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2006.01.11
下記の通り第22回SGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、ファックス(03-3943-1512)またはemail(
[email protected])でSGRA事務局宛ご連絡ください。よろしければ最後の申込欄をお使いください。SGRAフォーラムはどなたにも参加いただけますので、ご関心をお持ちの皆様にご宣伝いただきますようお願い申し上げます。
■ 日時: 2006年2月10日(金)
午後6時30分~8時30分まで、終了後懇親会
■ 会場: 東京国際フォーラム ガラス棟G602会議室
http://www.t-i-forum.co.jp/function/map/index.html
■ 会費:フォーラムは無料。懇親会は会員1000円、非会員3000円
■ フォーラムの趣旨
「和解」とは、一般に、争いや対立を止めるために当事者間で行われる歩み寄りや譲歩をさす。「和解」の対義語は「復讐」である。復讐は、人が愛するものや大切ものを失ったときに抱く、自然で強烈な衝動である。一方、和解は、復讐、怨恨、憎悪や怒りが、自らの社会にとっても、かつての敵との関係にとっても、有害で、究極的には混迷と無秩序につながることを学習してはじめてとり得る行動とされる。「戦後和解」を、講和後あるいは平和が回復された後も旧敵国間にわだかまる感情的な摩擦や対立の解決と定義する。「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という一文がユネスコ憲章の前文にあるが、人の心にはじまった戦争を、人の心をもって終わらせるためには、政治はもとより市民社会や有志の個人が、戦争がもたらした偏見や憎悪について、政策上の課題として、あるいは市民交流に際しての懸案として、意図的かつ意欲的に取り組んでいく必要がある。こうした努力は、共有すべき未来の平和と共存とを担保に、双方向からなされることが望ましい。戦後和解は、平和を強化するためのプロセスのひとつである。その目的は、偏見の払拭と相互理解の促進を通した、さまざまなレベルにおける国際交流の調和と柔軟性の醸成にある。(小菅信子「戦後和解」より)
これまで日本では、第二次世界大戦中の問題行為について、戦後和解という観点から議論を試みること自体に或る種の躊躇があった。本フォーラムでは、その障壁を乗り越える2つの報告をお願いし、東北アジアにおける「戦後和解」にむけた「双方からのとり組み」の可能性について考えたい。
■ プログラム
http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/forum22program.doc
○講演1: 「戦後和解:英国との関係修復を中心に」
小菅信子(山梨学院大学法学部助教授)
日本と英国の民間レベルで展開されてきた<戦後和解>活動について具体的に検証する。<戦後和解>活動のエッセンスは、旧敵同士の再会、忘却を拒否した許し、喪失を相互に認め悼むことによって得られる癒し、修正できない過去をふまえた未来の協働のための高潔な妥協であるといえる。報告者は1996年から約10年間にわたって日英和解活動に主体的に関わってきたが、本報告では、とくに、活動の前提となる戦後和解の発想、歴史的・政治的文化的脈絡、具体的な和解活動とそれを可能にした人的・物的条件と環境、活動によって引き起こされたさまざまな波紋や反発、活動によって得られた成果・挫折・摩擦について考察する。
○講演2:「花岡和解研究序説」
李 恩民(桜美林大学国際学部助教授、SGRA研究員)
5年前の2000年11月、東京高等裁判所において花岡事件訴訟の和解が成立した(略称「花岡和解」)。花岡事件訴訟は、第二次世界大戦中、鹿島組(現鹿島建設株式会社)の強制連行・強制労働により被害を受けた中国人が初めて損害賠償を求めて提訴した訴訟で、民間企業の戦争責任を追及する最初の訴訟でもある。花岡和解において「自主交渉」「裁判所勧告」「信託方式」「基金方式」「一括解決方式」といった戦後補償裁判の中であまり類のない大胆な試みが行われ、世界の注目の的となった。本報告は花岡事件の経緯を簡単に紹介した上で、受難者と鹿島建設との交渉から裁判を経て、和解に至るプロセスと、その後の中国赤十字会・「花岡平和友好基金」の活動を究明し、花岡和解が内包する戦後和解の意義と普遍性について分析したい。
■ 講 師 略 歴
○小菅信子 ☆ こすげ・のぶこ ☆ Kosuge Nobuko
1960年生まれ。上智大学文学部卒業、同大学院文学研究科史学専攻博士課程修了満期退学。ケンブリッジ大学国際研究センター客員研究員を経て、現在、山梨学院大学法学部政治行政学科助教授。著書に『戦争の記憶と捕虜問題』(共著、東京大学出版会)、『東京裁判ハンドブック』(共著、青木書店)、『戦争の傷と和解』(編、山梨学院大学生涯学習センター)、『Japanese Prisoners of War』(co-edition, Hambledon and London)、『戦後和解:日本はから解き放たれるのか』(中公新書1804)。訳書に『GHQ日本占領史5:BC級戦争犯罪裁判』(共訳・解説、日本図書センター)、『忘れられた人びと』(シャリー・フェントン・ヒューイ著、共訳、梨の木舎)他。
○李 恩民 ☆ り・えんみん ☆ LI Enmin
1961年生まれ。1983年中国山西師範大学歴史学系卒業、1996年南開大学にて歴史学博士号取得。1999年一橋大学にて博士(社会学)の学位取得。南開大学歴史学系専任講師・宇都宮大学国際学部外国人教師などを経て、現在桜美林大学国際学部助教授、SGRA研究員。著書に『中日民間経済外交』(北京:人民出版社1997年刊)、『転換期の中国・日本と台湾』(御茶の水書房、2001年刊、大平正芳記念賞受賞)、『「日中平和友好条約」交渉の政治過程』(御茶の水書房、2005年刊)など多数。現在、日本学術振興会科研費プロジェクト「戦後日台民間経済交渉」研究中。
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2005.12.20
SGRAレポート第30号
第19回SGRAフォーラム 講演録
「東アジア文化再考:自由と市民社会をキーワードに」
2005年12月20日発行
【ゲスト講演】宮崎法子(実践女子大学文学部教授)
「中国山水画の住人たち-「隠逸」と「自由」の形 - 」
【ゲスト講演】東島 誠(聖学院大学人文学部助教授)
「東アジアにおける市民社会の歴史的可能性」
【フロアーとの質疑応答】
進行 高 熙卓(SGRA「地球市民研究」チーフ、グローカル文化研究所首席研究員)
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2005.11.23
テーマ:「日本は外国人をどう受け入れるべきか:留学生」
日 時: 2005年11月23日(水・祭) 午後2時30分~5時30分
会 場: 東京国際フォーラムG棟602会議室
主 催: 関口グローバル研究会 (SGRA:セグラ)
協 賛: (財)渥美国際交流奨学財団
協 力: 朝日新聞アジアネットワーク
後 援(交渉中):JAFSA(国際教育交流協議会)、JISSA(留学生奨学団体連絡協議会)留学生教育学会(JAISE)、日本留学生宿舎財団法人協議会
フォーラムの目的:
SGRA「人的資源と技術移転」研究チームが担当する「日本は外国人をどう受け入れるべきか」についての3回めのフォーラム。第1回は事実上の移民大国となった日本の現状と研修生の問題、第2回は外国人児童の不就学問題について考えたが、今回は、日本の留学生受け入れについて検討する。日本政府は1983年に日本に留学生を10万人受け入れようという政策を打ち出し、当初1万人に過ぎなかった在日留学生は2004年5月には117,302人に達した。数は順調に伸びたが、受入れ体制の整備が不十分だったために、学問を成就できない留学生も相当数存在し、また犯罪が起きて留学生のイメージが悪くなったり、留学生の対日観が悪くなったり、多くの問題を抱えている。一方、アジアを中心に留学はますます盛んになり、欧米、オセアニア、東アジア諸国では積極的な留学生誘致が繰り広げられている。日本国内では、国立大学は独立行政法人化され、私立大学は少子化による学生数の減少により経営難が激化すると見込まれ、大学は生き残りをかけて改革を進めているが、往々にして国際化もその戦略として取り込まれている。このように混沌とした状況の中、政府は10万人計画以後の積極的な政策を打ち出していない。グローバル化と地域化とナショナリズムがうずめくアジアの一員である日本は、今後どのような理念に基づいてアジアを中心とした各国からの留学生を受け入れるべきなのか考えてみたい。
プログラム:
ゲスト講演1:「アジア太平洋諸国の戦略的留学生政策」
横田雅弘(一橋大学留学生センター教授、JAFSA副会長)
ゲスト講演2:「外国人学生等の受入れに関する提言:留学生支援活動の現場から」
白石勝己(アジア学生文化協会、SGRA会員)
研究報告1:(韓国人元留学生の追跡調査)
鄭 仁豪(筑波大学助教授)
研究報告2:(タイ人元留学生の追跡調査)
カンピラパーブ・スネート(名古屋大学講師)
研究報告3:(中国人元政府派遣留学生の追跡調査)
王 雪萍(慶応大学博士課程、SGRA会員)
パネルディスカッション
進行:角田英一(アジア21世紀奨学財団、SGRA顧問)
今西淳子(SGRA代表)
パネリスト:
横田雅弘(一橋大学留学生センター教授、JAFSA副会長)
白石勝己(アジア学生文化協会、SGRA会員)
大塚 晶(朝日新聞社会部)
徐 向東(キャストコンサルティング代表取締役、SGRA研究チーフ)
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2005.11.23
第21回SGRAフォーラム
「日本は外国人をどう受け入れるべきか― 留 学 生 ―」
第21回SGRAフォーラム「日本は外国人をどう受け入れるべきか― 留 学 生―」は、2005年11月23日、勤労感謝の日の午後に、東京国際フォーラムで開催された。今回は、SGRA「人的資源と技術移転」研究チームが担当する「日本は外国人をどう受け入れるべきか」についての3回目のフォーラム。第1回は、事実上の移民大国となった日本の現状と研修生の問題、第2回は、外国人児童の不就学問題がテーマであった。今回は、日本の留学生受け入れについて検討することとなった。
日本政府は1983年に日本に留学生を10万人受け入れようという政策を打ち出し、当初1万人に過ぎなかった在日留学生は2004年5月には117,302人に達した。数は順調に伸びたが、受入れ体制の整備が不十分だったために、学問を成就できない留学生も相当数存在し、また犯罪が起きて留学生のイメージが悪くなったり、留学生の対日観が悪くなったり、多くの問題を抱えている。一方、アジアを中心に留学はますます盛んになり、欧米、オセアニア、東アジア諸国では積極的な留学生誘致が繰り広げられている。日本国内では、国立大学は独立行政法人化され、私立大学は少子化による学生数の減少により経営難が激化すると見込まれ、大学は生き残りをかけて改革を進めているが、往々にして国際化もその戦略として取り込まれている。このように混沌とした状況の中、政府は10万人計画以後の積極的な政策を打ち出していない。グローバル化と地域化とナショナリズムがうずめくアジアの一員である日本は、今後どのような理念に基づいてアジアを中心とした各国からの留学生を受け入れるべきなのかは、日本にとってきわめて重要な課題であることはいうまでもない。
今回のフォーラムは、SGRA代表の今西淳子氏の挨拶で始まり、まず、一橋大学留学生センター教授、JAFSA副会長の横田雅弘先生が、「アジア諸国の留学生事情と日本のこれから」と題するゲスト講演を行った。横田先生は、昨年実施したアジア諸国(シンガポール、香港、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランド、中国)の留学生政策の調査から、現在のアジア諸国で展開されている戦略性のある留学生政策を比較して報告するとともに、日本の留学生政策はどのような方向に歩むべきかについて問題提起をしていた。なかでは、ヨーロッパ統合によるEU市民形成のためのEU域内留学の報告は、なかなか面白いく、示唆に富んでいる。そして、講演の最後には、グランドデザインの確立や留学生戦略のための専門機関の設立など、きわめて建設的な提言があった。
アジア学生文化協会 教育交流事業部長、SGRA会員白石勝己氏は、「外国人学生等の受入れに関する提言:留学生支援活動の現場から」と題するゲスト講演を行った。白石氏の講演は入国管理に関する問題、留学生の犯罪とその報道に関する問題についてデータを使いながら、これから日本がとりうる方法について考える材料をいろいろ提供してくれた。また、具体的な統計データを並べながら、マスコミにおける外国人犯罪の報道がいかに誇張的であると分析するなど、独特な視点で留学生支援活動を論じていた。現場の実務家らしく、留学生や日本人との交流に実に役に立つ提言を多く挙げられた。
筑波大学大学院人間総合科学研究科助教授の鄭仁豪先生は、「韓国人元留学生は日本での留学をどう評価しているのか-日・欧米帰国元留学者に対する留学効果の比較から-」という研究報告を行った。鄭先生の報告は平成15年12月中央教育審議会による「新たな留学生政策の展開について」の答申にみられた新たな留学生政策の趣旨を意識して、韓国における日本と欧米地域の元留学生を対象にとした留学効果の調査をもとに、両地域における留学の傾向や特徴を分析しながら、日本における韓国人留学生は、日本での留学に、何を求めて、どのような認識を持っているのかを分析していた。日本留学の経験者の7割以上が、再留学希望として英語圏を希望している、などといった調査結果は、非常に興味深かった。
名
古屋大学大学院国際開発研究科講師のカンピラパーブ・スネート先生は、「日米留学の実態から日本の留学生受け入れ体制を検証する-タイ人留学経験者の追跡調査を踏まえて-」と題する報告を行った。先生は、2001年9月に行ったタイに帰国した日本留学および米国留学経験者に対する追跡調査をもとに、日本の留学生受け入れ体制を検証した。日本留学経験者よりも、米国留学経験者のほうが昇進が早いなどの内容を聞くと、タイというより、アジアでの普遍的な課題が浮き彫りにされたと感じる報告である。
研究報告を行う3人目はSGRA研究員で應義塾大学政策・メディア研究科博士課程在学中の王 雪萍氏である。王氏の報告・「改革・開放後中国政府派遣した元赴日学部留学生の日本認識」は、1980年から1984年までの間に5回に分けて、日本に留学派遣された379人の中国人学部留学生に対するインタビュー調査などを通して、日本と日本人に対する認識の変化状況を解明しながら、留学生の日本認識の向上という重要なテーマを検討した。
ゲスト講演や研究報告の後、休憩を挟んで、横田雅弘、白石勝己両先生に加えて、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科助教授の黒田一雄先生、朝日新聞社会部大塚晶氏、SGRA研究チーフでキャストコンサルティングの徐向東などが、1時間ほどのパネルディスカッションを行った。進行役のアジア21世紀奨学財団常務理事角田英一氏は、前半の講演を総括して、アジア域内における留学の活発化を踏まえながら、アジアにおける「知の共同体」の形成という重要な問題を提起された。黒田先生は、それに応えるような形で、東アジア共同体を留学交流の理念として掲げるべきだと提言した。黒田先生が提唱した「欧米偏重からアジアへ」、「東アジアエリートの育成」などに対して、大塚晶氏は、ジャーナリストの視点から、人と人のふれあいが、お互いの摩擦と誤解を解消する最も有効な方法であることを論じながら、人の受け入れが、いかに日本にとって重要であることを力説した。さらに、徐向東は、元・留日学生が、日本で起業し上場まで果たした実例を挙げながら、留学生受け入れ政策は、日本の国益に寄与する重要な戦略として、日本がより積極的に取り組むべきだと話した。
今回のフォーラムは、報告者やコメンテータがいつもより人数が多かった。そのため、どの報告者やコメンテータも極めて早いスピードで自分の論点を展開した。しかし、一人一人にして時間が短いとはいえ、これまでのどのフォーラムよりも濃密な内容が報告され、意見交換が行われた。日本への留学を論じることにとどまらず、留学交流が盛んに言及されたことは、経済発展に伴ってアジア全域における人と知識の相互交流の活発化という新時代の到来を、実感させられた。研究者や官僚など、日本の一部の“知的エリート”と話すとき、まだまだ欧米偏重の感を否めない。しかし、最近、ネット上のブログなどを見ても分かるように、日本の若い世代の中では、明らかにアジアに対する意識が向上している。飛躍的な経済発展を遂げるアジアでは、日本の若者にとってチャレンジするチャンスに満ちている。少子高齢化する日本は、アジアとの共生共存を抜きにして更なる発展はない。否応なく、アジアとの人的交流が進み、日本を含むアジアの知の共同体が形成されるのであろう。このような未来が、ますます目に見えるようになりつつあると感じたのは、私だけでなく、今回のフォーラムのすべての参加者であろう。いや、むしろアジアや日本の明るい未来を切に願い、そして信じているすべての人々であろう。(文責:徐向東)
SGRA運営委員のマキトさんが撮った写真のアルバムをご覧ください。
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2005.11.04
テーマ:「東アジアにおける韓流と日流:地域協力におけるソフトパワーになりうるか」
日 時: 2005年11月4日(金)午後1時~6時
会 場: 高麗大学校 仁村(インチョン)記念館
主 催: (財)韓国未来人力研究院
協 賛: (財)渥美国際交流奨学財団、高麗大学校労働研究院
後 援:「日韓友情年2005~進もう未来へ、一緒に世界へ~」実行委員会
フォーラムの趣旨:
ここ数年広がりをみせている東アジアにおける「韓流」はこれまでの東アジア国際関係に見られない画期的なできごとである。また、この地域において日本の大衆文化が若者の高い関心を集めたのは決して最近のことではない。このような韓流・日流を媒介とした密度の高い人的・文化的な交流の進展はもはや東アジア地域に共通する現象ともいえよう。今回のフォーラムでは政治的あるいは軍事的な「ハードパワー」においては様々な問題をかかえる東アジア地域にとって、急成長する「ソフトパワー」はどのような意味と意義があるのか考えてみたい。具体的に東アジアの視座からソフトパワーとしての韓流・日流の展開にともなう様々な現象、それがもたらす政治的、経済的、社会的インパクトなどについて考えてみることにする。
プログラム:
総合司会: 金 雄煕(仁荷大学国際通商学部助教授、SGRA研究員)
【開会の辞】 李 鎮奎(未来人力研究院院長、高麗大学経営学部教授)
【基調講演】 「東アジアにおける韓流・日流:地域協力におけるソフトパワーになりうるか」全 京秀(ソウル大学人類学科教授)
【講演】
①韓国における日本ブーム 林 夏生(富山大学人文学部国際文化学科助教授)
②日本における韓国ブーム 平田由紀江(延世大学社会学科博士課程)交渉中
③戦後中華圏の「哈日」「韓流」現象の歴史とその背景 林 忠泉(琉球大学法文学部助教授)
④ベトナムにおける日本ブーム・韓国ブーム ブ・ティ・ミン・チー(ベトナム人間科学研究所)
⑤東アジアにおける日本企業のマーケティング戦略 山中宏之(NHKエンタープライズ)
⑥東アジアにおける韓国企業のマーケティング戦略 趙 瑢俊(韓国情報文化振興院)
【パネルディスカッション】
進行: 李 元徳(国民大学国際学部副教授)
パネリスト:発表者6人、木宮正史(東京大学)、林 慶澤(全北大学)
木宮、林氏にはそれぞれ日韓関係、東アジア協力を中心に議論していただく。
【謝 辞】 今西淳子(SGRA代表、渥美国際交流奨学財団常務理事)
【閉会の辞】 宋 復(未来人力研究院理事長)
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2005.11.04
テーマ:「東アジアにおける韓流と日流:地域協力におけるソフトパワーになりうるか」
日 時: 2005年11月4日(金)午後1時~6時
会 場: 高麗大学校 仁村(インチョン)記念館
主 催: (財)韓国未来人力研究院
協 賛: (財)渥美国際交流奨学財団、高麗大学校労働研究院
後 援:「日韓友情年2005~進もう未来へ、一緒に世界へ~」実行委員会
フォーラムの趣旨:
ここ数年広がりをみせている東アジアにおける「韓流」はこれまでの東アジア国際関係に見られない画期的なできごとである。また、この地域において日本の大衆文化が若者の高い関心を集めたのは決して最近のことではない。このような韓流・日流を媒介とした密度の高い人的・文化的な交流の進展はもはや東アジア地域に共通する現象ともいえよう。今回のフォーラムでは政治的あるいは軍事的な「ハードパワー」においては様々な問題をかかえる東アジア地域にとって、急成長する「ソフトパワー」はどのような意味と意義があるのか考えてみたい。具体的に東アジアの視座からソフトパワーとしての韓流・日流の展開にともなう様々な現象、それがもたらす政治的、経済的、社会的インパクトなどについて考えてみることにする。
プログラム:
総合司会: 金 雄煕(仁荷大学国際通商学部助教授、SGRA研究員)
【開会の辞】 李 鎮奎(未来人力研究院院長、高麗大学経営学部教授)
【基調講演】 「東アジアにおける韓流・日流:地域協力におけるソフトパワーになりうるか」全 京秀(ソウル大学人類学科教授)
【講演】
①韓国における日本ブーム 林 夏生(富山大学人文学部国際文化学科助教授)
②日本における韓国ブーム 平田由紀江(延世大学社会学科博士課程)交渉中
③戦後中華圏の「哈日」「韓流」現象の歴史とその背景 林 忠泉(琉球大学法文学部助教授)
④ベトナムにおける日本ブーム・韓国ブーム ブ・ティ・ミン・チー(ベトナム人間科学研究所)
⑤東アジアにおける日本企業のマーケティング戦略 山中宏之(NHKエンタープライズ)
⑥東アジアにおける韓国企業のマーケティング戦略 趙 瑢俊(韓国情報文化振興院)
【パネルディスカッション】
進行: 李 元徳(国民大学国際学部副教授)
パネリスト:発表者6人、木宮正史(東京大学)、林 慶澤(全北大学)
木宮、林氏にはそれぞれ日韓関係、東アジア協力を中心に議論していただく。
【謝 辞】 今西淳子(SGRA代表、渥美国際交流奨学財団常務理事)
【閉会の辞】 宋 復(未来人力研究院理事長)
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2005.11.04
第5回日韓アジア未来フォーラム「東アジアにおける韓流と日流:地域協力におけるソフトパワーになりうるか」が韓国高麗大学仁村記念館にて11月4日(金)に開催された。前回のフォーラムのテーマを広げ、これまでの東アジア国際関係史に見られなかった画期的な出来事である韓流と日流の文化経済的・国際的意義について考えるフォーラムであった。日韓アジア未来フォーラムは、SGRAと韓国未来人力研究院が共同で2001年より進めてきている日韓研究者の交流プログラムで、毎年交互に訪問しフォーラムを開催している。
韓国未来人力研究院の院長、高麗大学の李鎮奎(イ・ジンギュ)教授による開会の挨拶に続き、ソウル大学人類学科の全京秀(ジョン・ギョンス)教授が「いわば韓流文化論の可能性と限界」という演題で基調講演を行った。 全教授は韓流文化論の可能性と限界について、文化論は技術-組織-観念の三拍子がうまくかみ合うときに成り立つものであるとしたうえで、韓流文化論においてみられる三拍子間の格差、すなわち文化遅滞(cultural lag)現象は韓流の衰退につながる恐れがあると指摘した。このような認識から韓流と日流をめぐる文化論は窮極的には自分を見出す鏡探しであり、三拍子がうまくかみ合ういい鏡を探すべきであると力説した。
基調講演に引き続き韓国中央大学の孫烈(ソン・ヨル)氏の司会で第一セッション「文化交流現象としての韓流と日流」が始まった。最初の発表者である富山大学の林夏生(はやし・なつお)氏は、日韓文化交流政策の政治経済について発表した。韓流と日流が一般にはまるで「最近になって唐突に」出現した現象のように受け止められているが、実は「そうではない」とし、政策的には規制されながらも、海賊版が大量に流通するなど非公式な側面も含む「文化交流現象」が存在したこと、そしてそれへの対応がせまられたこともまた、近年の急激な変化をもたらす重要な要因のひとつであったと指摘した。
『韓国を消費する日本』 という著書が韓国で注目されている延世大学社会学科博士課程の平田由紀江(ひらた・ゆきえ)さんは「食の韓流」というテーマで発表を行った。韓国側の代表ということで日本人でありながらも流暢な韓国語で発表した。平田さんは日本国内における韓国食文化の形成が在日韓国・朝鮮人の移動土着化によるものであるとすれば、最近の韓国飲食の象徴的な意味の変化は両国間のいろいろな双方向的な交流によるものであると主張した。そして韓国ドラマ「ジャングム」に触発された韓国「伝統」飲食に対する関心などの社会現象を調べ、人的流れおよびメディアの流れと日本国内の韓国飲食との関係を考察し、日本国内の韓国飲食文化に現れている変形されたナショナリズムとその多層的意味について論じた。
「香港のハヤシ」さんである琉球大学法文学部の林泉忠(リム・チュアンティオン)氏は、「哈日」や「韓流」のいずれも、意外に知られていないかもしれないが、中華圏で始まってまた現在も中華圏を中心に、東アジア全体そして東南アジアの一部まで拡大してきている現象であると指摘した。そして「哈日」と「韓流」現象は中華圏のどこから動き始め、如何に中華圏全体に拡大して変遷してきたか、それぞれの特徴と中華圏内外への影響ついて見解を述べた。
第一セッションの3人の発表が終わり、「韓国のハヤシ」さんである全北大学東洋語文学部の林慶澤(イム・ギョンテク)氏と延世大学社会学科の韓準(ハン・ジュン)氏はそれぞれ文化人類学、社会学の観点から理論的なコメントを兼ねた討論を行った。
休憩を挟んで第二セッションでは国民大学の 李元徳氏の司会で「東アジア地域協力における韓流と日流」というテーマについて議論が行われた。ベトナム社会科学院人間研究所のブ・ティ・ミン・チーさんは、ベトナムにおける日本ブーム・韓国ブームについて、日本ブームと韓国ブームは、日韓両国ともに過去にベトナムに与えた悪い印象を解消し、しだいにいい印象をもたらすようになったと指摘した。そしてこうした文化的交流はソフトパワーとなって、物的・人的交流につながる経済的・社会的インパクトを与えてきたと肯定的に捉えた。
NHKエンタープライズの山中宏之(やまなか・ひろゆき)氏は、「東アジアにおけるエンターテインメント相互交流」について、東アジア各国でライブを開催した経験を紹介し、今後の東アジアのエンターテイメント相互交流の展望を探った。また、北京のテレビ局で仕事をしていた時に見た、大金をかけてプロジェクトをする日本対し、草の根から人脈を築いていた韓国のやり方が今の韓流を導いたと語った。
最後の発表者として韓国情報文化振興院の趙瑢俊(ジョ・ヨンジュン)氏は、「デジタル韓流のブルーオーシャン」について、時の経過によりレッドオーシャン(既存市場)に変貌しているIT産業の熾烈な競争の中で、韓国がどうすればレッドオーシャンでの優位を保ち、ブルーオーシャンを創出できるか、その解決策を提示した。また、次第に立場が縮小しているように思われる韓流との総合的な比較分析を通じ、「デジタル韓流」が韓流の新たな可能性であることを逆説した。
第二セッションの3名による発表が終わり、東京大学の木宮正史氏とグローカル・カルチャー研究所の高煕卓(コウ・ヒタク)氏による討論で第2セッションが幕を閉じた。その後、ディスカッションはフロアーに開放されたが、同時通訳を入れても5時間にも及ぶ長い会議で議論が尽くされたためか、述べ80名にも及ぶ参加者の中からコメントや感想は寄せられなかった。
最後にSGRA代表の今西さんによる閉会の挨拶では、日韓アジア未来フォーラムが内容と形式両面において立派なものに一歩前進を見せたことについてのお祝いの言葉があり、拍手で締め括られた。フォーラムの講演録は、日本語版とハングル版でそれぞれ発行される予定である。尚、今西さんから、次回の日韓アジア未来フォーラムについて、「環境」をテーマに東京か軽井沢で開催しましょうという提案があった。(文責:金雄煕)
SGRA運営委員の足立さんが撮った写真の
アルバムをご覧ください。
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2005.08.01
SGRAレポート第29号
第4回日韓アジア未来フォーラム・第18回フォーラム講演録
「韓流・日流―東アジア地域協力におけるソフトパワー―」
李 鎮奎、林 夏生、金 智龍、道上尚史、木宮正史、李 元徳
日本語版 2005年5月20日
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【ゲスト講演】「韓流の虚と実」
李 鎮奎(イ・ジンギュ)未来人力研究院院長、高麗大学経営学部教授、SGRA顧問
【主題発表1】「日韓文化交流政策の政治経済学」
林 夏生(はやし・なつお)富山大学人文学部国際文化学科助教授
【研究報告2】「冬ソナで友だちになれるのか」
金 智龍(キム・ジリョン)文化評論家
【パネルディスカッション】
進行:金 雄熙(キム・ウンヒ)仁荷大学助教授、SGRA研究員
パネリスト:講演者3名に加えて
道上尚史(みちがみ・ひさし)内閣府参事官(元在韓国日本大使館参事官)
木宮正史(きみや・ただし)東京大学大学院総合文化研究科助教授
李 元徳(イ・ウォンドク)国民大学副教授
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2005.07.31
SGRAレポート第28号
第17回SGRAフォーラム講演録
「日本は外国人をどう受け入れるべきか―地球市民の義務教育―」
宮島 喬、ヤマグチ・アナ・エリーザ、朴 校煕、小林宏美
2005年7月30日
---もくじ-----------------
【ゲスト講演】「学校に行けない子どもたち:外国人児童生徒の不就学問題」
宮島 喬(立教大学社会学部教授)
【研究報告1】「在日ブラジル人青少年の労働者家族が置かれている状況と問題点:集住地域と分散地域の比較研究」
ヤマグチ・アナ・エリーザ(一橋大学社会学研究科博士課程、SGRA研究員)
【研究報告2】「在日朝鮮初級学校の『国語』教育に関する考察:国民作りの教育から民族的アイデンティティ自覚の教育へ」
朴 校煕(東京学芸大学連合大学院博士課程)
【研究報告3】「カリフォルニア州における二言語教育の現状と課題:ロサンゼルスの3つの小学校の事例から」
小林宏美 (慶應義塾大学大学院法学研究科、静岡文化芸術大学非常勤講師)
【パネルディスカッション】
進行:角田英一(アジア21世紀奨学財団常務理事、SGRA顧問)
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2005.07.30
SGRAレポート第27号
第16回フォーラム講演録
「東アジア軍事同盟の過去・現在・未来」
竹田いさみ、R.エルドリッヂ、朴 栄濬、渡辺 剛、伊藤裕子
日本語版
2005年7月30日
---もくじ-----------------
【基調講演】「対テロ戦争にみる安全保障の新展開」
竹田いさみ(獨協大学外国語学部教授)
【研究報告1】「日米関係における『日米同盟』―過去、現在、今後」
ロバート・エルドリッヂ(大阪大学大学院国際公共政策研究科助教授)
【研究報告2】「ポスト冷戦期における米韓同盟の持続と変化」
朴 栄濬(韓国国防大学校安全保障大学院助教授、SGRA研究員)
【研究報告3】「台湾内政の変動と台米同盟」
渡辺 剛(杏林大学総合政策学部専任講師)
【研究報告4】「米比同盟と冷戦・ナショナリズム・対テロ戦争」
伊藤裕子(亜細亜大学国際関係学科助教授)
【パネルディスカッション】
進行:南 基正(東北大学法学部教授、SGRA研究員)