SGRAの活動

  • 2002.07.19

    第2回日韓アジア未来フォーラム「動揺する日本の神話」

    2002年7月19日(金)午後8時半より、SGRA/渥美国際交流奨学財団と韓国の21世紀日本研究グループ/財団法人未来人力研究院の共同プロジェクトである、第2回ワークショップ「動揺する『日本の神話』」研究フォーラムが、軽井沢の鹿島建設研修センターで開催されました。 このワークショップは、戦後日本の様々な「成功神話」がどのような過程を経て「失敗神話」に転換したのか、また現在進められている一連の改革を通じて現れる日本の姿はどのようなものであるかについて包括的に捉えるために企画された。このような認識のもとで日本の過去と現在、そして未来を説明できる一貫した枠組みを構築し、主要分野を検討した。ここで取り上げられた分野は日本の対外政策、政治経済、教育、情報化、環境の五つである。朴栄濬氏(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)の司会、南 基正氏(東北大学大学院法学研究科助教授)を座長に、下記の研究発表があり、活発な意見交換が行われました。 フォーラムには渥美財団の奨学生、元奨学生に、渥美理事長、未来人力研究院の宋理事長、翌日開催される第8回SGRAフォーラム「グローバル化の中の新しい東アジア」の講師、平川先生、ヴィりエガス先生、ガト先生方も参加してくださり、研修室が満席になる盛況で、参加者はさまざまな角度から「動揺する日本の神話」について熱心な議論が交わされました。また、このフォーラムに関心を持ってくださった朝日新聞アジアネットワークの村田記者に取材をいただいた。
  • 2002.07.08

    レポート第11号 「中国はなぜWTOに加盟したのか」金香海

    SGRAレポート第11号(PDF) 投稿 金香海 「中国はなぜWTOに加盟したのか」  2002.7.8発行 ---要旨--------------------- 全体的に見れば、中国のWTO加盟はチャンスと挑戦が同時に存在する「諸刃の剣」である。それにもかかわらず、中国はなぜWTOに加盟したのか。その原因をめぐって、現在いろいろな説があるのはいうまでもない。本レポートでは、そのようなさまざまな原因を1つの分析枠組みによって解明することを試みている。すなわち、中国のWTO加盟の要因を、外からの拘束要因と内からの国内要因がWTO加盟に連動する、いわゆる国際要因と国内要因が連繋する2つのレベルから検討している。この課題を立証するため、相互に関連する6つの問題を取上げている。 ①WTOと何か②中国はなぜWTO加盟を申請したのか③中国のWTO加盟をめぐる米中交渉はなぜ妥結したのか④WTO加盟によって中国社会構造はどう変わるのか⑤中国がWTO加盟を決定した要因は一体何か⑥中国がWTO加盟したあとはどうなるのか。 方法論と実証分析に基づいて主要な要因を分析し、次の2つの結論を考察している。 第1点は、世界経済との相互依存の進化による中国国内経済の変化である。中国経済は、市場を媒介としながら世界経済と相互浸透し、その結果、中国の単一計画経済が分化され、国有企業、民間企業、外資企業、農業といったいろいろな経済セクターが出現した。各経済セクターは自らの政策選好を表出するが、その共通な部分を掬い上げると、市場経済の確立と公平な競争環境の整備による資源配分のメカニズムの導入である。しかし、社会政策選好と中央指導部の政策選択の間には、伝統的な政治構造と地域構造が介在しているため、社会政策選好が必ずしも国家政策に還元されるわけではない。したがって、3大改革を中心とする国内改革の一層の推進による市場経済体制の確立は、中国のWTO加盟におけるカギとなる。 第2点は、WTO加盟は構造的に中国を強く拘束する点である。WTOは、中国の市場開放と国際ルールの遵守、国家の自律性と制度上の改革を要求する。これに対し、中国中央指導部は加盟による便益とコストを合理的に計算し、外圧の効果を利用して社会主義経済体制の構築を目指している。そのため、「3つの代表論」を提起するなど、多元的な価値観を受入れ得る党のイデオロギーを新しく解釈しなければならない。このように、中国のWTO加盟は、経済システムへの適応、国内利益への調整という循環を繰り返す過程でもある。 今後の課題として、中国の世界通商体制の行方に与える影響と、WTOルールの適応による国内制度の変革と社会構造の変動をあげている。 ------------------------
  • 2002.06.15

    レポート第10号「日本とイスラーム:文明間の対話のために」板垣雄三

    SGRAレポート第10号(PDF) 第6回フォーラム講演録「日本とイスラーム:文明間の対話のために」 S.ギュレチ、板垣雄三  2002.6.15発行 --もくじ----------------- 【ゲスト講演】「日本とイスラーム:文明間の対話のために」板垣雄三(東京大学名誉教授) 【特別報告】「イスラームと日本と東京ジャーミイ」セリム・ギュレチ(東京ジャーミイ副代表、SGRA会員) ------------------------
  • 2002.05.10

    第7回フォーラム「地球環境診断:地球の砂漠化を考える」報告

    2002年5月10日(金)午後6時半から8時45分まで、有楽町の東京国際フォーラム610号室にて、第7回SGRAフォーラム「地球環境診断:地球の砂漠化を考える」が開催されました。今回は、地球環境破壊、特に砂漠化(沙漠化)について、二つの対照的な研究、衛星写真情報の利用という大規模かつ最新鋭の理工学的研究と、現場のフィールドワークという地道な人文科学的研究が、約50名の参加者に紹介されました。   まず、千葉大学環境リモートセンシング研究センター助教授の建石隆太郎博士より、「衛星データから広域の砂漠化を調べる」というタイトルで、様々な衛星画像データを紹介しながら、砂漠化とは何か、衛星データによるリモートセンシングの基本、衛星データによる砂漠化調査の方法、砂漠化地図化などについて、わかりやすく解説していただきました。そして、この研究は、重要な環境問題の一つである砂漠化の現状を、衛星データを利用してなるべく正しく把握することであり、各国の衛星によるデータをあわせて、より総合的に砂漠化を把握する国際的共同研究も進められていること、砂漠化を正しく把握するためには、どんなに高精度であっても衛星データだけでなく、地上の正確な地図、そして現場での実地調査が必要であり、広範囲な学際的研究が求められることを説明してくださいました。   次に、SGRA研究員で、日本学術振興会外国人特別研究員・早稲田大学モンゴル研究所客員研究員のボルジギン・ブレンサイン博士から「フィールドワークでみる内モンゴルの沙漠化」というタイトルで、20世紀前半の満州国文献における内モンゴル地域の実態調査報告書の分析、追跡調査の結果、内モンゴル東部地域における農地化によって、いかに沙漠化が進んだかという研究を発表してくださいました。無理な開発と農業中心主義政策によって開墾が拡大され、ステップの保護層としての表土が傷められて、風化が進み、農業も牧畜もその存続すら危ぶまれる窮地に至っているというお話に、参加者はあらためて砂漠化の深刻さを認識しました。   その後、限られた時間でしたが、SGRA「環境とエネルギー研究チーム」の高偉俊チーフ(北九州市立大学国際環境工学部助教授)の司会により、建石先生とブレンサインさんのおふたりに対して、質疑応答が行われました。今年は、北京やソウルがひどい黄砂の嵐にまきこまれ、北海道にも降って、中国内陸部の砂漠化が、より身近な問題として感じられたこと、地球の砂漠化に対する総合的な政策は殆ど発表されたことがないこと、内モンゴルの砂漠化がカシミヤ山羊の飼育や髪菜という珍しい食材の乱獲などが原因となっており、知らないうちに、私たちの日々の暮らしにも関連していること、などが指摘されました。そして「では、明日からもっと明るい気持ちで生きていくにはどうすれば良いでしょうか」という質問に、ブレンサインさんは「内モンゴルに旅行して、その土地の習慣や文化を知ってください」と答えました。   (文責:今西淳子)
  • 2002.02.28

    レポート第9号「グローバル化と民族主義:対話と共生をキーワードに」ペマ・ギャルポ他

    SGRAレポート第9号(PDF) 第5回フォーラム講演録 「グローバル化と民族主義:対話と共生をキーワードに」 ペマ・ギャルポ、林泉忠 2002.2.28発行 ---もくじ------------------- 【ゲスト講演】「民族アイデンティティと地球人意識」ペマ・ギャルポ(チベット文化研究所所長、岐阜女子大学教授) 【研究報告】北京五輪と『中国人』アイデンティティ:グローバル化と土着化の視点から」林泉忠(SGRA研究員、東京大学法学研究科博士課程) 【質疑応答】 --------------------
  • 2002.01.20

    レポート第8号「IT教育革命:ITは教育をどう変えるか」斎藤信男他

    SGRAレポート第8号(PDF) 第4回フォーラム講演録 「IT教育革命:ITは教育をどう変えるか」 臼井建彦、西野篤夫、V.コストブ、F.マキト、J.スリスマンティオ、蒋恵玲、楊接期、李來賛、斎藤信男 2002.1.20発行 ---もくじ----------------------- 【ゲスト講演1】「ITは教育を変えられるか」斎藤信男(慶応義塾常任理事) 【ゲスト講演2】「e-ラーニングの現状」臼井建彦(NEC eラーニング事業部) 【ゲスト講演3】「マサチューセッツ工科大学のIT教育戦略」西野篤夫(鹿島ITソリューション部・SGRA会員) 【在外研究者報告1】「情報化と政策」李 來賛(韓国通信政策研究院専任研究員) 【在外研究者報告2】「台湾のバーチャル教育都市: Educities -Active Social learning model: theories and applications」楊 接期(SGRA研究員・台湾国立中央大学Assistant Professor) 【事例報告1】「スタンフォード大学とのネットワーク協調機械設計授業の紹介」ブラホ・コストブ(SGRA研究員・都立科学技術大学博士課程) 【事例報告2】「オンライン授業の試み:『デジタル・ディバイド反対』宣言」フェルディナンド・マキト(SGRA研究員・テンプル大学ジャパン客員講師) 【事例報告3】「バンドン工科大学へのオンライン講義」ヨサファット・スリスマンティオ(SGRA研究員・千葉大学博士課程) 【事例報告4】「成人教育の新しい形:上海交通大学遠程教育中心の試み」蒋 恵玲(SGRA研究員・横浜国立大学博士課程) 【パネルディスカッション】 進行 SGRA研究員・東京理科大学助手 施 建明 ----------------------------
  • 2001.12.21

    第6回フォーラム「日本とイスラーム:文明間の対話のために」

    2001年12月21日(金)午後5時半から8時まで、東京代々木上原のイスラム教モスク、東京ジャーミイにて、第6回SGRAフォーラム「日本とイスラーム:文明間の対話のために」が開催されました。参加者は、まず、SGRA研究員で東京ジャーミイ副代表のセリム・グランチさんの案内で、礼拝堂を含む施設の見学をしました。その後、1階の多目的ホールにて、東京ジャーミイ代表のジェミル・アヤズ様とSGRAを代表して今西から挨拶があり、次に、セリムさんより、9月11日のテロ事件後、たくさんの報道人がインタビューにやってきたが、イスラムについて極めて限定的な知識しかもっていなかった。そこで「日本人の皆さんが人間を磨くために考えることは、ほぼイスラームの基本的な概念をなしている」と申し上げた、という短いコメントが披露されました。 講演会では、日本のイスラーム学の権威、東京大学名誉教授の板垣雄三先生のお話を伺いました。先生は、まず、日本はイスラームを遠ざけて見ようとし、イスラーム世界は日本に親近感を抱いているが、何故そうなったのかという問題を提起されました。イスラームは、本来、宗教や文化の異なる多様な人々が共生し取引する「都市」を生きる生き方を教えてきた。このイスラームの多元主義的普遍主義に対して、欧米は、欧米対イスラームの対立にこだわり、イスラームを敵と決め付ける文明衝突論の伝統を抱えてきた。イスラーム世界の人々にとっては、欧米諸国に双肩する日本は憧れでもあり親しみも感じている。 一方、欧米のメガネを借りた日本人のイスラーム感は、しばしばこの思いを裏切る。正倉院御物の中にも見出されるように、日本とイスラーム世界との繋がりは非常に古い。また、現在の日本人は、日本の経済的繁栄の土台である化石燃料が、あたかも自動的にもたらされたもののように勘違いしている。日本社会は、イスラーム世界の日本に対する好意的な心情が、日本にとってかけがえのない資産だということに気づかなければならない。 イスラーム文明は、近代欧米文明の源泉である。日本の知識人がイスラームへの無知を口にするのは、実はよく知っていると思っている欧米への無知を告白しているにすぎない。世界人類を巻き込む現在の危機において、日本は欧米を通したイスラーム感から離脱し、日本独自の役割を演じなければならない。「多元的な都市」を生きるイスラーム文明本来のメッセージを評価して、イスラーム世界と文明的協力を進めていかなければならない、と訴えられました。 その後、限られた時間でしたが、板垣先生とセリムさんのおふたりに対して、質疑応答が行われました。そして、トルコ料理の懇親会においても、おふたりの講師の先生は、参加者の熱心な質問に答えていらっしゃいました。雪まじりの雨が降る生憎の天気でしたが、トルコのお茶サーラップに始まったSGRAフォーラムに参加した76名の参加者は、温かくて明るいモスクの中で、イスラームの夕べを楽しみました。 (文責:今西)
  • 2001.10.10

    レポート第7号「共生時代のエネルギーを考える:ライフスタイルからの工夫」木村建一他

    SGRAレポート第7号(PDF) 第3回フォーラム講演録「共生時代のエネルギーを考える:ライフスタイルからの工夫」 木村建一、D.バート、高偉俊 2001.10.10発行 ---もくじ----------------------- 【ゲスト講演】「民家に見る省エネルギーの知恵」木村建一(早稲田大学名誉教授) 【研究報告1】「エムシャー工業地帯再生プロジェクトから学ぶこと」 デワンカー・バート(SGRA研究員・北九州市立大学助教授) 【研究報告2】「都市構造とライフスタイルの変化による省エネルギーの効果」高 偉俊(SGRA研究員・北九州市立大学助教授) 【質疑応答】 ----------------------------
  • 2001.10.01

    第5回フォーラム「グローバル化と民族主義:対話と共生をキーワードに」

    2001年10月1日(月)午後6時半~8時45分、東京国際フォーラムガラス棟402会議室にて、SGRA第5回研究会「グローバル化と民主主義:対話と共生をキーワードに」が開催されました。46名の参加者は、まず、9月11日にニューヨークとワシントンで起きたテロリストの攻撃の犠牲者とその家族に黙祷をして追悼の意を表しました。 その後、チベット文化研究所のペマ・ギャルポ所長が「民族アイデンティティと地球人意識」というタイトルで、「肌の色や宗教が違っても、人間は同じなんだ。」という、ご自身の体験に基づいた信念を迫力ある語り口でお話しくださいました。文革が終わり、一掃されてしまったチベット語の教師を外国から送り込むことになった時、その人たちを教育して、いつでも蜂起できるようにしよう、という提案に、ダライ・ラマ法皇はとても悲しい顔をされて、「私達が暴力で訴えたら、どうして中国政府を批判することができるだろう」とおっしゃった、というエピソードなどは、仏教の教えに根ざした平和主義の力強さを伝え、聞く者の胸に迫りました。多様な人々が共存していくためには、やはり普遍的な価値を確認しあうことが必要である。幸いにも、基本的人権など、それは国連憲章で定められている。しかしながら、そのような普遍的価値を押し付けるのではなく、相手に悟らせる。誰にも押し付けられなかったのに、文化や宗教が違っても、徐々に、たくさんの人が洋服を着るようになったように。少しずつ説いていけば、チベットのことを海外の人々が応援してくれるようになり、そして今は情報が限られている中国の一般の人たちの中にも応援してくれる人がでてくるようになり、やがて民族同士が対立するのではなく、お互いの文化や宗教を尊敬しあいながら、共存していくことができるようになるだろうと信じている、というお話は、「地球市民の実現」をめざすSGRAにとっても、とても力強い応援歌でありました。 次に、香港から参加した東京大学法学研究科在籍でSGRA研究員の林泉忠さんが、「北京五輪と『中国人』アイデンティティ:グローバル化と土着化の視点から」と題してお話しくださいました。林さんは、まず、中国本土は「強い期待→大喜び」、香港では「まぁいいんじゃない→商機への期待」、台湾では「どうでもいい→台湾への影響を心配」、海外華人はさまざまと分類した後、1980年代半ば以降の「中華世界」アイデンティティの多様化を分析しました。そして、中国本土のナショナリズムの増強と本土以外の土着意識の顕在化から、「大陸」と「非大陸」へ二分化されていることを指摘しました。オリンピックの北京開催によって、大陸では①求心力の強化に一定の効果があり②台湾・香港への姿勢も強まる可能性もあるが、③今後の経済発展の持続と中央統制力の維持ができるかが鍵となるだろう。一方、非大陸では①五輪のみで中華世界の求心力が急速に強まることはなく②大陸の国力の増強が構造的に求心力を強める方向に導くが③キーポイントは大陸への政治帰属意識が増強できるかどうか(つまり大陸の民主化が進むかどうか)ということだという結論を導きました。 その後、SGRA地球市民研究チームの薬会チーフの司会で、フロアーとの質疑応答が為され、第5回研究会も盛会のうちに終わりました。 (文責:今西淳子)
  • 2001.08.30

    レポート第6号 「今日の留学」工藤正司他

    SGRAレポート第6号(PDF) JISSA講演録 工藤正司 「今日の留学」 投稿 今西淳子「はじめの一歩:留学生受入制度の問題点(その1)」 2001.8.30発行 ---要旨----------------------- 工藤正司 「今日の留学」 以前私は、ある団体から依頼を受けて、世界史の中 で生じた「留学」という事象をいろいろ調べる機会 がありました。その断片の幾つかを私の勤めている 協会の機関誌の『月刊アジアの友』に掲載したこと があるのですが、今日は、それをネタにして、幾つか紹介してみたいと思います。一言で留学と言っても、色々と特色があります。それらを幾つか眺めてみて、今日私たちがかかわっている日本の留学生受入れをどう評価したらよいのか、どう改善してゆくべきなのか等、考える上で参考になれば幸いと思い ます。 ところで、本題に入る前に、日本の留学生受入れについて、その歴史をざっとおさらいしてみます。つまり、今日の留学生受入れの前史をみておきましょうということです。 今西「はじめの一歩:留学生受入制度の問題点(その1)」 本稿は、2000年12月22日に開催されたJAFSA(国際教育交流協議会)とJISSA(留学生奨学団体連絡協議会)の合同シンポジウムの時に、参加者に問題意識を共有してもらうために用意したものだが、SGRAレポートとして発行するに当たって、問題を一般化するために一部改訂した。他国に比べて同一性の強い日本が、国家予算を投入して世界各国から留学生を招待し、修学・研究支援をすることは、グローバル化における日本の国際貢献として重要なだけでなく、安全保障にも役立っているとされている。しかしながら、多大な留学生予算を投じているにもかかわらず、支援の効果について疑問を発する声もしばしば聞こえてくる。留学生受入の入口の問題、指導体制や生活支援を中心とした中の問題、学位授与や就職に関する出口の問題と、どの段階にも問題はあるが、ここでは入口の問題を扱う。 -------------------------