SGRAカフェ

レポート第110号「パレスチナを知ろう」

SGRAレポート第110号

 

 

第20 回SGRA カフェ/第73 回SGRA フォーラム/第22 回SGRA カフェ連続3回シリーズ

「パレスチナを知ろう」

2025年6月20日発行

 

<各シリーズ開催の趣旨>

シリーズ1:第20回SGRAカフェ
「パレスチナについて知ろう:歴史、メディア、現在の問題を理解するために」
パレスチナは中東の重要な地域であり、イスラエルとの紛争や国際社会との関係が注目されています。しかし、多くの人はパレスチナの実情や人々の声を知らないまま、偏った情報や先入観に基づいて判断してしまうことがあります。シリーズ1では、パレスチナの歴史的背景やメディアの表現方法を分析し、現在の問題に対する多様な視点や意見を紹介しました。パレスチナについて知ることで、平和的な解決に向けた理解と共感を深めることを目的としています。大切なのは、同じ地球市民の一員として、この問題がこのままでいいのか、どうあるべきなのかを考えること、そしてそれに基づいて、何ができるか考え、実際に行動することではないでしょうか。シリーズ1はその出発点となるように、パレスチナ問題の歴史や現状、メディアとの向き合い方などについて、皆さんと一緒に考えました。

 

シリーズ2:第73回SGRAフォーラム
「パレスチナの壁:「わたし」との関係は?」
シリーズ2では専門家、パレスチナ出身者、パレスチナ支持の活動を行っている学生の声を取り上げ、なぜこの問題が全ての人にとって重要なのか、そしてその問題を取り上げようとするときに直面する壁について話し合いました。 「壁」という言葉には複数の意味が込められています。一つは、パレスチナ問題について公然と話すことを阻む見えない壁であり、タブーと言論の自由への抑圧を象徴しています。もう一つは、パレスチナ領土での継続的なアパルトヘイト(人種隔離)と植民地化の結果として存在する物理的な分離の壁です。世界中での学生の抗議活動は、これらの見えない壁を取り壊す試みであり、パレスチナ問題に対する公開討論を促進する力となっています。これはパレスチナ問題に対する新たな視点を提供すると同時に、世代間の意識の違いとその変化を示唆しています。

 

このフォーラムを通じて、参加者がパレスチナ問題に対する多面的な理解を深め、グローバルおよびローカル、マクロとミクロな視点からアプローチする機会になることを期待しています。

 

シリーズ3:第22回SGRAカフェ
「逆境を超えて:パレスチナの文化的アイデンティティ」
これまでは国際政治やパレスチナ問題の現状に焦点を当ててきたことを踏まえ、シリーズ3では文化、文学、芸術にスポットライトを当てました。

 

パレスチナに関するニュースは戦争や紛争に偏りがちですが、パレスチナ人には逆境の中で形成された独自で多様な文化的アイデンティティがあります。パレスチナの文学や芸術は民族が国家を奪われ、自決権を認められず、土地や文化の喪失を経験してきた中で、「故郷」をどのように捉えているかを映し出しています。

 

パレスチナの芸術や文学がいかにして平和的な抵抗の手段となり、抑圧や占領に対抗する一つの形となっているのかについても探求しました。メディアでは語られることのないパレスチナの別の側面をご紹介し、このシリーズがポジティブな視点で終わることを目指しました。

 

<もくじ>

シリーズ1 第20 回SGRAカフェ
「パレスチナについて知ろう:歴史、メディア、現在の問題を理解するために」

[講 演] パレスチナ問題の基礎知識:歴史と政治的構図の要点を抑える
ハディ ハーニ(明治大学) ※シリーズ1・2共通

 

[ 質疑応答・ディスカッション]

パレスチナについて知ろう:歴史、メディア、現在の問題を理解するために 
司会:シェッダーディ アキル(慶應義塾大学)
オンラインQ&A担当:徳永 佳晃(東京大学)
発言者:ハディ ハーニ(明治大学)

 

シリーズ1 あとがきにかえて  シェッダーディ アキル(慶應義塾大学)

 

シリーズ2 第73回SGRAフォーラム
「パレスチナの壁:『わたし』との関係は?」

[発表①] パレスチナ問題の基礎知識:歴史と政治的構図の要点を抑える
ハディ ハーニ(明治大学) ※シリーズ1・2共通
[発表②] 建築の支配:植民地主義の武器としての建造環境
ウィアム・ヌマン(東京工業大学)
[発表③] 立ち上がる学生、クィア、環境活動家たち:2023 年10月以降の東京のパレスチナ解放運動
溝川 貴己(早稲田大学)

 

[ 質疑応答・ディスカッション] パレスチナの壁:「わたし」との関係は?
モデレーター:徳永 佳晃(日本学術振興会)
オンラインQ&A担当:郭 立夫(筑波大学)
発言者(発言順): ハディ ハーニ(明治大学)
ウィアム・ヌマン(東京工業大学)
溝川 貴己(早稲田大学)

 

シリーズ2 あとがきにかえて  郭 立夫(筑波大学)

 

シリーズ3 第22回SGRAカフェ
「逆境を超えて:パレスチナの文化的アイデンティティ」

 

[講 演] 逆境を超えて:パレスチナの文化的アイデンティティ
山本 薫(慶應義塾大学)

 

[ 質疑応答・ディスカッション] 逆境を超えて:パレスチナの文化的アイデンティティ
司会:シェッダーディ アキル(慶應義塾大学)
オンラインQ&A担当:銭 海英(明治大学)
発言者:山本 薫(慶應義塾大学)

 

シリーズ3 あとがきにかえて  銭 海英(明治大学)

 

登壇者略歴

 

おわりに