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2017.11.25
SGRAレポート第84号(本文)
SGRAレポート第84号(表紙)
第11回SGRAチャイナ・フォーラム論文集
「東アジアからみた中国美術史学」
2019年5月17日発行
<フォーラムの趣旨>
作品の持つ芸術性を編述し、それを取り巻く社会や歴史そして作品の「場」やコンテキストを明らかにすることによって作品の価値づけを行う美術史学は、近代的社会制度の中で歴史学と美学、文化財保存・保護に裏打ちされた学問体系として確立した。
とりわけ中国美術史学の成立過程においては、前時代までに形成された古物の造形世界を、日本や欧米にて先立って成立した近代的「美術」観とその歴史叙述を継承しながらいかに近代的学問として体系化するか、そして大学と博物館という近代的制度のなかにいかに再編するかというジレンマに直面した。この歴史的転換と密接に連動しながら形成されたのが、中国美術研究をめぐる中国・日本・アメリカの「美術史家」たちと、それぞれの地域に形成された中国美術コレクションである。
このような中国美術あるいは中国美術史が内包する時代と地域を越えた文化的多様性を検証することによって、大局的な東アジア広域文化史を理解する一助としたい。
<もくじ>
【講演1】塚本麿充(東京大学東洋文化研究所)
「江戸時代の中国絵画コレクション ―近代・中国学への懸け橋―」
【講演2】呉 孟晋(京都国立博物館)
「漢学と中国学のはざまで―長尾雨山と近代日本の中国書画コレクション―」
【総合討論】
司会/進行:王 志松(北京師範大学)
討論:趙 京華(北京第二外国語学院)、王 中忱(清華大学)、劉 暁峰(清華大学)
総括:董 炳月(中国社会科学院文学研究所)
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2017.11.20
SGRAレポート第83号
SGRAレポート第83号(表紙)
第58回SGRAフォーラム講演録
「アジアを結ぶ?『一帯一路』の地政学」
2018年11月16日発行
<フォーラムの趣旨>
中国政府は2013年9月から、シルクロード経済ベルトと 海上シルクロードをベースにしてヨーロッパとアジアを連結させる「一帯一路」政策を実行している。「一帯一路」政策の内容の中心には、中国から東南アジア、中央アジア、中東とアフリカを陸上と海上の双方で繋げて、アジアからヨーロッパまでの経済通路を活性化するという、習近平(シーチンピン)中国国家主席の意欲的な考えがある。しかし、国際政治の秩序の視点から観れば、「一帯一路」政策が単純な経済目的のみを追求するものではないという構造を垣間見ることができる。
「一帯一路」政策は、表面的にはアジアインフラ投資銀行(AIIB)を通じた新興国の支援、融資、そしてインフラ建設などの政策が含まれており、経済発展の共有を一番の目的にしているが、実際には、貿易ルートとエネルギー資源の確保、そして東南アジア、中央アジア、中東とアフリカにまで及ぶ広範な地域での中国の政治的な影響力を高めることによって、これまで西洋中心で動いて来た国際秩序に挑戦する中国の動きが浮かび上がってくる。
本フォーラムでは、中国の外交・経済戦略でもある「一帯一路」政策の発展を、国際政治の観点から地政学の論理で読み解く。「一帯一路」政策の背景と歴史的な意味を中国の視点から考える基調講演の後、日本、韓国、東南アジア、中東における「一帯一路」政策の意味を検討し、最後に、4つの報告に関する議論を通じて「一帯一路」政策に対する日本の政策と立ち位置を考える。
<もくじ>
【基調講演】
「一帯一路構想は関係諸国がともに追いかけるロマン」
朱建栄(Prof. Jianrong ZHU)東洋学園大学教授
【研究発表1】
「戦後日本の対外経済戦略と『一帯一路』に対する示唆」
李彦銘(Dr. Yanming LI)東京大学教養学部特任講師
【研究発表2】
「米中の戦略的競争と一帯一路:韓国からの視座」
朴 栄濬 (Prof. Young June PARK) 韓国国防大学校安全保障大学院教授
【研究発表3】
「『一帯一路』の東南アジアにおける政治的影響:ASEAN中心性と一体性の持続可能性」
古賀慶 (Prof.Kei KOGA)シンガポール南洋理工大学助教
【研究発表4】
「『一帯一路』を元に中東で膨張する中国:パワーの空白の中で続く介入と競争」
朴 准儀(Dr.June PARK)アジアソサエティ
【フリーディスカッション】「アジアを結ぶ?『一帯一路』の地政学」
-討論者を交えたディスカッションとフロアとの質疑応答-
モデレーター:平川均(Hitoshi Hirakawa)国士舘大学21世紀アジア学部教授
討論者:西村豪太 (Gouta NISHIMURA) 『週刊東洋経済』編集長
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2017.11.18
SGRAレポート第82号 中国語版 韓国語版
SGRAレポート第82号(表紙) 中国語版 韓国語版
第57回SGRAフォーラム講演録
「第2回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性─蒙古襲来と13 世紀モンゴル帝国のグローバル化」
2018年5月10日発行
<フォーラムの趣旨>
東アジアにおいては「歴史和解」の問題は依然大きな課題として残されている。講和条約や共同声明によって国家間の和解が法的に成立しても、国民レベルの和解が進まないため、真の国家間の和解は覚束ない。歴史家は歴史和解にどのような貢献ができるのだろうか。
渥美国際交流財団は2015 年7月に第49 回SGRA(関口グローバル研究会)フォーラムを開催し、「東アジアの公共財」及び「東アジア市民社会」の可能性について議論した。そのなかで、先ず東アジアに「知の共有空間」あるいは「知のプラットフォーム」を構築し、そこから和解につながる智恵を東アジアに供給することの意義を確認した。このプラットフォームに「国史たちの対話」のコーナーを設置したのは2016 年9月のアジア未来会議の機会に開催された第1回「国史たちの対話」であった。いままで3カ国の研究者の間ではさまざまな対話が行われてきたが、各国の歴史認識を左右する「国史研究者」同士の対話はまだ深められていない、という意識から、先ず東アジアにおける歴史対話を可能にする条件を探った。具体的には、三谷博先生(東京大学名誉教授/跡見学園女子大学教授)、葛兆光先生(復旦大学教授)、趙珖先生(高麗大学名誉教授/韓国国史編纂委員長)の講演により、3カ国のそれぞれの「国史」の中でアジアの出来事がどのように扱われているかを検討した。
第2回対話は自国史と他国史との関係をより構造的に理解するために、「蒙古襲来と13 世紀モンゴル帝国のグローバル化」というテーマを設定した。13 世紀前半の「蒙古襲来」を各国の「国史」の中で議論する場合、日本では日本文化の独立の視点が強調され、中国では蒙古(元朝)を「自国史」と見なしながら、蒙古襲来は、蒙古と日本と高麗という中国の外部で起こった出来事として扱われる。しかし、東アジア全体の視野で見れば、蒙元の高麗・日本の侵略は、文化的には各国の自我意識を喚起し、政治的には中国中心の華夷秩序の変調を象徴する出来事であった。「国史」と東アジア国際関係史の接点に今まで意識されてこなかった新たな歴史像があるのではないかと期待される。
もちろん、本会議は立場によってさまざまな歴史があることを確認することが目的であり、「対話」によって何等かの合意を得ることが目的ではない。
なお、円滑な対話を進めるため、日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語、中国語⇔韓国語の同時通訳をつけた。
<もくじ>
◆開会セッション [司会:李 恩民(桜美林大学)]
【基調講演】 「ポストモンゴル時代」?─14~15世紀の東アジア史を見直す
葛 兆光(復旦大学)
◆第1セッション [座長:村 和明(三井文庫)、彭 浩(大阪市立大学)]
【発表論文1】 モンゴル・インパクトの一環としての「モンゴル襲来」
四日市康博(昭和女子大学)
【発表論文2】 アミール・アルグンと彼がホラーサーンなどの地域において行った2回の人口調査について
チョグト(内蒙古大学)
【発表論文3】 蒙古襲来絵詞を読みとく─二つの奥書の検討を中心に
橋本 雄(北海道大学)
◆第2セッション [座長:徐 静波(復旦大学)、ナヒヤ(内蒙古大学)]
【発表論文4】 モンゴル帝国時代のモンゴル人の命名習慣に関する一考察
エルデニバートル(内蒙古大学)
【発表論文5】 モンゴル帝国と火薬兵器─明治と現代の「元寇」イメージ
向 正樹(同志社大学)
【発表論文6】 朝鮮王朝が編纂した高麗史書にみえる元の日本侵攻に関する叙述
孫 衛国(南開大学)
◆第3セッション [座長:韓 承勲(高麗大学)、金キョンテ(高麗大学)]
【発表論文7】 日本遠征をめぐる高麗忠烈王の政治的意図
金 甫桄(嘉泉大学)
【発表論文8】 対蒙戦争・講和の過程と高麗の政権を取り巻く環境の変化
李 命美(ソウル大学)
【発表論文9】 北元と高麗との関係に関する考察─禑王時代の関係を中心に
ツェレンドルジ(モンゴル国科学院 歴史研究所)
◆第4セッション [座長:金 範洙(東京学芸大学)、李 恩民(桜美林大学)]
【発表論文10】 モンゴル帝国の飲食文化の高麗流入と変化
趙 阮(漢陽大学)
【発表論文11】 「深簷胡帽」考─蒙元時代における女真族の帽子の盛衰史
張 佳(復旦大学)
◆全体討議セッション
司会/まとめ:劉 傑(早稲田大学)、論点整理/趙 珖(韓国国史編纂委員会)、
総括/三谷 博(跡見学園女子大学)
◆あとがきにかえて
金キョンテ(高麗大学)、 三谷 博(跡見学園女子大学)、 孫 軍悦(東京大学)、 ナヒヤ(内蒙古大学)、 彭 浩(大阪市立大学)
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2017.11.16
SGRAレポート第81号
SGRAレポート第81号(表紙)
第56回SGRAフォーラム
「人を幸せにするロボット-人とロボットの共生社会をめざして第2回-」
2017年11月20日刊行
<フォーラムの趣旨>
近年、ニュースや様々なイベントなどで人型ロボットを見かける機会も多くなってきた。私たちの日々の生活をサポートしてくれる「より人間らしいロボット“Humanoid”」の開発が、今、急ピッチに進んでいる。一方で、私たちの日常生活の中には、すでに多種多様なロボットが入り込んでいる、ともいわれている。例えば「お掃除ロボット」、「全自動洗濯機」、「自動運転自動車」などなど……、ロボット研究者によれば、これらもロボットなのだという。では、ロボットとは何なのだろうか?そして、未来に向けて「こころを持ったロボット」の開発がA.I.(Artificial Intelligence)の研究をベースに進められている。「こころを持ったロボット」は可能なのだろうか?「ロボットのこころ」とは何なのだろうか?この問題を突き詰めて行くと、「こころ」とは何か?という哲学の永遠の命題に行きあたる。今回のフォーラムでは、第一線で活躍中のロボット研究者と気鋭の哲学者が、それぞれの立場からロボット開発の現状をわかり易く紹介。人を幸せにするロボットとは何か?人とロボットが共生する社会とは?など、人々が抱く興味や疑問を手がかりに、さまざまな問いに答えていった。
<もくじ>
【基調講演】「夢を目指す若者が集う大学とロボット研究開発の取り組み」
稲葉雅幸(東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻教授)
【プレゼンテーション1】「ロボットが描く未来」
李 周浩(立命館大学情報理工学部情報コミュニケーション学科教授)
【プレゼンテーション2】「ロボットの心、人間の心」
文 景楠(東京大学教養学部助教(哲学))
【プレゼンテーション3】「(絵でわかる)ロボットのしくみ」
瀬戸 文美(物書きエンジニア)
【フリーディスカッション】-フロアとの質疑応答-
モデレーター:ナポレオン(SGRA)
パネリスト:稲葉雅幸、李 周浩、文 景楠、瀬戸文美ほか
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2017.07.22
SGRAレポート80号
SGRAレポート80号(表紙)
第16回日韓アジア未来フォーラム
「日中韓の国際開発協力-新たなアジア型モデルの模索-」
2017年5月16日刊行
<もくじ>
はじめに:金 雄煕(キム・ウンヒ、仁荷大学国際通商学科教授)
【報 告1】「中国的ODAの展開:レシピエントの視点」
李 恩民(桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群教授)
【報 告2】「開発協力に対するアジア的モデルの可能性の模索:北東アジア供与国間の収れんと分化」
孫 赫相(慶熙大学公共大学院院長・韓国国際開発協力研究センター所長)
【ミニ報告及び討論1】「国際開発協力におけるアジア・モデル構築に向けて」
李 鋼哲(北陸大学未来創造学部教授)
【討論2】金 泰均(ソウル大学国際大学院教授兼副院長)
【自由討論】上記報告者、渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究者
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2017.06.29
SGRAレポート第79号 中国語版 韓国語版
SGRAレポート第79号(表紙) 中国語版 韓国語版
第52回SGRAフォーラム
「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」
2017年6月9日刊行
<もくじ>
<第一部>
【問題提起】「なぜ『国史たちの対話』が必要なのか-『国史』と『歴史』の間-」
劉 傑(早稲田大学社会科学総合学術院教授)
【報 告1】「韓国の国史(研究/教科書)において語られる東アジア」
趙 珖(ソウル特別市歴史編纂委員会委員長/高麗大学校名誉教授)
【報 告2】「中国の国史(研究/教科書)において語られる東アジア-13世紀以降東アジアにおける三つの歴史事件を例に」
葛 兆光(復旦大学文史研究院教授)
【報 告3】「日本の国史(研究/教科書)におけて語られる東アジア」
三谷 博 (跡見学園女子大学教授)
<第二部>
討 論
【討 論1】「国民国家と近代東アジア」
八百啓介 (北九州市立大学教授)
【討 論2】「歴史認識と個別実証の関係-『蕃国接詔図」を例に-」
橋本 雄 (北海道大学大学院文学研究科准教授)
【討 論3】「中国の教科書に書かれた日本-教育の『革命史観』から『文明史観』への転換-」
松田麻美子 (早稲田大学)
【討 論4】「東アジアの歴史を正しく認識するために」
徐 静波 (復旦大学教授)
【討 論4】「『国史たちの対話』の進展のための提言」
鄭 淳一 (高麗大学助教授)
【討 論4】「国史における用語統一と目標設定」
金 キョンテ (高麗大学校人文力量強化事業団研究教授)
円卓会議・ディスカッション
モデレーター:南 基正(ソウル大学日本研究所副教授)、討論者:上記発表者ほか
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2017.03.28
SGRAレポート78号
SGRAレポート78号(表紙)
第51回SGRAフォーラム
「『今、再び平和について』― 平和のための東アジア知識人連帯を考える」
2017年3月27日発行
<もくじ>
はじめに:南 基正(ソウル大学日本研究所副教授)
【問題提起1】
「平和問題談話会と東アジア:日本の経験は東アジアの公共財となり得るか」
南 基正(ソウル大学日本研究所副教授)
【問題提起2】
「東アジアにおけるパワーシフトと知識人の役割」
木宮正史(東京大学大学院総合文化研究科教授)
【報告1】
「韓国平和論議の展開と課題:民族分断と東アジア対立を越えて」
朴 栄濬(韓国国防大学校安全保障大学院教授)
【報告2】
「中国知識人の平和認識」
宋 均営(中国国際問題研究院アジア太平洋研究所副所長)
【報告3】
「台湾社会における『平和論』の特徴と中台関係」
林 泉忠(台湾中央研究院近代史研究所副研究員)
【報告4】
「日本の知識人と平和の問題」
都築 勉(信州大学経済学部教授)
パネルディスカッション
討論者:劉傑(早稲田大学社会科学総合学術院教授)他、上記発表者
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2016.11.11
SGRAレポート77号(本文)
SGRAレポート77号(表紙)
第15回日韓アジア未来フォーラム
「これからの日韓の国際開発協力-共進化アーキテクチャの模索」
2016年11月10日発行
<もくじ>
はじめに:金 雄煕(キム ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授)
第一部
【講演1】「韓国の学者たちがみた日本のODA」
孫 赫相(ソン ヒョクサン:慶熙大学公共大学院教授・韓国国際開発協力学会会長)
【講 演 2】「韓国の開発経験とODA戦略」
深川由起子(早稲田大学政治経済学術院教授)
第二部
【円卓会議(ミニ報告と自由討論)】
【ミニ報告1】「日本のODAを振り返る-韓国のODAを念頭においた日本のODAの概括-」
平川 均(国士舘大学教授・名古屋大学名誉教授)
【ミニ報告2】「日本の共有型成長DNAの追跡-開発資金の観点から-」
フェルディナンド・C・マキト(テンプル大学ジャパン講師)
【自由討論】
モデレーター:金 雄煕(キム ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授)
パネリスト:上記講演者、報告者及び下記の専門家
園部哲史(政策研究大学院教授)
広田幸紀(JICAチーフエコノミスト)
張 玹植(チャン ヒョンシク:ソウル大学行政大学院招聘教授・前KOICA企画戦略理事)
その他 渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究者
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2016.11.10
SGRAレポート76号(日中合冊版)
劉 建輝(国際日本文化研究センター教授)「日中200年―文化史からの再検討」講演録
2020年6月18 日発行
☆中国語の講演録、日本語訳を一冊に纏めてあります。
<フォーラムの趣旨>
従来、東アジアの歴史を語る時、ほとんどの識者が古代の交流史と対比して、近代の抗争史を強調し、両者の間に一つの断絶を見出そうとしてきた。たしかに政治、外交だけに目を向ければ、日中、日韓などの間に戦争も含む数多くの対抗や対立が頻発し、ほとんど正常な隣国関係を築くことができなかった。しかし、もしこの間の三国間の文化的交流、往来の足跡を精査すれば、そこには近代以前とは比べられないほど多彩多様な事実、事象が存在していることに気付くだろう。そしてその多くはいずれも西洋という強烈な「他者」を相手に、互いの成果、経験、また教訓を利用しながら、その文化、文明的諸要素の吸収、受容に励む努力の跡にほかならない。その意味で、東アジア、とりわけ日中韓三国はまぎれもなく古来の文化圏と違う形で西洋受容を中心とする一つの近代文化圏を形成していたのである。
また、従来、日本にせよ、中国にせよ、その歩んできた歴史を振り返る際に、往々にして周辺との関係を軽視し、あたかも単独で自らのすべてを作り出したかのような傾向も存在している。これはあきらかに近代以降のいわゆる国民国家という枠組みの中で成立したナショナリズムに由来する一国主義のもたらした影響である。ところが、多くの古代、近代の史実が示したように、純粋な国風文化はそもそも「神話」に過ぎず、われわれはつねに他者との関係の中で「自分」そして「自分」の文化を形作ってきたのである。近代日本にとって、この他者は、むろんまず西洋という存在になるが、ともにその受容の道程を歩んだもう一つの他者――中国や韓国も当然無視すべきではないだろう。
そして、昨今、とりわけ日中の間にさまざまな摩擦が生じる時に、よく両国の「文化」の違いが強調され、その文化の差異に相互の「不理解」の原因を探ろうとする動向も見られる。しかし、これもきわめて単純な思考と言わざるを得ない。文化にはたしかに変わらない一部の古層があるが、つねに歴史性を持ち、時代に応じて流動的に変化する側面も存在する。したがって共通する大事な歴史的体験を無視し、文化の差異ばかりを強調するのはいささかも生産的ではなく、結局は自らを袋小路に追い込むことにしかならない。
以上に鑑み、本フォーラムでは、いわば在来の一国主義史観、文化相互不理解論などの弊害を修正し、過去の近代東アジア文化圏、文化共同体の存在を振り返りながら、その経験と教訓を未来にむけていかに生かすべきかについて検討し、皆さんとともにその可能性を探ってみたい。(参考文献:劉 建輝著『増補・魔都上海――日本知識人の「近代」体験』2010年、同『日中二百年――支え合う近代』2012年)
<もくじ>
【講演】 劉 建輝(国際日本文化研究センター)
「日中200年―文化史からの再検討」
【討論】
モデレーター:
王 中忱(清華大学中国文学科)
討論者:
王 京(北京大学日本言語文化学部)
劉 暁峰(清華大学歴史学科)
王 成(清華大学日本言語文学研究科)
董 炳月(中国社会科学院文学研究所)
【あとがきにかえて】
孫 建軍(北京大学日本語学科准教授)
娜荷芽(内蒙古大学蒙古歴史学科准教授)
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2016.11.09
SGRAレポート75号(本文1)
SGRAレポート75号(本文2)
SGRAレポート75号(表紙)
第50回SGRAフォーラムin北九州「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて-」
2016年6月27日発行
<もくじ>
事例発表1.(日本) 「青空がほしい」運動に学ぶ-現在に問いかけるもの-
神﨑智子(アジア女性交流・研究フォーラム主席研究員)
事例発表2.(中国) 「変わるのか、人々の意識-中国の母親の環境意識の変化と活動-」
斎藤淳子(フリージャーナリスト/北京在住)
事例発表3.(韓国) 「絶え間ない歩み-韓国YWCAの環境活動と女性の社会参加:環境活動家から脱核運動へ-」
李 允淑(イ・ユンスク)(韓国YWCA運動局部長)
オープンフォーラム
モデレーター:田村慶子(北九州市立大学法学部教授・大学院社会システム研究科長)
ミニ報告:「里山を考える会の活動について」
小林直子(NPO法人里山を考える会)
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