宗教と現代社会

多くの日本人にとって宗教とは何か理解しにくいかもしれません。本研究チームは、現代の日本社会にとって宗教とは何か、宗教はどんな役割を果たしているのか、という課題に取り組んでいます。
  • 2006.11.10

    レポート第34号「日本人と宗教:宗教って何なの?」

    SGRAレポート第34号   第23回フォーラム講演録 「日本人と宗教:宗教って何なの?」 2006年11月10日発行   ---もくじ-----------------   【基調講演】「日本人にとっての『宗教』と『宗教のようなもの』」 島薗 進(しまぞの・すすむ)東京大学教授(宗教学専攻)   【パネリスト自己紹介】「日本と宗教と私」   ○日本と神道 ノルマン・ヘィヴンズ (國學院大學神道文化学部助教授)   ○日本人と仏教 ランジャナ・ムコパディヤーヤ (名古屋市立大学大学院人間文化研究科助教授、SGRA研究員)   ○日本人とキリスト教 ミラ・ゾンターク (富坂キリスト教センター研究主事、SGRA研究員)   ○日本人とイスラーム教 セリム・ユジェル・ギュレチ (イスラム文化センター事務総長)   【パネルディスカッション】「日本人と宗教」  
  • 2002.06.15

    レポート第10号「日本とイスラーム:文明間の対話のために」板垣雄三

    SGRAレポート第10号(PDF) 第6回フォーラム講演録「日本とイスラーム:文明間の対話のために」 S.ギュレチ、板垣雄三  2002.6.15発行 --もくじ----------------- 【ゲスト講演】「日本とイスラーム:文明間の対話のために」板垣雄三(東京大学名誉教授) 【特別報告】「イスラームと日本と東京ジャーミイ」セリム・ギュレチ(東京ジャーミイ副代表、SGRA会員) ------------------------
  • 2001.12.21

    第6回フォーラム「日本とイスラーム:文明間の対話のために」

    2001年12月21日(金)午後5時半から8時まで、東京代々木上原のイスラム教モスク、東京ジャーミイにて、第6回SGRAフォーラム「日本とイスラーム:文明間の対話のために」が開催されました。参加者は、まず、SGRA研究員で東京ジャーミイ副代表のセリム・グランチさんの案内で、礼拝堂を含む施設の見学をしました。その後、1階の多目的ホールにて、東京ジャーミイ代表のジェミル・アヤズ様とSGRAを代表して今西から挨拶があり、次に、セリムさんより、9月11日のテロ事件後、たくさんの報道人がインタビューにやってきたが、イスラムについて極めて限定的な知識しかもっていなかった。そこで「日本人の皆さんが人間を磨くために考えることは、ほぼイスラームの基本的な概念をなしている」と申し上げた、という短いコメントが披露されました。 講演会では、日本のイスラーム学の権威、東京大学名誉教授の板垣雄三先生のお話を伺いました。先生は、まず、日本はイスラームを遠ざけて見ようとし、イスラーム世界は日本に親近感を抱いているが、何故そうなったのかという問題を提起されました。イスラームは、本来、宗教や文化の異なる多様な人々が共生し取引する「都市」を生きる生き方を教えてきた。このイスラームの多元主義的普遍主義に対して、欧米は、欧米対イスラームの対立にこだわり、イスラームを敵と決め付ける文明衝突論の伝統を抱えてきた。イスラーム世界の人々にとっては、欧米諸国に双肩する日本は憧れでもあり親しみも感じている。 一方、欧米のメガネを借りた日本人のイスラーム感は、しばしばこの思いを裏切る。正倉院御物の中にも見出されるように、日本とイスラーム世界との繋がりは非常に古い。また、現在の日本人は、日本の経済的繁栄の土台である化石燃料が、あたかも自動的にもたらされたもののように勘違いしている。日本社会は、イスラーム世界の日本に対する好意的な心情が、日本にとってかけがえのない資産だということに気づかなければならない。 イスラーム文明は、近代欧米文明の源泉である。日本の知識人がイスラームへの無知を口にするのは、実はよく知っていると思っている欧米への無知を告白しているにすぎない。世界人類を巻き込む現在の危機において、日本は欧米を通したイスラーム感から離脱し、日本独自の役割を演じなければならない。「多元的な都市」を生きるイスラーム文明本来のメッセージを評価して、イスラーム世界と文明的協力を進めていかなければならない、と訴えられました。 その後、限られた時間でしたが、板垣先生とセリムさんのおふたりに対して、質疑応答が行われました。そして、トルコ料理の懇親会においても、おふたりの講師の先生は、参加者の熱心な質問に答えていらっしゃいました。雪まじりの雨が降る生憎の天気でしたが、トルコのお茶サーラップに始まったSGRAフォーラムに参加した76名の参加者は、温かくて明るいモスクの中で、イスラームの夕べを楽しみました。 (文責:今西)