SGRAの活動

  • 2022.01.13

    エッセイ693:ボルジギン・フスレ「ウランバートル・レポート2021年秋」

    2021年8、9月、私は1年7ヶ月ぶりにモンゴル国に行ってきた。   新型コロナウイルス感染拡大の影響で、モンゴル国は2020年2月中旬より外国人の中国からの入国を禁止し、同月末にはモンゴルと日本、韓国などの国との便の運航が停止した。その後、モンゴル国外務省、保健省は外国人の入国に関する規定を何度も変えた。一方、日本のマスコミにも報道されたように、何度も延期された待望の新ウランバートル国際空港が2021年7月4日に開港し、成田国際空港・日本空港ビルデング・JALUX・三菱商事といった日本企業連合とモンゴル政府の「新ウランバートル国際空港合同会社」による運営が始まった。それにともなって、長さ32キロあまり、6車線(片側3車線)の新空港とウランバートル市内を結ぶ高速道路も開通した。日本――モンゴル間の便が昨年後半に再開されたが、新ウランバートル国際空港の開港により、両国間をつなぐ航空便が増えた。   私は、大韓航空の便で8月25日に成田空港を出発し、当日仁川空港で一泊して、翌26日に新ウランバートル国際空港に着いた。成田空港での審査は非常に厳しく、ワクチン接種証明書、PCR陰性証明書の提示を3回、モンゴルでの最初の7日間の宿泊予約証明書の提示を2回、求められた。また、何回も検温された。仁川空港での乗り継ぎは意外にも何の書類も求められず、何の質問もされずに、すぐ手続きを済ませた。ウランバートル空港に着いたら、「厳しい」というより、待つ時間が長かった。検温、入国手続き、健康に関する質問書の提出、PCR検査、荷物の受け取りという流れだったが、2時間近くかかった。   新空港を出て、高速道路は渋滞がなく(そもそも空港の便数が少なく、新空港――ウランバートル高速道路の利用者が少なかった)、30分でウランバートル市内に入った。しかし、そこからは交通渋滞で、ホテルに着くのに1時間以上もかかった。街では、多くの人がマスクを着けているだけで、それ以外は、2年前のウランバートルと何も変わっていない。   「どういう風にしてモンゴルに行ったのか教えていただきたい」とか、「モンゴルに行きたいと思っていますが、いろいろハードルが高そうで…」とか、私がウランバートルについたと知った日本の知人から、日本での出国、韓国での乗り継ぎ、モンゴル入国に関するさまざまな質問が相次いだ。それを答えるのに毎日深夜までメールのやり取りをして、それは1週間ほどもつづいた。   9月4日、昭和女子大学国際文化研究所と公益財団法人渥美国際交流財団関口グローバル研究会、モンゴル国立大学社会科学学部アジア研究学科の共同主催、渥美国際交流財団、昭和女子大学、モンゴルの歴史と文化研究会、「バルガの遺産」協会の後援で、第14回ウランバートル国際シンポジウム「日本・モンゴル関係の百年――歴史、現状と展望」がモンゴル国立大学2号館4階多目的室で対面とオンライン併用の形で開催された。90名ほどの研究者、学生等が参加した。   2021年は、モンゴル国建国110周年、モンゴル革命百周年、そしてモンゴル民主化40周年、さらに日本のモンゴルに対する政府援助資金協力再開40周年にあたる。百年の日モ交流の成果を振り返り、同時に東アジア各国の国際関係の現状や課題を総括するに当たって、日本・モンゴル関係を基軸に据えることは独自の意義がある。日本、モンゴル、中国等の代表的な研究者を招き、新たに発見された歴史記録や学界の最新の研究成果を踏まえて、歴史の恩讐を乗り越えた日本とモンゴルの友好関係の経験から得られる知見を発見し、その検討を行った。   開会式では、モンゴル国立大学社会科学学部アジア研究科Sh.エグシグ(Sh. Egshig)科長が開会の辞を述べ、渥美国際交流財団関口グローバル研究会今西淳子代表、モンゴル国立大学社会科学学部D. ザヤバータル(D. Zayabaatar)部長が祝辞を述べた。その後、前在モンゴル日本大使清水武則氏、モンゴル科学アカデミー会員・前在キューバモンゴル大使Ts.バトバヤル(Ts.Batbayar)氏、東京外国語大学二木博史名誉教授、ウランバートル大学D.ツェデブ(D.Tsedev)教授、大谷大学松川節教授、モンゴル国立大学J.オランゴア(J.Urangua)教授、日本・モンゴル友好協会窪田新一理事長、モンゴル科学アカデミー歴史と人類学研究所B.ポンサルドラム(B.Punsaldulam)首席研究員など、日本、モンゴル、中国の研究者16名(共同発表も含む)により報告がおこなわれた。オンラインではあるが、今西さんが久しぶりにウランバートル国際シンポジウムに参加されたことは、たいへん注目され、歓迎された。   同シンポジウムについては、モンゴルの『ソヨンボ』などの新聞で報道された。日本では、『日本モンゴル学会紀要』第52号などで同シンポジウムについて紹介される予定である。   シンポジウムを終えて、9月9日から20日にかけて、私は「“チンギス・ハーンの長城”に関する国際共同研究基盤の創成」という研究プロジェクトで、ドルノド県で「チンギス・ハーンの長城」に関する現地調査をおこなった。J.オランゴア教授、モンゴル国立大学社会科学学部考古学学科U.エルデネバト(U.Erdenebat)教授、Ch.アマルトゥブシン(Ch.Amartuvshin)教授、「バルガの遺産」協会Ts.トゥメン(Ts.Tumen)会長などが同調査に参加した。その調査では予想以上の大きな成果をおさめた。その詳細は、別稿にゆずりたい。   モンゴルでのPCR検査の情報の提供など、今回のモンゴル出張において、在モンゴル日本大使館伊藤頼子書記官にはたいへんお世話になった。ここで記して感謝申し上げたい。   シンポジウムと調査旅行の写真   英語版はこちら   <ボルジギン・フスレ BORJIGIN Husel> 昭和女子大学国際学部教授。北京大学哲学部卒。1998年来日。2006年東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了、博士(学術)。東京大学大学院総合文化研究科・日本学術振興会外国人特別研究員、ケンブリッジ大学モンゴル・内陸アジア研究所招聘研究者、昭和女子大学人間文化学部准教授、教授などをへて、現職。主な著書に『中国共産党・国民党の対内モンゴル政策(1945~49年)――民族主義運動と国家建設との相克』(風響社、2011年)、『モンゴル・ロシア・中国の新史料から読み解くハルハ河・ノモンハン戦争』(三元社、2020年)、編著『国際的視野のなかのハルハ河・ノモンハン戦争』(三元社、2016年)、『日本人のモンゴル抑留とその背景』(三元社、2017年)、『ユーラシア草原を生きるモンゴル英雄叙事詩』(三元社、2019年)、『国際的視野のなかの溥儀とその時代』(風響社、2021年)他。       2022年1月13日配信  
  • 2021.12.07

    孫建軍「第15回SGRAチャイナVフォーラム『アジアはいかに作られ、モダンはいかなる変化を生んだのか? -空間アジアの形成と生活世界の近代・現代-』報告」

    11月20日の日本時間16時、北京時間15時に第15回SGRAチャイナV(バーチャル)フォーラムが開催された。昨年に引き続き、2度目のオンライン開催だった。今年のテーマは「アジアはいかに作られ、モダンはいかなる変化を生んだのか?―空間アジアの形成と生活世界の近代・現代―」。講演者である京都大学名誉教授山室信一先生の知名度にコメンテーター清華大学教授の王中忱先生と劉暁峰先生、北京第二外国語学院教授の趙京華先生、そして香港城市大学教授の林少陽先生というパワフルな学者群が加わり、600名を超える大勢の参加者とチャイナフォーラム史上最大の盛会となった。   昨年と同様、北京大学では20名近い在籍生を集め小さな分会場を設けたのに対して、京都の本会場では専門スタジオさながらの、万全の体制の下でフォーラムが始まった。例年通り、主催側の今西常務理事による開会挨拶があり、SGRAと山室先生との学術的なご縁に触れ、テーマの決定に至る経緯が紹介された。続いて、北京日本文化センターの野田昭彦所長のご挨拶は、東京五輪と北京冬季五輪にちなんで「スポーツ」という概念を取り上げ、コロナ禍に置かれた人々がいかに順応し、より豊かな社会生活を作り上げていくことの大切さを訴えた。   山室先生の講演は4つの部分からなる。講演の冒頭で、山室先生は「アジアはいったいどの地域的範囲を指すのか」「モダンとは単なる時間的な区分なのか」という日常的な問題を二つ投げかけた。これらの概念によって生まれた空間認識、時間認識、さらにアイデンティティなどをめぐって参加者に再度思考を巡らすよう促した上で、「なぜアジアやモダンが問題となってきたのか?」、「思想課題としてのアジア――空間論的転回」、「思想課題としてのモダン――時間論的転回とジェンダー論的転回」と論述を進めた。具体的内容はチャイナフォーラムのレポートに譲るが、ジェンダー論に入る直前に時間が来てしまって、端折りながら終了せざるを得なかった。幸いなことに来年のフォーラムで継続するということが決まり、ジェンダー論と最後の「論的転換の三角錐と思詞学」は引き続き堪能できることになった。   コメントの時間で、王中忱先生はアジアを「知の回廊」として捉えることによって、アジアにおける近代的自発性、原動力が解釈できたという山室先生のご見解を称えた上で、「思詞学」への期待を語った。劉暁峰先生はキーワード「アジア」と「モダン」の内在的論理関係を掘り下げる大切さに賛同し、「近代は即ちアジアが命名され、定義される歴史だ」と指摘した。趙京華先生はアジア空間論と言語分析を対象とした思想史研究の斬新な経路に深く触発され、「思想連鎖」よりも「思詞学」の高度な意義を訴えた。林少陽先生は「アジアを見つめる学者と知識人」として、山室先生を高く評価した。緻密で系統的な史料の精読を通じて、複雑に錯綜し、常に暴力に満ちたアジアの近代空間に突入した研究方法は「方法としてのアジア」の研究者と一線を画している。先生のご研究では「アジア」は歴史的なものであり、戦争という重大問題と歴史の中の暴力問題を避けようとしない。アジアは閉鎖的でなく、地球規模の関係性の中に存在している。そういう意味で、アジアの未来を解読できる山室先生の研究の重要性を示唆した。   「知の回廊」「思想連鎖」「思想断鎖」「競争しつつ共存」「論的転回の三角錐」…山室先生がもたらしたブレインストーミングは来年まで続くものと思われる。そして、北京大学日本語学科の学生にとって、もう一つ幸せなことがあった。先生の新著『モダン語の世界へ:流行語で探る近現代』の読書会が行われ、感想文を書いた4名の学生それぞれに先生からの手紙が届いたのだった。学術的交流だけでなく、皆さんを励ます先生の言葉がいつまでたっても頭から離れない。   当日の写真   アンケート集計結果     <孫建軍(そん・けんぐん)SUN Jianjun> 1990年北京国際関係学院卒業、1993年北京日本学研究センター修士課程修了、2003年国際基督教大学にてPh.D.取得。北京語言大学講師、国際日本文化研究センター講師を経て、北京大学外国語学院日本言語文化系副教授。専攻は近代日中語彙交流史。著書『近代日本語の起源―幕末明治初期につくられた新漢語』(早稲田大学出版部)。
  • 2021.11.09

    レポート第95号「岐路に立つ日韓関係: これからどうすればいいか」

    SGRAレポート第95号(日韓合冊)   第19回日韓アジア未来フォーラム 「岐路に立つ日韓関係: これからどうすればいいか」 2021年11月17日発行     <フォーラムの趣旨> 歴史、経済、安保がリンケージされた複合方程式をうまく解かなければ、日韓関係は破局を免れないかもしれないといわれて久しい。日韓相互のファティーグ(疲れ)は限界に達し、日韓関係における復元力の低下、日米韓の三角関係の亀裂を憂慮する雰囲気は改善の兆しを見せていない。尖鋭な対立が続いている強制徴用(徴用工)及び慰安婦問題に関連し、韓国政府は日本とともに解決策を模索する方針であるが、日本政府は日本側に受け入れられる解決策をまず韓国が提示すべきであるという立場である。なかなか接点を見つけることが難しい現状である。   これからどうすればいいか。果たして現状を打開するためには何をすべきなのか。日韓両国政府は何をすべきで、日韓関係の研究者には何ができるか。本フォーラムでは日韓関係の専門家を日韓それぞれ4名ずつ招き、これらの問題について胸襟を開いて議論してみたいと考え、日韓の基調報告をベースに討論と質疑応答を行った。   <もくじ> 第1部 講演および指定討論 【講演1】 岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか----日本の立場から 小此木 政夫(慶應義塾大学名誉教授)   【指定討論1】 小此木先生の講演を受けて 沈 揆先(ソウル大学日本研究所客員研究員)   【講演2】 岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか---- 韓国の立場から 李 元徳(国民大学教授)   【指定討論2】 李元徳先生の講演を受けて 伊集院 敦(日本経済研究センター首席研究員)   第2部自由討論 討論者 金 志英(漢陽大学副教授)  西野純也(慶應義塾大学教授) 小針 進(静岡県立大学教授)  朴 栄濬(国防大学教授)   第3部 質疑応答  司会アシスタント  金 崇培(忠南大学招聘教授)     あとがきにかえて  金 雄煕(仁荷大学教授)   講師略歴 
  • 2021.10.28

    李鋼哲「第67回SGRAフォーラム『誰一人取り残さない:如何にパンデミックを乗り越えSDGs実現に向かうか―世界各地からの現状報告―』報告」

    2021年9月23日午後、第67回SGRAフォーラムが渥美財団ホールおよびオンライン(ZOOM)で開催された。テーマは「誰一人取り残さない:如何にパンデミックを乗り越えSDGs実現に向かうか―世界各地からの現状報告―」で、SGRA構想アジアチームにより企画され、渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)が主催、一般社団法人東北亜未来構想研究所(INAF)の共催で行われた。国内外から約80名がオンラインなどで参加し、国連が掲げるSDGsの2030年目標達成に向けて世界各地からの報告があった。   総合司会はロスティカ・ミヤさん(大東文化大学講師、SGRA構想アジアチームメンバー)が務めた。冒頭に今西淳子SGRA代表より開会の挨拶があり、SGRAとINAFについて紹介、共催に至った経緯を説明した。   引き続き、李鋼哲がモデレーターを務め、第1部は基調講演、第2部は世界各地の報告5本、そして第3部は指定討論およびパネル・ディスカッションが順次行われ、最後に渥美国際交流財団理事・INAF理事長の平川均先生が総括した。   基調講演は、佐渡友哲先生(さどとも・てつ:日本大学大学院講師、INAF理事)の「SDGs時代における私たちの意識改革」で、会場の渥美財団ホールで行われた。先生は、国際関係論が専門で、北東アジア学会会長など多くの要職を歴任され、2019年12月には『SDGs時代の平和学』(単著、法律文化社)を出版された。冒頭で「いま私たちに求められていることは、私たちが『持続可能ではない世界』に住んでいることを知り、そのことを強く意識することであり、『知る→意識する→考える→行動する』というプロセスが重要である」と強調。かつてゼミ生を引率してインドを始め発展途上国で現地調査を行った実体験と結果を踏まえながら、「持続可能な発展」目標と「持続可能ではない世界」の現状について明晰に分析し、「SDGs達成のためには、私たちの現代文明が行き着いた大規模化・集中化・グローバル化という仕組みを見直し、循環型社会を強化することであることに気づかなければならない」と訴えた。   SDGs時代の教員に求められていることは「持続可能な社会の創り手」を育成すること、この「創り手」とは経済成長に貢献する、いわゆるグローバル人材(人財)ではなく、いま生活しているこの社会・世界が持続不可能であることを認識し、SDGsの理念を理解して、地球的諸問題の解決へ向けて行動を起こす地球市民(global_citizen)のことである。これはSGRAが設立当初から提唱する「良き地球市民」と共通しており、その中身についての重要な示唆点を提示してくれた。   休憩を挟んで第2部では、5本の現地報告があった。 第1報告は「フィリピンにおけるSDGs」について、フェルディナンド・マキト・SGRA大先輩(フィリピン大学ロスバニョス校准教授)により、オンラインで行われた。フィリピンはパンデミックによりSDGsへの取り組みが大幅に妨げられており、「COVID-19で死ななくても、仕事が無くて飢え死んでしまうだろう」という生々しい現場の声を伝えた。しかし、明るい兆しも見えてきており、(1)国内農業の重要性の見直し、(2)多くの有力な民間企業が株主だけではなく社会的役割も重要であるという認識が芽生えていること、(3)大学は学術的な実績だけではなく、社会へのインパクトも評価されつつあるという、とても示唆に富む話であった。   第2報告は「ハンガリーにおけるSDGs」というテーマで、杜世鑫さん(と・せきん:INAF研究員、グローバル国際関係研究所研究員)により行われた。東欧諸国の中でハンガリーのSDGs達成度は高く(世界で第25位)、「水資源の開発」をめぐるハンガリーと中国との協力関係を事例に取り上げ、持続可能な開発における先導的な役割を果たしていることを紹介した。   第3報告は、「中東・北アフリカ地域におけるSDGs」をテーマに、ダルウィッシュ・ホサムさん(アジア研究所研究員、SGRAメンバー)により行われた。この地域は過去50年間、平均寿命の伸び率が他のどの地域よりも高く、保健、教育、所得という3つの人間開発指標(HDI)と生活の多様な側面で大幅に改善されていることを紹介すると同時に、2020年の「アラブ持続可能な開発報告書」によれば、この地域では、2030年までにSDGsを達成できる国はないと結論づけられている現実についても紹介し、その原因について分析した。   第4報告は、「朝鮮におけるSDGs」をテーマに李鋼哲が報告した。日本や国際社会であまり知られていない朝鮮の社会と経済開発の実態について分析し、開発途上国でありながら社会主義体制を維持する朝鮮社会の特質について認識した上でSDGsの達成度を評価する必要性を強調し、経済的な困窮の中でも国連と連携しながらSDGsの実現に向けて取り組んでいる現状を紹介した。   第5報告は、「アフリカにおけるSDGs」というテーマで、モハメド・オマル・アブディンさん(参天製薬㈱、SGRAメンバー)が報告した。スーダン出身のアブディンさんは、2019年4月に30年間に及んだ独裁体制がやっと崩壊し、民主化に向けて暫定政府が発足したが、半年後にパンデミックが猛威を振るい始めた状況のなかで、国境封鎖やロック・ダウンを含む厳しい非常事態宣言が行われ、スーダン経済に及ぼした影響について紹介し、収入を保障できない貧困国における感染対策実行の難しさについて述べた。   以上の報告に対し、羽場久美子先生(神奈川大学教授、INAF副理事長)と三村光弘先生(ERINA主任研究員、INAF理事、北東アジア学会会長)がコメントした。続いて基調講演者と報告者全員によるパネル・ディスカッションが行われ、SDGs実現に向けての現状およびパンデミック対策や問題点など重要な論点について白熱した議論が交わされた。   最後に、平川均先生が総括した。パンデミックによる世界の現状について、豊富なデータによってワクチン接種における先進国と開発途上国の格差問題について取り上げ、グテ―レス国連事務総長とテドロス世界保健機関(WHO)事務局長の訴えを紹介して締めくくった。   当日の写真   アンケート集計   英語版はこちら   <李鋼哲(り・こうてつ)LI Kotetsu> 中国延辺朝鮮族自治州生まれの朝鮮族。1985年中央民族大学(中国)哲学科卒業後、中共北京市委党校大学院で共産党研究、その後中華全国総工会(労働組合総会)傘下の中国労働関係大学で専任講師。91年来日、立教大学大学院経済学研究科博士課程単位修得済み中退後、2001年より東京財団研究員、名古屋大学国際経済動態研究所研究員、内閣府傘下総合研究開発機構(NIRA)主任研究員を経て、06年より北陸大学教授に就任。2020年10月より、一般社団法人・東北亜未来構想研究所(INAF)を有志たちと共に創設、所長に就任。日中韓+朝露蒙など多言語能力を生かして東北アジアを檜の舞台に研究・交流活動を行う。SGRA研究員および「構想アジア」チーム代表。近著に『アジア共同体の創成プロセス』(編著、2015年、日本僑報社)、その他書籍・論文や新聞コラム・エッセイ多数。     2021年10月28日配信
  • 2021.10.14

    第15回SGRAチャイナVフォーラム「アジアはいかに作られ、モダンはいかなる変化を生んだのか? -空間アジアの形成と生活世界の近代・現代-」へのお誘い

    下記の通りSGRAチャイナVフォーラムをオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください   テーマ:「アジアはいかに作られ、モダンはいかなる変化を生んだのか? -空間アジアの形成と生活世界の近代・現代-」 日時:2021年11月20日(土)午後3時~4時30分(北京時間)/午後4時~5時30分(京都時間) 方法:Zoom Webinarによる/日中同時通訳付き 共同主催: 渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 北京大学日本文化研究所 清華東亜文化講座 後援:国際交流基金北京日本文化センター   ※参加申込(下記URLより登録してください) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_oefAUZ69QMaxwXm1GvLrjw お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)     ■フォーラムの趣旨 山室信一先生(京都大学名誉教授)の『アジアの思想水脈―空間思想学の試み』(人文書院、2017年。徐静波・訳『亚洲的思想史脉——空间思想学的尝试』上海交通大学出版社・近刊予定)と『モダン語の世界へ:流行語で探る近現代』(岩波新書、2021年)などを手がかりとして、「アジアという空間が翻訳・留学などによっていかに作られたのか?」さらに、その時空間において「modernやglobalizationなどがいかなる生活様式・思考様式の変容をもたらしたのか?」を概念語や日常語の視点からいかに捉えるのかを検討する。   ■プログラム 総合司会孫 建軍(北京大学日本言語文化学部) 【開会挨拶】今西淳子(渥美国際交流財団) 【挨拶】野田昭彦(国際交流基金北京日本文化センター) 【講演】山室信一(京都大学名誉教授) 「アジアはいかに作られ、モダンはいかなる変化を生んだのか?-空間アジアの形成と生活世界の近代・現代-」 【コメント】 王 中忱(清華大学中国文学科) 劉 暁峰(清華大学歴史系) 趙 京華(北京第二外国語学院) 林 少陽(香港城市大学中文及歴史学科) 【閉会挨拶】王 中忱(清華大学中国文学科・清華東亜文化講座)   ■講師からのメッセージ 討議では、まずアジアというヨーロッパから与えられた空間概念が、いかにして当該空間に住む人々によって自らのアイデンティティーの対象となっていったのか、を翻訳や留学などによる思想連鎖の中で生まれた意義について考えたいと思います。そこではローカル・ナショナル・リージョナル・グローバルという4つの空間層と思想の存在態様をいかに関連させて捉えるか、という問題が重要になってきます。   次に、そうして生まれたアジアという空間の中で、人々の生活様式はどのように変容していったのか、を近代と現代という「二つのモダン」の次元で検討したいと思います。そこではモダン・ガールが髪や服装の長短の変化と関連して毛断嬢や裳短嬢などと表記されるなど、どのようなモダン語などで表象され、それが写真や絵画・漫画などでいかに視覚化されたのか、が重要な鍵となります。   こうした議論を通して、アジアにとってモダンやグローバリゼーションさらにはアメリカニズムとは何だったのか、を検討したいと思います。その討議においては、単に思想や研究の次元の問題に限らず、広く社会生活のありかたとしてのway of lifeを考え直すための意見交換ができればと願っております。ここにはウイズ・コロナ時代におけるアジアとそこでの生活様式・思考様式を展望することも含まれるはずです。   今回の討議では、空間と社会生活と言葉(概念や流行語)という3つの次元をいかに結びつけていくのか、という方法論を模索するなかで「思想連鎖」や「思詞学」という研究視角を提言するに至った経緯についても触れ、忌憚のない御批判を戴きたいと切望しています。   ※プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。 日本語版 中国語版  
  • 2021.10.12

    レポート第94号「第5 回 日本・中国・韓国における 国史たちの対話の可能性― 19 世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」

    SGRAレポート第94号 中国語版 韓国語版   第65回SGRA-Vフォーラム講演録 第5回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 「19 世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」 日本語版:2021年10月8日発行 中国語版・韓国語版:2021年12月15日発行     <フォーラムの趣旨> 東アジア地域で持続的に続く交流の歴史の中で、感染症の発生と流行が日中韓3国に及ぼした影響と社会的対応の様相を検討する。感染症はただ一国にとどまらず、頻繁に往来した商人たちや使節などに因って拡散され、大きな人的被害を招いた。感染症が流行する中、その被害を減らすために、各国なりに様々な対処方法を模索した。これを通じて感染症に対する治療方法のような医学知識の共有や防疫のための取り締まり規則の制定などが行われた。この問題について各国がどのように認識し、如何に対応策を用意したかを検証し、さらに各国の相互協力とその限界について考える。     <もくじ> 第1セッション [座長:村 和明(東京大学)] 【歓迎挨拶】 はじめに 今西淳子(渥美国際交流財団)   【開会挨拶】 第5回 円卓会議開催にあたって 趙 珖(韓国国史編纂委員会)   【発表論文1】 開港期朝鮮におけるコレラ流行と開港場検疫 朴 漢珉(東北亜歴史財団)   【発表論文2】 19 世紀後半日本における感染症対策と開港場 市川智生(沖縄国際大学)   【発表論文3】 中国衛生防疫メカニズムの近代的発展と性格 余 新忠(南開大学)   【指定討論】 [指定討論1]発表者へのコメント 金 賢善(明知大学) [指定討論2]発表者へのコメント 塩出浩之(京都大学) [指定討論3]発表者へのコメント 秦 方(首都師範大学)     第2 セッション [座長:南 基正(ソウル大学)] 自由討論 論点整理:劉 傑(早稲田大学)   自由討論:パネリスト(国史対話プロジェクト参加者)   総  括:宋 志勇(南開大学)   コメント:明石 康(元国連事務次長)   閉会挨拶:三谷 博(跡見学園女子大学)     事前コメント   あとがきにかえて 金キョンテ、金 賢善、平山 昇   著者略歴    参加者リスト
  • 2021.09.28

    金キョンテ「第6回国史たちの対話『人の移動と境界・権力・民族』レポート」

    今回の第6回「国史たちの対話」は、2021年1月に続き7ヶ月ぶりだった。近くになった距離はそう遠くならない。しかし、より頻繁に会えば会うほど親密さが増すことは言うまでもない。今回は皆が見慣れた顔であいさつを交わすことができた。   今回は一つの共通のテーマに対して一人の発表者が問題提起をし、複数の人がそれに対して討論をする方式だった。テーマは皆が話せる「人の移動」。これは一般的な意味でも学術的な意味でも議論が燃えるテーマだ。   円滑なオンライン会議の進行のために尽力してくださった事務局と通訳の皆さんに「ご苦労様でした」と、真っ先にお礼を申し上げたい。9月11日午前10時ちょうど、李恩民先生の開会挨拶から「対話」が始まった。村和明先生は6回目を迎える会議の経緯と趣旨を説明した。討論の時間が足りず、毎回心残りがあった経験から、今回は討論に重点を置く方式を選んだという。ただ、この実験的な試みがうまくできるかどうかは参加者にかかっているとの懸念があった。結果的に実験は成功だったと思う。     塩出浩之先生の問題提起は「人の移動から見る近代日本:国境・国籍・民族」というタイトルだった。歴史の研究は長い間、国と民族の影響を受けてきた。その枠から抜け出そうとする試みは多かったが、歴史研究の主流になるのは難しい。多くの見解を包容する方法論が必要な時だ。塩出先生が多様な角度から紹介してくれた事例は、これまで思いもよらなかったことを想起させた。   移動の自由というのは一体何か、何が人の移動を規定するか。先生は「大日本帝国」時代の朝鮮人と沖縄人の移動事例を挙げた。また、人の移動が何をもたらすか、何を作るかに主眼を置き、ハワイにおける中国、日本の移民者間の関係も紹介した。要するに、国が人の移動に及ぼす強い影響力についての悩みを投げかける発表であり、中国や韓国の研究者に、国史の中で人の移動をどのように扱っているのかを問う問題提起でもあった。生々しい写真を通じて蘇った人々の人生で一つの映画を見ているような感じだった。   これに対して、韓中日各国から2人ずつの指定討論者がコメントした。趙阮先生は経済的、政治的要因によるモンゴル帝国時代の移動を紹介。人々の移動が活発になる中で、帝国の中で異文化圏から来た人々の競争もあったということ、そしてこれらの移動がその後の歴史に与えた影響を指摘した。   張佳先生も同様に、中国史の移動を例に挙げた。戦争がもたらした移動とともに、政府主導の強制移動と政府が介入しない経済的移動との比較を行った。そして人々が様々な規制にもかかわらず、自発的に移動を続け、暮らしを続けた姿を見せてくれた。   榎本渉先生は古代と中世日本の具体的な事例を紹介した。古代日本は出入りの管理を厳密に行っていたのに比べ中世は国家の管理がなく、このため移動しようとする人が直接パスポートの役割を果たす文書を準備したという。国家が人の移動に介入しようとする試みの時間的・空間的多様性をうかがわせた討論だった。今のパンデミックの状況の中で見ると、移動の停止がオンラインでより活発な接触を引き出したような気もする。   韓成敏先生は近代韓国人の移動を3つに分けた。第1に生計のための半自発的な移動、第2に国家政策的移民、第3に植民地化以後の強制動員だ。さらに、弱者に対する愛情を盛り込んだ「トランスナショナル」観点の導入を提案し、移住先に住まなければならなかったディアスポラ(民族離散)の問題を勘案すると、移住者集団間の競争は特殊なものかも知れないという意見を提示した。   秦方先生はジェームズ・スコットの「ゾミア」(日本語訳では「脱国家の世界史」)を紹介しながら、中心と辺境、辺境と境界外のバランス、そしてその間を行き交った人々に対する関心の必要性を提起した。移動に対する国の管理とともにその裏面の姿も同時に見なければならないだろう。先生は自分のフィールド研究を簡単に紹介し、パンデミック以後変化したり、あるいは変化していなかったりする境界にいる人々の話を聞かせてくれた。   大久保健晴先生は、人の移動を別の視点から眺めた。近代化を推進していた国に雇用された外国人、南洋群島に行った日本人の原住民認識の事例だった。人々の移動であるだけに、様々な事例、反対の例を調べることがとても重要だろう。主権国家から離れていく難民はどう見えるかも重要な問題であることを確認した。一方、東アジアを越えて他の地域に対する見解も共有しようという意見を提起された。   以上の指定討論を通じて異なる時代、異なる地域で人の移動がもたらされる政治、経済的理由を探ることができた。歴史において国家の管理方式と理由、それでもそれを越えようとする人々の躍動的な姿。短い時間だったが視野が広がった。同一のテーマについて、自分の専攻分野と関連して短くて簡明に問題意識を語る形式は、効用性があると思った。   指定討論者が参加する自由討論では南基正先生が司会を務めた。ここでは移動の「自発性と非自発性」の区分が議論の中心で、塩出先生は、「個人が様々な目的で移動することを見せるのが、今回の問題提起だった」と述べた。しかし、その移動を左右するものの一つが国家であるという点を忘れてはならないという立場だ。国家と個人は一方的ではなく緊張関係であることを改めて確認することができた。移動と移住を分けるかどうかの問題についても議論があり、民族とはネーションかエスニック・グループか、エスニック・グループも歴史の中で作られたのではないか、などの議論が続いた。   3、4セッションはパネリストが参加した自由討論で、議論の幅がより広がった。まず、劉傑先生が論点を整理した。ポイントは何が移動を規定するか、移動は何をもたらすか、各国の国史教育が移動の問題をどのように扱っているか、今、人の移動を考えることの意味など。これによって自由討論に先立って考え方を整理することができた。   多様で細かい専攻分野を持つ研究者たちの質問と論点提起は、対話をさらに深めた。「人の移動を考える時、人類に普遍的に影響を与えた宗教に焦点を当ててはどうだろうか。忘れられた移動にも関心を持つべきであり、一般の人々と問題意識を共有する必要がある」(平山昇)。「自発と非自発は大差ないかも知れない。『中動態』という概念、すなわち自発的ではないが環境的にそうせざるを得ない状況がある」(大川真)。「人の移動を基軸としてグローバルヒストリーを描くということは重要な試みである。今回のテーマにより、古代~近代国家社会というものをより客観的に見ることができるようになった」(浅野豊美)。   「移動した移住民が現地との関係で生じる問題、移住2世代たちのアイデンティティ問題」(南基玄)。「移動と労働力の密接な関係」(佐藤雄基)。「人の移動に密接に関わる感染症が現代社会において自国民保護と矛盾をなす場面で感じた不思議」(市川智生)などの指摘が記憶に残った。また、本セッションの司会者であった鄭淳一、彭浩先生は専攻分野である日本と中国の旅券、戸籍の事例を詳しく紹介し、時代の理解に大きく役に立った。韓国の事例が十分に紹介されなかったのは残念だが、これは韓国史専攻者である筆者の責任でもある。   討論の後、宋志勇、三谷博先生の総括、趙珖先生の閉会挨拶が続いた。討論をもっと展開したいという発言が聞かれるとともに、この会議が充実していたことには皆が同意した。三谷先生は、多くの参加者が年長の世代が思いもよらなかった研究や発表もしているという点で明るい東アジアの未来を感じたと語り、こうして出会った仲の良い友達と一緒にこれからもこの対話を導いてほしいという希望を述べた。   今回の対話で、多様な時代と分類史を研究する研究者たちが集まり、共通のテーマを語るということのすごさに気づいた。問題提起は議論の幅を広げ、知的刺激は新たな疑問を引き出した。点から線へ、線から面へと広がることになるだろう。討論は終わらないものだ。9月11日の討論時間は終わったが、3国間の対話は終わっていないに違いない。国史たちの対話が続く一方で、研究者たちが自分の所属する場所で「対話の場」を広げることもできるだろう。   当日の写真 アンケート集計   ■ 金キョンテ(キム・キョンテ)Kim Kyongtae 韓国浦項市生まれ。韓国史専攻。高麗大学韓国史学科博士課程中の2010年~2011年、東京大学大学院日本文化研究専攻(日本史学)外国人研究生。2014年高麗大学韓国史学科で博士号取得。韓国学中央研究院研究員、高麗大学人文力量強化事業団研究教授を経て、全南大学歴史敎育科助教授。戦争の破壊的な本性と戦争が荒らした土地にも必ず生まれ育つ平和の歴史に関心を持っている。主な著作:壬辰戦争期講和交渉研究(博士論文)   参照: 中国語版レポート 韓国語版レポート 三谷博「コロナ禍下に国史対話は続く 国境と世代を越えて」       2021年10月14日配信    
  • 2021.09.15

    第6回アジア未来会議プレカンファランス「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」報告

    前回の第5回アジア未来会議は、2020年1月9日から13日の4日間、21ヵ国から294名の登録参加者を得てフィリピンで開催されました。12日午後、スタディツアーの1グループがタガイタイ観光を楽しんでいたまさにその時タール火山が噴火し、火山灰は会議場となったマニラ市南郊のアラバンにも達しました。帰国日、マニラ国際空港では欠航や遅れが相次ぎ、200名以上の参加者に影響を及ぼし、70名以上が会議場のホテルで延泊、それ以上が空港ターミナルや市内のホテルで長時間の待機を余儀なくされました。当時は大変な災難に遭遇したと思っていましたが、全世界を震撼させた新型コロナウイルスまん延防止のための武漢都市封鎖が1月23日でしたらから、今から思えば、この時に国際会議を開催できたのは運が良かったというべきでしょう。   第6回アジア未来会議は、当初、2021年8月に台北市で開催する予定でした。テーマは「アジアを創る、未来へ繋ぐ―みんなの問題、みんなで解決」と決まり、共催の中国文化大学の徐興慶学長がマニラ会議の閉会式で台湾開催を宣言、2020年2月24日には渥美財団の担当チームが訪台し、会場、宿泊所、宴会場を視察して文化大学で最初の会議を開催しました。その頃には殆どの人がマスクを着用し、有名な台湾のマスク販売管理システムも実施されていましたが、まさかその後台湾と日本の往来が全くできなくなり、それが1年半以上も続き、未だ終息の目途もたたない状況に陥るとは誰も予想だにしませんでした。   その後、コロナ禍中で発達したオンライン会議により、中国文化大学と渥美財団は定期的に連絡を取り合い、文化大学だけでなく他大学の先生方にもご協力いただく台湾実行委員会が立ち上がり、準備が始まりました。感染防止優等生の台湾では、300人規模の会議開催に問題はないと思われましたが、2021年8月に海外の参加者が入国するのは難しいことが予想され、1年延期を12月の実行委員会で決定し、ホームページや一斉メールなどで参加者に伝えました。既に優秀論文賞と奨学金の選考対象となる論文募集(AFC#6A)が締め切られていたので、その選考は予定通りに進め、2021年には再度、論文募集と選考(AFC#6B)を実施することにしました。優秀論文集も2回発行することになります。また、台湾実行委員会による台湾特別優秀論文賞も設立されました。   さらに、2021年8月にプレカンファランスを開催することを決めました。第6回アジア未来会議の会場となる中国文化大学で、午前中は500人規模の基調講演とシンポジウムを開催し、台湾の会場と世界各地からの参加者をオンラインで結ぶというハイブリッド形式です。午後は台湾特別優秀論文口頭発表は対面で、AFC優秀論文口頭発表はオンラインで計画されました。しかしながら、2021年5月に台湾でも感染が急拡大、1日の新規感染者数が500人を超える日もあり、5月19日から台湾全域で感染警戒レベルの厳しい感染措置が取られ、住民の生活は一変しました。台湾の大学では夏休みの間に外部者を招待するイベントの開催が難しくなりました。   そこで、プレカンファランスは完全オンライン形式へ変更することにしました。諸々検討した結果、東京で渥美財団がホストするZoomのプラットフォームで開催し、午前中の基調講演とシンポジウムは同時通訳設備機能のあるZoomウェビナー、午後の優秀論文の口頭発表はブレイクアウトルーム機能を利用できるZoom会議を利用することに決めました。渥美財団では2020年6月以来、全ての交流事業をオンラインあるいはハイブリッド形式で進めてきたので、失敗も含めてかなりの経験を積んでいましたが、このような規模の企画は初めてです。   接続テストは、ご挨拶いただく先生方、講師と討論者5名、同時通訳の会場となる中国文化大学、中英、中日の同時通訳者4名、AFC優秀論文口頭発表者20名、台湾特別優秀論文口頭発表者5名と4日間かけて実施しました。当日、先生方には1時間前には接続していただきました。午前10時から午後4時30分までの6時間半の間、大きな技術的トラブルがなかったことが一番安堵したことです。   *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *   2021年8月26日(木)台湾時間午前10時、第6回アジア未来会議プレカンファランスが定刻通りに中国文化大学の林孟蓉先生の司会で始まりました。台湾実行委員会によるプロモーションのおかげで、Zoomウェビナーへの参加登録は15カ国から669名、その半数が台湾居住者です。最初にアジア未来会議の明石康会長から開会の挨拶をいただきました。   基調講演は中央研究院の呉玉山院士による「アジアは何処に向かうのか?:疾病管理が政治に巻き込まれた時」というタイトルの非常に時宜を得た刺激的なお話でした。呉先生は「流行性疾病を管理することは国際的な協力行動を刺激するはずだったのに、新型コロナウイルスのパンデミックでは、疾病の起源を巡る責任のなすり合い、ワクチン・ナショナリズム・ワクチン外交など一連の国際紛争を経験した。紛争によって協力関係が抑制される現象は、パンデミック前から存在した国際システムの中の新冷戦と関係している。新冷戦は国際間における大国の権力の移り変わりと経済危機に起因する右派ポピュリズムの台頭に根源があり、その勢いは既に根深く、紛争の渦に吸収されてしまっている」と分析しました。   そして「どうすればこの局面の一層の悪化を阻止できるのか。まず防疫を国際政治競争から切り離して独立した領域とし、新たな冷戦に感染させないこと、第2に防疫とその他の協力可能なセクターが一致して、政治的対立の融和をはかること、第3は抜本的措置で、新たな冷戦が深化し続けるのを阻止することである。これらがうまくいかなければ、深刻な結果となるだろう」と警鐘を鳴らしました。   第2部のシンポジウムでは、徐興慶・文化大学学長がモデレーターを務め、松田康博・東京大学教授、李明・政治大学教授、ケヴィン・ヴィラノバ・フィリピン大学准教授、徐遵慈・中華経済研究院台湾東南アジア国家協会研究センター主任がコメントし、ワクチンパスポートの難しさ、感染抑え込みに成功した台湾のユニークな立場、東南アジア諸国連合(ASEAN)が中心となった対策の必要性、本当の負け組は発展途上国であることなどが提起されました。講演概要と発表資料はプロシーディングスをご覧ください。   昼食後、台湾時間午後1時から第3部の優秀論文賞授与式と口頭発表が始まりました。授与式の司会は元渥美奨学生のソンヤ・デールさんです。同時通訳はなく英語だけで進められましたが、チャットでの「おしゃべり」が奨励され、午前中とは一変して和やかな雰囲気になりました。明石会長に再びお出ましいただき、受賞者への祝辞が述べられ、平川均・アジア未来会議学術委員長から選考の方針と経緯についての説明がありました。   その後、3つの分科会室(ブレイクアウトルーム)で6セッションに分かれて20本のAFC#6A優秀論文と5本の台湾特別優秀論文の口頭発表が行われました。各セッションでは2人の座長が進行を務め、4人の発表(台湾特別優秀論文のセッションは5人)が行われました。アジア未来会議は国際的かつ学際的なアプローチを目指しており、各セッションは発表者が投稿時に選んだ「環境」「イノベーション」「平和」「教育」などのトピックに基づいて調整され、学術学会とは趣を異にした多角的で活発な議論が展開されました。どの部屋にも20~30名が参加し、全体で100名を超える盛況でした。   優秀論文は学術委員会によって事前に選考されています。2020年9月20日までに発表要旨、2021年3月31日までにフルペーパーがオンライン投稿された112本の論文を12のグループに分け、55名の審査員によって査読しました。ひとつのグループを5名の審査員が、次の7つの指針に沿って審査しました。投稿規定に反するものはマイナス点をつけました。(1)論文のテーマが会議のテーマ「アジアを創る、未来へ繋ぐ-みんなの問題、みんなで解決」と適合しているか(2)論文の構成が分かりやすいか(3)明確に説明され説得力があるか(4)独自性(5)国際性(6)学際性(7)総合的にみて推薦するか。各審査員はグループの中の9~10本の論文から2本を推薦し、集計の結果、上位20本を優秀論文と決定しました。   AFC#6A優秀論文リスト   台湾実行委員会による台湾特別優秀論文も同じプロセスで選考されました。   台湾特別優秀論文リスト   台湾時間午後4時20分に閉会式が始まりました。今西淳子・アジア未来会議実行委員長の簡単な報告のあと、陳姿菁・開南大学准教授が台湾ラクーン(渥美奨学生同窓会)を代表して、渥美財団とアジア未来会議の紹介をした後、2022年8月26日から30日にかけて台北市で開催する第6回アジア未来会議へ招待しました。残念ながらオンライン会議なので懇親会はできませんでしたが、参加者は来年台北市での再会を誓って、初めてオンラインで開催した第6回アジア未来会議プレカンファランスは成功裡に終了しました。   第6回アジア未来会議プレカンファランス「ポストコロナ時代における国際関係―台湾から見るアジア」は、(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)主催、中国文化大学の共催、(公財)日本台湾交流協会の後援、(公財)高橋産業経済研究財団の助成、台湾大学日本研究センターと台中科技大学日本研究センターの協力、中鹿営造(股)と日商良基注入営造(股)の協賛をいただきました。   運営にあたっては、台湾実行委員会と協力しながら、台湾出身の元渥美奨学生が中心となったAFC実行委員会と、世界各地の元渥美奨学生とフィリピンSGRAのメンバーによるAFC学術審査委員会が組織され、企画・実施、優秀賞の選考、写真撮影まであらゆる業務を担当しました。午前中の基調講演とシンポジウムは台湾実行委員会、午後の優秀論文の口頭発表と閉会式はAFC実行委員会が担当しました。   500名を超える参加者の皆さん、開催のためにご支援くださった皆さん、さまざまな面でボランティアで協力くださった皆さんのおかげで、第6回アジア未来会議プレカンファランスを成功裡に実施することができましたことを、心より感謝申し上げます。   アジア未来会議は、国際的かつ学際的なアプローチを基本として、グローバル化に伴う様々な問題を、科学技術の開発や経営分析だけでなく、環境、政治、教育、芸術、文化など、社会のあらゆる次元において多面的に検討する場を提供することを目指しています。SGRA会員だけでなく、日本に留学し世界各地の大学等で教鞭をとっている研究者、その学生、そして日本やアジアに興味のある若手・中堅の研究者が一堂に集まり、知識・情報・意見・文化等の交流・発表の場を提供するために、趣旨に賛同してくださる諸機関のご支援とご協力を得て開催するものです。   第6回アジア未来会議は、2022年8月26日(金)から30日(火)まで、台湾の中国文化大学と共催で、台北市で開催します。皆様のご支援、ご協力、そして何よりもご参加をお待ちしています。   第6回アジア未来会議の写真(ハイライト)   第6回アジア未来会議のフィードバック集計   第6回アジア未来会議プレカンファランスチラシ   <今西淳子(いまにし・じゅんこ)Junko_Imanishi> 学習院大学文学部卒。コロンビア大学人文科学大学院修士。1994年の設立時より(公財)渥美国際交流財団に常務理事として関わる。留学生の経済的支援だけでなく国際的かつ学際的研究者ネットワークの構築を目指し、2000年に「関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)」を設立。2013年より隔年でアジア未来会議を開催し実行委員長を務める。     2021年9月16日配信  
  • 2021.09.01

    第67回SGRAフォーラム「誰一人取り残さない」へのお誘い

    下記の通り、第67回SGRAフォーラムをオンラインで開催します。一般視聴者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式ですので、お気軽にご参加ください。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。 テーマ:「誰一人取り残さない:如何にパンデミックを乗り越えSDGs実現に向かうか―世界各地からの現状報告―」 日 時:2021年9月23 日(木・祝)午後2時~4時30分 方 法:オンライン(Zoomウェビナー)開催 言 語:日本語 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 申 込:ここからお申し込みください お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)   ■フォーラムの趣旨 SDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)は、2015 年 9 月の国連サミットで、国連加盟193 カ国が採択した、2016 年から 30 年までの 15 年間で持続可能で、より良い世界を目指すために掲げた目標。国連では SDGs を通じて、貧困に終止符を打ち、地球を保護してすべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけている。具体的には、17 のゴール(なりたい姿)・169 のターゲット(具体的な達成基準)から構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。SDGs に取り組むのは、国連加盟国の各国政府だけではなく、企業、NPO、NGO などの各種団体、地方自治体、教育機関、市民社会、そして個人などすべての主体がそれぞれの立場から取り組んでいくことが求められている。 2020 年は SDGs の 5 年目になる年であったが、新型コロナウイルスによるパンデミックが世界を席巻し、世界各国の経済や社会生活に多大な打撃を与え、世界大戦に匹敵する死傷者を出す悲惨な状況になってしまった。世界では先進国を中心にワクチン開発・供給などで取り組んで来ているが、多くの発展途上国は、資本主義の生存競争のなかで、パンデミックの対応に困難を極める状況に置かれているのが現状である。本フォーラムは、SDGs の基本理念と目標について理解するとともに、いくつかの国をケーススタディとしてとりあげ、パンデミックを如何に克服して「誰一人取り残さない」SDGs の実現に対応すべきかについて議論を交わすことを通じて、「地球市民」を目指す市民の意識を高め、一人一人が SDGs に主体的に取り組むアクションを起こすきっかけを提供することを目的とする。 ◇プログラム: 総合司会:ロスティカ・ミヤ(大東文化大学/SGRA) 【第1部】 基調報告(14:10~14:40): 佐渡友 哲(さどとも・てつ:日本大学/INAF) テーマ「SDGs時代における私たちの意識改革」 概要 (参考図書:『SDGs 時代の平和学』法律文化社、2019.12) 【第 2 部】世界各地からの現状報告(14:40~15:30): 報告1:フィリピンにおける SDGs:フェルディナンド・マキト(フィリピン大学ロスバニョス校/SGRA) 報告2:ハンガリーにおける SDGs:杜世鑫(INAF 研究員) 報告3:中東・北アフリカ地域におけるSDGs:ダルウィッシュ  ホサム(アジア研究所/SGRA) 報告4:朝鮮におけるSDGs:李鋼哲(北陸大学/SGRA/INAF) 報告5:スーダンにおけるSDGs:モハメド・オマル・アブディン(参天製薬㈱/SGRA) 【第 3 部】自由討論(15:40~16:20): モーデレーター:李鋼哲(北陸大学/SGRA/INAF) パネリスト:報告者全員+羽場久美子(青山学院大学名誉教授/INAF)、三村光弘(ERINA/北東アジア学会)、その他数名 総括:平川均(名古屋大学名誉教授/SGRA/INAF) 詳細はプログラムをご覧ください  
  • 2021.08.05

    第66回SGRA-Vフォーラム 第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 「人の移動と境界・権力・民族」へのお誘い

      下記の通り第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性をオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。一般聴講者はカメラもマイクもオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。   テーマ:「人の移動と境界・権力・民族」 日 時:2021年9月11 日(土)午前10時~午後4時20分(日本時間) 方 法: Zoom ウェビナーによる 言 語:日中韓3言語同時通訳付き 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)     ※参加申込(クリックして登録してください) お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)   ■開催の趣旨 本「国史たちの対話」企画は、自国の歴史を専門とする各国の研究者たちの対話・交流を目的として2016年に始まり、これまで全5回を開催した。国境を越えて多くの参加者が集い、各国の国史の現状と課題や、個別の実証研究をめぐって、議論と交流を深めてきた。第5回は新型コロナ流行下でも対話を継続すべく、初のオンライン開催を試み、多くの参加者から興味深い発言が得られたが、討論時間が短く、やや消化不良の印象を残した。今回はやや実験的に、自由な討論に十分な時間を割くことを主眼に、思い切った大きなテーマを掲げた。問題提起と若干のコメントを皮切りに、国や地域、時代を超えて議論を豊かに展開し、これまで広がってきた参加者の輪の連帯を一層深めたい。   なお、円滑な対話を進めるため、日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語、中国語⇔韓国語の同時通訳をつける。フォーラム終了後は講演録(SGRAレポート)を作成し、参加者によるエッセイ等をメールマガジン等で広く社会に発信する。     ■問題提起 塩出浩之(京都大学) 「人の移動からみる近代日本:国境・国籍・民族」     国や地域をまたいで移動する人々は、過去から今日まで普遍的に存在してきた。しかし歴史が国家を単位とし、かつ国民の歴史として書かれるとき、彼らの経験は歴史から抜け落ちる。逆にいえば、歴史をめぐる対話において、人の移動はもっとも好適な話題の一つになりうるといえよう。   「人の移動と境界・権力・民族」というテーマについて、この問題提起では近代日本の経験を素材として論点を提示する。まず導入として、アメリカ合衆国の沖縄系コミュニティに関する報告者のフィールドワークをもとに、現代世界における民族集団(ethnic group)について概観する。   第一の問題提起として、近現代における人の移動を左右してきた国境と国籍に焦点をあて、具体的な事例として、20世紀前半における日本統治下の沖縄・朝鮮や、戦後アメリカ統治下の沖縄からの移民について紹介する。国境や国籍が、近現代の主権国家体制や国際政治構造(帝国主義や冷戦)と密接に関わることを指摘したい。   第二の問題提起として、人の移動が政治・社会秩序にあたえたインパクトとして、国家や地域をまたぐ民族集団の形成、そして国家間関係とは異なる民族間関係の形成に焦点をあてる。具体的な事例としては、20世紀前半のハワイにおける日系住民と中国系住民の複雑な関係についてとりあげる。   以上を踏まえて、近現代における人の移動は前近代とどのような異同があり、また国を単位として比較した場合には何がいえるのか、議論を喚起したい。     ■プログラム 第1セッション(10:00-11:25)  総合司会: 李 恩民(桜美林大学) 【開会の趣旨】村 和明(東京大学) 【問題提起】 塩出浩之(京都大学) 「人の移動からみる近代日本:国境・国籍・民族」 【指定討論】 韓国:趙 阮(釜山大学) 中国:張 佳(復旦大学) 日本:榎本 渉(国際日本文化研究センター)   第2セッション(11:30-12:45) 司会: 南 基正(ソウル大学 ) 【指定討論】 韓国:韓 成敏(世宗大学) 中国:秦 方(首都師範大学) 日本:大久保健晴(慶應義塾大学) 【コメント】塩出浩之(京都大学) 【自由討論】講師と指定討論者   第3セッション(13:30-14:45) 司会: 彭 浩(大阪市立大学)、鄭 淳一(高麗大学) 【論点整理】劉 傑(早稲田大学) 【自由討論】パネリスト(国史対話プロジェクト参加者) 市川智生(沖縄国際大学)、大川 真(中央大学)、佐藤雄基(立教大学)、平山 昇(神奈川大学)、浅野豊美(早稲田大学)、沈 哲基(延世大学)、南 基玄(韓国独立記念館)、金キョンテ(全南大学)、王 耀振(天津外国語大学)、孫 継強(蘇州大学)   第4セッション(14:50-16:20) 司会: 彭 浩(大阪市立大学)、鄭 淳一(高麗大学) 【自由討論】パネリスト(国史対話プロジェクト参加者) 市川智生(沖縄国際大学)、大川 真(中央大学)、佐藤雄基(立教大学)、平山 昇(神奈川大学)、浅野豊美(早稲田大学)、沈 哲基(延世大学)、南 基玄(韓国独立記念館)、金キョンテ(全南大学)、王 耀振(天津外国語大学)、孫 継強(蘇州大学) 【総括】宋 志勇(南開大学)、三谷 博(東京大学名誉教授) 【閉会挨拶】趙 珖(高麗大学名誉教授)   ※同時通訳 韓国語⇔日本語:李 ヘリ(韓国外国語大学)、安 ヨンヒ(韓国外国語大学) 日本語⇔中国語:丁 莉(北京大学)、宋 剛(北京外国語大学) 中国語⇔韓国語:金 丹実(フリーランス)、朴 賢(京都大学)   ※プログラム・会議資料の詳細は、下記リンクをご参照ください。 ・プロジェクト概要