SGRAイベントへのお誘い

第37回共有型セミナー@東京「東アジアダイナミクス」へのお誘い

 

第37回共有型セミナー@東京をハイブリッド形式で開催いたします。

参加ご希望の方は事前登録をお願いします。

 

テーマ:「東アジアダイナミクス」

日 時:2023年4月10日(月)午前10時~午後1時

会 場:渥美国際交流財団ホール(東京都文京区)

方 法:会場参加およびオンライン(Zoom Meeting)

会 費:無料

参加申込:こちらよりお申し込みください。

※登録していただいた方に参加用リンクをお送りします。

 

主催:公益財団法人渥美国際交流財団(AISF)関口グローバル研究会(SGRA)

共催:フィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)公共政策開発大学院(CPAf)

共催:一般社団法人東北亞未来構想研究所(INAF)

 

問い合せ:SGRA事務局 [email protected]

 

 

◇趣旨

 

日本を含む東アジア8カ国が実現した高度成長を研究する世界銀行の「東アジアの奇跡レポート」(1993)は、あらゆる意味で論争の的になったが、特記すべきは「成長と公平」というテーマに注目したことだ。このテーマは、トマ・ピケティの「21世紀の資本」(2014)やJ.E.スティグリッツの「世界の99%を貧困にする経済」(2013)であらためて人気を集めている。この議論から刺激を受けた本セミナーシリーズの総合テーマは「共有型成長」(SHARED GROWTH)で、富の分配と経済成長が同時に進むことを目指す。

しかしながら、今回のセミナーでは「東アジアの奇跡レポート」にはカバーされていない側面、国際的な「地域化」(東アジア地域化)と「地方分権化」をとりあげ、東アジアの経済発展ダイナミックスを「共有型成長」の観点からより深く理解することを目的とする。「地域化」の議論では、日本の研究者・赤松愛が1930年に発想するに至った「雁行形態論」の積極的側面に目を向ける。雁行形態論は1980年代に東アジアの目覚ましい経済発展の説明理論として再注目されたが、それから50年たった現在、この地域のさらなる発展を鑑みて赤松理論の意義について再検討を行う。東アジアで1990年代に起こったもう一つの流れが「地方分権化」である。経済成長はそれを支える社会によって支えられる。地方の成長が国の成長を支え、広げるメカニズムとしても考えられる。

 

 

◇プログラム

 

【第1部】問題提起

・「東アジアの地域化」

平川均(INAF理事長、渥美財団理事、名古屋大学)

 

本報告では、広義の意味での東アジア(東南アジアと東北アジア)における地域主義、地域協力、地域統合、その制度化を示す包括的概念として「地域化」を用いる。地域主義は2つの起源があった。ひとつは、北東アジア(主に日本)、もうひとつは東南アジアである。両者を起源とする地域主義はアジア通貨危機以前には併存し、以後はASEAN+3フレームワークの誕生によって、重層的な制度化と経済統合に道を開いた。ただし、今日、主要国の主導権争いを通じた経済統合がその推進力になっており、新たな課題に直面している。本報告では、過去1世紀を超える東アジアの地域化を概観し、今日的課題への教訓をくみ取ることを目指す。

 

 

・「東アジアにおける地方分権化」

マックス・マキト(CPAf/UPLB, SGRA/AISF)

 

東アジアのダイナミクスを定義する一つの力として「国内の地方分権化」に注目し、地方分権化が「国際の地域化」の代替または補完であるかを議論する。「国内の地方分権化」と「国際の地域化」の2つの力が相互に補完し合うことができる二つの条件がある。最初の条件は、国家の適切な権限付与で、国家は相反する二つの力の渦に巻き込まれながらも、そこに適切な均衡を見つけなければならない。2番目の条件は、相互に影響し合う可能性のある二つの力に共通の原則の存在で、その一つが「共有型成長」である。

 

 

【第2部】討論

・「将来の研究の方向性:
相互構成的な地域化と地方分権化、ASEAN および市民の位置づけ」
ダムセル・コルテス (CPAf/UPLB)

 

地域化と地方分権は、共有型成長を実現するための有望な道筋を提供しているが、私は地域化と地方分権をさらに理解するために別の視点を提供したい。それは、地域化と地方分権は単に補完的であるだけではなく、相互に構成的であるということです。さらに、ご発表から得られたいくつかの洞察と疑問を提起します。一つは、地域化という言説の中で、共有型成長、ASEANの価値、市民を位置づけることです。もうひとつは、地方分権のニュアンスと複雑な性質に焦点を当てます。

 

 

・「地方自治体やNGOによる地域主義―東北アジア地域の経験―」
李鋼哲(INAF, SGRA/AISF)

 

冷戦崩壊とともに、1990年代から、社会主義陣営と資本主義陣営が対立していた東北アジア地域で地域主義の動きが活発になる。地方分権のプロセスはさまざまであるが、国境を越えた国際地域開発プロジェクトが立ち上がり、極地経済圏(サブ・リージョン・エコノミック・ゾーン)形成への動きが活発になった。これらの国際地域開発プロジェクトは、極地経済圏の形成とともに地方分権化にある程度進捗が見られ共有型成長に貢献していると思う。

 

 

・「インドネシアの地方分権の事例紹介 」
ジャクファル・イドラス(国士舘大学, SGRA/AISF)

 

地域主義・地域統合と地方分権化は一見すると相反的な概念に見えるが、本研究は斬新的かつ新しい理論的な枠組みを提供し、両概念は相互的に影響を与えると主張している。共有型成長の仕組みとしての地方分権化については、多面的な問題であるということを明確にする必要があると考える。インドネシアでは、地方分権化は地方レベルの権力、富、資源の集中をもたらしたため、行政と財政の分権化に限らず、その実施の面をみる必要がある。国家のエンパワーメントは確かに重要な要因となるが、共有型の成長を達成するためには地域社会のエンパワーメントも中核的で重要な課題となる。

 

 

詳細はプログラムをご覧ください。

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