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2021.04.11
下記の通り日韓アジア未来フォーラムをオンラインにて開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。
テーマ:「岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか」
日 時: 2021年5月29日(土)14:00~16:20
方 法: Zoomウェビナー による
言 語: 日本語・韓国語(同時通訳)
主 催: (公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会 [SGRA] (日本)
共 催: (財)未来人力研究院(韓国)
申 込: こちらよりお申し込みください
お問い合わせ:SGRA事務局(
[email protected] +81-(0)3-3943-7612)
■ 概要
歴史、経済、安保がリンケージされた複合方程式をうまく解かなければ、日韓関係は破局を免れないかもしれないといわれて久しい。日韓相互のファティーグ(疲れ)は限界に達し、日韓関係における復元力の低下、日米韓の三角関係の亀裂を憂慮する雰囲気は改善の兆しを見せていない。尖鋭な対立が続いている強制徴用(徴用工)及び慰安婦問題に関連し、韓国政府は日本とともに解決策を模索する方針であるが、日本政府は日本側に受け入れられる解決策をまず韓国が提示すべきであるという立場である。なかなか接点を見つけることが難しい現状である。これからどうすればいいか。果たして現状を打開するためには何をすべきなのか。日韓両国政府は何をすべきで、日韓関係の研究者には何ができるか。本フォーラムでは日韓関係の専門家を日韓それぞれ4名ずつ招き、これらの問題について胸襟を開いて議論してみたい。日韓の基調報告をベースに討論と質疑応答を行う。
■ プログラム
◇司会
金雄煕(キム・ウンヒ) … 仁荷大学教授
◇開会の辞
今西淳子(いまにし・じゅんこ) … 渥美国際交流財団常務理事・SGRA代表
第1部・講演とコメント(14:05~15:05)
<講演1> 小此木 政夫(おこのぎ・まさお) … 慶応義塾大学名誉教授
「岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか-日本の立場から」
<コメント> 沈揆先(シム・キュソン) … ソウル大学日本研究所客員研究員
<講演2>李元徳(イ・ウォンドク) … 国民大学教授
「岐路に立つ日韓関係:これからどうすればいいか-韓国の立場から」
<コメント> 伊集院敦(いじゅういん・あつし) … 日本経済研究センター首席研究員
第2部・自由討論(15:05~15:45)
講演者と討論者の自由討論
◇討論者
金志英(キム・ジヨン) … 漢陽大学副教授
小針進(こはり・すすむ) … 静岡県立大学教授
西野純也(にしの・じゅんや) … 慶応義塾大学教授
朴栄濬(パク・ヨンジュン) … 国防大学教授
第3部・質疑応答(15:45~16:15)
Zoom ウェビナーのQ&A機能を使い質問やコメントを視聴者より受け付ける
◇閉会の辞
徐載鎭(ソ・ゼジン) … 未来人力研究院院長
韓国語版サイト
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2021.03.18
Program : プログラム 会议流程 會議流程 프로그램
Note : 補足資料 补充材料 補充材料 보조자료
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2021.02.18
「第5回⽇本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」が2021年1月9日に開催された。今回のテーマは「19世紀東アジアにおける感染症の流⾏と社会的対応」だった。前年2020年1月にフィリピンで開かれた「第4回国史たちの対話」の際に、いやCOVID-19の感染が広がってからでも、この危機が今年まで続くとは予想できなかった。第4回の対話で三⾕博先生が、19世紀の東アジアの感染症に関するテーマに言及されたが、先見の明を示されたと思う。この時代にふさわしい議論のテーマだった。
対話はオンラインで行われた。技術の発展によって私たちは今のような危機の中でも対話できる方法を見出したのだ。しかし、この便利さの裏には、新しい方法を皆が円滑に使えるように準備した事務局方々がいたことを忘れてはならないだろう。事前に数多くのリハーサルがあり、当日も午前から準備が行われていた。
これまでは、多くの発表者と討論者を招待して、2日から3日間の会議の形で対話を実施してきた。しかし今回は、各国から招く発表者と討論者を1人ずつにすることで、効率的に参加者が集中できる環境を作り出すことができた。時間により変化したが、参加者は発表者・討論者(パネリスト)が38名、一般参加者が93名、同時通訳を含むサポートが20名で計151名だった。
対話は2つのセッションに分けて行われた。第1セッションでは村和明先生の司会で3つの発表と指定討論があり、第2セッションでは南基正先生の司会で自由討論が行われた。すべてのセッションの後に、発表者やパネリストが自由に会話できる懇親会も行われた。
第1セッションでは今西淳子渥美財団常務理事の歓迎挨拶と、趙珖韓国国史編纂委員会委員長の開会挨拶があった。趙珖委員長は、19世紀的なパンデミックに関する問題の研究は21世紀の今日、Post-COVID19で展開されている新しい「インターナショナル」な問題解決の一つの規範を与えるとして、国史たちの対話の意義が継続されることを望むと述べた。
最初の発表は朴漢珉先生(東北亜歴史財団)の「開港期朝鮮におけるコレラ流⾏と開港場検疫」だった。朝鮮初期の開港地である釜山、仁川、元山では典型的な感染症であるコレラの流行で検疫問題に悩まされた。3ヵ所の港では、いずれも各国の自国民保護と経済的な利害関係が相反する様相を見せた。朝鮮政府は経験を蓄積し、1887年に朝鮮政府検疫章を制定し、それは1893年まで続いた。
2番目の市川智⽣先生(沖縄国際大学)の発表は「19世紀後半⽇本における感染症対策と開港場」だった。市川先生は、朴先生の発表と似た主題および問題意識を持って研究を進めていたことに驚いたと述べ、互いに研究に役立てることに期待を表明した。今回の発表では、日本の開港場である横浜、長崎、神戸を対象とし、日本人社会と外国人社会の関係に注目した。混乱した時代を経て、1890年代以降日本政府の感染症対策の一元化が行われていった。
3番目は余新忠先生(南開大学)の「中国衛⽣防疫メカニズムの近代的発展と性格」だった。前二者と異なり、中国で衛生が持つ意味と実態、そして近代以降の変化を巨視的な眼目から見た研究だった。また、現在の状況との比較を通じて、国や地域、個人の役割についても共に考えるテーマを提示した。
続いて、3つの発表に対する指定討論が行われた。指定討論者も3国の研究者で構成された。(金賢善先生:明知大学、塩出浩之先生:京都大学、秦方先生:首都師範大学)。指定討論では討論の対象となる発表を「指定」せず、全テーマを対象にする討論を要請、より幅広い議論が展開された。伝統的な衛生防疫の意味、近代以降の国家が防疫を主導するようになる過程、感染症がもたらした近代化に伴って出現した「区分」の無形化とともに、衛生と防疫をどの国家が主導するかをめぐる競争もあったことが指摘された。一方、植民地での衛生や防疫問題、国家より下位の単位、国家と底辺をつなぐ共同体への関心も必要だという提言もあった。
第2セッションは自由討論だった。自由討論に先立ち、 劉傑先生(早稲田大学)による論点整理があった。発表の内容とともに、事前に提出されたパネリストからの質問で共通に提起された問題についても整理をした。国境を越える人々によって広がる感染症に対応するための優先的な方法は国家の国境封鎖であり、これは主権の問題であったこと、しかし、情報の共有と国境を越えた対応が重要な課題として浮上したこと、予防と治療には国家-地域-個人ネットワーク、コミュニティの役割が重要であること、それに内包される共存性と対立性をどのように理解するかについて、アプローチする余地があるだろうなどと指摘された。
続いてパネリストによるコメントと質問。直接発言だけでなく、チャット機能を利用して質問してくださった方もいた。感染症は昔から権力者に対する不信感を呼び起こし、したがって近代以降も感染症は国民の政治意識およびその変化と密接な関連を持つようになったこと、主権と感染症の間の力関係、各国の民衆意識および民族主義の高揚との関係、感染症流行時の3国の情報共有と共同対応の様相などについての質問が寄せられた。これに対しては、発表者から丁寧な回答があり、指定討論者とパネリストの補足コメントが相次ぎ、時間が足りないほどであった。
自由討論の名残惜しさを残し、宋志勇先生(南開大学)の総括、明石康先生のコメントが続いた。歴史の1ページに残すに値する時期に適切なテーマの「対話」であり、グローバル化の中での各国の社会的責任、発信すべき社会的メッセージを考えさせる時間であった。各国がより自由に互いに学ぶ立場でグローバルな解決策を模索することができるので、互いの視点を比較して分析することがこの集まりの問題意識であるということは、未来的かつ地球的に重要だと思う、という言葉を残した。
三⾕博先生(跡見学園女子大学)は閉会挨拶で、①パンデミックという事態によって再び分断が生じたり拡大したりしてはいけないという事実が明らかになった②この会議が国家-民衆-学者間の協力関係を開いていく重要な契機になると期待する③「国史たちの対話」の趣旨は国家間の葛藤をどのように克服するかにあり、オンラインの限界にかかわらず、重要なことを成し遂げた④歴史学が持つ限界を乗り越えるのに今回の対話が出発点になれば嬉しい、と語った。最後に翻訳と同時通訳をしてくれた方々、そして渥美財団の元奨学生たちに感謝の言葉を述べた。また、今日集まった方々が個人的にもこれからもずっと交流してほしいという希望を述べた。
会議が終了してから、非公式の、自由な「対話」が懇親会という形で行われた。フィリピンで開催された「第4回国史たちの対話」で会った方々は、1年ぶりの「再会」で和気あいあいと会話を交わした。「 第5回対話」に初めて参加した方々もすぐに親しくなった。たまに硬くない共通テーマで、飲み物とおつまみを用意してこんな風にオンラインで会うのも良いのではないかと思う。紙幅の制限により参加された方々の発言内容を十分に紹介できなかったことを残念に思う。
当日の写真
アンケート結果
中国語報告
韓国語報告
■ 金キョンテ(キム・キョンテ)Kim Kyongtae
韓国浦項市生まれ。韓国史専攻。高麗大学韓国史学科博士課程中の2010年~2011年、東京大学大学院日本文化研究専攻(日本史学)外国人研究生。2014年高麗大学韓国史学科で博士号取得。韓国学中央研究院研究員、高麗大学人文力量強化事業団研究教授を経て、全南大学歴史敎育科助教授。戦争の破壊的な本性と戦争が荒らした土地にも必ず生まれ育つ平和の歴史に関心を持っている。主な著作:壬辰戦争期講和交渉研究(博士論文)
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2021.01.25
下記の通り第15回SGRA-Vカフェをオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのZoomウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。
テーマ:「『鬼滅の刃』からみた日本アニメの文化力」
日 時:2021年3月20 日(土)午後3時~4時30分(日本時間)
方 法: Zoomウェビナー による
言 語: 日中韓3言語同時通訳付き
主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
申 込:こちらよりお申し込みください
お問い合わせ:SGRA事務局(
[email protected] +81-(0)3-3943-7612)
■ テーマ「『鬼滅の刃』からみた日本アニメの文化力」
昨年の長編アニメ『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の大ヒットは、日本の現代文化におけるアニメ の強さをあらためて印象づけた。一方でアニメは大衆文化の中でも日陰の存在だった時期は長く、決して順調に発展してきたわけではない。そんなアニメが現在に至る歴史、世界的視野からみた独自性の確立、これまでにヒット・注目された作品の特徴、そしてアニメがこれからも発展し、日本を代表する大衆文化としての力を持続するための課題、展望について解説する。
■ プログラム
第1部(15 :00-15:30)
司会: 陳 龑(京都精華大学マンガ学部専任講師)
講演「『鬼滅の刃』からみた日本アニメの文化力」
津堅信之(アニメーション研究家、日本大学藝術学部映画学科講師)
第2部(15:30-16:00)
対談/インタビュー
津堅信之×陳 龑
第3部(16:00-16:30)
質疑応答(会場+オンライン)
韓国語版サイト
中国語(簡体字)版サイト
中国語(繁体字)版サイト
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2020.12.03
2020年11月1日午後、第14回SGRAチャイナフォーラム『東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考』がオンラインのウェビナー形式で開催された。北京大学民主楼(燕京大学の教会だった場所)の講堂には大学院生30名近くが集まり、ささやかな会場が設けられていた。
日本時間の午後4時、北京時間の午後3時の定刻より、フォーラムが始まった。今西淳子常務理事に続き、国際交流基金北京日本文化センターの高橋耕一郎所長が開会の挨拶をして、滑り出しは順調だった。
国際日本文化研究センター稲賀繁美教授の講演テーマは「中国古典と西欧絵画との理論的邂合―東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」。近代にさしかかった時代から、時には新型コロナウイルスのように恐れられていた西洋文明が東アジアに影響を及ぼすようになった。絵画の世界においても、日本、中国、ヨーロッパといった3者の往来、交錯が顕著に見られた。稲賀先生は美しい絵を見せながら、「気韻生動」、「感情移入」等の美学の概念、そしてそれらを一身に背負う画家にスポットを当て、解説を行った。ところが、大変残念なことに、機械の音声トラブルが生じ、先生の声が途切れたりした。
講演に続き、清華大学歴史系の劉暁峰先生、東京大学東洋文化研究所の塚本麿充先生、清華大学中文系の王中忱先生(公務のため当日は参加できず、中国社会科学院文学研究所の高華鑫先生が代読)、香港城市大学中文及び歴史学科の林少陽先生よりそれぞれの専門的知見に基づいたコメントが述べられた。
その後の質疑応答の時間も音声トラブルで稲賀先生とのやりとりに困難が続いたが、先生ご自身をはじめ、通訳者、渥美財団のスタッフの懸命なご尽力がスクリーンを通して目に焼き付いた。
2020年はコロナへの恐怖から始まったといっても過言ではない。今年のチャイナフォーラムの開催は難しいと半分諦めていたが、8月頃から急ピッチで準備が進められた。形式、日時、テーマ、講演者、コメンテーター、ポスターなど、多くの方々に支えられながら開催に至った。参加者の理解を促すために、講演内容に関連する数々の論文が事前に紹介されたのも印象的だった。300名近い当日の参加者数もチャイナフォーラム開催以来、最大の数字を誇る。深く御礼を申し上げたい。
どんなに素晴らしい美術品にも欠点が存在するように、今回のフォーラムでは音声トラブルにより講演内容を十分堪能できなかったとのご指摘を真摯に受け止めたい。フォーラムの全容は、日本語版と中国語版の合冊レポートにまとめ、2021年春に冊子とPDFで発行する予定である。改めて当日の機械の不具合についてお詫びし、お聞き苦しかった点はレポートで補っていただきたい。
当日の写真
アンケート集計
中国語版はこちら
<孫建軍(そん・けんぐん)SUN Jianjun>
1990年北京国際関係学院卒業、1993年北京日本学研究センター修士課程修了、2003年国際基督教大学にてPh.D.取得。北京語言大学講師、国際日本文化研究センター講師を経て、北京大学外国語学院日本言語文化系副教授。専攻は近代日中語彙交流史。著書『近代日本語の起源―幕末明治初期につくられた新漢語』(早稲田大学出版部)。
2020年12月3日配信
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2020.11.12
SGRAレポート第91号
第13 回 SGRA-V カフェ
「ポスト・コロナ時代の東アジア」
2020年11月20日発行
<カフェの趣旨>
世界を震撼させた 2020 年の新型コロナウイルスが世界システムをかく乱し、「ポスト・コロナ時代」の国際関係の再構築が求められる中、東アジアはコロナの終息を待たずに、すでに激しく動き始めている。
コロナが発生するまで、中国のアメリカと日・韓の分断戦略はある程度の効果をもたらしてきた。しかし、コロナ問題と香港問題によって「米中新冷戦」が一気に進み、今まで米中間のバランスの維持に腐心してきた日本及び韓国に選択が迫られる。とりわけ日中の曖昧な「友好」関係の継続は限界に達し、日本の主体性ある「新アジア外交戦略」が模索され始めている。
中国による「国家安全法」の強制導入で、香港は一気に「中国システム」の外延をめぐる攻防の激戦地になり、米中新冷戦の最前線となった。香港という戦略上の緩衝地帯を喪失する台湾は、「台湾問題を解決する」中国からの圧力が一段と高まり、アメリカとの安全保障上の関係強化を一層求めることなり、台湾海峡は緊迫の時代に回帰する。
「ポスト・コロナ時代」における「米中新冷戦」の深まりはもはや回避できない。
<もくじ>
【開会挨拶】 SGRAカフェのオンライン開催にあたって
今西淳子(渥美国際交流財団常務理事)
【講演】 ポスト・コロナ時代の東アジア
林 泉忠(武漢大学日本研究センター教授・センター長)
【コメント1】 災い転じて福となす――新しい協調関係を
下荒地 修二(元外交官・大使)
【コメント2】 歴史の「本当の」終わり?――韓国の視座から
南 基正(ソウル大学日本研究所教授)
全体討論・懇親会 進行:林 泉忠
発言者(発言順)
高原 明生 (東京大学)
松田 康博 (東京大学東洋文化研究所)
菱田 雅晴 (法政大学)
小笠原 欣幸(東京外国語大学)
沼田 貞昭 (元外交官)
若林 一平 (ふくしま再生の会)
著者略歴
あとがきにかえて1
李 彦銘
あとがきにかえて2
林 泉忠
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2020.11.11
下記の通り第5回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性をオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。
テーマ:「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」
日 時:2021年1月9 日(土)午後2時~5時15分(日本時間)
方 法: Zoom Webinar による
言 語: 日中韓3言語同時通訳付き
主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
※参加申込(クリックして登録してください)
お問い合わせ:SGRA事務局(
[email protected] +81-(0)3-3943-7612)
■概要
渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)では、2016年以来「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を4回実施してきたが、今回は初めて試みとしてオンラインで半日のプログラムを開催する。今回のフォーラムでは、3カ国の歴史研究者が近代史の中の感染症についての研究を発表し、東アジア地域の交流史としての可能性を議論する。
なお、円滑な対話を進めるため、日本語⇔中国語、日本語⇔韓国語、中国語⇔韓国語の同時通訳をつける。フォーラム終了後は講演録(SGRAレポート)を作成し、参加者によるエッセイ等をメルマガ等で広く社会に発信する。
■テーマ「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」
東アジア地域で持続的に続く交流の歴史の中で、感染症の発生と流行が日中韓3国に及ぼした影響と社会的対応の様相を検討する。感染症はただ一国にとどまらず、頻繁に往来した商人たちや使節などに因って拡散され、大きな人的被害を招いた。感染症が流行する中、その被害を減らすために、各国なりに様々な対処方法を模索した。これを通じて感染症に対する治療方法のような医学知識の共有や防疫のための取り締まり規則の制定などが行われた。この問題について各国がどのように認識し、如何に対応策を用意したかを検証し、さらに各国の相互協力とその限界について考える。
■プログラム
第1セッション(14 :00-15:40) 座長: 村 和明(東京大学)
【歓迎挨拶】 今西 淳子(渥美国際交流財団)
【開会挨拶】 趙 珖(韓国国史編纂委員会)
【発 表】
韓国: 朴 漢珉(東北亜歴史財団) 「開港期朝鮮におけるコレラ流行と開港場検疫」
日本: 市川 智生(沖縄国際大学) 「19世紀後半日本における感染症対策と開港場」
中国: 余 新忠(南開大学) 「中国衛生防疫メカニズムの近代的発展と性格」
【指定討論】
韓国: 金 賢善(明知大学)
日本: 塩出 浩之(京都大学)
中国: 秦 方(首都師範大学)
第2セッション(15:45-17:15) 座長: 南 基正(ソウル大学)
【論点整理】劉 傑(早稲田大学)
【自由討論】パネリスト(国史対話プロジェクト参加者)
韓国:
李 命美(慶尚大学)、金 甫桄(嘉泉大学)、許 泰玖(カトリック大学)、崔 妵姫(德成女子大学)、
韓 承勲(韓国芸術総合学校)、韓 成敏(大田大学)、金 キョンテ(全南大学)、鄭 淳一(高麗大学)
日本:
向 正樹(同志社大学)、四日市 康博(立教大学)、八百 啓介(北九州市立大学)、
大川 真(中央大学)、大久保 健晴(慶應義塾大学)、青山治世(亜細亜大学)、平山昇(神奈川大学)
中国:
鄭 潔西(寧波大学)、孫 衛国(南開大学)、孫 青(復旦大学)、彭 浩(大阪市立大学)、
李 恩民(桜美林大学)
ゲスト:
明石 康(元国連事務次長)、楊 彪(華東師範大学)、王 文隆(南開大学)、段 瑞聡(慶應義塾大学)
オブザーバー:
葛 兆光(復旦大学)、祁 美琴(中国人民大学)
【総 括】宋 志勇(南開大学)
【閉会挨拶】三谷 博(跡見学園女子大学)
※同時通訳
韓国語⇔日本語:李 ヘリ(韓国外国語大学)、安 ヨンヒ(韓国外国語大学)
日本語⇔中国語:丁 莉(北京大学)、宋 剛(北京外国語大学)
中国語⇔韓国語:金 丹実(フリーランス)、朴 賢(京都大学)
※プログラム・会議資料の詳細は、下記リンクをご参照ください。
・プロジェクト概要
・プロジェクト資料
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2020.11.11
SGRAレポート第90号 中国語版 韓国語版
第63回SGRAフォーラム講演録
第4回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性
「『東アジア』の誕生-19世紀における国際秩序の転換-」
2020年11月20日発行
<フォーラムの趣旨>
19 世紀以前の東アジアは、域内各国の関係は比較的に疎遠で、各国が個別に外国との関係を結んでいた。しかし、西洋の諸国がグローバル化の運動を北太平洋まで及したとき、日中韓の関係は政治・経済・通信のいずれの面でも緊密化し始め、その中で「東アジア」を一体のリージョンと見なす想像力が生れた。今回は、このような東アジアの国際秩序の変化、その中での各国の国内秩序の変化を主題に国際対話を試みる。
西洋が強い商業関心と新たな交通・通信・軍事技術をもって該地域に再登場したとき、中国・日本・朝鮮はどのように西洋を認識したか。伝統的な知の体系とそれはどう絡み合ったのか。いずれの国でも反発と同時に新たな知への憧憬が生れ、一方では伝統への挑戦、他方では伝統の再造が試みられた。例えば、日本では、洋学が学校教育の主軸に据えられる一方、秩序の核心に天皇を置き、家族では儒教的な男性優位観が一般化した。この西洋への反発と憧れは国ごとに組合わせ方が異なり、それは今に至る文化の相違を生み出すことになった。
西洋の進出は各国に自衛を促し、結果的に各国を「国民国家」に変えていった。遅速の差はあっても、国境を明確化し、内部の団結を促すナショナリズムを生み出すことになったのである。その一方、西洋の持込んだ海運網は、人々を国境の外に誘うことにもなった。中国からは東南アジアに加えてアメリカ大陸に大量の出稼ぎ労働者が向い、以前は皆無だった日本からも移民が海を越えるようになった。朝鮮では移民は少なかったが、外国留学生や政治亡命者が現れ、やがて国の将来に大きな影響を及すようになった。ナショナリズムの形成と国境を越える移民・留学・亡命との交錯は、従来の東アジアの秩序を国際関係と国内秩序の両面で大きく変化させ、20 世紀の大変動を準備することになる。
今回のフォーラムでは、およそ以上のような問題群を取上げ、3 つのセッションに分けて各国の事情を比較し、討論して、19 世紀東アジア世界に起きた大転換の全体像を把握したい。
<もくじ>
第1セッション 開会 [司会:劉 傑(早稲田大学)]
【開会挨拶】 第4回円卓会議開催にあたって
趙 珖(韓国国史編纂委員会)
【歓迎挨拶】 19世紀のフィリピン―マニラ・ガレオン貿易を中心に―
フェルディナンド,マキト(フィリピン大学ロスバニョス校)
【基調講演】 「アジア」の発明―19世紀におけるリージョンの生成―
三谷 博(跡見学園女子大学)
【コメント】 基調講演を受けて1
宋 志勇(南開大学)
【コメント】 基調講演を受けて2
朴 漢珉(東国大学)
第2セッション 西洋の認識 [司会:劉 傑(早稲田大学)]
【発表論文1】 19世紀東アジアの国際秩序と「万国公法」受容―日本の場合―
大久保健晴(慶應義塾大学)
【発表論文2】 19世紀後半における東アジア三国の不平等条約体制の克服の可能性と限界
―1880年代初、朝鮮の門戸開放政策を中心に―
韓 承勳(高麗大学)
【発表論文3】 魔灯鏡影―18世紀から20世紀にかけての中国のマジックランタンの上映と製作と伝播―
孫 青(復旦大学)
【質疑応答】 第2セッション発表論文へのコメントおよび討論
第3セッション 伝統への挑戦と創造 [司会:村 和明(東京大学)]
【発表論文4】 18・19世紀における女性天皇・女系天皇論
大川 真(中央大学)
【発表論文5】 日本民法の形成と植民地朝鮮での適用―制令第7号「朝鮮民事令」を中心に―
南 基玄(成均館大学)
【発表論文6】 伝統と制度の創造―19世紀後期の中国の洋務運動―
郭 衛東(北京大学)
【質疑応答】 第3セッション発表論文へのコメントおよび討論
第4セッション 国境を越えた人の移動 [司会:彭 浩(大阪市立大学)]
【発表論文7】 東アジア公共圏の誕生
―19世紀後半の東アジアにおける英語新聞・中国語新聞・日本語新聞―
塩出浩之(京都大学)
【発表論文8】 金玉均の亡命に対する日本社会の認識と対応
韓 成敏(大田大学)
【発表論文9】 近代中国女性のモビリティー経験と女性「解放」に関する再考
秦 方(首都師範大学)
【質疑応答】 第4セッション発表論文へのコメントおよび討論
第5セッション 全体討議 [司会:李 恩民(桜美林大学)]
招待討論者:青山治世(亜細亜大学)、平山 昇(九州産業大学)、
朴 漢珉(東国大学)、孫 衛国(南開大学)
第6セッション 自由討論 [司会:南 基正(ソウル大学)]
総括:三谷 博(跡見学園女子大学)
あとがきにかえて
明石 康、金キョンテ、大川 真、南 基玄、郭 衛東、朴 漢珉
著者略歴
参加者リスト
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2020.10.16
第65回SGRA-V Forum
第5回「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」Online会議
◆「19世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」
第65回SGRA-V会议
第5回日本・中国・韩国国史对话的可能性
◆「19世纪东亚传染病的流行和社会对策」
제65회 SGRA-V포럼
제5회 한국・일본・중국 간 국사들의 대화 가능성
◆「19세기 동아시아에서의 전염병 유행과 사회적 대응」
日 時: 2021年1月9 日(土)午後2時~5時15分(日本、韓国時間)午後1時~4時15分(中国時間)
方 法: Zoom Webinar
主 催: 渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
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概要Project Plan : 日本語 中国語 韓国語
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【Session 1】
◆研究発表
朴 漢珉 (東北亜歴史財団)
開港期朝鮮におけるコレラ流行と開港場検疫
开港期朝鲜的霍乱流行与开港场检疫问题
개항기 조선의 콜레라 유행과 개항장 검역
発表要旨 日本語 中国語 韓国語
論文 日本語 中国語 韓国語
市川 智生 (沖縄国際大学)
19世紀後半日本における感染症対策と開港場
19世纪后半叶日本的传染病对策和通商港口
19세기 후반 일본의 감염병 대책과 개항장
発表要旨 日本語 中国語 韓国語
論文 日本語 中国語 韓国語
余 新忠(南開大学)
中国衛生防疫メカニズムの近代的発展と性格
中国卫生防疫的近代演变与性格
중국 위생 방역의 근대 변천과 성격
発表要旨 日本語 中国語 韓国語
論文 日本語 中国語 韓国語
◆指定討論
金 賢善(明知大学)
Comment 日本語 中国語 韓国語
塩出 浩之(京都大学)
Comment 日本語 中国語 韓国語
秦 方(首都師範大学)
Comment 日本語 中国語 韓国語
◆自由討論
Comments
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2020.10.07
下記の通りSGRAチャイナVフォーラムをオンライン(Zoom)で開催いたします。
参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。
今回は、聴講者はご自分のカメラもマイクもオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。
テーマ:「東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」
日時: 2020年11月1日(日)午後3時~4時30分(北京時間)/午後4時~5時30分(東京時間)
方 法: Zoom Webinar による
主 催: 渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)
協 力: 清華東亜文化講座、北京大学日本文化研究所
後 援: 国際交流基金北京日本文化センター
※参加申込(クリックして登録してください)
お問い合わせ:SGRA事務局(
[email protected] +81-(0)3-3943-7612)
■フォーラムの趣旨
江戸時代後期以降、日本には西洋の諸理論が流入し、絵画においても、それまで規範であった中国美術の受容とそれを展開していく過程に西洋理論が影響を及ぼすようになっていった。一方、絵画における東洋的な伝統や理念が西洋の画家たちに影響を与え、さらにそれが日本や中国で再評価されるという動きも起こった。本フォーラムでは、その複雑な影響関係を具体的に明らかにすることで、日本近代美術史を東洋と西洋の思想が交錯する場として捉え直し、東アジアの多様な文化的影響関係を議論したい。日中同時通訳付き。
■プログラム
総合司会:孫 建軍(北京大学日本文化学部)
開会挨拶:今西淳子(渥美国際交流財団)
【講演】稲賀繁美(国際日本文化研究センター)
「中国古典と西欧絵画との理論的邂合—東西思想の接触圏としての日本近代美術史再考」
【討論】
劉 暁峰(清華大学歴史系)
塚本麿充(東京大学東洋文化研究所)
王 中忱(清華大学中文系)/ 高華鑫(中国社会科学院文学研究所)代読
林 少陽(香港城市大学中文及歴史学科)
【質疑応答】
閉会挨拶:劉 暁峰(清華大学歴史系)
※プログラムの詳細は、下記URLをご参照ください。
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■発表要旨
渡邊崋山から橋本関雪までの画人がいかに中国の美術理論を西洋理論と対峙するなかで咀嚼したかを検討する。とりわけ「気韻生動」の概念がいかに西洋の美学理論に影響を与えたかをホイスラーからアーサ・ダウに至る系譜に確認するとともに、それが大正期の表現主義の流行のなかで、いかに日本近代で再評価され、「感情移入」美学と融合をとげ、更にそれが、豊子愷らによって中国近代に伝播したかを鳥瞰する。この文脈でセザンヌを中国美学に照らして評価する風潮が成長し、またそれと呼応するように、石濤が西欧のキリスト教神秘主義と混線し、東洋研究者のあいだで評価されるに至った経緯も明らかにする。
※なお、本フォーラムでは講演を契機とした活発な議論が展開されることを期待し、事前に講演内容に関連する以下の論文を紹介する。
◆「岡倉天心」関係:
稲賀繁美「天心・岡倉覚三と五浦―イギリス・ロマン主義特輯号の余白に―」
稲賀繁美「岡倉天心とインド―越境する近代国民意識と汎アジア・イデオロギーの帰趨」
◆橋本関雪の周辺:
稲賀繁美「表現主義と気韻生動―北清事変から大正年末に至る橋本関雪の軌跡と京都支那学の周辺―」
◆近代の南画復興と日中交流:
稲賀繁美著 王振平訳「論豊子愷《中国美術在現代芸術上勝利》与日訳作品在接受西方思想時的媒介作用」
◆サン・ディエゴでの中日美術交流に関する会議の報告:
稲賀繁美「日本美術と中国美術の<あいだ>(上)石橋財団国際シンポジウム(2018年11月2-4日)に出席して」
稲賀繁美「日本美術と中国美術の<あいだ>(下)石橋財団国際シンポジウム(2018年11月2-4日)に出席して」
[講師略歴]
稲賀繁美(いなが・しげみ)
国際日本文化研究センター 教授。1988年東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化専攻博士課程単位取得退学、1988年パリ第七大学 (新課程) 博士課程修了。博士(文学)。東京大学教養学部助手、三重大学人文学部助教授を経て、1997年国際日本文化研究センター助教授、2004年より国際日本文化研究センター教授。専門は比較文学比較文化、文化交流史。主な単著書に『絵画の臨界 : 近代東アジア美術史の桎梏と命運』、名古屋大学出版会、2014年1月、『絵画の東方 オリエンタリズムからジャポニスムへ』、名古屋大学出版会、480頁、1999年、『絵画の黄昏:エドゥアール・マネ没後の闘争』、名古屋大学出版会、467頁、1997年、共著書に(編著) 『東洋意識:夢想と現実のあいだ 1894-1953』、ミネルヴァ書房、京都、2012年4月20日、The 38th International Research Symposium: Questioning Oriental Aesthetics and Thinking: Conflicting Visions of “Asia” under the Colonial Empires International Research Symposium Proceedings38, International Research Center for Japanese Studies, Kyoto, 31 March 2011(『東洋美学と東洋的思惟を問う:植民地帝国下の葛藤するアジア像 -- 国際シンポジウム 第38集 --』 国際研究集会報告書 38、国際日本文化研究センター、京都、2011年3月31日)、(編著) 『異文化理解の倫理にむけて』、名古屋大学出版会、名古屋、2000年がある。