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2025.11.26
はじめに:戦後80周年という時間軸への「違和」
戦後80周年の2025年は、皮肉にも現在進行中の戦争報道に最も頻繁に接した年となった。この「時間軸」への「違和」がまさに、SGRA主催の第5回アジア文化対話が沖縄で開かれた第一の理由であろう。沖縄大学との共催で、「アジアにおけるジェンダーと暴力の関係性」をメインテーマとし、専門家や活動家のパネリストで構成された4つのセッションが設けられた。会場には沖縄市民を含む100人以上、Zoomでは200人余りが参加した。
問いの始まりとしてー基調講演「暴力に抗する『他者』の眼差し」
基調講演は『戦場の記憶』(2006年)で著名な冨山一郎(同志社大学教授)によるものであった。冨山は沖縄で繰り返される性暴力問題に抗して活動する高里鈴代が「何度東京に来て同じ話をすればいいのか」というつぶやきに出会った時を振り返る。3人の米兵による少女レイプ事件(1995年)に対する怒りで8万5千人の県民大会が行われた沖縄からの声を、高里は「東京」に届けようと奮闘していた。冨山が述べる「戦場」が、高里の「何度言えばいいのか」というつぶやきや、語っても、語っても言葉が届かない状況から始まることは大切である。
「何を言っても無駄」という状況にかかわる「暴力」そのものへの富山の洞察は「毎日の陳腐な営み」から「往復運動」として戦場を発見する眼差し、つまり平時/戦場、戦中/戦後、の二分法を超える眼差しであり、自身の身体感覚から始まっている。二分法を超えるためには、他者との関係の中に設定されている「実践」の領域が前提に置かれているのは言うまでもない。
交差する差別とジェンダー
第2セッションでは、沖縄とインドネシアからの活動家や研究者が戦争、紛争下の暴力「後」にどのような差別が温存され、それに抗する言葉を探るために女性たちはどのような「実践」連帯や活動を展開できるのかを議論した。
まず、高里によって沖縄戦や戦後の米軍基地化の現状、復帰後も続く基地拡散の状況が、いかに女性の生き方に影響していたのかが語られた。「近代への道」の中で「琉球人」から「沖縄人」にならなければならず、差別を温存したまま進めた沖縄の歩みが、沖縄戦を経て、さらに「日米政府」による27年間の占領期にどのように構造的な差別へ繋がっていったのか。特に、「日本人」対「琉球人」の潜在する対立を利用しようと、米軍が作成した「民事ハンドブック」や、繰り返し行われていた米兵による性犯罪やそれを可視化できなかった歴史を語った。
復帰以前の沖縄では、ベトナム戦争や冷戦構造の激化を背後に、土地の強制接収や性犯罪、人権蹂躙が繰り返された。同時期、インドネシアでは約50万人から300万人とされる民間人が警察や国家暴力の犠牲となった。1965年以降続いた「赤狩り」を掲げた大量虐殺には、多くの女性と子どもが含まれている。2人目の発表者、作家のIntan Paramaditha(マッコーリー大学)は組織的に標的とされ、強制的に解散された「Gerwani(ゲルワニ)インドネシア女性運動」以降、どのように女性たちが、歴史から抹消・排除された女性たちの存在を記憶し、継承していこうとしているのかを報告した。興味深いのは、インドネシア群島の横断的なフェミニスト集団「女性思想学校」が、男性中心、家父長制中心の言葉概念を転覆して再定義し、「ワリス(相続)」は、家父長制的な財産移転の概念から、植民地主義と資本主義の相続論理に異議を唱える言葉となった。
本セッションでは、人種に基づく「他者化」や、それを利用した植民地主義・帝国主義・軍事主義の暴力構図の連鎖を、沖縄やインドネシアの歴史的文脈によって語り、それに立ち向かう言葉をどのように模索してきたのかを検討した。それは具体的な「活動の現場」の声をも含んだものだった。
戦争とジェンダー
第3セッションを一言でいうならば、「無化された存在」から問う「戦争とジェンダー」といえる。山城紀子(フリージャーナリスト)は「沖縄戦・米軍統治下の福祉と女性」と題して、沖縄戦後日本と分類され米軍占領下の沖縄で行われた福祉政策の影を語った後、Jose Jowel Canuday(アテネオ大学)が「平和の最後の数マイル:ミンダナオ島ザンサモロ地域のジェンダー化された最前線における長期戦争の後に何が起こるのか」という発表を行った。
山城が注目したのは、圧倒的な「恐怖」によって身内を殺してしまった痛みを「語る」ことの苦しみである。「我が子」を助けることが出来なかった「母親」たちの体験を含む沖縄戦の語りが公式の場に浮上したのは、沖縄で死者が神様になると言われる33回忌、つまり1977年以降だった。「法」によって守られない人々も「福祉」の面においては「本土並み」を掲げられるようになり、無国籍児男性のように、何処にも属さずにブラックボックスの中で生きているような人々を生み出す。こうした「戦争」の足跡は、依然として現在進行形であることが示された。
Canudayは、ミンダナオ島で半世紀も続く「戦争」状況における「ジェンダー化」された日常に焦点を当てる。銃後を支える役割を女性に任された村社会は、避難や紛争により自然災害に備えることが出来ず、洪水や干ばつ被害を余儀なくされる。農業中心の生産構図を保つ事が出来ず、子どもの栄養失調の高さに影響を及ぼす。1970年代には、バンサナモ地域は分離主義勢力の拠点および東南アジアで活動するテログループの潜伏地と報告され、アメリカのグローバルな対テロ戦争の警戒地域に設定された。
本セッションのポイントは、「戦争とジェンダー」が2025年現在、私たちのすぐ近くに存在している点である。無国籍児にしてもバンサナモの状況にしても、目に見えない形となっている人々への暴力は現在進行形で、特定の人々の移動する権利を奪い、教育を受け、就職し、住まいを構える当たり前の「日常」を制限している。
多様性からなる提言、一枚岩ではないアクションを探って
最後のセッションは活動と未来に焦点を当てたパネルで、20代の大学生、活動家が中心となって議論する場として設定された。沖縄で繰り返される米軍による性犯罪、その基地暴力の問題を国連の女性の地位委員会に訴えた沖縄キリスト教学院大学の在学生(徳田彩)・卒業生(松田明)が経験から学んだものを中心に報告した。沖縄大学の在学生(中塚静樹)は、沖縄戦体験者とのかかわりの中で学んだもの、沖縄に住む大学生として日々の学びのなかで感じた問題認識を発表した。さらに、同年代のタイの学生活動家Memee Nitchakarnが、軍事クーデターや戒厳令が繰り返し行われ、民主化運動のさなかにあるタイの状況を報告した。
若者たちの発表の後、第1、第2セッションで発表した沖縄の活動家たちから、30年前に国際の現場で沖縄戦から米軍基地に連なる暴力の現状を訴えた経験などのコメントが相次いだ。登壇者の大学生たちからは「戦争の記憶が薄れていく中で、若者たちへ寄せられる『頑張ってね』という言葉は時には励みではなく重荷に感じる」との本音が発せられた。この涙ぐんだ若い大学生のつぶやきが、まさに、「暴力に抗する他者の眼差し」と題した基調講演での冨山の問題提起に戻り、私たちへ省察を促したような気がする。私たちが語っている言葉が、実は暴力にさらされている人々を黙らせ、「言葉が後方に退き暴力がせりあがってくる状況」を容認しているかも知れない。
今回のシンポジウム自体が、時間軸では取り上げられない<戦後>という提起、それをジェンダー視点で議論していくという多少無謀に近い挑戦であったが、沖縄という<場の力>によって一つの言霊ははっきり共有されていったのではないか。登壇者が提起する「暴力」から、身の回りに起きている様々な状況に思いをめぐらし、「暴力」が表れる際の類似性に驚きながら、一定の緊張感を保ちながら聞いて、感じて、考えさせられる場となった。
当日の写真
報告文のフルバージョン
洪玧伸「沖縄から『アジアのジェンダーと暴力』につながる可能性を探るということ」
<洪玧伸 (ほん ゆんしん) HONG Yun-shin>
韓国ソウル生まれ。早稲田大学で博士号(国際関係学)を取得。現在、沖縄大学人文学部国際コミュニケーション学准教授。著書に、『沖縄戦場の記憶と「慰安所」』(インパクト出版会、改訂版2022年)Comfort Stations as Remembered by Okinawans during World War II (Brill、2020)、共著に『戦後・暴力・ジェンダーⅠ:戦後思想のポリティクス』大越愛子・井桁碧編(青弓社、2005年)『戦後・暴力・ジェンダーⅢ:現代フェミニズムのエシックス』大越愛子・井桁碧編(青弓社、2010年)『現代沖縄の歴史経験』森宣雄・冨山一郎編(青弓社、2010年)編著に『戦場の宮古島と「慰安所」-12のことばが刻む「女たちへ」』(なんよう文庫、2009年)、などがある。沖縄の歴史とジェンダー、日本軍「慰安婦」問題、戦時性暴力などを専門とし、多角的な視点から研究を進めている。
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2025.11.19
SGRAレポート第114号
第76 回SGRA フォーラム
「中近東・東南アジアからみる日本と暮らす日本:それぞれの視点で考える」
2025年11月21日発行
<フォーラムの趣旨>
中近東や東南アジアでアニメ・マンガなど日本のポップカルチャーへの関心が急上昇している。日本語学習のきっかけとなることも多い。トルコ語に翻訳された日本のアニメや漫画が飛躍的に増えているように、日本ポップカルチャーはブームだ。日本研究においても、これらの地域でなぜ日本文化の受容が広がっているのか、なぜ若者が日本語に特別な関心を持つようになったのかをもっと議論すべきであろう。
一方、日本には中近東や東南アジアの国々から来た多くのイスラム教の移住者がいるが、日本語や文化、教育の環境に順応しようとしながら生活する中で、さまざまな困難に直面している。まずは言語の壁や文化的な違いによる摩擦が大きな課題だ。また、日本で生まれ育った子どもたちにとっては、自らのルーツに基づくアイデンティティーや宗教教育に関する問題も浮上している。
フォーラムでは、こうした課題に焦点を当て、第1部では中近東の日本語教育と日本研究を考える。第2部では、日本文化の受容と日本語教育を内側から議論をするために日本社会と共生する外国人コミュニティー、特に、イスラム文化圏から来た移民が直面する問題を深く掘り下げ、具体的な努力や解決策を模索する場とした。
中近東や東南アジア地域における日本文化の需要を外側と内側からとらえることにより、今日の世界における日本のソフトパワーの位置づけが可能になるだろう。
<もくじ>
開会挨拶
角田英一(渥美国際交流財団)
トルガ・オズシェン(COMU)
ムザッフェル・オズレミル(COMU)
【第1部】 中近東の若者にとっての日本語学習と日本文化
[発表1] トルコに於ける日本語教育と学習者の最初の混乱:カタカナ
レベント・トクソズ( テキルダー・ナムク・ケマル大学(NKU))
[発表2] トルコの若者のアニメとマンガ関心:現実逃避、別世界とアイデンティティー
チェリッキ・メレキ(COMU)
[発表3] イランの若者と日本語・日本文化:メディア、教育、就職、そして未来展望
アヤット・ホセイニ(テヘラン大学)
[討 論] 中近東の日本語・日本文化イメージを再考察する
司会:岩田和馬(東京外国語大学)
オンラインQ&A:シェッダーディ アキル(慶應義塾大学)
指定討論者:
孫 建軍(北京大学)
市村美雪(COMU)
ショリナ ダリヤグル(筑波大学)
討論者:
レベント・トクソズ(NKU)
チェリッキ・メレキ(COMU)
アヤット・ホセイニ(テヘラン大学)
【第2部】 日本におけるイスラムコミュニティーの日本文化受容と日本語教育
[発表4] 在日の中東出身者における日本語習得過程の変容と影響要因に関する考察
アキバリ・フーリエ(神田外国語大学)
[発表5] 在日インドネシアコミュニティーと多文化共生:イスラム教育を中心に
ミヤ・ドゥイ・ロスティカ(大東文化大学)
[討論・質疑応答] 日本の国際化の中の外国人コミュニティーを再考察する
司会:シェッダーディ アキル(慶應義塾大学)
オンラインQ&A:岩田和馬(東京外国語大学)
指定討論者:
ゲンチェル・バルオール・ゼイネップ(パムッカレ大学(PAU))
チャクル・ムラット(関西外国語大学)
討論者:
レベント・トクソズ(NKU)
チェリッキ・メレキ(COMU)
アヤット・ホセイニ(テヘラン大学)
アキバリ・フーリエ(神田外国語大学)
ミヤ・ドゥイ・ロスティカ(大東文化大学)
登壇者略歴
あとがきにかえて
チェリッキ・メレキ(COMU)
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2025.11.19
SGRAレポート第113号
第75 回SGRAフォーラム/第45 回持続的な共有型成長セミナー
「東アジア地域市民の対話
国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(LLABS)の可能性を探る」
2025年11月19日発行
<フォーラムの趣旨>
地理学的にいえば、「東アジア」は、北東アジア(日本、中国、韓国)と東南アジア(ASEAN 加盟国)の双方から構成され、「多様性の中の調和」原則の現出ともいえる「東アジア統合」というASEAN+3 のビジョンを共有している。東アジアはこのビジョンに向けて大きな前進を遂げたが、近年中国が関わる出来事がこのビジョンに向けた地域の進歩を頓挫させていることも否定できない。
国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(Local-to-Local Across Border Schemes、以下LLABS)は、渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)とフィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)経営開発学部(CPAf )のさまざまなコラボレーションとして、フェルディナンド C. マキト博士が主導する「持続可能な共有成長セミナー」を通じて生まれた。UPLB チームは、フィリピン内務省の地方政府アカデミーと地方自治省のために LLABS 研究プロジェクトを実施した。
本フォーラムでは、桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群とSGRA の協力によって、従来主にフィリピンで検討されてきた LLABS構想について、北東アジアの研究者と一緒に議論し、その実現の可能性について探ることを目的とした。
会場とオンラインのハイブリッド形式で開催し、共催のフィリピン大学オープンユニバーシティを通じて広くオンライン参加者を募った。
<もくじ>
【開会挨拶】 李 恩民(桜美林大学)
【基調講演】 国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(LLABS)の概要と意義
フェルディナンド C. マキト(フィリピン大学オープンユニバーシティ)
【討論1】 ASEAN+3と日本。LLABSの可能性コミュニティ連携
─成長のトライアングルと移民(中華街・カレー移民)に見る教訓─
佐藤考一(桜美林大学)
【討論2】 ASEAN+3と日本。LLABSの可能性
東北アジア地域における越境開発協力および地域自治体協力枠組み─中国を事例に─
李 鋼哲(東北亞未来構想研究所(INAF))
【討論3】 ASEAN+3と日本。LLABSの可能性
国際レジーム形成における韓国地方政府の取り組み─日中韓地方政府交流会議を事例として─
南 基正(ソウル大学日本研究所)
【討論4】 ASEAN+3と日本。LLABSの可能性
政治的制約を超える台湾と東南アジア「非政府間」の強い結びつき
林 泉忠(東京大学東洋文化研究所)
【市民の意見】
フィリピン市民の意見─LLABSとフィリピンの視点─
ジョアン V. セラノ(フィリピン大学オープンユニバーシティ)
インドネシア市民の意見─LLABSとインドネシアの視点─
ジャクファル・イドルス(国士舘大学)
タイ市民の意見─LLABSとタイの視点─
モトキ・ラクスミワタナ(早稲田大学)
【自由討論】
総合司会: ブレンダ・テネグラ(アクセンチュア)
進 行: フェルディナンド C. マキト(フィリピン大学オープンユニバーシティ)
発 言 者:(発言順):
南 基正(ソウル大学日本研究所)
林 泉忠(東京大学東洋文化研究所)
佐藤考一(桜美林大学)
李 鋼哲(東北亞未来構想研究所(INAF))
ジョアン V. セラノ(フィリピン大学オープンユニバーシティ)
ジャクファル・イドルス(国士舘大学)
モトキ・ラクスミワタナ(早稲田大学)
【総括にかえて】 平川 均(名古屋大学名誉教授)
【閉会挨拶】 今西淳子(渥美国際交流財団)
登壇者略歴
あとがきにかえて
─フェルディナンド C. マキト(フィリピン大学オープンユニバーシティ)
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2025.10.10
第78回SGRAフォーラムの一環として実施されたスタディツアー「普天間から辺野古・大浦湾へ」に参加した。沖縄が抱える歴史的背景と米軍基地問題、そして環境や人権をめぐる課題を実地に学ぶことを目的として企画されたものである。限られた日程ではあったが、現地での視察と講義を通じて、沖縄の人々が直面する現実を多角的に観察し、理解する機会となった。
15世紀に成立した琉球王国は、中国や日本との間で外交と貿易を展開し、独自の文化を育んできた。しかし1609年の薩摩侵攻以降、二重支配の下で苦難の歴史を歩み、明治期には琉球処分により日本へ併合された。その後、言語や風俗の抑圧、土地の国有化、軍事化が進められたことは、現在の沖縄が抱える負担の原点でもある。
第二次世界大戦末期の沖縄戦は、県民約22万人が犠牲となった苛烈な地上戦であり、民間人の犠牲の大きさは他に例を見ない。戦後は米軍による接収が進み、住民の土地は銃剣とブルドーザーで奪われ、冷戦構造の中で沖縄は巨大な軍事拠点と化した。1972年の本土復帰以降も、在日米軍専用施設の約70%が沖縄に集中し、過重な負担が続いている。
私たちは宜野湾市に位置する嘉数高台公園を訪れ、そこから米海兵隊普天間飛行場を視察した。市街地の真ん中に位置するこの飛行場は学校や住宅に隣接し、騒音・落下物・環境汚染など、多くの危険を地域社会にもたらしている。最近では有機フッ素化合物(PFAS)などの有害物質による地下水汚染が健康被害への懸念を強めている。加えて、航空機事故や米兵による事件や事故は住民の不安を高めていることを実感した。
1995年の米兵による12歳の少女暴行事件を機に、普天間飛行場の返還が日米間で合意された。しかし危険性除去の代替策として浮上したのが、名護市辺野古への移設計画である。
続いて訪れた辺野古は現在、新たな滑走路と港湾機能を備えた基地建設が進行している。辺野古や大浦湾の152ヘクタールが埋め立て対象となり、世界的にも稀少な生態系が破壊の危機にさらされているという。特にジュゴンやアオサンゴなど絶滅危惧種262種を含む約5,300種の生物が生息するこの海域は、国際的NGO「ミッション・ブルー」により日本初の「Hope Spot」に認定されている。にもかかわらず、政府は環境影響評価を軽視し、建設を進めている実態を知り、深い憂慮を覚えた。
2014年の着工後に建設予定地の海底は軟弱地盤であることが判明し、71,000本の杭打ちによる補強が必要とされる。巨額の費用と長期化が予想され、米国からも実効性への疑念が投げかけられている。完成時期は早くとも2037年以降とされ、現時点では普天間返還の見通しすら曖昧なままである。
こうした状況に対し、沖縄の市民は長年にわたり粘り強く抗議活動を続けてきた。辺野古の浜辺やゲート前での座り込み、カヌーによる海上抗議、署名や住民投票、さらには国際自然保護連合(IUCN)との協力など、多様な手段が展開されている。2003年に提訴された「沖縄ジュゴン訴訟」は、米国の国家歴史保存法を適用させた画期的な事例であり、沖縄の声を国際的に可視化する機会となった。
近年では国連人種差別撤廃委員会へ働きかけ、同委員会が日本政府に対し、辺野古建設が琉球・沖縄の先住民族の権利を侵害していないか説明を求めるなど、国連を巻き込んだ動きも生まれている。現地で出会った人々の言葉には、生活を守り、未来世代に豊かな自然を残したいという切実な願いが込められていた。
今回痛感したのは、沖縄の基地問題が単なる地方の課題ではなく、日本の安全保障政策や環境保護、人権、そして暴力からの開放に直結する問題だという点である。辺野古を「唯一の選択肢」と繰り返してきた日米両政府の姿勢は、市民参加や自治の尊重を欠き、対話の不在を浮き彫りにした。さらに、軟弱地盤問題や環境破壊のリスクを前にしても計画を見直さないかたくなさは、政策決定の硬直性を象徴している。
求められるのは、沖縄の人々の声に耳を傾けるとともに、この問題を自分ごととして捉える視点である。環境、人権、平和という普遍的な価値のために、何ができるのかを考え、社会的対話を広げていくことが必要だろう。
ツアーで得た経験は、沖縄の歴史と現在を直視する重要な機会となった。普天間と辺野古の現実を前に、私たち一人一人が問われているのは、どのような未来を選び取るのかという根源的な問いである。沖縄が背負わされてきた過重な負担を減じ、豊かな自然と文化を守り抜くために学び続け、行動することの必要性を強く心に刻んだ。
当日の写真
<イドジーエヴァ・ジアーナ IDZIEVA Diana>
ダゲスタン共和国出身。2024年度渥美財団奨学生。東京外国語大学大学院総合国際学研究科より2021年修士号(文学)、2025年9月博士号(学術)を取得。主に日本の現代文学の研究を行っており、博士論文のテーマは今村夏子の作品における暴力性。現在、東京外国語大学、慶應義塾大学、津田塾大学で非常勤講師。
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2025.09.11
2025年7月26日(土)、第77回SGRAフォーラムが渥美国際交流財団関口グローバル研究会および早稲田大学先端社会科学研究所・東アジア国際関係研究所との共催のもと、早稲田大学大隈記念講堂小講堂でハイブリッド形式により開催された。米国の政権交代がもたらした国際秩序の変動を念頭に置きつつ、多様性と相互協力を基盤とした平和構築の経験を改めて検証することが求められている。今回は「なぜ、戦後80周年を記念するのか?~ポストトランプ時代の東アジアを考える~」をテーマに、東・東南アジアの研究者が一堂に会し、戦後80年の歩みを振り返りつつ、東アジアの和解と平和の展望について議論が交わされた。
最初の講演では沈志華氏(華東師範大学)が「冷戦、東北アジアの安全保障と中国外交戦略の転換」と題し、冷戦期における中国の外交戦略が「革命外交」から「実務重視の外交」へと大きく転換した過程を三つの段階に分けて分析した。第1段階(1949-1969)はソ連と連携して米国に対抗した「向ソ一辺倒」の時代であり、東北アジアでは南北の二つの三角同盟が鋭く対立した。第2段階(1970-1984)では、中ソ対立を背景に米国と連携してソ連に対抗する「向米一辺倒」へと転換し、地域の緊張緩和に繋がった。そして第3段階(1985-1991)では、改革開放と共に非同盟の全方位外交へと移行し、中米ソの「大三角」構造の中で地域の対立構造が解消され、和平交渉のプロセスが始まったと解説。この歴史的変遷を踏まえ、今後の中国外交は「鄧小平が確立した実務重視の非同盟政策を堅持し、特に日韓両国との関係発展を地域の平和と安定の基盤とすべきだ」と提言した。
次に藤原帰一氏(順天堂大学・東京大学)が、「冷戦から冷戦までの間 第2次世界大戦後米中関係の展開と日本」をテーマに講演を行った。藤原氏は、かつての米ソ冷戦の終結後、再び米中間の緊張が「新冷戦」と呼べるほどの国際政治の分断を生み出している現状を指摘。第2次大戦後の日本の民主化が米ソ冷戦の開始と共に米国の対アジア戦略の拠点として組み込まれ、米中接近まで緊張が続いた歴史を振り返った。その上で、2008年以降に再び顕著になった米中間の新たな緊張関係がなぜ生まれたのか、その要因を権力移行論の観点から分析した。さらに、日本の対中政策が米国の影響を強く受けてきたことは事実としつつも、福田赳夫政権や現在の石破茂政権の動向を例に挙げ、日本独自の判断や米国との政策の「ズレ」も存在することを指摘し、日本の自主的な外交の役割について考察の視点を提供した。
フォーラムの後半は林泉忠氏(東京大学)をモデレーターに、若手研究者による多角的な討論が展開された。
権南希氏(関西大学)は、北朝鮮の核開発やロ朝の軍事接近、米中ロの対立激化により、東アジアの安全保障体制が構造的な不安定性を深めていると分析。北朝鮮が韓国を「主敵」と規定する一方、韓国社会では統一を段階的信頼構築の「過程」として捉える傾向が強まっているとし、法治主義に基づく統合体制の構築と社会文化的な接触を通じた信頼醸成の重要性を論じた。
ラクスミワタナ・モトキ氏(早稲田大学)は、タイ保守派の陰謀論を分析することを通じて、冷戦が途上国の国内政治に与え、今日まで続く権力構造を形成した影響を考察した。これにより、「国」を単位とした分析だけでは見えてこない、現代にまで続く冷戦の断層線を明らかにする視点の可能性を提示した。
野崎雅子氏(早稲田大学)は、日米中の留学生政策の変化に着目し、国際秩序と知的交流の関係を検討。かつては信頼関係構築の基盤であった知的交流が、国家間の緊張の高まりと共に分断の危機に瀕している現状を指摘し、その克服の可能性について議論を提起した。
李彦銘氏(南山大学)は、日中関係における和解の道のりに焦点を当てた。政府レベルでの一定の和解は達成されたとしつつも、2010年代以降の民間レベルでの歴史認識には依然として課題が残ると分析。一方で、非政府組織(NGO)における信頼構築の事例を挙げ、民間交流が持つ和解の可能性を展望し、今後に向けての提言を行った。
総合討論と質疑応答では、戦後80年という節目を迎え、世界各地で局地的な紛争が多発し、東アジアの緊張も高まっているものの、本格的な武力衝突(いわゆる「熱い戦争」)には至っていない、という現状認識が示された。その上で、悪化する米中関係を背景とした新たな「冷戦」への懸念や、厳しさを増す中国と周辺地域との関係に対し、今後いかに対応すべきかが議論された。また、こうした国際情勢と連動する日本の国内情勢も注目された。7月の参議院選挙において、経済や景気といった課題よりも「日本人ファースト」という排外的・保守的なスローガンに注目が集まったことは、その一例といえる。このような動向が日本の将来に与える影響は大きく、不安視する声が少なくなかった。
本フォーラムは、戦後80年という歴史を、大国間のマクロな視点から、各地域の固有の文脈、さらには民間交流というミクロな視点まで、重層的に捉え直す貴重な機会となった。登壇者の議論は、歴史認識の違いを乗り越え、対話を通じて相互理解を深めることの重要性を改めて浮き彫りにした。複雑化する国際情勢の中で、過去を真摯に検証し、未来志向の平和な関係をいかに構築していくか。そのための知的基盤を提供する、有意義な議論の場となった。
当日の写真
アンケート集計
<賈海涛(か・かいとう)JIA Haitao>
一橋大学言語社会研究科博士課程修了。博士(学術)。2023年度渥美奨学生。神奈川大学外国語学部中国語学科外国人特任助教、一橋大学非常勤講師。人文系ポッドキャストの運営者。研究分野は華語圏文学、文学言語。主要業績に、単著『流動と混在の上海文学――都市文化と方言における新たな「地域性」』(ひつじ書房、2025)ほか。
2025年9月11日配信
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2025.07.31
下記の通り第78回SGRAフォーラム ・第5回アジア文化対話(Asian Cultural Dialogues)・第611回沖縄大学土曜教養講座「アジアにおけるジェンダーと暴力の関係性」を対面とオンラインのハイブリットで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。
テーマ:「アジアにおけるジェンダーと暴力の関係性」
日 時:2025年9月13日(土)9:30~17:30
会 場:沖縄大学3号館101教室 およびオンライン(Zoomウェビナー)
言 語:日本語・英語(同時通訳)
参 加:無料/こちらから。
共同主催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会・沖縄大学地域研究所
※会場参加の方もオンライン参加の方も必ず参加登録をお願いします。
お問い合わせ:SGRA事務局(
[email protected])
◇フォーラムの趣旨
沖縄はアジア太平洋戦争時に住民の4人に1人が死亡したとされる激しい地上戦を経験している。さらに戦後も日本国内の70%を超える米軍の施設が集中する「基地の島」と化した。女性や子どもを含む非戦闘員が犠牲となった「戦場」の暴力は、現在進行形のグローバルな課題を再考察する上で欠かすことができない題材である。軍事的な対立の際に、私たちはどのように非戦闘員の命を守るための観点を保ちうるだろうか。ジェンダーからの問いが必要な理由がそこにある。
沖縄で開催されるAsian Cultural Dialogues(ACD;アジア文化対話)フォーラムでは、地上戦を経験し、今なお米軍基地による性暴力事件が絶えない沖縄で、ジェンダーという弱者への配慮を前提とする視点から「過去・現在・未来」につなげる普遍的価値を探る。本フォーラムは「沖縄の問題」を論じるものではない。多国籍の専門家により構成され、その議論の焦点は沖縄という空間で出会う「アジア的視点」と言える。2025年度は戦後80周年という節目の年であり、いかにアジア太平洋戦争時の傷痕に向き合うかをアジア各地で議論する年でもある。議論の場である沖縄はもちろん、アジアの過去、現在、未来に一貫して忘れてはならない本質的な価値とは何かを国際的かつ学際的に、さらにはアカデミアを超えて皆で考える機会になることを望んでいる。
◇プログラム
9:30 イベント開始
ご挨拶 今西淳子(SGRA)、山代 寛(沖縄大学学長)
フォーラムの紹介 洪 玧伸(沖縄大学)
セッション① 基調講演
司会:デール ソンヤ(SGRA)、モデレーター:洪 玧伸
基調講演:冨山一郎(同志社大学)「暴力に抗する「他者」の眼差し」 45分(日本語)
コメンテーター:宮城晴美(沖縄女性史研究家)、ロバート・リケット(和光大学元教授)、グオ・リフ(筑波大学)
11:00 休憩
11:30 セッション② 交差性・各発表:30分
司会:イドジーエヴァ・ジアーナ(東京外国語大学)
発表1 高里鈴代(「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表)「交差する差別とジェンダー」(日本語)
発表2 Intan Paramaditha(マッコーリー大学)、「インドネシアのフェミニズム運動」(英語)
コメンテーター:ミヤ・ドゥイ・ロスティカ(大東文化大学)、梁絃娥(ソウル大学)
13:00 昼食・休憩
14:00 セッション③ 戦争とジェンダー・各発表:30分
司会:ミキ・デザキ(ドキュメンタリー監督)
発表1 山城紀子(沖縄タイムス元記者・フリージャーナリスト)「沖縄戦・米軍統治下の福祉と女性」(日本語)
発表2 Jose Jowel Canuday(アテネオ大学)「平和の最後の数マイル:ミンダナオ島バンサモロ地域のジェンダー化された最前線における長期戦争の後に何が起こるのか」(英語)
コメンテーター:福永 玄弥(東京大学)、増渕あさ子(立命館大学)
15:30 休憩
16:00 セッション④ これからに向かって・各発表:20分
司会:洪 玧伸、デール ソンヤ
発表1 徳田彩(沖縄キリスト教学院大学在学生)、松田明(沖縄キリスト教学院大学卒業生)
「沖縄の基地暴力とジェンダー:CSW国連女性の地位委員会に性暴力を訴えるー沖縄県内の動きを中心にー」(日本語)
発表2 Memee Nitchakarn (タイの学生活動家))「タイの若いフェミニスト運動の流れ」(英語)
発表3 中塚静樹(沖縄大学在学生)「沖縄戦の記憶を聴く若者たち:証言者との交流で学ぶ記憶の継承」(日本語)
コメンテーター:親川裕子(沖縄大学・Be the Change Okinawa代表)、上野さやか(沖縄大学・エンパワメント・ラボ・おきなわ共同代表 )、Bonni Rambatan (Rainbow Panda代表)
17:30 フォーラム閉会
※詳細は、下記リンクをご参照ください。
プログラム
英語版のプログラム
皆さまのご参加をお待ちしております。
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2025.06.19
SGRAレポート第110号
第20 回SGRA カフェ/第73 回SGRA フォーラム/第22 回SGRA カフェ連続3回シリーズ
「パレスチナを知ろう」
2025年6月20日発行
<各シリーズ開催の趣旨>
シリーズ1:第20回SGRAカフェ
「パレスチナについて知ろう:歴史、メディア、現在の問題を理解するために」
パレスチナは中東の重要な地域であり、イスラエルとの紛争や国際社会との関係が注目されています。しかし、多くの人はパレスチナの実情や人々の声を知らないまま、偏った情報や先入観に基づいて判断してしまうことがあります。シリーズ1では、パレスチナの歴史的背景やメディアの表現方法を分析し、現在の問題に対する多様な視点や意見を紹介しました。パレスチナについて知ることで、平和的な解決に向けた理解と共感を深めることを目的としています。大切なのは、同じ地球市民の一員として、この問題がこのままでいいのか、どうあるべきなのかを考えること、そしてそれに基づいて、何ができるか考え、実際に行動することではないでしょうか。シリーズ1はその出発点となるように、パレスチナ問題の歴史や現状、メディアとの向き合い方などについて、皆さんと一緒に考えました。
シリーズ2:第73回SGRAフォーラム
「パレスチナの壁:「わたし」との関係は?」
シリーズ2では専門家、パレスチナ出身者、パレスチナ支持の活動を行っている学生の声を取り上げ、なぜこの問題が全ての人にとって重要なのか、そしてその問題を取り上げようとするときに直面する壁について話し合いました。 「壁」という言葉には複数の意味が込められています。一つは、パレスチナ問題について公然と話すことを阻む見えない壁であり、タブーと言論の自由への抑圧を象徴しています。もう一つは、パレスチナ領土での継続的なアパルトヘイト(人種隔離)と植民地化の結果として存在する物理的な分離の壁です。世界中での学生の抗議活動は、これらの見えない壁を取り壊す試みであり、パレスチナ問題に対する公開討論を促進する力となっています。これはパレスチナ問題に対する新たな視点を提供すると同時に、世代間の意識の違いとその変化を示唆しています。
このフォーラムを通じて、参加者がパレスチナ問題に対する多面的な理解を深め、グローバルおよびローカル、マクロとミクロな視点からアプローチする機会になることを期待しています。
シリーズ3:第22回SGRAカフェ
「逆境を超えて:パレスチナの文化的アイデンティティ」
これまでは国際政治やパレスチナ問題の現状に焦点を当ててきたことを踏まえ、シリーズ3では文化、文学、芸術にスポットライトを当てました。
パレスチナに関するニュースは戦争や紛争に偏りがちですが、パレスチナ人には逆境の中で形成された独自で多様な文化的アイデンティティがあります。パレスチナの文学や芸術は民族が国家を奪われ、自決権を認められず、土地や文化の喪失を経験してきた中で、「故郷」をどのように捉えているかを映し出しています。
パレスチナの芸術や文学がいかにして平和的な抵抗の手段となり、抑圧や占領に対抗する一つの形となっているのかについても探求しました。メディアでは語られることのないパレスチナの別の側面をご紹介し、このシリーズがポジティブな視点で終わることを目指しました。
<もくじ>
シリーズ1 第20 回SGRAカフェ
「パレスチナについて知ろう:歴史、メディア、現在の問題を理解するために」
[講 演] パレスチナ問題の基礎知識:歴史と政治的構図の要点を抑える
ハディ ハーニ(明治大学) ※シリーズ1・2共通
[ 質疑応答・ディスカッション]
パレスチナについて知ろう:歴史、メディア、現在の問題を理解するために
司会:シェッダーディ アキル(慶應義塾大学)
オンラインQ&A担当:徳永 佳晃(東京大学)
発言者:ハディ ハーニ(明治大学)
シリーズ1 あとがきにかえて シェッダーディ アキル(慶應義塾大学)
シリーズ2 第73回SGRAフォーラム
「パレスチナの壁:『わたし』との関係は?」
[発表①] パレスチナ問題の基礎知識:歴史と政治的構図の要点を抑える
ハディ ハーニ(明治大学) ※シリーズ1・2共通
[発表②] 建築の支配:植民地主義の武器としての建造環境
ウィアム・ヌマン(東京工業大学)
[発表③] 立ち上がる学生、クィア、環境活動家たち:2023 年10月以降の東京のパレスチナ解放運動
溝川 貴己(早稲田大学)
[ 質疑応答・ディスカッション] パレスチナの壁:「わたし」との関係は?
モデレーター:徳永 佳晃(日本学術振興会)
オンラインQ&A担当:郭 立夫(筑波大学)
発言者(発言順): ハディ ハーニ(明治大学)
ウィアム・ヌマン(東京工業大学)
溝川 貴己(早稲田大学)
シリーズ2 あとがきにかえて 郭 立夫(筑波大学)
シリーズ3 第22回SGRAカフェ
「逆境を超えて:パレスチナの文化的アイデンティティ」
[講 演] 逆境を超えて:パレスチナの文化的アイデンティティ
山本 薫(慶應義塾大学)
[ 質疑応答・ディスカッション] 逆境を超えて:パレスチナの文化的アイデンティティ
司会:シェッダーディ アキル(慶應義塾大学)
オンラインQ&A担当:銭 海英(明治大学)
発言者:山本 薫(慶應義塾大学)
シリーズ3 あとがきにかえて 銭 海英(明治大学)
登壇者略歴
おわりに
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2025.06.12
2025年5月2日(金)、日本からかなり離れたトルコ西部のトロイ遺跡のあるチャナッカレ市で、第76回SGRAフォーラム「中近東・東南アジアからみる日本と暮らす日本:それぞれの視点で考える」を開催した。
会場はチャナッカレ大学教育学部。日本語教育学科の学生およそ200人のトルコの若者たちにとっては日本や中国、インドネシア、カザフスタン、イラン、モロッコからこんなに多くの日本研究者が「現れた!」ことに居ても立っても居られない緊張感があった。2日前に日本文化室で交流会を開催したので、一部の学生はトルコ料理を食べながら、訪れてきた先生方と言葉を交わす機会もあった。学生たちが日本語でこれだけの多くの国の先生方と同じ空間で話せるチャンスは、学科30年の歴史で初めてだ。孫建軍先生(北京大学)の周りに集まった学生は、中国の日本語学科に留学できるか質問し、「中国人とも日本語で話せる」という自慢気な顔が新鮮だった。翻訳好きで哲学青年の3年生たちは、オスマントルコ史が専門の岩田和馬先生(東京外国語大学)と日本語で話したり、トルコ語で話したりと、授業では見られない達成感が見え見えだった。
交流会のおかげで親しみも生まれ、学生たちはフォーラムが開始するや否や、目を大きく開けて熱心に聞き始めた。何よりも中近東のどこかで、「日本語仲間」が本当に多くいることが確認できたことが大きかったようだ。
第一部が始まるとレベント・トクソズ先生(NKU大学)が、「トルコに於ける日本語教育と学習者の最初の混乱:カタカナ」という題目で、トルコの若者がカタカナ、特に外来語に対して抱く距離感を取り上げた。中近東の若者は漢字が好きなのだ。漢詩でも書きたいのかなと微笑みながら、学生時代に同じ気持ちを抱いたことを思い出した。次に私が「トルコの若者のアニメとマンガ関心:現実逃避、別世界とアイデンティティー」について話した。トルコの若者にとっての日本のアニメやマンガはもはやロラン・バルトの「表象の帝国」ではなく、「想像の帝国」として中近東的な摩擦から逃避できる新たな場であることを主張した。
3人目の登壇者はイランのアーヤット・ホセイニ先生(テヘラン大学)で、「イランの若者と日本語・日本文化:メディア、教育、就職、そして未来展望」だった。イラン人には日本語が使える仕事がもっと必要だということは明らかだった。すぐ隣の国の同じ「日本語仲間」の業績と活動を意識していなかった反省が浮上してきた。イランの日本語仲間は、イラン的ともいうべき美術と芸術への関心が強く、日本語学科では新見南吉の『手袋を買いに』を上演していることや、チャナッカレ大学と同じ日本語教育修士課程があることを初めて知った。
第二部では日本社会で生活する外国人を取り上げた。中近東では日常生活が太古より多人種、多文化、多言語的、多宗教的である。それに対して、日本で暮らすインドネシアと中近東のイスラム文化圏出身者は生活の中で自分の位置づけを考え、最近は自文化へUターンしようとしていることが議論された。アキバリ・フーリエ先生(神田外国語大学)は「在日の中東出身者における日本語習得過程の変容と影響要因に関する考察」の中で、特にイラン人コミュニティーの日本語学習は持続性が欠如していると指摘した。次にミヤ・ロスティカ先生(大東文化大学)が「在日インドネシアコミュニティーと多文化共生:イスラム教育を中心に」と題した発表で、彼らが抱く非イスラム文化圏での育児と親が懸念する宗教教育問題に焦点を当てた。多文化共生は、受け入れ側との相互の努力が欠かせないことを感じた。
初めてトルコで開催したSGRAフォーラムの議論の内容は多様だったが、会場に集まった中近東と東南アジア出身の日本研究者と、トルコの大学生たちは「日本と日本語」という一つの価値観を共有しているのではないかと感じた。「アジア人」というアイデンティティーは私が日常的に思っている以上に大きい共同体である。「西洋文化は理性、東洋文化は感性と結びつく」と良く言われる。今回のフォーラムに理性が欠如していたわけではないが、参加者ひとりひとりの顔に「一期一会」を大事に思う気持ちが現れていることを確認できたことが、私にとって最も大きな「リアル(現実)」だった。それは「アジア的な世界市民もいいな」という一つの安心感だった。
この安心感は、宿泊施設の駐車場でバスから降りてきた前・渥美財団事務局長の角田英一さんに「おお、メレキさん、久しぶり!」と声を掛けられた時の嬉しさと同一かもしれない。
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<チェリッキ・メレキ CELIK_Melek>
渥美国際交流財団2009年度奨学生トルコ共和国チャナッカレ・オンセキズ・マルト大学日本語教育学部助教授。2011年11月筑波大学人文社会研究科文芸言語専攻の博士号(文学)取得。白百合女子大学、獨協大学、文京学院大学、早稲田大学非常勤講師、トルコ大使館文化部/ユヌス・エムレ・インスティトゥート講師、トルコ共和国ネヴシェル・ハジュ・ベクタシュ・ヴェリ大学東洋言語東洋文学部助教授を経て2018年10月より現職。
2025 年6月12日配信
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2025.05.08
2025年4月12日に開催された「第75回SGRAフォーラム/第45回持続可能な共有型成長セミナー」の会場である桜美林大学新宿キャンパスはホテルから歩いて行ける距離だったが、道に迷って事前の打ち合わせに遅刻。動揺して既に集まっていた登壇者の先生方に謝罪もせずに自己紹介を始めてしまった。この場を借りてお詫びしたい。また、大学名にふさわしく八重桜が満開の素晴らしい会場を提供してくださったSGRA仲間の李恩民教授(桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群長)にお礼を申し上げる。
セミナーの詳細は後日のSGRAレポートをご覧いただき、ここでは私の感想を申し上げて報告とさせていただく。
私は基調講演を任されるとは思ってもいなかった。今西淳子SGRA代表に強く求められたので応ぜずにいられなかったのだ。大学教授の皆さんの前に基調講演をさせていただき大変恐縮だったが、私の定年退職のお祝いとしてお許しいただきたい。渥美国際交流財団のサポートを受けながら、私なりに頑張ってきた研究の成果を皆で話し合う良い機会だった。それは「持続可能な共有型成長」に他ならない。効率、公平、環境性(エコ)を追求しながら発展をめざすメカニズムで、3つの日本語の頭文字をとって「KKK」と呼ぶ。
「KKK」の中には様々なテーマがあるが、SGRAの仲間と一緒に議論できないかと聞かれたときに「国境を超える地方自治体・地域コミュニティ連携構想(Local-to-Local Across_Border_Scheme、LLABS/エルラブス)」が頭に浮んだ。「KKK」の基本原理は国内の地方分権化だが、LLABSではさらに国際的な地域統合と補完的に組み合わさっている。
基調講演の後、4名の先生からコメントをいただいた。桜美林大学の佐藤考一教授は「コミュニティ連携:成長のトライアングルと移民(中華街・カレー移民)に見る教訓」と題して、マクロとミクロの両方の観点からの分析、東南アジア諸国における経済拠点の設立と日本の協力、そして日本における東南アジアからの移民者コミュニティの形成について報告された。最後に「東アジアの発展を目指して頑張ってください」というエールを頂戴した。
東北亞未来構想研究所(INAF)の李鋼哲所長は「中国および東北アジア地域における越境開発協力と地方自治体国際協力の枠組み」と題し、北東アジアでは様々な越境的地域開発のプロジェクトが立ち上がり、自治体がリードする局地経済圏(サブリージョン・エコノミックゾーン)形成の動きが出現し、この地域の経済成長の大きな原動力となったと指摘。そして、「北と南の東アジアの繋がりを一緒に頑張りましょう」というお誘いを頂いた。
李先生の「お誘い」に同意してくださったソウル大学日本研究所の南基正所長は「韓国地方政府の国際レジーム形成の取り組み:日中韓地方政府交流会議を事例として」という話の中で、日中韓地方政府交流会議が始まったのはASEAN+3が発足した2年後の1999年で、韓国がASEANとの連携を大きく意識し始めた。金大中政権ではASEANへの接近が見られ、韓国の地方政府が地方外交を開始し、ASEAN方式に注目したのがこの頃であったと指摘した。
北東アジアから最後の討論者で、フィリピン人の血も流れている東京大学東洋文化研究所特任研究員の林泉忠先生は「政治的制約を超える台湾と東南アジアの『非政府間』の強い結びつき」において、台湾とASEAN10カ国とは正式の外交関係を有しておらず、またASEAN+3にも入っていないが、両者の関係は実に微妙ながら密接な状況にあると指摘。2016年には蔡英文・民進党政権が中国への経済依存を減らし「新南向政策」を打ち出した。台湾と東南アジアの結びつきはさらに深まり、人的・経済的な国境を超えたつながりが強化されていると報告した。
第3部「市民の意見」ではフィリピン、インドネシア、タイからの視点を発表した。
まず、共催のフィリピン大学オープンユニバーシティ(UPOU)のジョアン・セラノ学長が「LLABSの運用」というテーマで、2つのプロジェクトを紹介した。LAKBAY(Learning_Actively through_Knowledge-Based Appreciation for_Youth)はエデュコネクト台湾との共同プロジェクトで、UPOUに派遣された台湾の青少年が様々な開発分野で持続可能な取り組みに積極的に貢献することを目指している。2つ目は、ラグナ州ロスバニョスのコミュニティと日本の藤野町(神奈川県、現在は政令指定都市への移行により相模原市緑区の一部)を結ぶ「LLABSマアハス-藤野(Maahas-Fujino)イニシアチブ」で、UPOUのサステイナビリティ・イン・アクション・リビング・ラボラトリー・キャンパス(SiALLC)と藤野のトランジション・タウン運動という相互補的な構想に基づく、コミュニティの回復力と持続可能性に根ざした生態学的・社会的イノベーションの共同開発だ。両地域は相互訪問、パーマカルチャー講義、森林浴を参考にしたハイキング方法の研究、マッピング演習などの実践的な活動を行い、地域通貨や再生可能エネルギー、持続可能性、適応力(レジリエンス)に関する知識の共有を図る。共通の学びの体験は異文化間の連帯を強化するだけでなく、マアハスと藤野の両地域において持続可能な成功事例を適用し、現地化するための触発剤ともなっている。
国士舘大学21世紀学部専任講師のジャクファル・イドルス先生は「LLABSとインドネシアの視点」としてインドネシア市民の意見を共有。LLABS構想は大きなポテンシャルを持っていると共感し、地方レベルの国際協力における姉妹都市構想や環境分野中心のパートナーシップであるスラバヤー北九州の事例を紹介したが、ASEANにおける「成長のトライアングル」構想はインフラ、治安、資金源などの条件が整わないと成功しにくい点を指摘した。
早稲田大学アジア太平洋研究科のモトキ・ラクスミワタナさんは地方分権化は世界銀行レポートの評価よりも国家の力が強くて思ったほど進んでいないと指摘したが、タイ・ラオス国境でパンデミックへの共通対応が自発的にできた事例を紹介した。
長年にわたる研究協力者である平川均先生(名古屋大学名誉教授/渥美財団理事)は「総括に代えて」として、今回のセミナーの意義4点を取り上げた。広義の東アジア(東南アジアと東北アジア)におけるLLABSの経験の提供と意見交換ができたこと、学問的裏付けを持って知識が提供されたこと、新しい世代が積極的に参加して議論できたこと、そしてSGRAレポートにより、これからより広く深い議論の可能性が開かれること。このように素晴らしい評価をしていただき感謝したい。
セミナーについて誤解を招かないように、LLABSの幾つかの特徴を改めて強調したい。まずLLABSは「水平関係」に重心を置いていること。これには2つの意味合いがある。国内レベルではコミュニティが全てを決定して行動すること。つまり自治体や行政から何も言われずに行動すること。国際レベルでは経済的な豊かさとは関係なく、国同士は平等で、相互に対応すること。従来はより豊かな国がノブレス・オブリージュ(noblesse_oblige)の集団として相手国を支援したが、これでは相手国に自助努力ではなく、ドルアウト(doleout)、つまり「分け与えてもらう」精神が育ってしまう恐れがある。
改めて強調したいのは、LLABSについて北東アジアと東南アジアを同時に考える機会にしたかったことだ。SGRAでは北東アジア(日中韓)と東南アジア10カ国の議論が別々に行われることが多いが、今回はできるだけ伝統的な考え方に捕われず「北と南の東アジア」の視点で対話を進めたかった。
「KKK」の基本的な考え方は、1993年に世界銀行が出版した『東アジアの奇跡』という報告書に取り上げられた「shared_growth」(「共有型成長」と訳す)で、国民の所得が上がりながら、所得分配も良くなる珍しい経済発展のことだ。戦後にこのような経済発展を遂げたのは日本、韓国、台湾、香港、タイ、インドネシア、マレーシアで、残念ながらフィリピンは入っていなかった。『東アジアの奇跡』ではASEAN+3のような地域統合化と国内における中央分権化という2つの大きな流れは検討されていなかったが、近年は大きな関心が寄せられている。2013年に相次いで出版されたピケティの『21世紀の資本』とスティグリッツの『Price_of_Inequality(不平等の代償)』などが唱える「格差」だ。
懇親会では日本に住んでいる友人たちが「日本は格差社会になった」と言うのでびっくりした。『東アジアの奇跡』では、日本は一番のモデル国であり、経済のありかたに対する西洋、特に米国からのバッシングに堂々と対抗していた。むなしくも負けてしまったのか?「今でも格差は米国ほどではない」ことを私は強調した。
今回のイベントに駆けつけてくださったSGRAの仲間たちと、今まで「KKK」セミナーを支えてきた今西代表と渥美財団、そしてジョアン・セラノ学長とフィリピン大学オープンユニバーシティ(UPOU)の仲間たちに心から感謝を申し上げる。
当日の写真
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<フェルディナンド・マキト Ferdinand C. MAQUITO>
SGRAフィリピン代表。SGRA日比共有型成長セミナー担当研究員。フィリピン大学オープンユニバーシティ非常勤講師。フィリピン大学機械工学部学士、Center_for_Research_Communication(CRC:現アジア太平洋大学)産業経済学修士、東京大学経済学研究科博士、テンプル大学ジャパン講師、アジア太平洋大学CRC研究顧問を経て現職。
2025年5月8日配信
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2025.04.03
下記の通り第76回SGRAフォーラム 「中近東・東南アジアからみる日本と暮らす日本:それぞれの視点で考える」を対面とオンラインのハイブリットで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。
テーマ:「中近東・東南アジアからみる日本と暮らす日本:それぞれの視点で考える」
日 時:2025年5月 2 日(金)10:00~15:00(トルコ時間)/16:00~21:00(日本時間)
方 法: 会場参加とオンライン参加(Zoom ウェビナーによる)のハイブリット開催
会 場:チャナッカレ・オンセキ・マルト大学(COMU)アナファルタラル・キャンパス
教育学部4階セミナーホール(地図)
言 語:日本語
参 加:参加(事前参加申込は不要です)
お問い合わせ:SGRA事務局(
[email protected])
■フォーラムの趣旨
中近東や東南アジアでアニメ・マンガなど日本のポップカルチャーへの関心が急上昇している。日本語学習のきっかけとなることも多い。トルコ語に翻訳された日本のアニメや漫画が飛躍的に増えているように、日本ポップカルチャーはブームだ。日本研究においても、これらの地域でなぜ日本文化の受容が広がっているのか、なぜ若者が日本語に特別な関心を持つようになったのかをもっと議論すべきであろう。
一方、日本には中近東や東南アジアの国々から来た多くのイスラム教の移住者がいるが、日本語や文化、教育の環境に順応しようとしながら生活する中で、さまざまな困難に直面している。まずは言語の壁や文化的な違いによる摩擦が大きな課題だ。また、日本で生まれ育った子どもたちにとっては、自らのルーツに基づくアイデンティティーや宗教教育に関する問題も浮上している。
フォーラムでは、こうした課題に焦点を当て、第1部では中近東の日本語教育と日本研究を考える。第2部では、日本文化の受容と日本語教育を内側から議論をするために日本社会と共生する外国人コミュニティー、特に、イスラム文化圏から来た移民が直面する問題を深く掘り下げ、具体的な努力や解決策を模索する場としたい。
中近東や東南アジア地域における日本文化の需要を外側と内側からとらえることにより、今日の世界における日本のソフトパワーの位置づけが可能になるだろう。
■プログラム
総合司会:Irmak Kılkesen (COMU)・Arif Çelebi Metin (COMU)
10:00-10:10 開会挨拶
Eiichi TSUNODA(渥美国際交流財団)
Tolga ÖZŞEN (COMU)
10:10-11:30 第1部:中近東の若者にとっての日本語学習と日本文化
司会:Kazuma IWATA(東京外国語大学)
オンラインQ&A:Aqil CHEDDADI(慶應義塾大学)
10:10-10:30「トルコに於ける日本語教育と学習者の最初の混乱:カタカナ」
Levent TOKSÖZ(Tekirdağ Namık Kemal University・NKU)
10:30-10:50「トルコの若者のアニメとマンガ関心:現実逃避、別世界とアイデンティティー」
Melek ÇELİK (COMU)
10:50-11:10「イランの若者と日本語・日本文化:メディア、教育、就職、そして未来展望」
Ayat HOSSEINI (University of Tehran)
11:10-11:30【討論】「中近東の日本語・日本文化イメージを再考察する」
Jianjun SUN (北京大学)
Miyuki ICHIMURA (COMU)
Shorina DARIYAGUL(筑波大学)
11:30-13:30 休憩・ランチ
13:30-15:00 第2部:日本におけるイスラムコミュニティーの日本文化受容と日本語教育
司会:Aqil CHEDDADI(慶應義塾大学)
オンラインQ&A:Kazuma IWATA(東京外国語大学)
13:30-13:50「在日の中東出身者における日本語習得過程の変容と影響要因に関する考察」
Akbari HOURIEH(神田外国語大学)
13:50-14:10「在日インドネシアコミュニティーと多文化共生:イスラム教育を中心に」
Mya Dwi ROSTIKA(大東文化大学)
14:10-14:40 【討論】「日本の国際化の中の外国人コミュニティーを再考察する」
Zeynep GENÇER BALOĞLU(Pamukkale University・PAU)
Murat ÇAKIR (関西外国語大学)
14:40-14:50 総括
14:50-15:00 閉会挨拶&記念写真撮影
※詳細は、下記リンクをご参照ください。
・プログラム
皆さまのご参加をお待ちしております。