SGRAチャイナフォーラム
レポート第84号「東アジアからみた中国美術史学」
第11回SGRAチャイナ・フォーラム論文集
「東アジアからみた中国美術史学」
2019年5月17日発行
<フォーラムの趣旨>
作品の持つ芸術性を編述し、それを取り巻く社会や歴史そして作品の「場」やコンテキストを明らかにすることによって作品の価値づけを行う美術史学は、近代的社会制度の中で歴史学と美学、文化財保存・保護に裏打ちされた学問体系として確立した。
とりわけ中国美術史学の成立過程においては、前時代までに形成された古物の造形世界を、日本や欧米にて先立って成立した近代的「美術」観とその歴史叙述を継承しながらいかに近代的学問として体系化するか、そして大学と博物館という近代的制度のなかにいかに再編するかというジレンマに直面した。この歴史的転換と密接に連動しながら形成されたのが、中国美術研究をめぐる中国・日本・アメリカの「美術史家」たちと、それぞれの地域に形成された中国美術コレクションである。
このような中国美術あるいは中国美術史が内包する時代と地域を越えた文化的多様性を検証することによって、大局的な東アジア広域文化史を理解する一助としたい。
<もくじ>
【講演1】塚本麿充(東京大学東洋文化研究所)
「江戸時代の中国絵画コレクション ―近代・中国学への懸け橋―」
【講演2】呉 孟晋(京都国立博物館)
「漢学と中国学のはざまで―長尾雨山と近代日本の中国書画コレクション―」
【総合討論】
司会/進行:王 志松(北京師範大学)
討論:趙 京華(北京第二外国語学院)、王 中忱(清華大学)、劉 暁峰(清華大学)
総括:董 炳月(中国社会科学院文学研究所)