SGRAフォーラム

レポート第114号「中近東・東南アジアからみる 日本と暮らす日本: それぞれの視点で考える」

SGRAレポート第114号

 

第76 回SGRA フォーラム

「中近東・東南アジアからみる日本と暮らす日本:それぞれの視点で考える」

2025年11月21日発行

 

<フォーラムの趣旨>

中近東や東南アジアでアニメ・マンガなど日本のポップカルチャーへの関心が急上昇している。日本語学習のきっかけとなることも多い。トルコ語に翻訳された日本のアニメや漫画が飛躍的に増えているように、日本ポップカルチャーはブームだ。日本研究においても、これらの地域でなぜ日本文化の受容が広がっているのか、なぜ若者が日本語に特別な関心を持つようになったのかをもっと議論すべきであろう。

 

一方、日本には中近東や東南アジアの国々から来た多くのイスラム教の移住者がいるが、日本語や文化、教育の環境に順応しようとしながら生活する中で、さまざまな困難に直面している。まずは言語の壁や文化的な違いによる摩擦が大きな課題だ。また、日本で生まれ育った子どもたちにとっては、自らのルーツに基づくアイデンティティーや宗教教育に関する問題も浮上している。

 

フォーラムでは、こうした課題に焦点を当て、第1部では中近東の日本語教育と日本研究を考える。第2部では、日本文化の受容と日本語教育を内側から議論をするために日本社会と共生する外国人コミュニティー、特に、イスラム文化圏から来た移民が直面する問題を深く掘り下げ、具体的な努力や解決策を模索する場とした。

 

中近東や東南アジア地域における日本文化の需要を外側と内側からとらえることにより、今日の世界における日本のソフトパワーの位置づけが可能になるだろう。

 

 

<もくじ>

開会挨拶

角田英一(渥美国際交流財団)
トルガ・オズシェン(COMU)
ムザッフェル・オズレミル(COMU)

 

 

【第1部】 中近東の若者にとっての日本語学習と日本文化
[発表1] トルコに於ける日本語教育と学習者の最初の混乱:カタカナ 
レベント・トクソズ( テキルダー・ナムク・ケマル大学(NKU))

 

[発表2] トルコの若者のアニメとマンガ関心:現実逃避、別世界とアイデンティティー 
チェリッキ・メレキ(COMU)

 

[発表3] イランの若者と日本語・日本文化:メディア、教育、就職、そして未来展望 
アヤット・ホセイニ(テヘラン大学)

 

[討 論] 中近東の日本語・日本文化イメージを再考察する
司会:岩田和馬(東京外国語大学)
オンラインQ&A:シェッダーディ アキル(慶應義塾大学)
指定討論者:
孫 建軍(北京大学)
市村美雪(COMU)
ショリナ ダリヤグル(筑波大学)
討論者:
レベント・トクソズ(NKU)
チェリッキ・メレキ(COMU)
アヤット・ホセイニ(テヘラン大学)

 

【第2部】 日本におけるイスラムコミュニティーの日本文化受容と日本語教育
[発表4] 在日の中東出身者における日本語習得過程の変容と影響要因に関する考察

アキバリ・フーリエ(神田外国語大学)

 

[発表5] 在日インドネシアコミュニティーと多文化共生:イスラム教育を中心に
ミヤ・ドゥイ・ロスティカ(大東文化大学)

 

[討論・質疑応答] 日本の国際化の中の外国人コミュニティーを再考察する 
司会:シェッダーディ アキル(慶應義塾大学)
オンラインQ&A:岩田和馬(東京外国語大学)
指定討論者:
ゲンチェル・バルオール・ゼイネップ(パムッカレ大学(PAU))
チャクル・ムラット(関西外国語大学)
討論者:
レベント・トクソズ(NKU)
チェリッキ・メレキ(COMU)
アヤット・ホセイニ(テヘラン大学)
アキバリ・フーリエ(神田外国語大学)
ミヤ・ドゥイ・ロスティカ(大東文化大学)

 

登壇者略歴 

 

あとがきにかえて
チェリッキ・メレキ(COMU)