SGRAイベントの報告

第5回SGRAチャイナ・フォーラムin北京「中国の環境問題と日中民間協力:北京の水問題を中心に」報告

2010年9月15日、第5回SGRAチャイナ・フォーラムin北京が、北京外国語大学日本学研究センター3階多功能ホールで開催された。今回のテーマは「中国の環境問題と日中民間協力:北京の水問題を中心に」で、SGRA、北京外国語大学日本語学科、NPO法人緑の地球ネットワーク、日本国際交流基金北京日本文化センターの関係者が出席し、大学生および社会人が70名近く参加した。

開会挨拶で、北京外国語大学日本語学科長の于日平教授は、SGRAと日本語学科とのチャイナ・フォーラムの共同開催は日中民間協力の一環で、学生の環境問題への関心を高めるよいチャンスだとアピールし、日本語学科の歴史について紹介した。

次に、緑の地球ネットワークの高見邦雄事務局長が「大同からみる北京の後ろ姿」をテーマに、植林現場で取った写真を示しながら、基調講演を行った。国交正常化前年の1971年にご自身の訪中の歴史をスタートした高見氏は、1992年から山西省の大同を拠点に活動を展開し、合計3200名あまりの日本人ボランティアを現地に送り込み、大同の環境保全に尽力する一方、多くの日本人にも水の大切さを身をもって体感させた。さらに、北京の水源地の一つである大同で、首都の用水を保障するために水の使用が厳しく制限されていることを明らかにし、フロアを震撼させた。講演後、司会者を務めた筆者がSGRA研究員として感謝の意を表し、日本語学科を代表して学生着用の夏の制服を記念に贈呈した。

今までと異なり、今回のフォーラムではパネルディスカッションを設け、中国人民大学外国語学院の張昌玉助教授と苗東連合企画デザインコンサルティング会社の汪敏高級エンジニアをパネリストとして招いた。汪氏は「水:北京の発展を左右する鍵」をテーマに、北京の水環境の歴史と現状を紹介し、水こそ北京近代化のボトルネットだと主張し、北京の水環境の改善を提言した。一方、張先生は食事などの身近なことに着目し、肉の消費はとりもなおさず牛や豚が消耗した植物と水の消費でもあると力説し、人間が直接に植物を摂取する、いわゆるベジタリアニズムを訴えた。

質疑応答は、SGRA会員で北京語言大学の朴貞姫教授が進行役を担当し、高見氏も加わり、3名のパネリストはフロアの方々と熱烈な討論を行った。最後にSGRA今西淳子代表が閉会挨拶をし、SGRAチャイナ・フォーラムの趣旨を伝え、今後日中間の更なる民間協力を呼びかけ、来年北京での再会を約束した。

閉会後、関係者一行は口先だけでなく早速行動に移り、ベジタリアンの張先生の引率で精進料理を堪能した。草を食わない(大豆でできた)牛肉ステーキと水の中で成長するが泳げない(海草でできた)魚料理を楽しんだ。

*石井慶子さんが撮影した北京フォーラムの写真をご覧ください。

*第5回SGRAチャイナ・フォーラム(フフホト、北京)報告の中国語版は、SGRA in Chineseサイトよりご覧ください。

中国国際放送局日本語部のホームページでも紹介されました。

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<宋 剛 (そーごー)☆ Song Gang>
中国北京聯合大学日本語科を卒業後、2002年に日本へ留学、桜美林大学環太平洋地域文化専攻修士、現在桜美林大学環太平洋地域文化専攻博士課程在学中。中国瀋陽師範大学日本研究所客員研究員。北京外国語大学日本語学部専任講師。SGRA会員。
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2010年11月3日配信