SGRAイベントへのお誘い

第36回SGRAフォーラム in 軽井沢「東アジアsの市民社会と21世紀の課題」ご案内

下記の通り第36回SGRAフォーラム in 軽井沢を開催します。参加ご希望の方は、ファックス(03-3943-1512)またはemail([email protected])でSGRA事務局宛ご連絡ください。

日時:2009年7月25日(土)
   午後2時~6時 夕食後 午後7時30分~9時

会場: 鹿島建設軽井沢研修センター会議室

申込み・問合せ:SGRA事務局

【フォーラムの趣旨】

「良き地球市民の実現」を基本的な目標に掲げるSGRAは、2000年7月の設立以来、常にグローバル化と同時に市民社会に注目して研究活動を続けている。

「市民社会」という言葉の定義は多岐にわたる。18世紀のヨーロッパにおける市民革命後の「近代市民社会」だけでなく、国家権力からも市場からも統制を受けない「公共空間」を指す場合もあり、またマルクス主義の立場からは、階級対立を前提として有産階級が支配する社会を指す。市民革命を経た近代市民社会においては、個人の自由が保障され自発的な活動組織が社会を形成することが、その成立要件となっている。冷戦後、市民的自由を確保するためには、従来の共産党・労働組合を主体とした一極型の運動ではなく、市民の日常生活にかかわる諸団体がネットワークを結んで多極的な運動を展開すべきだという考えが形成された。こうした観点に立ったとき、非政府組織(NGO)や非営利組織(NPO)と、それらが結びついて構成される市民ネットワークを指して市民社会と称することもある。

一方、近年、東アジア諸国においては、めざましい経済発展に伴い、市民社会を形成する中産階級が生まれた。また各国とも欧米の文化や教育の影響を非常に強く受け、さらには交通情報技術の発展により情報化と人的交流が進み、各国の知識人の間では市民社会への関心も高まっている。しかしながら、東アジアでは未だに政治体制が異なっており、各国の社会基盤も、さらには国民の思想基盤も多様である。そのため、東アジアにおける「市民社会」についての議論は、非常に複雑な問題を内包しており、必ずしも活発であるとは言えない。

本フォーラムでは、東アジアという地域を念頭におきながら市民社会とは何かを考えた上で、東アジア各国の専門家から各国における市民社会の成り立ちや現状についての報告を受け、その後、10ヶ国を超える日本語が堪能な若手研究者により東アジアにおける市民社会の発展への今後の課題を自由に議論する。

本フォーラムは、問題の解決や提言をめざすものではなく、啓発と問題意識の共有化を目的とする。

【プログラム】

詳細はここからご覧ください。

● 基調講演
宮島 喬(法政大学大学院社会学研究科教授)
「市民社会を求めての半世紀ヨーロッパの軌跡とアジア」

● 日本の市民社会と21世紀の課題
都築 勉(信州大学経済学部教授)
 「『市民社会』から『市民政治』へ」

● 韓国の市民社会と21世紀の課題
 高 煕卓(延世大学政治外交学科研究教授、SGRA研究員)
 「『民衆』から『市民』へ」
   ~植民地・分断と戦争・開発独裁と近代化・民主化~

● フィリピンの市民社会と21世紀の課題
 中西 徹(東京大学大学院総合文化研究科教授)
 「フィリピンの『市民社会』と『悪しきサマリア人』」

● 台湾・香港の市民社会と21世紀の課題
 林 泉忠(ハーバード大学客員研究員/琉球大学准教授、SGRA研究員)
 「『国家』に翻弄される『辺境東アジア』の『市民』」
   ~脱植民地化・脱「辺境」化の葛藤とアイデンティティの模索~

● ベトナムの市民社会と21世紀の課題
 ブ・ティ・ミン・チィ(ベトナム社会科学院人間科学研究所研究員、SGRA会員)
 「変わるベトナム、変わる市民社会の姿」

● 中国の市民社会と21世紀の課題
 劉 傑(早稲田大学社会科学総合学術院教授)
 「模索する『中国的市民社会』」