SGRAイベントへのお誘い

第77回SGRAフォーラム「なぜ、戦後80周年を記念するのか?」へのお誘い

下記の通り第77回SGRAフォーラム 「なぜ、戦後80周年を記念するのか?~ポストトランプ時代の東アジアを考える~」を対面とオンラインのハイブリットで開催いたします。参加ご希望の方は、事前に参加登録をお願いします。

 

テーマ:「なぜ、戦後80周年を記念するのか?~ポストトランプ時代の東アジアを考える~」

日 時:2025年7月26日(土)14:00~17:00

会 場:早稲田大学大隈記念講堂 小講堂 およびオンライン(Zoomウェビナー)

言 語:日本語・中国語(同時通訳)

参 加:無料/こちらから事前申込をお願いします

※会場参加の方もオンライン参加の方も必ず下記より参加登録をお願いします。

※会場参加で同時通訳を利用する方は、Zoomを利用するためインターネットに接続できる端末とイヤホンをご持参ください。

お問い合わせ:SGRA事務局([email protected]

 

 

◇フォーラムの趣旨

80年の長きにわたる戦後史のなかで、アジアの国々は1945年の出来事を各自の歴史認識に基づいて「終戦」「抗戦の勝利」「植民地からの解放」といった表現で語り続けてきた。アジアにおける終戦記念日は、それぞれの国が別々の立場から戦争の歴史を振り返り、戦争と植民地支配がもたらした深い傷と記憶を癒やし、平和を祈願する節目の日であった。一方、この地域の人びとが国境を超えた歴史認識を追い求め、対話を重ねてきたことも特筆すべきである。

2025年は終戦80周年を迎える。アメリカにおける政権交替にともなって、アジアをめぐる国際情勢がより複雑さを増している。こうした状況のなか、多様性や文明間の対話を尊重し、相互協力のなかで平和を希求してきた戦後の歴史を本格的に検証する意味は大きい。本フォーラムは日本、中国、韓国、東南アジアの視点から戦後80年の歳月に光を当て、近隣諸国・地域と日本との和解への道を振り返り、平和を追求するアジアの経験と、今日に残る課題を語り合う。

 

◇プログラム

総合司会:李 恩民(桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群長)

 

14:00

開会挨拶 今西 淳子(渥美国際交流財団関口グローバル研究会代表)
歓迎挨拶 鷲津 明由(早稲田大学次世代科学技術経済分析研究所長)

 

————————————【第1部】————————————

 

14:20 基調講演Ⅰ.

「冷戦、東北アジアの安全保障と中国外交戦略の転換」

沈 志華(華東師範大学資深教授)

 

冷戦期において、中華人民共和国の外交戦略は三つの段階と2度の大きな転換を経て、「革命外交」から「実務重視の外交」への転換を実現した。同時に、東北アジアの安全保障構造も根本的な変化を遂げ、当初の二つの三角同盟間の対立構造から、緊張緩和および交差的な国家承認へと推移し、和平交渉のプロセスへと移行した。

まず1949年から1969年にかけての第1段階では、中国は「向ソ一辺倒」政策を採用し、ソ連と連携してアメリカに対抗した。これにより中国は冷戦構造に参入し、社会主義陣営の急先鋒となり、東北アジアは南北に分かれた二つの三角同盟が対立する局面に突入した。

続く1970年から1984年にかけての第2段階では、中国は「向米一辺倒」へと方針を転換し、アメリカと連携してソ連に対抗した。この過程で、最終的に中国は米ソ冷戦の二極構造から脱却し、東北アジアは緊張緩和期へと移行した。

最後の1985年から1991年にかけての第3段階では、イデオロギー上の対立および台湾問題により中米対立が激化したが、一方で中ソ関係は正常化された。中国の改革開放政策の実施に伴い、外交理念も大きく変化し、非同盟の全方位外交へと転換した。中米ソの「大三角」構造が形成され、東北アジア地域においては交差的な国家承認が進行し、二つの三角同盟が対立する局面は完全に解消され、和平交渉のプロセスが始動した。

以上を踏まえ、今後の中国外交においては、鄧小平が確立した実務重視の外交と非同盟政策を堅持しつつ、中米露の三国関係を冷静かつ慎重に処理し、とりわけ中日および中韓関係の発展を、東北アジアの平和と発展の基盤とすべきである。

 

 

14:50 基調講演Ⅱ.

「冷戦から冷戦までの間 第2次世界大戦後米中関係の展開と日本」
藤原 帰一(順天堂大学国際教養学研究科特任教授・東京大学名誉教授)

 

かつて世界を分断した冷戦は今復活したように見える。日本の第2次世界大戦敗戦は連合国による日本占領の元で武装解除と民主化をもたらしたが、米ソ冷戦の開始とともに日本を拠点とした米国のアジア戦略が展開され、米中の緊張は1960年代にいっそう強まった。米中接近後には冷戦を基軸とした日中関係は変貌し、日中国交と経済関係の回復が実現する。冷戦は終わったはずだった。しかし少なくとも2008年以後には米中関係の緊張が再び広がり、同盟体制の再編を経て、冷戦と呼んでも誇張とは言えない国際政治の分断が生まれた。ではなぜ米中の新たな緊張は生まれたのか。これは一時的な緊張なのか、それとも長期的な対立と見るべきなのか。この報告では、大戦後から第2次トランプ政権に至るアメリカの対中政策を跡づけるとともに、その変化をどこまで権力移行論によって説明できるのかについて検討したい。さらに、日本の対中政策はどこまでアメリカの影響、主導権によって説明できるのか、そこに相違、ズレは存在しないのかについても、福田赳夫政権と石破茂政権を手がかりとして考察を試みたい。

 

15:20 質疑応答

 

————————————【第2部】————————————

 

15:45 オープンフォーラム

モデレーター:林 泉忠(東京大学東洋文化研究所特任研究員)

 

◇若手研究者による討論

権 南希(関西大学政策創造学部教授)

東アジアの地政学的転換と朝鮮半島を考える

東アジアの安全保障体制は、北朝鮮の核・ミサイル開発に加え、ロシア・ウクライナ戦争を背景とする北朝鮮とロシアの軍事的接近、米中露の地政学的対立の激化により、構造的な不安定性を一層深めている。北朝鮮は2024年以降、韓国を「主敵」と規定し、統一を否定する二国家論を公式化した。一方、韓国社会では統一を「結果」よりも「過程」として捉える傾向が強まっており、経済協力や文化交流を通じた段階的信頼構築が注目される。本発表では、北東アジアの戦略構造と北朝鮮の政策転換を分析しつつ、法治主義に基づく統合体制の構築と、社会文化的接触を通じた内的インフラの整備の必要性を論じる。

 

ラクスミワタナ モトキ(早稲田大学アジア太平洋研究科)

タイ保守派の陰謀論分析からみる冷戦期の政治分析

途上国において、冷戦は国内政治に多大な影響を及ぼした。反共・親共問わず、特定の勢力の台頭や弾圧が冷戦の文脈で行われ、今日まで続く権力構造に寄与している。本報告では、戦後や冷戦を考える上での国内政治分析が提供しうる視点を、タイ保守派の陰謀論分析を通し模索する。これらの言説の性質から見受けられる今日の冷戦の断層線(fault line)に言及するとともに、「国」を単位とした分析を超える視点の可能性について考えたい。

 

野﨑 雅子(早稲田大学社会科学総合学術院助手)

国際秩序と知的交流—留学生政策から考える—

本討論では、近年の日米中の留学生政策の変化に着目し、国際秩序と知的交流の関係を検討する。冷戦終結後、留学生派遣・受け入れに代表される知的交流は、各国間の信頼関係構築の基盤として機能してきた。しかし、近年各国間の緊張関係が深まる中で、知的交流の場においても分断が深まりつつある。本討論では、近年の日米中の留学生数の推移や政策の変化を踏まえて、知的交流の場における分断の危機とその克服の可能性について議論したい。 

 

李 彦銘(南山大学総合政策学部教授)

民間の歴史認識・信頼構築・協力と和解への道

本稿は日中の和解の道のりに焦点を当てる。まず、日中の政府レベルでは一定の和解が達成できたとして、事実を簡単に確認する。その上で、2010年代以降を民間人の歴史認識を事例として取り上げ、歴史認識の形成における変化と特徴を抽出してみる。次に、非政府組織(Nongovernmental Organization)における信頼構築の事例(ユネスコ第8代事務局長・松浦晃一郎=ユネスコ事務局長補・唐虔、行財政改革の実現)から、和解の可能性を展望したい。最後に、今後に向けての提言を行う。

 

◇フロアからの質問

 

16:50  総括・閉会挨拶 劉 傑(早稲田大学社会科学総合学術院教授)

 

※詳細は、下記リンクをご参照ください。

プログラム(日本語)

中国語ウェブサイト

 

皆さまのご参加をお待ちしております。