SGRAの活動

  • 2011.01.25

    レポート第56 号「中国の環境問題と日中民間協力」

    レポート56号本文 レポート56号表紙   中国語版レポート56号本文 中国語版レポート56号表紙   第5回チャイナフォーラム講演録 「中国の環境問題と日中民間協力」 第一部(北京):北京の水問題を中心に 第二部(フフホト):地下資源開発を中心に 2011年5月10日発行   <もくじ> 【基調講演】「得ることと失うことと」 高見邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長)   【発表1】「水:北京の未来発展への影響と制約」 汪 敏(苗東連合規画設計顧問有限公司高級工程師)   【発表2】「水を節約するために私たちができること」 張 昌玉(中国人民大学外国語学部副教授)   質疑応答(北京)   【発表3】「鉱工業開発と内モンゴル草原の環境問題に関する現状分析」 オンドロナ(内モンゴル大学民族学社会学学院副教授)   【発表4】「アルタン・オナガー(黄金の仔馬)は何処へ飛んでいったのか:資源開発と少数民族の生存について」 ブレンサイン(滋賀県立大学人間文化学部准教授)   質疑応答(フフホト)  
  • 2011.01.14

    レポート第55号「Better City, Better Life: 東アジアにおける都市・建築のエネルギー事情とライフスタイル」

    SGRAレポート第55号本文 SGRAレポート第55号表紙   第38回SGRAフォーラムin 蓼科講演録 「Better City, Better Life: 東アジアにおける都市・建築のエネルギー事情とライフスタイル」 2010年12月15日発行   SGRA_Report_55(English)TEXT SGRA_Report_55(English)COVER   The 38th SGRA Forum Better City, Better Life: Energy Situation of Cities/Buildings and Lifestyle in East Asia   <もくじ> 【問題提起】 「東アジアにおける都市・建築のエネルギー事情とライフスタイル」        高 偉俊(北九州市立大学)   【基調講演】 「東アジアの都市・建築・住宅におけるエネルギー使用と生活の質」        木村建一(国際人間環境研究所)   【発表1】(インドネシア) 「熱帯地域における都市の持続性とエネルギー研究:持続性と省エネにおける低所得層の為の高層ビル開発の影響」        Mochamad Donny Koerniawan(バンドン大学)   【発表2】(フィリピン) 「メガ都市マニラにおける環境的に持続可能な交通への挑戦」        Max Maquito(フィリピン・アジア太平洋大学)   【発表3】(ベトナム) 「ベトナムの都市における省エネ対策」        Pham Van Quan(ハノイ建築大学)   【発表4】(台湾) 「台湾のエネルギー消費、CO2排出、及び交通事情」        葉 文昌(島根大学)   【発表5】(タイ) 「タイにおけるエネルギーを選択から義務へ」        Supreedee Rittironk(タマサート大学)   【発表6】(韓国) 「エネルギー・環境の視点からみた韓国の都市におけるある1日の日常生活及びその変化」        郭 栄珠(土木研究所)   【発表7】(中国) 「エンジンニアの視点から見る地球温暖化及び都市インフラ建設について」        王 剣宏(日本工営中央研究所)   【パネルディスカッション】        進行は福田展淳(北九州市立大学)、パネリストは上記講演者
  • 2011.01.14

    第10 回日韓アジア未来フォーラム「1300年前の東アジア地域交流」へのお誘い

    下記の通り第10 回日韓アジア未来フォーラムを開催します。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。当日参加も受付けますが、準備の都合上、できるだけ事前にお知らせくださいますようお願いします。どなたにも参加いただけますので、ご関心をお持ちの皆様にご宣伝いただきますようお願い申し上げます。 日時:2011年2月19日(土)午後1時~4時半 会場:奈良県新公会堂 会議室 申込み・問合せ:SGRA事務局  電話:03-3943-7612  ファックス:03-3943-1512  Email:[email protected] フォーラムの趣旨 関口グローバル研究会と韓国の(財)未来人力研究院は、2010年2月に韓国の慶州で第9回日韓アジア未来フォーラム「東アジアにおける公演文化(芸能)の発生と現在:その普遍性と独自性」を開催したが、東アジア共同体のビジョンが語られるようになったものの、東アジア(特に日本、韓国、中国)の文化の共通性や異質性について3国の研究者が一堂に会して検討する機会が少ないことが明らかになり、今後のフォーラムでは、様々な時代とジャンルから検討していこうということになった。慶州では新羅文化と奈良の文化との同質性が指摘されたが、一連の平城遷都1300年の祝賀イベントからもわかるように、この時代には唐の都長安を中心とした東アジア文化圏が形成され、人や物が活発に交流していた。この歴史観は、意外と現在の東アジアに暮らす人々に認識されていないようで、あらためて国際的かつ学際的な側面から当時の活発な交流を検証してみる必要性があると思われる。中華思想や朝貢制度ばかりが強調されるが、各国間の勢力関係ではなく、東アジアを地域としてとらえた時に、経済や安全保障の観点、あるいは文化の伝播や興隆が違って見えてくるのではないか。昨年韓国慶州で開催されたフォーラムに続き、日韓の研究者に今回は中国や台湾の研究者も交えて議論したい。日韓同時通訳付き。 プログラム 総合司会: 金 雄熙(仁荷大学校国際通商学部副教授) 【基調講演】朴 亨国(武蔵野美術大学造形学部教授) 「古代宗教美術の三国流伝」 【講演1】金 尚泰(韓国伝統文化学校伝統建築学科助教授) 「古代東アジア双塔式伽藍の展開と構成原理」 【講演2】胡 潔(名古屋大学大学院国際言語文化研究科准教授) 「東アジアにおける律令国家の形成と人的交流」 【講演3】李 成制(東北亜歴史財団主任研究員) 「大和と韓半島、隋唐の古代関係史」 【パネルディスカッション】 進 行:陸 載和(武蔵野美術大学造形学部非常勤講師) 討論者: 清水重敦(奈良文化財研究所)、林 慶澤(韓国全北大学) パネリスト:上記講演者 ダウンロード 日本語プログラム 韓国語プログラム ポスター(縦) ポスター(横)
  • 2010.11.17

    SGRA 第13 回日比共有型成長セミナー「農村と都会における貧困コミュニティー」へのお誘い

    下記の通り、フィリピンのマニラにおいて、SGRA 第13 回日比共有型成長セミナーを開催します。参加ご希望の方は現地連絡先あるいはSGRA事務局までご連絡ください。なお当セミナーは英語のみで行われます。 ◆SGRA 第13 回日比共有型成長セミナー  「農村と都会における貧困コミュニティー」 日本語ちらし Flier in English 日時:2010年12月17日(金)午後1時30分~5時30分 会場:フィリピン大学(メトロ・マニラ)、SOLAIRビル10号室 共催: フィリピン大学大学院労働・産業関係研究科 東京大学大学院総合文化研究科 渥美国際交流奨学財団関口グローバル研究会 概要: 共有型成長について実施中の研究やアドボカシーの一環として、農村と都市における貧困コミュニティーをテーマに開催する。コミュニティーは、人が集まってできるものであるから、分かち合い(共有)の自然なメカニズムである。しかし、それがいかに成長に貢献するかということは明らかにされていない。当セミナーがこの課題について、将来の政策志向研究の基礎となるような洞察を提供できれば幸いである。 プログラム: 1:00 - 1:30 受け付け 1:30 - 1:40 開会挨拶 今西淳子(SGRA 代表) 1:45 - 2:30 「農村の貧困コミュニティー:農協を事例として」ヴァージニア・テオドシオ教授(フィリピン大学) 2:30 - 3:15 「都市の貧困コミュニティー:メトロ・マニラにおけるスラムを事例として」中西徹教授(東京大学) 3:15 - 3:40 休憩 3:40 - 4:10 フィリピン国家反貧困委員会 (NAPC:National Anti-Poverty Commission ) の代表者 4:10 - 4:35 「共有型成長との連携:大きな飛躍から小さな一歩へ」マックス・マキト博士(SGRA) 4:35 - 5:10 オープン・フォーラム(会場の皆さんを囲んで) 5:10 - 5:30 結びの言葉(各発表者から)
  • 2010.11.03

    第39回SGRAフォーラム「ポスト社会主義時代における宗教の復興」報告

    2010年10月16日(土)午後2時30分より、東京国際フォーラムガラス棟会議室において、「ポスト社会主義時代における宗教の復興」というタイトルで、第39回SGRAフォーラムが開催された。本フォーラムの開催はSGRA「現代社会と宗教」研究チームが担当した。「ポスト社会主義」と「宗教」という、多くの人々にとって馴染みの薄いテーマで、どれほど関心を呼び起こせるかという不安が少しあったが、講演者とパネリストの他50名を超える参加を得、現代社会における宗教に対する強い関心がうかがえた。 今西淳子SGRA代表の開会挨拶後、カバ加藤メレキさん(筑波大学大学院・SGRA研究員)の司会進行で、四つの発表が行われた。最初に、エリック シッケタンツ(東京大学死生学研究室・SGRA研究員)が問題提起と背景説明として、「ポスト社会主義」という概念を説明した後、ポスト社会主義と宗教というテーマの直接的背景となっているカール・マルクスの宗教批判と社会主義時代における宗教政策を概観的に紹介した。そして、ポスト社会主義諸国における宗教復興を社会主義時代との連続/非連続という二分法の観点から捉える必要性を指摘し、脱私事化、ナショナリズムとの関連、市場化等、ポスト社会主義諸国における宗教復興に関して注目されている主な要点を説明した。 続いて、井上まどか研究員(清泉女子大学キリスト教文化研究所)が「ロシア連邦におけるキリスト教の興隆」というタイトルで、1980年代後半の宗教復興から現在まで、ロシアにおけるキリスト教の発展と国家の宗教に対する政策についての発表を行った。井上さんはロシアの宗教復興を大きく二つの時期に分け、90年代半ばまでの第一期においては、外来宗教教団活動の自由化と資本主義化への過程に対する不満を特徴として取り上げた。そして、現在まで続いている第二期の特徴は、ロシア正教(キリスト教)、イスラーム、仏教とユダヤ教から構成される「伝統宗教」と国家との連携が顕著になったことだと言及した。第一期において、宗教の「市場化」現象が見られたのに対し、第二期では連邦統治のためのイデオロギー模索など、国家と宗教の関係があらわになった。最後に、社会主義時代との連続と非連続の問題に言及し、国家による宗教の管理など、宗教政策において社会主義時代との連続が見られるが、価値教育や伝統宗教をめぐる書物と機会の増大という新しい現象に見られるような大きな相違もあると指摘した。 次に、ティムール・ダダバエフ准教授(筑波大学人文社会科学研究科)が「中央アジアにおけるイスラームの復活」について発表し、社会主義時代の中央アジアにおける宗教の位置づけを紹介した後、社会主義終焉後のイスラームの変容と役割について報告した。氏は、ソ連時代でも、各家庭における日常的なイスラームの実践は比較的自由に行うことができたことを強調した。続いて、今日の中央アジアにおけるイスラーム原理主義と過激派の背景、そしてそれに対する国家の対応を紹介した。グローバルな原理主義運動との関係を指摘し、いくつかの過激派や原理主義の組織と活動を紹介した後、その支持基盤、拡大要因と拡大方法に言及した。社会主義体制崩壊後に生じた経済状況の悪化が生み出した不満はこれらの運動の重要な支持基盤の一つだと指摘し、中央アジア諸国における民主化の不十分さと政府の人権侵害も原因として取り上げられた。国家の対応としては、過激派に対して「正しい」イスラームを唱え、日常イスラームを支持し、イスラーム大学などの宗教教育施設を設立するという政策が見られる。日常のイスラームはソ連時代から継続されているため、ソ連後の中央アジアにおける宗教の復興の特徴は政治的なイスラームの復活にあると指摘した。 最後の発表者、ミラ・ゾンターク准教授(立教大学文学部・SGRA研究員)は「中国のキリスト教:土着化の諸段階とキリスト教の社会的機能」という発表を行った。中国におけるキリスト教の歴史を概観的した後、主に中国基督教協会や三自愛国運動委員会など、国家の管理下で形成されたキリスト教組織と国家管理の枠組外において存在している非公認の地方召会を中心に現在の状況を紹介した。キリスト教に対する迫害件数の増加を指摘した一方、中国政府内におけるキリスト教への注目やキリスト教信者の膨大な増加を指摘した。また「Boss Christians」、つまり私営企業を持っているキリスト教徒という現象にも言及した。この「Boss Christians」の多くは女性であり、その思想的背景にはカルバン主義的職業倫理が見られ、近年の興味深い現象である。また、2013年に韓国のプサンで開催される世界キリスト教協議会(WCC)に中国代表団が参加する予定であることを紹介し、今後の中国のキリスト教の発展を注目する必要性を強調した。 パネルディスカションは、島薗進教授(東京大学宗教学研究室・SGRA顧問)が司会を担当した。まず陳継東准教授(武蔵野大学人間関係学部)が1979年の改革開放期以来の中国における宗教政策の変更についての説明を行ない、中国仏教の現状を紹介した。改革開放期以来、中国政府の宗教に対する態度は緩和したと言えるが、国家が依然として宗教を管理し、国家統一と愛国心高揚の政策の中へ取り込んでいるという、1990年代以降の宗教政策の変化が指摘された。 その後、フロアからの質問にもとづいた議論が行われた。各発表についての質問の他、特に社会主義国家とそうでない国家における宗教統制の比較とポスト社会主義概念自体が大きな論点として出された。時間の制約により、この議論は午後6時10分前に嶋津忠廣SGRA運営委員長の閉会挨拶によって終わらざるを得なかったが、その後の懇親会において再び賑やかに続けられた。 以前の発展論と近代化論の主張に反して、現代社会において宗教はさらに大きな影響力を持っている。社会主義という経験を持つ国は多く、その文化的背景が多様なため、一括して取り扱うことは困難であるが、本フォーラムにおいて今日の世界における宗教情勢の重要な側面を多く取り上げることができた。しかし、「ポスト社会主義」という枠組み自体がさまざまな問題点を含んでいることを痛感して、このテーマはさらなる議論を必要とすることも感じた。 最後に、各発表者とパネリストを始め、本フォーラムの参加者の皆さんに感謝の気持ちを表したい。近い内に本研究フォーラムの成果をまとめたSGRAレポートを刊行する予定である。 *郭栄珠さんが撮影した当日の写真は、下記URLからご覧ください。 ------------------------ <エリック シッケタンツ ☆ Erik Schicketanz> 1974年、ドイツ(プフォルツハイム)生まれ。2001年、ロンドン大学東洋アフリカ学院(日本学)修士。2006年、東京大学人文社会系研究科(宗教学宗教史学)修士。同年、東京大学人文社会系研究科宗教学宗教史学博士過程入学。現在、東京大学人文社会系研究科・特任研究員。趣味は、旅行と映画・音楽鑑賞。 ------------------------ 2010年11月3日配信
  • 2010.11.03

    第5回SGRAチャイナ・フォーラムin北京「中国の環境問題と日中民間協力:北京の水問題を中心に」報告

    2010年9月15日、第5回SGRAチャイナ・フォーラムin北京が、北京外国語大学日本学研究センター3階多功能ホールで開催された。今回のテーマは「中国の環境問題と日中民間協力:北京の水問題を中心に」で、SGRA、北京外国語大学日本語学科、NPO法人緑の地球ネットワーク、日本国際交流基金北京日本文化センターの関係者が出席し、大学生および社会人が70名近く参加した。 開会挨拶で、北京外国語大学日本語学科長の于日平教授は、SGRAと日本語学科とのチャイナ・フォーラムの共同開催は日中民間協力の一環で、学生の環境問題への関心を高めるよいチャンスだとアピールし、日本語学科の歴史について紹介した。 次に、緑の地球ネットワークの高見邦雄事務局長が「大同からみる北京の後ろ姿」をテーマに、植林現場で取った写真を示しながら、基調講演を行った。国交正常化前年の1971年にご自身の訪中の歴史をスタートした高見氏は、1992年から山西省の大同を拠点に活動を展開し、合計3200名あまりの日本人ボランティアを現地に送り込み、大同の環境保全に尽力する一方、多くの日本人にも水の大切さを身をもって体感させた。さらに、北京の水源地の一つである大同で、首都の用水を保障するために水の使用が厳しく制限されていることを明らかにし、フロアを震撼させた。講演後、司会者を務めた筆者がSGRA研究員として感謝の意を表し、日本語学科を代表して学生着用の夏の制服を記念に贈呈した。 今までと異なり、今回のフォーラムではパネルディスカッションを設け、中国人民大学外国語学院の張昌玉助教授と苗東連合企画デザインコンサルティング会社の汪敏高級エンジニアをパネリストとして招いた。汪氏は「水:北京の発展を左右する鍵」をテーマに、北京の水環境の歴史と現状を紹介し、水こそ北京近代化のボトルネットだと主張し、北京の水環境の改善を提言した。一方、張先生は食事などの身近なことに着目し、肉の消費はとりもなおさず牛や豚が消耗した植物と水の消費でもあると力説し、人間が直接に植物を摂取する、いわゆるベジタリアニズムを訴えた。 質疑応答は、SGRA会員で北京語言大学の朴貞姫教授が進行役を担当し、高見氏も加わり、3名のパネリストはフロアの方々と熱烈な討論を行った。最後にSGRA今西淳子代表が閉会挨拶をし、SGRAチャイナ・フォーラムの趣旨を伝え、今後日中間の更なる民間協力を呼びかけ、来年北京での再会を約束した。 閉会後、関係者一行は口先だけでなく早速行動に移り、ベジタリアンの張先生の引率で精進料理を堪能した。草を食わない(大豆でできた)牛肉ステーキと水の中で成長するが泳げない(海草でできた)魚料理を楽しんだ。 *石井慶子さんが撮影した北京フォーラムの写真をご覧ください。 *第5回SGRAチャイナ・フォーラム(フフホト、北京)報告の中国語版は、SGRA in Chineseサイトよりご覧ください。 *中国国際放送局日本語部のホームページでも紹介されました。 ---------------------------------------- <宋 剛 (そーごー)☆ Song Gang> 中国北京聯合大学日本語科を卒業後、2002年に日本へ留学、桜美林大学環太平洋地域文化専攻修士、現在桜美林大学環太平洋地域文化専攻博士課程在学中。中国瀋陽師範大学日本研究所客員研究員。北京外国語大学日本語学部専任講師。SGRA会員。 ---------------------------------------- 2010年11月3日配信
  • 2010.10.20

    第5回SGRAチャイナ・フォーラムinフフホト「中国の環境問題と日中民間協力―地下資源開発を中心に」報告

    第5回SGRAチャイナ・フォーラムinフフホト「パネルディスカッション:中国の環境問題と日中民間協力―地下資源開発を中心に」は、2010年9月13日(月)に、中国・内モンゴル大学で開催されました。緑の地球ネットワーク(GEN)と内モンゴル大学モンゴル学研究センターが協力し、国際交流基金北京日本文化センターが協賛した同フォーラムには、内モンゴル大学、内モンゴル農業大学、内モンゴル師範大学、内モンゴル財経学院、フフホト民族学院などの教師や生徒と、内モンゴル自治区農牧庁、内モンゴル図書館、NGO内モンゴル草原環境保護促進会などからの関係者約150人が参加しました。SGRA研究員のネメフジャルガルが司会を務め、内モンゴル大学副学長・モンゴル学研究センター主任のチメドドルジ教授が開会の挨拶をしました。チメドドルジ教授は、チャイナ・フォーラムを内モンゴル大学で開催したSGRAに謝意を表した後、内モンゴルの草原地帯における地下資源開発による環境破壊の実態および内モンゴルでの調査研究の進捗状況を紹介し、環境保護分野における海外の学者や民間人との協力の重要性を訴えました。 パネルディスカッションでは3人の報告が行われました。まず、緑の地球ネットワークの高見邦雄事務局長が『「得ること」と「失うこと」』というテーマで報告を行いました。高見さんは、1992年から山西省大同市の農村で緑化活動を実施してきた経験に基づき、山西省を中心に中国が直面している環境問題、特に土壌侵食、水資源の枯渇と汚染、地下資源の乱開発による環境破壊などを紹介し、「生産はすなわち消費です。得ることは失うことです。人は新たに手に入れたもの、快適なもの、便利なものは、すぐ認識します。その反面、その背後で失われているもの、なくなっているものを認識することはありません。」と指摘し、環境破壊の代価を負う「下流の人、未来の人」のために環境保護に力を入れなければならないと強調しました。 次に、内モンゴル大学民族学と社会学学院のオンドロナ副教授が『地下資源開発と内モンゴルの草原環境問題の現状分析』という報告をしました。オンドロナ先生は、地下資源開発の政策的背景を紹介した後、内モンゴル草原地帯における豊富な調査に基づき、写真やビデオを利用して、草原地帯における地下資源開発による環境破壊の現状を紹介しました。そして、政府と企業側が環境への配慮と現地住民の利益保護のために責任を負うべきであると指摘しました。 最後の報告者は滋賀県立大学のボルジギン・ブレンサイン准教授でした。ブレンサイン先生は、『黄金の仔馬がどこに消えたのか―資源開発と少数民族の存在』というテーマで、モンゴル各地で伝承されている黄金の仔馬の伝説を紹介して、開発に対するモンゴル人の伝統認識を分析し、モンゴル人の観念の中では、生態資源と地下資源は同一視された有機システムになっていると指摘しました。そして、開発利用という「正義」の裏に隠れている「遊牧時代遅れ論」や国営という「正義」の裏の社会的弱者の利益無視を批判しました。 報告後、三人の報告者と参加者による討論が行われました。パネル報告をめぐって学者、大学生、NGO関係者などからいろいろな質問や指摘があり、参加者たちが皆、地下資源開発と環境問題、日中民間協力問題に対して高い関心を持っているのが明らかになりました。また、高見さんの長年にわたる緑化活動への努力は学生諸君に大きな感動をもたらしたようでした。最後に今西淳子SGRA代表が閉会の挨拶をしました。今西代表はSGRAの趣旨や活動などを紹介し、今回のフォーラムが大成功を収めたことに対して、関係者各位に謝意を表しました。フォーラム終了後、懇親会の会場に移動し、皆杯を交えながら熱烈な討論を続けました。 フフホトの写真(撮影:中村まり子、石井慶子) 内モンゴル大学モンゴル学研究センターホームページのSGRAフォーラム報告(中文) ----------------------------------------- <ネメフジャルガル☆ Nemekhjargal > 経済学専攻。中国内モンゴル自治区出身。1995年黒竜江大学卒業、フフホト市役所勤務を経て2002年日本留学。2009年3月亜細亜大学より経済学博士号を取得。同年より内モンゴル大学モンゴル学研究センター社会経済研究室講師。 ----------------------------------------- 2010年10月20日配信
  • 2010.08.16

    第39回SGRAフォーラム「ポスト社会主義時代における宗教の復興」へのお誘い

    下記の通り第39回SGRAフォーラムを開催します。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。当日参加も受付けますが、準備の都合上、できるだけ事前にお知らせくださいますようお願いします。SGRAフォーラムはどなたにも参加いただけますので、ご関心をお持ちの皆様にご宣伝いただきますようお願い申し上げます。 日時:2010年10月16日(土)  午後2時30分~5時30分 その後懇親会 会場: 東京国際フォーラム ガラス棟G510会議室 申込み・問合せ:SGRA事務局  電話:03-3943-7612  ファックス:03-3943-1512  Email:[email protected] ● フォーラムの趣旨 SGRA「宗教と現代社会」研究チームが担当するフォーラム。 社会主義諸国の間では具体的な政策は多少異なっていたものの、何れの国においても宗教は制限と弾圧を受けていた。しかし、1980年代以来、多くの社会主義国家の解体によって、これら諸国における宗教の位置づけは大きく変わらざるを得なくなった。経済の市場化その他の改革に伴って、宗教の復興が多くの人々によって重要な社会現象として指摘されたのである。彼らは「宗教が開放された」とするが、こうした捉え方は社会主義の終焉を迎えた(あるいは迎えつつある)諸国における宗教の実情を理解するには不十分である。いわゆる「ポスト社会主義」の諸国は社会主義という経験を完全に忘れていない。むしろ、社会主義の経験は国家と個人それぞれのレベルにおいて宗教との関わり方を形作っているのである。そして、社会主義という過去と改革という現在の間の力学は複雑で多様な宗教生活を生み出している。実はポスト社会主義の諸国における宗教の発展からは社会がこれらの直面している重要な変遷過程のあり方が見えてくる。本研究フォーラムにおいては、ロシア、中国、中央アジアという三つの地域に焦点を当てながら、ポスト社会主義における宗教生活の多様性とその課題を紹介したい。 ● プログラム 詳細はここからダウンロードしていただけます。 【発表1】エリック・シッケタンツ(東京大学COE特任研究員、SGRA研究員) (背景説明と問題提起)「社会主義の宗教政策とポスト社会主義の世界」 【発表2】井上まどか(清泉女子大学キリスト教文化研究所客員研究員) 「ロシア連邦および中東欧におけるキリスト教の復興」 【発表3】ティムール・ダダバエフ(筑波大学人文社会科学研究科准教授) 「中央アジアにおけるイスラームの復活」 【発表4】ミラ・ゾンターク(立教大学文学部キリスト教学科准教授、SGRA研究員) 「中国のキリスト教:土着化の諸段階とキリスト教の社会的機能」 【パネルディスカッション】 司会進行:島薗 進(東京大学文学部宗教学科教授、SGRA顧問) パネリスト:陳 継東(武蔵野大学人間関係学部准教授)、上記発表者
  • 2010.07.14

    第38回SGRAフォーラム in 蓼科「Better City, Better Life:東アジアにおける都市・建築のエネルギー事情とライフスタイル」報告

    2010年7月3日(土)、東京商工会議所蓼科フォーラムにて、第38回SGRAフォーラム「Better City, Better Life:東アジアにおける都市・建築のエネルギー事情とライフスタイル」が盛大に開催された。今回は北九州市立大学が主催、渥美国際交流奨学財団関口グローバル研究会(SGRA)が共催という形で、日本学術振興会若手研究者交流支援事業の一環として、また東京商工会議所のご協力を得て実現した。 午前10時、フォーラムは、今西淳子代表と北九州市立大学の黒木荘一郎教授の挨拶から始まった。その後、SGRA環境とエネルギー研究チームのチーフで、北九州市立大学教授の高偉俊氏と国際人間環境研究所の木村建一先生が次のような問題提起をした。 巨大な経済圏を形成しつつある東アジアでは、国民生活の質が向上しエネルギーの使用が増大している。この地域の国々の間の格差はいまだに大きいが、エネルギー・環境の危機意識は共通している。人口問題、水・エネルギー問題、気候変動問題、都市化問題など、今後解決していかなければならない極めて重要なグローバルな課題が目の前に山積みされている。これらを解決していくのに、欧米発の新技術に頼るだけでなく、アジアに伝わる民衆の知恵を使って新しい展開ができるのではないか。 その後、東アジアの7ヶ国・地域の研究者が、それぞれの国や地域の環境とエネルギー事情及び開発に関する研究成果を発表した。 【インドネシア】Mochamad Donny Koerniawan(バンドン大学)「熱帯地域における都市の持続性とエネルギー研究:持続性と省エネにおける低所得層の為の高層ビル開発の影響」 【フィリピン】Max Maquito(フィリピン・アジア太平洋大学)「メガ都市マニラにおける環境的に持続可能な交通への挑戦」 【ベトナム】Pham Van Quan(ハノイ建築大学)「ベトナムの都市における省エネ対策」 【台湾】葉 文昌(島根大学)「台湾の省エネ意識と交通事情」 【タイ】Supreedee Rittironk(タマサート大学)「タイにおける必須エネルギーの代替案」 【韓国】郭 栄珠(土木研究所)「エネルギー環境の視点からみた韓国の都市における1日の日常生活及びその変化」 【中国】王 剣宏(日本工営中央研究所)「エンジニアの視点から見る地球温暖化及び都市インフラ建設について」 各国・地域からの発表の後、北九州大学の福田展淳教授のあざやかな進行に従って、パネルディスカッションが行われ、参加した世界各国からの留学生を含めて熱い議論となった。 東アジア各国の経済発展と都市化による環境汚染・交通渋滞等の問題は解決できるのか?経済発展が進むと生活の便利さを求めてより多くのエネルギーを使うことになるが、果たしてそれは必要なことなのか。そもそも、個人差が非常に大きい幸福を測る指数とは何か?これらは、実際、結論を簡単には見つけることの難しい地球・人類の未来への課題である。 しかし、このフォーラム自体が、国境という枠組みを超える地球環境問題に対して、当該分野における若手研究者の交流を通して国際的な協力体制が要請されているという背景で行われたものである。エネルギー・環境の危機意識に関して、参加した8ヶ国の代表研究者の答えはほぼ同じであったことが印象的だった。省エネや資源対策に関して、政府だけではなく国民一人一人が責任を持って対応し、一歩一歩着実に進んでいけば、特にこのフォーラムのように東アジア各国の優秀な若手研究者のリーダーシップがあれば、地球環境を救うことができるだろう。 午後6時、嶋津忠廣運営委員長の閉会の辞をもって、本会は無事に終了した。フォーラムの後、渥美国際交流奨学財団主催の懇親会が開かれた。渥美伊都子理事長が、各国から来たフォーラム参加者へ歓迎の辞を述べ、一緒に乾杯した。皆さんは美味しい料理を食べながら、一日の長い討論の疲れをもう忘れたように、フォーラムの話題を続けて議論していた。 (文責:王 剣宏、郭 栄珠) 当日の写真は下記URLよりご覧いただけます。 郭栄珠、マティアス撮影 運営委員撮影 2010年7月14日配信
  • 2010.07.10

    第5回SGRAチャイナ・フォーラム in 北京 「中国の環境問題と日中民間協力~北京の水問題を中心に~」ご案内

    下記の通り開催いたしますのでご案内します。参加ご希望の方は、SGRA事務局までご連絡ください。   第5回SGRAチャイナ・フォーラム in 北京 「中国の環境問題と日中民間協力~北京の水問題を中心に~」   日時: 2010年9月15日(水)午後4時~6時 会場: 北京外国語大学 日本学研究センター多目的ホール   主催: 渥美国際交流奨学財団関口グローバル研究会(SGRA) 協力: 認定NPO法人 緑の地球ネットワーク(GEN) 北京外国語大学日本語学科 国際交流基金北京日本文化センター   【フォーラムの趣旨】 SGRAは、北京をはじめとする中国各地の大学等で、日本の民間人による公益活動を紹介するフォーラムを毎年開催しています。5年目の今回は日本の認定NPO法人緑の地球ネットワークの高見邦雄事務局長に再度お願いし、山西省大同における植林活動を通して見えてきた中国の環境問題について考えます。 北京フォーラムでは、北京の水源である山西省大同から見えてきた深刻な北京の水問題とその解決のための日中協力の可能性について検討します。NPO法人 緑の地球ネットワークの高見邦雄事務局長のご講演の後、パネルディスカッション形式で検討します。日中同時通訳。   【プログラム】 総合司会: 宋 剛(北京外国語大学日本語学部専任講師、SGRA研究員) ○ 基調講演: 「大同からみる北京の後ろ姿」 高見邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長) ○ パネルディスカッション: 司会進行: 朴 貞姫(北京語言大学日本語学部教授、SGRA会員) パネリスト: 高見邦雄 張 昌玉(中国人民大学外国語大学副教授) 汪 敏(苗東連合規画設計顧問有限公司高級工程師)   ★プログラムは下記よりダウンロードしていただけます。 日本語版 中国語版