SGRAイベントへのお誘い

  • 2024.02.02

    第21回SGRAカフェ「日本社会における二重国籍の実態」へのお誘い

    下記の通り第21回SGRAカフェを会場及びオンラインのハイブリット方式開催いたします。参加をご希望の方は、会場、オンラインの参加方法に関わらず事前に参加登録をお願いします。   テーマ:「日本社会における二重国籍の実態 複数国籍保持者に対するスティグマ付与と当事者らの実践」 日 時: 2024年2月17日(土)14:00~16:30 方 法: 会場及びZoomミーティング 言 語: 日本語 主 催: (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会 [SGRA] 申 込: こちらよりお申し込みください   お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)     ■ フォーラムの趣旨 政治家やスポーツ選手等の「二重国籍問題」が炎上しやすい日本社会。日本国籍だけを保有する人々だけが「国民」なのだろうか。「外国人」と「国民」の境界線に居ながら日本社会で生きている多くの人たちは、どのような葛藤を抱え「二重国籍」と向き合っているのか。今回のSGRAカフェでは、このような問いをみんなで考えていきたい。 日本の国籍法は、国籍唯一の原則を取り入れているが、それは複数国籍保持の禁止又は違法性を意味するのだろうか。国籍法をめぐる様々な誤解を解いた上で、国籍唯一の原則が導入された背景を考察する。また、国際的動向に逆らって、日本では複数国籍容認への動きが全く見られないだけではなく、むしろ過去15年間、行政による複数国籍防止対策が以前より徹底されているようにさえ窺える。この動きの背景は何か。 最後に、複数国籍保持者の当事者らはどのような問題に直面し、どのような実践を繰り広げているのか。国際結婚によって生まれた人たち、帰化を経て日本国籍を取得した人たち、外国籍を取得した海外居住中の元日本国籍保持者の事例から、国籍選択制度や国籍喪失/はく奪条項等をめぐる各個人の実践と、近年の動きを検討していく。     ■ プログラム 14:00~ イントロダクション 「多くの誤解を生んでいる日本の国籍法」 コーベル・アメリ(獨協大学特任講師) 日本政府は二重国籍の防止・解消に本当に積極的と言えるのか。その議論の前提として二重国籍が発生する主なケースを紹介しながら、その解消を目指す諸制度と限界を解説する。   14:10~ 基調講演 「日本社会における複数国籍の実態―放置主義から摘発強化への政策転換」 武田 里子(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員) 国連加盟国中、複数国籍非寛容国は23%(2020年)にとどまり、日本はこのグループに区分されている。一方で日本における複数国籍者はすでに100万人を超えた。日本政府は2000年代に入り、なぜ、重国籍放置主義から摘発強化に政策転換したのか。本報告では、はじめに国籍法の変遷を整理し、次に調査から得られた当事者が抱える国籍問題と、国籍法11条1項* 違憲訴訟における被告(国)の主張、”国籍唯一の原則と重国籍削減の合理性”を重ね合わせることで、実態と国籍法制の矛盾を浮かび上がらせる。結論として、国籍問題も「失われた30年」の要因のひとつになっていることを示し、後半の議論につなぎたい。 *「日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」   14:45~ 話題提供 話題提供1 「日本における国籍と社会福祉及びソーシャルワーク」 ヴィラーグ・ヴィクトル(日本社会事業大学准教授) 国籍は様々な社会サービスの受給資格を通して日々の生活に影響を及ぼしている。前半は日本の公的な福祉制度と国籍の関係について整理する。後半はソーシャルワーク専門職の視点から国籍唯一の原則や複数国籍防止対策について考察し、問題提起する。   話題提供2 「国際-国家、そして家族史における国籍」 金 崇培(国立釜慶大学助教授) 依然として国際関係や国家が持つ権力の構造は「個人」に影響を及ぼしている。本発表は発表者の家族史やパーソナル・ヒストリーによって国籍問題の一側面を紹介しようとする試みである。   話題提供3 「日本と中国の間で起きている国籍問題」 高 偉俊(北九州市立大学国際環境工学部教授) グローバルな移動に便利な日本のパスポートか、家族が同じ国籍(中国籍)であるというアイデンティティか。日本に帰化する中国人も多い中、その狭間で考えた日本と中国の国籍問題について自身を含む様々な事例を紹介する。   15:25~ <休 憩 5分>   15:30~ グループディスカッション   16:05~ ディスカッション結果の共有 司会/モデレーター: コーベル・アメリ   16:25~ 閉会挨拶   16:30 閉会   ※プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。 プログラム詳細
  • 2024.01.09

    第20回SGRAカフェ「パレスチナについて知ろう― 歴史、メディア、現在の問題を理解するために」

    下記の通り第20回SGRAカフェを会場及びオンラインのハイブリット方式開催いたします。参加をご希望の方は、会場、オンラインの参加方法に関わらず事前に参加登録をお願いします。   テーマ:「パレスチナについて知ろう― 歴史、メディア、現在の問題を理解するために」 日 時: 2024年2月3日(土)14:00~15:30 方 法: 会場及びZoomウェビナー 言 語: 日本語 主 催: (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会 [SGRA] 申 込: こちらよりお申し込みください   お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)       ■ フォーラムの趣旨 パレスチナの歴史、メディアの役割と影響、現在の政治的・社会的・人道的な問題についてのイベントです。パレスチナは中東の重要な地域であり、イスラエルとの紛争や国際社会との関係が注目されています。しかし、多くの人はパレスチナの実情や人々の声を知らないまま、偏った情報や先入観に基づいて判断してしまうことがあります。本イベントでは、パレスチナの歴史的背景やメディアの表現方法を分析し、現在の問題に対する多様な視点や意見を紹介します。パレスチナについて知ることで、平和的な解決に向けた理解と共感を深めることを目的としています。大切なのは、同じ地球市民の一員として、この問題がこのままでいいのか、どうあるべきなのかを考えること、そしてそれに基づいて、何ができるか考え、実際に行動することではないでしょうか。今回はその出発点となるように、パレスチナ問題の歴史や現状、メディアとの向き合い方などについて、皆さんと一緒に考えたいと思います。     ■ プログラム 14:00~ 開会挨拶 14:05~ ハディ先生による発表 14:50~ 質疑応答・ディスカッション 15:25~ 閉会挨拶 15:30 閉会     【登壇者紹介】 講師:ハディ ハーニ Hani Abdelhadi 1992年埼玉県生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。同大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。2023年より明治大学特任講師。東京ジャーミイ文書館理事等を兼務。主な論文に「パレスチナ問題における解決案の行き詰まり」「イスラーム法からみるパレスチナ問題」などがある。   討論者・司会:シェッダーディ アキル Cheddadi, Mohammed Aqil モロッコ出身。モロッコ国立建築学校卒業。慶應義塾大学政策・メディア研究科環境デザイン・ガバナンス専攻修士号取得・博士課程在学。同大学総合政策学部訪問講師。2022年度渥美奨学生。本カフェでは日本在住のアラブ人という視点からパレスチナ問題の現状や解決の可能性について考える。       ※プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。 プログラム詳細
  • 2023.10.24

    第17回SGRAチャイナフォーラム「東南アジアにおける近代〈美術〉の誕生」へのお誘い

    下記の通りSGRAチャイナフォーラムをハイブリッド形式で開催いたします。会場でもオンラインでも参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。   テーマ:「東南アジアにおける近代〈美術〉の誕生」 日時:2023年11月25日(土)午後3時~5時(北京時間)/午後4時~6時(東京時間) 会場:渥美財団ホール、北京大学会場、オンライン(Zoom Webinar)のハイブリッド形式         ※渥美財団ホール https://www.aisf.or.jp/jp/map.php         ※北京大学会場は北京大学学生に限定 言語:日中同時通訳 共同主催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)         北京大学日本文化研究所         清華東亜文化講座 後援:国際交流基金北京日本文化センター 協 賛:鹿島建設(中国)有限公司   ※参加申込(リンクをクリックして登録してください) (参加方法に関わらず参加用URLが届きます。会場参加の方は当日会場にお越しください。) お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)     ■フォーラムの趣旨 今回は視野を東南アジアに広げる。日本における東南アジア美術史の第一人者である後小路雅弘先生(北九州市立美術館館長)を講師に迎え、いまだ東北アジア地域では紹介されることが少ない東南アジアにおける近代美術誕生の多様な様相について学ぶ。東南アジアの初期近代美術運動を通じて東北アジアとの関係や相互の影響について考える。   ■プログラム 総合司会 孫 建軍(北京大学日本言語文化学部/SGRA) 【開会挨拶】今西淳子(渥美国際交流財団/SGRA) 【挨拶】野田昭彦(国際交流基金北京日本研究センター)   【講演】後小路雅弘(北九州市立美術館館長) 「東南アジアにおける近代〈美術〉の誕生」   【指定討論】 討論者:熊 燃(北京大学外国語学院)        堀川理沙(ナショナル・ギャラリー・シンガポール) 【自由討論】 モデレーター:林 少陽(澳門大学歴史学科/SGRA/清華東亜文化講座) 【閉会挨拶】趙 京華(清華東亜文化講座/北京第二外国語学院)     ■講演内容 【講演】後小路雅弘「東南アジアにおける近代〈美術〉の誕生」   [講演要旨] 東南アジアにおける近代美術の萌芽的な動きは、そのほとんどの地域が欧米列強の植民地であった1930年代に見られる。その運動は、相互に連動したものではなかったが、植民地において19世紀末から盛んになったナショナリズムや民族自決の高まりといった国際的な共通性を背景に、ほぼ同じ時期に見られるようになった。   フィリピンでは、アメリカ留学から帰国したエダデスを中心に結成された「13人の現代人たち」が、オランダ領東インドではスジョヨノとプルサギ(インドネシア画家組合)がその主な担い手であった。シンガポールではフランス留学からの帰国者たちが華人美術研究会を結成、華僑子弟の教育のために設立された南洋美術専科学校とともに、近代美術運動を推進した。独立国であったタイでは、「お雇い外国人」のイタリア人彫刻家フェローチが国立美術学校を設立し、仏領インドシナでは、フランス人画家タルデューが美術学校を設立して美術教育に取り組んだ。両校の初期の卒業生たちがそれぞれの近代美術の担い手となった。   こうした萌芽的な運動は、1940年代の旧日本軍の侵攻と占領によって頓挫し、本格的な開花は各国が独立を果たす1950年代以降を待つことになる。   この初期の近代美術運動の担い手であったパイオニアたちは何を目指し、何を課題としたのか。20世紀前半、激動のアジア近代史の奔流の中で、彼らは何と戦ったのか、そしてその思いは─各国における共通性と相違に目を向けながら読み解く。   ※プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。 日本語版 中国語版
  • 2023.09.08

    第19回SGRAカフェ「国境を超える『遠距離ケア』」へのお誘い

    下記の通り第19回SGRAカフェを会場及びオンラインのハイブリット方式開催いたします。参加をご希望の方は、会場、オンラインの参加方法に関わらず事前に参加登録をお願いします。   テーマ:「国境を超える『遠距離ケア』」 日 時: 2023年10月14日(土)14:00~16:00 方 法: 会場及びZoomミーティング 言 語: 日本語 主 催: (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会 [SGRA]  申 込: こちらよりお申し込みください   お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)       ■ フォーラムの趣旨 社会がグローバル化する中で世界を移動する人々の数も急激に増加している。国連の 2013 年の調査によると世界人口の約 3.2%が移動人口に当たると言われている。日本に目を向けると、外国人移住者数も年々増加しており、滞在の長期化も進んでいる。出入国在留管理庁のデータによると、2022 年6月末の在留外国人数は296 万人で、前年末に比べ 20 万人(7.3%)も増加したことが分かった。   こうした変化の中、在日外国人移住者もまた新たな課題に直面している。在日外国人移住者は日本での生活基盤を自ら構築することはもちろん、母国に残る家族の健康、介護問題も考えざるをえない。こういった外国人ならではのライフワークバランスはキャリアにも影響する。またコロナ禍では、日本における外国人の(再)入国制限のため自由に日本と母国の間に行き来できず、帰国したくてもできなかった事例や、家族のために日本での生活を諦めて帰国を選択した者も見られる。   今回のカフェでは ・日本における国境を超える遠距離介護の実態と背景 ・海外における事例と取組み ・課題の改善策 の 3 点について参加者と一緒に考え、ディスカッションを通して継続的に成長するグローバル社会に有意な示唆を得る事を目的とする。     ■  プログラム 14:00        開会挨拶 14:05        ケア状況や遠距離ケア問題について紹介 14:55        質疑応答 15:10        ディスカッションの準備(グループ分けと課題の提起) 15:15        グループディスカッション 15:35        ディスカッション内容の報告 15:55        閉会挨拶   ※プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。 プログラム詳細
  • 2023.06.25

    第10回日台アジア未来フォーラム「日台の酒造りと文化:日本酒と紹興酒」へのお誘い

    日台アジア未来フォーラムは、台湾出身のSGRAメンバーが中心となって企画し、2011年より毎年1回台湾の大学と共同で実施しています。コロナ禍で3年の空白期間がありましたが、今年は例外的に日本の島根県で開催することになりました。皆さんのご参加をお待ちしています。諸準備のため、ご希望の方は早めにお申し込みいただけますと幸いです。   テーマ:「日台の酒造りと文化:日本酒と紹興酒」   日 時:2023年10月21日(土)14時~17時10分   会 場:JR松江駅前ビル・テルサ4階大会議室 (島根県松江市朝日町478―18)   言 語:日本語・中国語(同時通訳)   ※参加申込(クリックして登録してください)   お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)     ■フォーラムの趣旨   東アジアの主食である米を発酵させた醸造酒は、各地でそれぞれ歴史を経て洗練されたが、原料が同じなだけに共通点も多い。代表的な醸造酒に日本では清酒(日本酒)、中国では黄酒(紹興酒)がある。島根は日本酒発祥の地とされ、日本最古の歴史書「古事記」にも登場する。一方、台湾では第二次世界大戦後に中国から来た紹興酒職人が、それまで清酒が作られていた埔里酒廠で紹興酒を開発し量産に成功した。台湾で酒の輸入が自由化されるまでは、国内でもっとも飲まれる醸造酒であった。中国の諺に「異中求同」(異なるものに共通点を見出す)があるが、今回は醸造酒をテーマに相互理解を深めたい。フォーラムでは島根の酒にまつわる漢詩を紹介していただいた後、日本と台湾の専門家からそれぞれの醸造技術と酒文化について、分かりやすく解説していただく。日中同時通訳付き。   ■プログラム   【講演1】14:10~14:40「近代山陰の酒と漢詩」 要木純一(島根大学法文学部教授) 【講演2】14:40~15:20「島根県の日本酒について」 土佐典照(島根県産業技術センター) 【講演3】15:50~16:30「台湾紹興酒のお話」 江銘峻(臺灣菸酒股份有限公司) 【質疑応答】16:30~17:00   【懇親会】17:30~20:00 会議室でケータリング、日本酒と紹興酒の試飲。 (参加費 3000円:フォーラム受付時にお支払いいただきます)   ■発表要旨と講師略歴   【講演1】「近代山陰の酒と漢詩」 要木純一(島根大学法文学部教授)   要旨:江戸時代から、山陰特に松江は漢詩創作が盛んな土地であった。また、米も水もよいので、日本酒もおいしく、酒に強い人が多いところである。かくして、明治時代より、遠来の人士を招いて、詩と酒を楽しむ、詩会がしばしば催された。その様子が詳しく記された資料があるので紹介したい。松江出身で、二度首相になった若槻礼次郎も、激務の合間に酒と漢詩を楽しむ文人政治家であった。詩会などを通じて故郷の人との交流を楽しんだ。楽しみと言うだけでなく、地方における政治・選挙活動につなげていくという面もあった。詩も多数残っており、飲酒・宴会の楽しみを詠った作品とその背景について考察する。   【講演2】「島根県の日本酒について」 土佐典照(島根県産業技術センター)   要旨:まず日本酒の製造方法について、次に島根県の日本酒造りの環境条件(気候、水、米)と酒質の特性を説明する。水は、日本酒の成分で約80%を占めることから原料として、また洗米などの原料処理や機器の洗浄など製造工程でも重要な要素である。古来、適度な成分を含む灘の宮水のように、銘醸地には名水が存在する。島根県の酒造りを行う会社では複数の井水(地下水)や水道水、他の地区の湧水などさまざまな水を利用している場合が多いが、「軟水」が多く、宮水のような「軽度の硬水」はまれである。島根県の酒造りの特徴は、昔から原料である「酒米」の使用が多いことが挙げられる。「酒米」は「さばけ(蒸米の状態がベトベト引っ付かず、バラバラになること)」が良いので麹作りに適していて、消化性も良いので資化率が高く、酒質は濃醇傾向となる。ここでは、島根県における酒米の品種や使用量の変遷など、歴史的な経緯について述べる。最後に島根の日本酒の酒質の特徴と時代の変化を述べ、食事、特に魚食との関係について触れる。酒質は全国平均と比較して、昭和には濃醇傾向だったのが、最近は淡麗になっている。また食事(魚食)はブリ、アジ、サバの消費が多く、郷土料理である大田の「へかやき」など、基本的に醤油味が多い傾向がある。今後、島根県の郷土料理・産物と日本酒のおいしさが世界に発信されることが期待される。   【講演3】「台湾紹興酒のお話」 江銘峻(臺灣菸酒股份有限公司)   要旨:本講演では、まず台湾紹興酒の起承転結について、台湾紹興酒の生産起源、転換、そして現在について紹介します。続いて台湾紹興酒の特徴について、醸造方法から台湾の紹興酒、中国大陸の紹興酒、日本酒、の同じ所と違う所を説明します。最後に台湾紹興酒の飲食文化について、その栄養価値、台湾での飲み方、食事での使い方について紹介します。   略歴:国立成功大学化学工程系卒業。2009年より台湾菸酒股份有限公司埔里酒廠勤務、埔里酒廠製造課課長。埔里紹興酒生産工場で十年以上の経験を有し、紹興酒の生産と品質管理と紹興酒再生産立上げで生産試験プロセスに携わる。台湾菸酒股份有限公司埔里酒廠在職中は内部教育研修講師として、社員への清酒と紹興酒の醸造プロセスを教える。     2023年7月6日配信  
  • 2023.06.15

    第72回SGRAフォーラム 第8回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 「20世紀の戦争・植民地支配と和解はどのように語られてきたのか ――教育・メディア・研究」へのお誘い

    下記の通り第8回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性を開催いたします。参加ご希望の方は、必ず事前に参加登録をお願いします。オンラインで参加の場合は、一般聴講者はカメラもマイクもオフのウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。     テーマ:「20世紀の戦争・植民地支配と和解はどのように語られてきたのか ――教育・メディア・研究」 日 時:2023 年 8 月 8 日(火)9:00~17:50            8 月 9 日(水)9:00~12:50(日本時間) 会 場: 早稲田大学 14 号館 8 階 及びオンライン(Zoom ウェビナー) 言 語:日中韓3言語同時通訳付き     主 催: 日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性実行委員会 共 催: 渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 共 催:早稲田大学先端社会科学研究所・東アジア国際関係研究所 助 成:高橋産業経済研究財団   ※参加申込(クリックして登録してください)(参加費:無料) お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)     ■開催趣旨 2016 年から始まった「国史たちの対話」の目的は、日中韓「国史」研究者の交流を深めることによって、知のプラットフォームを構築し、三国間に横たわっている歴史認識問題の克服に知恵を提供することである。   東アジア歴史問題の起因は、20 世紀の戦争と植民地支配をめぐる認識の違いと指摘されることが多い。しかし、公表された日韓、日中の歴史共同研究の報告書が示しているように、個別の歴史事実の解釈をめぐる違いはあるものの、20 世紀東アジア歴史の大筋についての認識には大きな齟齬が存在ない。それでも東アジアの国際関係がしばしば歴史問題で紛糾している理由の一つに、相手の「歴史認識」への認識が不十分ということを挙げることができる。   戦後の東アジアは冷戦、和解、日本主導の経済協力、中国の台頭など複数の局面と複雑な変動を経験した。各国は各自の政治、社会的環境のなかで、自国史のコンテクストに基づいて歴史観を形成し、国民に広げてきた。戦後各国の歴史観はなかば閉鎖的な歴史環境のなかで形成されたものである。各国の歴史認識の形成過程、内在する論理、政治との関係、国民に広がるプロセスなどについての情報は、東アジアの歴史家に共有されていない。歴史認識をめぐる対立は、このような情報の欠如と深く関わっているのである。   20 世紀の戦争と植民地支配をめぐる国民の歴史認識は、国家の歴史観、家庭教育、学校教育、歴史家の研究と発信、メディア、文化・芸術などが複雑に作用し合いながら形成されたものである。歴史家の研究は国家の歴史観との緊張関係を保ちながらも、学校教育に大きな影響を及ぼしていることは言うまでもない。今回の対話のテーマの一つは、歴史家が戦後どのように歴史を研究してきたのか、である。戦後東アジア各国では激しい政治変動が発生し、歴史家の歴史研究と歴史認識も激しく揺れ動いた。歴史家の研究と発信の軌跡を跡づけることは、各国の歴史認識の形成過程を確認する有効な手段であろう。   映画・テレビなどのメディアも国民の歴史認識の形成に重要な役割を担っている。戦後、各国は各自の歴史観に立って、戦争と植民地に関係する作品を多数創作した。このような作品が国民の歴史認識に与えた影響は無視できない。また、メディア交流が展開されるなかで、多数の映画やテレビドラマが共同で制作された。国民同士はこれらの作品を鑑賞することで、間接的に歴史対話を行ってきた。各国の文化、社会環境が歴史認識にどう影響したのか。確認したい問題の一つである。   歴史認識をめぐる国家間の対立が発生すると、相手の歴史解釈と歴史認識の問題点を指摘することが多い。しかし、自国内に発生した政治、社会変動に誘発される歴史認識の対立の方がむしろ多い。相手の歴史認識を認識する過程は、自分の歴史認識を問い直す機会でもあろう。このような観点から、第 8 回の国史対話は、今まで の対話をさらに深めることが期待される。   ■プログラム 8月8日(火) 【第1セッション 司会:村 和明】 開会挨拶:劉 傑(早稲田大学) 趣旨説明:三谷 博(東京大学名誉教授)   【第2セッション サブテーマ:教育 司会:南 基正】 発表: 金 泰雄(ソウル大学) 解放後における韓国人知識人層の脱植民地への議論と歴史叙述の構成の変化 唐 小兵(華東師範大学) 歴史をめぐる記憶の戦争と著述の倫理——20 世紀半ばの中国に関する「歴史の戦い」 塩出浩之(京都大学) 日本の歴史教育は戦争と植民地支配をどう伝えてきたか——教科書と教育現場から考える——     【第3セッション サブテーマ:メディア 司会:李 恩民】 発表: 江 沛(南開大学) 保身、愛国と屈服:ある偽 満州国の「協力者」の心理状態に対する考察 福間良明(立命館大学) 戦後日本のメディア文化と「戦争の語り」の変容 李 基勳(延世大学) 現代韓国メディアの植民地、戦争経験の形象化とその影響-映画、ドラマを中心に   【第4セッションン サブテーマ:研究 司会:宋 志勇】 発表: 安岡健一(大阪大学) 「わたし」の歴史、「わたしたち」の歴史―色川大吉の「自分史」論を手がかりに 梁 知恵(東北亜歴史財団) 「発展」を越える、新しい歴史叙述の可能性:韓国における植民地期経済史研究の行方 陳 紅民(浙江大学) 民国期の中国人は「日本軍閥」という概念をどのように認識したか 論点整理: 劉 傑(早稲田大学)   8月9日(水) 【第5、6セッション:全体討議(指定討論)司会:彭 浩、鄭 淳一】 議論を始めるに当たって:三谷 博(東京大学名誉教授) 全体討議: 指定討論者(アルファベット順) 平山 昇(神奈川大学、日本) 金 澔(ソウル大学、韓国) 金 憲柱(国立ハンバット大学、韓国) 史博公(中国伝媒大学、中国) 吉井文美(国立歴史民俗博物館、日本) 袁 慶豊(中国伝媒大学、中国) 張 暁剛(長春師範大学、中国)   閉会挨拶:趙 珖(高麗大学名誉教授)   ※同時通訳 日本語⇔中国語:丁 莉(北京大学)、宋 剛(北京外国語大学) 日本語⇔韓国語:李 ヘリ(韓国外国語大学)、安 ヨンヒ(韓国外国語大学) 中国語⇔韓国語:金 丹実(フリーランス)、朴 賢(京都大学)   ※プログラム・資料の詳細は、下記リンクをご参照ください。 ・プロジェクト概要 ・プロジェクト資料   中国語版ウェブサイト 韓国語版ウェブサイト
  • 2023.05.18

    第7回アジア未来会議 論文募集のお知らせ

    第7回アジア未来会議(AFC#7)は、論文、小論文の提案(発表要旨)を下記の通り募集します。   会期:2024年8月9日(金)~13日(火)(到着日、出発日を含む) 会場:チュラロンコーン大学(タイ国バンコク市)   発表要旨の投稿締切: ・奨学金・優秀賞に応募する場合  2023年8月31日(木) ・奨学金・優秀賞に応募しない場合 2024年2月29日(木)   募集要項は下記リンクをご覧ください。 画面上のタブで言語(英語、日本語)を選んでください。   http://www.aisf.or.jp/AFC/2024/call-for-papers/     ◆総合テーマについて   本会議全体のテーマは「再生と再会」です。 新型コロナウィルスのパンデミック後、アジアと世界は大きな変革期を迎えています。このような社会、経済、文化、教育などの多様な変化に、私たちはどのように向き合い、乗り越えていけばよいのでしょうか。アジアのみならず世界の活性化を、多様な視点から検証することが求められています。専門分野を超えて、世界中の学者・研究者が「再会」し、議論を交わすこと自体が、アジアと世界の「再生」の源となり、共に解決策を見出すことができればと願っています。   ◆アジア未来会議について   アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心のある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。アジア未来会議は、学際性を核としており、グローバル化に伴う様々な課題を、科学技術の開発や経営分析だけでなく、環境、政治、教育、芸術、文化の課題も視野にいれた多面的な取り組みを奨励します。皆様のご参加をお待ちしています。   2023年5月10日 第7回アジア未来会議実行委員会     2023年5月18日配信
  • 2023.05.09

    第71回SGRAフォーラム 「20世紀前半、北東アジアに現れた『緑のウクライナ』という特別な空間」へのお誘い

    下記の通り第71回SGRAフォーラム「20世紀前半、北東アジアに現れた『緑のウクライナ』という特別な空間」を対面とオンラインのハイブリットで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。オンライン参加の方はカメラもマイクもオフのウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。   テーマ:「20世紀前半、北東アジアに現れた『緑のウクライナ』という特別な空間」 日 時:2023年6月10 日(土)午後2時~午後5時(日本時間) 方 法: 会場参加(先着20名)とオンライン参加(Zoom ウェビナーによる)のハイブリット開催 会 場:渥美国際交流財団ホール(プログラム参照) 言 語:日本語   申 込:参加申込(参加には事前登録が必要です) お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)     ■フォーラムの趣旨 ロシア帝国は中国とのネルチンスク条約、アイグン条約、北京条約によって極東の大きな領土を手に入れることができた。その極東の国境沿いの領土にはあまりにも人口が少なかったため、定住者を増やすことが政治地理的な大きな課題となった。ほぼ同時期の1861年に農奴解放令が発布され、当時ロシア帝国に付属していたウクライナの農奴はやっと農地を手に入れたものの、配給された土地は非常に小さく不満を抱く人が多かった。そこでロシア帝国政府は「帝国の南側から極東に家族ごと移住すれば、かなり大きな農地をもらえる」と宣伝し1870年からロシア革命までに大勢のウクライナ人が極東に移り住んだ。1918年1月にキーウで独立共和国の宣言が行われた時、極東のウクライナ人は「緑のウクライナ」という国を作ろうとしていた。1922年にソ連政権が極東に定着した時、その政権から逃れた100万人のウクライナ人がハルビンなどに移り住み1945年まで留まっていた。 本フォーラムでは、いろいろな民族が住み、さまざまな文化が存在し、新たなアイデアもたくさん生まれていた、20世紀前半の極東アジアに存在した特別な空間について話し合いたい。     ■プログラム 講演1  『緑のウクライナ』という特別な空間 オリガ・ホメンコ(オックスフォード大学日産研究所) 1918年1月にキーウで独立共和国の宣言が行われた時、極東のウクライナ人は「グリーンウェッジ」(森が多いので緑、ウェッジは農業ができるところ)と呼ばれていた地域に「緑のウクライナ」という国を作ろうとしていた。 1922年にソ連政権が極東にやっと定着した時、その政権の下に住みたくない100万人のウクライナの人はハルビンなどに移り住み1945年まで留まっていたが、「緑のウクライナ」の夢を捨てられなかった。ロシア帝国でマイノリティ―だったウクライナ人は、極東に開拓民として移動し、初めていろいろな民族に対してマジョリティ―になり、初めて多くの今まで知らなった民族や文化に触れ合うことになった。新たなアイデアもたくさん生まれ、ウクライナのアイデンティティーを実感し、自分の国を作ろうとした。極東開発のプロセスで農民以外に、知識人の技師や鉄道関係者もウクライナからやってきた。第一次世界大戦と共に軍人の数も増えた。活発なボランティア活動のおかげで極東満州では20以上のウクライナ語のプリントメディアが出版された。 本フォーラムでは、そのメディアを起こした人達を紹介し、そこで想像されていた「緑のウクライナ」という特別な空間について考えたい。長らく忘れられていた人々―多民族国家の夢を見て「極東のウクライナ人」という新聞を自費出版していた技師のドミトロー・ボロウィックや「満州通信」の編集者だったイワン・スウィットの姿を見ながら「緑のウクライナ」について検討する。   講演2  マンチュリア(満洲)における民族の交錯 塚瀬 進(長野大学環境ツーリズム学部) マンチュリア(満洲)の範囲は時代によって一定ではなく可変的であった。また、そこに住む人々の移動も激しく、日本のように単一的な人々が長く暮らした時期は少なかった。領域の範囲が変動したこと、住民の移動が激しかった地域の歴史は、民族自決による国民国家の形成という過程を主軸に理解することは難しい。 通説的な理解は、マンチュリアはもともと人口稀薄な場所(「無主の地」とも称された)であったが、中国人の移住が20世紀以降増加し、中華人民共和国の東北三省となり現在に至っているというものである。かかる中華人民共和国の一地域へと収斂されていく方向性、言い換えるならば最終的にマンチュリアは中国に統合され、中国人の地になるという理解は、マンチュリアの多様性を取捨している。中国への統合という側面だけではなく、マンチュリアを主体にした歴史理解を本報告は追究している。こうした議論の方向性は、現在世界各国で生じている多くの紛争の基底にある、同質的な国民国家を形成することが難しい地域の歴史的要因の認識につながる。   話題提供1  中国東北地域における近代的な空間の形成:東北蒙旗師範学校を事例に ナヒヤ(内蒙古大学蒙古歴史学系) ハルビン、長春、瀋陽を中心都市とした20世紀前半における中国の東北地域でモンゴル族は文化、教育、出版をはじめとする様々な活動を行なってきた。しかし、自力では強力な活動を展開するのが難しく、各地方政権と取引を行わざるを得なかった。張学良を理事長、メルセを校長とする東北蒙旗師範学校はその典型的な例である。   話題提供2  『マンチュリア』に行こう!  グロリア・ヤン ユー(九州大学人文科学研究院) 20世紀前半のマンチュリア(満洲)には、ロシア・「極東」・モンゴリア、中国(特に華北地方)・朝鮮半島・日本から、さまざまな人々が移住してきた。また、鉄道の発展によって国境を越える旅も盛んに行なった。本コメントは、視覚資料、小説、紀行文などを取り上げ、「マンチュリア」の日常生活空間の多様性を描き出す試みである。また、この「越境する現場」の多様的な空間の視覚表象は、日本帝国の拡張(のちに満洲国の成立)によって取捨され、そして単一化されつつあったことを明らかにしたい。   自由討論   司会/モデレーター: マグダレナ・コウオジェイ(東洋英和女学院大学)   ※詳細は、下記リンクをご参照ください。 ・プログラム  
  • 2023.03.15

    第21回日韓アジア未来フォーラム「新たな脅威(エマージングリスク)・新たな安全保障(エマージングセキュリティ)-これからの政策への挑戦-」へのお誘い

    下記の通り第21回日韓アジア未来フォーラム「新たな脅威(エマージングリスク)・新たな安全保障(エマージングセキュリティ)-これからの政策への挑戦-」をオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。一般聴講者はカメラもマイクもオフのウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。   テーマ:「新たな脅威(エマージングリスク)・新たな安全保障(エマージングセキュリティ)-これからの政策への挑戦-」 日 時: 2023年4月22日(土)14:00~17:00 方 法: 渥美財団ホールおよびZoomウェビナー 言 語: 日本語・韓国語(同時通訳) 主 催:第21回日韓アジア未来フォーラム実行委員会 共 催:公益財団法人渥美国際交流財団関口グローバル研究会/財団法人未来人力研究院(韓国) 参加費:無料 申 込: こちらよりお申し込みください お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)       ■フォーラムの趣旨 冷戦後の国際関係において非軍事的要素の重要性を背景にグローバルな経済対立、貧富格差の拡大、そして気候変動、先端技術の侵害、サイバー攻撃、パンデミックなどが新しい安全保障の範疇に含まれるようになってきた。伝統的な安全保障問題が地理的に近接した国家間で発生する事案抑止を前提とするのに対して、新たな安全保障上のリスクは突発的に発生し、急速に拡大し、さらにグローバルネットワークを通じて国境を超える。多岐にわたり複雑に絡み合う新しい安全保障のパラダイムを的確に捉えるためには、より精緻で包括的な分析やアプローチが必要なのではないだろうか。 フォーラムでは、韓国における「エマージング・セキュリティー(新たな安全保障)」研究と日本における「経済安全保障」研究を事例として取り上げ、今日の安全保障論と政策開発の新たな争点と課題について考察する。     ■プログラム 総合司会 金雄熙(韓国仁荷大学教授)     第1セッション(14:00 - 15:05) 開会挨拶 徐 載鎭(財団法人未来人力研究院院長)     基調講演1  金 湘培(ソウル大学政治外交学部教授) 30分   「エマージング・セキュリティー、新たな安全保障パラダイムの浮上」 現代ではパンデミック、気候変動、大規模自然災害、サイバーセキュリティー、新技術、人口・移民・難民の危機などのこれまでとは質的に異なるグローバルな課題が安全保障上の脅威として拡大している。本講演では、こうした脅威に対応する方策としての「エマージング・セキュリティー(emerging security、新たな安全保障)」をテーマとする。これまでも脱冷戦(Post-Cold War)を背景に新しい安全保障のパラダイムを理論化しようとする試みがなかったわけではない。9・11 同時多発テロ以降の脱近代(post-modern)安保秩序への変換と、2020 年代の人間中心の安保秩序からコンピューターが人類の知性を超えるポスト・ヒューマン(post-human)秩序への変換を視野に入れてきたが、現代の安全保障問題を扱うには不十分な点が多い。パンデミックやサイバー攻撃のような脅威が突発的に発生し、急速に拡大してマクロリスクとして現れ、そして、グローバル化・ネットワーク化を通じて国境を超えるのがエマージング・セキュリティーの特徴である。こうしたエマージング・セキュリティー研究は、既存の「非伝統的安全保障(non-traditional security)」または「新安全保障(new security)」などの概念を超えるより積極的で新しい安全保障パラダイムの浮上として捉えることができ、国家単位で政治・軍事的安全保障を強調した従来の伝統的安全保障パラダイムを越えようとする概念的な試みなのである。     基調講演2  鈴木 一人 (東京大学公共政策大学院教授)30分   「日本における経済安全保障をめぐる議論」 第二次大戦後の世界秩序の基本には、政治と経済が分離し、政治は経済に介入しないという自由市場経済、自由貿易があった。こうした自由貿易の原則は資源の乏しい日本においてその経済成長を可能にする重要な役割を果たしたが、近年はその状況が変わっている。米中対立による政治的目的の手段としての経済、武器としての相互依存が一般化する中で、経済を使った国家間対立と、経済的強制が新たな脅威となっている。こうした脅威を管理するために、国際競争力、経済的・技術的優位性の確保が最優先課題となり、一方では研究開発を促進し、他方では技術管理、輸出管理の強化が進んでいる。日本におけるその現状を報告する。     (休  憩  10分)     第2セッション(15:15 - 15:55)各10分 コメント 李 元徳(国民大学校社会科学大学教授) コメント 西野純也 (慶應義塾大学法学部政治学科教授・オンライン) コメント 林 恩廷 (公州大学国際学部副教授) コメント 金 崇培 (国立釜慶大学人文社会科学部助教授)     第3セッション(15:55 - 16:45) 自由討論/質疑応答(モデレータ: 金雄熙)     総括・閉会(16:45~17:00) 平川 均 (名古屋大学名誉教授/渥美国際交流財団 理事/第21回日韓アジア未来フォーラム実行委員長)     [ 同時通訳 ] 日本語⇔韓国語:李 ヘリ(韓国外国語大学)、安 ヨンヒ(韓国外国語大学)   [ プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください ] プロジェクト概要 韓国語版ウェブサイト  
  • 2023.03.14

    第37回共有型セミナー@東京「東アジアダイナミクス」へのお誘い

      第37回共有型セミナー@東京をハイブリッド形式で開催いたします。 参加ご希望の方は事前登録をお願いします。   テーマ:「東アジアダイナミクス」 日 時:2023年4月10日(月)午前10時~午後1時 会 場:渥美国際交流財団ホール(東京都文京区) 方 法:会場参加およびオンライン(Zoom Meeting) 会 費:無料 参加申込:こちらよりお申し込みください。 ※登録していただいた方に参加用リンクをお送りします。   主催:公益財団法人渥美国際交流財団(AISF)関口グローバル研究会(SGRA) 共催:フィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)公共政策開発大学院(CPAf) 共催:一般社団法人東北亞未来構想研究所(INAF)   問い合せ:SGRA事務局 [email protected]     ◇趣旨   日本を含む東アジア8カ国が実現した高度成長を研究する世界銀行の「東アジアの奇跡レポート」(1993)は、あらゆる意味で論争の的になったが、特記すべきは「成長と公平」というテーマに注目したことだ。このテーマは、トマ・ピケティの「21世紀の資本」(2014)やJ.E.スティグリッツの「世界の99%を貧困にする経済」(2013)であらためて人気を集めている。この議論から刺激を受けた本セミナーシリーズの総合テーマは「共有型成長」(SHARED GROWTH)で、富の分配と経済成長が同時に進むことを目指す。 しかしながら、今回のセミナーでは「東アジアの奇跡レポート」にはカバーされていない側面、国際的な「地域化」(東アジア地域化)と「地方分権化」をとりあげ、東アジアの経済発展ダイナミックスを「共有型成長」の観点からより深く理解することを目的とする。「地域化」の議論では、日本の研究者・赤松愛が1930年に発想するに至った「雁行形態論」の積極的側面に目を向ける。雁行形態論は1980年代に東アジアの目覚ましい経済発展の説明理論として再注目されたが、それから50年たった現在、この地域のさらなる発展を鑑みて赤松理論の意義について再検討を行う。東アジアで1990年代に起こったもう一つの流れが「地方分権化」である。経済成長はそれを支える社会によって支えられる。地方の成長が国の成長を支え、広げるメカニズムとしても考えられる。     ◇プログラム   【第1部】問題提起 ・「東アジアの地域化」 平川均(INAF理事長、渥美財団理事、名古屋大学)   本報告では、広義の意味での東アジア(東南アジアと東北アジア)における地域主義、地域協力、地域統合、その制度化を示す包括的概念として「地域化」を用いる。地域主義は2つの起源があった。ひとつは、北東アジア(主に日本)、もうひとつは東南アジアである。両者を起源とする地域主義はアジア通貨危機以前には併存し、以後はASEAN+3フレームワークの誕生によって、重層的な制度化と経済統合に道を開いた。ただし、今日、主要国の主導権争いを通じた経済統合がその推進力になっており、新たな課題に直面している。本報告では、過去1世紀を超える東アジアの地域化を概観し、今日的課題への教訓をくみ取ることを目指す。     ・「東アジアにおける地方分権化」 マックス・マキト(CPAf/UPLB, SGRA/AISF)   東アジアのダイナミクスを定義する一つの力として「国内の地方分権化」に注目し、地方分権化が「国際の地域化」の代替または補完であるかを議論する。「国内の地方分権化」と「国際の地域化」の2つの力が相互に補完し合うことができる二つの条件がある。最初の条件は、国家の適切な権限付与で、国家は相反する二つの力の渦に巻き込まれながらも、そこに適切な均衡を見つけなければならない。2番目の条件は、相互に影響し合う可能性のある二つの力に共通の原則の存在で、その一つが「共有型成長」である。     【第2部】討論 ・「将来の研究の方向性: 相互構成的な地域化と地方分権化、ASEAN および市民の位置づけ」 ダムセル・コルテス (CPAf/UPLB)   地域化と地方分権は、共有型成長を実現するための有望な道筋を提供しているが、私は地域化と地方分権をさらに理解するために別の視点を提供したい。それは、地域化と地方分権は単に補完的であるだけではなく、相互に構成的であるということです。さらに、ご発表から得られたいくつかの洞察と疑問を提起します。一つは、地域化という言説の中で、共有型成長、ASEANの価値、市民を位置づけることです。もうひとつは、地方分権のニュアンスと複雑な性質に焦点を当てます。     ・「地方自治体やNGOによる地域主義―東北アジア地域の経験―」 李鋼哲(INAF, SGRA/AISF)   冷戦崩壊とともに、1990年代から、社会主義陣営と資本主義陣営が対立していた東北アジア地域で地域主義の動きが活発になる。地方分権のプロセスはさまざまであるが、国境を越えた国際地域開発プロジェクトが立ち上がり、極地経済圏(サブ・リージョン・エコノミック・ゾーン)形成への動きが活発になった。これらの国際地域開発プロジェクトは、極地経済圏の形成とともに地方分権化にある程度進捗が見られ共有型成長に貢献していると思う。     ・「インドネシアの地方分権の事例紹介 」 ジャクファル・イドラス(国士舘大学, SGRA/AISF)   地域主義・地域統合と地方分権化は一見すると相反的な概念に見えるが、本研究は斬新的かつ新しい理論的な枠組みを提供し、両概念は相互的に影響を与えると主張している。共有型成長の仕組みとしての地方分権化については、多面的な問題であるということを明確にする必要があると考える。インドネシアでは、地方分権化は地方レベルの権力、富、資源の集中をもたらしたため、行政と財政の分権化に限らず、その実施の面をみる必要がある。国家のエンパワーメントは確かに重要な要因となるが、共有型の成長を達成するためには地域社会のエンパワーメントも中核的で重要な課題となる。     詳細はプログラムをご覧ください。 日本語版プログラム 英語版プログラム 英語版ウェブサイト