SGRAフォーラム

  • 2023.04.19

    李暉「第70回SGRAフォーラム『木造建築文化財の修復・保存について考える』報告」

    2023年2月18日(土)午後1時より第70回SGRAフォーラム「木造建築文化財の修復・保存について考える」を奈良県吉野郡吉野町の金峯山寺(きんぷせんじ)で開催した。国宝・金峯山寺二王門の保存修理工事現場をライブ中継で発信し、世界中のSGRA会員を始め市民も含めて議論の場を設けるというプロジェクトだ。SGRAと日本学術振興会科学研究費基盤研究(C)J190107009「日本と中国における大工道具の比較による東アジア木造建築技術史の基盤構築」(研究代表者:李暉、2014年渥美奨学生)の共催で、ライブ中継はSGRAでは初の試みだった。   金峰山修験本宗総本山金峯山寺の五條良知管長猊下のご挨拶でフォーラムの幕が開けた。小雨の中だったが、寺の沿革の説明や聖地でのフォーラム開催の意義を愛情込めて伝えていただいた。その後、奈良県文化財保存事務所の竹口泰生先生が二王門の保存修理現場を案内しながら、フォーラム後半で各国の先生方が討論するための話題を提供された。   ライブ中継は奈良県文化財保存事務所・金峯山寺出張所の方々にご協力いただき、二王門北の参道から始まった。外観を見た後で中へ入るというルートを取り、できる限り視聴者が臨場感を味わえるよう工夫した。竹口先生は事業全体の説明から始まり、解体修理に至った原因である地盤沈下の現状を紹介。保存修理にあたっての調査については、特に大工道具による加工痕跡について、初重の軒下にある組物を用いて詳細に説明された。中継の最後は素屋根の3階まで巡り、伐採した木材をいかだ穴付きのままで利用した部材を披露し、往時の建築造営と製材の関係を示す興味深い内容だった。1時間の現場案内は、あっという間に終わったが、普段にない近距離での観察で、多くの視聴者の好奇心を刺激したことだろう。貴重な現場の情報についてメモを取られた方々もたくさんいらしたようだ。   後半の討論は京都大学防災研究所の金玟淑氏(2007年渥美奨学生)の司会で進行した。韓国伝統建築修理技術振興財団の姜璿慧先生、中国文化遺産研究院の永昕群先生、京都工芸繊維大学のアレハンドロ・マルティネス先生が研究成果や経験に基づき、各国の伝統建築の保存修理事情を紹介し、二王門の保存修理を始めとする日本との相異についてコメントを頂いた。また、塩原フローニ・フリデリケ氏(BMW Japan、2008年渥美奨学生)からは市民を代表して文化財保存への理解を述べていただき、保存修理に携わっている専門家も多くのことを考えさせられた。   最後に視聴者の皆さんからの質問も受け、先生方にご回答いただいた。時間が限られており、すべてに回答することはできなかったが、視聴者と交流を図ることができたと思う。   3時間という長時間のフォーラムであったが、先生方は木造建築文化財保存への情熱があふれており、スクリーンを通して誠実で熱い討論が交わされた。その心は視聴者へも伝わったであろう。   常に工程に追われる保存修理現場にもかかわらず、多くの要望に応えていただいた竹口先生を始め、研究や調査業務で多忙な先生方へ心より感謝を申し上げたい。最後まで支援していただいたSGRAの存在の意義を改めて実感した。フォーラムには250余名が参加してくださった。皆さまに感謝するとともに少しでもお役立つことができたらと願うばかりである。木造建築文化財の修復・保存に限らず、専門家と市民のギャップはどの業界にもある。今回の試みを機に、多くの方がそのギャップを理解し、少しでも埋めていく意識を高めることができれば幸いである。   当日の写真   アンケート集計   <李暉(り・ほい)LI Hui> 2014年度渥美奨学生。2015年東京大学大学院博士(工学)取得。2014~2018年、奈良県文化財保存事務所仕様調査員として、薬師寺東塔(国宝・奈良県)の保存修理事業に携わった。2018年、奈良文化財研究所アソシエイトフェローとして、平城宮第一次大極殿院復原研究に従事。2023年、奈良女子大学 大和・紀伊半島学研究所古代学・聖地学研究センター協力研究員。専門は中国建築史。著書に、『建築の歴史・様式・社会』(共著、中央公論美術出版、2018)、『中国の建築装飾』(共訳、科学出版社東京、2021)、『中国古典庭園 園冶図解』(監訳、科学出版社東京、2023)など。     2023年4月20日配信  
  • 2023.03.20

    レポート第101号「第7回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 ―『歴史大衆化』と東アジアの歴史学」

    SGRAレポート第101日本語版 中国語版 韓国語版   第69回SGRAフォーラム講演録 第7回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性  「『歴史大衆化』と東アジアの歴史学」 2023年3月22日発行   <フォーラムの趣旨> 新型コロナ感染症蔓延が続くなか、「国史たちの対話」ではオンラインでのシンポジウムを開催し、一定の成功を収めてきたと考える。イベントを開催する環境にはなお大きな改善が期待しづらいことを踏まえ、引き続き従来参加してきた人々のなかでの対話を深めることを重視した企画を立てた。 大きな狙いは、各国の歴史学の現状をめぐって国史研究者たちが抱えている悩みを語り合い、各国の現状についての理解を共有し、今後の対話に活かしてゆきたい、ということである。こうした悩みは多岐にわたる。今回はその中から、各国の社会情勢の変貌、さまざまなメディア、特にインターネットの急速な発達のもとで、新たな需要に応えて歴史に関係する語りが多様な形で増殖しているが、国史の専門家たちの声が歴史に関心を持つ多くの人々に届いておらず、かつ既存の歴史学がそれに対応し切れていない、という危機意識を、具体的な論題として設定した。 共通の背景はありつつも、各国における社会の変貌のあり方により、具体的な事情は多種多様であると考えられるので、ひとまずこうした現状認識を「歴史大衆化」という言葉でくくってみた上で、各国の現状を報告していただき、それぞれの研究者が抱えている悩みや打開策を率直に語り合う場とした。   <もくじ> 第1セッション [総合司会:李 恩民(桜美林大学)] はじめに 李 恩民(桜美林大学) 開会の趣旨 彭 浩(大阪公立大学) 【問題提起】 「 歴史大衆化」について一緒に考えてみましょう  韓 成敏(高麗大学) 【指定討論1(中国)】 私が接触したパブリック・ヒストリー  鄭 潔西(温州大学) 【指定討論2(日本)】 日本で起こっていること─「歴史学」専門家の立ち位置と境界─  村 和明(東京大学) 【指定討論3(韓国)】 韓国における「公共歴史学」の現況と課題  沈 哲基(延世大学) 【コメント】 指定討論を受けて 韓 成敏(高麗大学)   第2 セッション [モデレーター:南 基正(ソウル大学)] 自由討論 論点整理:劉 傑(早稲田大学) パネリスト:問題提起者、討論者、国史対話プロジェクト参加者   第3セッション [総合司会:李 恩民(桜美林大学)] 総括 三谷 博(東京大学名誉教授) 閉会挨拶 趙 珖(高麗大学名誉教授)   講師略歴    あとがきにかえて 金キョンテ   参加者リスト  
  • 2023.01.16

    第70回SGRAフォーラム「木造建築文化財の修復・保存について考える」へのお誘い

    下記の通り第70回SGRAフォーラム「木造建築文化財の修復・保存について考える」をオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。一般聴講者はカメラもマイクもオフのウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。   テーマ:「木造建築文化財の修復・保存について考える」 日 時:2023年2月18 日(土)午後1時~午後4時(日本時間) 方 法: オンライン(Zoom ウェビナーによる) 言 語:日中韓3言語同時通訳付き   ※参加申込(クリックして登録してください) お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)     ■フォーラムの趣旨 東アジアの諸国は共通した木造建築文化圏に属しており、西洋と異なる文化遺産の形態を持っています。第70回SGRAフォーラムでは、国宝金峯山寺(きんぷせんじ)二王門の保存修理工事を取り上げ、日本の修理技術者から現在進行中の文化財修理現場をライブ中継で紹介していただきます。続いて韓国・中国・ヨーロッパの専門家と市民の代表からコメントを頂いた上で、視聴者からの質問も取り上げながら、専門家と市民の方々との間に文化財の修復と保存について議論の場を設けます。   今回のフォーラムを通じて、木造建築文化財の修復方法と保存実態をありのままお伝えし、専門家と市民の方々との相互理解を推進したいと考えております。   今回のフォーラムを実現することを可能にしてくださった、金峯山寺と奈良県文化財保存事務所に心からお礼を申し上げます。     ■プログラム 総合司会 李 暉(奈良文化財研究所 アソシエイトフェロー/SGRA)   13:00 フォーラムの趣旨、登壇者の紹介 13:10 開会挨拶 五條良知(金峯山寺 管長) 13:15 話題提供 竹口泰生(奈良県文化財保存事務所金峯山寺出張所 主任)   [討論] モデレーター: 金 玟淑(京都大学防災研究所 民間等共同研究員/SGRA) 14:20 韓国専門家によるコメント ――――― 姜 璿慧( 伝統建築修理技術振興財団 企画行政チームリーダー) 14:35 中国専門家によるコメント ――――― 永 昕群(中国文化遺産研究院 研究館員) 14:50 ヨーロッパ専門家によるコメント ――――― アレハンドロ・マルティネス(京都工芸繊維大学 助教) 15:05 市民によるコメント ――――― 塩原フローニ・フリデリケ(BMW GROUP Japan/SGRA) 15:20 視聴者からの質疑応答(Q&A機能を使って)   ※同時通訳: 日本語⇔中国語:丁 莉(北京大学)、宋 剛(北京外国語大学/SGRA) 日本語⇔韓国語:李 ヘリ(韓国外国語大学)、安 ヨンヒ(韓国外国語大学) 中国語⇔韓国語:朴 賢(京都大学)、金 恵蘭(フリーランス)     中国語版ウェブサイト 韓国語版ウェブサイト
  • 2022.10.27

    レポート第99号「夢・希望・嘘 -メディアとジェンダー・セクシュアリティの関係性を探る-」

    SGRAレポート第99号   第68回SGRAフォーラム 「夢・希望・嘘 -メディアとジェンダー・セクシュアリティの関係性を探る-」 2022年11月1日発行   <フォーラムの趣旨> 現代社会に生きる者がメディアの影響からのがれることは難しい。服から食べ物まで、私たちの日常的なあらゆるものの選択はメディアに左右されている。   同様に、子供のころからジェンダーやセクシュアリティに関わる情報にさらされ、女性は、男性は、いかに行動すべきなのか、どのようなジェンダーやセクシュアリティが存在するのか、恋愛とは何なのかというイメージもメディアにより作られている。メディアは意見を作るための貴重なツールであるだけでなく、意見を変えるためのツールでもある。   本フォーラムではメディアはどのように恋愛、ジェンダーやセクシュアリティの理解に影響を与えているのか?視聴者やファンはどのようにメディアと接触しているのか?社会的な変化のために、メディアをどのように利用することができるのか? など、現代におけるメディアとジェンダーおよびセクシュアリティの関係性のさまざまな様相を皆さんと共に掘り下げ、探ってゆくことを目指した。     <もくじ> 【第1 部】 [基調講演] 今の時代、白馬に乗った王子様って必要? ―リアリティーテレビの「バチェラー・ジャパン」と「バチェロレッテ・ジャパン」から見たジェンダー表象―  ハンブルトン・アレクサンドラ(津田塾大学)   [質疑応答] 質問者:デール・ソンヤ(インディペンデントリサーチャー) 回答者: ハンブルトン・アレクサンドラ(津田塾大学) Q&Aコーディネーター:郭 立夫(東京大学)   【第2 部】 [発表①] 夢を売り、夢を描く ―ジェンダー視点からみる宝塚歌劇団の経営戦略と関西圏のファン文化― バラニャク平田ズザンナ(お茶の水女子大学)   [発表②] 中国本土のクィア運動におけるメディア利用 ―北京紀安徳咨詢センターによるメディア・アクティビズムを中心に― 于 寧(国際基督教大学)   [発表③] #MeTooからデンジャンニョ(味噌女)まで ―韓国のメディアにおける「フェミ/嫌フェミ」をめぐって―  洪ユン伸(一橋大学)   【第3 部】 ディスカッション パネリスト: ハンブルトン・アレクサンドラ(津田塾大学) バラニャク平田ズザンナ(お茶の水女子大学) 于 寧(国際基督教大学) 洪 ユン伸(一橋大学) Q&A コーディネーター:郭 立夫(東京大学)   講師略歴   あとがきにかえて デール・ソンヤ(インディペンデントリサーチャー)
  • 2022.03.14

    デール・ソンヤ「第68回SGRAフォーラム『夢・希望・嘘―メディアとジェンダー・セクシュアリティの関係を探る』報告」

    2022年2月20日(日)14時~17時、第68回SGRAフォーラムを開催しました。Zoomウェビナーを利用した完全オンライン形式です。コロナ禍の影響で、なかなか実際に会うことができませんが、このような形で皆さんとイベントができることはありがたいです。テーマはデジタルや新メディアの時代にふさわしい「夢・希望・嘘―メディアとジェンダー・セクシュアリティの関係を探る」です。東アジアを中心に、日本、中国、韓国の事情についての発表とディスカッションがあり113名が登録、参加してくださいました。発表者はハンブルトン・アレクサンドラ先生と元渥美奨学生3名―バラニャク平田ズザンナ先生(2019年度)、于寧先生(2020年度)、洪ユン伸先生(2008年度)。Q&A担当は郭立夫さん(2021年度)、モデレーターはデール・ソンヤ(2012年度)です。開会挨拶は、SGRA代表の今西淳子さんがしてくださいました。このイベントに多くの渥美奨学生に関わってもらい、またジェンダー・セクシュアリティを専門とするメンバーが増えていることに、感謝と喜びを感じています。   基調講演は津田塾大学のハンブルトン・アレクサンドラ先生。「今の時代、白馬に乗った王子様って必要?リアリティーテレビの『バチェラージャパン』と『バチェロレッテジャパン』から見たジェンダー表象」というタイトルで、最近流行っている恋愛リアリティ番組から見える社会現象についてです。最初に現代日本の結婚および少子高齢化社会をめぐる言説と婚活事業を紹介してくださいました。結婚や出産に関して政府の視野が狭く、日本に住んでいる人々の現実を十分把握できていないとの指摘です。経済的に苦労している人が多く、与えられた性別によってサバイバルの対策が異なります。日本の「バチェラージャパン」でみられるように、男性と結婚することで経済的な安定を求める女性が多くいます。しかし、同時にこのような恋愛リアリティ番組も固定概念に基づいているラブ・ストーリーしか描こうとしていません。多様性が反映されていないことが問題です。ハンブルトン先生の結論として、白馬に乗った王子様は今の時代に必要です。しかし、その王子様はお金持ちの男性ではありません。必要となっているのは社会福祉の改善と全ての人のための暮らしやすい社会作りです。   講演の後は3名の元渥美奨学生による各20分の発表でした。バラニャク平田ズザンナ先生(お茶の水女子大学)は「日本の宝塚歌劇団とファン文化」、于寧先生(国際基督教大学)は「中国本土のクィア運動とメディア利用」、洪ユン伸先生(一橋大学)は「韓国のフェミニズムと嫌フェミニズム運動」についてです。   バラニャク平田先生は事情によりリアルタイムで参加できず、事前に録画していただいたものを流しました。「夢を売り、夢を描く:ジェンダー視点からみる宝塚歌劇団の経営戦略と関西圏のファン文化」という発表で、宝塚歌劇団の歴史的・社会的な背景を紹介した上でファンからの聞き取り調査から得た情報を共有していただきました。宝塚歌劇団は「夢の世界」として売られているもので、その「夢の世界」を家父長的な経営戦略および都市空間という二つの側面から分析し、女性ファンのエンパワーメントを考察しました。   次は于寧先生による「中国本土のクィア運動におけるメディア利用―北京紀安徳咨詢センターによるメディア・アクティビズムを中心に」という発表です。歴史的な視点から、時代に合わせて活動家が使っているメディア媒体の変化や直面する社会問題などを紹介していただき、中国本土のクィア活動について知る重要な機会となりました。発表で紹介された北京紀安徳咨詢センターの活動は終了したとのことで、マイノリティ団体が活動を長く続けることの難しさを改めて実感しました。しかし、団体そのものがなくなっても成果を残せば、従来から続いている運動に活用できるので、過去にとっても将来にとっても貴重な社会貢献だといえます。   最後の発表は洪ユン伸先生による「MeTooからデンジャンニョ(味噌女)まで:韓国のメディアにおける「フェミ/嫌フェミ」をめぐって」という発表でした。近年、韓国のフェミニズム運動が可視化された一方、フェミニズムバッシングも増えたとのことです。その背景及び現象を紹介し、韓国のMeToo運動が直面する課題などを説明してくださいました。学校などの公的な場所でのMeToo運動がある一方で、バッシングを受ける恐れから実名で自分が受けた経験について語ることができない現状があるそうです。韓国においてフェミニズムはまだ物議を醸す話題です。韓国のMeToo運動に対して、シスジェンダーとヘテロセクシャル、いわばマジョリティの立場にいる女性と男性から視野を広げる必要もあり、これからの課題としてLGBTや障がい者を取り組むことも必要とのことでした。   最後は4名の発表者とのディスカッション・質疑応答です。韓国、中国と日本のメディアとジェンダー・セクシュアリティや社会問題などについて話し合い、時間が足りないほど幅広く様々な話題にふれました。議論された課題の中には検閲の問題、政府の政策と出産・結婚やメディアの関係性、メディアにおける多様性、フェミニズム運動におけるトランスジェンダー女性の位置付けなどがありました。   ジェンダーとセクシュアリティの話になると、現状を把握した結果、絶望的になりやすいですが、最後に皆さんがそれぞれの分野で今期待していることについて話しました。様々な社会問題が残っており、男女平等もまだ果たしていない東アジア(台湾以外)に同性結婚やトランスジェンダーの権利がまだできていないのが現状ですが、少しずつ変化も感じられます。また、皆さまと対談ができることも、とても嬉しいことです。これからも、このような対談が増えていくことを期待しています!   当日の写真   アンケート集計   <デール・ソンヤ DALE Sonja> ウォリック大学哲学部学士、オーフス大学ヨーロッパ・スタディーズ修士を経て上智大学グローバル・スタディーズ研究科にて博士号取得。これまで一橋大学専任講師、上智大学・東海大学等非常勤講師を担当。現在、インディペンデントリサーチャー。ジェンダー・セクシュアリティ、クィア理論、社会的なマイノリティおよび社会的な排除のプロセスなどについて研究。2012 年度渥美国際交流財団奨学生。     2022年3月17日配信      
  • 2022.02.01

    レポート第97号「「誰一人取り残さない」 如何にパンデミックを乗り越え SDGs 実現に向かうか ―世界各地からの現状報告―」

    SGRAレポート第97号   第67 回SGRA フォーラム 「誰一人取り残さない」 如何にパンデミックを乗り越えSDGs 実現に向かうか ―世界各地からの現状報告― 2022年2月10日発行   <フォーラムの趣旨> SDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)は、2015 年9月の国連サミットで、国連加盟193 カ国が採択した、2016 年から30 年までの15 年間で持続可能で、より良い世界を目指すために掲げた目標。国連ではSDGs を通じて、貧困に終止符を打ち、地球を保護してすべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけている。具体的には、17 のゴール(なりたい姿)・169 のターゲット(具体的な達成基準)から構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leaveno one behind)」ことを誓っている。SDGs に取り組むのは、国連加盟国の各国政府だけではなく、企業、NPO、NGO などの各種団体、地方自治体、教育機関、市民社会、そして個人などすべての主体がそれぞれの立場から取り組んでいくことが求められている。   2020 年はSDGs の5年目になる年であったが、新型コロナウイルスによるパンデミックが世界を席巻し、世界各国の経済や社会生活に多大な打撃を与え、世界大戦に匹敵する死傷者を出す悲惨な状況になってしまった。世界では先進国を中心にワクチン開発・供給などで取り組んで来ているが、多くの発展途上国は、資本主義の生存競争のなかで、パンデミックの対応に困難を極める状況に置かれているのが現状である。   本フォーラムは、SDGs の基本理念と目標について理解するとともに、いくつかの国をケーススタディとしてとりあげ、パンデミックを如何に克服して「誰一人取り残さない」SDGs の実現に対応すべきかについて議論を交わすことを通じて、「地球市民」を目指す市民の意識を高め、一人一人がSDGs に主体的に取り組むアクションを起こすきっかけを提供することを目的とする。     <もくじ> 【第1 部】 基調報告 SDGs時代における私たちの意識改革 佐渡友 哲(日本大学、INAF)   【第2 部】 世界各地からの現状報告 【報告1】 フィリピンにおけるSDGs フェルディナンド・C・マキト(フィリピン大学ロスバニョス校、SGRA) 【報告2】 ハンガリーにおけるSDGs ―水に関するハンガリー・中国の国際関係・協力を事例に― 杜 世鑫(INAF) 【報告3】 「 アラブ持続可能な開発レポート2020」から読み解く 中東・北アフリカ地域のSDGsに向けた課題 ダルウィッシュ ホサム(アジア経済研究所、SGRA) 【報告4】 朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)における SDGsの取り組みと評価 李 鋼哲(北陸大学、SGRA、INAF) 【報告5】 民主化プロセスとパンデミック ―歴史の運命のいたずらに翻弄されるスーダン暫定政府と国民― モハメド・オマル・アブディン(参天製薬(株)、SGRA)   【第3 部】 討論・総括 モデレーター:李 鋼哲(北陸大学、SGRA、INAF) 指定討論者: 羽場 久美子(神奈川大学教授・青山学院大学名誉教授、INAF)、三村 光弘(環日本海経済研究所(ERINA)、INAF) パネリスト:報告者全員 総   括:平川 均(名古屋大学名誉教授、SGRA、INAF)   あとがきにかえて 李 鋼哲(北陸大学、SGRA、INAF)   講師略歴
  • 2022.01.19

    第68回SGRAフォーラム「夢・希望・嘘 -メディアとジェンダー・セクシュアリティの関係性を探る-」へのお誘い

    下記の通りSGRAフォーラムをオンラインで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。聴講者はカメラもマイクもオフのWebinar形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。   テーマ:「夢・希望・嘘 -メディアとジェンダー・セクシュアリティの関係性を探る-」 日時:2022年2月20日(日)午後2時~5時 方法:Zoom Webinarによる 主催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)   ※参加申込(下記URLより登録してください) https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_KSs7_UZmR_aDZ3P5lgTUOw お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)       ■フォーラムの趣旨 現代社会に生きる者がメディアの影響からのがれることは難しい。服から食べ物まで、私たちの日常的なあらゆるものの選択はメディアに左右されている。 同様に、子供のころからジェンダーやセクシュアリティに関わる情報にさらされ、女性は、男性はいかに行動すべきなのか、どのようなジェンダーやセクシュアリティが存在するのか、恋愛とは何なのかというイメージもメディアにより作られている。メディアは意見を作るための貴重なツールであるだけでなく、意見を変えるためのツールでもある。 本フォーラムではメディアはどのように恋愛、ジェンダーやセクシュアリティの理解に影響を与えているのか?視聴者やファンはどのようにメディアと接触しているのか?社会的な変化のために、メディアをどのように利用することができるのか?など、現代におけるメディアとジェンダーおよびセクシュアリティの関係性のさまざまな様相を皆さんと共に掘り下げ、探ってゆきたい。   ■プログラム 【基調講演】 ハンブルトン・アレクサンドラ(津田塾大学) 「今の時代、白馬に乗った王子様って必要? リアリティーテレビの「バチェラージャパン」と「バチェロレッテジャパン」から見たジェンダー表象」   【発表①】 バラニャク平田ズザンナ(お茶の水女子大学) 「夢を売り、夢を描く :ジェンダー視点からみる宝塚歌劇団の経営戦略と関西圏のファン文化」   【発表②】 于寧(国際基督教大学) 「中国本土のクィア運動におけるメディア利用 ―北京紀安徳咨詢センターによるメディア・アクティビズムを中心に―」   【発表③】 洪ユン伸(一橋大学) 「Me tooからデンジャンニョ(味噌女)まで :韓国のメディアにおける「フェミ/嫌フェミ」をめぐって」   司会/モデレーター:デール・ソンヤ(インディペンデントリサーチャー)   ※詳細はプログラムをご覧ください。
  • 2022.01.13

    レポート第96号「第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 ―人の移動と境界・権力・民族」

    SGRAレポート第96号 中国語版 韓国語版   第66回SGRAフォーラム講演録 第6回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性  「人の移動と境界・権力・民族」 2022年6月9日発行   <フォーラムの趣旨> 「国史たちの対話」企画は、自国の歴史を専門とする各国の研究者たちの対話・交流を目的として2016 年に始まり、これまで全5 回を開催した。国境を越えて多くの参加者が集い、各国の国史の現状と課題や、個別の実証研究をめぐって、議論と交流を深めてきた。第5 回 は新型コロナ流行下でも対話を継続すべく、初のオンライン開催を試み、多くの参加者から興味深い発言が得られたが、討論時間が短く、やや消化不良の印象を残した。今回はやや実験的に、自由な討論に十分な時間を割くことを主眼に、思い切った大きなテーマを掲げた。 問題提起と若干のコメントを皮切りに、国や地域、時代を超えて議論を豊かに展開し、これまで広がってきた参加者の輪の連帯を一層深めたい。   <もくじ> 第1セッション [総合司会:李 恩民(桜美林大学)] 【開会趣旨】 はじめに 村 和明(東京大学) 【問題提起】 人の移動からみる近代日本:国境・国籍・民族 塩出浩之(京都大学) 【指定討論1】 13~14世紀のモンゴル帝国期における人の移動 韓国:趙 阮(釜山大学) 【指定討論2】 中国の歴史における大規模な人口移動 中国:張 佳(復旦大学) 【指定討論3】 古代および中世日本の出入国管理 日本:榎本 渉(国際日本文化研究センター)   第2セッション 指定討論 [司会:南 基正(ソウル大学)] 【指定討論4】 近代における韓国人の移動 韓国:韓 成敏(世宗大学) 【指定討論5】 中心から辺地へ―「ゾミア」という概念― 中国:秦 方(首都師範大学) 【指定討論6】 帝国・人権・南洋―政治思想の視座から― 日本:大久保健晴(慶應義塾大学) 指定討論者への応答  塩出浩之(京都大学) 自由討論1 講師と指定討論者   第3セッション 自由討論2 [司会:彭 浩(大阪市立大学)] 論点整理:劉 傑(早稲田大学) パネリスト(国史対話プロジェクト参加者): 市川智生(沖縄国際大学)、大川 真(中央大学)、佐藤雄基(立教大学)、 平山 昇(神奈川大学)、浅野豊美(早稲田大学)、沈 哲基(延世大学)、 南 基玄(韓国独立記念館)、金キョンテ(全南大学)、王 耀振(天津外国語大学)、 孫 継強(蘇州大学)   第4セッション 自由討論3 [司会:鄭 淳一(高麗大学)] パネリスト(国史対話プロジェクト参加者): 市川智生(沖縄国際大学)、大川 真(中央大学)、佐藤雄基(立教大学)、 平山 昇(神奈川大学)、浅野豊美(早稲田大学)、沈 哲基(延世大学)、 南 基玄(韓国独立記念館)、金キョンテ(全南大学)、王 耀振(天津外国語大学)、 孫 継強(蘇州大学)   総括 宋 志勇(南開大学)、三谷 博(東京大学名誉教授) 閉会挨拶 趙 珖(高麗大学名誉教授)   講師略歴   あとがきにかえて 金キョンテ、三谷博   参加者リスト
  • 2021.10.28

    李鋼哲「第67回SGRAフォーラム『誰一人取り残さない:如何にパンデミックを乗り越えSDGs実現に向かうか―世界各地からの現状報告―』報告」

    2021年9月23日午後、第67回SGRAフォーラムが渥美財団ホールおよびオンライン(ZOOM)で開催された。テーマは「誰一人取り残さない:如何にパンデミックを乗り越えSDGs実現に向かうか―世界各地からの現状報告―」で、SGRA構想アジアチームにより企画され、渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)が主催、一般社団法人東北亜未来構想研究所(INAF)の共催で行われた。国内外から約80名がオンラインなどで参加し、国連が掲げるSDGsの2030年目標達成に向けて世界各地からの報告があった。   総合司会はロスティカ・ミヤさん(大東文化大学講師、SGRA構想アジアチームメンバー)が務めた。冒頭に今西淳子SGRA代表より開会の挨拶があり、SGRAとINAFについて紹介、共催に至った経緯を説明した。   引き続き、李鋼哲がモデレーターを務め、第1部は基調講演、第2部は世界各地の報告5本、そして第3部は指定討論およびパネル・ディスカッションが順次行われ、最後に渥美国際交流財団理事・INAF理事長の平川均先生が総括した。   基調講演は、佐渡友哲先生(さどとも・てつ:日本大学大学院講師、INAF理事)の「SDGs時代における私たちの意識改革」で、会場の渥美財団ホールで行われた。先生は、国際関係論が専門で、北東アジア学会会長など多くの要職を歴任され、2019年12月には『SDGs時代の平和学』(単著、法律文化社)を出版された。冒頭で「いま私たちに求められていることは、私たちが『持続可能ではない世界』に住んでいることを知り、そのことを強く意識することであり、『知る→意識する→考える→行動する』というプロセスが重要である」と強調。かつてゼミ生を引率してインドを始め発展途上国で現地調査を行った実体験と結果を踏まえながら、「持続可能な発展」目標と「持続可能ではない世界」の現状について明晰に分析し、「SDGs達成のためには、私たちの現代文明が行き着いた大規模化・集中化・グローバル化という仕組みを見直し、循環型社会を強化することであることに気づかなければならない」と訴えた。   SDGs時代の教員に求められていることは「持続可能な社会の創り手」を育成すること、この「創り手」とは経済成長に貢献する、いわゆるグローバル人材(人財)ではなく、いま生活しているこの社会・世界が持続不可能であることを認識し、SDGsの理念を理解して、地球的諸問題の解決へ向けて行動を起こす地球市民(global_citizen)のことである。これはSGRAが設立当初から提唱する「良き地球市民」と共通しており、その中身についての重要な示唆点を提示してくれた。   休憩を挟んで第2部では、5本の現地報告があった。 第1報告は「フィリピンにおけるSDGs」について、フェルディナンド・マキト・SGRA大先輩(フィリピン大学ロスバニョス校准教授)により、オンラインで行われた。フィリピンはパンデミックによりSDGsへの取り組みが大幅に妨げられており、「COVID-19で死ななくても、仕事が無くて飢え死んでしまうだろう」という生々しい現場の声を伝えた。しかし、明るい兆しも見えてきており、(1)国内農業の重要性の見直し、(2)多くの有力な民間企業が株主だけではなく社会的役割も重要であるという認識が芽生えていること、(3)大学は学術的な実績だけではなく、社会へのインパクトも評価されつつあるという、とても示唆に富む話であった。   第2報告は「ハンガリーにおけるSDGs」というテーマで、杜世鑫さん(と・せきん:INAF研究員、グローバル国際関係研究所研究員)により行われた。東欧諸国の中でハンガリーのSDGs達成度は高く(世界で第25位)、「水資源の開発」をめぐるハンガリーと中国との協力関係を事例に取り上げ、持続可能な開発における先導的な役割を果たしていることを紹介した。   第3報告は、「中東・北アフリカ地域におけるSDGs」をテーマに、ダルウィッシュ・ホサムさん(アジア研究所研究員、SGRAメンバー)により行われた。この地域は過去50年間、平均寿命の伸び率が他のどの地域よりも高く、保健、教育、所得という3つの人間開発指標(HDI)と生活の多様な側面で大幅に改善されていることを紹介すると同時に、2020年の「アラブ持続可能な開発報告書」によれば、この地域では、2030年までにSDGsを達成できる国はないと結論づけられている現実についても紹介し、その原因について分析した。   第4報告は、「朝鮮におけるSDGs」をテーマに李鋼哲が報告した。日本や国際社会であまり知られていない朝鮮の社会と経済開発の実態について分析し、開発途上国でありながら社会主義体制を維持する朝鮮社会の特質について認識した上でSDGsの達成度を評価する必要性を強調し、経済的な困窮の中でも国連と連携しながらSDGsの実現に向けて取り組んでいる現状を紹介した。   第5報告は、「アフリカにおけるSDGs」というテーマで、モハメド・オマル・アブディンさん(参天製薬㈱、SGRAメンバー)が報告した。スーダン出身のアブディンさんは、2019年4月に30年間に及んだ独裁体制がやっと崩壊し、民主化に向けて暫定政府が発足したが、半年後にパンデミックが猛威を振るい始めた状況のなかで、国境封鎖やロック・ダウンを含む厳しい非常事態宣言が行われ、スーダン経済に及ぼした影響について紹介し、収入を保障できない貧困国における感染対策実行の難しさについて述べた。   以上の報告に対し、羽場久美子先生(神奈川大学教授、INAF副理事長)と三村光弘先生(ERINA主任研究員、INAF理事、北東アジア学会会長)がコメントした。続いて基調講演者と報告者全員によるパネル・ディスカッションが行われ、SDGs実現に向けての現状およびパンデミック対策や問題点など重要な論点について白熱した議論が交わされた。   最後に、平川均先生が総括した。パンデミックによる世界の現状について、豊富なデータによってワクチン接種における先進国と開発途上国の格差問題について取り上げ、グテ―レス国連事務総長とテドロス世界保健機関(WHO)事務局長の訴えを紹介して締めくくった。   当日の写真   アンケート集計   英語版はこちら   <李鋼哲(り・こうてつ)LI Kotetsu> 中国延辺朝鮮族自治州生まれの朝鮮族。1985年中央民族大学(中国)哲学科卒業後、中共北京市委党校大学院で共産党研究、その後中華全国総工会(労働組合総会)傘下の中国労働関係大学で専任講師。91年来日、立教大学大学院経済学研究科博士課程単位修得済み中退後、2001年より東京財団研究員、名古屋大学国際経済動態研究所研究員、内閣府傘下総合研究開発機構(NIRA)主任研究員を経て、06年より北陸大学教授に就任。2020年10月より、一般社団法人・東北亜未来構想研究所(INAF)を有志たちと共に創設、所長に就任。日中韓+朝露蒙など多言語能力を生かして東北アジアを檜の舞台に研究・交流活動を行う。SGRA研究員および「構想アジア」チーム代表。近著に『アジア共同体の創成プロセス』(編著、2015年、日本僑報社)、その他書籍・論文や新聞コラム・エッセイ多数。     2021年10月28日配信
  • 2021.10.12

    レポート第94号「第5 回 日本・中国・韓国における 国史たちの対話の可能性― 19 世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」

    SGRAレポート第94号 中国語版 韓国語版   第65回SGRA-Vフォーラム講演録 第5回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 「19 世紀東アジアにおける感染症の流行と社会的対応」 日本語版:2021年10月8日発行 中国語版・韓国語版:2021年12月15日発行     <フォーラムの趣旨> 東アジア地域で持続的に続く交流の歴史の中で、感染症の発生と流行が日中韓3国に及ぼした影響と社会的対応の様相を検討する。感染症はただ一国にとどまらず、頻繁に往来した商人たちや使節などに因って拡散され、大きな人的被害を招いた。感染症が流行する中、その被害を減らすために、各国なりに様々な対処方法を模索した。これを通じて感染症に対する治療方法のような医学知識の共有や防疫のための取り締まり規則の制定などが行われた。この問題について各国がどのように認識し、如何に対応策を用意したかを検証し、さらに各国の相互協力とその限界について考える。     <もくじ> 第1セッション [座長:村 和明(東京大学)] 【歓迎挨拶】 はじめに 今西淳子(渥美国際交流財団)   【開会挨拶】 第5回 円卓会議開催にあたって 趙 珖(韓国国史編纂委員会)   【発表論文1】 開港期朝鮮におけるコレラ流行と開港場検疫 朴 漢珉(東北亜歴史財団)   【発表論文2】 19 世紀後半日本における感染症対策と開港場 市川智生(沖縄国際大学)   【発表論文3】 中国衛生防疫メカニズムの近代的発展と性格 余 新忠(南開大学)   【指定討論】 [指定討論1]発表者へのコメント 金 賢善(明知大学) [指定討論2]発表者へのコメント 塩出浩之(京都大学) [指定討論3]発表者へのコメント 秦 方(首都師範大学)     第2 セッション [座長:南 基正(ソウル大学)] 自由討論 論点整理:劉 傑(早稲田大学)   自由討論:パネリスト(国史対話プロジェクト参加者)   総  括:宋 志勇(南開大学)   コメント:明石 康(元国連事務次長)   閉会挨拶:三谷 博(跡見学園女子大学)     事前コメント   あとがきにかえて 金キョンテ、金 賢善、平山 昇   著者略歴    参加者リスト