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2021.06.14
SGRAレポート第93号(日中合冊)
第14回SGRAチャイナVフォーラム
「東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」
2021年6月18日発行
<フォーラムの趣旨>
江戸時代後期以降、日本には西洋の諸理論が流入し、絵画においても、それまで規範であった中国美術の受容とそれを展開していく過程に西洋理論が影響を及ぼすようになっていった。一方、絵画における東洋的な伝統や理念が西洋の画家たちに影響を与え、さらにそれが日本や中国で再評価されるという動きも起こった。本フォーラムでは、その複雑な影響関係を具体的に明らかにすることで、日本近代美術史を東洋と西洋の思想が交錯する場として捉え直し、東アジアの多様な文化的影響関係を議論したい。日中同時通訳付き。
<もくじ>
【開会挨拶】 はじめに―開会挨拶―
今西淳子(渥美国際交流財団)
高橋耕一郎(国際交流基金北京日本文化センター)
【講演】 中国古典と西欧絵画との理論的邂合
―東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考―
稲賀繁美(国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学)
※上記はともに2021年3月末退任、現在は名誉教授。現職は京都精華大学教授
【コメント】
劉 暁峰(清華大学歴史学科)
塚本麿充(東京大学東洋文化研究所)
王 中忱(清華大学中国文学科)/高華鑫(中国社会科学院文学研究所)代読
林 少陽(香港城市大学中文及歴史学科)
【自由討論】 討論者:参加者を交えた質疑応答
講師略歴
あとがきにかえて
孫 建軍(北京大学日本言語文化学部)
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2021.06.14
SGRAレポート第92号(日中合冊)
第13 回SGRA チャイナ・フォーラム
「国際日本学としてのアニメ研究
―メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開―」
2021年6月18日発行
<フォーラムの趣旨>
企業が主導して、複数の作家が同一のキャラクターや世界観(背景世界)を共有して創作物を同時多発的に生み出し、さらにそこにファンが二次創作やコスプレの形で創造的に参加する「メディアミックス」は、日本のアニメーションを中心とするコンテンツ産業の特徴的手法とされ、Marc Steinberg 『Anime’s media mix: Franchising toys and characters in Japan』(2012)以降、アニメの学術研究の新しい領域として注目を集めている。本フォーラムではSteinbergの議論では不十分であったメディアミックスの東アジアでの歴史的な起源について中・日双方から検証したい。
<もくじ>
【開会挨拶1】
董 炳月(中国社会科学院文学研究所研究員)
【開会挨拶2】
徐 滔(北京外国語大学日本語学院院長)
【講演1】 「翼賛一家」とメディアミックスの日本ファシズム起源
大塚 英志(国際日本文化研究センター教授)
【講演2】 日本アニメにおける『西遊記』のアダプテーション
―変異するキャラクター―
秦 剛(北京日本学研究センター教授)
【総合討論】 メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開
モデレーター 顔 淑蘭(中国社会科学院文学研究所助理研究員)
討論者 古市 雅子(北京大学マンガ図書館館長准教授)
陳 龑(東京大学総合文化研究科博士課程)
講師略歴
あとがきにかえて
陳 龑(東京大学総合文化研究科博士課程)
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2021.06.11
下記の通り第16回SGRAカフェを開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。
テーマ:「安全であること―環境と感覚、ジェンダー、人種、セクシュアリティから考える―」
日 時:2021年7月17 日(土)午後3時~4時30分
方 法: 会場(定員20名)とオンライン(Zoom)開催
会 場:Impact Hub Kyoto (〒602-8061京都市上京区油小路中立売西入ル甲斐守町97番地西陣産業創造會舘(旧西陣電話局)2階・3階)
言 語:日本語
主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
申 込:こちらよりお申し込みください
お問い合わせ:SGRA事務局(
[email protected] +81-(0)3-3943-7612)
■ テーマ「安全であること―環境と感覚、ジェンダー、人種、セクシュアリティから考える―」
日本社会は「安全」だと言われているが、「安全」であるということは何を指しているのだろうか?本イベントでは、様々な立場や視点から「安全」の意味および基準を考え直し、社会的な構造・環境と、その構造が個人に及ぼす影響について対談する。コロナ時代となった現在は社会格差が広がり、弱い立場にいる人たちがより危険な状況に陥りやすくなっている。ジェンダーや人種、セクシュアリティなど、様々な視点と立場から安全および社会における差別・不平等について話し合う。できるだけ多くの人々にとってより安全な社会をつくるために、自分は何ができるのか?自分にとって安全な場所を見つけるために何をすればいいのか?身近な問題から社会的な構造まで、安全について考えてみよう。
性暴力被害者の支援をしている中島氏やBLM活動をしているジャクソン氏、シェルター運営者など、さまざまな視点から安全について話し合う。本イベントの目的は、日本にいる人々の経験を知り、「知る」ことから活動につなぐことである。「安全」という単純に思われている概念を考え直し、自分は本当に「安全」と感じているかということを、参加者に考えてもらいたい。自分のまわりを安全にするため、もっと安全な環境を見つけるためにはどうすればいいのか、という実践的な話にまでつなぎたい。
会場とオンライン方式の同時開催で、質問はトークの中で受け付ける。東京の渥美財団ホールともオンラインでつなぎ、渥美奨学生有志がディスカッションに参加する。
■プログラム
登 壇 者
スピーカー:
中島幸子(NPO法人レジリエンス)
キナ・ジャクソン(BLM関西、Black Women in Japan)
いくのがくえんスタッフ
司会/モデレーター:ソンヤ・デール(SGRA関西)
サポート:イザベル・ファスベンダー(同志社女子大学)
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2021.05.26
第19回日韓アジア未来フォーラム/제19회 한일아시아미래포럼
<Program (Japanese)>
<Program (Korean)>
<Lecture1>
「岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか-日本の立場から」
「기로에 선 한일관계 : 이제 무엇을 해야 하는가 - 일본의 입장에서 」
小此木 政夫 / 오코노기 마사오
Presentation Note(Japanese)
Presentation Note(Korean)
<Lecture2>
「岐路に立つ日韓関係 : これからどうすればいいか-韓国の立場から」
「기로에 선 한일관계 : 이제 무엇을 해야 하는가 - 한국의 입장에서」
李 元徳 / 이원덕
Presentation Note (Japanese)
Presentation Note(Korean)
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2021.05.24
第19回日韓アジア未来フォーラム/제19회 한일아시아미래포럼 -Presentation Notes-
<Program (Japanese)>
<Program (Korean)>
<Lecture1>
「岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか-日本の立場から 」
「기로에 선 한일관계 : 이제 무엇을 해야 하는가 - 일본의 입장에서 」
小此木 政夫 / 오코노기 마사오
Presentation Note(Japanese)
Presentation Note(Korean)
<Comment1>
沈揆先 / 심규선
Comment Note(Korean)
<Lecture2>
「岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか-韓国の立場から」
「기로에 선 한일관계 : 이제 무엇을 해야 하는가 - 한국의 입장에서」
李 元徳 / 이원덕
Presentation Note (Japanese)
Presentation Note(Korean)
<Comment2>
伊集院敦 / 이쥬인 아쓰시
Comment Note(Japanese)
<Discussion1>
金志英 / 김지영
Discussion Note(Korean)
<Discussion2>
小針進 / 고하리 스스무
Discussion Note(Japanese)
<Discussion3>
西野純也 / 니시노 준야
Discussion Note(Japanese)
<Discussion4>
朴栄濬 / 박영준
Discussion Note(Korean)
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2021.05.06
3月20日(土)、第15回SGRA-Vカフェが開催された。コロナ禍のためオーディエンスは全員オンラインで参加する形式で行われたが、オンラインだからこそ日中韓「同時通訳・同時翻訳付き」の3言語開催が実現できたとも言える。今回の企画・準備・運営においては、新型コロナウィルス対策や新たなオンラインの可能性を探るさまざまな試みが行われ、視聴者の積極的な参加と財団スタッフの努力によって、世界中から集まった200人を超える参加者を満足させるウェビナーに「仕上げ」ることができた。
今回のテーマ設定の背景にささやかなストーリーがある。2年前に日中映画に関するSGRAチャイナフォーラムが北京で開催されたことをきっかけに、私は「いつか“アニメ”に関連するテーマも取り扱ってみたい」と思い始め、2019年度のチャイナフォーラムで大塚英志先生をお誘いして日本のマンガ・アニメ業界の特徴とされている「メディアミックス」について語っていただいた。その際の反響が良かったので、今度は東京で開催するSGRAカフェでもアニメに関連するテーマを取り上げたいという思いがあった。当初は「アニメの文化研究」をテーマに、と考えたが、具体的な話の「入口」がなかなか決まらなかった。その理由は、アニメ研究の歴史はあまり長くないにもかかわらず、メディアの発展に伴いアニメ自体の在り方も急速に変化し続けているということ、また、代表的な作品・作家・時代と現象の事例が意外と多いと言うことからであった。
悩んでいた時に、タイミングよく話題作が現れた…!――『鬼滅の刃』である。興行収入が『千と千尋の神隠し』を抜いて歴代ランキング第1位になり、原作のファンだけではなく、世界中のアニメファンやそれまでアニメに興味が無かった人々からも注目を集めていた。そこで早速、アニメーション研究家の津堅信之先生に「『鬼滅の刃』からみた日本アニメの文化力」というテーマをお伝えし、講演内容を考えていただいた。偶然にも津堅先生の著書は中国語と韓国語にも翻訳されていたので、今回の3言語開催のウェビナーにとっては最適なゲストだったと言えよう。
当日は、同時通訳はもちろん、投影されるスライドも3言語対応で用意された。また、ウェビナーのQ&Aに寄せられたコメントをリアルタイムで3言語に翻訳するべく、渥美奨学生のみなさんもオンラインで待機してくださった。定時に開会後、2016年度奨学生の全相律さん(韓国出身)が渥美財団とSGRAの紹介をし、筆者(中国出身)から講演ゲストの津堅先生を紹介した。この部分のアレンジも運営側の特別な手配がうかがえる。
第1部の津堅先生の講演は、『鬼滅の刃』がヒットした理由の分析とその実像の説明から始まった。そして、実は『鬼滅』の劇場版(或いは映画版)は原作のファンをターゲットにして制作されただけで、そのビジネスモデルははるか前から日本のアニメ業界で形成されていたもので、一般人にまで広まる空前の大ヒットとなることは誰も想像だにしなかった、と説明された。スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫は、「(興行収入)100億円までは作品の実力、それ以上は社会現象」と語っている。今回その「社会現象」が起きた理由については様々な専門家が分析しているが、津堅先生は無視できない事実として2点挙げられた。一つは、新型コロナウィルスの感染拡大によって、多くの映画の公開が延期になり、映画館に生じた空き時間に『鬼滅』が集中的に上映されたこと。実際、とある映画館の4つのスクリーンで、15分おきに上映が始まるという普段ではありえない状況が起きていた。
もう一つは、劇場版の『鬼滅』の映像美やストーリー性の高さが原作のファンを満足させる質の高いものだったため、初期の段階で見に行った原作ファン(10日間で100億円を超えた)の口コミがかなり良く、原作ファン以外の観客も「それほど評判なら一度は見に行こう」と考え、非常に大きな相乗効果が生まれ、その「相乗効果」が「興行収入歴代トップ」の結果をもたらした。余談として、『鬼滅』の中で、「全集中」という言葉が出てくるが、これが実社会でもあらゆる場面で使われ、津堅先生によると「総理大臣が国会でも使っていた」とのことだった。(注:2020年11月2日の衆院予算委員会で『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と答弁。江田憲司立憲民主党代表代行の質問に)
では、この大ヒットとなった『鬼滅の刃』現象は日本アニメの歴史の中ではどのように位置づけられるだろうか。津堅先生は、1960年代から日本アニメがたどってきた道を整理しながら、その「魅力」がどこにあるのを分析された。
戦後の代表作で日本初の長編アニメ『白蛇伝』の公開後、1963年の『鉄腕アトム』テレビシリーズが日本アニメの「特徴」と「伝統」を作り上げた。毎週30分が1話のサイクルで放映するパターンの定着である。当時は世界でもテレビアニメの供給がまだ少なかった時期で、先行していたアメリカのテレビアニメは1話5~10分の長さでギャグネタを1つだけ紹介するのが主流だった。それに対して、日本アニメは1話が30分だったので、キャラクターの感情をより豊かに描くことができた。その後、時代の変化と共にテレビアニメが多く制作されるようになった現在でも、この1話30分パターンが続いている。
70年代に入るとテレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト』(1974年)と『機動戦士ガンダム』(1979年)が子ども向けではない複雑なストーリー、キャラクターの心理描写を重視し、「ヤングアダルト」向けという世界的に見て稀なジャンルを確立した。この頃からテレビアニメの人気作において、オリジナルのストーリーから長編アニメが制作され、映画館で公開される「劇場版」という新ジャンルが生まれた。以上の2点から、人気マンガを原作としてテレビアニメ化し、その後劇場版をつくるという一連の制作スタイルが一つの定型となり、これが『鬼滅の刃』へとつながっている。
80年代のアニメ業界はマンガ雑誌「週刊少年ジャンプ」連載のテレビアニメ化の全盛期を迎え、代表作の数々(『ドラゴンボール』『SLAM DUNK』『幽☆遊☆白書』『るろうに剣心』『One Piece』など)が、それぞれ異なるブームを形成した。スタジオジブリの活動が本格化した時期も80年代。宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』(1984年)、『天空の城ラピュタ』(1986年)、『となりのトトロ』(1988年)など現代を鋭く批判し社会性を帯びた一連の作品が、それまでアニメに興味のなかった観客からも注目された。
90年代以後、人気マンガが原作の制作スタイルとジブリのオリジナルアニメ映画がそれぞれの発展を果たし、それに加えてアニメ制作におけるデジタル化が進み、日本独自のデジタル技術が発達した。
以上のように日本アニメの歴史を整理した後、津堅先生が日本アニメの「独自性」と「文化力」をまとめた。ジャンルが多様でヤングアダルト向け、また、3DCG(=3ディメンション・コンピュータグラフィックス)ではなく2D(=2ディメンション)デジタルを中心に発展してきた日本アニメが、国外に対する新たな日本文化として発信され、アニメの舞台になった国内スポットが注目されたり、登場する日本食が流行したりする現象をもたらした。
盛りだくさんだった講演後、第2部の対談では私自身がインタビュアーとなり、津堅先生と3つの話題を中心に語ってみた。まずは、講演の中では触れられていなかった『鬼滅』の内容について、主人公のキャラクター設定が従来の「ジャンプ系主人公」より「成長のスピードが遅い」「相対的に弱い」点についてお話を聞いた。津堅先生からみれば、これまでと大きな違いはなく、やはり日本アニメの伝統通り主人公が成長するプロセスを強調しながら表現している、と述べられた。また、「これから誰が日本アニメを見るのか」「観客の多様化や変化は日本アニメに影響するか」という話題に対しては、海外の観客が大幅に増えていることを前提として、日本アニメ自体を最初から世界向けに企画・制作すべきだというのが津堅先生のご意見だった。
最後に、津堅先生の研究の重要な論点の一つと繋がる「アニメ」と「アニメーション」の使い分けについて伺った。津堅先生は商業的アニメと芸術系のアニメーションの区別や、ファミリー向けと大人向けのジャンル分け、および制作スタイルの違いあるいは地域などによって言葉の定義が異なると説明された(例えば欧米では、ポケモンはファミリーの棚に、ジブリが「アニメ」に、ディズニーが「アニメーション」になど;中国でも「動画」「動漫」などがある)。また、こうした言葉の使い分けについては、地域の文化の中での変遷を分析することで理解が進むと強調された。
第3部のオーディエンスからのQ&Aでは、多くの質問の中から2012年度渥美奨学生のソンヤ・デールさんに代表的な内容をピックアップしてもらい、「日本アニメの海外展開」や「アニメ研究を始めたきっかけ」、「日本アニメの暴力表現」などについて津堅先生と筆者とがそれぞれの経験と理解からお答えした。
3言語「同時通訳・同時翻訳」を実現した初のオンライン版SGRAカフェが終わったが、SGRAでは今回の経験を生かして「次は英語の同時通訳もつけてさらにグローバルに発信する」を目指すらしい。今後のウェビナーがどのような「盛り上がり」を見せるのか、楽しみである。
当日の写真
フィードバックの集計
当日の録画
英語版はこちら
<陳龑(ちん・えん)CHEN Yan>
京都精華大学マンガ学部専任講師。2017 年度渥美奨学生。北京大学学士、東京大学大学院総合文化研究科修士・博士課程単位取得満期退学。研究領域はアニメーション史、日中アニメ・マンガ交流史、「動漫」「IP」の概念史など。研究以外、マルチクリエイター・プロデューサーとして日中コンテンツ業界にて活動中。
2021年5月6日配信
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2021.04.11
下記の通り日韓アジア未来フォーラムをオンラインにて開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。
テーマ:「岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか」
日 時: 2021年5月29日(土)14:00~16:20
方 法: Zoomウェビナー による
言 語: 日本語・韓国語(同時通訳)
主 催: (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会 [SGRA] (日本)
共 催: (財)未来人力研究院(韓国)
申 込: こちらよりお申し込みください
お問い合わせ:SGRA事務局(
[email protected] +81-(0)3-3943-7612)
■ 概要
歴史、経済、安保がリンケージされた複合方程式をうまく解かなければ、日韓関係は破局を免れないかもしれないといわれて久しい。日韓相互のファティーグ(疲れ)は限界に達し、日韓関係における復元力の低下、日米韓の三角関係の亀裂を憂慮する雰囲気は改善の兆しを見せていない。尖鋭な対立が続いている強制徴用(徴用工)及び慰安婦問題に関連し、韓国政府は日本とともに解決策を模索する方針であるが、日本政府は日本側に受け入れられる解決策をまず韓国が提示すべきであるという立場である。なかなか接点を見つけることが難しい現状である。これからどうすればいいか。果たして現状を打開するためには何をすべきなのか。日韓両国政府は何をすべきで、日韓関係の研究者には何ができるか。本フォーラムでは日韓関係の専門家を日韓それぞれ4名ずつ招き、これらの問題について胸襟を開いて議論してみたい。日韓の基調報告をベースに討論と質疑応答を行う。
■ プログラム
◇司会
金雄煕(キム・ウンヒ) … 仁荷大学教授
◇開会の辞
今西淳子(いまにし・じゅんこ) … 渥美国際交流財団常務理事・SGRA代表
第1部・講演とコメント(14:05~15:05)
<講演1> 小此木 政夫(おこのぎ・まさお) … 慶応義塾大学名誉教授
「岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか-日本の立場から」
<コメント> 沈揆先(シム・キュソン) … ソウル大学日本研究所客員研究員
<講演2>李元徳(イ・ウォンドク) … 国民大学教授
「岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか-韓国の立場から」
<コメント> 伊集院敦(いじゅういん・あつし) … 日本経済研究センター首席研究員
第2部・自由討論(15:05~15:45)
講演者と討論者の自由討論
◇討論者
金志英(キム・ジヨン) … 漢陽大学副教授
小針進(こはり・すすむ) … 静岡県立大学教授
西野純也(にしの・じゅんや) … 慶応義塾大学教授
朴栄濬(パク・ヨンジュン) … 国防大学教授
第3部・質疑応答(15:45~16:15)
Zoom ウェビナーのQ&A機能を使い質問やコメントを視聴者より受け付ける
◇閉会の辞
徐載鎭(ソ・ゼジン) … 未来人力研究院院長
韓国語版サイト
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2021.03.18
Program : プログラム 会议流程 會議流程 프로그램
Note : 補足資料 补充材料 補充材料 보조자료
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2021.02.18
「第5回⽇本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」が2021年1月9日に開催された。今回のテーマは「19世紀東アジアにおける感染症の流⾏と社会的対応」だった。前年2020年1月にフィリピンで開かれた「第4回国史たちの対話」の際に、いやCOVID-19の感染が広がってからでも、この危機が今年まで続くとは予想できなかった。第4回の対話で三⾕博先生が、19世紀の東アジアの感染症に関するテーマに言及されたが、先見の明を示されたと思う。この時代にふさわしい議論のテーマだった。
対話はオンラインで行われた。技術の発展によって私たちは今のような危機の中でも対話できる方法を見出したのだ。しかし、この便利さの裏には、新しい方法を皆が円滑に使えるように準備した事務局方々がいたことを忘れてはならないだろう。事前に数多くのリハーサルがあり、当日も午前から準備が行われていた。
これまでは、多くの発表者と討論者を招待して、2日から3日間の会議の形で対話を実施してきた。しかし今回は、各国から招く発表者と討論者を1人ずつにすることで、効率的に参加者が集中できる環境を作り出すことができた。時間により変化したが、参加者は発表者・討論者(パネリスト)が38名、一般参加者が93名、同時通訳を含むサポートが20名で計151名だった。
対話は2つのセッションに分けて行われた。第1セッションでは村和明先生の司会で3つの発表と指定討論があり、第2セッションでは南基正先生の司会で自由討論が行われた。すべてのセッションの後に、発表者やパネリストが自由に会話できる懇親会も行われた。
第1セッションでは今西淳子渥美財団常務理事の歓迎挨拶と、趙珖韓国国史編纂委員会委員長の開会挨拶があった。趙珖委員長は、19世紀的なパンデミックに関する問題の研究は21世紀の今日、Post-COVID19で展開されている新しい「インターナショナル」な問題解決の一つの規範を与えるとして、国史たちの対話の意義が継続されることを望むと述べた。
最初の発表は朴漢珉先生(東北亜歴史財団)の「開港期朝鮮におけるコレラ流⾏と開港場検疫」だった。朝鮮初期の開港地である釜山、仁川、元山では典型的な感染症であるコレラの流行で検疫問題に悩まされた。3ヵ所の港では、いずれも各国の自国民保護と経済的な利害関係が相反する様相を見せた。朝鮮政府は経験を蓄積し、1887年に朝鮮政府検疫章を制定し、それは1893年まで続いた。
2番目の市川智⽣先生(沖縄国際大学)の発表は「19世紀後半⽇本における感染症対策と開港場」だった。市川先生は、朴先生の発表と似た主題および問題意識を持って研究を進めていたことに驚いたと述べ、互いに研究に役立てることに期待を表明した。今回の発表では、日本の開港場である横浜、長崎、神戸を対象とし、日本人社会と外国人社会の関係に注目した。混乱した時代を経て、1890年代以降日本政府の感染症対策の一元化が行われていった。
3番目は余新忠先生(南開大学)の「中国衛⽣防疫メカニズムの近代的発展と性格」だった。前二者と異なり、中国で衛生が持つ意味と実態、そして近代以降の変化を巨視的な眼目から見た研究だった。また、現在の状況との比較を通じて、国や地域、個人の役割についても共に考えるテーマを提示した。
続いて、3つの発表に対する指定討論が行われた。指定討論者も3国の研究者で構成された。(金賢善先生:明知大学、塩出浩之先生:京都大学、秦方先生:首都師範大学)。指定討論では討論の対象となる発表を「指定」せず、全テーマを対象にする討論を要請、より幅広い議論が展開された。伝統的な衛生防疫の意味、近代以降の国家が防疫を主導するようになる過程、感染症がもたらした近代化に伴って出現した「区分」の無形化とともに、衛生と防疫をどの国家が主導するかをめぐる競争もあったことが指摘された。一方、植民地での衛生や防疫問題、国家より下位の単位、国家と底辺をつなぐ共同体への関心も必要だという提言もあった。
第2セッションは自由討論だった。自由討論に先立ち、 劉傑先生(早稲田大学)による論点整理があった。発表の内容とともに、事前に提出されたパネリストからの質問で共通に提起された問題についても整理をした。国境を越える人々によって広がる感染症に対応するための優先的な方法は国家の国境封鎖であり、これは主権の問題であったこと、しかし、情報の共有と国境を越えた対応が重要な課題として浮上したこと、予防と治療には国家-地域-個人ネットワーク、コミュニティの役割が重要であること、それに内包される共存性と対立性をどのように理解するかについて、アプローチする余地があるだろうなどと指摘された。
続いてパネリストによるコメントと質問。直接発言だけでなく、チャット機能を利用して質問してくださった方もいた。感染症は昔から権力者に対する不信感を呼び起こし、したがって近代以降も感染症は国民の政治意識およびその変化と密接な関連を持つようになったこと、主権と感染症の間の力関係、各国の民衆意識および民族主義の高揚との関係、感染症流行時の3国の情報共有と共同対応の様相などについての質問が寄せられた。これに対しては、発表者から丁寧な回答があり、指定討論者とパネリストの補足コメントが相次ぎ、時間が足りないほどであった。
自由討論の名残惜しさを残し、宋志勇先生(南開大学)の総括、明石康先生のコメントが続いた。歴史の1ページに残すに値する時期に適切なテーマの「対話」であり、グローバル化の中での各国の社会的責任、発信すべき社会的メッセージを考えさせる時間であった。各国がより自由に互いに学ぶ立場でグローバルな解決策を模索することができるので、互いの視点を比較して分析することがこの集まりの問題意識であるということは、未来的かつ地球的に重要だと思う、という言葉を残した。
三⾕博先生(跡見学園女子大学)は閉会挨拶で、①パンデミックという事態によって再び分断が生じたり拡大したりしてはいけないという事実が明らかになった②この会議が国家-民衆-学者間の協力関係を開いていく重要な契機になると期待する③「国史たちの対話」の趣旨は国家間の葛藤をどのように克服するかにあり、オンラインの限界にかかわらず、重要なことを成し遂げた④歴史学が持つ限界を乗り越えるのに今回の対話が出発点になれば嬉しい、と語った。最後に翻訳と同時通訳をしてくれた方々、そして渥美財団の元奨学生たちに感謝の言葉を述べた。また、今日集まった方々が個人的にもこれからもずっと交流してほしいという希望を述べた。
会議が終了してから、非公式の、自由な「対話」が懇親会という形で行われた。フィリピンで開催された「第4回国史たちの対話」で会った方々は、1年ぶりの「再会」で和気あいあいと会話を交わした。「 第5回対話」に初めて参加した方々もすぐに親しくなった。たまに硬くない共通テーマで、飲み物とおつまみを用意してこんな風にオンラインで会うのも良いのではないかと思う。紙幅の制限により参加された方々の発言内容を十分に紹介できなかったことを残念に思う。
当日の写真
アンケート結果
中国語報告
韓国語報告
■ 金キョンテ(キム・キョンテ)Kim Kyongtae
韓国浦項市生まれ。韓国史専攻。高麗大学韓国史学科博士課程中の2010年~2011年、東京大学大学院日本文化研究専攻(日本史学)外国人研究生。2014年高麗大学韓国史学科で博士号取得。韓国学中央研究院研究員、高麗大学人文力量強化事業団研究教授を経て、全南大学歴史敎育科助教授。戦争の破壊的な本性と戦争が荒らした土地にも必ず生まれ育つ平和の歴史に関心を持っている。主な著作:壬辰戦争期講和交渉研究(博士論文)
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2021.01.25
下記の通り第15回SGRA-Vカフェをオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。
テーマ:「『鬼滅の刃』からみた日本アニメの文化力」
日 時:2021年3月20 日(土)午後3時~4時30分(日本時間)
方 法: Zoomウェビナー による
言 語: 日中韓3言語同時通訳付き
主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
申 込:こちらよりお申し込みください
お問い合わせ:SGRA事務局(
[email protected] +81-(0)3-3943-7612)
■ テーマ「『鬼滅の刃』からみた日本アニメの文化力」
昨年の長編アニメ『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の大ヒットは、日本の現代文化におけるアニメ の強さをあらためて印象づけた。一方でアニメは大衆文化の中でも日陰の存在だった時期は長く、決して順調に発展してきたわけではない。そんなアニメが現在に至る歴史、世界的視野からみた独自性の確立、これまでにヒット・注目された作品の特徴、そしてアニメがこれからも発展し、日本を代表する大衆文化としての力を持続するための課題、展望について解説する。
■ プログラム
第1部(15 :00-15:30)
司会: 陳 龑(京都精華大学マンガ学部専任講師)
講演「『鬼滅の刃』からみた日本アニメの文化力」
津堅信之(アニメーション研究家、日本大学藝術学部映画学科講師)
第2部(15:30-16:00)
対談/インタビュー
津堅信之×陳 龑
第3部(16:00-16:30)
質疑応答(会場+オンライン)
韓国語版サイト
中国語(簡体字)版サイト
中国語(繁体字)版サイト