国史たちの対話

国史メールマガジン(バックナンバー・登録)

このメールマガジンは、SGRAが主催する「日本・中国・韓国における国史たちの対話」円卓会議の関係者によるエッセイを、毎月1回、日本語・中国語・韓国語の3言語で同時に配信します。どなたにも無料で購読していただけます。
  • 2026.03.25

    解放後における韓国人知識人層の脱植民地議論と歴史叙事構成の変化

    韓国が日本の植民地支配から解放された後の混乱と変動の時代、歴史教育はどのように展開したのでしょうか。特に歴史科目の構成がどう変化してきたのか、「韓国の歴史教育」について一緒に考えてみましょう!   この動画は、2023年8月に開催された「第8回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」フォーラムの金泰雄教授の発表「解放後における韓国人知識人層の脱植民地議論と歴史叙事構成の変化」をまとめたものです。このフォーラムのレポートは日本語、韓国語、中国語で発行されていますので、興味のある方は各言語のレポートをSGRAのウェブサイトからご覧ください。 レポート第106号「第8回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」 ◆ 台本・動画編集:ノ ジュウン ◆ ナレーション:楠田 悠貴、AI音声 ©️Copyright:関口グローバル研究会、2026。  
  • 2026.03.18

    戦後日本のメディア文化と「戦争の語り」の変容

    戦後日本のメディアにおいて「戦争」がどのように語られ、どのように変化していったかを、「メディア文化」との関係から考えてみます。   この動画は、2023年5月に開催された「第8回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性―20世紀の戦争・植民地支配と和解はどのように語られてきたのか─教育・メディア・研究」の福間良明先生の発表「戦後日本のメディア文化と『戦争の語り』の変容」を中心にまとめたものです。このフォーラムのレポートは日本語と韓国語、中国語で発行されていますので、興味のある方は各言語のレポートをSGRAのウェブサイトからご覧ください。 レポート第106号「第8回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」 ◆ 台本:尹 在彦 ◆ 動画構想:尹 在彦 ◆ 動画編集:ジ ソヨン ※本動画は、AI音声を使用して制作しています。 ©️Copyright:関口グローバル研究会、2026。  
  • 2026.01.07

    「わたし」の歴史、「わたしたち」の歴史―色川大吉の「自分史」論をてがかりに

    歴史学者が書く「歴史」ではなく 専門家ではない個人が書く「歴史」について考えてみましょう!   この動画は、2023年8月に開催された「第8回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」フォーラムの安岡健一教授の発表「「わたし」の歴史、「わたしたち」の歴史―色川大吉の「自分史」論をてがかりに」をまとめたものです。このフォーラムのレポートは日本語、韓国語、中国語で発行されていますので、興味のある方は各言語のレポートをSGRAのウェブサイトからご覧ください。 レポート第106号「第8回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」 ◆ 台本:孫 軍悦 ◆ 動画構想:孫 軍悦 ◆ 動画編集:今西 勇人 ◆ ナレーション:佐藤 祐菜、楠田 悠貴 ©️Copyright:関口グローバル研究会, 2025.   [caption id="" align="alignnone" width="200"] ◇ 中国語版動画[/caption] [caption id="" align="alignnone" width="200"] ◇ 韓国語版動画[/caption]
  • 2025.07.24

    第8回日韓青少年大学生歴史対話へのお誘い

    SGRA「日本中国韓国における国史たちの対話の可能性」プロジェクトの一環として、日本と韓国の高校生と大学生の交流プロジェクトを共催します。参加ご希望の方は事前にSGRA事務局までメールでご連絡ください。   ◆第8回日韓青少年大学生歴史対話 日時:2025年8月8日(金)10:00~12:20 会場:福岡大学図書館多目的ホール 共催:日韓青少年大学生歴史対話実行委員会、関口グローバル研究会(SGRA) 言語:日本語・韓国語(同時通訳) 参加:無料|参加ご希望の方は事前にSGRA事務局までメールでご連絡ください。 お問い合わせ・参加申込:SGRA事務局( [email protected] ) ※会場参加の方で同時通訳を利用する方は、Zoomを利用するためインターネットに接続できる端末とイヤホンをご持参ください。   10:00 開会 10:10 趣旨説明 ・柿沼亮介(早稲田大学高等学院教諭) ・鄭淳一(高麗大学歴史教育科教授) 10:20 日韓の学生による発表「これまでの歴史対話プログラムを振り返って」 ・コメント、質疑応答 10:50 休憩 11:00 歴史対話の経験を聴く、経験から学ぶ ・三谷博(東京大学名誉教授) ・劉傑(早稲田大学社会科学総合学術院教授) 11:40 質疑応答:青少年大学生と歴史学者との対話 12:00 日韓の青少年・大学生に伝えたい一言(参加教員からの提言) ・金キョンテ(全南大学歴史教育科副教授) ・柳忠熙(福岡大学人文学部准教授) ・坂村圭(東京科学大学都市・環境学コース准教授) 12:20 閉会   ※午後はSGRAラーニングの動画「歴史の大衆化と東アジアの歴史学」を視聴した後、参加型のセッション(グループディスカッション)を予定しています。参加ご希望の方は合わせてご連絡ください。    
  • 2025.06.18

    レポート第109号「第9回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 東アジアの「国史」と東南アジア」

      SGRAレポート第109日本語版 中国語版  韓国語版      第74回SGRAフォーラム講演録 第9回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性  「東アジアの「国史」と東南アジア」 2025年6月20日発行   <フォーラムの趣旨> 「国史たちの対話」企画は、日中韓「国史」研究者の交流を深めることによって、知のプラットフォームを構築し、3カ国間に存在する歴史認識問題の克服に知恵を提供することを目的に対話を重ねてきた。第1回で日中韓各国の国史研究と歴史教育の状況を確認することからスタートし、その後13 世紀から時代を下りながらテーマを設け、対話を深めてきた。新型コロナ下でもオンラインでの対話を実施し、その特性を考慮して、歴史学を取り巻くタイムリーなテーマを取り上げてきた。   2023 年は対面型での再開が可能となったことを受け、「国史たちの対話」企画当時から構想されていた、20 世紀の戦争と植民地支配をめぐる国民の歴史認識をテーマに掲げた。多様な切り口から豊かな対話がなされ、「国史たちの対話」企画の目標の一つが達成された。今後はこれまでの対話で培った日中韓の国史研究者のネットワークをいかに発展させていくか、またそのためにどのような方針で対話を継続していくかが課題となるだろう。   こうした新たな段階を迎えて、第9回となる今回は、開催地にちなみ、「東南アジア」と各国の国史の関係をテーマとして掲げた。日本・中国・韓国における国史研究は、過去から現在に至るまで、なぜ、どのように、東南アジアに注目してきたのだろうか。過去の様々な段階で、様々な政治、経済、文化における交流や「進出」があった。それらは政府間の関係であったり、それにとどまらない人やモノの移動であったりもした。こうした諸関係や、それらへの関心のあり方は、各国ではかなり事情が異なってきた。こうした直接・間接の関係の解明に加え、比較的条件の近い事例として、自国の歩みとの比較も行われてきた。そもそも「東南アジア」という枠組み自体も、国民国家や「東アジア」といった枠組みと同様、世界の激動のなかで生み出されたものであり、歴史学の考察対象となってきた。   本シンポジウムでは、各国の気鋭の論者により、過去の研究動向と最先端の成果が紹介された。これらの研究は、どのような社会的・歴史的な背景のもとで進められてきたのか。こうした手法・視座を用いることで、自国史にいかなる影響があり、また今後はどのような展望が描かれるのか。議論と対話を通じて3カ国の国史の対話を、より多元的な文脈のうちに位置づけ、さらに開いたものとし、発展の方向性をも考える機会としたい。   <もくじ> 第1セッション [司会:劉 傑(早稲田大学)] 【はじめに】 劉 傑(早稲田大学)   【開会挨拶】 三谷 博(東京大学名誉教授)   【基調講演】 ポストコロニアル時代における「ナショナリズム」衝突の原因 —毛沢東時代とポスト毛沢東時代における中国の対日政策の変化を手掛かりに 楊 奎松(北京大学・華東師範大学) 質疑応答  発言(発言順): 平山 昇(神奈川大学) 楊 奎松(北京大学・華東師範大学) タンシンマンコン・パッタジット(東京大学)   第2セッション [司会:南 基正(ソウル大学)] 【発表1(タイ)】 「竹の外交論」における大国関係と小国意識  タンシンマンコン・パッタジット(東京大学)   【発表2(日本)】 日本近代史と東南アジア ―1930 年代の評価をめぐって―  吉田ますみ(三井文庫)   【発表3(韓国)】 韓国における東南アジア史研究 ―回顧と展望―  尹 大栄(ソウル大学)   【発表4(中国)】 華僑問題と外交 —1959 年のインドネシア華人排斥に対する中国政府の対応—  高 艷傑(厦門大学)   第3セッション [司会:彭 浩(大阪公立大学)] 指定討論  指定討論者: 【中国】鄭 成(兵庫県立大学)、鄭 潔西(温州大学) 【韓国】鄭 栽賢(木浦大学)、韓 成敏(高麗大学) 【日本】佐藤雄基(立教大学)、平山 昇(神奈川大学)   第4セッション [司会:鄭 淳一(高麗大学)] 自由討論  討論者(発言順): 楊 奎松(北京大学・華東師範大学)、タンシンマンコン・パッタジット(東京大学)、 吉田ますみ(三井文庫)、尹 大栄(ソウル大学)、高 艷傑(厦門大学)、 三谷 博(東京大学名誉教授)、塩出浩之(京都大学)、平山 昇(神奈川大学)、 宋 志勇(南開大学)、鄭 栽賢(木浦大学)、韓 成敏(高麗大学)   討論まとめ: 劉 傑(早稲田大学)   【閉会挨拶】 宋 志勇(南開大学)   著者略歴  あとがきにかえて 金キョンテ(全南大学) 参加者リスト 
  • 2025.05.25

    日本の歴史教育は戦争と植民地支配をどう伝えてきたか

    「日本の歴史教育」について考えてみましょう。 歴史教育の中で、日本の戦争と植民地支配はどのように伝えられているのでしょうか?   この動画は、2023年8月に開催された「第8回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」フォーラムの塩出浩之教授の発表「日本の歴史教育は戦争と植民地支配をどう伝えてきたか―教科書と教育現場から考える」をまとめたものです。このフォーラムのレポートは日本語、韓国語、中国語で発行されていますので、興味のある方は各言語のレポートをSGRAのウェブサイトからご覧ください。 レポート第106号「第8回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」 ◆ 台本:ノ ジュウン ◆ 動画編集:ノ ジュウン ◆ ナレーション:黒滝 香菜、楠田 悠貴 ©️Copyright:関口グローバル研究会, 2025.   [caption id="" align="alignnone" width="200"] ◇ 中国語版動画[/caption] [caption id="" align="alignnone" width="200"] ◇ 韓国語版動画[/caption]
  • 2025.05.13

    アジアの発明―19世紀におけるリージョンの生成

    東アジアの歴史に足を踏み入れ、「アジア」という概念がどのように生まれ、どのように展開したのか見てみましょう。 アジアの国々は人種も言語も宗教も多様ですが、そこに共通することは何なのでしょうか? それは19世紀のアジアとどう違うのでしょうか?   この動画は、2020年1月にフィリピンで開催された「第4回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」フォーラムにおける三谷博先生(東京大学名誉教授)の講演「アジアの発明」をまとめたものです。このフォーラムのレポートは日本語、韓国語、中国語で発行されていますので、興味のある方は各言語のレポートをSGRAのウェブサイトからご覧ください。 レポート第90号「第4回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」 ◆ 台本:陳 璐、今西 淳子 ◆ 動画編集:今西 勇人 ◆ ナレーション:梓来 有未、今西 勇人 ©️Copyright:関口グローバル研究会, 2025.   [caption id="" align="alignnone" width="200"] ◇ 中国語版動画[/caption] [caption id="" align="alignnone" width="200"] ◇ 韓国語版動画[/caption]
  • 2025.04.22

    「歴史大衆化」と東アジアの歴史学

    「『歴史の大衆化』と東アジアの歴史学」について考えてみましょう。 皆さんは、歴史学とは何だと思いますか? 歴史学者は何をする人でしょうか?   この動画は、2022年8月に開催された「第7回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」フォーラムの一部をまとめたものです。このフォーラムのレポートは日本語、韓国語、中国語で発行されていますので、興味のある方は各言語のレポートをSGRAのウェブサイトからご覧ください。 レポート第101号「第7回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」 ◆ 台本:ノ ジュウン ◆ 動画編集:ノ ジュウン ◆ ナレーション:三宅 綾、楠田 悠貴 ©️Copyright:関口グローバル研究会, 2025.   [caption id="" align="alignnone" width="200"] ◇ 中国語版動画[/caption] [caption id="" align="alignnone" width="200"] ◇ 韓国語版動画[/caption]
  • 2024.10.31

    第7回アジア未来会議円卓会議/第9回国史たちの対話報告:金キョンテ「東アジアの『国史』と東南アジア」

    第74回SGRAフォーラムとなる第9回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性「東アジアの『国史』と東南アジア」円卓会議が2024年8月10日~11日にチュラーロンコーン大学(バンコク)で開催された。2020年1月のフィリピンでの「国史たちの対話」以後、新型コロナウイルスの影響でしばらくはオンラインで行われたが、昨年(2023年)8月、第8回の早稲田会議が久しぶりに対面とオンラインとのハイブリッドで開催され、今回も続けることになった。   会議の前日に参加者が集まり、夕食をしながら「対話」が始まった。参加者の中には、5年ぶりに会って話を交わす人もいれば初対面の人もいたが、全員が似たような悩みや問題意識を持つ研究者として和気あいあいと話し合い、翌日から始まる「対話」に期待が高まった。また、元国連事務次長の明石康先生の歓迎挨拶は、自国の歴史と各国の国史との対話を考える研究者たちに大きな勇気を与えた。   8月10日、夏空のもとで会議が始まった。今回の「国史たちの対話」は5つのセッションで構成された。初日は基調講演と発表の2つのセッションがあり、翌日はその内容を基にした第3セッションの指定討論、そして第4セッションの自由討論、最後にこれからの「国史たちの対話」を考える第5セッションという構成で進められた。第1セッションは、劉傑先生(早稲田大学)が司会を務めた。まず、今回の「国史たちの対話」の趣旨について説明があった。続いて、劉先生は「国史たちの対話」が始まった時とは国際情勢が大きく変化した現在、新しい場所とテーマで対話を行なっているということは意義深いと述べながら、これを機に今後の対話も模索していこうと述べた。   その後、三谷博先生(東京大学名誉教授)の開会挨拶があった。三谷先生は、東北アジア3国の関係に影響を与えた現代史の軌跡を互いに理解し共有すれば、歴史対話は確実に安定していくだろうと強調。そして、日中韓の3カ国における東南アジアに関する研究の相違点について歴史学者として疑問を抱いていたが、今回の対話を通してそれを解き明かしながら、この新たな地域で生まれた合意または対立に注目して、私たちの絆をどのように深めていくかを考えてみようと提案した。   楊奎松先生(北京大学・華東師範大学)の基調講演は、「ポストコロニアル時代における『ナショナリズム』衝突の原因―毛沢東時代の領土紛争に関する戦略の変化を手掛かりに」であった。要するに、毛沢東をはじめとする「カリスマ的」な指導者は、自らの裁量で外交関係の葛藤を封じ込める(あるいは無効化する)政治力を発揮したが、彼らとは異なる傾向のその後の指導者たちはそのような方法を使わず(あるいは使えず)、時にはポピュリズムを利用することもあったが、むしろ逆に影響を受ける主客転倒の状況も現れたという。その現状は毛沢東をはじめとする指導者たちが行なった「政策の影」でもあると評価した。最後に、互いの歴史を共感し理解するために歴史研究者が持つべき姿勢について提言した。つまり、どのような民族的、国家的な「歴史認識」であっても限界性を持っていることを認め、人類社会の歴史の中で民族と国家の歴史を位置づけなければならないということであった。   次いで日中韓及びタイ出身の研究者の発表セッションが南基正先生(ソウル大学)の司会で行われた。タンシンマンコン・パッタジット先生(東京大学)の「『竹の外交論』における大国関係と小国意識」は、外交に長けた国として知られ、それを自負する国であるタイの外交の歴史的事実を再検証し、その裏側に隠された「小国意識」が持つ問題点を鋭く指摘した。私にとって「小国意識」は、「小国(観)」、「小中華意識」などの韓国史で使われる用語と似ていて親しみを感じたが、それとは異なる文脈で使われる用語だったのでとても興味深かった。タイの過去と現在を理解するのに役立つ一方で、韓国人が持つ「平和を愛する白衣の民族」という観念との共通点も思い浮かんだ。   続いて、日中韓三カ国の研究者の発表が行われた。吉田ますみ先生(三井文庫)の「日本近代史と東南アジア―1930年代の評価をめぐって」は、戦後の日本近代史研究において日本と東南アジアとの関係がどのように語られてきたかについて、当時の時代背景と学界の潮流を紹介した。   尹大栄先生(ソウル大学)の「韓国における東南アジア史研究」は、朝鮮半島と東南アジアの関係を、慧超(新羅時代)の古代から高麗、朝鮮を経て近代韓国に至るまで歴史の流れに沿って考察した。最後に、韓国の東南アジア史研究の「多少残念な現状」について指摘した。   高艷傑先生(厦門大学)の「華僑問題と外交―1959年のインドネシア華人排斥に対する中国政府の対応」は、1959年から1961年の間にインドネシアで起きた中国系住民に対する排斥とそれに対する中国の外交政策を論じたが、高先生は、中国は強硬な姿勢で対応しながらも、両国の友好関係発展への必要性に応えたと評価した。   今回の「国史たちの対話」では、中国学界の権威者の基調講演とタイ出身の研究者の発表が含まれていたが、これは新しい試みだ。国史学界の権威者から中国の歴史認識や叙述の特徴について聞ける機会であり、私たちにはなじみのないタイの自国史認識についても学べる機会でもあった。   初日の2つのセッションが終わると、屋外に設けられたランチ会場で美味しいタイ料理の昼食を楽しんだ。その後のアジア未来会議の開会式後のウェルカムパーティーでは、前日に引き続き和気あいあいとした会話が交わされた。日程が終わっても自分の家に帰れないということは、ある意味で遠地で行われるイベントの「長所」である。午前の基調講演と発表を聞いた指定討論者たちは、自分の考えをまとめた討論文を夜までに同時通訳者たちに渡したため、翌日の討論セッションのスムーズな進行に役立った。   8月11日、第3セッションは彭浩先生(大阪公立大学)の司会による指定討論であった。韓国からは鄭栽賢先生(木浦大学)と韓成敏先生(高麗大学)が、日本からは佐藤雄基先生(立教大学)と平山昇先生(神奈川大学)が、中国からは鄭潔西先生(温州大学)と鄭成先生(兵庫県立大学)が登壇した。 6人は、それぞれの専門分野に基づき、深い悩みが込められた率直で鋭い質問をした。   第4セッションは鄭淳一先生(高麗大学)の司会による自由討論。まず、指定討論者の質問に対する基調講演者と発表者の簡単な回答から始まり、自由討論の時間を持った。問題意識が質問になり、質問が発展して共感を得る新たな問題意識につながった。質問と回答が頻繁に交錯しながらも対話が自然に進んだのは、長年一緒にやってきた通訳者の方々のおかげであった。長い間一緒に議論を重ねてきた参加者、そして問題意識を共有する新しい参加者が集まったことで、効率的な議論ができた。   皆の熱い議論を踏まえて、劉傑先生が論点を整理してくれた。要約すると、今回のテーマを選定するにあたって新たな発見があったということである。今回のキーワードとして「大国」、「小国」が注目され、時期は戦前から戦後へと自然に移った。戦後の歴史に入ると問題設定が変わってくる。戦前・戦後を連続して語るためには何を問題に設定するかを考えなければならないし、それぞれの異なる空間でどのように「国境を越えよう」としているのか、国境を越えた歴史対話は私たちの仕事であるが、各国の歴史家がそれぞれの国の中で直面している国境の問題も一緒に考えなければならない。そして、歴史認識の問題は自国の問題でもあることを念頭に置かなければならないという話であった。   第5セッションはメインテーマから少し離れて、塩出浩之先生(京都大学)の司会でこれからの「国史たちの対話」の方向性について議論する時間を持った。中国の彭浩先生、韓国の鄭淳一先生、日本の村和明先生(東京大学)が順番に意見を述べた。共通したのは困難があっても継続すべきだというものであった。   「引きこもり型」の国史研究者を一人でも多く連れ出そうとの三谷先生の趣旨を今後とも考えていく必要があるという平山先生の意見と、これまでの形式を変えて、研究者同士が一緒に踏査してそこで互いの距離をさらに縮められるような「スモールトークの場」を作ろうという韓成敏先生の意見も、耳を傾けるべきコメントであった。   最後に宋志勇先生(南開大学)の閉会挨拶で締めくくりを迎えた。第一に、会議の準備と進行は非常に成功したと述べた。渥美国際交流財団の今西淳子常務理事、三谷博先生、劉傑先生、チュラーロンコーン大学に感謝し、同時通訳者とスタッフにも感謝を伝えた。第二に、学術的な成果が豊富であり、そして最後には今後の国史研究の方向性について賢明で建設的な意見を聞いたということである。まとめると、国史研究の深化に示唆があり、会議が終わっても財団と参加者は頭を寄せ合って明るい未来を設計することを確信しているとの話があった。   最後の最後に、「国史たちの対話」の成果を拡散するための新たな取り組みの一つである教材化プロジェクトの現状を報告する場があった。新しいメディアを活用した作業は大きな期待を持たせるものであった。   「国史たちの対話」はコロナ下のオンライン会議を経て9回目を迎えた。個人的には、場所とテーマを大幅に変えた新しい試みを行なった今回の「対話」は特に記憶に残る点が多かった。まず、韓国における東南アジアの研究が非常に不足していることを痛感した。日本や中国に比べ研究者が少ないのは仕方がないかもしれないが、研究テーマが多様でない点については学界レベルでの検討が必要だろう。多様な研究や試みを受け入れる雰囲気が国史の内部から醸成されれば、各国の間の対話もより円滑に行われるのではないか。一人の国史研究者としてそんな思いを抱くようになった。   これまでの「国史たちの対話」でも感じたことであるが、研究者の幅が広がった今回の「対話」でも、多くの研究者が私と同じような悩み(政治と学問、社会が求める学問と自分の研究の間での悩み)を抱えていると実感して、勇気を得ることができた。   一方、華人や華僑排斥事件は東南アジアに限ったことではなく、(華僑社会が東南アジアに非常に大きく形成されているのは事実だが)中国人が多数進出している地域では彼らに対する排斥事件が起きていたことを忘れてはならない。植民地朝鮮でも中国人排斥事件があったし、中国では朝鮮人排斥事件が起こった。このように、各国で移民者コミュニティに対する排斥事件がなぜ発生するのかについて一緒に関心を持ってみるのも意味があると思った。   二日目の夜、「国史たちの対話」の参加者のほとんどが課題を終えた後のほっとした気持ちで、美しい屋外レストランで自由に会話を楽しんだ。学術的な会話だけでなく、顔を合わせて肩の荷物を少し下ろし、互いの本音を交換する私的な会話も重要であることを知った場であった。 (原文は韓国語、翻訳:ノジュウン)   当日の写真   アンケート集計結果    <金キョンテ(キム・キョンテ)KIM_Kyongtae> 韓国浦項市生まれ。韓国史専攻。高麗大学韓国史学科博士課程在籍中に 2010 年~2011 年、東京大学大学院日本文化研究専攻(日本史学)外国人研究生。2014 年高麗大学韓国史学科で博士号取得。韓国学中央研究院研究員、高麗大学人文力量強化事業団研究教授を経て、全南大学校歴史敎育科副教授。戦争の破壊的な本性と戦争が荒らした土地にも必ず生まれ育つ平和の歴史に関心を持っている。主な著作:「壬辰戦争期講和交渉研究(博士論文)」、『虚勢と妥協―壬辰倭乱をめぐる三国の協商』(東北亜歴史財団、2019)。     2025年10月31日配信
  • 2024.06.05

    第 74 回 SGRA フォーラム 第 9回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性 「東アジアの『国史』と東南アジア」へのお誘い

    下記の通り第9回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性を開催いたします。参加ご希望の方は、必ず事前に参加登録をお願いします。オンラインで参加の場合は、一般聴講者はカメラもマイクもオフのウェビナー形式で開催しますので、お気軽にご参加ください。     テーマ:「東アジアの『国史』と東南アジア」 日 時:2024年 8 月 10 日(土)9:00~12:30(タイ時間)11:00~14:30(日本時間)            8 月 11日(日)9:00~15:30(タイ時間)11:00~17:30(日本時間) 会 場: チュラーロンコーン大学(タイ国バンコク市)及びオンライン(Zoomウェビナー) 言 語:日中韓3言語同時通訳付き     主催: 日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性実行委員会 共催: 渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 助成:東京倶楽部   ※参加申込(クリックして登録してください)(参加費:無料) お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] +81-(0)3-3943-7612)     ■開催趣旨 「国史たちの対話」企画は、日中韓「国史」研究者の交流を深めることによって、知のプラットフォームを構築し、三国間に存在する歴史認識問題の克服に知恵を提供することを目的に対話を重ねてきた。第 1 回で日中韓各国の国史研究と歴史教育の状況を確認することからスタートし、その後  13  世紀から時代を下りながらテーマを設け、対話を深めてきた。新型コロナ下でもオンラインでの対話を実施し、その特性を考慮して、歴史学を取り巻くタイムリーなテーマを取り上げてきた。   昨年は対面型での再開が可能となったことを受け、「国史たちの対話」企画当時から構想されていた、20 世紀の戦争と植民地支配をめぐる国民の歴史認識をテーマに掲げた。多様な切り口から豊かな対話がなされ、「国史たちの対話」企画の目標の一つが達成された。今後はこれまでの対話で培った日中韓の国史研究者のネットワークをいかに発展させていくか、またそのためにどのような方針で対話を継続していくかが課題となるだろう。   こうした新たな段階を迎えて、第 9 回となる今回は、開催地にちなみ、「東南アジア」と各国の国史の関係をテーマとして掲げた。日本・中国・韓国における国史研究は、過去から現在に至るまで、なぜ、どのように、東南アジアに注目してきたのだろうか。過去の様々な段階で、様々な政治、経済、文化における交流や「進出」があった。それらは政府間の関係であったり、それにとどまらない人やモノの移動であったりもした。こうした諸関係や、それらへの関心のあり方は、各国ではかなり事情が異なってきた。こうした直接・間接の関係の解明に加え、比較的条件の近い事例として、自国の歩みとの比較も行われてきた。そもそも「東南アジア」という枠組み自体も、国民国家や「東アジア」といった枠組みと同様、世界の激動のなかで生み出されたものであり、歴史学の考察対象となってきた。   本シンポジウムでは、各国の気鋭の論者により、過去の研究動向と最先端の成果が紹介される。これらの研究は、どのような社会的・歴史的な背景のもとで進められてきたのか。こうした手法・視座を用いることで、自国史にいかなる影響があり、また今後はどのような展望が描かれるのか。議論と対話を通じて3カ国の国史の対話を、より多元的な文脈のうちに位置づけ、さらに開いたものとし、発展の方向性をも考える機会としたい。   ■プログラム 8月10日(土)9:00~12:30(タイ時間)、11:00~14:30(日本時間) 【第1セッション(9:00-10:30) 司会:劉傑(早稲田大学)】 開会挨拶:三谷 博(東京大学名誉教授) 基調講演:楊 奎松(北京大学・華東師範大学) ポストコロニアル時代における「ナショナリズム」衝突の原因 ―毛沢東時代の領土紛争に関する戦略の変化を手掛かりに   【第2セッション(11:00-12:30) 司会:南基正(ソウル大学)】 発表: タンシンマンコン・パッタジット(東京大学) 「竹の外交論」における大国関係と小国意識 吉田ますみ(三井文庫) 日本近代史と東南アジア―1930年代の評価をめぐって― 尹 大栄(ソウル大学) 韓国における東南アジア史研究 高 艷傑(厦門大学) 華僑問題と外交:1959年のインドネシア華人排斥に対する中国政府の対応   8月11日(日)9:00~15:30(タイ時間)、11:00~17:30(日本時間) 【第3セッション(9:00-10:30) 司会:彭浩(大阪公立大学)】 指定討論と自由討論 討論者: 【韓国】鄭 栽賢(木浦大学)、韓 成敏(高麗大学) 【日本】佐藤雄基(立教大学)、平山 昇(神奈川大学) 【中国】鄭 潔西(温州大学)、鄭 成(兵庫県立大学)     【第4セッション(11:00-12:30) 司会:鄭淳一(高麗大学)】 自由討論 討論まとめ:劉傑(早稲田大学)   【第5セッション(14:00-15:30) 司会:塩出浩之(京都大学)】 国史対話のこれから 閉会挨拶:宋 志勇   ※同時通訳 日本語⇔中国語:丁 莉(北京大学)、宋 剛(北京外国語大学) 日本語⇔韓国語:李 ヘリ(韓国外国語大学)、安 ヨンヒ(韓国外国語大学) 中国語⇔韓国語:金 丹実(フリーランス)、朴 賢(京都大学)   ※プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。 ・プロジェクト概要   中国語版ウェブサイト 韓国語版ウェブサイト