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2024.11.12
生成AI(Generative AI)の急速な進化は、現代の技術文明の大きな成果であり多くの利点と可能性を持つ一方で、脅威やリスクを伴うことも明らかになってきています。円卓会議では生成AIの可能性とリスクについて教育、学術研究、職場、エンターテインメントの各分野のパネリストを招き講演/問題提起と共にディスカッションを行いました。さらに新しい試みとして、サイエンス・コミュニケーションの研究者をファシリテーターとしてワークショップが開催されました。円卓会議は3時間にわたりましたが、聴衆は100人を超え、AIに対する関心の深さを感じました。
会議は英語で行われ、講演やディスカッションでのパネリストのテーマや論点が入り組んだり重複したりしていますので、筆者の責任で内容を整理し、まとめて報告します。
プログラム
モデレーター:ナイワラ P. チャンドラシリ(工学院大学情報学部教授)
講演1:ダヌシュカ ボレガラ(リバプール大学コンピューターサイエンス学部教授)
講演2:ウィロト アルマナンクン(チュラーロンコーン大学文学部言語学科准教授)
討論1:ライアン ラショット(テンプル大学英語学科助教授)
討論2:ブラホ コストフ(パナソニックEU上級研究員)
討論3:ウダナ バンダラ(ラクテン技術研究所シニア研究員)
ワークショップ
ディレクター:朴ヒョンジョン(北海道大学CoSTEP講師・シニアリサーチサイエンティスト)
情報通信技術(ICT)の革命は、過去数十年にわたり私たちの日常生活に大きな変化をもたらしてきました。特にパーソナルコンピューターの出現からインターネットの普及、スマートフォンの登場、そして現在の生成AIに至るまでの技術革新は目覚ましいものがあります。私が豊橋技術科学大学の学部生だった頃、Mosaicブラウザを通じてインターネットに初めてコネクトしたことを思い出します。私にとって、それはまさに新しい時代の幕開けを象徴する瞬間でした。この時、アーサー・C・クラーク氏の「十分に発達した技術は魔法と見分けがつかない」という言葉を思い出しました。クラーク氏は『2001年宇宙の旅』の著者であり、またスリランカのモラトゥワ大学の学長を務めたことでも知られていますが、この言葉は今もなお、私たちの世界を形作る技術の驚異を見事に捉えています。
伝統的なAIと生成AIの違い
人工知能(AI)という言葉が初めて登場した1956年から、AIは何十年にもわたって研究・開発の対象となってきましたが、従来のAIはルールベースのシステムや特定のタスクを遂行するために設計された機械学習モデルに焦点を当ててきました。これらのシステムは強力ですが、そのプログラミングとトレーニングの範囲に限界があります。一方、生成AIはそれよりも大きな飛躍を遂げています。従来のAIが主にデータを分析して予測や意思決定を行うのに対し、生成AIは新しいコンテンツを創り出すことができます。このコンテンツはテキストや画像から音楽、さらには仮想環境に至るまで多岐にわたります。プログラムされていない新しいコンテンツを生成できる能力は、さまざまな分野で新たな可能性を切り開き、生成AIを革命的な力にしています。
教育におけるAIの影響
教育におけるAIの影響は非常に大きく、多面的です。AIを活用したツールは教育者の教授方法や学生の学び方を大きく変えています。例えば適応学習プラットフォームはAIを利用して、各学生のニーズに応じた教育コンテンツを提供し、個別化された学習体験を実現しています。このアプローチは学生のエンゲージメントを高めるだけでなく、各学習者の強みと弱みを特定して対処することで学習成果を向上させています。
さらに、AIは学生に即時のフィードバックとサポートを提供できるインテリジェントな指導システムの開発も可能にしています。特に数学、物理、化学など段階的な問題解決が重要な科目において、これらのシステムは大きな価値を持ちます。リアルタイムでフィードバックを提供することで、AIは学生がその場で誤りを修正し、重要な概念を強化するのに役立ちます。
しかし、教育にAIを導入することには重要な疑問も生まれています。その中で最も懸念されるのは、教育における人間的な要素が失われる可能性です。教育は単に知識を伝達するだけでなく、批判的思考や創造性、感情知能(EQ)を育むことも含まれます。AIは学習の多くの側面を支援することができますが、教室で人間の教師が提供する微妙な理解や共感を代替することはできません。
学術研究と出版におけるAIの影響
学術研究において生成AIはデータ分析や文献レビュー、さらには研究論文の作成といった時間のかかる作業を自動化することで大きな変革をもたらしています。AIツールは膨大な量のデータを迅速に精査し、人間の研究者が発見することが難しいパターンやトレンドを特定することができます。この能力は研究プロセスを加速させ、科学者がより高度な分析と解釈に集中できるようにします。
また、生成AIは学術出版の民主化にも寄与する可能性があります。執筆プロセスを自動化することで、英語圏以外の研究者も高品質の論文を英語で執筆できるようになり、学術的な議論における言語の多様性が増すでしょう。しかし、この発展はAI生成の研究の真正性や独創性に関する倫理的な懸念も引き起こします。AIツールが責任を持って使用され、適切な帰属と透明性が確保されることが、学術研究の健全性を維持するために不可欠です。
職場におけるAIの影響
職場もまた、AIによって大きな影響を受けています。AIによる自動化は業務を効率化し、コストを削減し、生産性を向上させることで産業を変革しています。データ入力やカスタマーサービス、さらには法律業務の一部など反復的な作業を含む仕事は、ますますAIシステムによって行われるようになっています。この変化により、職場の将来や雇用に対する懸念が生じています。
OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は多くのホワイトカラーの仕事、特に深い感情的なつながりを必要としない仕事が最終的にはAIに取って代わられるだろうと予測しています。彼はルーティンタスクや反復的な作業が特に自動化の危険にさらされていると指摘しています。一方、Facebook(Meta)AI研究の主任AI科学者であるヤン・ルカン氏は、より慎重な見方を示しています。彼はChatGPTのようなAIモデルは、トレーニングデータの性質や物理的世界、論理、階層的な計画に対する理解の欠如に制約されていると主張しています。ルカン氏によれば、AIが人間の知能に到達することは当分ないだろうとされており、AIが人間の仕事を補完することはあっても完全に置き換えることはないと考えています。
エンターテイメントにおけるAIの影響
エンターテイメント業界でも生成AIによる革命が起きています。AI生成コンテンツには音楽やアート、さらには映画の脚本も含まれます。これらの技術によりクリエイターは新しいアイデアを試し、前例のない規模でコンテンツを制作することが可能になります。たとえば、AIはリスナーの気分にリアルタイムで適応する音楽を作曲したり、視聴者のインタラクションに基づいて進化するビジュアルアートを生成したりすることができます。
しかし、これには人間の創造性の役割に関する問いが生じます。AIは技術的に優れたコンテンツを生成することができますが、人間のクリエイターがもたらす感情的な深みや文化的な背景を欠いています。エンターテイメント業界の課題は、AIの能力を活用しつつ、人間の創造性の独自の特質を保つことにあります。
AIに関する共通の疑問
私たちの議論の中で、AIの将来に対する広範な懸念を反映したいくつかの共通の質問が提起されました。その中でも特に多くの人が関心を寄せたのは、AIによってどのような仕事が置き換えられるかという点です。前述したように、反復的な作業を含む仕事が最も危険にさらされています。しかし、AIによる職業の置き換えの可能性は、低技能の職業に限られるものではありません。法務、医療、金融といった高度なスキルを要する職業でも、AIシステムが進化するにつれて大きな変化が見られる可能性があります。
もう一つの重要な疑問は、AIが人間の知能を超えて人工汎用知能(AGI)や人工超知能(ASI)が誕生する可能性があるかどうかです。この問題については意見が分かれています。AGIの支持者は、さらなる進展が続けばAIが最終的に人間の知能に到達し、さらにはそれを超える可能性があると信じています。しかし、懐疑論者は、現在のAIシステムは常識や感情理解、抽象的な推論能力など、人間の知能を定義する基本的な特質を欠いていると主張しています。
AIの整合性(アラインメント)―AIシステムが人間の価値観や目標に沿って行動することの重要性を過小評価してはなりません。AIが私たちの日常生活にますます組み込まれてゆくにつれて、その倫理的な活用フレームワークと規制を開発することが不可欠となります。AIが活用される世界を実現するためには技術者や倫理学者、政策立案者、そして社会全体の協力が必要です。
未来のAI社会に備える
未来を見据えると、AIが社会においてますます重要な役割を果たすことは明らかです。この未来に備えるためにはAIの可能性を受け入れるだけでなく、それがもたらす課題にも対処する必要があります。AIに依存せざるを得ない世界で成功するためには、必要なスキルを個々人に提供するようにカリキュラムを進化させなければなりません。これにはデジタルリテラシーや批判的思考、そしてAIシステムと協力して働く能力の育成が必要となるのです。
結論として、AIは多くの機会と課題を提供しますが、機械が人間の仕事の一部を担うことがあっても、完全に取って代わることは当面ないでしょう。しかし、「AIを使わない人間は、AIを効果的に使う人間に取って代わられるかもしれな」のです。
当日の写真
<ナイワラ P. チャンドラシリ Dr. Naiwala P. Chandrasiri>
工学院大学情報学部教授。2001年東京大学より博士(情報工学)。現在の研究テーマは、人工知能、コンピュータビジョン、機械学習、ヒューマン・マシン・インターフェース、人間コミュニケーション工学。2001年、米国で開催されたWorld Multi-Conference on Systemics, Cybernetics and Informaticsで最優秀論文賞を受賞、さらに様々な賞を受賞。
2024 年11月16日配信
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2018.10.13
SGRAレポート第87号
SGRAレポート第87号(表紙)
第61回SGRAフォーラム講演録
「日本の高等教育のグローバル化!?」
2019年3月26日発行
<フォーラムの趣旨>
2012年に日本再生戦略の中で若者の海外留学の促進とグローバル人材育成が謳われ、5年が経過した。現在の諸政策は外国語能力の向上と異文化理解の体得を推進するに留まっている。例えば、TOEFL・TOEICを利用した英語習得及び評価や英語での授業展開を中心としたものや、海外留学の推奨など日本から海外に出る方向に集中していることが挙げられる。また、その対象が日本人に限られている点など、現時点におけるグローバル人材育成の方針は一方面かつローカルな視点から進められているようにとれる。
一方、教育の受け手であり、育成される対象である若者がこのような現状をどのように受け止め行動しているのかはあまり議論されず取り残されたままである。そこで本フォーラムでは、高等教育のグローバル化をめぐる大学と学生の実態を明らかにし、同様の施策をとる他国との比較を通して同政策の意義を再検討する。
<もくじ>
【問題提起】
「スーパーグローバル大学(SGU)の現状と若者の受け止め方:早稲田大学を例として」
沈 雨香(Sim Woohyang)早稲田大学助手
【講演1】
「日本の高等教育のグローバル化、その現状と今後の方向について」
吉田 文(Aya Yoshida)早稲田大学教授
【講演2】
「韓国人大学生の海外留学の現状とその原因の分析」
シン・ジョンチョル (SHIN Jung Cheol) ソウル大学教授
【事例報告1】
「内向き志向なのか――地方小規模私立大学における《留学》」
関沢 和泉 (Izumi Sekizawa) 東日本国際大学准教授
【事例報告2】
「関西外国語大学におけるグローバル人材育成の現状」
ムラット・チャクル(Murat Cakir)関西外国語大学講師
【事例報告3】
「関西外国語大学におけるグローバル人材育成の現状」
金 範洙(Kim Bumsu)東京学芸大学特命教授
【フリーディスカッション】
-討論者を交えたディスカッションとフロアとの質疑応答-
総合司会:張 建(Zhang Jian)東京電機大学特別専任教授
モデレーター:シム・チュンキャット(Sim Choon Kiat)昭和女子大学准教授
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2017.11.16
SGRAレポート第81号
SGRAレポート第81号(表紙)
第56回SGRAフォーラム
「人を幸せにするロボット-人とロボットの共生社会をめざして第2回-」
2017年11月20日刊行
<フォーラムの趣旨>
近年、ニュースや様々なイベントなどで人型ロボットを見かける機会も多くなってきた。私たちの日々の生活をサポートしてくれる「より人間らしいロボット“Humanoid”」の開発が、今、急ピッチに進んでいる。一方で、私たちの日常生活の中には、すでに多種多様なロボットが入り込んでいる、ともいわれている。例えば「お掃除ロボット」、「全自動洗濯機」、「自動運転自動車」などなど……、ロボット研究者によれば、これらもロボットなのだという。では、ロボットとは何なのだろうか?そして、未来に向けて「こころを持ったロボット」の開発がA.I.(Artificial Intelligence)の研究をベースに進められている。「こころを持ったロボット」は可能なのだろうか?「ロボットのこころ」とは何なのだろうか?この問題を突き詰めて行くと、「こころ」とは何か?という哲学の永遠の命題に行きあたる。今回のフォーラムでは、第一線で活躍中のロボット研究者と気鋭の哲学者が、それぞれの立場からロボット開発の現状をわかり易く紹介。人を幸せにするロボットとは何か?人とロボットが共生する社会とは?など、人々が抱く興味や疑問を手がかりに、さまざまな問いに答えていった。
<もくじ>
【基調講演】「夢を目指す若者が集う大学とロボット研究開発の取り組み」
稲葉雅幸(東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻教授)
【プレゼンテーション1】「ロボットが描く未来」
李 周浩(立命館大学情報理工学部情報コミュニケーション学科教授)
【プレゼンテーション2】「ロボットの心、人間の心」
文 景楠(東京大学教養学部助教(哲学))
【プレゼンテーション3】「(絵でわかる)ロボットのしくみ」
瀬戸 文美(物書きエンジニア)
【フリーディスカッション】-フロアとの質疑応答-
モデレーター:ナポレオン(SGRA)
パネリスト:稲葉雅幸、李 周浩、文 景楠、瀬戸文美ほか
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2017.03.02
あなたは、ロボットが人間に反乱を起こす日が来ると思うだろうか?
近年、日本のみならず世界中でヒト型ロボットの開発が行われており、また車両の自動運転などロボット技術の社会応用も進んでいる。その一方で人工知能の進化によるシンギュラリティ(技術的特異点)、人工知能やロボットが人間の能力を超え人間の仕事を奪うという将来への不安も取り沙汰されている。果たしてロボットは人間を幸せにするのか、ロボットが「こころ」を持つ日は来るのか、そもそもロボットとは何なのか。日本のロボット研究の第一人者である東大の稲葉雅幸教授を始めとする工学者と新進気鋭の哲学者が「人を幸せにするロボット」について自説を延べ、ディスカッションを行った第56回SGRAフォーラムをレポートする。
東京大学大学院情報理工学系研究科の教授である稲葉雅幸氏は『夢を目指す若者が集う大学とロボット研究開発の取り組み』と題して、稲葉研究室で行われているヒト型ロボットを中心とした研究とその教育効果について基調講演を行った。
稲葉氏は学部生の頃から現在まで、一貫して情報システム工学研究室に所属しロボットの研究開発を行ってきた。1993年に16個のモータを有する小型ヒト型ロボット、2000年には人間と同等のサイズのヒト型ロボット研究プラットフォームを開発。折しも福島第一原発事故を背景として米国国防省による災害救助ロボットのコンテスト『DARPAロボティクスチャレンジ』が世界全体の課題として行われ、それへの挑戦のためにベンチャー企業『SCHAFT』を創業したのが、稲葉研究室の卒業生である中西雄飛氏と浦田順一氏である。その後Googleに買収された同社には20名以上の稲葉研究室の卒業生が集まりロボット開発を行っている。
その一方で稲葉研究室でも「これまでできていなかったことを、誰もこれまでやったことのない方式でできるようにする」という方針のもと電磁モータ駆動・水冷気化熱利用により高出力を実現するヒト型ロボット『JAXSON』が開発された。稲葉氏によればロボットとは「感覚と行動の知的な接続法の研究」であり、「先端技術の総合芸術」であり、「工学分野における複数の技術の融合・統合体」であるという。稲葉研では学生がめいめい小型のヒト型ロボットを作り動かすことで、多様な技術を広く体験して研究テーマとなる問題を自分自身で発見し、それを深めていくというスキームを経験することができる。そのようなロボット研究開発について「『苦労』と感じるかもしれないけど、同時に『幸せ』なことでもある」という考えを示した。
立命館大学情報理工学部情報コミュニケーション学科・教授の李周浩氏は『ロボットが描く未来』と題し、SF作品などを通じて描かれるロボットとその未来技術、そして社会におけるロボット技術の在り方について話題提供を行った。
李氏は韓国出身で、幼少の頃に観たロボットアニメ『マジンガーZ』に魅了されロボット科学者の道を志した。1920年に『ロボット』という言葉が生み出されて以来、人間の理想を映すものや友達、従順な僕などとして現在までさまざまなロボットが描かれ、『ロボット』というものへの印象を人々の中で構築している。そこではロボットは、単に人間のために労働力を提供する機械としてだけではなく、人間が全知全能の創造主として自らの夢や希望を投影できる対象であり、人間を理想として発展している唯一技術として人々に夢を与えるものとして描かれている。また現実のものとしてのロボット技術は「期待のピーク」の直前に位置しているが(2016年ガートナー社ハイプ・サイクルより)、その一方で労働者階層・中間層の雇用がロボットや人工知能に代替されることを危ぶむ声も少なからず耳にする。明暗あれど現在ロボットは脚光を浴びていることは事実であり、この現状を踏まえてロボットが描く未来はどうなるのかという問いを後半のフリーディスカッションに投げかけ、李氏は講演を締めくくった。
3人目の講演者である東京大学教養学部助教の文景楠氏は、古代ギリシャ・アリストテレスを専門とする哲学者である。本フォーラムでは『ロボットの心、人間の心』と題して、「ロボットは心を持つのか?」という問いへのアプローチを示した。
この問いに答えるためには「心とは何か」、そして「心を持つ・持たないということをどうすれば判定できるのか」という2つの問いに先に答える必要がある。第1の問いに対して、心とは「痛みを感じるような何か」というように曖昧に定義し、その上で第2の問いに対しての「人間らしいそぶりを示す」という答えについて考察する。あなたのことを「心を持っていないロボット」と信じ込んでいる人がいた場合、あなたはどうやって自分が心を持っていることを示すだろうか。自身を殴らせることで痛みを感じている表情や様子を示しても、殴られた結果生じる身体のあざを示しても、それはただの「ふり」で巧妙なつくりのロボットだと言われれば反証はできない。
このように「『人間らしいそぶりを示す』ことで心の有無を判定する」ということ自体に嫌疑をかけると、ロボットはもとよりほとんどすべての人間に対して相手が心を持っていない可能性を考慮しなければならなくなるため、人間らしいそぶりを示すものは心を有していると考えるべきである。しかしこの「人間らしい」という基準が曖昧である以上、先の結論は「ロボットは心を持たないと断定すべき根拠はない(どういうロボットが心を持つロボットかはさらなる議論が必要)」と弱めた形で受け入れられることとなる。講演の最後に文氏は、「ロボットが心を持つか」という問いは「心を持つとはどういうことか」という問いを経由し人間の自己理解を問い直すものとして重要であるという考えを示した。
最後の講演では物書きエンジニアの瀬戸文美が「(絵でわかる)ロボットのしくみ」と題して、ロボットや科学技術を一般に広め身近なものとするにはどうしたらよいのか、自身の著書である「絵でわかるロボットのしくみ」を例としてその方法論を示した。ことロボットにおいては見た目や構造が人間と似ているため、技術的に困難であるなしに関わらず人間が行っていることはロボットも当然できるはずというバイアスが見る側にはかかってくる。姿形や派手な動きといった表面的なことだけではなく、その裏に存在する技術や技術者・研究者を伝えることがロボット技術の発展に重要であるという考えを述べた。また写真を並べたカタログ的な紹介冊子か専門的な教科書かという二極化していた従来のロボット書籍と異なり、数式や専門用語を用いずに分野全体の俯瞰を行いロボット工学へのはじめの一歩を踏み出すことを目的としたという著書のアプローチを示した。
その後のフリーディスカッションでは「人間と同様のロボットが誕生した場合にどんな法的整備が必要になるのか」「心の1つの要素として、ロボットは自由意志を持てるのか」といった会場からの問いに、4名の講演者がそれぞれの見解を述べ活発な議論が行われた。
当日の写真
<瀬戸文美(せと・ふみ)Fumi_SETO>
2008年東北大学大学院工学研究科バイオロボティクス専攻博士後期課程修了 工学博士
大学院修了後、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)主任研究員などを経て、現在は「物書きエンジニア」として研究や執筆活動を行う。その間、人間協調型ロボットの研究をしながら、科学の魅力や研究の面白さを伝える『東北大学サイエンス・エンジェル』の第一期生として、サイエンスコミュニケーション活動を行う。主な著作:『私のとなりのロボットなヒト:理系女子がロボット系男子に聞く』近代科学社(2012)『絵でわかるロボットのしくみ(KS絵でわかるシリーズ)』平田泰久(監修)、講談社(2014)
2017年3月2日配信
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2016.12.27
下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。
テーマ:「人を幸せにするロボット(人とロボットの共生社会をめざして 第2回)」
日 時:2017年2月11日(土・休)午後1時30分~4時30分
会 場:東京国際フォーラム ガラス棟 G501 号室
参加費:フォーラムは無料 懇親会は賛助会員・学生1000円、メール会員・一般2000円
お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局(
[email protected], 03-3943-7612)
ポスター
◇フォーラムの趣旨
近年、ニュースや様々なイベントなどで人型ロボットを見かける機会も多くなってきました。今、私たちの日々の生活をサポートしてくれる「より人間らしいロボット ヒューマノイド」の開発が急ピッチに進んでいます。
一方で、私たちの日常生活の中では、既に多種多様なロボットが入り込んでいる、といわれています。例えば「お掃除ロボット」、「全自動洗濯機」、「自動運転自動車」などなど。ロボット研究者によれば、これらもロボットなのだそうです。では、ロボットとは何なのでしょうか?
そして、未来に向けて「こころを持ったロボット」の開発がA.I.(Artificial Intelligence) の研究をベースに進められています。「こころを持ったロボット」は可能なのでしょうか?「ロボットのこころ」とは何なのでしょうか?この問題を突き詰めて行くと、「こころ」とは何か?という哲学の永遠の命題に行きあたります。
今回のフォーラムでは、第一線で活躍中のロボット研究者と気鋭の哲学者が、人を幸せにするロボットとは何か?人とロボットが共生する社会とは?など、皆さまの興味や疑問にわかり易くお答えします。
◇プログラム
詳細はプログラムをご覧ください。
【基調講演】「夢を目指す若者が集う大学とロボット研究開発の取り組み」
稲葉雅幸(Masayuki Inaba)東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻教授
ロボットの研究開発は数十年の歴史があり、工場内から社会生活のさまざまな分野への活躍が期待されています。ロボットで社会貢献の夢を抱く若者が集い、社会へ飛び立ってゆく大学におけるロボット研究開発の取り組みについてご紹介します。
【プレゼンテーション1】「ロボットが描く未来」
李 周浩(Joo-Ho Lee)立命館大学情報理工学部情報コミュニケーション学科教授
SF映画、SF小説、SF漫画、未来の社会を描く物語には必ずと言っても過言ではないくらいロボットが出てきます。本講演では,予測可能な未来を実現させる技術としてのロボットについて、また、そのロボットが現在の社会に与える影響に関する内容を中心に話題を提供します。
【プレゼンテーション2】「ロボットの心、人間の心」
文 景楠(Kyungnam Moon)東京大学教養学部助教(哲学)
ロボットは人間のような心をもつことができるのでしょうか。それ以前に、心を「もつ」や「もたない」といったことはそもそも何を意味しているのでしょうか。私のプレゼンテーションでは、こういった問題を哲学的な観点から一緒に考えます。
【プレゼンテーション3】「(絵でわかる)ロボットのしくみ」
瀬戸 文美(Fumi Seto)物書きエンジニア
「絵でわかるロボットのしくみ」はロボット工学へのはじめの一歩を踏み出すためのガイドブックとして、数式や専門用語を用いずに分野全体の俯瞰を行うことを目的とした書籍です。この本ができるまでの紆余曲折をお話しし、ロボットや科学技術を身近なものとするにはどうしたらよいか、皆さんと考えたいと思います。
【フリーディスカッション】-フロアとの質疑応答-
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2015.11.24
2015年10月24日(土)、渥美国際交流財団ホールで、第8回SGRAカフェが開催された。今回のカフェのテーマは「女子大は要る? 「女」、「男」と大学について考えよう」というもので、SGRA会員のシム・チュンキャットさん(昭和女子大学准教授)とデール・ソンヤさん(一橋大学特任講師)が担当した。
まずソンヤさんが、今回のカフェで取り上げるテーマについて説明した。日本には現在でも女子大学が存在するが、男女平等の機運が高まっているなか、女性しか通えない女子大は不要だと考える人もいる。そもそも、女子大は要るのだろうか? この問題意識をきっかけとして、今回のカフェでは、「大学」を通して「女」である、「男」であるとはどういうことか、その社会における妥当性とはいかなるものか、を考えてみましょうと。
カフェは2部に分かれ、第1部はシムさんによる発表が行われた。短い休憩のあと、ソンヤさんによる発表が行われ、参加者全員による小グループ・ディスカッションが開かれた。当日は、SGRA関係者のほかに、シムゼミを受講している昭和女子大学の学生も多数参加して、ゆったりとした雰囲気のなかで、多くの人々が活発に意見を交換した。
シムさんは、まず大学のジェンダーについての歴史を概観したあと、さまざまなデータを用いて日本の現状を分析した。かつて、ヨーロッパでは大学は男性のものであり、女性は高等教育から排除されていた。しかし18世紀中ごろになると女子大学が現われるようになり、広まっていった。だが20世紀中ごろ、男女平等に関する法律が制定されると、女子大の存在が問題視されるようになり、徐々にその数を減らしていくことになる。
次いで、日本の状況分析が紹介された。日本は、女性の社会進出・雇用や教育率について他国と比べて遜色はない。だが、研究者に占める女性の割合は14.6%であり、他の先進国と比べてもかなり少ない。また、東京大学の2014年度入学者のうち女性は18%しかおらず、ほとんど「準男子大学」の様相を呈している。学力はあるのに、なぜ大学に行かないのだろうか。アンケート調査によると、理由として挙げられているのは、男性にもてなくなる、結婚できなくなる、親が許してくれない、といったものだった。
次に、女子大の存在意義とは何か、ということが問われた。シムさんの調査によると、議論の場では、女性は男性がいないほうが積極的に発言する。そのため、ジェンダー問題や女性のありかたについて、より深く議論することができるようになる。また、東大のような「準男子大学」が多く存在するので、女子大はバランスを取っているのだ、という見方もあるということが紹介された。さらに女子大のメリットとして、少人数授業ができる点、女性の人生の選択肢を知ることができる点、女性研究者枠があるので女性に多くのチャンスを与えられる点、などが指摘された。
最後に、イギリスのサッチャー元首相や本財団の理事長をはじめ、女子大出身の素晴らしい女性リーダー達が紹介された。女子大は、普段の生活の場から離れて、女性だけで学問を学び議論することで、社会常識や「当たり前」を問う場となり、優れた女性を育てる場になる、ということが述べられた。
第2部のソンヤさんの発表はグループ・ディスカッション形式で進められた。まず、参加者が5~6人のグループに分かれ、「異性として生まれ変わったら、あなたの人生はどう変わる?」、「あなたの一番好きな映画は何?」、「その映画は、ベックデル・テスト(Bechdel
Test)を合格できる?」という問題を一人一人が考え、グループ内で発表が行われた。ベックデル・テストによれば、「名前を持っている女性が二人以上いる」、「女性が互いに会話する」、「その会話は男性以外のものについてである」という基準を満たした映画が合格なのだそうである。
報告者が参加したグループには、日本人と中国人の女性が5人いた。日本人の女性は、男性に生まれ変わると、人生の道が制約される、社会のプレッシャーが強くなる、という可能性を話した。中国人の女性は、一人っ子政策のため男児は厚遇される傾向にあり、家族には愛される反面、責任も重いので、自由な行動ができないということを話した。また、ベックデル・テストをクリアできる映画が非常に少ないことも、ディスカッションンを通じて気付かされた。大学生を対象としたソンヤさんの調査では、男性が女性に生まれ変わると、内面的になり、逆に女性が男性に生まれ変わると、外面的になって夢が広がるという結果がでたという。
次に、「友だちが妊娠したら、子供の性別を知りたいか」という問題が出され、社会における性別の問題が議論された。知りたい理由として挙げられたのは、プレゼントの選び方にかかわる、将来を想像できるようになるなどだった。性別によって人々の子供に対する態度も変わる。それは性別によって趣味や扱い方が違うからだという。しかし、近年では男性と女性の役割も固定的ではなくなっている。男性も家事や子育てに参加するようになり、何かとメディアで取りあげられるようになった。しかし、子育てと仕事を両立する女性は全然注目されていない。このように、社会における性別意識は、当たり前のように既成観念になっている。それゆえに、社会的なジェンダーは女性だけの問題ではなく、すべての人間に関わっており、社会構造にもかかわっている問題でもある、ということが指摘された。
今回のカフェを通して、私たちは今まで疑問視されてこなかった性別にかかわる社会常識などについて深く考えさせられることになった。私たちはこうした社会問題に対して、「女」として、「男」として何をすべきか、さらに考えていく必要があるだろう。
当日の写真
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<胡艶紅(こ・えんこう)Hu_Yanhong>
2006年来日。2010年3月筑波大学人文社会科学研究科 国際地域専攻修士課程修了。同年4月同研究科 歴史・人類学専攻一貫制博士課程編入、2015年7月同課程修了。現在、筑波大学人文社会科学研究科、博士特別研究員。専門は、東アジア歴史民俗学。主要論文「現代中国における漁民信仰の変容」(『現代民俗学』4)。
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2015年11月19日配信
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2015.09.16
SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まりいただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、「性別やジェンダー(『女』『男』であること等)について、考えるきっかけをつくる」ことをめざし、シンガポール出身のシム チュン キャットさん、ノルウェー出身のデール ソンヤさんのお二人を中心とした座談会を開催します。
準備の都合がありますので、参加ご希望の方は、事前に、SGRA事務局へお名前、ご所属、連絡用メールアドレスをご連絡ください。
◆「女子大は、要る?~『女』、『男』と大学について考えよう~」
日時:2015年10月24日(土)14時~17時
会場:渥美国際交流財団ホール
会費:無料
お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局
[email protected]
講師からのメッセージ:
日本には、女子大学というものがまだ存在しています。男女平等という話題が盛り上がっている現在において、女性しか通えない大学は要らないと思っている人は多いかもしれません。男子大学はないし、男女平等の社会だったら、性別に関わらず誰でもどのスペースでも利用できるはずでしょう。 このカフェは、性別やジェンダー(「女」「男」であること等)について、考えるきっかけにしていただけたらと思います。大学というテーマを中心に、「女」である、または「男」であることと、その社会的な妥当性について考えましょう。 女子大や、大学でジェンダーの勉強することについての発表の後、このテーマについて話し合う場をつくりたいと思っています。このカフェは講演会ではなく、ディスカッションのためのカフェです。皆さんの積極的な参加をお待ちしています!
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<シム チュン キャット Sim Choon Kiat 沈 俊傑>
シンガポール教育省・技術教育局の政策企画官などを経て、2008年東京大学教育学研究科博士課程修了、博士号(教育学)を取得。昭和女子大学人間社会学部・現代教養学科准教授。SGRA研究員。
<デール、ソンヤ Sonja Dale> 2014年上智大学グローバル・スタディーズ研究科博士課号取得。東海大学他非常勤講師。ウォリック大学哲学部学士、オーフス大学ヨーロッパ・スタディーズ修士。2012年度渥美奨学生。
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2013.12.11
下記の通りSGRAフォーラムを開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。
テーマ:「インクルーシブ教育:子どもの多様なニーズにどう応えるか」
日時:2014年1月25日(土)午後1時30分~4時30分 その後懇親会
会場:東京国際フォーラム ガラス棟 G610号室
参加費:フォーラムは無料 懇親会は正会員1000円、メール会員・一般2000円
お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局(
[email protected], 03-3943-7612)
◇フォーラムの趣旨
インクルーシブ教育(inclusive education)は、障碍児教育に関する施策のひとつであるが、同時に、社会的・経済的格差、民族・人種・文化・宗教等の差異がもたらす差別の軽減・解消をめざし、不利益な立場にある人々の自立および社会への完全参加を、教育・学校の改革によって実現しようとする教育・社会理念とも捉えられる。
日本では、障碍のある子どもに特別支援学校だけではなく多様な学びの場を提供する施策が試みられてきた。その他の特別なニーズを持つ子ども、例えば当初は数年しか日本に滞在しない予定だった外国籍労働者の子どもたち、家庭や経済的事情により学業に困難を伴う子どもたち等は、対応されなかったわけではないが、教育のメインストリームの周辺課題とされてきた。グローバル化によりますます増加する子どもの多様なニーズに応えるためには、教育全般の課題として捉えない限り、この問題は根本的に解決しないのではないか。
教育が新自由主義や市場原理の波に巻き込まれ、競争的学力向上を目指す傾向にある中、果たしてインクルーシブ教育は実現できるのだろうか。さらに言えば、社会が障碍や人種・文化的差異をどのように構成し対応していくかという国の文化が変わらない限り、実現は難しいのではないか。実際、日本のみならず、ほとんどの国がインクルーシブ教育の実現に当たってさまざまな困難に直面している。
本フォーラムでは、インクルーシブ教育の実現に向けて、障碍のある子どもや外国籍の子どもへの支援の実情を踏まえながら、日本の教育がこれから子どもの差異と多様性をどう捉え、権利の保障、多様性の尊重、学習活動への参加の保障にどのように向き合うべきかについて考えたい。
◇プログラム 詳細はこちらをご覧ください。
司会/コーディネータ:権明愛(十文字学園女子大学人間生活学部講師)
【基調講演】荒川 智(茨城大学教育学部教授) 「インクルーシブ教育の実現に向けて」
【報告1】上原芳枝(特定非営利活動法人リソースセンターone 代表理事) 「障碍のある子どもへの支援」
【報告2】中村ノーマン(多文化活動連絡協議会) 「学校教育からはみ出た外国につながりを持つ子ども達に寄り添って」
【オープンフォーラム】 進行:権明愛(十文字学園女子大学人間生活学部講師) 討論者:上記報告者
ポスター
ファックス申込書
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2012.06.06
下記の通り長野県蓼科にて第44回SGRAフォーラムを開催します。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。SGRAフォーラムはどなたにも参加いただけますので、ご関心をお持ちの皆様にご宣伝いただきますようお願い申し上げます。また宿泊の手配が必要な方はご相談ください。
日時:2012年7月7日(土)10:00~17:00 その後懇親会
会場:東京商工会議所蓼科フォーラム研修室A
〒391-0213 長野県茅野市豊平チェルトの森
電話 0266-71-6600
申込み・問合せ:SGRA事務局
電話:03-3943-7612
ファックス:03-3943-1512
Email:
[email protected]
参加費: 無料
【フォーラムの趣旨】
SGRA「人材育成」研究チームが担当するフォーラム。
21世紀の幕開けとともに各国で急激に普及し始めたインターネットと携帯電話などの情報通信手段は、今では私達の生活の中で欠かせない存在となりつつある。しかもその変化のスピードがますます速まり、膨大な量の情報が氾濫している。こうした背景の中で、知識の暗記よりも情報通信技術の習得とともに世界につながるネットワークとその中に集まる知識と情報を活用できる能力が重要視され、次世代を担う人づくりを目指す学校教育のあり方にも大きな変化が迫られている。
新しい時代への対応を図るべく、アメリカ、イギリス、韓国、シンガポールなどでは90年代の後半から教育情報化政策が推進され始め、近年には国家目標に設定され、より本格的な導入に向けた動きが具体化している。日本でも1999年に全公立小中高校がインターネットに接続でき、全公立校教員がコンピュータの活用能力を身につけられるようにする「ミレニアム・プロジェクト」がスタートし、2010年からは総務省と文部科学省の推進のもと2020年までにフューチャースクールの全国展開を目指す事業も始動した。一方、新しい情報通信技術が次々開発されるにつれ、機械や機器には決して置き換えられないものがあることがますます鮮明になり、人間関係の大切さがより強調される中で生身の人間をもとにしたコミュニケーション能力が果たしてフューチャースクールで育成されうるかという懸念の声もある。
本フォーラムにおいては、世界最先端をいく韓国とシンガポールを中心にそれぞれの国の経験と現状について議論を交わす場を提供し、学びのイノベーションに関する理解と交流を深めつつ、フューチャースクールの今後の方向性について考えていきたい。
【プログラム】
詳細はここををご覧ください。
【基調講演1】次世代を担う人づくりとは
赤堀 侃司(白鴎大学教育学部長)
【基調講演2】日本のICT教育の現状と今後
影戸誠(日本福祉大学教授)
【発表1】韓国のフューチャースクール構想
曺圭福(韓国教育学術情報院研究員)
【発表2】シンガポールの教育におけるICT活用の動向と課題について
シム チュンキャット(日本大学非常勤講師)
【発表3】ICT機器を利活用した学習活動
石澤紀雄(山形県寒河江市立高松小学校)
【パネルディスカッション】
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2009.11.25
SGRAレポート第51号本文
SGRAレポート第51号表紙
第35回SGRAフォーラム講演録
「テレビゲームが子どもの成長に与える影響を考える」
2009年11月15日発行
<もくじ>
【発表1】現代社会はテレビゲームをどう受容してきたか
~「テレビゲームの影響」を多面的に捉えるために~
大多和直樹(東京大学大学総合教育研究センター助教)
【発表2】テレビゲームと子供の健康
佐々木 敏(東京大学大学院医学系研究科教授)
【発表3】テレビゲームが子どもの心理に与える影響
渋谷明子(慶應義塾大学メディアコミュニケーション研究所研究員)
【パネルディスカッション】
進行:江蘇蘇(東芝セミコンダクター社勤務、SGRA研究員)
パネリスト:上記講演者