構想アジア

世紀を跨いで、アジアは興隆と繁栄の時代になりつつある。歴史を鏡としながら、現在のアジアはどうあるべきか、50年または100年後のアジアをどのように構想し、構築していくべきか。それに向けての諸課題をグローバルな視点に立って探求します。
  • 2003.01.31

    レポート第14号「グローバル化の中の新しい東アジア」+宮澤喜元総理大臣をお迎えしてフリーディスカッション

    SGRAレポート第14号(PDF) SGRAレポート第14号 英語版(PDF) 第8回フォーラム講演録 「グローバル化の中の新しい東アジア」 ~宮澤喜一元総理大臣をお迎えしてフリーディスカッション~ 平川均、李鎮奎、ガト・アルヤ・プートゥラ、孟健軍、B.ヴィリエガス 日本語版2003.1.31発行、韓国語版2003.3.31 発行、中国語版2003.5.30発行、英語版2003.3.6発行 ---もくじ---------------------- 【宮澤喜一元総理大臣をお迎えしてフリーディスカッション】 【講演1】「通貨危機は東アジアに何をもたらしたか」 平川 均(名古屋大学大学院経済学研究科附属国際経済動態研究センター教授) 【講演2】「韓国IMF危機以後の企業と銀行の構造改革」 李 鎮奎 (高麗大学校経営大学経営学科教授・(財)未来人力研究センター理事) 【講演3】「経済危機と銀行部門における市場集中と効率性―インドネシアの経験―」 ガト・アルヤ・プートゥラ (インドネシア銀行構造改革庁主席アナリスト) 【講演4】「アジア経済統合の現状と展望」 孟 健軍(中国清華大学公共管理学院、中国科学院―清華大学国情研究中心教授、日本経済産業省経済産業研究所ファカルティフェロー) 【講演5】「中国との競争と協力」バーナード・ヴィレガス (フィリピンアジア太平洋大学経済学部教授) 【自由討論・フロアーからの質疑応答】 【総括】 -------------------------
  • 2002.07.08

    レポート第11号 「中国はなぜWTOに加盟したのか」金香海

    SGRAレポート第11号(PDF) 投稿 金香海 「中国はなぜWTOに加盟したのか」  2002.7.8発行 ---要旨--------------------- 全体的に見れば、中国のWTO加盟はチャンスと挑戦が同時に存在する「諸刃の剣」である。それにもかかわらず、中国はなぜWTOに加盟したのか。その原因をめぐって、現在いろいろな説があるのはいうまでもない。本レポートでは、そのようなさまざまな原因を1つの分析枠組みによって解明することを試みている。すなわち、中国のWTO加盟の要因を、外からの拘束要因と内からの国内要因がWTO加盟に連動する、いわゆる国際要因と国内要因が連繋する2つのレベルから検討している。この課題を立証するため、相互に関連する6つの問題を取上げている。 ①WTOと何か②中国はなぜWTO加盟を申請したのか③中国のWTO加盟をめぐる米中交渉はなぜ妥結したのか④WTO加盟によって中国社会構造はどう変わるのか⑤中国がWTO加盟を決定した要因は一体何か⑥中国がWTO加盟したあとはどうなるのか。 方法論と実証分析に基づいて主要な要因を分析し、次の2つの結論を考察している。 第1点は、世界経済との相互依存の進化による中国国内経済の変化である。中国経済は、市場を媒介としながら世界経済と相互浸透し、その結果、中国の単一計画経済が分化され、国有企業、民間企業、外資企業、農業といったいろいろな経済セクターが出現した。各経済セクターは自らの政策選好を表出するが、その共通な部分を掬い上げると、市場経済の確立と公平な競争環境の整備による資源配分のメカニズムの導入である。しかし、社会政策選好と中央指導部の政策選択の間には、伝統的な政治構造と地域構造が介在しているため、社会政策選好が必ずしも国家政策に還元されるわけではない。したがって、3大改革を中心とする国内改革の一層の推進による市場経済体制の確立は、中国のWTO加盟におけるカギとなる。 第2点は、WTO加盟は構造的に中国を強く拘束する点である。WTOは、中国の市場開放と国際ルールの遵守、国家の自律性と制度上の改革を要求する。これに対し、中国中央指導部は加盟による便益とコストを合理的に計算し、外圧の効果を利用して社会主義経済体制の構築を目指している。そのため、「3つの代表論」を提起するなど、多元的な価値観を受入れ得る党のイデオロギーを新しく解釈しなければならない。このように、中国のWTO加盟は、経済システムへの適応、国内利益への調整という循環を繰り返す過程でもある。 今後の課題として、中国の世界通商体制の行方に与える影響と、WTOルールの適応による国内制度の変革と社会構造の変動をあげている。 ------------------------