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2018.04.26
2018年3月16日(金)、The-Kホテルソウルで第17回日韓アジア未来フォーラムが開催された。今回のフォーラムのテーマは、2016年2月に東京で開催された第15回日韓アジア未来フォーラム「これからの日韓の国際開発協力:共進化アーキテクチャの模索」、2016年10月1日に北九州で開催された第3回アジア未来会議の自主セッション「アジア型開発協力の在り方を探る」、そして2016年12月に仁川松島で開催された第16回日韓アジア未来フォーラム「日中韓の国際開発協力:新たなアジア型モデルの模索」における各議論を受け、「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」となった。今年の8月24日から同じ場所で開催する第4回アジア未来会議のプレ・カンファランスでもあった。
今後、北朝鮮の非核化問題がいかなる方式で解決されようとも、北朝鮮に対する開発支援はこれからの交渉プロセスや問題の解決以降において、韓国や日本を含め、国際社会が避けては通れない重要な課題である。今回のフォーラムでは、北朝鮮への開発協力に対する体系的な理解を深めるとともに、主なアクターたちの対北朝鮮支援のアプローチとその現状について議論し、新たな開発協力モデルの可能性を探った。
フォーラムでは、渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)の今西淳子(いまにし・じゅんこ)代表による開会の挨拶に続き、3名の専門家による報告が行われた。まず、孫赫相(ソン・ヒョクサン)慶熙大学公共大学院院長が「北朝鮮開発協力の包括的理解と多様なアプローチ」というタイトルで、北朝鮮開発協力をめぐる争点(食糧援助は必要か、援助の目的は何か、援助物資の引き渡し過程は透明か、援助活動におけるNGOの役割は何かなど)、北朝鮮開発協力の歴史と現状、そして市民社会(NGO)、国際機構、人道的支援、体制転換国の開発モデル、技術協力など多様なアプローチについて紹介した。
朱建栄(しゅ・けんえい)東洋学園大学人文学部教授は、「中国と北朝鮮の関係につむじ風――その変化に注目せよ」という題で、第二次大戦後の長きにわたって、北朝鮮を事実上、自国の安全保障の緩衝地帯と見做し、ピョンヤンに対して惜しまない経済支援を行ってきた中国が、北朝鮮の核開発に危機感を高めた2年前から「優先目標の非核化に経済関係を服従させる」政策を取り始め、2017年12月、空前に厳しい国連安保理の制裁決議にも同調したことに注目した。そしてピョンチャン冬五輪後、習近平政権は北朝鮮、及びTHAAD問題を抱える韓国との関係をどのように進めるかについて報告した。
文炅錬(ムン・キョンヨン)全北大学国際人文社会学部教授は、韓国と国際社会の北朝鮮開発協力について、その現状と評価について最新の状況を踏まえながら報告を行った。北朝鮮に対する支援は、他の開発途上国に対する支援とは異なり、支援の主体である韓国および国際社会にとってジレンマを抱える問題であるとした。また国際社会の対北朝鮮支援は人道的レベルの最小限の支援にとどまっており、対北朝鮮支援が始まって20年になる現在でも北朝鮮は依然として救護的性格の緊急支援が必要な状態であると強調した。さらに北朝鮮の非核化問題が進んだ場合、対北朝鮮支援の方向性として、人道的支援から開発協力への転換を模索する必要があると主張した。
コーヒーブレイクを挟んだ討論は、時間の制約でフロアーにオープンすることはできなかったが、それぞれの立場や専門領域を踏まえた内容の濃い議論が展開された。最後に、李鎮奎(リ・ジンギュ)未来人力研究院理事長により、タイムリーなテーマの選定に触れるコメントと閉会の辞で締めくくられた。今回のフォーラムは、最初「北朝鮮開発協力の理解-開発協力のフロンティア」というタイトルがついていたが、参加予定であった日本大使館の方が「開発協力のフロンティア」というサブ・タイトルでは参加しにくいということで変更した経緯がある。今西さんが開会の挨拶で述べられたように、日韓、そして日韓中のプロジェクトは、「なんだか面倒なこと」がとても多いが、それぞれの立場や利害を配慮しながら、目先の変化に惑わされず、地道に進めていくことが大事なのではないかと思う。
これからも、ポスト成長時代における日韓の課題と東アジアの協力について、実りのある日韓アジア未来フォーラムを進めていくためには、具体的な共通の課題について掘り下げた検討を重ねていかなければならない。目下北朝鮮の非核化局面でジャパンパッシング(日本排除)が言われたりするが、いうまでもなく、日本は朝鮮半島の非核化、平和体制の構築、北朝鮮開発協力において欠かせない存在である。今回のフォーラムでは、韓国や中国に比べ、日本の影が薄かったようにも思われる。次回のフォーラムでは、北朝鮮問題を含めて開発協力における日本のプレゼンスに注目しつつ、ここ3か年の成果をまとめあげるといいのではないかと思っている。
最後に17回目のフォーラムが成功裏に開催できるようご支援を惜しまなかった今西代表と李先生、そして8月24日からの第4回アジア未来会議の段取りと予行演習で韓国を訪ねた渥美財団スタッフの皆さんに感謝の意を表したい。
当日の写真
<金雄煕(キム・ウンヒ)Kim_Woonghee>
89年ソウル大学外交学科卒業。94年筑波大学大学院国際政治経済学研究科修士、98年博士。博士論文「同意調達の浸透性ネットワークとしての政府諮問機関に関する研究」。99年より韓国電子通信研究員専任研究員。00年より韓国仁荷大学国際通商学部専任講師、06年より副教授、11年より教授。SGRA研究員。代表著作に、『東アジアにおける政策の移転と拡散』共著、社会評論、2012年;『現代日本政治の理解』共著、韓国放送通信大学出版部、2013年;「新しい東アジア物流ルート開発のための日本の国家戦略」『日本研究論叢』第34号、2011年。最近は国際開発協力に興味をもっており、東アジアにおいて日韓が協力していかに国際公共財を提供するかについて研究を進めている。
2018年4月26日配信
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2018.03.16
SGRAレポート第85号
第17回日韓アジア未来フォーラム
「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」
2019年11月22日発行
<フォーラムの趣旨>
北朝鮮問題がいかなる方式で解決されようとも、北朝鮮に対する開発支援は今後の交渉過程や問題の解決以降においても、韓国や日本を含め、国際社会が避けては通れない重要な課題である。本フォーラムでは、北朝鮮開発協力に対する体系的な理解を深めるとともに、北朝鮮開発協力における主なアクターたちの対北朝鮮支援のアプローチとその現状について議論し、新たな開発協力モデルの可能性を探ってみたい。今回は、2016年2月に東京で開催された第15回日韓アジア未来フォーラム「これからの日韓の国際開発協力:共進化アーキテクチャの模索」、2016年10月1日に北九州で開催された第3回アジア未来会議の自主セッション「アジア型開発協力の在り方を探る」、2016年12月仁川松島で開催された第16回日韓アジア未来フォーラム「日中韓の国際開発協力-新たなアジア型モデルの模索」における議論を受け、北朝鮮開発援助のあり方について考える。
<もくじ>
【報告1】
「北朝鮮開発協力の包括的理解と多様なアプローチ」
孫 赫相(ソン ヒョクサン)慶熙大学公共大学院院長
北朝鮮開発協力について体系的に理解するために北朝鮮開発協力の歴史と現状、そして多様なアプローチを紹介する。
【報告2】
「中国と北朝鮮の関係につむじ風:
経済協力の紆余曲折と今後の展望」
朱 建栄(しゅ けんえい)東洋学園大学人文学部教授
中国は第2次大戦後の長きにわたって、北朝鮮を事実上、自国の安全保障の緩衝地帯と見なし、ピョンヤンに対して惜しまない経済支援を行ってきた。しかし北朝鮮の核開発に危機感を高めた2年前から、中国は「優先目標の非核化に経済関係を服従させる」政策を取り始め、去年12月、空前に厳しい国連安保理の制裁決議にも同調した。ピョンチャン冬季五輪後、習近平政権は北朝鮮、及びTHAAD問題を抱える韓国との関係をどのように進めるかを発表する。
【報告3】
「韓国と国際社会の北朝鮮開発協力:現状と評価」
文 炅鍊(ムン キョンヨン)全北大学国際人文社会学部助教授
韓国と国連機関による北朝鮮開発協力の現状と課題などについて議論する。
【討論】
◇モデレーター: 金 雄熙(キム ウンヒ)仁荷大学国際通商学部教授
◇討論者: 安 秉民(アン ビョンミン)韓国交通研究院所長
李 鋼哲(り こうてつ)北陸大学未来創造学部教授
李 恩民(り えんみん)桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群教授
李 奇泰(イ ギテ)韓国統一研究院研究委員
講師略歴
あとがき
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2018.02.15
下記の通り日韓アジア未来フォーラムをソウルにて開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。
テーマ: 「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」
日 時: 2018年3月16日(金)午後2時~5時
会 場: 韓国ソウルThe-K Hotel http://www.thek-hotel.co.kr/main_sh.asp
コンベンションセンター2Fオークルーム(Oak Room)
参加費: 無料
お問い合わせ・参加申込み: SGRA事務局(
[email protected], 03-3943-7612)
主 催: (財)未来人力研究院(韓国)
共 催: (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
◇フォーラムの趣旨
北朝鮮問題がいかなる方式で解決されようとも、北朝鮮に対する開発支援は今後の交渉過程や問題の解決以降においても、韓国や日本を含め、国際社会が避けては通れない重要な課題である。
本フォーラムでは、北朝鮮開発協力に対する体系的な理解を深めるとともに、北朝鮮開発協力における主なアクターたちの対北朝鮮支援のアプローチとその現状について議論し、新たな開発協力モデルの可能性を探ってみたい。今回は、2016年2月に東京で開催した第15回日韓アジア未来フォーラム「これからの日韓の国際開発協力:共進化アーキテクチャの模索」、2016年10月1日に北九州で開催した第3回アジア未来会議の自主セッション「アジア型開発協力の在り方を探る」、2016年12月仁川松島で開催した第16回日韓アジアイ未来フォーラム「日中韓の国際開発協力:新たなアジア型モデルの模索」における議論を受け、北朝鮮開発援助のあり方について考える。
【日韓同時通訳付き】
◇プログラム
【報告1】 「北朝鮮開発協力の包括的理解と多様なアプローチ」
孫赫相(ソン・ヒョクサン:慶熙大学公共大学院院長)
【報告2】 「中国と北朝鮮の関係につむじ風――その変化を注目せよ」
朱建栄(しゅ・けんえい:東洋学園大学人文学部教授)
【報告3】 「韓国、国連の北朝鮮開発協力:現状と評価」
文炅鍊(ムン・キョンヨン:全北大学国際学部准教授)
【フリーディスカッション】
-報告者を交えたディスカッションとフロアとの質疑応答-
◇モデレーター
金雄煕(キム・ウンヒ:仁荷大学国際通商学科教授)
◇討論者
李恩民(リ・エンミン:桜美林大学教授)
李鋼哲(り・こうてつ:北陸大学教授)
李元徳(リ・ウォンドク:国民大学教授)
朴栄濬(パク・ヨンジュン:国防大学教授)
他
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2017.07.22
SGRAレポート80号
SGRAレポート80号(表紙)
第16回日韓アジア未来フォーラム
「日中韓の国際開発協力-新たなアジア型モデルの模索-」
2017年5月16日刊行
<もくじ>
はじめに:金 雄煕(キム・ウンヒ、仁荷大学国際通商学科教授)
【報 告1】「中国的ODAの展開:レシピエントの視点」
李 恩民(桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群教授)
【報 告2】「開発協力に対するアジア的モデルの可能性の模索:北東アジア供与国間の収れんと分化」
孫 赫相(慶熙大学公共大学院院長・韓国国際開発協力研究センター所長)
【ミニ報告及び討論1】「国際開発協力におけるアジア・モデル構築に向けて」
李 鋼哲(北陸大学未来創造学部教授)
【討論2】金 泰均(ソウル大学国際大学院教授兼副院長)
【自由討論】上記報告者、渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究者
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2017.01.26
2016年12月1日(木)、韓国仁川市松島コンベンシアで第16回日韓アジア未来フォーラムが開催された。今回のフォーラムは、多様な分野における東アジア各国の日本研究の専門家が知識を共有できる貴重な場として設立された「東アジア日本研究者協議会」第1回国際学術大会の共同パネルで、テーマは「日中韓の国際開発協力-新たなアジア型モデルの模索」であった。2016年2月に東京で開催された第15回日韓アジア未来フォーラム「これからの日韓の国際開発協力:共進化アーキテクチャの模索」、2016年10月1日に北九州で開催された第3回アジア未来会議の自主セッション「アジア型開発協力の在り方を探る」における議論を受け、日韓に中国を含めて東アジアの開発援助のあり方について、モデル構築の可能性を念頭に置きながら考えた。
フォーラムでは、渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)の今西淳子(いまにし・じゅんこ)代表による開会の挨拶に続き、これまでのODA関連フォーラムの経緯と議論を受け、日中韓の研究者が比較の視座に立ち、アジア型開発援助モデルの収れんの可能性について論じた。まず李恩民(リ・エンミン)桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群教授は、「中国的ODA」(The Chinese-style ODA)について、中国が開発途上国として日本などからODAの供与を受ける一方で、外交の一環として第三世界に属するアジア・アフリカ・ラテンアメリカ・太平洋諸国に政治色の強い「対外援助」を実施していることを指すと定義した。そして、アジア・アフリカ、特に隣国であるベトナムとモンゴルなどへの政治的・経済的援助等に焦点を当てて、「中国的ODA」展開のプロセスを究明し、レシピエント(被援助地域)の視点からその歴史と効果を検討し、「中国的ODA」の内実と本質に迫った。
孫赫相(ソン・ヒョクサン)慶熙大学公共大学院院長は、「開発協力に対するアジア的モデルの可能性の模索:北東アジア供与国間の収れんと分化」というタイトルで、経済発展段階における韓国、日本、中国の同質性と異質性が対外戦略と連携した開発協力ではいかなる様相に収れんし分化するのかについて考察し、開発協力におけるアジア的アプローチの可能性について報告した。現段階における性急なモデル化の試みには慎重な立場をとりながらも、国連の持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)など国際規範の拡散などを軸としたアジア型モデルの収れんの可能性に触れた。また、ODAに変わる概念枠組みとして持続可能な開発のための「総合的開発支援(TOSSD: Total Official Support for Sustainable Development)」を用いて、中国の国際開発協力を国際比較の視座で議論できるとした。さらに、アジア型開発協力モデルの模索において、3 カ国による開発事業の共同実施や開発経験の共有、北朝鮮開発支援がいかなる意味合いや重要性を持つかについても言及した。
李鋼哲(り・こうてつ)北陸大学未来創造学部教授は、日中韓を始めとするアジア諸国は先進国からの援助を受けて経済成長を成し遂げており、既に先進国になった日本、先進国仲間入りを果たした韓国、そして未だに発展途上国である中国の国際開発協力は、それぞれの特徴をもちながらも、共通点が多いとした。そして日中韓3カ国の援助アプローチは、国際援助コミュニティーに支配的な援助アプローチと異なる、2つの基本的な特徴、即ち、「内政不干渉」の原則と「援助・投資・貿易の相乗効果」の重視を共有すると主張した。
その後、討論者の金泰均(キム・テギュン)ソウル大学国際大学院教授は、国際開発協力の「アジア型モデル」を議論する上では、3カ国のODAのウィンウィン戦略(モデリング)、3カ国の開発援助の特質、そして受援国(パートナー国)にとってもウィンウィン戦略になるかなどの視点をバランスよく考えるべきだとした。そして「内政不干渉」の原則をめぐる日韓と中国の認識の相違、開発援助(とりわけ、対アフリカ援助)における雁行モデル的な展開にみられる援助レジームの共通点と相違点、開発援助の担い手としての各国政策金融機関による国際開発金融機関(MDB: multilateral Development Bank)のセイフガード3原則(環境破壊、強制移住、人権蹂躙の禁止)などの共有を通じた国際開発協力の「アジア型モデル」の収れん可能性について議論した。
時間の制約で討論をフロアーにオープンすることはできなかったが、それぞれの立場や専門領域を踏まえた、そして自分の夢が込められた素晴らしい討論が交わされた。最後は、北朝鮮・統一専門家でもある徐載鎭(ソ・ゼジン)未来人力研究院院長により、北朝鮮に対する開発支援の重要性に触れるコメントと閉会の辞で締めくくられた。
これからも日韓アジア未来フォーラムで「ポスト成長時代における日韓の課題と東アジア協力」について、実りのある議論を展開していくためには、総論的な検討にとどまらず、ODAフォーラムのように具体的なイシューにおいて掘り下げた検討を重ねていかなければならない。次年度も前2回のODAフォーラムの延長としてODA問題を取り上げることになるが、次回のフォーラムに当たっても、引き続き国際開発協力における中国のプレゼンスにも注目しつつ、北朝鮮に対する開発支援をめぐる日中韓の協力の可能性を1つの軸に設定して進めていくと良いのではないかと思う。それによって「アジア型ODA」の課題も浮き彫りになるだろうし、ODAの理念にもどって、理論的に検討できるのではないか。最後に、このフォーラムの成功のためにご支援をいただいた李鎮奎未来人力研究院理事長と今西代表 、そして大統領の弾劾に向けたキャンドル集会の真っただ中で韓国を訪ねた発表者と渥美財団スタッフの皆さんに感謝の意を表したい。
当日の写真
<金雄煕(キム・ウンヒ)Kim Woonghee>
89年ソウル大学外交学科卒業。94年筑波大学大学院国際政治経済学研究科修士、98年博士。博士論文「同意調達の浸透性ネットワークとしての政府諮問機関に関する研究」。99年より韓国電子通信研究員専任研究員。00年より韓国仁荷大学国際通商学部専任講師、06年より副教授、11年より教授。SGRA研究員。代表著作に、『東アジアにおける政策の移転と拡散』共著、社会評論、2012年;『現代日本政治の理解』共著、韓国放送通信大学出版部、2013年;「新しい東アジア物流ルート開発のための日本の国家戦略」『日本研究論叢』第34号、2011年。最近は国際開発協力に興味をもっており、東アジアにおいて日韓が協力していかに国際公共財を提供するかについて研究を進めている。
2017年1月26日配信
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2016.11.14
下記の通り、第16回日韓アジア未来フォーラムを開催します。参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局(
[email protected] )へお名前、ご所属、連絡先、懇親会の出欠をご連絡ください。
日 時: 2016年12月1日(木)午前10時50分~午後12時20分
会 場: 韓国仁川松島コンベンシア(Songdo Convensia)
主 催:(財)未来人力研究院(韓国)
共 催:(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
申込み・問合せ:SGRA事務局
電話:03-3943-7612 Email:
[email protected]
フォーラムの趣旨
日本には、経済発展と省エネルギー・環境の両立、防災、 高齢化社会対応など課題先進国ならではの技術と知識、それに経験がある。圧縮成長を成し遂げ、さらに経済危機を乗り越えてきた韓国の経験もアジア地域における将来の発展に貴重な手掛かりを提供すると期待されている。近年は中国も、急速に援助量を増加させており、国際世論を意識しながら対外援助をさらに充実させようとしている。今後日中韓は、これらの知的資産を活用しながら、三ヶ国の切磋琢磨を通じて、質量ともに開発援助の向上を図るべきであろう。本フォーラムでは、日中韓が協力し、競争し合いながら、ともに進化し、開発協力の「アジアモデル」とでもいえるようなアーキテクチャを創り上げる可能性も視野に入れながら、議論を展開したい。今回は、2016年2月に東京で開催された第15回日韓アジア未来フォーラム「これからの日韓の国際開発協力:共進化アーキテクチャの模索」、2016年10月1日に北九州で開催された第3回アジア未来会議の自主セッション「アジア型開発協力の在り方を探る」における議論を受け、日韓に中国を含めて東アジアの開発援助のあり方を考える。日韓同時通訳付き。
<プログラム>
司会:金 雄煕(キム・ウンヒ、仁荷大学国際通商学科教授)
開会の辞:今西淳子(いまにし・じゅんこ、渥美国際交流財団常務理事・SGRA代表)
【報 告1】「中国的ODAの展開:レシピエントの視点」
李 恩民(リ・エンミン、桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群教授)
【報 告2】「開発協力に対するアジア的モデルの可能性の模索:北東アジア供与国間の収斂と分化」
孫 赫相(ソン・ヒョクサン、慶熙大学公共大学院院長・韓国国際開発協力学会会長)
【ミニ報告及び討論1】「日中両国の対外開発協力に関する比較研究」(仮題)
李 鋼哲(り・こうてつ、北陸大学未来創造学部教授)
【討論2】金 泰均(キム・テギュン、ソウル大学国際大学院教授)
【自由討論】渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究者
【閉会の辞】: 徐 載鎭(ソ・ゼジン、未来人力研究院 院長)
詳細は下記リンクをご覧ください。
プログラム
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2016.11.11
SGRAレポート77号(本文)
SGRAレポート77号(表紙)
第15回日韓アジア未来フォーラム
「これからの日韓の国際開発協力-共進化アーキテクチャの模索」
2016年11月10日発行
<もくじ>
はじめに:金 雄煕(キム ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授)
第一部
【講演1】「韓国の学者たちがみた日本のODA」
孫 赫相(ソン ヒョクサン:慶熙大学公共大学院教授・韓国国際開発協力学会会長)
【講 演 2】「韓国の開発経験とODA戦略」
深川由起子(早稲田大学政治経済学術院教授)
第二部
【円卓会議(ミニ報告と自由討論)】
【ミニ報告1】「日本のODAを振り返る-韓国のODAを念頭においた日本のODAの概括-」
平川 均(国士舘大学教授・名古屋大学名誉教授)
【ミニ報告2】「日本の共有型成長DNAの追跡-開発資金の観点から-」
フェルディナンド・C・マキト(テンプル大学ジャパン講師)
【自由討論】
モデレーター:金 雄煕(キム ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授)
パネリスト:上記講演者、報告者及び下記の専門家
園部哲史(政策研究大学院教授)
広田幸紀(JICAチーフエコノミスト)
張 玹植(チャン ヒョンシク:ソウル大学行政大学院招聘教授・前KOICA企画戦略理事)
その他 渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究者
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2016.03.18
2016年2月13日(土)、東京国際フォーラムで第15回日韓アジア未来フォーラムが開催された。2年連続の東京開催となった今回のフォーラムは「これからの日韓の国際開発協力:共進化アーキテクチャの模索」というテーマで行われた。政府開発援助(ODA: Official Developmental Assistance)分野におけるフロントランナーとしての日本の特色ある国際協力と韓国の開発経験が東アジアの持続可能な成長と域内協力にどのように貢献できるか、という問題意識に基づき、日韓の理念(idea)、制度(institution)、国益(interest)が織りなすODAの国際政治経済について考える場となった。
フォーラムでは、未来人力研究院理事長の李鎮奎(リ・ジンギュ)教授による開会の挨拶に続き、日韓、それぞれの基調講演が行われた。今回は深川教授のご提案により、日韓の研究者がクロスで報告を行うという新しい試みを採用した。まず孫赫相(ソン・ヒョクサン)慶熙大学公共大学院教授が、日本のODAについての韓国的な視点を紹介した。韓国の学者たちがこれまで発表した日本のODAについての研究論文での分析結果や主張を体系的にまとめ、紹介した。主な議論の対象には日本のODAの目的と動機、ODA実施機関の新JICAの発足背景、ODA事業規模の内訳と推移、市民社会の参加などが含まれた。このような検討を通して日韓のODAにみられる類似性と差別性について論じた。とりわけ、ODA分野において日本は韓国の教科書であり、決して「ジャパンモデル」が非難されるべきではないと強調した。
深川由起子(ふかがわ・ゆきこ)早稲田大学政治経済学術院教授は、日本が、今後スマート・ドナーとして、国際社会における経済開発・貧困削減をリードし、援助の潮流を作り出す上では、東アジア型産業発展の経験を最も濃密に共有する韓国との協調は重要な鍵であり、韓国にとっても同様であると強調した。このような問題意識に鑑み、韓国の政府開発援助(ODA)にその開発体験がどう反映されようとしているかについて紹介した。そして、体験反映の事例として、セマウル運動と知識共有プログラム(Knowledge Sharing Program: KSP)の2つを取り上げ、体験共有への志向が韓国のODA体制整備とどういう関係を持つのかを議論した。結論として、スマート・ドナーを目指す日本にとり、極めて似た工業化体験を有しつつ、他方では強味、弱味の補完性のある韓国のODAと協調することの便益は実は大いに期待できるはずであり、そのためには韓国の経済発展の経緯とODA供与国としての韓国の特徴を日本が十分に理解すると共に、他方で韓国が棲み分けと協調の便益を戦略的に捉えられるような対話が欠かせないと力説した。
コーヒー・ブレークを挟んで、円卓会議では、まず平川均(ひらかわ・ひとし)教授が「日本のODAを振り返る」という題で、討論のたたき台としてのミニ報告を行った。今世紀に入ってアジアの経済発展により「成功体験としてのジャパンODAモデル」の自己認識が強まっているが、伝統的に援助に携わった人々のミクロレベルでの実践の再評価を通じてバランスある援助論への移行が必要ではないかと振り返った。
また、被援助国(partner country)の視点を踏まえ、マキト・フェルディナンド(Maquito Ferdinand)テンプル大学ジャパン講師によりミニ報告も行われた。日本と欧米のODAは微妙に異なるが、その違いが生じる原因の一つは援助国自身が経て来た発展経験の相違であるとしたうえで、日本の発展経験を特徴づける「共有型成長」(Shared Growth)のDNAの一つの特徴として、日本国内で行われた開発資金提供(developmental Financing)の独自性を上げた。そのような特徴を持つ経済発展モデルのODA政策への適用には、どのような意義あるいは課題があるのかをフィリピンの事例を通して紹介した。
その後、園部哲史(そのべ・てつし)政策研究大学院教授、広田幸紀(ひろた・こうき)JICAチーフエコノミスト、張ヒョン植(チャン・ヒョンシク)ソウル大学行政大学院招聘教授(前KOICA企画戦略理事)らによる熱のこもったディスカッションが続いた。日韓の比較にとどまらず、今後、日韓が協力し合いながら、共に進化し、ODAの「東アジアモデル」とでもいえるようなアーキテクチャを創り上げる可能性について、それぞれの立場や専門領域を踏まえた、そして自分の夢が込められた素晴らしい討論であった。
前回のフォーラム報告でも言及したが、これから「ポスト成長時代における日韓の課題と東アジア協力」について、実りのある日韓アジア未来フォーラムを進めていくためには、総論的な検討にとどまらず、今回のように具体的な課題において掘り下げた検討を重ねていかなければならない。今回から3年かけてODA問題を取り上げることになるが、次回のフォーラムの開催に当たっても、国際開発協力における中国のプレゼンスにも注目しつつ、着実に進めていきたい。最後に第15回目のフォーラムが成功裏に終わるようご支援を惜しまなかった今西淳子SGRA代表と李先生、そしてスタッフの皆さんに感謝の意を表したい。
当日の写真
英訳版はこちら
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<金雄煕(キム・ウンヒ)Kim Woonghee>
89年ソウル大学外交学科卒業。94年筑波大学大学院国際政治経済学研究科修士、98年博士。博士論文「同意調達の浸透性ネットワークとしての政府諮問機関に関する研究」。99年より韓国電子通信研究員専任研究員。00年より韓国仁荷大学国際通商学部専任講師、06年より副教授、11年より教授。SGRA研究員。代表著作に、『東アジアにおける政策の移転と拡散』共著、社会評論、2012年;『現代日本政治の理解』共著、韓国放送通信大学出版部、2013年;「新しい東アジア物流ルート開発のための日本の国家戦略」『日本研究論叢』第34号、2011年。最近は国際開発協力に興味をもっており、東アジアにおいて日韓が協力していかに国際公共財を提供するかについて研究を進めている。
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2016年3月17日配信
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2016.01.21
下記の通り、第15回日韓アジア未来フォーラムを開催します。参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局(
[email protected] )へお名前、ご所属、連絡先、懇親会の出欠をご連絡ください。
日時: 2016年2月13日(土)午後1時30分~午後4時30分 その後懇親会
会場: 東京国際フォーラム ガラス棟G 510号室
料金:フォーラムは無料、懇親会は一般2000円、SGRA会員は1000円
主催: (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
共催: (財)未来人力研究院(韓国)
フォーラムの趣旨:
日本は、国際開発協力、経済発展と省エネルギーの両立など、多くの分野において先駆的な取り組みや技術を蓄積しており、圧縮成長を成し遂げてきた韓国も、その経験やノウハウを東アジア地域における将来の発展や地域協力の在り方への貴重な手掛かりとして提供している。
本フォーラムでは、政府開発援助(ODA: Official Developmental Assistance)分野におけるアジアのフロントランナーとしての日本の特色ある国際協力と韓国の開発経験が東アジアの持続可能な成長と域内協力にどのように貢献できるか、という問題意識に基づき、日韓の理念(idea)、制度(institution)、国益(interest)の収斂(convergence)と発散(divergence) が織りなすODAの国際政治経済について考えてみたい。また、円卓会議においては、日韓の比較にとどまらず、今後、日韓が協力し合いながら、ともに進化し、ODAの「東アジアモデル」とでもいえるようなアーキテクチャを創り上げる可能性も視野に入れながら議論したい。 (日韓同時通訳付き)
プログラム:
《総合司会》
李 鋼哲(りこうてつ:北陸大学未来創造学部 教授)
【開会の辞】
李 鎮奎(リ ジンギュ:未来人力研究院 理事長/高麗大学教授)
【講 演 1】
「韓国の学者たちがみた日本のODA」
孫 赫相(ソン ヒョクサン:慶熙大学公共大学院教授・韓国国際開発協力学会会長)
【講 演 2】
「韓国の開発経験とODA戦略」
深川由起子(ふかがわ ゆきこ:早稲田大学政治経済学術院教授)
[休 憩]
【円卓会議(ミニ報告と自由討論)】
モデレーター:金 雄煕(キム ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授)
ミニ報告1: 平川 均(ひらかわ ひとし:国士舘大学教授・名古屋大学名誉教授)
「日本のODAを振り返る-韓国のODAを念頭においた日本のODAの概括-」
ミニ報告2: Maquito Ferdinand(マキト フェルディナンド:テンプル大学講師)
「日本の共有型成長DNAの追跡-開発資金の観点から-」
《パネリスト》:上記講演者、報告者及び下記の専門家
園部哲史(そのべ てつし:政策研究大学院教授)
広田幸紀(ひろた こうき:JICAチーフエコノミスト)
張 玹植(チャン ヒョンシク:ソウル大学行政大学院招聘教授・前KOICA企画戦略理事)
その他 渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究者
【閉会の辞】
今西淳子(いまにし じゅんこ:渥美国際交流財団常務理事・SGRA代表)
〈終了後に懇親会を開催します〉
詳細は、下記リンクをご覧ください。プログラム
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2015.11.24
SGRAレポート73号(本文1)
SGRAレポート73号(本文2)
SGRAレポート73号(表紙)
第14回日韓アジア未来フォーラム
第48回SGRAフォーラム
「アジア経済のダイナミズム-物流を中心に」
2015年11月10日発行
<もくじ>
はじめに
金 雄熙(仁荷大学国際通商学部教授)
【基調講演】「アジア経済のダイナミズム」榊原英資(さかきばら えいすけ:インド経済研究所理事長・青山学院大学教授)
【報 告 1】「北東アジアの多国間地域開発と物流協力」安 秉民(アン・ビョンミン:韓国交通研究院北韓・東北亜交通研究室長)
【報 告 2】「GMS(グレーター・メコン・サブリージョン)における物流ネットワークの現状と課題」ド・マン・ホーン (桜美林大学経済・経営学系准教授)
【 ミニ報告】「アジア・ハイウェイの現状と課題について」
李鋼哲(リ・コウテツ、北陸大学未来創造学部教授)
進行及び総括:金雄煕(キム・ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授)
討論者:上記発表者、指定討論者(渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究者)、一般参加者