SGRAプロジェクト

  • 第4 回SGRAワークショップin蓼科へのお誘い

    SGRAでは会員を対象としたワークショップを下記の通り行います。参加ご希望の方は、SGRA事務局へご連絡ください。   テーマ: 「<知の空間>を創る」   日 時: 2015年7月4日(土)午前9時30分 ~ 5日(日)午後1時   集 合: 現地集合( 東京商工会議所 蓼科フォーラム にて受付) 参加費: 5000円(食費、宿泊費(相部屋)を含む)申し込み・問い合わせ:SGRA事務局     sgra-office@aisf.or.jp   ワークショップの趣旨:   SGRAでは、7月18日(土)にSGRAフォーラム「日本研究の新しいパラダイムを求めて」を開催します。このフォーラムでは、東アジアの日本研究の第一線で活躍する研究者が一堂に集まり、日本研究の成果を「アジアの公共知」を目指して、新しい日本研究ネットワーク(「知の空間」)の創造に向けた基盤づくりについてのディスカッションを行います。「知の空間」とは、極めて抽象的な概念です。また、非常に主観的、個人的なものであるともいえるでしょう。皆さんは「知の空間」についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?「知の空間」は知の共有と交流により生まれる、また、知の生産と流通、消費によって生まれるとも言えるでしょう。一方で、現代のインターネットの時代にあって「知の空間」は無限大に広がるものかも知れません。今回のワークショップでは、講師のレクチャー、様々なキーワード、研究経験などを踏まえて、「あなたにとっての『知の空間』」のイメージを語り共に考えたいと思います。   プログラム   7月4 日(土)(於:東商蓼科フォーラム)9:30~12:00 「知の空間を創る」+グループ分け・講演—「日本研究ネットワークと『知の空間』の構築に向けて」(仮題)(劉 傑)・講演−「知的交流から生まれる『知の空間』」(仮題)(茶野純一)12:00~13:30  昼食13:30~15:00 ゲーム感覚のグループワーク15:00~15:30  休憩15:30~17:00 グループワーク、ディスカッション 7月5日(日)9:30~12:00 発表・まとめとふりかえり9:30~12:00 発表・まとめとふりかえり  
  • 第3回アジア未来会議☆論文・小論文・ポスター/展示発表の募集

    渥美国際交流財団関口グローバル研究会では、バンコク、バリ島に続き、第3回アジア未来会議を開催します。アジア未来会議は、日本で学んだ人、日本に関心をもつ人が一堂に集まり、アジアの未来について語る<場>を提供することを目的としています。毎回400名以上の参加者を得、200編以上の論文発表が行われます。国際的かつ学際的な議論の場を創るために皆様の積極的なご参加をお待ちしています。   日時:2016年9月29日(木)~10月3日(月)(到着日・出発日も含む) 会場:北九州国際会議場、北九州市立大学北方キャンパス 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/   アジア未来会議では、下記の通り論文・小論文・ポスター/展示発表を募集します。 奮ってご応募ください。   テーマ   本会議全体のテーマは「環境と共生」です。 北九州市は製鉄業をはじめとする工業都市として発展しましたが、1960年代には大気や水の汚染により、ひどい公害が発生しました。その後、市民の努力により環境はめざましく改善され、2011年には、アジアで初めて、経済協力開発機構(OECD)のグリーン成長モデル都市に認定されました。アジア未来会議では、このような自然環境と人間の共生はもとより、さまざまな社会環境や文化環境の中で、いかに共に生きていくかという視点から、広範な領域における課題設定を歓迎します。   第3回アジア未来会議で学際的に議論するために、下記のテーマに関連した論文、小論文、ポスター/展示発表を募集します。登録時に一番関連しているテーマを3つ選択していただき、それに基づいて分科会セッションが割り当てられます。   <テーマ> 自然環境 社会環境 共生 平和 多様性 持続性 人権 歴史 健康 教育 成長 幸福 公平 思想 メディア グローバル化 イノベーション コミュニケーション   言語   第3回アジア未来会議の公用語は日本語と英語です。登録時に、まず口頭発表および ポスター/展示発表の言語を選んでください。日本語で発表する場合は、発表要旨を 日本語(600字)と英語(250語)の両方で投稿してください。論文および小論文は日 本語のみです。   発表の種類  アジア未来会議は日本で学んだ人、日本に関心のある人が集まり、アジアの未来について語り合う場を提供することを目的としています。国際的かつ学際的なアプローチによる、多面的な議論を期待しています。専門分野の学術学会ではないので、誰にでもわかりやすい説明を心掛けてください。   小論文(2~3ページ)   アジア未来会議における専門外の研究者も含めた国際的かつ学際的な議論を前提とした口頭発表の内容を纏めた小論文を投稿してください。発表レジュメ・パワーポイント等の配布資料でもこれに相当するものと認めます。発表要旨のオンライン投稿の締め切りは2016年2月28日、合格後の小論文のオンライン投稿(PDF版のアップロード)の締め切りは2016年6月30日です。6月30日までに投稿がない場合は、アジア未来会議における発表を辞退したと見なされますのでご注意ください。小論文は、奨学金、優秀論文賞の選考対象にはなりません。   論文(10ページ以内)― 奨学金、優秀論文賞の選考対象になります   アジア未来会議は、多面的な議論によって各人の研究をさらに磨く場を提供します。必ずしも完成した研究でなくても、現在進めている研究を改善するための、途中段階の論文を投稿していただいても結構です。発表要旨のオンライン投稿締め切りは2015年8月31日で、合格後の論文のオンライン投稿(PDF版のアップロード)の締め切りは2016年3月31日です。発表要旨の合格後、論文の投稿を前提に奨学金を申請できます。奨学金の選考結果は12月20日までに通知します。尚、地元の参加者は奨学金の対象外です。   また、学術委員会による審査により、優秀論文約20本が選出されます。優秀論文には、アジア未来会議において優秀賞が授与され、会議後に出版する優秀論文集「アジアの未来へー私の提案Vol.3」に収録されます。既にアジア未来会議で優秀論文賞を受賞したことのある方は、選考の対象外となりますので予めご了承ください。3月31日以降も論文投稿はできますが、奨学金・優秀論文賞の対象になりません。   ポスター/展示発表   ポスターはA1サイズに印字して当日持参・展示していただきます 展示作品は当日の朝に自分で搬入し展示していただきます   発表要旨のオンライン投稿締め切りは2016年2月28日で、合格後のポスター/展示のデータのオンライン投稿(PDF版のアップロード)の締め切りは6月30日です。アジア未来会議において、参加者の投票により、優秀ポスター/展示賞数本が選出されます。ポスター/展示作品は、奨学金と優秀論文賞の選考対象にはなりません。   詳細は、下記ウェブサイトをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/call-for-papers/
  • 第5回日台アジア未来フォーラム「日本研究から見た日台交流120年」

    第5 回日台アジア未来フォーラム「日本研究から見た日台研究120年」へのお誘い   下記の通り第5回日台アジア未来フォーラムを開催します。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。   日時:2015年5月8日(金)午前9時00分~午後6時30分   会場:国立台湾大学文学院演講庁20番教室/会議室   お申込み・問合せ:SGRA事務局 電話:03-3943-7612 Email:sgra-office@aisf.or.jp   ● フォーラムの趣旨   日清戦争の帰結としての「下関条約」によって台湾が日本に割譲されるまで、台湾と日本の関係は薄かった。しかしそれ以降「最初の植民地」としての台湾と宗主国の日本との関係は急に緊密になった。戦前50年間の植民地の歴史は台湾社会のみならず、日本と台湾の文壇や文学創作方向、また日本語教育にも多大な影響を与えた。戦後になると、台湾は中華民国に復帰し新たな時代を経験してきた。中華民国政府は1972年まで日本と近い友好国の関係を維持し、またその後国交はないものの、互いに親近感の濃厚な「民間交流」関係が築かれ、今日に至っている。   そうした日台関係の「大還暦」を迎える2015年という大きな節目に、日台交流の諸相に言及する際、さまざまな視点より語ることができる。戦前の経験はいかなる遺産としていかに再認識すべきか、また戦後東アジアが新たな秩序を模索する中、台湾と日本との関係は様々な困難を乗り越えて再構築されるプロセスにおいて如何なる特徴を有しているのか。一方、日本文学研究や日本語學・日本語教育の研究は日台交流の状況につれ、如何に変わってきたかなどの問題も見つめ直さねばならない。 さらに、120年の経験を踏まえ、次の120年の日台関係を展望するには如何なるキーワードを念頭にいれる必要があるのか。本フォーラムはこのような問題意識をもって議論を展開し「日台関係120年」の実像に迫る。   フォーラムは「語学と文学」、「国際関係」そして「社会変容」という三つのセッションから構成され、台湾、日本、中国などからの第一線で活躍されている学者を招き、斬新な視点より鋭い議論を通して新たな「日台関係論」の構築に資したい。 今回も、過去の実績を踏まえ、渥美国際交流財団関口グローバル研究会と国立台湾大学が共催する。日中同時通訳付き。   詳細は、プログラムをご覧ください。     開会の辞】范淑文(国立台湾大学日本語文学科学科長)(09:00-09:10)   【基調講演】「日台関係120年の変遷・特徴・意義」   (09:30-10:30) 座 長:陳弱水(国立台灣大学文学院院長) 講演者:松田康博(東京大学東洋文化研究所教授)   【休  憩】(10:30-10:50)   【第一セッション】政治環境・国際関係の変容から見た日台関係(10:50-12:20) 座長:呉密察(国立台湾大学歴史学科兼任教授) 【報告1】「台湾からみた日台関係120年」李承機(国立成功大学台湾文学科副教授) 討論者:周婉窈(国立台湾大学歴史学科教授) 【報告2】「日本からみた日台関係120年」川島真(東京大学総合文化研究科准教授) 討論者:楊均池(国立高雄大学政治法律学科教授) 【報告3】「中国からみた日台関係120年」王鍵(中国社会科学院近代史研究所研究員) 討論者:石之瑜(国立台湾大学政治学科教授)   【昼  食】(12:20-13:20)   【第二セッション】日本研究の回顧と展望~言語と文学~(13:20-14:50) A .文学・文化 座長:范淑文(国立台湾大学日本語文学科学科長) 【報告1】「台湾における日本近代文学研究」黄翠娥(輔仁大学外国語学院副院長)        討論者:林水福(南台科技大学応用日本語学科教授) 【報告2】「台湾における日本古典文学研究」曹景惠(国立台湾大学日本語文学科副教授)        討論者:陳明姿(国立台湾大学日本語文学科教授) 【報告3】「台湾における日本研究―思想と文化をめぐって」〈藍弘岳(国立交通大学副教授) 「日本研究在臺灣―以思想與文化為主」 討論者:辻本雅史(国立台湾大学日本語文学科教授)   B.言語・語学 座長:林立萍(台湾大学日本語文学科教授) 【報告1】「台湾における日本語の研究」頼錦雀(東吳大学外国語学院院長) 討論者:林慧君(国立台湾大学日本語文学科教授) 【報告2】「朝鮮資料の成長性~諸本『隣語大方』から考える~」申忠均(韓国全北大学教授)   討論者:落合由治(淡江大学日本語文学科教授)           【報告3】「台湾における日本語教育学研究」葉淑華(高雄第一科技大学外国語学院院長)        討論者:林長河(銘傳大学応用日本語学科教授)   【休  憩】(14:50-15:10)   【第三セッション】日台社会の変容と交流の諸相(15:10―16:40) 座長:黄克武(中央研究院近代史研究所所長) 【報告1】「戦前台湾にいる日本人と日本にいる台湾人」鍾淑敏(中央研究院台湾史研究所副研究員) 討論者:傅琪貽(国立政治大学教授) 【報告2】「日台企業間の協力と信頼の再生産」佐藤幸夫(アジア経済研究所新領域研究センター長) 討論者:蘇顯揚(中華経済研究院日本センター長) 【報告3】「台湾ナショナリズムにおける『日本』の役割」呉叡人(中央研究院台湾史研究所副研究員) 討論者:汪宏倫(中央研究院社会学研究所研究員)   【休  憩】(16:40-16:50) 【総合討論】 21世紀の日台関係を展望する(16:50―17:50) 座   長:徐興慶(国立台湾大学日本語文学科教授、日本研究センター長)   パネリスト:范淑文、辻本雅史、松田康博、呉叡人、川島真、林泉忠(敬称略) 【閉会の辞】 今西淳子(渥美国際交流財団関口グローバル研究会代表)(17:50―18:00)     日台アジア未来フォーラムとは   第一回「国際日本学研究の最前線に向けて」は、台湾に見られる「哈日族」の現象に注目しつつ、日本の流行文化を取り上げた。第二回は「東アジアにおける企業法制の継受及びグローバル化の影響」をテーマとして、法学の問題について議論を深めた。第三回「近代日本政治思想の展開と東アジアのナショナリズム」は、政治思想とナショナリズムとの関係について、また第四回フォーラムでは、「東アジアにおけるトランスナショナルな文化の伝播・交流-思想、文学、言語-」をテーマとする。メディアの発達によって、東アジアにおける文化の国境が消えつつある実態に着目し、異文化がどのように媒体を通じて、どのように同化し、もしくは異化するか、またそれによってどのような新しい文化が形成されるかを議論した。   このように、関口グローバル研究会(SGRA)は、日本、台湾さらにはアジアの未来に向けて、アジア各国の相互受容や影響関係に焦点を当て、文化、文学、言語、法学、政治思想などの議題について考えている。
  • 金 雄熙「第14回日韓アジア未来フォーラム『アジア経済のダイナミズム』報告」

      2015年2月7日(土)、国立オリンピック記念青少年総合センターで第14回日韓アジア未来フォーラム(第48回SGRAフォーラム)が開催された。今回は「アジア経済のダイナミズム-物流を中心に」というテーマだったが、2013年度から5年間のプロジェクトの第2年目として、日韓の交通・物流システムにおける先駆的な経験が、アジアの持続可能な成長と域内協力にどのように貢献できるのかという問題意識に立ち、アジア地域で物流ネットワークが形成されつつある実態を探り出し、その意味合いを社会的にアピールすることを目的とした。   フォーラムでは、未来人力研究院理事長の李鎮奎(リ・ジンギュ)教授による開会の挨拶に続き、基調講演と2人の研究者による発表が行われた。基調講演では、「ミスター円」と呼ばれた榊原英資(さかきばら・えいすけ)さんが、中国やインドが19世紀初めまでは世界の2大経済大国であったことを考えると、昨今の高い経済成長は「リオリエント」現象とも呼ばれるべきものであると力説した。また、インドネシアなど東南アジア諸国も高い成長を続けており、次第に成長センターは西に移っているとした。おそらく20年後にはインドの成長率が中国のそれを越え、2050年のGDPでは中国がアメリカを抜いてナンバーワン、インドはナンバーツーに近いナンバースリーになると予測されているとした。ちょうど15年前(渥美国際交流財団設立5周年)に榊原さんがこの同じ場所で中国の浮上を熱く語ったことがあったのだが、いまや「G2」論が話題になるようになった。これから15年後インドがグローバル経済という大舞台でどういう役を演じるようになるのか、またどの国・地域が新しく浮上し、東アジア共同体の成功への期待を膨らませるか興味はつきない。   安秉民(アン・ビョンミン)韓国交通研究院ユーラシア・北朝鮮インフラセンター所長は、北東アジアにおいて活発に行われている国境を越えた多国間開発事業、特に北朝鮮、中国、ロシア、モンゴルなどの国々による交通・物流インフラなどをめぐる新しい協力方式を中心に、北東アジアの交通・物流協力の実状と今後の展望について発表した。   ド・マン・ホーン桜美林大学経済経営学系准教授は、GMS(大メコン圏)経済協力プログラムの中で、最も積極的に進められてきたプロジェクトである輸送インフラ整備を中心に、同地域での物流ネットワークの現状を分析し、ソフト(制度など)とハード(インフラシステム)の両面に関わる課題について発表した。   休憩を挟んで、ラウンドテーブルでは、まず第48回SGRAフォーラムの仕掛け人でもある北陸大学未来創造学部の李鋼哲(り・こうてつ)教授が「アジアハイウェイの現状と課題について」報告を行った。討論のたたき台としてのミニ報告を予定していたが、「アジア人」として長年にかけての「ロマンチックな」夢が熱く語られ、会場を大いに盛り上げた。その後、畑村洋太郎(はたむら・ようたろう)東京大学名誉教授、沼田貞昭(ぬまた・さだあき)鹿島建設顧問、韓国未来人力研究院の徐載鎭(ソ・ジェジン)院長、滋賀県立大学のブレンサインさん、SMBC日興証券のナポレオンさんらによるコメントが続いた。著しく成長しつつある物流ネットワークの域内協力をキーとし、アジア経済のダイナミズムについてそれぞれの立場や専門領域を踏まえた、そして夢が込められた素晴らしい議論であった。   今回は渥美財団20周年祝賀会と日韓アジア未来フォーラムが立て続けに開催され、準備が本当に大変だったに違いないが、スタッフの皆さんは勿論のこと、家族的なラクーン・ネットワークに支えられ、成功裏に終えることができ、改めて顔の見えるネットワークのパワーを実感した。交通の便が悪かったにもかかわらず、100名を超える参加者が集まるというすごい反響は、これからのフォーラム運営により一層の活力とやりがいを与えてくれた。なお、第2回アジア未来会議に続き、大学や研究機関の研究者のみならず若い学生たちにも参加いただき、次世代への期待をフォーラム運営の在り方につなげるものとなった。慌ただしい日程のなか、高麗大学の学生たちを青少年総合センターまで案内してくれた今西勇人さん夫妻にこの場を借りて感謝したい。残念ながら、公式乾杯酒の「春鹿」、そして入り混じったラブショットはみられなかったものの、日本ならではの節度ある良いフォーラムであったと思う。   前回のフォーラム報告でも言及したが、これから「ポスト成長時代における日韓の課題と東アジア地域協力」について、実りのある日韓アジア未来フォーラムを進めていくためには、総論的な検討にとどまらず、今回のように各論において掘り下げた検討を重ねていかなければならない。次回のフォーラムの開催に当たっても、このような点に重点を置きつつ、着実に進めていきたい。最後に第14回のフォーラムが成功裏に終わるようご支援を惜しまなかった今西代表と李先生、そしてスタッフの皆さんに感謝の意を表したい。李先生、今西さん、そしてラクーンのみなさん、日韓アジア未来フォーラムも20周年祝賀会やりましょう!   フォーラムの写真   フィードバック集計   -------------------------------- <金雄煕(キム・ウンヒ)☆ Kim Woonghee> 89年ソウル大学外交学科卒業。94年筑波大学大学院国際政治経済学研究科修士、98年博士。博士論文「同意調達の浸透性ネットワークとしての政府諮問機関に関する研究」。99年より韓国電子通信研究員専任研究員。00年より韓国仁荷大学国際通商学部専任講師、06年より副教授、11年より教授。SGRA研究員。代表著作に、『東アジアにおける政策の移転と拡散』共著、社会評論、2012;『現代日本政治の理解』共著、韓国放送通信大学出版部、2013;「新しい東アジア物流ルート開発のための日本の国家戦略」『日本研究論叢』第34号、2011。最近は国際開発協力に興味をもっており、東アジアにおいて日韓が協力していかに国際公共財を提供するかについて研究を進めている。 -------------------------------- 2015年3月4日配信  
  • 第19 回日比共有型成長セミナー「都会・地方の格差と持続可能共有型成長」へのお誘い

    下記の通り第19回日比共有型成長セミナーをマニラ市で開催します。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。   第19回日比共有型成長セミナー 「都会・地方の格差と持続可能共有型成長」 "The Urban-Rural Gap and Sustainable Shared Growth"   日時:2015年2月10日(火)午前8時30分~午後5時30分 会場: マニラ市フィリピン大学都市・地方計画研究科 言語:英語 申込み・問合せ:SGRAフィリピン sgraphil@gmail.com   セミナーの概要   フィリピンマニラ市で「持続可能な共有型成長」をテーマに開催される19回目のセミナー。本セミナーの基本的な狙いは、いわゆるKKK(効率、公平、環境)の調和ある発展である。これはあらゆる学問、社会部門、そして国境を跨いで実施している活動である。   今回はフィリピンの3つの大学が会場を提供してくれたが、準備の都合や企画委員会での圧倒的な存在を占めることから、フィリピン大学で再度開催することが決定さした。次回は、このセミナーをさらに広げるために、別の大学で開催する予定である。今回のセッションで座長を務める先生たちは、昨年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議に参加し、引き続きSGRAフィリピンの活動にご協力いただいている。   プログラム   本セミナーは6つのセッションに分かれているが、学祭的な交流を促すために、平行セッションを意図的に避けられている。   第1セッション「開会の趣旨と問題提起」座長:F. マキト(SGRAフィリピンの代表/テンプル大学)   第2セッション「持続可能農業について」座長:J. トリビオ(フィリピン土地改革省)   第3セッション「農業と製造業に関して」座長:J. ダナカイ(フィリピン アジア太平洋大学)   第4セッション「再生可能エネルギーに関して」座長:G. サプアイ(フィリピン 廃棄物管理協会)   第5・6セッション「被災地における計画や設計の構想」座長:S. ギッレス、M. トメルダン(フィリピン大学建築学部)   総合司会:A. ラセリス(フィリピン大学経営学部)   詳細は、下記リンクをご覧ください。   プログラム(英文) インフォグラフィック(英文) 申込用紙(英文) ポスター(英文)
  • M. ジャクファル・イドルス「第6回SGRAカフェ 『アラブ・イスラムをもっと知ろう:シリア、スーダンそしてイスラム国』報告」

    近年、イスラムを中心とした中東やアラブ世界で進行した「アラブの春」という民主化運動をきっかけに、不安定な政治的社会的な状況が生み出されたのと同時に、イスラムを名乗った暴力的な行為によって、イスラムに対する不当な偏見が強まり、拡大している。その根底には、イスラム過激派の暴力的なニュースばかりが報道される一方で、特に日本では、イスラム教やイスラム諸国に対する根本的な知識や情報や理解をうながす「場」が乏しく、人々に多くの誤解を与えているという状況がある。   そのような背景の中で「アラブ・イスラムをもっと知ろう:シリア、スーダンそしてイスラム国を中心として」というテーマの下で、メディアには現れないイスラム教やイスラム諸国の実情について学ぶことを目的に第6回SGRAカフェが開催された。   今回、シリア出身のダルウィッシュ・ホサム氏(Housam Darwisheh:アジア経済研究所中東研究グループ研究員)と、スーダン出身のアブディン・モハメド・オマル氏(Mohamed Omer Abdin:東京外国語大学特任助教)に講演をお願いした。両名ともSGRAの会員である。   ホサム氏は「変貌するシリア危機と翻弄される人々」というタイトルの講演を行った。2011年に中東地域で拡大してきた民主化要求運動をきっかけに、シリアは現在、未曾有の危機に直面している。アサド体制と反体制派の多様なグループによる戦闘が各地で続くなか、シリア北部で誕生した「イスラム国」が侵攻し、3年におよぶ戦闘により、死者は20万人を超え、難民は400万人、国内避難民は1,100万人にのぼり、近隣諸国はシリア難民の受け入れに対応できない状況にある。アメリカを中心とする有志連合の干渉もあって、シリア危機はますます複雑な様相を呈し、日ごとに悪化する状況から脱する道は見出せないままである。このようにシリア危機の経過と現状を紹介した上で、壊滅的な内戦に陥った原因を、歴史的、宗教的、民族的、地政学的など多様な側面から解説し、シリア及び近隣アラブ諸国における内戦の今後の厳しい見通しについて語った。   アブディン氏は「なぜハルツームに春がこないか?:バシール政権の政治戦略分析を通して」というタイトルで、異なるアプローチからスーダンにおける「アラブの春」の影響について講演した。民主化を求めるアラブの春の運動は、長い間続いてきた独裁体制を崩壊させる一方で、内戦を勃発させ、中央政権の弱体化など様々な結果をもたらした。国によって、この運動がなぜこのように個別の結果をもたらしたかは、近年の国際政治学者の大きな関心事となっている。一方では、アラブの春の影響をほぼ受けなかった地域も存在する。アブディン氏は、中東の周辺地域に位置するスーダン共和国を事例に、現政権が、アラブの春の同国への波及を防止するためにどのような戦略をとってきたかを、スーダンを取り巻く内部的、外部的情勢をもとに講演した。特に印象的だったのは、「スーダンは過去に民主化とその挫折の経験を持っているため、民主化に対する幻想を持っていない」との指摘だった。   2時間程の講演に続き、座談会と質疑応答が行われ、30人を超える参加者のなかからたくさんの質問があった。「イスラム国における法の思考とその正当性はどのようなものなのか?」「イスラム国の裁判はだれに対しての裁判であり、非イスラム教徒はどのように扱われるのか?」「イスラム国はいったい何を目指し、今後どのように展開すると予測されるのか?」などイスラム国に対する質問が多く、関心の高さを感じさせられた。その他、「なぜ一般の人が巻き込まれるのか?」「どのような教えに基づいてその行動が取られるのか?」などとイスラムの本質に迫る質問も多数あった。   限られた時間のなかで、これらの質問に対して問題を掘り下げた議論を展開することはできなかったが、この3時間に亘った講演と座談会で共通認識として共有することができたのは「現代世界で起きているイスラム世界あるいはイスラムと関連する様々な問題は単なる宗教的な問題ではなく、政治、経済、国際関係など様々な要素の絡み合いの中から生じた複雑な問題」というものである。   今後とも、特に日本では、より正しく妥当な理解を得るために、SGRAカフェのような客観的な情報発信の場が必要とされている。   当日の写真   ------------------------------------- <M. ジャクファル・イドルス  M. Jakfar Idrus> 2014年度渥美国際交流財団奨学生。インドネシア出身。ガジャマダ大学文学部日本語学科卒業。国士舘大学大学院政治学研究科アジア地域研究専攻博士課程後期に在学中。研究領域はインドネシアを中心にアジア地域の政治と文化。「国民国家形成における博覧会とその役割—西欧、日本、およびインドネシアを中心として−」をテーマに博士論文執筆中。 ------------------------------------- 2015年1月21日配信
  • エッセイ445:太田美行「選ぶ-第8回SGRAチャイナ・フォーラム-に参加して-」

    これだけ近い国だというのに中国へ行くのは初めてである。そういう訳で空港からのタクシーの中では念願の中国をよく見ようと、ひたすら車窓に張り付いていた。大陸の広さを感じた。何よりも建物の一つひとつが大きく、隣の建物との間が広い。そして道路はひたすら真っすぐだ。東京に生まれ育った身としてまず感じたのがこの空間感覚の違いである。ここから中国の人たちとの間に何となく感じる感覚の違いの背景に納得する。フォーラム会場の中国社会科学院文学研究所から天安門まで官公庁が並ぶ、中国で最も広いであろう通りを歩いた時は都を訪れる遣隋使はたまた遣唐使の気分で、「威容」が与える心理的効果についてしばし考えた。こうして私の中国訪問とチャイナ・フォーラムは幕を開けた。   第8回チャイナ・フォーラム初日の中国社会科学院では佐藤道信先生が「近代の超克-東アジア美術史は可能か-」で「ヨーロッパ美術史」が存在するのに対して日本、中国・台湾、韓国に同様の広域美術史がなく、一国美術史が中心となっている現状と課題について、木田卓也先生は「工芸家が夢みたアジア:<東洋>と<日本>のはざまで」の講演で中国へ渡った近代日本の工芸家について講演をされ、2日目の清華大学では「脱亜入欧のハイブリッド:『日本画』『西洋画』、過去・現在」を佐藤先生が、「近代日本における<工芸>ジャンルの成立:工芸家がめざしたもの」で木田先生が近代日本と中国の美術・工芸のあり様について講演をされた。フォーラムの詳細は林少陽氏の報告書でご覧戴いたと思うので、ここでは私がフォーラム及び参加者との交流で感じたことを、広域史を中心にご紹介したい。   フォーラムは近代日本と中国、東アジアの美術・工芸のあり様と関わりを丁寧に、そして学術的に掘り起こし、整理していくものだった。私たちが当たり前にとらえている美術史が当時の時代背景と(恐らく)必要性や気運によってどのように「作られていった」のかを佐藤先生は「自律と他律の自画像」という言葉を用いながら、木田先生は工芸家の足跡をたどりながら、それぞれ明らかにした。   歴史というものは事実、起きたことの単なる集合体ではなく、どの「事実の集合体」を掘り起こして、どの角度から光を当てるか、それをどのように取り扱っていくのかの意図によって異なる意味をもってくる。その観点からすると今回のフォーラムでは、多くの事柄から「東アジア美術史」、「広域史」、「影響し合う」を選び、未来に対して前向きな意欲が感じられる発表と議論の場だった。一方で佐藤先生は「新しい基軸を作ることは新しい誤解を作ることになるのかと思う(こうした研究をするのは)自分がどこに立っているのか知りたい、それだけ」と語る。佐藤先生の指す「新しい誤解」への懸念はよくわかるものの、ある基軸を知ることで自分を取り巻く世界の構成が、成立の過程が、見えてくる。ひとつの基軸を知ることは他の基軸を感じ取る手がかりとなる。だから私はこの新しい基軸を積極的にとらえたい。   10年以上も前に「ワールド・ミュージック」が流行していた頃、確か音楽家の坂本龍一が雑誌の対談か何かで「今のワールド・ミュージックを語ると沖縄民謡のような民族音楽を語ることになってしまい、ワールドではなくなってしまう」という趣旨のことを言っていたのを思い出した。確かに当時彼が発表した音楽は沖縄民謡のアレンジ曲だった。同じように広域史を論じると自国史や「個」はどうなるのだろう。実際その点への心配の声が会場にはあった。しかし広域史を語ることは個や独自性を否定するものではないはずだ。独自性とは何か。人で考えた場合、個人の性質や能力、教育、経験の積み重ね、取り巻く環境とその歴史(国家だけでなく家族、友人、民族も含む)などから育まれ、磨かれたものではないか。ならば他との関わり(広域史)の中にある自己(自国史)を見出し、自己(自国史)の中に他(広域史)を見出すことはごく当たり前のことだ。自分の立っている場所を検証し続け、考えることこそが必要である。   もし自分の頭で考え物事を選ぶことをやめたら、すべてが曖昧なまま流されてしまいかねない。私たちは考え、掘り出し、そして選ぶ。その先にあるのが未来だ。何かを選ぶ時点で既に自らの態度を表明しているともいえないか。「東アジア美術史」、「広域史」、「影響し合う」を選ぶのは「影響し合う」未来を前向きなものにしたいからである。一見すると今回の講演は学術的で地味なものだろう。しかし、とかく考証の怪しげな歴史小説やドラマが溢れ、熱気を帯びた雰囲気や流れに足元をすくわれかねないような昨今、一つひとつを丁寧に掘り起こし、検証しつつ事実を浮かび上がらせることには大きな意味がある。   講演後の質問では少なからず論点から外れたというか、一足飛びのものがあったり、若い日本研究の学生と話していて意外にも現代日本の作家が読まれていないことに驚いたこともあった。(中国にも多数いるという村上春樹ファンはどこにいるのだろう?) それも事実なら、会場に大勢の学生が来てくれたこともまた事実だ。彼らの中に今回のフォーラムが種となり、芽吹く日が来ることを願っている。   木田先生は1920~30年代の「新古典派」を「懐古趣味的な保守反動勢力でなく、新しく東洋趣味的な工芸を作り出そうということを目指していた」、「『日本の近代』は、いかにあるべきか?、さらには『アジアの近代』はいかにあるべきかという問いが含まれていたと思われます」と語る。その頃の日本が発信する「東洋」と今の日本や他国がいう「東アジア(あるいは東洋)」では異なる点は多いだろう。だからこそ日本からだけでなく、その他の国から、人からの「東アジア広域史」を論じる声を聞き、共に今と未来とを選びたい。   --------------------------------------- <太田美行(おおた・みゆき)>東京都出身。中央大学大学院 総合政策研究科修士課程修了。シンクタンク、日本語教育、流通などを経て2012年より渥美国際交流財団に勤務。著作に「多文化社会に向けたハードとソフトの動き」桂木隆夫(編)『ことばと共生』第8章(三元社)2003年。 ---------------------------------------   2015年1月15日配信
  • 第14 回日韓アジア未来フォーラム/第48回SGRAフォーラム「アジア経済のダイナミズム」へのお誘い

    下記の通り第14回日韓アジア未来フォーラムを開催します。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 日時:2015年2月7日(土)午後1時30分~午後4時30分 会場:国立オリンピック記念青少年総合センター 国際交流棟 国際会議室 申込み・問合せ:SGRA事務局http://www.aisf.or.jp/sgra/電話:03-3943-7612Email:sgra-office@aisf.or.jp ● フォーラムの趣旨 渥美国際交流財団関口グローバル研究会と未来人力研究院が共同で、2001年より毎年、日韓相互に開催するフォーラム。14回目は第48回SGRAフォーラムも兼ねて東京で開催する。日本は、交通・物流システム、自然災害への対策、経済発展と省エネルギーの両立、少子高齢化への対処など、多くの分野において経験や技術を蓄積しており、圧縮成長を成し遂げてきた韓国の経験やノウハウと共に、東アジア地域における将来の発展や地域協力の在り方に貴重な手掛かりを提供している。アジア地域は経済的に実質的な統合に向かっており、インド、中国、ASEAN、そして北東アジアの経済がダイナミックに連動しながら発展を成し遂げている。本フォーラムでは、日韓の交通・物流システムにおける先駆的な経験が、アジアの持続可能な成長と域内協力にどのように貢献するかという問題意識に立ち、アジア地域で物流ネットワークが形成されつつある実態を探り出し、その意味合いを社会的にアピールすることを目的とする。日韓同時通訳付き。 <プログラム> 総合司会: 平川 均(ひらかわ・ひとし:国士舘大学21世紀アジア学部教授、名古屋大学名誉教授)開会の辞: 李 鎮奎(リ ジンギュ:未来人力研究院 理事長、高麗大学経営学部教授) 【基調講演】「アジア経済のダイナミズム」榊原英資(さかきばら えいすけ:インド経済研究所理事長・青山学院大学教授) 【報 告 1】「北東アジアの多国間地域開発と物流協力」安 秉民(アン・ビョンミン:韓国交通研究院北韓・東北亜交通研究室長) 【報 告 2】「GMS(グレーター・メコン・サブリージョン)における物流ネットワークの現状と課題」ド・マン・ホーン (桜美林大学経済・経営学系准教授) 【休  憩】 【自由討論】進行及び総括:金雄煕(キム・ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授) ● ミニ報告:「アジア・ハイウェイの現状と課題について」   李鋼哲(リ・コウテツ、北陸大学未来創造学部教授) 討論者:上記発表者、指定討論者(渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究者)、一般参加者 閉会の辞:今西淳子(いまにし じゅんこ:渥美国際交流財団常務理事) 詳細は、下記リンクをご覧ください。 ちらし    プログラム  
  • 林 少陽「第8回SGRAチャイナ・フォーラム『近代日本美術史と近代中国』報告」

    2014年11月22日~23日、第8回SGRAチャイナ・フォーラムが北京で開催されました。今回のテーマは日本美術史です。22日の講演会は中国社会科学院文学研究所と、23日の講演会は清華大学東亜文化講座との共催でした。清華大学は北京大学のライバルであり日本でも知られていると思いますが、中国社会科学院は「知る人ぞ知る」かもしれません。中国社会科学院は、国家に所属する人文学及び社会科学研究の最高学術機構であり、総合的な研究センターです。中国社会科学院文学研究所の前身は北京大学文学研究所であり、1953年の創立です。1955年に中国社会科学院の前身である中国科学院哲学社会科学学部に合併されました。現在115人の研究員がいて、そのうち上級研究員は79名ということです。   今回、日本から参加してくださった2名の講師は、佐藤道信氏(東京藝術大学芸術学科教授)と、木田拓也氏(国立近代美術館工芸館主任研究員)です。佐藤氏は日本美術史学の代表的な研究者の一人であり、木田氏は日本の工芸史の研究者として活躍していらっしゃいます。木田氏が2012年に実施した「越境する日本人――工芸家が夢見たアジア1910s~1945」という展覧会が、今回の北京でのフォーラム開催のきっかけとなりました。   まず、11月22日の講演会についてご紹介します。佐藤氏の講演題目は「近代の超克-東アジア美術史は可能か」、木田氏は「工芸家が夢みたアジア:<東洋>と<日本>のはざまで」でした。   佐藤氏は、「美術」「美術史」「美術史学」をめぐる制度的な研究をしてきた研究者です。その目的は、美術の今がなぜこうあるのか、現在の史的位置を考えることにありました。最初は、「日本美術(史)観」をめぐる日本と欧米でのイメージギャップについて研究し、大きな影響を与えた研究者ですが、この十数年は、欧米と東アジアにおける「美術史」展示の比較から、その地理的枠組の違いと、それを支えるアイデンティーの違いについて考えてきました。欧米の国立レベルの大規模な美術館では、実質「ヨーロッパ美術史」を展示しているのに対して、東アジアでは中国・台湾、韓国、日本、いずれの国立レベルの博物館でも、基本的に自国美術史を中心に展示していることを指摘しました。   つまり、実際の歴史では、仏教、儒教、道教の美術や水墨画が、広く共有されていたにもかかわらず、東アジアの美術史ではそれが反映されていません。広域美術史を共有するヨーロッパと、一国美術史を中心とする東アジアという違いがあります。その枠組を支えるアイデンティティーとして、大きく言えば、キリスト教美術を中軸とする「ヨーロッパ美術史」は、キリスト教という宗教、一方の東アジア各国の自国美術史は、国家という政治体制に、それぞれ依拠していることを佐藤氏は問題としています。   佐藤氏は1990年代以来、近代日本の「美術」「美術史」「美術史学」が、西洋から移植された「美術」概念の制度化の諸局面だったという前提で、「日本美術史」が、近代概念としての「日本」「美術」「歴史」概念の過去への投射であり、同様に日本での「東洋美術史」も(あくまで日本での、です)、じつは近代日本の論理を「東洋」の過去に投射したことを、いままでの著書で明らかにしてきました。 本講演において、佐藤氏は、19世紀の華夷秩序の崩壊後、ナショナリズムを基軸に自国の歴史観を構築してきた経緯を指摘しつつ、分裂した東アジアの近代が、歴史とその実態をも分断してきたのだとすれば、実態を反映した「東アジア美術史」の構築は、東アジアが近代を超克できるかどうかの、一つの重要な課題であると提起しました。そして、広域の東アジア美術史を実現するために、「自国美術史」の相互刊行、広い視野と交流史的、比較論的な視点、知識の樹立、さらには、イデオロギー(東西体制の両方)、大国意識、覇権主義、民族主義、汎アジア主義的視点などによる解釈の回避、国際間でのコミュニケーションと他者理解のしくみの確立、などを提言しました。   木田氏は、講演「工芸家が夢みたアジア:<東洋>と<日本>のはざまで」において、まず自分自身がこれまでに関心を持って取り組んできた工芸史、デザイン史という領域において、19世紀後半のジャポニスム、アール・ヌーヴォー、アール・デコ、モダニズムという流れにおける日本と西欧との文化交流に関する研究は盛んに行われているのに対して、それとは対照的にこの時代の日本と中国との関係については、あまり関心が払われていないことを反省しつつ、日本人の工芸家と中国との関連を紹介しました。木田氏はまず、日本の20世紀を代表する、国民的洋画家といえる梅原龍三郎の、1939年から43年までの計6回の中国訪問を紹介しました。戦争中にも関わらず、梅原は北京が最高であると記述しており、この時代の美術史の再評価の必要性を指摘しました。   そして、京都の陶芸家の2代真清水蔵六が、1889年(明治22)に上海と南京の間にある宜興窯に渡って、そこにおよそ1年間滞在して作陶を行ったことや、1891年(明治24)年に景徳鎮を訪問したこと、建築家で、建築史家でもあった伊東忠太が、1902年から1905年まで、約3年かけて中国、ビルマ、インド、トルコを経て、ヨーロッパへとユーラシア大陸を横断したこと、また1910年の日韓併合前から建築史家の関野貞が朝鮮半島で楽浪遺跡の発掘に関わっていたことなどを紹介しました。そして木田氏は、中国からの古美術品の流出と、日本におけるコレクションの形成との関係について紹介し、日本に請来された中国や朝鮮半島の美術品が日本の工芸家の作風に影響を与えたことを報告しました。   講演会には、社会科学院の研究員だけでなく、他の大学の研究者や大学院生も含む約50名の参加者が集まりました。中国社会科学院文学研究所の陸建徳所長が開会挨拶をしてくださいました。講演の後、とても密度の高い質疑と討論で盛り上がり、初日の講演会は大成功でした。   翌11月23日の講演会はさらに盛況でした。清華大学の会場は40名しか座れない会議室でしたが、実際80名を越す参加者があり、一部は立ったままで講演会を聴講していました。講演会を助成支援してくれた国際交流基金北京日本文化センターの吉川竹二所長や、中国社会科学院日本研究所の李薇所長も出席してくださいました。 佐藤氏の今回の講演題目は「脱亜入欧のハイブリッド:『日本画』『西洋画』、過去・現在」であり、木田氏の講演題目は「近代日本における<工芸>ジャンルの成立:工芸家がめざしたもの」でした。   佐藤氏の講演に対しては筆者が、木田氏の講演に対しては清華大学美術学院准教授の陳岸瑛氏が中国美術史研究者の立場からコメントし、また清華大学歴史学科の教授である劉暁峯氏がたいへん興味深い総括をしました。   紙幅の関係上2回目の両氏の講演についてご紹介できないですが、今回の出席者の積極的な参加ぶりは感動的でした。また会場からの討論の熱さも忘れがたいものです。参加者は美術史関係の研究者と大学院生のほか、文学研究者、歴史研究者も多いという印象を受けました。その意味において高度に学際的な会議でもあったと思います。   今回のふたつの講演会は高度な専門性を持つが故に大成功したと思いますが、日本研究と中国研究が対話する重要な機会でもあることを実感しました。   フォーラムの写真   フィードバックアンケートの集計結果   ----------------------------- <林 少陽(りん しょうよう)Lin Shaoyang> 1963年10月中国広東省生まれ。1983年7月厦門大学卒業。吉林大学修士課程修了。会社勤務を経て1999年春留学で来日。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程、東大助手、東大教養学部特任准教授、香港城市大学准教授を経て、東京大学大学院総合文化科超域文化科学専攻准教授。学術博士。著書に『「修辞」という思想:章炳麟と漢字圏の言語論的批評理論』(東京:白澤社、2009年)、『「文」與日本学術思想——漢字圈・1700-1990』(北京:中央編訳出版社、2012年)、ほかに近代日本・近代中国の思想と文学ついての論文多数。 -----------------------------   2014年12月24日配信
  • 第14 回日韓アジア未来フォーラム「アジア経済のダイナミズム」へのお誘い

    下記の通り第14回日韓アジア未来フォーラムを開催します。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。   日時:2015年2月7日(土)午後1時30分~午後4時30分   会場:国立オリンピック記念青少年総合センター国際交流棟 国際会議室   申込み・問合せ:SGRA事務局 電話:03-3943-7612 Email:sgra-office@aisf.or.jp   ● フォーラムの趣旨   渥美国際交流財団関口グローバル研究会と未来人力研究院が共同で、2001年より毎年、日韓相互に開催するフォーラム。14回目は第48回SGRAフォーラムも兼ねて東京で開催する。 日本は、交通・物流システム、自然災害への対策、経済発展と省エネルギーの両立、少子高齢化への対処など、多くの分野において経験や技術を蓄積しており、圧縮成長を成し遂げてきた韓国の経験やノウハウと共に、東アジア地域における将来の発展や地域協力の在り方に貴重な手掛かりを提供している。 アジア地域は経済的に実質的な統合に向かっており、インド、中国、ASEAN、そして北東アジアの経済がダイナミックに連動しながら発展を成し遂げている。本フォーラムでは、日韓の交通・物流システムにおける先駆的な経験が、アジアの持続可能な成長と域内協力にどのように貢献するかという問題意識に立ち、アジア地域で物流ネットワークが形成されつつある実態を探り出し、その意味合いを社会的にアピールすることを目的とする。日韓同時通訳付き。   <プログラム>   総合司会: 平川 均(ひらかわ・ひとし:国士舘大学21世紀アジア学部教授、名古屋大学名誉教授) 開会の辞: 李 鎮奎(リ ジンギュ:未来人力研究院 理事長、高麗大学経営学部教授)   【基調講演】「アジア経済のダイナミズム」 榊原英資(さかきばら えいすけ:インド経済研究所理事長・青山学院大学教授)   【報 告 1】「北東アジアの多国間地域開発と物流協力」 安 秉民(アン・ビョンミン:韓国交通研究院北韓・東北亜交通研究室長)   【報 告 2】「GMS(グレーター・メコン・サブリージョン)における物流ネットワークの現状と課題」 ド・マン・ホーン (桜美林大学経済・経営学系准教授)   【休  憩】   【自由討論】 進行及び総括:金雄煕(キム・ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授)   ● ミニ報告:「アジア・ハイウェイの現状と課題について」    李鋼哲(リ・コウテツ、北陸大学未来創造学部教授)   討論者:上記発表者、指定討論者(渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究者)、一般参加者   閉会の辞:今西淳子(いまにし じゅんこ:渥美国際交流財団常務理事)   詳細は、下記リンクをご覧ください。 ● ちらし ● プログラム