SGRAイベントの報告

第4回マニラセミナー「共有された成長を目指せ:特区における輸出生産の効率性の源」報告

SGRA「グローバル化と日本の独自性」研究チームチーフ
マックス・マキト

 

2006年4月18日(火)午後2時から5時まで、マニラ市にあるアジア太平洋大学(UA&P)のPLDTホールにて、UA&P・SGRA日本研究ネットワークの第4回セミナーが開催された。セミナーの主な目的はEADN(東アジア開発ネットワーク)やSGRAの支援を受けて行ったフィリピンの経済特区についての研究報告であった。経済特区管理局(PEZA)の積極的な支援をいただいて、予想を上回る71名の参加者があった。

 

まず、アジア太平洋大学のヴィリイェガス常任理事より開会挨拶があり、効率性だけではなく所得分配も重視する開発戦略、いわゆる共有型成長が必要であることが強調された。

 

研究報告は経済学部長のピーター・ユー教授が分析枠組みの説明をし、その後に、私が実証研究報告を行った。この研究は数年前から続けており、今年は対象期間と特区の範囲を拡大したが、以前の研究結果がこの拡大した研究でも立証された。つまり、雇用の安定性、現地調達の割合、日本経済との統合が高ければ高いほど輸出生産性が高まるという結果が得られたのである。要するに、私たちの研究結果が示しているのは、共有型成長を目指すことは経済特区の効率性に貢献するということである。

 

最後の報告として、トヨタ(フィリピン)産業関係部のジョセプ・ソッブルベガ部長より、トヨタ経済特区におけるクラスタ化の活動についての発表があった。クラスタ化は現地の中小企業の育成を目指す活動であり、私たちの研究で取り上げた現地調達との関係が深い。このような活動にトヨタが力を入れていることは大歓迎である。セミナーの後、ジョセプ氏は、私たちの研究を聞いて初めて彼の活動のマクロ的な意味を把握できたと言ってくれた。今後もお互いに連絡を取り合うことになった。

 

その後、会場からの意見を聞いた。UA&P・SGRA日本研究ネットワークの将来的な活動として、NGOとしての第三者の視点を持ちながら、企業と政府の間の話し合いの場が提供できればと思う。最後に、今西淳子SGRA代表が、閉会の挨拶の中で、日本とフィリピンの友好50周年記念の活動のひとつとして、このセミナーを開催できたことに対し関係者の皆さんに感謝の意を伝えた。