、マグダレナ 東洋英和女学院大学国際社会学部国際コミュニケーション学科講師
2016年10月に東京で開かれていた小さな個展で初めて金秉騏画伯と出会った。それ以来、2019年12月まで数回にわたりオーラルヒストリーインタビューを行った。本発表では、前半にその最初の出会いを振り返り、その後の調査と先行研究に基づき、朝鮮半島・日本・アメリカで活躍した画伯の人生と芸術を紹介する。後半では、私たちのアイデンティティと深く結びついている「国史としての美術史」の特徴と、一方で、国家の枠組みで近現代美術史を語る困難について考察する。韓日米それぞれの美術史における画伯の立場についての私の分析をスタートとし、討論者に問いを投げかける。本カフェが従来の美術研究の偏りや見落としていたことに目を向ける、研究者の対話の場となることを期待する。
討論:金秉騎、「間(in-between)」の実現
朴慧聖 韓国国立現代美術館学芸員
ダイナミックに展開された20世紀の韓国美術史の重要な現場には常に、金秉騎という存在がいた。
韓国近代美術の巨匠たちの留学時代(1930年代)や、韓国と北朝鮮に分かれたことで半々の美術史となり、越北などで存在感が薄れてしまった作家たち、そして独立以後の韓国戦争に至る混乱した時期に登場した無数の美術団体や事件、人物の関係などが、金秉騎によって生々しく証言された。また、韓国現代美術が本格的に形成された1950~60年代、すなわち美術制度が構築され、「模倣」や「必然」などの議論が激突し、韓国現代美術がパリ・ビエンナーレなどの同時代における西欧美術現場に進出する時代においても、彼の口述は後輩研究者たちにとって重要な手がかりを提供した。彼は具象と抽象の間、伝統と前衛の間、世代間、南北の対立する理念の間、韓国(平壌/ソウル)-日本-アメリカといった、さまざまな境界に位置し、鋭い知性と感覚で100年を超える人生を生き抜いた。「間」の実践は、彼の絵画にも見られる。2014年韓国国立現代美術館で開催された回顧展以来、時代の目撃者としてではなく、画家金秉騎の芸術世界そのものが注目を浴びている。
討論:1930年代前半の東京におけるモダニズムの転換
五十殿利治 筑波大学 名誉教授
本発表で注目するのは、金秉騏が学んだアヴァン・ガルド洋画研究所/駿河台洋画研究所の位置づけである。この研究所は20年代的なモダニズムから30年代的なモダニズムへの転換を明示する側面があった。研究所の指導者峰岸義一は「巴里・東京新興美術展」を1932年末に実現したのだが、仏文タイトルでは「アヴァンギャルド」を謳っていたのは象徴的である。瀧口修造の卓抜な評言(1938)によれば「衝突的」なものから「浸透的」なものへの転換である。それは、津田正周の純粋美術研究所と同様、美術学校とは異なる師弟関係というリレーを、また運動としてはSPA集団から自由美術家協会や九室会への展開を生み出したといえる。
討論:米国におけるアジア系アメリカ人美術史の歴史と課題
山村みどり ニューヨーク市立大学キングスボロー校准教授
米国におけるアジア系アメリカ人アーティストに関する美術史に関する研究は 、 1994 年に ニュー ヨー ク、 アジア ・ソ サエ ティー で開催された「Asia/America: Identities in Contemporary Asian American Art」が初の歴史的展覧会で、 2012 年にニ ュー ヨー ク大学 のア ジア 太平洋 アメリカ機関(Asian/Pacific/American Institute)のアレックス・チャンとコネチカット大学の教授のマーゴ・マチダが中心となって企画した全米人文科学基金夏期セミナー「Re-envisioning American Art History: Asian American Art, Research, and Teaching」が初の国家レベルでの分野立ち上の試みという、比較的新しい分野である。このトークでは、米国におけるアジア系アメリカ人美術史の歴史を簡単に説明し、抽象美術と具象美術の異なる特徴や、移民 1 世と2世以降の作家の違い。また、個人的な研究テーマである、日本から移住した女性アーティスト、草間彌生や小野洋子作品研究における難題などについて言及する。
座談会と質疑応答
まとめの言葉、締めの挨拶
韓国語版サイト
-
2022.07.26
本年8月末に台北市の中国文化大学で開催予定であった第6回アジア未来会議は、新型コロナウイルス感染の収束が見通せず、海外からの台湾入境が厳しく制限される状況が続いているため、ハイブリッド方式で実施いたします。台湾在住の方は、中国文化大学の会場で開催する開会式、基調講演、シンポジウム、懇親会に是非ご参加ください。その他の方はオンラインでご参加ください。日本語への同時通訳もあり、また、カメラもマイクもオフのウェビナー形式ですから、どなたでもお気軽にお聞きいただけます。
円卓会議と200本の論文発表が行われる分科会もオンラインで行われます。優秀論文賞の表彰式、優秀発表賞の選考も行います。円卓会議と論文発表のセッションはどなたでも聴講していただけます。皆様のご参加をお待ちしています。
《概要》
名称:第6回アジア未来会議
テーマ:「アジアを創る、未来へ繋ぐ-みんなの問題、みんなで解決」
会期:2022年8月27日(土)~ 29日(月)
開催方法:中国文化大学(台北市)会場及びオンラインによるハイブリッド方式
プログラムはここをご覧ください。
【開会式、基調講演、シンポジウム】
2022年8月27日(土)午後3時~6時30分(日本時間)
※言語:中英・中日同時通訳
1.開会式
開会宣言:明石康(アジア未来会議大会会長)
主催者挨拶:渥美直紀(渥美国際交流財団理事長)
共催者挨拶:王淑音(中国文化大学学長)
来賓祝辞:泉裕泰(日本台湾交流協会台北事務所代表)
来賓祝辞:黄良華(中国文化大学傑出校友会会長)
2.基調講演「国際感染症と台湾―新型コロナウイルスとの共存か戦いか」
講師:陳建仁(前中華民国副総統)
3.シンポジウム「パンデミックを乗り越える国際協力―新たな国際協力モデルの提言」
(台湾)孫效智(国立台湾大学学長特別補佐:生命教育学)
(韓国)金湘培(ソウル大学教授:国際政治学)
(台湾)黄勝堅(台北市立聯合病院前総院長:医学)
(日本)大曲貴夫(国立国際医療研究センター国立感染症センター長:公衆衛生学)
(台湾)陳維斌(中国文化大学国際部部長:都市工学)
4.優秀論文賞授賞式
5.懇親会(会場参加者のみ)
◇基調講演・シンポジウム参加申込
会場参加
オンライン参加
【円卓会議・セッション・分科会(論文発表)】
2022年8月27日(土)10:00~13:30(日本時間)
2022年8月28日(日)10:00~18:30(日本時間)
2022年8月29日(月)10:00~18:30(日本時間)
※言語:英語、日本語、または中国語
※オンライン(Zoom会議Breakout_Room機能利用)
1.円卓会議I:アジアにおけるメンタルヘルス、トラウマと疲労
「Are you okay? ―Discussion on mental health, trauma, and fatigue in Asia」
2022年8月28日(日)10:00~13:30
※言語:英語
2.円卓会議II:世界を東南アジアのレンズを通して観る
「Community and Global Capitalism ―It’s a Small World After All」
2022年8月29日(月)10:00~13:30
※言語:英語
3.INAFセッション
「台湾と東北アジア諸国との関係」
2022年8月28日(日)15:00~18:30(日本時間)
※言語:日本語
4.分科会/セッション(テーマ別論文発表と討論)
アジア未来会議は、学際性を核としており、グローバル化に伴う様々な課題を、科学技術の開発や経営分析だけでなく、環境、政治、教育、芸術、文化の課題も視野にいれた多面的な取り組みを奨励しています。200本の論文を言語とテーマによって46セッションに分け、ZoomのBreakout_Room機能を用いて分科会が行われます。
※言語:英語、日本語、または中国語
◇円卓会議・分科会聴講申込
円卓会議・分科会の聴講をご希望の方は、アジア未来会議オンラインシステムにてユーザー登録と参加登録をお願いします。発表要旨、論文、及びZoomのリンク情報はAFCオンラインシステムにて閲覧・ご確認いただけます。(登録・参加無料)
<お問い合わせ> アジア未来会議事務局
[email protected]
-
2022.06.08
SGRAレポート第98号(日中合冊)
第15回SGRAチャイナフォーラム
「アジアはいかに作られ、 モダンはいかなる変化を生んだのか?
―空間アジアの形成と生活世界の近代・現代―」
2022年6月9日発行
<フォーラムの趣旨>
山室信一先生(京都大学名誉教授)の『アジアの思想史脈―空間思想学の試み』(人文書院、2017年。徐静波・訳『亚洲的思想史脉——空间思想学的尝试』上海交通大学出版社・近刊予定)と『モダン語の世界へ:流行語で探る近現代』(岩波新書、2021年)などを手がかりとして、「アジアという空間が翻訳・留学などによっていかに作られたのか?」さらに、その時空間において「modernやglobalizationなどがいかなる生活様式・思考様式の変容をもたらしたのか?」を概念語や日常語の視点からいかに捉えるのかを検討するものである。
<もくじ>
【開会挨拶】
はじめに―開会挨拶―
今西淳子(渥美国際交流財団)
野田昭彦(国際交流基金北京日本文化センター)
【講演】
「アジアはいかに作られ、モダンはいかなる変化を生んだのか?
―空間アジアの形成と生活世界の近代・現代―」
山室信一(京都大学名誉教授)
【コメントと回答】
[コメント1] 王 中忱(清華大学中国文学科)
[コメント2] 劉 暁峰(清華大学歴史系)
[コメント3] 趙 京華(北京第二外国語学院)
[コメント4] 林 少陽(香港城市大学中文及歴史学科)
【質疑応答】
質問者:フォーラム参加者/回答者:山室信一
【閉会挨拶】
王 中忱(清華大学中国文学科)
講師略歴
あとがきにかえて
孫 建軍(北京大学日本言語文化学部)
-
2022.06.06
2022年5月14日(土)、新型コロナウイルスが「終盤」の猛威を振るう中、第20回日韓アジア未来フォーラムが前回同様Zoomウェビナー方式で開催された。これまで2回続けて日韓関係の「暗い」部分を扱ってきたが、今回は今西さんのご提案で「明るい」部分について議論することにし、「防弾少年団(BTS)」の文化力に焦点を当て「進撃のKカルチャー:新韓流現象とその影響力」について議論を交わした。日韓、そしてベトナムから専門家を招き、BTSの文化力の源泉をなすものは何か、BTS現象は日韓関係、地域協力、そしてグローバル化にどのようなインプリケーションをもつものなのかなどについて幅広い観点から検討した。
フォーラムでは、渥美国際交流財団SGRAの今西淳子(いまにし・じゅんこ)代表による開会の挨拶に続き、日本と韓国から2名の専門家による基調報告が行われた。まず、小針進(こはり・すすむ)静岡県立大学教授は「文化と政治・外交をめぐるモヤモヤする『眺め』」という題で、政治と文化を切り離せない葛藤、政治ニュースの韓国とInstagramの韓国のギャップへの葛藤、文化消費と政治的価値観・世代間の差への葛藤、魅了する文化と不安定な大統領の国に対する葛藤、反日・親日騒動と嫌韓助長への葛藤、政治的表明とその反発への葛藤、政治の文化への介入と「推し」の反日疑惑への葛藤、熱心なファン集団「ファンダム」のSNS投稿を素直に楽しめない葛藤、アーティスト批判の嫌韓論への葛藤、以前は日本が韓国の手本だったことに対する葛藤など、日本の大学生が経験している文化と政治をめぐる葛藤とモヤモヤする「眺め」の実体を様々な側面から生々しく描いた。
韓準(ハン・ジュン)延世大学教授は、「BTSのグローバルな魅力」について、外的環境的な要因と内的力量的な要因に分けて考察した研究結果を報告した。まず、外的、環境的な要因として、グローバル文化における中心―周辺関係の弱化又は解体、文化的趣向におけるヒエラルキーの弱化とオムニボア(雑食性)の登場、文化的価値としてのハイブリッドと真正性の結合、個人化したデジタル媒体によるマスメディアの代替を挙げた。そして内的、力量的な要因として音楽スタイルやパフォーマンス能力の卓越性、真正性とアイデンティティの結合を通じた共感の拡大、グローバルファンダムである「アーミー(BTS公式ファンクラブ)」の強力なサポートを指摘した。
第2部に入り、ミニ報告では、チュ・スワン・ザオ(Chu Xuan Giao)ベトナム社会科学院文化研究所上席研究員が、ベトナムにおけるKポップ・Jポップ、ベトナムからのKポップ・Jポップの現状を紹介し、文化資源としてのVポップの可能性について若干の考察を加えた。自由討論では、金賢旭(キム・ヒョンウク)国民大学教授が日本の伝統芸能の一分野である能との比較から、平田由紀江(ひらた・ゆきえ)日本女子大学教授がメディア・文化研究の観点からそれぞれコメントした。
第3部では、金崇培(キム・スンベ)国立釜慶大学准教授と金銀恵(キム・ウンヘ)釜山大学准教授のアシストでウェビナー画面の「Q&A 機能」を使って一般参加者との質疑応答が行われた。最後は、徐載鎭(ソ・ゼジン)未来人力研究院院長により、日韓アジア未来フォーラムの経緯や役割についての熱いコメントと閉会の辞で締めくくられた。今回は250を超える一般からの参加申し込みがあり、最多時の参加者が170人を上回った。静岡県立大学、仁荷大学から若い学生の参加も多かった。十分な質疑応答が行われたとは言い切れない部分もあるが、アンケートを通じて多くの参加者からフォーラムの感想などが寄せられた。「フォーラムは期待通りであった」(「大いに期待通り」56.6%、「だいたい期待通り」38.4%)と答えた人の割合が95%を占めており、「新韓流現象やモヤモヤの正体が分かった」との感想もあった。
今回は第20回という節目だったにもかかわらず、惜しくもコロナ禍で記念行事や日韓アジア未来フォーラムならではの「番外」はなかった。次回は20年を振り返りつつ、ぜひ「春鹿」と「爆弾酒」を飲みながらの会にしたいと思う。最後に第20回目のフォーラムが成功裏に終わるよう支援を惜しまなかった今西SGRA代表と李鎮奎未来人力研究院前理事長(咸鏡道知事)、そして前回同様ウェビナーの準備に万全を期し、完璧なフォーラムに仕上げてくれたスタッフの皆さんのご尽力に感謝の意を表したい。
当日の写真
アンケート集計
韓国語版はこちら
<金雄煕(キム・ウンヒ)KIM Woonghee>
89年ソウル大学外交学科卒業。94年筑波大学大学院国際政治経済学研究科修士、98年博士。博士論文「同意調達の浸透性ネットワークとしての政府諮問機関に関する研究」。99年より韓国電子通信研究員専任研究員。00年より韓国仁荷大学国際通商学部専任講師、06年より副教授、11年より教授。SGRA研究員。代表著作に、「日韓基本条約の意義と限界」『日本研究論叢』第43号、2016年;日本の自由で開かれたインド太平洋構想と包摂的競争のジレンマ」『日本研究論叢』第54号、2021年;『現代日本政治の理解』共著、韓国放送通信大学出版部、2022年。最近は国際開発協力、地域貿易協定に興味をもっており、東アジアにおける地域協力と統合をめぐる日・米と中国の競争と協力について研究を進めている。
-
2022.05.17
下記の通り第7回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性をオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。一般聴講者はカメラもマイクもオフのウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。
テーマ:「『歴史大衆化』と東アジアの歴史学」
日 時:2022年8月6 日(土)午後2時~午後5時(日本時間)
方 法: オンライン(Zoom ウェビナーによる)
言 語:日中韓3言語同時通訳付き
主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
助 成:(公財)鹿島学術振興財団
※参加申込(クリックして登録してください)
お問い合わせ:SGRA事務局(
[email protected] +81-(0)3-3943-7612)
■開催趣旨
新型コロナ感染症蔓延が続くなか、「国史たちの対話」ではオンラインでのシンポジウムを開催し、一定の成功を収めてきたと考える。イベントを開催する環境にはなお大きな改善が期待しづらいことを踏まえ、引き続き従来参加してきた人々のなかでの対話を深めることを重視した企画を立てた。
大きな狙いは、各国の歴史学の現状をめぐって国史研究者たちが抱えている悩みを語り合い、各国の現状についての理解を共有し、今後の対話に活かしてゆきたい、ということである。こうした悩みは多岐にわたる。今回はその中から、各国の社会情勢の変貌、さまざまなメディア、特にインターネットの急速な発達のもとで、新たな需要に応えて歴史に関係する語りが多様な形で増殖しているが、国史の専門家たちの声が歴史に関心を持つ多くの人々に届いておらず、かつ既存の歴史学がそれに対応し切れていない、という危機意識を、具体的な論題として設定したい。
共通の背景はありつつも、各国における社会の変貌のあり方により、具体的な事情は多種多様であると考えられるので、ひとまずこうした現状認識を「歴史大衆化」という言葉でくくってみた上で、各国の現状を報告して頂き、それぞれの研究者が抱えている悩みや打開策を率直に語り合う場としたい。
なお、円滑な対話を進めるため、日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語、中国語⇔韓国語の同時通訳をつける。フォーラム終了後は講演録(SGRAレポート)を作成し、参加者によるエッセイ等をメールマガジン等で広く社会に発信する。
■問題提起
韓 成敏(高麗大学)
「『歴史大衆化』について話しましょう」
■プログラム
第1セッション(14:00-15:20) 総合司会: 李 恩民(桜美林大学)
【開会の趣旨】彭浩(大阪公立大学)
【問題提起】韓 成敏(高麗大学) 「『歴史大衆化』について話しましょう」
【指定討論】
中国:鄭 潔西(温州大学)
日本:村 和明(東京大学)
韓国:沈 哲基(延世大学)
第2セッション(15:30-16:45) 司会: 南 基正(ソウル大学)
【論点整理】劉 傑(早稲田大学)
【自由討論】パネリスト(国史対話プロジェクト参加者)
平山 昇(神奈川大学)、毛 立坤(南開大学)、金 澔(ソウル大学)、佐藤雄基(立教大学)、宋 志勇(南開大学)、塩出浩之(京都大学)、金キョンテ(全南大学)、鄭 淳一(高麗大学)
第3セッション(16:45-17:00) 総合司会: 李 恩民(桜美林大学)
【総括】三谷 博(東京大学名誉教授)
【閉会挨拶】趙 珖(高麗大学名誉教授)
※同時通訳
日本語⇔中国語:丁 莉(北京大学)、宋 剛(北京外国語大学)
日本語⇔韓国語:李 ヘリ(韓国外国語大学)、安 ヨンヒ(韓国外国語大学)
中国語⇔韓国語:金 丹実(フリーランス)、朴 賢(京都大学)
※プログラム・資料の詳細は、下記リンクをご参照ください。
・プロジェクト概要
・プロジェクト資料