SGRAイベントの報告

第7回日韓アジア未来フォーラム「東アジア協力の過去、現在、未来: 日韓アジア未来フォーラムのあり方を念頭に置きながら」報告

2008年2月23日(土)、季節を忘れて、グアムのシェラトンホテルで「東アジア協力の過去、現在、未来: 日韓アジア未来フォーラムのあり方を念頭に置きながら」をテーマに第7回日韓アジア未来フォーラムが開催された。7年目を迎え、一種のsabbatical leaveという性格もあわせもった今回のフォーラムでは、日韓両国で3回ずつ行われたこれまでのフォーラムの成果と意義、問題点などについて振り返りながら、東アジア協力の過去、現在、未来について議論を行った。また、これからのフォーラムの進め方についても自由に意見を交わした。

 

グアムという場所の制約やテーマの性格などを考え、今回のフォーラムは非公開で行われた。米国領のグアムを訪れる観光客の7割以上が日本人であるが、近年は韓国人が増えているという。また、地理的には東南アジアに近く、日韓アジア未来フォーラムを開催するのにぴったりであった。

 

フォーラムでは、韓国未来人力研究院の李鎮奎(イ・ジンギュ)院長と今西淳子(いまにし・じゅんこ)SGRA代表による開会の挨拶に続き、4人の研究者による研究報告が行われた。まずSGRA研究員であり北陸大学の 李鋼哲(り・こうてつ)氏の研究発表は「北東アジア経済協力の展望 」をより具体的に明らかにするものであった。SGRA研究員のマックス・マキト氏は、「東アジア地域協力におけるアセアンの役割」について力説した。東京大学の木宮正史(きみや・ただし)氏は「東アジアの安全保障と共同体論」について、そして最後の発表者として延世大学の韓準(ハン・ジュン)氏は「東アジア協力におけるソフトパワーの役割」について発表を行った。

 

3時間に及ぶ報告と討論の後の第2セッションでは、嶋津忠廣(しまづ・ただひろ)SGRA運営委員長により、これまでの日韓アジア未来フォーラムの成果について報告が行われた。10ページほどの写真付の資料をもとに、これまでの楽しく有意義な研究交流活動を振り返る良いきっかけとなった。

 

嶋津氏の報告を土台に、これからのフォーラムのテーマや進め方などについて様々な提案があり、議論が交わされた。とくに注目すべきは、SGRAと未来人力研究院が異なるアプローチを互いに尊重しつつ、それぞれの強みを生かしながら、これまでのパターンを守り続けていくことで一致しているのが確認できたことである。また、「東アジア協力」と「ソフトパワー」というキー概念を念頭に置きながら、これからのテーマを決めていくことにも合意が得られ、次のテーマは、東アジア協力の大きなファクターとなる中国に対する見方の日韓の違いに注目し、今後具体的に検討していくことにした。

 

フォーラム終了後の夕食会は、市内の韓国料理店で、野菜もない牛肉だけの焼肉に焼酎バクダンを一気飲みするというややタフな食事会であった。前回の葉山フォーラムと同じく、まもなく「狂乱」の飲み会に変わってしまった。週末ということもあって店の人は呼んでも来ないし、お酒とお肉以外には殆ど品切れ状態だったのでそれが最善だったようにも思われる。2次会は音楽の賑やかなホテル内のバー、そして3次会はフィリピン海を見おろすプールサイドであった。

 

24日(日)は、自信満々の韓国系グアム人のガイドさんの案内で3時間ほど市内ツアーを楽しむこともできた。とくにツー・ラバーズ・ポイントは、「2回目のハネムーン」中の宋復理事長ご夫妻に思い出の場所となったに違いない。渥美財団主催の夕食会では主催側のご配慮でバーベキューにちょっと贅沢な日本酒を楽しんだが、前日の食事会に比べたらほんとうに穏健だった。この夕食会で「『次の7年目(=第14回日韓アジア未来フォーラム)』にはハワイでまた『3回目のハネムーン』を!」というすばらしいご提案があった。
次の第8回日韓アジア未来フォーラムは、2009年2月に東京で公開で開催する予定です。

 

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<金 雄熙(キム・ウンヒ)☆ Kim Woonghee>
ソウル大学外交学科卒業。筑波大学大学院国際政治経済学研究科より修士・博士。論文は「同意調達の浸透性ネットワークとしての政府諮問機関に関する研究」。韓国電子通信研究院を経て、現在、仁荷大学国際通商学部副教授。未来人力研究院とSGRA双方の研究員として日韓アジア未来フォーラムを推進している。
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