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2003.02.28
少し前になりますが、李鋼哲研究員より下記のお知らせをいただきましたので、転送します。
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韓国のハンキョレ新聞から、大統領選の直前に、もし廬氏が大統領になったら北東アジア経済協力を積極的に進めると公言したので、開発銀行に関する特集記事を1月1日のコラムに載せるという依頼がありまして書き上げました。ハンキョレ新聞といえば、歴史は短いが韓国で最も進歩的な新聞であります。その記事は韓国語になっているので、日本語原稿を添付します。ご参考まで。
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한겨레 신문 기고
「北東アジア開発銀行、その成否のカギは朝鮮半島にあり」
北東アジア地域協力の要をなしている開発銀行設立構想は、10年前から議論されていたが、最近になっては実現に向けて動きが関連諸国で活発化している。3年前に中国天津市政府は開発銀行を同市に誘致すると宣言し、近年韓国でも大統領、及び大統領候補たちは同開発銀行構想を推進するとしている。それでは日本は乗り出すのかどうかが現段階のキーポイントとなろう。
同開発銀行構想について、日本国内では関心度がかなり低いのが現状である。日本は冷戦後に、北東アジア地域協力はさることながら、東アジア地域協力にも消極的であった。とりわけ、北東アジアにおいては日米同盟と日朝関係がそれぞれ大きな足かせとネックとなっている。それに日本国内の長引く不景気が、開発銀行構想のような前向き思考を停止させたと言っても過言ではないだろう。しかし、日本の地域協力への姿勢と政策はアジア通貨・金融危機をきっかけに変わっていることが注目される。「ASEAN+3」枠組み、及び日中韓3国枠組みの形成と拡大は、日本のこうした姿勢の変化なしにはあり得ない。さらに、朝鮮半島での情勢変化に日本の反応は俊敏であり、2000年6月の南北首脳会談の成功に対する日本の対応は積極的と言える。北東アジア開発銀行構想に関する本格的な調査・研究プロジェクトが東京財団により実施されたのもその現れでの一つであろう。
去る2002年7月29日、東京財団の北東アジア開発銀行プロジェクトチームは、小泉純一郎首相宛に「北東アジア開発銀行(NEADB)創設のための5つの政策提言」並びに『報告書』を進呈した。総理官邸で内閣官房長官福田康夫が首相に代わって提言の申し入れを受理し、研究代表の説明を受けた後、「この問題は何れ取り組まねばならない課題だ。貴重なご研究と提言に感謝する」とコメントをした。
同研究プロジェクトが日本のトップレベルの民間シンクタンクにより行われ、また域内外諸国や国際機関に発信されていることは、日本の対北東アジア姿勢は変わりうることを示した。ユニークなことは、同研究プロジェクトチーム構成メンバーが多国籍であること。日中韓ロなど域内4カ国並びに台湾、米国など関連国・地域の出身者、そしてアジア開発銀行、国連経験者など多国籍メンバーにより構成されされたチームは、国際的な視点から、日本の対外協力政策の焦点を北東アジアに当てる必要性と緊要性を日本政府に訴え、日本がイニシアティブを取るように働きかけたことは、日本国内では珍しいケースである。
同政策提言では、まず、北東アジア開発銀行の創設は同地域多国間協力のモデルとして位置づけるべきだと訴え、2006年を目途に北東アジア開発銀行の創設を推進することを提案し、その実現に向けた推進戦略とアクションプログラムを提示した。日中韓3カ国首脳会合で推進宣言を出し、日中韓協力政策の一環として位置づけ、同3カ国が中核となって共同でイニシアティブを取ることを進言している。
これをもって日本が北東アジア地域協力に対する姿勢を変えているとは言えないが、日本では北東アジア地域協力に関する最初の政策提言であることに注目されたい。その背景には、南北首脳会談が成功し、日本では朝鮮半島の問題が歴史的転換に向けて本格的に動き出したとの判断があったと考えられる。政府とマスコミに対する影響力が強く、政府に直接提言できる立場にある東京財団(当時は、現金融・財政大臣竹中平蔵が理事長)が一足早くこの動きに反応し、同プロジェクトを成立させた意味は大きい。
さらには、9月17日小泉首相平壌訪問の翌日に行った東京財団のNEADB研究プロジェクト発表会には、予想以上に政府関係者や国会議員、政府系シンクタンク、金融機関や財界などから幅広い参加者が見られた。首脳会談と「平壌共同宣言」の効果が現れたと考えられる。
しかし、この地域の複雑な歴史と国際関係の現状を考えると、日本が率先的に北東アジアを引っ張る可能性は少ない。戦前の「大東亜共栄圏」失敗の教訓、戦後の日米同盟が日本の足枷となっている。にもかかわらず、EUやNAFTAなどリージョナリズムの外圧は、日本にとっては近隣の中国や韓国などとの地域協力を進める推進力となる。また、日朝国交正常化に伴う日本の対北朝鮮経済支援を考えると、日本は何れ北東アジア地域協力に関心を高めるだろう。
一方、中国は大国を自覚した自制心から、北東アジア地域協力に関心を示しながらも慎重に対応している。国務院発展センター幹部の言葉から中国政府の姿勢を窺える。「日中は東アジア列車の二つのエンジン。日本は前頭エンジンで中国は後部エンジンだ。日本が引っ張れば中国は後ろで押す」。中国は先頭に立つことを控えている。
むしろ、北東アジア地域協力でイニシアティブを取れるのは韓国しかない。日中韓3カ国のなかでも韓国の立場が一番有利、日中両大国の間で調整者の役割を果たせるのだ。同時に北朝鮮が国際社会に入らなければ、北東アジア地域協力は成り立たない。そういう意味で「朝鮮半島が北東アジア開発銀行の成否の鍵を握っている」といって良いだろう
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2003.02.17
日本経済新聞「経済教室」2003年2月17日(月)朝刊
(日経の要旨)中国の都市部で新中間層と呼べる階層が台頭し、おう盛な消費をリードするとともに、外資・新興企業の中堅として経済成長の担い手となっている。その比率はまだ低いが、中間層の着実な拡大は社会安定につながり、またこの層からの優秀な人材の確保が中国ビジネスのカギとなる。
☆日経に問い合わせたところ「経済教室」は外部者の執筆によるため、著作権に関する承諾がとれず、Nikkei Netに掲載できないこと。また日経記事の電子媒体での転載は一切禁じるとのことでした。この記事は、次回レポート発送時にコピーを同封させていただきます。
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2003.02.14
2月14日の朝日新聞に掲載されたブレンサイン研究員の内モンゴルレポートです。
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「民族企業」成長に光と影
一杯の牛乳が日本人を変えた--中国のマスコミで最近よく見かける言葉だ。戦後の学校給食を通じて日本人の体格が大きく向上したことに、中国人が後れを取ったと焦る気持ちをあらわしたものらしい。経済成長を続ける中国では都市住民を中心に、毎日牛乳を一杯飲み、肉を食べる。それも内モンゴルなどの天然の牧草地で産出する牛乳や肉を食べるという緑色食品ブームが起きている。
(全文は下記をご覧ください)
http://www.asahi.com/international/aan/column/030214.html
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2003.01.31
「グローバル化と地球市民」研究チームチーフの薬会さんのコラムが、本日(1月17日)の朝日新聞朝刊に掲載されましたので、お知らせいたします。
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「姓名判断復活、ビジネスに」
中国各地で「起名公司」が大繁盛だ。縁起のよい企業名をひねり出すのが売りの広告会社もあるが、大半は姓名判断が業である。インターネットをのぞくと、「中華起名網」「好名網」「取名網」「美名網」などのサイトがずらりと並んでいる。
http://www.asahi.com/international/aan/column/030117.html
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2003.01.31
いつもこのメーリングリストにOpinionをお送りくださっているSGRA研究員の李鋼哲さんのコラムが、昨日(1月31日)の朝日新聞朝刊に掲載されましたので、お知らせいたします。
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北朝鮮の難民問題が、核問題とともに日本でも関心を呼んでいる。川一つ挟んだだけの中朝国境。出口の見えない食糧危機で、北朝鮮難民が数万人規模で越境している。もともと中朝両国は友好国。国境警備はそれほど厳しくなく、豆満江(中国名は図們江)、鴨緑江を渡ると、中国の朝鮮族が助けてくれるからだ。
本文は以下をご覧ください。
http://www.asahi.com/international/aan/column/030131.html
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2003.01.31
いつもこのメーリングリストにOpinionをお送りくださっているSGRA研究員の李鋼哲さんのコラムが、昨日(1月31日)の朝日新聞朝刊に掲載されましたので、お知らせいたします。
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北朝鮮の難民問題が、核問題とともに日本でも関心を呼んでいる。川一つ挟んだだけの中朝国境。出口の見えない食糧危機で、北朝鮮難民が数万人規模で越境している。もともと中朝両国は友好国。国境警備はそれほど厳しくなく、豆満江(中国名は図們江)、鴨緑江を渡ると、中国の朝鮮族が助けてくれるからだ。
本文は以下をご覧ください。
http://www.asahi.com/international/aan/column/030131.html
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2002.12.16
マキト運営委員のコラムが、本日の朝日新聞朝刊に掲載されましたので、お知らせいたします。
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「日本の尊い非軍事技術」
フィリピンのアキノ元上院議員の暗殺事件から19年たつ。事件解決の決定的な証拠の一つが、マニラに到着した飛行機から兵隊に連れ去られたアキノ氏の映像だった。長さわずか10秒で、アキノ氏の姿はほとんど映っていない。その音声の分析結果を、身の安全が保証されなかったにもかかわらず自らフィリピンの裁判所へ提供したのが、今話題の玩具、犬語翻訳機の開発の基となる研究を率いた音声学者の鈴木松美博士だったと知った。
全文は以下のAANホームページをご覧ください。
http://www.asahi.com/international/aan/column/021206.html
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2002.12.13
昨年12月10日~13日にベトナムのハノイで開催された「ヤング・リーダーズ・ワークショップ」で発表したマキト研究員の報告です。
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「グローバル化、デジタル・ディバイド、オープソース」F. マキト(SGRA「グローバル化と日本の独自性」研究チーフ)
大学の仕事の合間に、「良き地球市民」を目指す日本のNGO「関口グローバル研究会」(SGRA)の活動に参加している。昨年末、ハノイで開催されたヤング・リーダーズ・ワークショップに派遣された。シンガポール以外のアセアン9カ国の若者が参加した。ワークショップでは、若きリーダー達が、情報技術(IT)の推進するグローバル化とどう上手く付き合うべきか、ということがひとつの議論の中心となった。私は次のような意見を発表した。ITによるグローバル化においては、デジタル・ディバイドとオープン・ソースという二つの現象が取り上げられる。前者については、ITにアクセスがある者(先進国)と不自由な者(発展途上国)の格差がどんどん広がっており、グローバル化の脅威となっている。後者は、リナックスのように、プログラムを殆ど無料で一般公開する動きを指し、ITによって与えられる機会(チャンス)である。伝統的な市場主義経済学からすると、デジタル・ディバイドは当然起こり得る現象である。所得がある(ない)ものは良い(良くない)教育を受け、ITを容易に利用できる(できない)。一方、市場からの報奨がなくソフトを一般公開するプログラマーの行動は、伝統的な経済学者にとっては不思議な現象だとされている。このように考えていくと、アセアン諸国で情報技術革新を進めていく上で、次のような戦略が考えられる。まず、市場を補完する社会メカニズムを構築することと、そして、ローカルな情報をオープンにしてグローバルに分かち合い、利用し合うようにすること。具体的な案が2つある。まず、ベトナムはアセアンの若き加入国として、ITにおいては先入国より遅れているが、日本の「成果を共有される成長」をいかに導入するか、体系的な調査としては先駆的であろう。一橋大学の石川滋名誉教授が担当者として、海外援助が広い範囲でその効果を発揮させる現地の調査を実施したからである。このような経験を、他のアセアン諸国と分かち合うために、オンラインの情報バンクを構築すると良いであろう。このような事業は国境を越えるNGOによって推進することができるだろう。もう一つは、アメリカ型市場主義とは違う日本の経済システムの体系的分析を、オンライン授業で、将来のリーダーになるアセアン諸国の大学生達に紹介する試みである。実は、SGRAは、来年度、フィリピンと日本を結ぶプロジェクトを企画中である。
さらに詳しくは、下記をご覧ください。
http://www.aisf.or.jp/sgra/member/jstudies/index.shtml
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2002.12.13
「グローバル化と地球市民」研究チームチーフの薬会さんのコラムが、12月13日の朝日新聞朝刊に掲載されましたので、お知らせいたします。
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「中国の連ドラが面白い」
最近、メードイン中国の連続テレビドラマが面白い。時代劇やホームドラマ、青春ドラマ、トレンディーもの、公安劇(刑事もの)など多彩なジャンルで人々を楽しませている。
全文は下記をご覧ください。
http://www.asahi.com/international/aan/column/021213.html
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2002.11.29
今年の5月のSGRAフォーラムで、内モンゴルの砂漠化について報告したブレンサイン研究員のコラムが、11月29日の朝日新聞朝刊に掲載されましたので、お知らせいたします。
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「チンギス・ハンは誰の英雄 」
今年はチンギス・ハン生誕840周年だ。モンゴルでは7月から8月にかけて国を挙げて 偉大な民族の英雄の誕生を祝った。公然とたたえることが出来なかった社会主義時代には 考えられない熱狂ぶりだった。 (2002/11/29)
http://www.asahi.com/international/aan/column/021129.html