SGRAの活動

  • 2008.06.23

    ウランバートルで開催する国際シンポジウムのご案内

    下記の通り、SGRAでは初めてモンゴル国ウランバートル市でシンポジウムを共催いたします。   ● 国際シンポジウム in ウランバートル 「アーカイブズ・歴史・文学・メディアからみたグローバル秩序―北東アジア社会を中心に―」   プログラム(英文)   発表要旨集(英文)   主催: モンゴル国家文書管理局、関口グローバル研究会(SGRA)、モンゴル科学アカデミー歴史研究所、モンゴル日本センター   後援: 在モンゴル日本大使館、モンゴル国立大学、モンゴル国際研究所、東京外国語大学   協賛: 渥美国際交流奨学財団、守屋留学生交流協会、高澤三次郎国際奨学財団、三菱商事、三井住友銀行、鹿島建設   ○ 日程:2008年6月23(月)~25日(水)    ○ 会場:モンゴル・日本センター、モンゴル国家文書管理局(モンゴル国ウランバートル市)   ○ 開催の趣旨:   近現代北東アジア地域の社会秩序の再編において、旧ソ連、日本、アメリカ、中国はきわめて大きな役割を果たしてきました。一方、冷戦後の北東アジア社会においては、グローバル化が急速に進められているものの、同地域内の各国は政治、経済、民族、文化等多くの面で矛盾や葛藤を抱えており、相互関係はますます複雑になっています。本シンポジウムは、20世紀以降、激変する北東アジア社会の複雑な状況を視野に入れながら、歴史、文学、メディア、アーカイブズという社会の基礎的な情報源から得られるデータの分析過程の中に、この地域の一元化と多元性の葛藤という今日的であると同時に歴史的である問題を取り込み、現代北東アジア社会のグローバル秩序の歴史的背景とその今日的意義を考え直し、北東アジアの地域秩序はどのようなプロセスをへて構築されたか、これからどのように構築していくか等をめぐって、特色ある議論を展開することを目的とします。同時に、こうした議論、対話を実現するために、関係諸国のアーカイブズ情報の資源化とネットワークの形成をめざしています。   ○ テーマ:   セッション1:歴史・メディア・アーカイブズからみた北東アジアの社会秩序:過去・現在と課題 セッション2:北東アジア文学の中の社会像・世界像 セッション3:アジア主義論からアジア共同体へ セッション4:北東アジア地域アーカイブズ情報の資源化とネットワークの形成にむけて   ○ 参加者:   日本、中国、韓国、オーストラリア、ドイツ、ロシアなどの国、地域からの研究者約25名、モンゴル国からの研究者約25名。   ○ 公用語: モンゴル語、英語、日本語、ロシア語。  
  • 2008.04.11

    レポート第43号 「鹿島守之助とパン・アジア主義」

    レポート第43号   渥美奨学生の集い講演録 平川 均 「鹿島守之助とパン・アジア主義」 2008年3月1日発行   鹿島守之助博士は、今日、鹿島建設元社長として昭和期を代表する卓越した実業家であると同時に、政治家、外交史研究者でもあった人物として知られている。日本の外交研究とそれに関する活動にも多大な貢献を果した。しかし、彼が1920年代後半以降、生涯を通じて、独特なアジア主義者として「アジア連盟」あるいは「アジア共同体」の理想を追求した人物であったことを知る人は少ない。彼が73年に、かつての生家・永富家の一角に「わが最大の希願は、いつの日にか パンアジアの実現を見ることである」と刻んだ碑を建立していたことを知れば、意外に思う人がほとんどであろう。実際、彼の国際政治や外交に関する膨大な著作や政治活動の軌跡を辿るならば、彼は確かに「汎(ハン)アジア」「パン・アジア」を悲願としており、大戦後の多彩な社会活動も彼の思想と深く関っている。   彼のアジア主義はどのような思想であり、その思想に駆り立てたものは何か、彼の思想が「大東亜共栄圏」によって象徴される日本のアジア侵略の試練とどう関り、その試練をどう潜り抜けてきたか、彼の構想が戦後むしろ省みられないできたのは何故かなどである。   東アジア共同体への関心が21世紀に入って急速に高まっている現在、鹿島博士のパン・アジア論に改めて光を当てることによって、今日の東アジア共同体に資する何かを発見できるのではないか。報告ではほぼ時代に沿って鹿島のパン・アジア論の生成と変遷をみた後、その思想と論理の特徴を確認したい。そのことによって上述の疑問の幾つかに回答を試みたい。  
  • 2008.03.21

    第32回SGRAフォーラム in 軽井沢「オリンピックと東アジアの平和繁栄」

    ■日 時: 2008年7月20日(日)14時~18時、19時半~21時   ■会 場: 鹿島建設軽井沢研修センター会議室   ■フォーラムの趣旨:    国家と国家の間で平和と安定が維持されるためには何が必要となるのか。この問題に関して国際政治学の世界では、様々な研究がなされてきた。その一つとして、経済や文化、あるいはスポーツの交流が国家間関係の安定と地域秩序の平和に重要な機能を果たすという理論がある。いわゆる機能主義的な平和理論である。その理論は冷戦時代に米ソ関係、米中関係、そして東西ドイツ間の関係に適用され一定の成果をあげることができた。実際にこれらの関係においては、文化やスポーツの活発な交流が体制の安定に寄与したといわれている。激しい戦争なしに冷戦構造を溶かすことができたのは、両陣営の間で推進されてきた文化やスポーツ交流の影響もあったのではないだろうか。   東北アジアは、歴史や領土問題をめぐる葛藤などによって、世界的にも不安定な要因が多数残されている地域の一つとして指摘されてきた。韓半島での南北対立は依然変わらない状況である。日本と中国の間でも、歴史問題をはじめ、ガス田開発競争など葛藤の火種が伏されている。しかしこの地域でも、文化とスポーツの交流は互いの誤解と葛藤を溶かす鍵になるのではないだろうか。   注目すべき点は、1964年には日本が、1988年には韓国がオリンピックを開催した経験を持ち、今年は北京オリンピックを控え、東北アジアの主要な国家が世界的なスポーツ交流の場を提供し、また提供しようとする事実である。ほぼ20年ごとにこの地域で開かれる世界のスポーツ祭典・オリンピックは、果たしてこの地域に何をもたらしたのか。そして今、開かれようとする北京オリンピックは何をめざすべきなのか。その目標はいかに達成できるのか。  <東アジアの安全保障と世界平和>研究チームでは、日中韓の研究者を招いて、上記のような問題を共に議論していきたい。この地域で開かれたオリンピックが、各国家の発展のみならず、地域秩序の変化に及ぼした影響を検討し、文化やスポーツ交流のあるべき姿を探る機会にしたい。   ■プログラム   【基調講演】清水 諭(筑波大学体育専門学群教授) 「オリンピック・スタディーズと東アジア」   【講 演1】池田慎太郎(広島市立大学国際学部准教授) 「日本からみたオリンピック-東京オリンピックと1960年代の東アジア」   【講 演2】朴 榮濬(韓国国防大学校副教授、 SGRA研究員) 「韓国からみたオリンピック-ソウル・オリンピックと冷戦」   【講 演3】劉 傑(早稲田大学社会科学総合学術院教授) 「中国からみるオリンピック-北京オリンピックと東北アジアの未来 v  【パネルディスカッション】進行:南基正 (韓国国民大学国際学部副教授、SGRA研究員)
  • 2008.03.20

    レポート第42号「黄土高原緑化協力の15年」

    SGRAレポート42号(日本語版) SGRAレポート42号(中国語版)   講演録:高見邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長) 「黄土高原緑化協力の15年:無理解と失敗から相互理解と信頼へ」 2008年1月30日発行   緑の地球ネットワークは1992年以来、山西省大同市の農村で緑化協力を継続している。大同市は北京の西300kmほどのところにあり、北京の水源、風砂の吹き出し口でもある。そこで深刻な沙漠化と水危機が進行している。「ゼロからの出発」とよくいうが、歴史問題をかかえた大同ではマイナスからのスタートだった。初期は失敗つづきだったが、その後、日本側の専門家や中国のベテラン技術者の参加をえて、だんだんと軌道に乗ってきた。協力の双方も失敗と苦労を通じ、お互いを理解し、信頼しあうようになってきた。いまでは「国際協力の貴重な成功例」とまで評価されるようになっている。その経験と教訓を話したい。  
  • 2008.03.15

    レポート第41号「いのちの尊厳と宗教の役割」

    レポート第41号   第28回SGRAフォーラム in 軽井沢講演録 (2008年3月15日発行)   <もくじ>   【基調講演】島薗 進(東京大学文学部宗教学宗教史学科教授)                     「いのちの尊厳と日本の宗教文化」   【発表1】秋葉 悦子(富山大学経営法学科教授)                     「カトリック<人格主義>生命倫理学の日本における受容可能性」   【発表2】井上ウィマラ(高野山大学文学部スピリチュアルケア学科助教授)                     「悲しむ力と育む力:本当の自分に出会える環境づくり」   【発表3】大谷いづみ(立命館大学産業社会学部教授)                     「『尊厳ある死』という思想の生成と『いのちの教育』」   【パネルディスカッション】                      進行:ランジャナ・ムコパディヤーヤ (名古屋市立大学大学院人間文化研究科助教授、SGRA研究員)  
  • 2008.03.03

    第7回日韓アジア未来フォーラム「東アジア協力の過去、現在、未来: 日韓アジア未来フォーラムのあり方を念頭に置きながら」報告

    2008年2月23日(土)、季節を忘れて、グアムのシェラトンホテルで「東アジア協力の過去、現在、未来: 日韓アジア未来フォーラムのあり方を念頭に置きながら」をテーマに第7回日韓アジア未来フォーラムが開催された。7年目を迎え、一種のsabbatical leaveという性格もあわせもった今回のフォーラムでは、日韓両国で3回ずつ行われたこれまでのフォーラムの成果と意義、問題点などについて振り返りながら、東アジア協力の過去、現在、未来について議論を行った。また、これからのフォーラムの進め方についても自由に意見を交わした。   グアムという場所の制約やテーマの性格などを考え、今回のフォーラムは非公開で行われた。米国領のグアムを訪れる観光客の7割以上が日本人であるが、近年は韓国人が増えているという。また、地理的には東南アジアに近く、日韓アジア未来フォーラムを開催するのにぴったりであった。   フォーラムでは、韓国未来人力研究院の李鎮奎(イ・ジンギュ)院長と今西淳子(いまにし・じゅんこ)SGRA代表による開会の挨拶に続き、4人の研究者による研究報告が行われた。まずSGRA研究員であり北陸大学の 李鋼哲(り・こうてつ)氏の研究発表は「北東アジア経済協力の展望 」をより具体的に明らかにするものであった。SGRA研究員のマックス・マキト氏は、「東アジア地域協力におけるアセアンの役割」について力説した。東京大学の木宮正史(きみや・ただし)氏は「東アジアの安全保障と共同体論」について、そして最後の発表者として延世大学の韓準(ハン・ジュン)氏は「東アジア協力におけるソフトパワーの役割」について発表を行った。   3時間に及ぶ報告と討論の後の第2セッションでは、嶋津忠廣(しまづ・ただひろ)SGRA運営委員長により、これまでの日韓アジア未来フォーラムの成果について報告が行われた。10ページほどの写真付の資料をもとに、これまでの楽しく有意義な研究交流活動を振り返る良いきっかけとなった。   嶋津氏の報告を土台に、これからのフォーラムのテーマや進め方などについて様々な提案があり、議論が交わされた。とくに注目すべきは、SGRAと未来人力研究院が異なるアプローチを互いに尊重しつつ、それぞれの強みを生かしながら、これまでのパターンを守り続けていくことで一致しているのが確認できたことである。また、「東アジア協力」と「ソフトパワー」というキー概念を念頭に置きながら、これからのテーマを決めていくことにも合意が得られ、次のテーマは、東アジア協力の大きなファクターとなる中国に対する見方の日韓の違いに注目し、今後具体的に検討していくことにした。   フォーラム終了後の夕食会は、市内の韓国料理店で、野菜もない牛肉だけの焼肉に焼酎バクダンを一気飲みするというややタフな食事会であった。前回の葉山フォーラムと同じく、まもなく「狂乱」の飲み会に変わってしまった。週末ということもあって店の人は呼んでも来ないし、お酒とお肉以外には殆ど品切れ状態だったのでそれが最善だったようにも思われる。2次会は音楽の賑やかなホテル内のバー、そして3次会はフィリピン海を見おろすプールサイドであった。   24日(日)は、自信満々の韓国系グアム人のガイドさんの案内で3時間ほど市内ツアーを楽しむこともできた。とくにツー・ラバーズ・ポイントは、「2回目のハネムーン」中の宋復理事長ご夫妻に思い出の場所となったに違いない。渥美財団主催の夕食会では主催側のご配慮でバーベキューにちょっと贅沢な日本酒を楽しんだが、前日の食事会に比べたらほんとうに穏健だった。この夕食会で「『次の7年目(=第14回日韓アジア未来フォーラム)』にはハワイでまた『3回目のハネムーン』を!」というすばらしいご提案があった。 次の第8回日韓アジア未来フォーラムは、2009年2月に東京で公開で開催する予定です。   -------------------------- <金 雄熙(キム・ウンヒ)☆ Kim Woonghee> ソウル大学外交学科卒業。筑波大学大学院国際政治経済学研究科より修士・博士。論文は「同意調達の浸透性ネットワークとしての政府諮問機関に関する研究」。韓国電子通信研究院を経て、現在、仁荷大学国際通商学部副教授。未来人力研究院とSGRA双方の研究員として日韓アジア未来フォーラムを推進している。 --------------------------
  • 2008.02.20

    レポート第40号 「アジアの外来種問題」

    SGRAレポート第40号   第27回SGRAフォーラムin 秋葉原 講演録 「アジアの外来種問題:ひとの生活との関わりを考える」 (2008年5月30日発行)     もくじ   【基調講演】「外来生物とどう付き合うか:アジアの淡水魚を中心に」                            多紀 保彦(自然環境研究センター理事長、長尾自然環境財団理事長、東京水産大学名誉教授)   【発表1】「外来生物問題への取り組み:いま日本の水辺で起きていること」                        加納 光樹(自然環境研究センター研究員)   【発表2】「インドシナの外来種問題:魚類を中心として、フィールドからの報告」                       プラチヤー・ムシカシントーン(カセサート大学水産学部講師、SGRA研究員)   【パネルディスカッション】 「アジアの外来種問題:ひとの生活との関わりを考える」                         進行:今西淳子(SGRA代表)
  • 2008.02.01

    第30回SGRAフォーラム「教育における『負け組』をどう考えるか」報告

    第30回SGRAフォーラムは、素晴らしい晴天に恵まれた2008年1月26日(土)、東京国際フォーラムG610会議室にて晴れ晴れと開催されました。「教育問題」が世間やマスコミを賑わしている昨今のご時勢において、「教育における『負け組』をどう考えるか ~日本、中国、シンガポール~」という今回のフォーラムは非常にホットなテーマであると言わざるを得ません。SGRA「グローバル化と地球市民」研究チームが担当する6回目のフォーラムとなりますが、一般的な教育問題を扱ったフォーラムは初めてだそうです。   発表者および発表の流れは以下の通りです:   【発表1】佐藤 香 (東京大学社会科学研究所准教授) 「日本の高校にみる教育弱者と社会的弱者」 【発表2】 山口真美(アジア経済研究所研究員) 「中国の義務教育格差 ~出稼ぎ家庭の子ども達を中心に~」 【発表3】シム・チュン・キャット(東京大学大学院教育学研究科博士課程) 「高校教育の日星比較 ~選抜度の低い学校に着目して~」   基調講演を担当していた佐藤先生は、まず近代教育システムの特徴を説明しつつ、日本の教育モデルとメリトクラシー(meritocracy 能力主義)の現実を明らかにした後、日本におけるメリトクラシーの緩和および教育弱者の厳しい現状について説明しました。そして、教育弱者が社会的弱者になりやすい傾向の中で、彼らが社会に拡散してしまう以前に教育現場において集中的に支援を行なったほうが効率的であると主張しました。非常に濃い内容を簡潔にまとめられた佐藤先生の発表が素晴らしかったこともさることながら、SGRAフォーラムの講演者としては初めての着物姿もとてもステキでした。   二人目の発表者であった山口さんは、中国の都会に住む出稼ぎ労働者の現状とその子どもたちの教育問題に着目し、中国における義務教育の格差問題について報告しました。山口さんはまず中国の教育制度と各教育段階の就学率の推移について説明し、経済発展が著しい中国において国内出稼ぎがどのように発生・拡大していったのか、そして出稼ぎ家庭の子どもの義務教育を受ける権利がいかに草の根レベルでの解決によって制度化されるように至ったのかを詳述しました。データと写真を表示しながら、丁寧に且つ力強く中国の教育現状を訴えた山口さんの発表はとても印象に残るものでした。   最後の発表者の私は、日本とシンガポールにおける選抜度の低い学校に焦点を当て、教育の「負け組」への両国の対処のあり方を比較しながら、教育が果たすべき社会的役割について検討しました。日星両国の高校生を対象とした質問紙調査のデータをもとに、私はまず両国ともに選抜度の低い下位校には学力も出身階層も低い生徒が集まることを示したうえ、シンガポールの下位校生徒が、学校の授業や先生を高く評価し、高い学習意欲と進学アスピレーションを持っているのとは反対に、日本の下位校生徒は授業や先生に対する評価が低いだけでなく、意欲にも欠けていることを明らかにしました。そして、日本の下位校の厳しい現状を言及しつつ、どの国でも下位校が教育的・社会的セーフティネットとなるべく、下位校への投資と改革が急務であると強く主張しました。   「教育問題」は非常に身近でホットなテーマであるだけに、フォーラム当日には会議室の席がほぼ全部埋まるほど参加者が集まりました。パネル・ディスカッションのときも、フロアから質問とコメントが引っ切り無しに出され、会場は盛り上がりました。教育弱者への支援の重要性について意を同じくした参加者もいれば、学力以外にも「生きる力」を柱とした教育の必要性を強く訴えた参加者もいました。教育のあるべき姿を考えるヒントとして、自国の教育制度や自らの体験を熱く語ってくれた参加者もいました。そして、ディスカッションの熱気は冷めることなくそのまま大盛況の懇親会へと持ち越され、最後の最後まで熱い議論が交わされる一日となりました。   当日、SGRA運営委員の足立さんとマキトさんが撮った写真は、下記URLからご覧ください。   http://www.aisf.or.jp/sgra/photos/   (文責:シム・チュン・キャット)
  • 2008.02.01

    第31回SGRAフォーラム「水田から油田へ:日本のエネルギー供給、食糧安全と地域の活性化」

    下記の通り第31回SGRAフォーラムを開催いたしますのでご案内いたします。参加ご希望の方は、ファックス(03-3943-1512)またはemail ([email protected])でSGRA事務局宛ご連絡ください。当日参加も受付けますが、準備の都合上、できるだけ事前にお知らせくださいますようお願いいたします。SGRAフォーラムはどなたにも参加いただけますので、ご関心をお持ちの皆様にご宣伝いただきますようお願い申し上げます。   日時:2008年5月10日(土)午後2時30分~5時30分 その後懇親会   会場:東京国際フォーラム ガラス棟G610会議室 http://www.t-i-forum.co.jp/function/map/index.html   参加費:無料(フォーラム後の懇親会は、会員1000円・非会員3000円)   申込み・問合せ:SGRA事務局 Email: [email protected] TEL: 03-3943-7612, FAX: 03-3943-1512   ■フォーラムの趣旨   現在、石油に代わるエネルギーとして、農地から収穫されるバイオエタノールに世界中の熱い視線が集まっています。バイオエタノールは、サトウキビや穀物などの農産物をアルコール発酵させて製造します。また、木材や農産物の茎葉などに含まれるセルロースを原料にする方法も研究されています。石油などの化石燃料と異なって永続的な生産が可能であり、CO2を増加させないクリーンなエネルギーです。   一方、日本では、コメ余りによる生産調整で、水田の約4割が転作を強いられています。多くの農山村では高齢化が進み、集落の維持すら困難になってきたところもあります。もし、バイオエタノール用のコメ栽培という仕事ができれば、年々増える農地の荒廃を防ぐとともに、稲作技術の伝承を図ることができ、村に人が残ります。崩壊寸前の地域の暮らしから、国のありよう、地球規模での環境問題にまでつながるバイオエタノールですが、それですべてが解決されるわけではありません。世界60億人のうち、飢餓人口が8億人いる時代に、食料を燃料として使うことの是非や、エネルギーの大量消費に支えられたライフスタイルの見直しなど、世界横断で論議すべき課 題がたくさん含まれています。   農林水産省は大規模製造プラントのモデル事業を公募し、昨年6月初旬に、福岡県築上町など6地区の中から候補地を選びました。これから本格生産の一歩を踏み出す運びですが、構想実現までには数多くの壁があります。   本フォーラムは福岡県築上町の米エタノール化地域モデル-水田を油田にするための事業構想を紹介しながら、エネルギー、環境、農業の融合を考えます。   ■プログラム   詳細は下記URLをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/forum31program.doc   ○基調講演:東城 清秀(東京農工大農学部 准教授)   「エネルギー、環境、農業の融合を考える:バイオマス利用とエネルギー自給・地域活性化」   自然と共生し、自然の恵みを享受してきた日本の農業は、戦後の高度経済成長期を経て、専作化と大規模化を進め、肥料やエネルギーを大量に消費する多投多収型の生産構造に変わった。また、1985年プラザ合意後は高い円の為替レートを背景にして、海外から輸入する穀物飼料や食料を増加させ、それらの国内自給率を低下させた。また、長く続いた減反政策や転作奨励によって、農業従事者の農業生産意欲は薄れ、高齢化とともに多くの耕作放棄地や不作付け地を生じさせている。この結果、農村地域で窒素等の栄養物質のバランスを維持させることはできず、生産基盤である農地の循環機能の低下を招き、同時に河川や地下水等の汚染を増大させてきた。しかし、1997年京都会議や2000年循環型社会基本法の制定を機に行政関係者ばかりでなく農業従事者も環境を意識した循環型で保全型の農業に大きく舵を切りつつある。さらにBSEや残留農薬事件などは農業生産過程の透明性や食料の安全性を進める契機となった。そして、この2、3年の石油燃料の高騰とバイオ燃料ブームである。バイオマスのエネルギー利用はまだ始まったばかりであるが、地域発の地球環境問題解決策として期待は大きい。講演では、このような農業を取り巻く状況の変化を返り見ながら、今後のエネルギー・環境・農業の展開とバイオマス利用について考えたい。   ○事例報告:田村 啓二(福岡県築上町産業課資源循環係)   「福岡県築上町の米エタノール化地域モデル:水田を油田にするための事業構想」   日本農業とりわけ稲作農業の現状は、お米の消費の減退で転作率40%を越える中で危機に瀕している。全国240万haの水田のうち100万haでお米の生産が出来ないあるいは、放棄されている。   お米の新たな需要を喚起する以外に水田農業は、衰退の一途をたどるしかない。そこで、新たな需要として燃料化を模索した。すなわちエタノール化である。食料だけでなく飼料化、燃料化でお米の新たな需要と役割を水田が担うことで、減産から増産への新たな道程を確保したい。   しかし、原料としてのお米とエタノール原価との価格差やエタノール流通の社会的、法体系の未整備で前に進めない状況が存在している。バイオ燃料法案の取り扱いの様子を窺いつつ、地域農業と雇用・農業と工業の連携・農村での新産業と向き合いつつ、お米のエタノール化を進めたい。   ○パネルディスカッション   司会:高 偉俊(北九州市立大学国際環境工学部教授、SGRA研究員) コメンテーター:外岡 豊(埼玉大学経済学部教授、SGRA顧問) パネリスト:上記講演者  
  • 2008.02.01

    第7回日韓アジア未来フォーラム「東アジア協力の過去、現在、未来:日韓アジア未来フォーラムのあり方を念頭に置きながら」

    ■日時:2008年2月23日(土)午後2時~6時   ■会場:グアムの大学会議室(調整中)   ■主催: (財)韓国未来人力研究院    協賛: 関口グローバル研究会、(財)渥美国際交流奨学財団   ■フォーラムの趣旨:   2001年始まった日韓アジア未来フォーラムが今年度で7年目を迎えた。本フォーラムではこれまで日本と韓国をはじめアジアの平和と繁栄、共通の文化、そして望ましい国際交流のあり方などについて幅広く話し合ってきた。今回のフォーラムでは日韓両国で3回ずつ行われたこれまでのフォーラムの成果と意義、問題点などについてふりかえながら、東アジア協力の過去、現在、未来について議論するとともに、これからのフォーラムの進め方などについて考えることにする。具体的にはフォーラムの成果、政治安保、経済、文化分野における東アジア協力の展開と新たなビジョンについて報告としてお願いし、その後、自由に意見交換を行いたい。必要に応じ日韓逐次通訳つき。   ■プログラム:    総合司会: 李 元徳(国民大学副教授)(調整中)   【開会の辞】 李 鎮奎(未来人力研究院院長、高麗大学経営学部教授)   【挨拶】 今西淳子(SGRA代表、渥美国際交流奨学財団常務理事)   【報告1】これまでの日韓アジア未来フォーラムの成果        (韓国開催分)金 雄煕(仁荷大学、未来人力研究院)        (日本開催分)嶋津忠廣(SGRA) 【報告2】東アジアの協力と競争:新たなビジョンを求めて        孫烈(調整中) 【報告3】北東アジア経済協力の展望        李 鋼哲(北陸大学、SGRA研究員) 【報告4】東アジア地域協力におけるアセアンの役割        F.マキト(SGRA研究員) 【報告5】東アジアの安全保障と共同体論        木宮正史(東京大学) 【報告6】東アジア協力におけるソフトパワー        韓 準   【パネルディスカッション】「日韓アジア未来フォーラムのこれから」