SGRAレポートの紹介

  • 2016.11.10

    レポート第76号「日中200年―文化史からの再検討」

    SGRAレポート76号(日中合冊版)   劉 建輝(国際日本文化研究センター教授)「日中200年―文化史からの再検討」講演録 2020年6月18 日発行   ☆中国語の講演録、日本語訳を一冊に纏めてあります。   <フォーラムの趣旨> 従来、東アジアの歴史を語る時、ほとんどの識者が古代の交流史と対比して、近代の抗争史を強調し、両者の間に一つの断絶を見出そうとしてきた。たしかに政治、外交だけに目を向ければ、日中、日韓などの間に戦争も含む数多くの対抗や対立が頻発し、ほとんど正常な隣国関係を築くことができなかった。しかし、もしこの間の三国間の文化的交流、往来の足跡を精査すれば、そこには近代以前とは比べられないほど多彩多様な事実、事象が存在していることに気付くだろう。そしてその多くはいずれも西洋という強烈な「他者」を相手に、互いの成果、経験、また教訓を利用しながら、その文化、文明的諸要素の吸収、受容に励む努力の跡にほかならない。その意味で、東アジア、とりわけ日中韓三国はまぎれもなく古来の文化圏と違う形で西洋受容を中心とする一つの近代文化圏を形成していたのである。   また、従来、日本にせよ、中国にせよ、その歩んできた歴史を振り返る際に、往々にして周辺との関係を軽視し、あたかも単独で自らのすべてを作り出したかのような傾向も存在している。これはあきらかに近代以降のいわゆる国民国家という枠組みの中で成立したナショナリズムに由来する一国主義のもたらした影響である。ところが、多くの古代、近代の史実が示したように、純粋な国風文化はそもそも「神話」に過ぎず、われわれはつねに他者との関係の中で「自分」そして「自分」の文化を形作ってきたのである。近代日本にとって、この他者は、むろんまず西洋という存在になるが、ともにその受容の道程を歩んだもう一つの他者――中国や韓国も当然無視すべきではないだろう。   そして、昨今、とりわけ日中の間にさまざまな摩擦が生じる時に、よく両国の「文化」の違いが強調され、その文化の差異に相互の「不理解」の原因を探ろうとする動向も見られる。しかし、これもきわめて単純な思考と言わざるを得ない。文化にはたしかに変わらない一部の古層があるが、つねに歴史性を持ち、時代に応じて流動的に変化する側面も存在する。したがって共通する大事な歴史的体験を無視し、文化の差異ばかりを強調するのはいささかも生産的ではなく、結局は自らを袋小路に追い込むことにしかならない。   以上に鑑み、本フォーラムでは、いわば在来の一国主義史観、文化相互不理解論などの弊害を修正し、過去の近代東アジア文化圏、文化共同体の存在を振り返りながら、その経験と教訓を未来にむけていかに生かすべきかについて検討し、皆さんとともにその可能性を探ってみたい。(参考文献:劉 建輝著『増補・魔都上海――日本知識人の「近代」体験』2010年、同『日中二百年――支え合う近代』2012年)   <もくじ> 【講演】 劉 建輝(国際日本文化研究センター) 「日中200年―文化史からの再検討」   【討論】 モデレーター: 王 中忱(清華大学中国文学科) 討論者: 王  京(北京大学日本言語文化学部) 劉 暁峰(清華大学歴史学科) 王  成(清華大学日本言語文学研究科) 董 炳月(中国社会科学院文学研究所)   【あとがきにかえて】 孫 建軍(北京大学日本語学科准教授) 娜荷芽(内蒙古大学蒙古歴史学科准教授)
  • 2016.11.09

    レポート第75号「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて-」

    SGRAレポート75号(本文1) SGRAレポート75号(本文2) SGRAレポート75号(表紙)   第50回SGRAフォーラムin北九州「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて-」   2016年6月27日発行   <もくじ> 事例発表1.(日本) 「青空がほしい」運動に学ぶ-現在に問いかけるもの- 神﨑智子(アジア女性交流・研究フォーラム主席研究員)   事例発表2.(中国) 「変わるのか、人々の意識-中国の母親の環境意識の変化と活動-」 斎藤淳子(フリージャーナリスト/北京在住)   事例発表3.(韓国) 「絶え間ない歩み-韓国YWCAの環境活動と女性の社会参加:環境活動家から脱核運動へ-」 李 允淑(イ・ユンスク)(韓国YWCA運動局部長)   オープンフォーラム モデレーター:田村慶子(北九州市立大学法学部教授・大学院社会システム研究科長)   ミニ報告:「里山を考える会の活動について」 小林直子(NPO法人里山を考える会)                      
  • 2016.11.01

    レポート第74号「日本研究の新しいパラダイムを求めて」

    SGRAレポート74号(本文1) SGRAレポート74号(本文2) SGRAレポート74号(表紙)   第49回SGRAフォーラム 「日本研究の新しいパラダイムを求めて」 2016年6月20日発行   <もくじ> 第一部 問題提起:「『日本研究』をアジアの『公共知』に育成するために」 劉 傑(早稲田大学社会科学総合学術院教授)   【基調講演・報告】「新しい、アジアの日本研究に求めるもの」 平野健一郎(早稲田大学名誉教授、東洋文庫常務理事)   【報告1】「中国の日本研究の現状と未来」 楊 伯江(中国社会科学院日本研究所副所長)   【報告2】「台湾の日本研究の現状と未来」 徐 興慶(台湾大学日本研究センター所長)   【報告3】「東アジア日本研究者協議会への呼びかけ」 朴 喆熙(ソウル大学日本研究所所長)   【報告4】「日本研究支援の現状と展望-国際ネットワークの形成に向けて-」 茶野純一(国際交流基金日本研究・知的交流部長)   第二部 【円卓会議】 モデレーター:南 基正(ソウル大学日本研究所研究部長)   「円卓会議に向けた論点整理」 劉 傑(早稲田大学社会科学総合学術院教授)   パネリスト: 梁 雲祥(北京大学国際関係学院教授) 白 智立(北京大学日本研究センター副所長) 帰 泳濤(北京大学国際関係学院副教授) 李 元徳(国民大学日本学研究所長) 劉 建輝(国際日本文化研究センター教授) 稲賀茂美(国際日本文化研究センター教授) 須藤明和(長崎大学多文化社会学部教授) 森川祐二(長崎大学多文化社会学部准教授) 林 泉忠(台湾中央研究院近代史研究所副研究員、国立台湾大学歴史学科兼任教授) 及び講演者、発表者   【総括と今後の展開】 劉 傑(早稲田大学社会科学総合学術院教授)   特別寄稿1:「方法としての東アジアの日本研究」 白 智立(北京大学日本研究センター副所長)   特別寄稿2:「アジア新時代における韓国の日本研究-ソウル大学日本研究所の試みを中心に」 南 基正(ソウル大学日本研究所研究部長)  
  • 2015.11.24

    レポート第73号「アジア経済のダイナミズム」

    SGRAレポート73号(本文1) SGRAレポート73号(本文2) SGRAレポート73号(表紙)   第14回日韓アジア未来フォーラム 第48回SGRAフォーラム 「アジア経済のダイナミズム-物流を中心に」 2015年11月10日発行   <もくじ> はじめに 金 雄熙(仁荷大学国際通商学部教授)   【基調講演】「アジア経済のダイナミズム」榊原英資(さかきばら えいすけ:インド経済研究所理事長・青山学院大学教授)   【報 告 1】「北東アジアの多国間地域開発と物流協力」安 秉民(アン・ビョンミン:韓国交通研究院北韓・東北亜交通研究室長)   【報 告 2】「GMS(グレーター・メコン・サブリージョン)における物流ネットワークの現状と課題」ド・マン・ホーン (桜美林大学経済・経営学系准教授)   【 ミニ報告】「アジア・ハイウェイの現状と課題について」 李鋼哲(リ・コウテツ、北陸大学未来創造学部教授)   進行及び総括:金雄煕(キム・ウンヒ、仁荷大学国際通商学部教授) 討論者:上記発表者、指定討論者(渥美財団SGRA及び未来人力研究院の関連研究者)、一般参加者  
  • 2015.11.24

    レポート第72号「近代日本美術史と近代中国」

      SGRAレポート72号(本文) SGRAレポート72号(表紙)   第8回チャイナフォーラム 「近代日本美術史と近代中国」 2015年10月20日発行   <もくじ>   ◆第1日(2014年11月22日) 中国社会科学院文学研究所 社科講堂第一会議室(北京)   【講演1】 「近代の超克―東アジア美術史は可能か」 佐藤道信(東京藝術大学教授) 【指定討論1】 董 炳月(中国社会科学院文学研究所研究員)   【講演2】 「工芸家が夢見たアジア:〈東洋〉と〈日本〉のはざまで」 木田拓也(東京国立近代美術館工芸館主任研究員) 【指定討論2】 李 兆忠(中国社会科学院文学研究所研究員)     ◆第2 日(2014年11月23日) 清華大学 甲所第3回議室   【講演1】 「工芸家が夢見たアジア:〈東洋〉と〈日本〉のはざまで」 木田拓也(東京国立近代美術館工芸館主任研究員) 【指定討論1】 林 少陽(東京大学総合文化研究科准教授))   【講演2】 「近代日本における〈工芸〉ジャンルの成立:工芸家がめざしたもの」 木田拓也(東京国立近代美術館工芸館主任研究員) 【指定討論2】 陳 岸瑛(清華大学美術学部副教授)    
  • 2015.05.25

    レポート第71号「科学技術とリスク社会~福島第一原発事故から考える科学倫理~」

    SGRAレポート71号(本文) SGRAレポート71号(表紙)   第47回SGRAフォーラム 「科学技術とリスク社会~福島第一原発事故から考える科学倫理~」講演録 2015年5月25日発行   <もくじ> 【問題提起】 崔 勝媛(チェ・スンウォン)理化学研究所研究員   【対談】 「科学技術とリスク社会」 対談者:島薗 進(しまぞの・すすむ)上智大学神学部教授       平川秀幸(ひらかわ・ひでゆき)大阪大学コミュニケーションデザインセンター教授 モデレータ:エリック・シッケタンツ 東京大学大学院人文社会系研究科特別研究員   【対談1】 「今のリスク社会と科学技術に欠けているもの-原発事故後の放射線健康影響問題から-」 島薗 進   【対談2】 「科学の『外』の問いをいかに問うか-科学技術とリスク社会:福島原発事故から考える-」 平川秀幸   【オープンディスカッション】 ファシリテータ:デール・ソンヤ 上智大学大学院グローバルスタディーズ研究科特別研究員 参加者:島薗 進、平川秀幸、会場参加者
  • 2015.05.25

    レポート第70号「インクルーシブ教育:子どもの多様なニーズにどう応えるか」

    SGRAレポート70号(本文) SGRAレポート70号(表紙)   第46回SGRAフォーラム 「インクルーシブ教育:子どもの多様なニーズにどう応えるか」講演録 2015年4月20日発行   <もくじ> 【基調講演】 「インクルーシブ教育の実現に向けて」 荒川 智(あらかわ・さとし)茨城大学教育学部教授   【報告1】 「障碍ある子どもへの支援」 上原芳枝(うえはら・よしえ)特定非営利活動法人リソースセンターone代表理事   【指定討論】 ヴィラーグ ヴィクトル 日本社会事業大学大学院社会福祉学研究科博士課程   【報告2】 「学校教育からはみ出た外国につながりを持つ子どもたちに寄り添って」 中村ノーマン(なかむら・ノーマン)多文化活動連絡協議会代表   【指定討論】 崔 佳英(チェ・カヨン) 東京大学大学院総合文化研究科博士課程   オープンフォーラム 進行:権 明愛 討論者:上記発表者
  • 2014.10.20

    レポート第69号「紛争の海から平和の海へ」

    SGRAレポート69号(本文) SGRAレポート69号(表紙)   第45回SGRAフォーラム 「紛争の海から平和の海へ:東アジア海洋秩序の現状と展望」講演録 2014年10月20日発行   <もくじ> 【基調講演】 「東アジアの海と領土―国際法の視点から― 」 村瀬信也(むらせ・しんや)上智大学法学部教授   【報告1】< 韓国の立場> 「東アジア型国際社会の出現 ―日韓漁業協定(1965)への過程を振り返る― 」 南 基正(ナム・キジョン)ソウル大学日本研究所副教授   【報告2】< 中国の立場> 「東アジア国際秩序の現状と展望 ―中国内における「新型大国関係」の議論を中心に― 」 李 成日(リ・チェンル)中国社会科学院亜太与戦略研究院助理研究員   【報告3】< 台湾の立場> 「『琉球地位未定論』の再燃で尖閣紛争の解決に役立つのか ―中国と台湾の議論を中心に― 」 林 泉忠(リム・チュアンティオン)台湾中央研究院副研究員   【報告4】< 日本の立場> 「竹島/独島をめぐる海の一断面」 福原裕二(ふくはら・ゆうじ)島根県立大学准教授   【報告5】 「北極海の開放と韓国・日本・中国の海洋協力の可能性」 朴 栄濬(パク・ヨンジュン)韓国国防大学校安全保障大学院教授     【パネルディスカッション】 司会: 李 恩民 総括:明石 康(国際文化会館理事長) パネリスト:上記発表者  
  • 2014.05.15

    レポート第68号「ボランティア・志願者論」

    SGRAレポート66号本文(日中英合冊版)   宮崎幸雄(日本YMCA同盟名誉主事) 「ボランティア・志願者論」講演録 2014年5月15 日発行   ☆日本語の講演録、中国語訳、英語訳を一冊に纏めてあります。   <講演要旨>   1)私のボランティア原体験 <ベトナム戦争とボランティア> ①自分で手を挙げて(挫折からの逃走)  ②こちらのNeeds (体育) とあちらのInterests(養豚)  ③信頼なくして “いのち” なし(地雷原の村)  ④解放農民の学校(自立・自助)  ⑤プロ・ボランティアとして国際社会へ   2) ボランティア元年といわれて—神戸・淡路大震災によって広まるボランティア(観)   3)ボランティア活動の社会的効果(地域への愛着・仲間・達成感・充実感・希望)   4)大災害被災地のボランティア活動と援助漬け被災者   中国人が見た東日本大震災救援活動と日本人が見た四川大震災救援活動   5)3 ・11若者の自意識と価値観の変化   国際社会の支援と同情・共感・一体感と死生観・共生観と人と人との絆  
  • 2014.02.25

    レポート第67号 「アジア太平洋時代における東アジア新秩序の模索」

    SGRAレポート67号   第12回日韓アジア未来フォーラムin キャンベラ 「アジア太平洋時代における東アジア新秩序の模索」 講演録 2014年2月25日発行   <もくじ> 【発表1】構造転換の世界経済と東アジア地域統合の課題                      平川 均(名古屋大学大学院経済学部教授)   【発表2】中国の海洋戦略と日中関係:新指導部の対外政策の決定構造                      加茂具樹(慶応義塾大学総合政策学部准教授)   【発表3】アジア貿易ネットワークの結束と競合:ネットワーク分析技法を用いて                      金 雄熙(仁荷大学国際通商学部教授)   【パネルディスカッション】   【発表4】日韓関係の構造変容、その過渡期としての現状、そして解法の模索                      木宮正史(東京大学大学院情報学環(流動)教授)   【発表5】米中両強構図における韓日関係の将来                      李 元徳(国民大学国際学部教授)   【発表6】東アジア新秩序と市民社会:脱北者の脱南化現象を中心に                      金 敬黙(中京大学国際教養学部教授)   【パネルディスカッション】