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2022.04.08
下記の通り日韓アジア未来フォーラムをオンラインにて開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。
テーマ:「進撃のKカルチャー:新韓流現象とその影響力」
日 時: 2022年5月14日(土)15:00~17:00
方 法: Zoomウェビナー による
言 語: 日本語・韓国語(同時通訳付き)
主 催: (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会 [SGRA] (日本)
共 催: (財)未来人力研究院(韓国)
申 込: こちらよりお申し込みください
お問い合わせ:SGRA事務局(
[email protected] +81-(0)3-3943-7612)
■ フォーラムの趣旨
BTSは国籍や人種を超え、一種の地球市民を一つにしたコンテンツとして、グローバルファンダムを形成し、BTS現象として世界的な注目を集めている。一体BTSの文化力の源泉をなすものは何か。BTS現象は日韓関係、地域協力、そしてグローバル化にどのようなインプリケーションをもつものなのか。本フォーラムでは日韓、アジアの関連専門家を招き、これらの問題について幅広い観点から議論してみたい。日韓の基調報告をベースに討論と質疑応答を行う。
日韓同時通訳付き
■ プログラム
《開会》
司会:金雄煕(キム・ウンヒ、仁荷大学教授)
【開会の辞】:今西淳子(いまにし・じゅんこ:渥美国際交流財団常務理事・SGRA代表)
第1部 講演
【講 演 1】「文化と政治・外交をめぐるモヤモヤする「眺め」」
小針進(こはり・すすむ:静岡県立大学教授)
【講 演 2】「BTSのグローバルな魅力」
韓準(ハン・ジュン:延世大学教授)
【休 憩】
第2部 討論
【ミニ報告】「ベトナムにおけるKポップ・Jポップ」
チュ・スワン・ザオ(Chu Xuan Giao:ベトナム社会科学院文化研究所上席研究員)
【講演者と討論者の自由討論】
金賢旭(キム・ヒョンウク:国民大学教授)、
平田由紀江(ひらた・ゆきえ:日本女子大学教授)、
第3部 質疑応答
【質疑応答】
アシスタント:金崇培(キム・スンベ:釜慶大学日語日文学部准教授)
金銀恵(キム・ウンヘ:釜山大学社会学科准教授)
Zoom ウェビナーのQ&A機能を使い質問やコメントを視聴者より受け付ける
【閉会の辞】:徐載鎭(ソ・ゼジン:未来人力研究院院長)
《閉会》
韓国語版サイト
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2022.04.05
2022年3月21日20時から1時間半にわたり、第17回SGRAカフェ「国境を超えたウクライナ人」がZoomウェビナーで開催されました。今回のカフェは、奇しくもロシアによるウクライナ侵攻開始と同じ2月に発行されたばかりの『国境を超えたウクライナ人』(2022年、群像社)の著者であり、2004年度渥美奨学生でもあるオリガ・ホメンコさんを講師にお迎えして、著作からウクライナとウクライナ人の歴史、文化的背景まで幅広くお話しいただきました。オリガさんは風邪で体調がすぐれない状態でしたが、最後まで情熱をもってお話しくださいました。当日は以前からオリガさんと親交の深い群像社編集発行人の島田進矢さんにゲスト、中央大学教授の大川真先生にコーディネーターとして参加いただきました。
最初に司会の今西淳子SGRA代表よりオリガさんの渥美奨学生当時の懐かしい写真、最初の著作『ウクライナから愛をこめて』(2014年、群像社)の元となったメールマガジン「SGRAかわらばん」(毎週木曜日に日本語で配信)への長年にわたるウクライナに関する投稿や最新作の内容とともにオリガさんの紹介がありました。続いてオリガさん、島田さんから短いご挨拶をいただいた後、『国境を超えたウクライナ人』執筆の経緯や「国境」、「超える」がキーワードとなった経緯について対談していただきました。
オリガさんからはウクライナの歴史と文化、ウクライナ人の精神的背景について日本との関わりも交えてお話しいただきました。特にウクライナのたどってきた歴史や置かれてきた状況についての話は、日本ではほとんど知られていない事ばかりで、物事や状況を多方面から見て考えることの大切さと、与えられる情報だけではなく、自ら知ろうとする事の大切さを教えられるものでした。これまでの支配のトラウマを乗り越え、今まさに自分たちの事を語り始めようとしているウクライナの方々の気持ちがオリガさんを通じて切々と伝わってきました。
最後に大川先生が参加者からの質問やコメントを紹介し、オリガさん、島田さん、今西さんの4人でお話しいただきました。ウクライナでは自由な自己表現ができなかった時代から詩人と作家がウクライナの主張を伝える上で大きな役割を果たしてきたという説明がありましたが、その作品は必ずしもウクライナ語で表現されるものだけではないという指摘が印象的でした。自分たちの言語はもちろん大切にするべきものだが、それがアイデンティティの全てではなく、大切なのは意識であり、文化であるということ、ウクライナのアイデンティティは歌、刺繍、踊り、生活習慣、生活風土などいろいろなものを含むとても豊かなものであることを理解してもらいたいし、それを通じて自己表現していくことが大切であるというオリガさんの一貫した主張が心に響きました。そういう意味でも、オリガさんの著作はウクライナを理解するうえで素晴らしい案内役ではないでしょうか。そして、ただ心を痛めるだけではなく、自ら知ろうとすること、多面的に考えようとすることの大切さが分かっているようで分かっていなかったことに気づかされました。
カフェの参加者からは、ウェビナーを通じてオリガさんにお話しいただいた事への感謝とオリガさんの気持ちに寄り添おうとする温かい応援がたくさん寄せられました。厳しい状況の中、また体調が万全ではない中で、力強いメッセージを伝えてくださったオリガ・ホメンコさんに改めて感謝いたします。
当日の写真とオリガさん書籍の紹介
アンケート集計結果
<三宅綾(みやけ・あや)MIYAKE Aya>
東京都出身。博物館学修士(ジョージワシントン大学)、哲学修士(美術史系)(学習院大学)。独立行政法人 科学技術振興機構(JST)(現・国立研究開発法人 科学技術振興機構)勤務を経て2020年より渥美国際交流財団に勤務。
2022年4月7日配信
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2022.03.14
2022年2月20日(日)14時~17時、第68回SGRAフォーラムを開催しました。Zoomウェビナーを利用した完全オンライン形式です。コロナ禍の影響で、なかなか実際に会うことができませんが、このような形で皆さんとイベントができることはありがたいです。テーマはデジタルや新メディアの時代にふさわしい「夢・希望・嘘―メディアとジェンダー・セクシュアリティの関係を探る」です。東アジアを中心に、日本、中国、韓国の事情についての発表とディスカッションがあり113名が登録、参加してくださいました。発表者はハンブルトン・アレクサンドラ先生と元渥美奨学生3名―バラニャク平田ズザンナ先生(2019年度)、于寧先生(2020年度)、洪ユン伸先生(2008年度)。Q&A担当は郭立夫さん(2021年度)、モデレーターはデール・ソンヤ(2012年度)です。開会挨拶は、SGRA代表の今西淳子さんがしてくださいました。このイベントに多くの渥美奨学生に関わってもらい、またジェンダー・セクシュアリティを専門とするメンバーが増えていることに、感謝と喜びを感じています。
基調講演は津田塾大学のハンブルトン・アレクサンドラ先生。「今の時代、白馬に乗った王子様って必要?リアリティーテレビの『バチェラージャパン』と『バチェロレッテジャパン』から見たジェンダー表象」というタイトルで、最近流行っている恋愛リアリティ番組から見える社会現象についてです。最初に現代日本の結婚および少子高齢化社会をめぐる言説と婚活事業を紹介してくださいました。結婚や出産に関して政府の視野が狭く、日本に住んでいる人々の現実を十分把握できていないとの指摘です。経済的に苦労している人が多く、与えられた性別によってサバイバルの対策が異なります。日本の「バチェラージャパン」でみられるように、男性と結婚することで経済的な安定を求める女性が多くいます。しかし、同時にこのような恋愛リアリティ番組も固定概念に基づいているラブ・ストーリーしか描こうとしていません。多様性が反映されていないことが問題です。ハンブルトン先生の結論として、白馬に乗った王子様は今の時代に必要です。しかし、その王子様はお金持ちの男性ではありません。必要となっているのは社会福祉の改善と全ての人のための暮らしやすい社会作りです。
講演の後は3名の元渥美奨学生による各20分の発表でした。バラニャク平田ズザンナ先生(お茶の水女子大学)は「日本の宝塚歌劇団とファン文化」、于寧先生(国際基督教大学)は「中国本土のクィア運動とメディア利用」、洪ユン伸先生(一橋大学)は「韓国のフェミニズムと嫌フェミニズム運動」についてです。
バラニャク平田先生は事情によりリアルタイムで参加できず、事前に録画していただいたものを流しました。「夢を売り、夢を描く:ジェンダー視点からみる宝塚歌劇団の経営戦略と関西圏のファン文化」という発表で、宝塚歌劇団の歴史的・社会的な背景を紹介した上でファンからの聞き取り調査から得た情報を共有していただきました。宝塚歌劇団は「夢の世界」として売られているもので、その「夢の世界」を家父長的な経営戦略および都市空間という二つの側面から分析し、女性ファンのエンパワーメントを考察しました。
次は于寧先生による「中国本土のクィア運動におけるメディア利用―北京紀安徳咨詢センターによるメディア・アクティビズムを中心に」という発表です。歴史的な視点から、時代に合わせて活動家が使っているメディア媒体の変化や直面する社会問題などを紹介していただき、中国本土のクィア活動について知る重要な機会となりました。発表で紹介された北京紀安徳咨詢センターの活動は終了したとのことで、マイノリティ団体が活動を長く続けることの難しさを改めて実感しました。しかし、団体そのものがなくなっても成果を残せば、従来から続いている運動に活用できるので、過去にとっても将来にとっても貴重な社会貢献だといえます。
最後の発表は洪ユン伸先生による「MeTooからデンジャンニョ(味噌女)まで:韓国のメディアにおける「フェミ/嫌フェミ」をめぐって」という発表でした。近年、韓国のフェミニズム運動が可視化された一方、フェミニズムバッシングも増えたとのことです。その背景及び現象を紹介し、韓国のMeToo運動が直面する課題などを説明してくださいました。学校などの公的な場所でのMeToo運動がある一方で、バッシングを受ける恐れから実名で自分が受けた経験について語ることができない現状があるそうです。韓国においてフェミニズムはまだ物議を醸す話題です。韓国のMeToo運動に対して、シスジェンダーとヘテロセクシャル、いわばマジョリティの立場にいる女性と男性から視野を広げる必要もあり、これからの課題としてLGBTや障がい者を取り組むことも必要とのことでした。
最後は4名の発表者とのディスカッション・質疑応答です。韓国、中国と日本のメディアとジェンダー・セクシュアリティや社会問題などについて話し合い、時間が足りないほど幅広く様々な話題にふれました。議論された課題の中には検閲の問題、政府の政策と出産・結婚やメディアの関係性、メディアにおける多様性、フェミニズム運動におけるトランスジェンダー女性の位置付けなどがありました。
ジェンダーとセクシュアリティの話になると、現状を把握した結果、絶望的になりやすいですが、最後に皆さんがそれぞれの分野で今期待していることについて話しました。様々な社会問題が残っており、男女平等もまだ果たしていない東アジア(台湾以外)に同性結婚やトランスジェンダーの権利がまだできていないのが現状ですが、少しずつ変化も感じられます。また、皆さまと対談ができることも、とても嬉しいことです。これからも、このような対談が増えていくことを期待しています!
当日の写真
アンケート集計
<デール・ソンヤ DALE Sonja>
ウォリック大学哲学部学士、オーフス大学ヨーロッパ・スタディーズ修士を経て上智大学グローバル・スタディーズ研究科にて博士号取得。これまで一橋大学専任講師、上智大学・東海大学等非常勤講師を担当。現在、インディペンデントリサーチャー。ジェンダー・セクシュアリティ、クィア理論、社会的なマイノリティおよび社会的な排除のプロセスなどについて研究。2012 年度渥美国際交流財団奨学生。
2022年3月17日配信
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2022.03.10
下記の通り第17回SGRA-Vカフェをオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、下記より事前参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。SGRAカフェはどなたにも参加していただけますので、関心のある方をお誘いください。
テーマ:「国境を超えたウクライナ人」
講 師:オリガ・ホメンコ(キエフ・モヒーラビジネススクール助教授)
日 時:2022年3 月21日(月・休)午後8時~9時30分
方 法:Zoomウェビナーによる
会 費:無料
言 語:日本語
参加申込:こちらよりお申込みください
お問い合わせ:SGRA事務局 (
[email protected] 03-3943-7612)
講師略歴:
オリガ・ホメンコ Olga Khomenko
キエフ生まれ。キエフ・モヒーラビジネススクール助教授。東京大学大学院の地域文化研究科で博士号取得。フリーのジャーナリスト・作家・通訳として活動中。2004年度渥美奨学生。
著書:藤井悦子と共訳『現代ウクライナ短編集』(2005)、単著『ウクライナから愛をこめて』(2014)、『国境を超えたウクライナ人』(2022)を群像社から刊行。
講師からのメッセージ:
『国境を超えたウクライナ人』・・・今更このタイトルは皮肉に聞こえるかもしれません。ウクライナ史、国境に対するウクライナ人の思いを書きました。歴史的な観点から西と東の国境の存在について、また国境に対するウクライナ人の想いについて、海に囲まれた島国の日本の皆さんに理解を深めていただきたいです。それにしても本の題名がそのまま現実になるとは思いませんでした。正に悪夢です。私は侵略の2日前に今滞在する欧州の都市に着きましたが、私の家族は、空爆が始まった次の日に、苦労の末にキエフを離れることができ、30時間以上ドライブして国境を越えました。まだキエフに居る親戚、友達、教え子、同僚の無事を祈らずにはいられません。
プログラム
主催:(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
www.aisf.or.jp/sgra/
2022年3月10日配信
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2022.02.01
SGRAレポート第97号
第67 回SGRA フォーラム
「誰一人取り残さない」
如何にパンデミックを乗り越えSDGs 実現に向かうか
―世界各地からの現状報告―
2022年2月10日発行
<フォーラムの趣旨>
SDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)は、2015 年9月の国連サミットで、国連加盟193 カ国が採択した、2016 年から30 年までの15 年間で持続可能で、より良い世界を目指すために掲げた目標。国連ではSDGs を通じて、貧困に終止符を打ち、地球を保護してすべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけている。具体的には、17 のゴール(なりたい姿)・169 のターゲット(具体的な達成基準)から構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leaveno one behind)」ことを誓っている。SDGs に取り組むのは、国連加盟国の各国政府だけではなく、企業、NPO、NGO などの各種団体、地方自治体、教育機関、市民社会、そして個人などすべての主体がそれぞれの立場から取り組んでいくことが求められている。
2020 年はSDGs の5年目になる年であったが、新型コロナウイルスによるパンデミックが世界を席巻し、世界各国の経済や社会生活に多大な打撃を与え、世界大戦に匹敵する死傷者を出す悲惨な状況になってしまった。世界では先進国を中心にワクチン開発・供給などで取り組んで来ているが、多くの発展途上国は、資本主義の生存競争のなかで、パンデミックの対応に困難を極める状況に置かれているのが現状である。
本フォーラムは、SDGs の基本理念と目標について理解するとともに、いくつかの国をケーススタディとしてとりあげ、パンデミックを如何に克服して「誰一人取り残さない」SDGs の実現に対応すべきかについて議論を交わすことを通じて、「地球市民」を目指す市民の意識を高め、一人一人がSDGs に主体的に取り組むアクションを起こすきっかけを提供することを目的とする。
<もくじ>
【第1 部】 基調報告
SDGs時代における私たちの意識改革
佐渡友 哲(日本大学、INAF)
【第2 部】 世界各地からの現状報告
【報告1】 フィリピンにおけるSDGs
フェルディナンド・C・マキト(フィリピン大学ロスバニョス校、SGRA)
【報告2】 ハンガリーにおけるSDGs
―水に関するハンガリー・中国の国際関係・協力を事例に―
杜 世鑫(INAF)
【報告3】 「 アラブ持続可能な開発レポート2020」から読み解く
中東・北アフリカ地域のSDGsに向けた課題
ダルウィッシュ ホサム(アジア経済研究所、SGRA)
【報告4】 朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)における
SDGsの取り組みと評価
李 鋼哲(北陸大学、SGRA、INAF)
【報告5】 民主化プロセスとパンデミック
―歴史の運命のいたずらに翻弄されるスーダン暫定政府と国民―
モハメド・オマル・アブディン(参天製薬(株)、SGRA)
【第3 部】 討論・総括
モデレーター:李 鋼哲(北陸大学、SGRA、INAF)
指定討論者: 羽場 久美子(神奈川大学教授・青山学院大学名誉教授、INAF)、三村 光弘(環日本海経済研究所(ERINA)、INAF)
パネリスト:報告者全員
総 括:平川 均(名古屋大学名誉教授、SGRA、INAF)
あとがきにかえて
李 鋼哲(北陸大学、SGRA、INAF)
講師略歴
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2022.01.19
下記の通りSGRAフォーラムをオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。
テーマ:「夢・希望・嘘 -メディアとジェンダー・セクシュアリティの関係性を探る-」
日時:2022年2月20日(日)午後2時~5時
方法:Zoom Webinarによる
主催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
※参加申込(下記URLより登録してください)
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_KSs7_UZmR_aDZ3P5lgTUOw
お問い合わせ:SGRA事務局(
[email protected] +81-(0)3-3943-7612)
■フォーラムの趣旨
現代社会に生きる者がメディアの影響からのがれることは難しい。服から食べ物まで、私たちの日常的なあらゆるものの選択はメディアに左右されている。
同様に、子供のころからジェンダーやセクシュアリティに関わる情報にさらされ、女性は、男性はいかに行動すべきなのか、どのようなジェンダーやセクシュアリティが存在するのか、恋愛とは何なのかというイメージもメディアにより作られている。メディアは意見を作るための貴重なツールであるだけでなく、意見を変えるためのツールでもある。
本フォーラムではメディアはどのように恋愛、ジェンダーやセクシュアリティの理解に影響を与えているのか?視聴者やファンはどのようにメディアと接触しているのか?社会的な変化のために、メディアをどのように利用することができるのか?など、現代におけるメディアとジェンダーおよびセクシュアリティの関係性のさまざまな様相を皆さんと共に掘り下げ、探ってゆきたい。
■プログラム
【基調講演】
ハンブルトン・アレクサンドラ(津田塾大学)
「今の時代、白馬に乗った王子様って必要?
リアリティーテレビの「バチェラージャパン」と「バチェロレッテジャパン」から見たジェンダー表象」
【発表①】
バラニャク平田ズザンナ(お茶の水女子大学)
「夢を売り、夢を描く
:ジェンダー視点からみる宝塚歌劇団の経営戦略と関西圏のファン文化」
【発表②】
于寧(国際基督教大学)
「中国本土のクィア運動におけるメディア利用
―北京紀安徳咨詢センターによるメディア・アクティビズムを中心に―」
【発表③】
洪ユン伸(一橋大学)
「Me tooからデンジャンニョ(味噌女)まで
:韓国のメディアにおける「フェミ/嫌フェミ」をめぐって」
司会/モデレーター:デール・ソンヤ(インディペンデントリサーチャー)
※詳細はプログラムをご覧ください。
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2022.01.13
SGRAレポート第96号 中国語版 韓国語版
第66回SGRAフォーラム講演録
第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性
「人の移動と境界・権力・民族」
2022年6月9日発行
<フォーラムの趣旨>
「国史たちの対話」企画は、自国の歴史を専門とする各国の研究者たちの対話・交流を目的として2016 年に始まり、これまで全5 回を開催した。国境を越えて多くの参加者が集い、各国の国史の現状と課題や、個別の実証研究をめぐって、議論と交流を深めてきた。第5 回
は新型コロナ流行下でも対話を継続すべく、初のオンライン開催を試み、多くの参加者から興味深い発言が得られたが、討論時間が短く、やや消化不良の印象を残した。今回はやや実験的に、自由な討論に十分な時間を割くことを主眼に、思い切った大きなテーマを掲げた。
問題提起と若干のコメントを皮切りに、国や地域、時代を超えて議論を豊かに展開し、これまで広がってきた参加者の輪の連帯を一層深めたい。
<もくじ>
第1セッション [総合司会:李 恩民(桜美林大学)]
【開会趣旨】 はじめに
村 和明(東京大学)
【問題提起】 人の移動からみる近代日本:国境・国籍・民族
塩出浩之(京都大学)
【指定討論1】 13~14世紀のモンゴル帝国期における人の移動
韓国:趙 阮(釜山大学)
【指定討論2】 中国の歴史における大規模な人口移動
中国:張 佳(復旦大学)
【指定討論3】 古代および中世日本の出入国管理
日本:榎本 渉(国際日本文化研究センター)
第2セッション 指定討論 [司会:南 基正(ソウル大学)]
【指定討論4】 近代における韓国人の移動
韓国:韓 成敏(世宗大学)
【指定討論5】 中心から辺地へ―「ゾミア」という概念―
中国:秦 方(首都師範大学)
【指定討論6】 帝国・人権・南洋―政治思想の視座から―
日本:大久保健晴(慶應義塾大学)
指定討論者への応答
塩出浩之(京都大学)
自由討論1
講師と指定討論者
第3セッション 自由討論2 [司会:彭 浩(大阪市立大学)]
論点整理:劉 傑(早稲田大学)
パネリスト(国史対話プロジェクト参加者):
市川智生(沖縄国際大学)、大川 真(中央大学)、佐藤雄基(立教大学)、
平山 昇(神奈川大学)、浅野豊美(早稲田大学)、沈 哲基(延世大学)、
南 基玄(韓国独立記念館)、金キョンテ(全南大学)、王 耀振(天津外国語大学)、
孫 継強(蘇州大学)
第4セッション 自由討論3 [司会:鄭 淳一(高麗大学)]
パネリスト(国史対話プロジェクト参加者):
市川智生(沖縄国際大学)、大川 真(中央大学)、佐藤雄基(立教大学)、
平山 昇(神奈川大学)、浅野豊美(早稲田大学)、沈 哲基(延世大学)、
南 基玄(韓国独立記念館)、金キョンテ(全南大学)、王 耀振(天津外国語大学)、
孫 継強(蘇州大学)
総括 宋 志勇(南開大学)、三谷 博(東京大学名誉教授)
閉会挨拶 趙 珖(高麗大学名誉教授)
講師略歴
あとがきにかえて
金キョンテ、三谷博
参加者リスト
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2022.01.13
2021年8、9月、私は1年7ヶ月ぶりにモンゴル国に行ってきた。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、モンゴル国は2020年2月中旬より外国人の中国からの入国を禁止し、同月末にはモンゴルと日本、韓国などの国との便の運航が停止した。その後、モンゴル国外務省、保健省は外国人の入国に関する規定を何度も変えた。一方、日本のマスコミにも報道されたように、何度も延期された待望の新ウランバートル国際空港が2021年7月4日に開港し、成田国際空港・日本空港ビルデング・JALUX・三菱商事といった日本企業連合とモンゴル政府の「新ウランバートル国際空港合同会社」による運営が始まった。それにともなって、長さ32キロあまり、6車線(片側3車線)の新空港とウランバートル市内を結ぶ高速道路も開通した。日本――モンゴル間の便が昨年後半に再開されたが、新ウランバートル国際空港の開港により、両国間をつなぐ航空便が増えた。
私は、大韓航空の便で8月25日に成田空港を出発し、当日仁川空港で一泊して、翌26日に新ウランバートル国際空港に着いた。成田空港での審査は非常に厳しく、ワクチン接種証明書、PCR陰性証明書の提示を3回、モンゴルでの最初の7日間の宿泊予約証明書の提示を2回、求められた。また、何回も検温された。仁川空港での乗り継ぎは意外にも何の書類も求められず、何の質問もされずに、すぐ手続きを済ませた。ウランバートル空港に着いたら、「厳しい」というより、待つ時間が長かった。検温、入国手続き、健康に関する質問書の提出、PCR検査、荷物の受け取りという流れだったが、2時間近くかかった。
新空港を出て、高速道路は渋滞がなく(そもそも空港の便数が少なく、新空港――ウランバートル高速道路の利用者が少なかった)、30分でウランバートル市内に入った。しかし、そこからは交通渋滞で、ホテルに着くのに1時間以上もかかった。街では、多くの人がマスクを着けているだけで、それ以外は、2年前のウランバートルと何も変わっていない。
「どういう風にしてモンゴルに行ったのか教えていただきたい」とか、「モンゴルに行きたいと思っていますが、いろいろハードルが高そうで…」とか、私がウランバートルについたと知った日本の知人から、日本での出国、韓国での乗り継ぎ、モンゴル入国に関するさまざまな質問が相次いだ。それを答えるのに毎日深夜までメールのやり取りをして、それは1週間ほどもつづいた。
9月4日、昭和女子大学国際文化研究所と公益財団法人渥美国際交流財団関口グローバル研究会、モンゴル国立大学社会科学学部アジア研究学科の共同主催、渥美国際交流財団、昭和女子大学、モンゴルの歴史と文化研究会、「バルガの遺産」協会の後援で、第14回ウランバートル国際シンポジウム「日本・モンゴル関係の百年――歴史、現状と展望」がモンゴル国立大学2号館4階多目的室で対面とオンライン併用の形で開催された。90名ほどの研究者、学生等が参加した。
2021年は、モンゴル国建国110周年、モンゴル革命百周年、そしてモンゴル民主化40周年、さらに日本のモンゴルに対する政府援助資金協力再開40周年にあたる。百年の日モ交流の成果を振り返り、同時に東アジア各国の国際関係の現状や課題を総括するに当たって、日本・モンゴル関係を基軸に据えることは独自の意義がある。日本、モンゴル、中国等の代表的な研究者を招き、新たに発見された歴史記録や学界の最新の研究成果を踏まえて、歴史の恩讐を乗り越えた日本とモンゴルの友好関係の経験から得られる知見を発見し、その検討を行った。
開会式では、モンゴル国立大学社会科学学部アジア研究科Sh.エグシグ(Sh. Egshig)科長が開会の辞を述べ、渥美国際交流財団関口グローバル研究会今西淳子代表、モンゴル国立大学社会科学学部D. ザヤバータル(D. Zayabaatar)部長が祝辞を述べた。その後、前在モンゴル日本大使清水武則氏、モンゴル科学アカデミー会員・前在キューバモンゴル大使Ts.バトバヤル(Ts.Batbayar)氏、東京外国語大学二木博史名誉教授、ウランバートル大学D.ツェデブ(D.Tsedev)教授、大谷大学松川節教授、モンゴル国立大学J.オランゴア(J.Urangua)教授、日本・モンゴル友好協会窪田新一理事長、モンゴル科学アカデミー歴史と人類学研究所B.ポンサルドラム(B.Punsaldulam)首席研究員など、日本、モンゴル、中国の研究者16名(共同発表も含む)により報告がおこなわれた。オンラインではあるが、今西さんが久しぶりにウランバートル国際シンポジウムに参加されたことは、たいへん注目され、歓迎された。
同シンポジウムについては、モンゴルの『ソヨンボ』などの新聞で報道された。日本では、『日本モンゴル学会紀要』第52号などで同シンポジウムについて紹介される予定である。
シンポジウムを終えて、9月9日から20日にかけて、私は「“チンギス・ハーンの長城”に関する国際共同研究基盤の創成」という研究プロジェクトで、ドルノド県で「チンギス・ハーンの長城」に関する現地調査をおこなった。J.オランゴア教授、モンゴル国立大学社会科学学部考古学学科U.エルデネバト(U.Erdenebat)教授、Ch.アマルトゥブシン(Ch.Amartuvshin)教授、「バルガの遺産」協会Ts.トゥメン(Ts.Tumen)会長などが同調査に参加した。その調査では予想以上の大きな成果をおさめた。その詳細は、別稿にゆずりたい。
モンゴルでのPCR検査の情報の提供など、今回のモンゴル出張において、在モンゴル日本大使館伊藤頼子書記官にはたいへんお世話になった。ここで記して感謝申し上げたい。
シンポジウムと調査旅行の写真
英語版はこちら
<ボルジギン・フスレ BORJIGIN Husel>
昭和女子大学国際学部教授。北京大学哲学部卒。1998年来日。2006年東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了、博士(学術)。東京大学大学院総合文化研究科・日本学術振興会外国人特別研究員、ケンブリッジ大学モンゴル・内陸アジア研究所招聘研究者、昭和女子大学人間文化学部准教授、教授などをへて、現職。主な著書に『中国共産党・国民党の対内モンゴル政策(1945~49年)――民族主義運動と国家建設との相克』(風響社、2011年)、『モンゴル・ロシア・中国の新史料から読み解くハルハ河・ノモンハン戦争』(三元社、2020年)、編著『国際的視野のなかのハルハ河・ノモンハン戦争』(三元社、2016年)、『日本人のモンゴル抑留とその背景』(三元社、2017年)、『ユーラシア草原を生きるモンゴル英雄叙事詩』(三元社、2019年)、『国際的視野のなかの溥儀とその時代』(風響社、2021年)他。
2022年1月13日配信
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2021.12.07
11月20日の日本時間16時、北京時間15時に第15回SGRAチャイナV(バーチャル)フォーラムが開催された。昨年に引き続き、2度目のオンライン開催だった。今年のテーマは「アジアはいかに作られ、モダンはいかなる変化を生んだのか?―空間アジアの形成と生活世界の近代・現代―」。講演者である京都大学名誉教授山室信一先生の知名度にコメンテーター清華大学教授の王中忱先生と劉暁峰先生、北京第二外国語学院教授の趙京華先生、そして香港城市大学教授の林少陽先生というパワフルな学者群が加わり、600名を超える大勢の参加者とチャイナフォーラム史上最大の盛会となった。
昨年と同様、北京大学では20名近い在籍生を集め小さな分会場を設けたのに対して、京都の本会場では専門スタジオさながらの、万全の体制の下でフォーラムが始まった。例年通り、主催側の今西常務理事による開会挨拶があり、SGRAと山室先生との学術的なご縁に触れ、テーマの決定に至る経緯が紹介された。続いて、北京日本文化センターの野田昭彦所長のご挨拶は、東京五輪と北京冬季五輪にちなんで「スポーツ」という概念を取り上げ、コロナ禍に置かれた人々がいかに順応し、より豊かな社会生活を作り上げていくことの大切さを訴えた。
山室先生の講演は4つの部分からなる。講演の冒頭で、山室先生は「アジアはいったいどの地域的範囲を指すのか」「モダンとは単なる時間的な区分なのか」という日常的な問題を二つ投げかけた。これらの概念によって生まれた空間認識、時間認識、さらにアイデンティティなどをめぐって参加者に再度思考を巡らすよう促した上で、「なぜアジアやモダンが問題となってきたのか?」、「思想課題としてのアジア――空間論的転回」、「思想課題としてのモダン――時間論的転回とジェンダー論的転回」と論述を進めた。具体的内容はチャイナフォーラムのレポートに譲るが、ジェンダー論に入る直前に時間が来てしまって、端折りながら終了せざるを得なかった。幸いなことに来年のフォーラムで継続するということが決まり、ジェンダー論と最後の「論的転換の三角錐と思詞学」は引き続き堪能できることになった。
コメントの時間で、王中忱先生はアジアを「知の回廊」として捉えることによって、アジアにおける近代的自発性、原動力が解釈できたという山室先生のご見解を称えた上で、「思詞学」への期待を語った。劉暁峰先生はキーワード「アジア」と「モダン」の内在的論理関係を掘り下げる大切さに賛同し、「近代は即ちアジアが命名され、定義される歴史だ」と指摘した。趙京華先生はアジア空間論と言語分析を対象とした思想史研究の斬新な経路に深く触発され、「思想連鎖」よりも「思詞学」の高度な意義を訴えた。林少陽先生は「アジアを見つめる学者と知識人」として、山室先生を高く評価した。緻密で系統的な史料の精読を通じて、複雑に錯綜し、常に暴力に満ちたアジアの近代空間に突入した研究方法は「方法としてのアジア」の研究者と一線を画している。先生のご研究では「アジア」は歴史的なものであり、戦争という重大問題と歴史の中の暴力問題を避けようとしない。アジアは閉鎖的でなく、地球規模の関係性の中に存在している。そういう意味で、アジアの未来を解読できる山室先生の研究の重要性を示唆した。
「知の回廊」「思想連鎖」「思想断鎖」「競争しつつ共存」「論的転回の三角錐」…山室先生がもたらしたブレインストーミングは来年まで続くものと思われる。そして、北京大学日本語学科の学生にとって、もう一つ幸せなことがあった。先生の新著『モダン語の世界へ:流行語で探る近現代』の読書会が行われ、感想文を書いた4名の学生それぞれに先生からの手紙が届いたのだった。学術的交流だけでなく、皆さんを励ます先生の言葉がいつまでたっても頭から離れない。
当日の写真
アンケート集計結果
<孫建軍(そん・けんぐん)SUN Jianjun>
1990年北京国際関係学院卒業、1993年北京日本学研究センター修士課程修了、2003年国際基督教大学にてPh.D.取得。北京語言大学講師、国際日本文化研究センター講師を経て、北京大学外国語学院日本言語文化系副教授。専攻は近代日中語彙交流史。著書『近代日本語の起源―幕末明治初期につくられた新漢語』(早稲田大学出版部)。
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2021.11.09
SGRAレポート第95号(日韓合冊)
第19回日韓アジア未来フォーラム
「岐路に立つ日韓関係: これからどうすればいいか」
2021年11月17日発行
<フォーラムの趣旨>
歴史、経済、安保がリンケージされた複合方程式をうまく解かなければ、日韓関係は破局を免れないかもしれないといわれて久しい。日韓相互のファティーグ(疲れ)は限界に達し、日韓関係における復元力の低下、日米韓の三角関係の亀裂を憂慮する雰囲気は改善の兆しを見せていない。尖鋭な対立が続いている強制徴用(徴用工)及び慰安婦問題に関連し、韓国政府は日本とともに解決策を模索する方針であるが、日本政府は日本側に受け入れられる解決策をまず韓国が提示すべきであるという立場である。なかなか接点を見つけることが難しい現状である。
これからどうすればいいか。果たして現状を打開するためには何をすべきなのか。日韓両国政府は何をすべきで、日韓関係の研究者には何ができるか。本フォーラムでは日韓関係の専門家を日韓それぞれ4名ずつ招き、これらの問題について胸襟を開いて議論してみたいと考え、日韓の基調報告をベースに討論と質疑応答を行った。
<もくじ>
第1部 講演および指定討論
【講演1】 岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか----日本の立場から
小此木 政夫(慶應義塾大学名誉教授)
【指定討論1】 小此木先生の講演を受けて
沈 揆先(ソウル大学日本研究所客員研究員)
【講演2】 岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか---- 韓国の立場から
李 元徳(国民大学教授)
【指定討論2】 李元徳先生の講演を受けて
伊集院 敦(日本経済研究センター首席研究員)
第2部自由討論
討論者
金 志英(漢陽大学副教授) 西野純也(慶應義塾大学教授)
小針 進(静岡県立大学教授) 朴 栄濬(国防大学教授)
第3部 質疑応答
司会アシスタント 金 崇培(忠南大学招聘教授)
あとがきにかえて
金 雄煕(仁荷大学教授)
講師略歴