SGRAイベントへのお誘い

第1回日台アジア未来フォーラム「国際日本学研究の最前線に向けて」へのお誘い

SGRAの5番目の海外拠点である台湾で初めてのフォーラムを下記の通り開催いたします。参加ご希望の方はSGRA事務局宛ご連絡ください。SGRAフォーラムはどなたにも参加いただけますので、ご関心をお持ちの皆様にご宣伝いただきますようお願い申し上げます。

◆第1回日台アジア未来フォーラム
「国際日本学研究の最前線(フロンティア)に向けて:流行(トレンド)・言葉・物語(ストーリー)の力」

共同主催:渥美国際交流財団 関口グローバル研究会(SGRA)
      国立台湾大学文学院
      国立台湾大学日本語文学系・台湾大学日本語文学研究所
助  成:国際交流基金
協  賛:中鹿営造(股)有限公司 他

日程:2011年5月27日(金)午前9時~午後5時

会場: 台湾大学文学院演講庁

◇開催趣旨:

21 世紀になって急速に進んだグローバル化及び中国の台頭により、世界における日本の相対的なプレゼンスが低下しているのではないかと懸念されている。韓国やアメリカでは日本語学習者数が減少し、日本研究者が日本だけでなく中国やアジア全域に研究対象地域を広げなければならなくなったということも報告されている。

しかしながら、このような状況においても、全体的には日本語学習者数は増加しており、それは中国語を母語とする国においては顕著であること、ポップカルチャーの影響が強いと考えられることが指摘されている。特に、台湾においては、哈日族(ハーリーズゥ) に代表されるように、世界に先駆けて、若者が日本の現代の大衆文化を享受し、その勢いは全く衰えていない。

日本文化の受容者が年々増える台湾をはじめ、漢字を共有する長い文化交流の歴史を持つ北東アジア各国には、日本語教育と日本研究にも長い歴史があり、研究者も多く、研究レベルも高い事実はいうまでもない。近年では、世界に浸透した「日本の漫画・アニメ」に代表される大衆文化の分野にかかわる研究動向は特に注目されている。

早くも21 世紀の最初の十年が過ぎ、アジアの政治情勢に激しい地殻変動が起こりつつある中、海外における日本学とは何なのか、海外の若者たちを日本へ引きつけるものを研究できる学問とは何なのか、そして、台湾・香港で哈日族を誕生させたポップカルチャー、あるいは欧米諸国の若者を魅了するクールジャパンなど、現代日本のソフトパワーに関する研究は、どのように伝統ある日本文化研究の中に位置づけられるのか。また、そのような現代的な文化現象の研究と、伝統文化の研究はどのように融合できるのか。

SGRA が初めて台湾において台湾大学文学院と台湾大学日本語文学系・日本語文学研究所と共同主催する本フォーラムでは、台湾、日本、中国、韓国、米国、イタリアから日本文化の中堅・若手研究者を迎え、従来の正統的な日本学――日本語研究(言葉) や文芸作品研究(物語・ストーリー) ――をめぐる斬新な方法論の実践状況を視野に入れながら、新たに注目された流行文化にも焦点をあてて、21世紀にふさわしい国際日本学研究の最前線にむけて、特色ある議論を展開することを目的とする。

このような議論を通して、グローバルに研究領域を広げた国際日本学研究の土台を固めるだけでなく、まだ学問として成り立っていない日本のサブカルチャーの受容研究においても、多角的な視野を提供できればと願う。

◇プログラム:

【基調講演】09:00~10:20

①宮本大人(日本、明治大学国際日本学部准教授)
「偽物の倫理:「鉄腕アトム」をめぐって」

②太田 登(台湾、台湾大学日本語学科教授)
「表徴としての〈かもめ〉の文学的意味:杜甫から中島みゆきへ」

【パネル1】トレンドの力: マンガ、アニメとクールジャパン(10:40~12:40)
(座長) 蔡 增家(台湾、政治大学国際関係研究センター研究員兼第二研究所所長)

①Matthew McKelway (米国、コロンビア大学美術史学部准教授)
「若冲現象: 18 世紀の絵画と現代日本のポップカルチャー」

②金 孝眞(韓国、ソウル大学日本研究所HK 研究教授)
「韓国の「オドック(五徳)」と日本のポップカルチャー」

③游 珮芸(台湾、台東大学児童文学研究科(大学院) 副教授)
「宮崎駿のアニメにおける妖怪たち:日本伝統文化の化け方」

④陳 仲偉(台湾、逢甲大学通識教育中心兼任助理教授)
「日本動漫畫的文化全球在地化實踐:詮釋學之「視域融合」的觀點」
(グローバル化した世界における日本動画・ アニメ文化のローカリゼーションの実践
―解釈学<融合された視覚域>の視点から―)

【パネル2】言葉の力: 言葉の日中往来(13:30~15:30)
(座長) 頼 錦雀(台湾、東呉大学日本語学科教授兼外語学院院長)

①謝豊地正枝(台湾、台湾大学日本語学科教授)
「アニメ等の視覚資料に用いられる日本語の日本語教育に与える影響について」

②林 立萍(台湾、台湾大学日本語学科副教授)
「アニメに見られる日本昔話の語彙」

③孫 建軍(中国、北京大学日本語学部准教授)
「西洋人宣教師と中日における欧米諸国の漢字表記の成立」

④方美麗(日本、お茶の水女子大学外国語教員)
「表現教授法:効果的な外国語教授法」

【パネル3】ストーリーの力: 夏目漱石から村上春樹まで(13:30~15:30)
(座長)朱 秋而(台湾、台湾大学日本語学科副教授)

① 范 淑文(台湾、台湾大学日本語学科副教授)
「漱石の初期小説にみる「トレンディな女性」像:彼女らの運命を追いながら」

②横路明夫(台湾、輔仁大学日本語学科副教授)
「内面としての物語:夏目漱石、村上春樹、そして「ONE PIECE」―」

③蕭 幸君(台湾、東海大学日本語学科助理教授)
「悪女物語の行方:漱石と谷崎の場合」

④孫 軍悦(日本、東京大学教養学部講師)
「世界是你們的, 也是我們的: 村上春樹文學在中國大陸的接受過程」
(世界は君たちのもの、そして、私たちのものでもある:中国における村上春樹文学の受容プロセス)

【オープンフォーラム】15:50~17:00
(座長) 徐 興慶(台湾、台湾大学日本語学科教授兼主任)

報告 Maria Elena Tisi (イタリア、ボローニャ大学、ペルージャ外国人大学契約教授)
「イタリアにおける日本文化: 日本学のトレンドと日常生活にみる日本文化」
( 日本文化在義大利:探討義大利的日本學研究趨勢與日常生活中的日本文化)

総括①<トレンドの力>:宮本大人(日本、明治大学国際日本学部准教授) 
総括②<ことばの力>:賴錦雀(台湾、東呉大学日文系教授兼外語学院院長)
総括②<ストーリーの力>:孫 軍悦(日本、東京大学教養学部講師)
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