SGRAイベントの報告

第8回アジア未来会議報告

 

2026年8月25 日(火)~29日(土)、仙台市の東北学院大学五橋キャンパスにて、第8回アジア未来会議が開催されました。総合テーマは「空間と距離:こえる、縮める、つくる(Space and Distance:Crossing, Closing, Creating )」。「コロナ禍により”ソーシャルディスタンス”は馴染み深いフレーズとなりましたが、ディスタンス(距離)を謳ったスローガンとは裏腹に、この言葉は文化的・地理的な隔たりを軽々と超えました。距離は物理的にも心理的にも存在し、私たちを分かつ一方で、”結びつける何か”を示す役割も果たします。多様な視点から空間と距離の分野横断的な役割や機能を見つめ直し、特定のパワー・ダイナミクスの維持や打破にどのように利用されているのか、どのように利用されることが望ましく必要なのかを一緒に考える」ために、27カ国から328名の登録参加者が集まりました。

 

26日(水)午前9時から、同大学講義棟6階と7階の教室で、5つのAFCフォーラム(28論文)、4つの円卓会議(16論文)、そして48セッションの分科会における182本の研究論文発表が行われ、広範な領域における課題に取り組む国際的かつ学際的な議論が繰り広げられました。

 

AFCフォーラム

 

日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性「国史のなかの『感情』―日本、中国、韓国」(日中韓同時通訳)

Asian Cultural Dialoguesアジア文化対話「On the Margins」(英語)

Science Communication 「AI and the Future of Human Happiness」(英語)

東北における再生可能エネルギーの将来」 (日英同時通訳)

ヒト・モノの『移動』からみたアジア美術ネットワーク」(日本語)

 

円卓会議

 

『歴史・文化・言語』横断的な視点から多様性と変化を語る」(日本語)

Exploring Local-to-Local Across Border Schemes(LLABS)」(英語)

中東セッション ①「イスラム文化圏出身の若者にとっての日本」、②「現代中東における日本文学翻訳における日本認識」(日本語)

移動された作品へのまなざし」(日本語)

 

午後4時からは同大学押川記念ホールで開会式が行われました。最初に明石康大会会長のビデオによる開会宣言があり、その後、主催の渥美国際交流財団 渥美直紀理事長から開会挨拶、共催の東北学院大学 大西晴樹学長から歓迎挨拶があり、最後に郡和子仙台市長よりご祝辞をいただきました。

 

東日本大震災の復興に深く関わられた建築家の内藤廣氏(多摩美術大学学長)は、「空間と距離」というタイトルの基調講演で、AIによる社会文化の大変革期における建築・芸術の可能性、ひいては美術大学のセンサーとしての役割と、新しい技術による人と人との相互理解、異なる基層をもつ文化と文化の空間と距離を縮める可能性を強調されました。続く参加者との対話では、フロアーからの幅広い質問に丁寧に答えていただきました。

 

その後、同キャンパスの中庭でウェルカムレセプションが開催され、参加者は伊達政宗武将隊の演舞と仙台料理を楽しみました。約1時間のレセプションの後には、2つのレストランに分かれて2年ぶりの再会を祝いました。

 

第8回アジア未来会議のプログラム

 

アジア未来会議は国際的かつ学際的なアプローチを目指しており、分科会は「平和」「環境」「イノベーション」などのトピックに基づいてグループ化され、学術学会とは趣を異にした多角的で活発な議論を展開します。

セッションごとに2名の座長の推薦により、48名の優秀発表賞が選ばれました。

 

優秀発表賞の受賞者リスト

 

優秀論文は学術委員会によって事前に選考されました。2025年9月20日までに発表要旨、2026年3月31日までにフルペーパーがオンライン投稿された141本の論文を13グループに分け、延べ46名の審査員が査読しました。ひとつのグループを6名の審査員が、 (1)会議のテーマ「空間と距離」と適合しているか、(2)分かりやすく構成され、理解しやすいか、(3)論点が明確に提示され説得力があるか、(4)課題への取り組み方に創造性があるか、(5)国際性があるか、(6)学際性があるか、という指針に基づいて審査し、各審査員は、各グループ9~10本の論文から2本を推薦し、集計の結果、上位20本を優秀論文と決定しました。

 

優秀論文リスト

 

クロージングパーティーは、27日(木)午後6時30分から仙台国際ホテルで開催されました。渥美フェロー2名の司会で進められ、優秀賞の授賞式が行われました。優秀論文賞の受賞者20名は渥美理事長から、優秀発表賞48名は大西学長から表彰されました。

最後に第9回アジア未来会議の開催場所が発表され、ホストであるインドネシア・ジョグジャカルタ市のガジャマダ大学社会政治学部のワワン・マスウディ学部長による招待のスピーチとビデオによる大学案内があり、参加者も交えてインドネシアのダンスを踊って盛り上がりました。

 

28日(金)、参加者はそれぞれ、福島、石巻、陸前高田への被災地復興スタディツアー、松島観光ツアー、そして仙台街歩きツアーに参加しました。ツアーは学生ボランティアが企画から当日のアテンド・ガイドまでお手伝いしました。

 

第8回アジア未来会議「空間と距離」は、(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)主催、東北学院大学国際学部の共催、仙台観光国際協会と高橋産業経済研究財団からの助成、たくさんの仙台の企業からのご協賛をいただきました。本年は東北学院大学の国際学部設立4年目にあたり、第1期生が卒業前に体験できる国際イベントとして、60名を越える国際学部生ボランティアがお手伝いをしてくださいました。また、鹿島建設東北支店の皆さんには地元企業への募金とゲストサポートをしていただきました。

 

主催・協力・賛助者リスト

 

運営にあたっては、渥美フェローを中心に実行委員会、学術委員会が組織され、フォーラムの企画からホームページの維持管理、優秀賞の選考、撮影まであらゆる業務を担当しました。また、東北学院大学国際学部AFC8実行委員会は、HIS訪日旅行営業本部東北・新潟チームと一緒にさまざまに工夫しながら仙台らしいイベントを展開してくださいました。

 

約400名の参加者の皆さん、開催のためにご支援くださった皆さん、さまざまな面でボランティアとしてご協力くださった多くの皆さんのおかげで、第8回アジア未来会議を和やかかつ賑やかに、成功裡に実施することができましたことを、心より感謝申し上げます。

 

アジア未来会議はグローバル化に伴う様々な問題を科学技術の開発や経営分析だけでなく、環境、政治、教育、芸術、文化など、社会のあらゆる次元において多面的に検討する場を提供することを目指しています。SGRA会員だけでなく、日本に留学し現在世界各地の大学等で教鞭をとっている研究者、その学生、そして日本に興味のある若手・中堅の研究者が一堂に集まり、知識・情報・意見・文化等の交流・発表の場を提供するために、趣旨に賛同してくださる諸機関のご支援とご協力を得て開催するものです。

 

第9回アジア未来会議「社会変革:誰もが安心して暮らせる持続可能な世界をめざして」は、2028年8月24日(木)から28日(月)まで、インドネシアのジョグジャカルタ市で、ガジャマダ大学社会政治学部と共催で開催します。皆様のご支援、ご協力、そして何よりもご参加をお待ちしています。

 

第8回アジア未来会議の写真(ハイライト)

 

第8回アジア未来会議のフィードバック集計

 

第8回アジア未来会議報告(写真入り)

 

The 8th Asia Future Conference Report (English) with photos

 

第9回アジア未来会議(インドネシア、ジョグジャカルタ市)案内

 

(文責:SGRA代表・アジア未来会議実行委員長 今西淳子)