SGRAメールマガジン バックナンバー

  • [SGRA_Kawaraban] Li Kotetsu “Is Japan-China Relation Really the Worst?”

    ************************************************************* SGRAかわらばん548号(2014年12月17日) 【1】エッセイ:李 鋼哲「日中関係は本当に最悪なのか」 【2】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その7)」 【3】第6回SGRAカフェへのお誘い(最終案内)   「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(12月20日東京)   ☆当日飛び込み参加も受け付けます☆ ************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#442 ■ 李 鋼哲「日中関係は本当に最悪なのか?」 金沢市内のホテルで、去る12月7日(日)に標記のテーマでシンポジウムが開かれた。 24年前に設立された環日本海国際学術交流協会が主催したものである。2年以上途絶 えた日中首脳会談で日中関係が「最悪」という世論に日本国民が当惑するなか、実態 の日中関係はそこまで悪くないというメッセージを市民に発信する試みであった。10 月に私がこの協会の理事として提案し開催にこぎつけた。経済貿易、環境協力、人的 交流の3つの分野から日中両国間の実情について報告し、活発な議論が交わされた。 幸い、11月10日に安倍晋三首相が北京で開催されたAPEC首脳会議へ参加したことを きっかけに、中国の習近平主席との2年半ぶりの首脳会談が実現し、凍り付いていた 首脳外交が再開された。そのお陰でこのシンポジウムが意図した趣旨と内容が市民に 受け入れやすい雰囲気になったように見受けられた。 それに先立ち、11月7日に筆者はNHK国際放送局の電話インタビューを受けた。今度北 京でのAPEC首脳会議の際に日中首脳会談が実現するか、そして首脳会談ではどのよう な事が議論されるか、という問題に3分間中国語で答えた。実は数日前からNHKの要望 で発言を準備していたのだが、日中首脳会談が実現されるかどうかは予測できない状 況であった。それでも日中両国がおかれている現状や国際情勢を分析し、大胆に発言 することを決めた。インタビュー収録が放送される予定は午後6:00〜6:15時だった が、幸いなことに、その数分前に日中首脳会談が決まったというニュースがラジオで 流れた。ある意味ではラッキーだった。 その発言要旨を簡略に紹介する。 今度、日中首脳会談が実現される可能性は大きいと思います。最近の動静を見ると、 APEC首脳会合を成功裏に開催することにより、中国の存在感を世界にアピールするこ とを目標に、中国政府は積極的な準備を進めているように見受けられます。 中国にとっては、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加できない現状を考え ると、APEC機能強化やアジア太平洋自由貿易構想(FTAAP)を強く訴えることが、こ の地域における米国との駆け引きの重要なポイントだと、私は考えています。しか し、米国と競争するためにも日中関係が硬直したままでは、中国にとって不利になる ことは明らかです。福田元首相が最近訪中した際にも習近平国家主席と会談しました が、そのときに習氏の発言では、アジア地域協力が重要であることを強調しているの です。アジア地域協力において、中国側にとって最も役立つ国は日本にほかなりませ ん。 一方、日中間では歴史認識問題や領土問題がネックであり、打開される見込みは立っ ていませんが、両国の領土問題の議論も山場を超えて、冷静に議論する段階に入りつ つあり、歴史認識問題でも安倍首相が今年8月15日に靖国神社参拝を見送ったこと で、中国などに一歩譲歩したと中国政府は判断しているでしょう。 以上の状況から見ると、中国首脳が日本首脳と会談することで中国国内世論に強く反 対される可能性は低くなりました。最近、中国国務院政策研究室の局長などが20日間 ほど日本全国を視察し、帰国後の報告書「日中両国の発展格差を深刻に認識すべき」 という長編論文を「人民論壇」で発表し、日本は先進的な文明国であり、中国はまだ まだ日本に勉強することがたくさんあると強く訴えました。これも日中政治対話のた めの世論形成の一つだと見受けられます。 以上は、インタビューの概要だが、本題に戻って「日中関係は本当に最悪なのか?」 について、シンポジウムでの報告内容を簡潔に取り上げる。 その前に、日本国民は日中関係についてどのように感じているのかについて紹介しよ う。内閣府が11月23日に発表した「外交に関する世論調査」で、中国に「親しみを感 じない」と回答した人が80.7%(前年比0.1ポイント増)となり、昭和53(1978)年の調 査開始以来、過去最高となったことが分かった。韓国への親近感も低く、日本と両国 との最近の関係冷え込みを反映した結果となった。日中関係について「良好だと思わ ない」は91.0%だった。中国で反日デモが相次いだ昨年の調査(92.8%)に次ぐ過去2 番目の高さだった。 このようなデーターが発表されると、その影響で日本国民の対中国感情はさらに悪化 するのではないかと危惧する。世論が世論を呼び、実態とはかけ離れた対中国観が日 本で蔓延しているのである。また、中国での世論調査結果を見ても日本と似たような 情況にある。 一方で、今年の中国人の日本観光客は過去最高(1-10月で200万人を突破)を記録し ていると報道されている。日本にとって最大の貿易依存度の国は紛れもなく中国であ る。日本企業の対中国投資が今年減少したと言っても、2万3千社の日系企業が中国市 場でビジネスを展開しているし、撤退する企業はわずかである。また、日系企業で働 く中国人従業員は1千万人を超えている。日中関係が「最悪」という状況と、実際の 関係がここまで相互浸透している実態をどのように見るべきか。 私のシンポジウムでの発言趣旨を紹介する。 21世紀に入ったここ十数年間、日中韓関係は摩擦が漸増してきた。これは、戦後の枠 組みを変える大きな転換期に入っていることを示す。戦後長く維持されてきた「特殊 な関係」としての日中関係、日韓関係は、21世紀における脱戦後的な「普通の関係」 に転換しつつある。 日中関係の構造転換の全体的な原因は、小泉政権時の東アジア外交に示されている日 本の政治システムの転換、中国の経済力や軍事力の急成長、日米同盟の強化、日中摩 擦の激化、などである。日中関係をめぐる国際環境が変わり、また日本と中国の位置 づけと立場が変わり(GDPで見た国力の逆転)、両国の摩擦度が「友好協力」の要素 を超えたからである。かつての「友好協力」の背景は、世界第2の先進国になって心 に余裕がある「強い日本」と、改革・開放政策で経済発展が至上命題で、そしてその ために謙虚に日本の先進的な技術と経験に学びたい「弱い中国」であった。 しかし、そのような立場が逆転したのである。「失われた20年」で「自信喪失の日 本」、急速な高度成長で着実に大国に浮上した「驕る中国」という構図になった。一 方では、このような立場の逆転に心の準備ができずに「アジアの盟主」という意識が 抜けない日本、他方では、大国の地位は回復したものの、まだ発展途上国の地位から 脱却できていない「驕り」と「弱者意識」または「被害者意識」が交錯する中国があ る。これが日中両国の葛藤が生じやすい「不可避な歴史的な過渡期」としての現実だ と筆者は考えている。 しかしながら、現代の国家間関係を判断する上で、古典的な外交関係の思考から「新 思考」に頭を切り換えないと我々は思考停止に陥ってしまう。21世紀における経済の グローバル化の深化に伴い、国境の壁が低くなり、国家間の関係および外交は、古典 的な政府中心の「一元的外交」から、現代的な政府、財界、地方自治体、NGO(NPO)な ど民間も含めた「多元的外交」時代に転換しつつある現実をしっかり把握しなければ ならない。 従って、国家間の関係を判断する上で、視点またはパラダイムを転換しなくてはなら ない。つまり、政府間関係、あるいは首脳間関係だけに着目して国家間関係の全体を 判断するのは時代錯誤にほかならない。 日中関係を見る上でも同様であり、首脳間関係、政府間関係、そして経済・文化・人 的な交流関係(企業、自治体、NGO)など総合的な視点が不可欠である。そのような 視点で見た日中交流関係の実体については次の機会に報告する。 --------------------------------- <李 鋼哲(り・こうてつ)Li Kotetsu> 1985年中央民族学院(中国)哲学科卒業。91年来日、立教大学経済学部博士課程修 了。東北アジア地域経済を専門に政策研究に従事し、東京財団、名古屋大学などで研 究、総合研究開発機構(NIRA)主任研究員を経て、現在、北陸大学教授。日中韓3カ 国を舞台に国際的な研究交流活動の架け橋の役割を果たしている。SGRA研究員。著書 に『東アジア共同体に向けて——新しいアジア人意識の確立』(2005日本講演)、そ の他論文やコラム多数。 --------------------------------- 【2】特別寄稿 SGRAエッセイ#442 ■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その7)」 --------------------------------- SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらばん で配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、2014 年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたので、数 回に分けてご紹介しています。 --------------------------------- 3. 多くの大学中の変な雰囲気 3.1 2種類の「無駄論」 次に大学の中身を覗いて見ましょう。近年、中国各地の大学が「研究型大学を建設し よう」という目標を掲げ、「研究を大事に、教育を軽く」という教員評価をするよう になったために、皆「研究、開発、論文」などに全力を尽し、直接的な学生教育を軽 視するのが一般的な現象となっている。教官たちは本業(講義)に興味が薄く、地位 の高い教員ほど教壇に立たない。若い教師たちを代わり教壇に立たせ、教授は、研究 指導の名目で後ろでブラブラしたり、行政的仕事、及びエンドレスな会議で時間を費 やしたりしていることが意外に多いようだ。 政府の教育管理部門は「教育の質量を保つためには、まず数量を保証しよう」という 政策を示したから、人々はこの政策を「大学の本科教育の高校化、修士教育の大学 化、博士教育の修士化」していると冗談の種にしている。学術研究の不正行為や汚 職、講義や監督の担い手の疲労、教授の教育前線からの脱走の黙認、カリキュラム時 間の大幅な短縮等々……大学教育が崩れ去っていると言わざるを得ない状況である。 一方、「勉強は無駄(勉強無用/読書無用)」という愚かな言い方が、最近再び氾濫 し始めたように思う。最近は「知識の単価」が上がり、貧しい人にとって、教育費用 を支払うことがかなり困難になったことと、大学レベルの教育を受けても仕事が見つ からないこと等々の理由から、この「無駄論」が出て来たと思われる。教育の公平性 は、社会の公平の基礎で、教育が公平でなければ社会正義を達成することは出来ない であろう。貧しい家庭の子供たちが貧困のために教育を受けられなくなると、最終的 には、社会は対立的な利益獲得階級と利益臨界階級とに分かれる可能性があると思 う。 他方、大学のキャンパスの中では、近年また「教え無用/教書無用」という思想が流 行ってきている(もう一種の「無駄論」)。その意味は、大学で教育しても(個人に 対して)何の役も立たない、それより研究ファンドを申請して採択されれば偉くな る、或いはSCI論文をたくさん書けば、その本人に非常に役立つという考えで、それ らを支持する体制になってしまっている。これでは、大学では講義をするのが最も意 味のない、もしくはやるべきではない仕事として見られるようになってしまった。 その故、数多くの大学の教員が講義に行きたくない、講義に行っても責任を持って行 わない、質の高い講義をしない。そして、「研究」という名目で、一生懸命に実験室 の外で活動する。例えば研究ファンドの申請が許可されるように誰かに賄賂などをす るとか(しなければ、申請は無理と皆に知られている)、人間関係、人筋、人脈など のために、時間と金銭を費やしていると言われている。 正直に言えば、今の大学の教員の大半は自分のことばかりに「忙しくて」大学生に近 付かない、いわば大学生に人間的なケアを与える暇がない。彼らは「研究リッチ」、 「IF点数」の深い沼に落ちてしまい、「教育」にほとんど気が入らない。このような 状況だから、今日のおかしな大学生を養成した責任の一端は、大学の教員にもあると 言わざるを得ない。結局、大学生が大学教育問題の最大の犠牲者であり、大学の教育 機能が無用化されていると言える。 つづきは下記リンクよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_521.php 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(最終)☆当日飛び込み参加も受け付けます☆ ■「アラブ/イスラームをもっと知ろう:シリア、スーダン、そしてイスラーム国」 SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まり いただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、 「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、シリア出身のダル ウィッシュ ホサムさんと、スーダン出身のアブディン モハメド オマルさんを囲ん で座談会を開催します。 参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせくだ さい。 sgra-office@aisf.or.jp 日時:2014 年12月20日(土)14時〜17時 会場:鹿島新館/渥美財団ホール(東京都文京区関口3-5-8) http://www.aisf.or.jp/jp/map.php 会費:無料 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第6回SGRAカフェ<参加者募集中> 「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php 【2】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/14_2.php ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Xie Zhihai “Whither the (Japanese) Casino Bill”

    ************************************************************* SGRAかわらばん547号(2014年12月10日) 【1】エッセイ:謝 志海「カジノ法案のゆくえ」 【2】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その6)」 【3】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送)   「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(12月20日東京) ************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#440 ■ 謝 志海「カジノ法案のゆくえ」 9月末に始まった国会は、開始早々から閣僚の相次ぐ辞任などにより、法案審議が遅 れた。その中で、遂に審議を断念した案件に統合型リゾート(IR)推進法案(カジノ 法案)がある。安倍首相も経済成長戦略の一環と考え、カジノを解禁にするかどう か、またカジノを含む総合エンターテイメント施設の建設と整備を進めるか、この審 議については国会だけが盛り上がっていて、国民は冷ややか、もしくは興味を持って いないという見方をしているメディアや有識者が多い。 日本にはすでに公営賭博(公営競技すなわち、競馬、競輪、競艇、オートレース)や パチンコがさかんではないかというのが、日本在住の外国人ジャーナリストの視点 で、日本に暮らす外国人も同じ見解だろう。特に、パチンコ*パチスロは約20兆円産 業というのは有名な話だ。カジノ法案について議論する際、賛成派も反対派もこのす でにある公営競技については触れず、統合型リゾートの建設は外国からの観光客を呼 び込める素晴らしい施設となり、日本国民の雇用も増えるなど、壮大だが具体性に欠 けた内容で、経済効果うんぬんと言われても日本国民にはカジノの必要性は伝わらな いのかもしれない。 ではカジノ合法化において、地域振興や経済効果などを試算する経済学者たちはどう 予測しているかというと、カジノ収益は予測できても、ギャンブル依存症の程度、有 害性における社会的費用は試算が困難であるとしている。ここでも公営競技とカジノ 法案は切り離されている。日本には公営競技やパチンコの依存者がどのくらいいて、 どのような犠牲があるか統計サンプルが取れそうなものなのに。カジノ法案を巡って は、カジノ利用に関し、シンガポールや韓国のように国民と観光客を区別するかどう かも論点だが、すでにいるギャンブル好きの日本人がどの程度、カジノに流入するの かさえも推計されていない。 日本政府としては一体どのようなカジノリゾートを目指しているのだろう?安倍首相 は今年シンガポールのカジノへ視察に行かれたそうだし、国会議員らもマリーナ*ベ イ*サンズへ押し掛けているということは、その辺りを目指しているのか。しかし、 アジアにはすでにいくつものカジノリゾートがある。今更後追いしても日本にカジノ 目当ての観光客は来るのだろうか。少なくともアジアに今あるカジノとは差別化した 方が良い気がする。 もし日本が本気で持続可能なIRを目指すのなら、ハリウッド映画が参考になるかもし れない。近年、ラスベガスが舞台の映画では、ラスベガスはもはやカジノの為の場所 として描かれていない。単に気晴らし、バカ騒ぎしに行く所という設定だ。現在のラ スベガスはカジノ無しでも楽しめる仕組みが随所にちりばめられている。例えば、ラ スベガスでしか観られない大物歌手のコンサートやショー。各ホテルは集客の為、部 屋のインテリア、ビュッフェの食事に工夫をこらし、全米や世界で話題のレストラン も出店させる。ニューヨークやロサンゼルスで有名なナイトクラブも入っている。こ れらのエンターテイメント目当てで来た人がカジノもちょっとしてみるかという流れ になっている。コンベンション施設もしっかり整っているのでビジネスで来ている人 も多い。多様な目的の人が集まり、一大ショービジネスタウンとなっている。無論、 このようなオープンで安全なイメージを維持すべくラスベガスにはカジノ場だけでな く至る所に監視カメラが設置されていて、おそらくアメリカ人はその存在に気付いて いるから、無茶をしないのであるが。 日本にラスベガスを作ることを勧める訳では無いが、海外のカジノの好例、悪例を もっともっと研究し、日本に合う持続可能なカジノ施設を含むIRを具体的に示し、何 より日本国民から同意を得られる施設を目指す事に注力すべきだ。国際観光業での経 済利益を狙うだけではIR実現そのものがギャンブルになってしまう。 ----------------------------- <謝 志海(しゃ しかい)Xie Zhihai> 共愛学園前橋国際大学専任講師。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログ ラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期 課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交 流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイトを経て、2013年 4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されてい る。 ----------------------------- 【2】特別寄稿 SGRAエッセイ#441 ■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その6)」 --------------------------------- SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらばん で配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、2014 年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたので、数 回に分けてご紹介しています。 --------------------------------- 次は小、中、高校の責任 今の大学生達の著しい人間性の欠如の理由の一つは、人間社会での共存能力がとても 低いことによると思われる。他の人とうまく交流できない。人間関係、つまり同級 生、同寮生、同校生との関係が希薄なことは、恐らく史上まれなことと思われる。 今の大学生達が大学に入る前の12年間の小、中、高校教育の段階では、面倒を見てく れている両親や祖父祖母以外の他人と付き合うのは、たぶん講義中のクラスメートだ けであり(例えば食事を一緒に作って食べるとか修学旅行など、講義以外の集団活動 は、中国の小、中、高校では殆どない)、本当の社会的な人付き合いということをま だ知らないのだ。しかも唯一朝晩付き合ってきた親たちは世話、譲歩、溺愛……つま り子供にサービスするだけなので、いわば王子様、王女様ばかりを育成してきた。 小、中、高校においては、このような人間で構成されたクラスを、責任を持って指導 しなければならないのだが、問題に気づきながらも教科書を教えることのみに力を尽 くす。責任を感じて躾をしようとした一部の教師は、生徒に罵倒され、殴られたり、 酷いことに殺されたりすることもあったのだ。 大学で寮生活を始めると、高校時代まで続いていた試験の圧力がなくなり、教師や父 母の監視からも遠く離れ、突然、彼らは人生の解放感を抱き、初めて束縛されない自 由の楽しさを謳歌できることを知るのだ。しかし彼らが分かっていないのは、これは 解放ではなく、大人になって自己コントロールが必要な人生が始まるということであ る。ここを理解せず、無秩序に行動し始める。丁度この時期に、いろいろな誘惑(唯 物的な誘い、セクシュアリティ……)で溢れた現代社会の中に放り出され、彼らは人 間の動物的本能の力に勝つことが出来ず、本能のまま生きる。そのため、小、中、高 校の教育は子供に何を教えたのか?という疑問が生じる。この時期の教育は、生き残 ることばかりを教え、真面目な人間になることを教えなかったと言える。 大学の責任 中国の大学には問題がたくさんあるけれど、大学教育と関係のあることについて列挙 する。 1. 大学生募集の「大躍進」vs 学生の質の大暴落 4年間連続して大規模な大学生の募集拡大をした結果、2002年に中国の大学教育の大 衆化(国連の定義では、大学の入学生数が、入学可能である年齢の人口の15%に達す ると、大学レベルの教育が大衆化に達成したと言う)が、国家の「十・五」(第10回 の5年経済目標)目標期日である2010年より8年も早く実現した(17%に到達した)。 このスピードは、同じ期間中の国の経済成長率よりはるかに高いものであった。しか し逆に、この教育「大躍進」が国内外の厳しい批判を受けることになった、例えば 「科学的合理性の欠如の大躍進」だとか、「人類文明の規律違反」「大学教育の軽 蔑」などと言われている。 つづきは下記リンクよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_519.php 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送) ■「アラブ/イスラームをもっと知ろう:シリア、スーダン、そしてイスラーム国」 SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まり いただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、 「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、シリア出身のダル ウィッシュ ホサムさんと、スーダン出身のアブディン モハメド オマルさんを囲ん で座談会を開催します。 参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせくだ さい。 sgra-office@aisf.or.jp 日時:2014 年12月20日(土)14時〜17時 会場:鹿島新館/渥美財団ホール(東京都文京区関口3-5-8) http://www.aisf.or.jp/jp/map.php 会費:無料 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第6回SGRAカフェ<参加者募集中> 「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php 【2】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/14_2.php ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Xie Zhihai “Creeping Child Poverty”

    ************************************************************** SGRAかわらばん546号(2014年12月3日) 【1】エッセイ:謝 志海「忍び寄る子供の貧困」 【2】エッセイ:外岡 豊「飯舘村参観記:菅野宗夫氏の試みについて」 【3】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その5)」 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送)   「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(12月20日東京) *************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#437 ■ 謝 志海「忍びよる子供の貧困」 最近新聞等、メディアの見出しで時々目にする「子供の貧困」。どこの子供の貧困を 意味するのかと思えば、日本だった。これは信じられないことだ。日本の子供はみん なゲーム機を持ち、小学生のうちからスマートフォンを持っている子もたくさんい る。もちろん身なりも貧困とは到底信じられない。 日本経済新聞の記事を読み進めてみると、厚生労働省がまとめた国民生活基礎調査 で、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子供の割合を示す「子供の 貧困率」が、2012年に16.3%と過去最高を更新したという。前回の2009年の調査から 0.6ポイント悪化している。なるほど、数字ではっきりと現れているのだ。子供は労 働しておらず、収入が無いので、親の所得からの算出方法となる。同省は子供の貧困 率上昇の理由として母子世帯が増えていることを指摘している。女性は派遣社員や、 非正規雇用として働いている人が多いので、世帯収入が低くなるのも必然とも言え る。世帯収入で子供の貧困を測るなら、正社員で終身雇用の父を持つ子供、またはそ の父親と仕事をしている母(共働き)を持つ子供との世帯収入の差は格別に大きいだろ う。正直なところ、個人的視点だが日本の子供のイメージは、先述の通り物に恵ま れ、親はお受験のために塾や習い事に惜しみなくお金を掛けていると思っていた。私 は、貧困率の上昇もさることながら、この収入格差が気になってきた。収入格差に よって、様々なチャンスに恵まれる子とそうでない子の差が拡大されることは、今後 の日本に何か悪い影響をもたらすのではないかと。 親の所得はそれぞれ違えど、子供達は格差無く教育を受けるチャンスがあれば良いの ではないだろうか?日本は、塾通いが主流になっている。生活が苦しい家庭は塾の月 謝を捻出出来ず、子供に学習習慣を身につけさせることすらできないのか?そもそも 何故日本の子供は塾に通うのだろうか。一番は受験対策だろうが、もう一つは学校の 教育力が落ちているからということだ。信じがたい事実だが、OECDの調査によると、 日本政府支出の教育に占める支出は32カ国中31位である。学校教育が十分でないなら 日本の子供の塾通いはしばらく続きそうだ。このまま子供たちが親の所得格差に翻弄 され続けたら、どのような日本になるのだろう? 親の貧困環境が子供の貧困に深く影響していることを、アメリカの著名な経済学者で あり、コロンビア大学地球研究所長(The Earth Institute)のジェフリー サックス 氏(Jeffrey Sachs)は、以前より多くの面から問題視しており、アメリカでは貧困の 状況が世代を超えて伝染していて、この連鎖を断ち切るべきとしている。彼の論文に よると、アメリカでは、離婚家庭に限らず、無職、病気はたまた投獄されている親の 子供が貧しい地区に住み、教育レベルが低い学校に通うという貧困に閉じ込められた サイクルの中にいる。そしてそのような環境下で育った子は最終的に貧しい大人、す なわちスキルも無くまともな職につけないような大人になってしまうという負の連鎖 が続く。このような貧困状態の子供の増加は国の経済成長をも鈍らすと警鐘を鳴ら す。サックス氏が更に強調するのは、これは物質的に豊かであるアメリカで起こって いることだ。先進国日本でもこの負の連鎖は有り得ない話では無いのではなかろう か。 手遅れになる前に、子供の貧困とその連鎖を食い止めるには?その解決策もサックス 氏が教えてくれる。彼が昨年発表した論文「苦しむ子供たち、苦しむ国」では子供た ちに平等の機会を与える事を徹底すべく、公的資金を投資すべき、としている。日本 には「子ども手当」があるが、うまく機能しているのだろうか?次回の調査で日本の 子供の貧困率が下がることを期待する。 -------------------------------- <謝 志海(しゃ しかい)Xie Zhihai> 共愛学園前橋国際大学専任講師。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログ ラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期 課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交 流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイトを経て、2013年 4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されてい る。 -------------------------------- 【2】SGRAエッセイ#438 ■ 外岡 豊「飯舘村参観記:菅野宗夫氏の試みについて」 真手(までい)という言葉は初めて知ったが、江戸時代あるいはそれ以前から日本の 伝統的な社会を支えてきた、勤勉、善良な農民の生活意識と行動を表した言葉に見え る。なかなかよい表現である。持続可能社会を目指せ、というのが環境問題研究者と して私が社会に強く訴えるべき重要な事項であり、日夜それを考えているが、要は、 化石燃料と原発への依存を脱却することと同時に、社会全体が真手になればかなり達 成されるはずの目標である。だから飯舘村の再生への試みは持続可能社会への入り口 探しなのであり、日本中をその方向に向けてひっぱってゆく、最先端を知らずに担っ ているのである。 他の村にはない脱原発への強い意志がここに集中しているのは当然であろう。両方を 併せ持っている村がここにある。真手な生活を実践している人々には当然のように考 えられることが、被災していない東京では完全に忘れ去られており、飯舘村に来て菅 野さんの話を聞くと、都会人が何を失っているのか気づくよいきっかけになるだろ う。真手の精神と前向きな試行錯誤への姿勢は、突然奈落の底に落されたような事態 においても、あるいは見えにくい放射能というやっかいな汚染状況においても、再生 への着実な原動力になる。このような人がいる村はたとえ一度どんなに人口が減ろう と、いつか立ち直ることができるだろうと確信する。行政の混乱で明らかなように、 実は都会が、東京の社会が、霞が関も銀行も大手企業も、当事者能力に欠けている人 が多く、菅野さんのような頼もしい人が見当たらないのである。それは実は非常に深 刻な事態なのであるが、それを深刻と考えていない人が大勢であることそれ自体が、 実は見えにくい危険事態なのである。奇妙なことに放射線の見えにくい汚染と都会の 見えにくい無責任さとが符合しており、複合化した更なる危険に持ち上げられている ようである。 それは大学も似たようなもの、自分の組織で打破できていないので大きなことは言え ないが、旧態依然の規則にしばられ、というより柔軟な運用ができず、ちょっとした ことができない、許されていないと言われて、成果、効果がそがれてしまうことは 多々ある。教員も事務方も、どちらも自分はこの件の主役ではないと言って逃げてし まい、結果に責任を持とうとしないのである。このような事態はイギリスの大学でも 同様であった。数年前までの中国は全く逆の問題がありそうに見えたが最近どうなっ ているのかはわからない。 高校時代から田舎の農村の景色を水彩画に描いてきたが、それは里山に象徴される自 然と一体化し、その恵みをいただいて生活する本来の日本の生活への共感が裏にあっ た。まさに真手な生活の場としての農村集落と伝統民家にひかれるものがあった。 今、環境問題の専門家として、若いころ描いた絵の世界に回帰している。半ば予定さ れていたかのような人生の変遷は自分の根底にある価値観がそうさせているのであ り、それは神から与えられた使命のようなもの、自分の内部のこだわりとしてできる こと、できないことが明らかにあるのである。 今回渥美財団関口グローバル研究会の御縁でようやく飯舘村に来ることができ、大震 災から3年半後に初めて被災地を体験する機会を得たが、そこで思いがけなく旧知の 田尾さんの御世話になることになった。それは偶然以上の何かが隠れていると思わざ るを得ない つづきは下記リンクよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_516.php SGRAふくしまスタディツアーの報告は下記URLよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/news/3sgra3.php 【3】特別寄稿 SGRAエッセイ#434 ■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その5)」 --------------------------------- SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらばん で配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、2014 年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたので、数 回に分けてご紹介しています。 --------------------------------- まずは両親の責任 以下の3点(溺愛、放任、偏向)から今の親たちの責任を追求してみましょう。 1. 溺愛 親が何でもかんでも子供のためにやってあげる、その程度が酷すぎる。大学に来る前 のことは後述するとして、まず、新入生が自分一人で入校手続きに来ることはほとん どない!サーバントアテンダントのように両親や祖父ちゃん婆ちゃん、或いは親戚の 人々が大勢で来校し、かつトランクを引っ張ったり、いろんな荷物を運んだりして、 その忙しい風景は賑やかである。一方、本人は何も持たずにぶらぶらやってくる。当 然のことながら、両親が入校手続きを全部やってあげ、更には宿舎の掃除、ベッドメ イク、等々を全部担当する。幼稚園に子供を送ってあげていた時より細やかだ。しか し本人達はこれを当たり前のことだと言うのだそうだ。もっと傑作なのは、本来「見 送り」に来た親が、学校の近くに部屋を借りて、子供に付き合ってあげる(洗濯、部 屋の片付け、食事の支度などをしてあげるため)ことも結構あるそうだ。何故両親達 は、このようにしてあげるのか?彼らの理屈を一言で表すと、とにかく「心配、不 安」である。例えば「家(うち)の子は今まで家を出たことがない……最初の旅なの で」とか、「重要な書類を紛失する恐れがある」とか、「治安が悪くて心配」とか、 また「子供は自己制御力(セルフコントロール)が弱いから」、これも心配、あれも 心配、例えば朝寝坊、夜のネット遊び、そして男女同棲……。この親達は、どうして 自分の学生時代のことを考えないのか、誰だって生まれた時から何でもできるはずは ない、やらせなければ永遠にできないということを何故忘れてしまったのか、不思議 だ。 2. 放任 大学に入学した子供の生活費が、ほとんどの親達にとって非常に難しい問題だそう だ。すなわち、多く渡しすぎると金使いが荒い習慣がつくことを心配し、他方、少な すぎると不当な扱いを受け、つまり苦しい生活を送らせてしまうことをまた心配す る。親たちの暖かい心に感心はするが、言い換えれば、まさに世の中に子供を可愛が らない親はいないということだ。中国では父母が金持ちであれば、子供も豊かなのが 事実で、「豊かな第二世代」という新しい用語も近年出来ている訳はこういう現実が あるからだともいえる。しかし「親がいくら金持ちでも子供たちに贅沢はさせない」 と言う欧米人の哲学との間には、どんなに差があるだろうか!中国の諺でも「子を甘 やかすのは殺すようなものだ」と言われているのに、今の親達は、これを忘れたの か? 大学の食堂(特に国立大学)は政府が補助金を出しているので食事代は安い、おそら く全国どこでも5 元か6 元(1元=19円)で一人分の食事が十分購入出来、しかも キャンパス外の飲食店の物より清潔且つ安全だ。しかし一部の大学生(つまり生活費 を多く貰う人)はメンツの為か?美食者?なのか、よく外食し、しかもパーティー、 食事会(集まり)などを必要以上にやるのだ。この様な贅沢な習慣を、親が黙認する から彼らは平気でやる。 コンピューターは、学校の自習室、図書館にたくさん設置されていて、インターネッ トをするには非常に便利だ。しかも、大学2年生までは基礎教育なのでごく少数の専 門以外コンピューターはいらない。しかし今の学生は1人1台(しかも全部ラップトッ プ)持っており、基本的にはゲーム遊びに使用されている。特に、家庭の経済状況が よくない学生は、自分で用意する必要はないのに!外国語を勉強するためどうしても 必要と親に言っていた理屈は、全部嘘だ。ゲームに夢中になり、その結果、学業を断 念せざる得なくなる「事件」は少なくない。パソコンを保有することの悪い点は、絶 対に良い点より多いのだから、買わない方が得策だ。 つづきは下記リンクよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_515.php 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送) ■「アラブ/イスラームをもっと知ろう:シリア、スーダン、そしてイスラーム国」 SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まり いただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、 「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、シリア出身のダル ウィッシュ ホサムさんと、スーダン出身のアブディン モハメド オマルさんを囲ん で座談会を開催します。 参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせくだ さい。 sgra-office@aisf.or.jp 日時:2014 年12月20日(土)14時〜17時 会場:鹿島新館/渥美財団ホール(東京都文京区関口3-5-8) http://www.aisf.or.jp/jp/map.php 会費:無料 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第6回SGRAカフェ<参加者募集中> 「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php 【2】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Chang Kuei-E “Go Back Home Again to Iitate Village”

    ************************************************************** SGRAかわらばん545号(2014年11月26日) 【1】エッセイ:張 桂娥「ゴー ホーム アゲイン ふたたび飯舘村に」 【2】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その4)」 【3】SGRAレポート第69号「紛争の海から平和の海へ」紹介 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送)   「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(12月20日東京) *************************************************************** 【1】SGRAエッセイ#435 ■ 張 桂娥「ゴー ホーム アゲイン、ふたたび飯舘村に〜再生への長い道のり〜故 郷とともに生きる勇者たちに寄せて」 あの日から3年半も過ぎて、避難先で眠れぬ夜を耐えてきた多くの帰還困難区域に住 んでいた元住民たちを目の前にして、心から応援しているから復興に向けてがんばろ うと軽々しく口にするのは、どんなに無責任な綺麗ごとだろうかと、思い知らされた 2泊3日の飯舘村スタディツアーでした。 そもそも、今回の飯舘村スタディツアーにはるばる台湾から参加しようと決心した動 機は、原発事故による放射能汚染被害の現状を台湾の大学生や国民たちに知ってもら い、被害者たちの未だに癒えぬ心の痛みを少しでも分かち合おうという漠然とした大 義名分でした。実際現地入りして目の当たりにした<景色>といえば、整然とした風 格ある町並みの中に立ち並ぶ立派な空き家の群れ、色づき始める里山に囲まれた田舎 の綺麗な佇まいに不気味な影を落としている黒い袋の山、早秋の乾いた青空に聳える はずだったのに無造作に置き去りにされている屋敷林居久根(いぐね)の切り株、が らんとした牛舎に張り巡らされた蜘蛛の糸に引っかかった虫の死骸など、留学時代に 何度も足を運んでいた麗しき東北地方とは大きくかけ離れ、変わり果てた、見るも無 残な光景でした。 かつて観光客として訪ねた福島の在りし日の面影を偲んでみたいという期待を胸に やって来た、この地域とは縁もゆかりもない私でさえ、目の前に繰り広げられた殺風 景なシーンに心が痛んでやまないのに、何百年も前からこの地域に住み着き、先祖か ら受け継がれた土地を守り続け、鬱蒼と繁る山林をこよなく愛してきた元住民たち— —あまりにも理不尽な形で未来の子孫に誇るべき故郷を根こそぎ奪われてしまった元 住民たちの悲痛な心中を察すると、慰める言葉が見つかるはずもありませんでした。 ただただ圧倒され、何もできなかった自分の浅はかな思い上がりを悔やんだり、いっ たい何をしに来たのかと自分を責めたりしていました。 そんな中、自己嫌悪の渦に飲み込まれそうな私に、まぶしい光をいっぱい差し込んで くれる勇者たちと出会いました。 飽くなきチャレンジ精神で時代を先駆けるハイテクで放射能汚染と真っ向勝負に出る 田尾陽一さんを始めとする<ふくしま再生の会>のメンバーたち、全く収束の見通し がつかない現状に苛立ちを感じながらも冷静沈着な判断力と圧倒的な行動力でコミュ ニティ再生活動を牽引する菅野宗夫さん、グローバルなネットワークを築き風化しつ つある放射能汚染問題を世界中に向けて発信するためメディアの第一線を走り続ける ジャーナリストの寺島秀弥さん、相馬地域に根ざした<真手(までぃ)>の信条を貫 き惜しまぬ情熱で周りの人をあたたかく包み込む大石ユイ子さん、時に心が折れても 故郷を思う気持ちを挫かない若者魂に光る佐藤健太さん、そして今でも足繁く通い続 け、50年先、100年先にふくしまを故郷として誇れる若者のために、汚染された地域 の再生という挑戦を命がけで続けているボランティアの人々たち。 弱音を吐く代わりに、淡々とやるべきことに全力を尽くし、機敏なフットワークでプ ロジェクトをこなしている彼らの後ろ姿を見ているうちに、自分にできることが何か を考え始めました。なんて不思議なことでしょう。どんなに絶望的な災難に直面して も諦めずに己の恐怖と戦いながら苦難に立ち向かう人間の尊い姿を見ると、周りにい る人間は誰でもおのずと逞しくなり、みんなの輪に加わり一緒についていきたい気持 ちがわいてくるのだと、気づかされたのです。 思い返せば、情に流されて何もわからないままにこのツアーに参加したのかもしれま せんが、そこで出会った人々の真摯なる振る舞いと勇気ある行動に触れ、どこか放射 能汚染に怯えていることを素直に認められない自分の心の弱さと向き合う機会を手に しました。その弱さを乗り越えないと、飯舘村の再生プロジェクトに何らかの力にな れないと、大きな課題を手土産に持ち帰りました。まだ具体的に何ができるかを明言 するのは難しいのですが、台湾に戻ってから機会さえあれば、飯舘村スタディツアー で見たことや体験したことを大学生に話したり、意見を交わした住民たちの考え方や 再生活動の関連情報を周りの人たちに共有したりしております。 ふくしま相馬地域や飯舘村の住民たちの痛みを分かち合える日まで、まだ長い道のり です。ただ、諦めてしまってはいけません。ふくしま被害者の心の叫びを世界へ向け て発信するのも非常に有意義なことですが、うわべだけの理想論で終わりがちの復興 支援ではなく、もっと地に足の着いた現実味のある活動に視野を移さねばならないと 痛感した今回のツアーでした。私を含めて、スタディツアーに参加した一人ひとりの 意識のささやかな変化をきっかけに、一日も早く実効ある行動に繋がればと考えてお ります。 ---------------------------- <張 桂娥(チョウ・ケイガ)☆ Chang Kuei-E> 台湾花蓮出身、台北在住。2008年に東京学芸大学連合学校教育学研究科より博士号 (教育学)取得。専門分野は児童文学、日本近現代文学、翻訳論。現在、東呉大学日本 語学科助理教授。授業と研究の傍ら日本児童文学作品の翻訳出版にも取り組んでい る。SGRA会員。 ---------------------------- SGRAふくしまスタディツアーの報告は下記URLよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/news/3sgra3.php 【2】特別寄稿 SGRAエッセイ#434 ■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その4)」 --------------------------------- SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらばん で配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、2014 年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたので、数 回に分けてご紹介しています。 --------------------------------- 4. 政治的には勇ましいが人柄は最悪 今のほとんどの大学生たちは、現実のことに無関心(例えば職場の汚職、腐敗した役 人、災害救援、慈善活動など)だが、他方、信じられないほどの「愛国心」及び「ナ ショナリズム」への情熱を持っている。他人の政治的な話を疑うことなしに信用す る。所謂“風に沿う”と言う中国の伝統を完璧に伝承している。例えば、無差別に反 米であり、日本を憎悪し、インド、ベトナム、フィリピンを非難し、狂信的な(大漢 民族)5000 年の輝かしさ、中華大統一などの不思議な思想を単純に信用し、主張す る。 さらに科学技術のコピー式進歩をオーバーに宣伝する。中国の伝統的な素晴らしい文 化を活かすなどの名目を挙げて、臆面もなく詐欺的な文化、習慣を提唱したり、促進 したりする。また当局の外交政策などを軍人と同じように無条件で支持する一方、 「中国は『ノー』と言うことができる」(アメリカに対するある本の題名)というよ うな過激な作品を大勢で熱心に読み返す。2001年の9*11のアメリカへのテロ攻撃を、 テロリストと同じように祝杯をあげた大学生もいた。2012 年に中国本土で連続的に 発生した若者たちが日本車を燃やした事件、日本風のレストランなどを攻撃した事件 の中には、怒った顔をした大学生もいた。また、一部の大学生は、武力行使で台湾を 「解放」しようと純血的な扇動をするが、彼らに軍服を着用させ、戦いに行かせるの は絶対に不可能であろう。彼らが、やらなければならないならば何でもやるというこ とはあり得ないと思う。はっきり言って、責任感、信頼性は皆無であろう。 5. アカデミックスピリットの喪失 今日の中国の大学生たちの小、中、特に高校時代の勉学は、世界でも稀な猛勉であ る。長年の強制的な試験指向教育が、彼らに精神的拷問や無慈悲的な心理破壊を与え たと思う。ある意味では、彼らこそ、中国で最も痛みを感じる社会階層の一つであ る。高校を卒業するまで歯を食いしばって我慢した彼らが入試を経て大学に入ると、 直ちに解放感が生まれ、しかもこの国の国民的英雄のように自らを誇示する。残念な がら多くの親たちも彼らと呼応し、褒め称える。愚かにも、人生は大学に受かること だけのように考え、大学生活を人生の楽しさ、幸せなどを謳歌するものだと思ってい るようだ。 つづきは下記URLよりお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_513.php 【3】SGRAレポート第69号「紛争の海から平和の海へ」紹介 SGRAレポートを発行いたしましたのでご紹介します。PDF版は下記リンクよりご覧い ただけます。SGRA賛助会員と特別会員のみなさまには冊子をお届けします。会員外の 方で冊子の送付をご希望の方は事務局へご連絡ください。 第45回SGRAフォーラム講演録(2014年10月20日発行) ■「紛争の海から平和の海へ:東アジア海洋秩序の現状と展望」 SGRAレポート69号(本文) http://www.aisf.or.jp/sgra/member/peace/report/SGRAreport69.pdf SGRAレポート69号(表紙) http://www.aisf.or.jp/sgra/member/peace/report/SGRAreport69Cover.pdf (ダウンロードに少し時間がかかります) <もくじ> 【基調講演】 「東アジアの海と領土—国際法の視点から— 」 村瀬信也(むらせ・しんや)上智大学法学部教授 【報告1】< 韓国の立場> 「東アジア型国際社会の出現—日韓漁業協定(1965)への過程を振り返る— 」 南 基正(ナム・キジョン)ソウル大学日本研究所副教授 【報告2】< 中国の立場> 「東アジア国際秩序の現状と展望—中国内における「新型大国関係」の議論を中心に — 」 李 成日(リ・チェンル)中国社会科学院亜太与戦略研究院助理研究員 【報告3】< 台湾の立場> 「『琉球地位未定論』の再燃で尖閣紛争の解決に役立つのか—中国と台湾の議論を中 心に— 」 林 泉忠(リム・チュアンティオン)台湾中央研究院副研究員 【報告4】< 日本の立場> 「竹島/独島をめぐる海の一断面」 福原裕二(ふくはら・ゆうじ)島根県立大学准教授 【報告5】 「北極海の開放と韓国・日本・中国の海洋協力の可能性」 朴 栄濬(パク・ヨンジュン)韓国国防大学校安全保障大学院教授   【パネルディスカッション】 司会: 李 恩民 総括:明石 康(国際文化会館理事長) パネリスト:上記発表者 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送) ■「アラブ/イスラームをもっと知ろう:シリア、スーダン、そしてイスラーム国」 SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まり いただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、 「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、シリア出身のダル ウィッシュ ホサムさんと、スーダン出身のアブディン モハメド オマルさんを囲ん で座談会を開催します。 参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせくだ さい。 sgra-office@aisf.or.jp 日時:2014 年12月20日(土)14時〜17時 会場:鹿島新館/渥美財団ホール(東京都文京区関口3-5-8) http://www.aisf.or.jp/jp/map.php 会費:無料 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第6回SGRAカフェ<参加者募集中> 「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php 【2】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Goginashvili “Till When Shall Our Hearts be Torn

    ********************************************************** SGRAかわらばん544号(2014年11月20日) 【1】エッセイ:ゴギナシュヴィリ「心の戦いはいつまで続くのか」    —SGRAふくしまスタディツアー参加報告— 【2】第3回SGRA福島スタディツアー報告 【3】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その3)」 【4】催事案内:国際シンポジウム(2014年11月22日東京)   「国際的視野のなかのハルハ河・ノモンハン戦争」 【5】第8回SGRAチャイナフォーラムへのお誘い(最終案内)   「近代日本美術史と近代中国」(11月22/23日 北京) *********************************************************** 【1】SGRAエッセイ#433 ■ダヴィド ゴギナシュヴィリ「心の戦いはいつまで続くのか—SGRAふくしまスタ ディツアー参加報告—」 2泊3日のふくしまスタディツアーに参加して、飯舘村の村民やボランティアの方々と の交流、そして協働作業を通じて村民の思いや現状を肌で感じ取ることができた。そ して飯舘村のエコロジー、経済、人口に関する情勢について学問的な観点からの話も 聞けた。 最初の訪問先であった松川仮設住宅で避難住民と話してから、ずっと自分でもよく理 解できなかった既視感を覚えていた。その後に、希望の光を見いだそうとしている 人々、未だに光が見えない状況の中でも生活できる環境を再生するために、涙ぐまし い努力を払っている住民、ボランティア、学者、そして芸術を通じて福島のイメージ 改善を目指している若者などと交流していた時、その既視感がさらに強まった。 この感覚は1990年代初頭のグルジアで同じような状況に陥り、そして同じような感情 に溢れた人たちを見た時に感じたものと類似していたのだ。当時のグルジアにも、家 から追い出された難民、死ぬ覚悟で失われた故郷を取り戻すために戦い続けていた住 民、そして人にこの悲劇をつかの間でも忘れさせようと活動していた芸能人が多くい たが、そういう状況を生み出した原因は自然現象がもたらした原発事故ではなく、人 が始めた戦争であった。 現在、グルジア領土の一部が外国の軍隊によって占領されているのと同様に、福島県 の一部は放射性物質という「目に見えない敵」によって占領されている。 飯舘村村民との話の中で「村に帰るための戦い」、「放射能との戦い」、「心との戦 い」という言葉がしばしば聞かれ、福島は「戦いの最中」だという印象がさらに強 まった。しかし、私がグルジアで見た戦争と違って、福島の「戦い」では「見えない 敵」との関係を緩和するための交渉、ディプロマシーなどの手法は役に立たない。問 題解決の唯一の手段は「見えない敵」を完全に排除すること、つまり、放射能を排除 しないかぎり村を再生することはできない。 あらゆる戦いのなかで心との戦いが最も難しく、心が負けたら放射能との戦いにも負 けてしまうという苦しみもしばしば聞いたが、その一方で、飯舘村村民が自分の心と 戦っているそもそもの原因は、放射能との闘い方がわからないことであり、放射能を 排除する方法を見つけない限り、結局のところ、心との戦いで敗北するのも時間の問 題だという悪循環のような状態であるといえるだろう。 このツアーで明らかになった大きな問題点は、日本の政府は被災地の住民との繋がり に乏しいということである。政府が実施している除染作業のスケールは、その内容を 知らない人にとって一見非常に印象的にみえるが、飯舘村の状況に関する詳細な説明 を受けた私は除染作業がいかに効果性に欠けているかがわかった。 もちろん、政府側の説明を聞かないことには客観的な判断ができないという意見もあ るだろう。しかし、たとえ専門家ではなくても、地面から剥ぎ取られた汚染土を入れ た黒いビニール袋が未だに村中に積み上げられているのを見たら、除染作業の効果性 に対する疑問が生じるのは当然であろう。しかも、このビニール袋が家の入り口周 辺、または畑などに積み上げられているという現状では、村民の間で、政府が行って いる除染作業のそもそもの目的を問う声が高まるのは当然であろう。飯舘村村民が、 除染作業を監視、あるいは作業政策・計画決定過程に参加できる正式な仕組みが存在 しないことは上述のような問題の主要な原因の一つだと考える。自分たちの土地に降 り注いだ放射能を、自分の手で除染できない現実、住民が作業を監視する仕組みがな いことは極めて不合理で不自然だと思える。 政府と国民の間にできたこのギャップを埋めるべく取り組んでいる団体の一つが被災 地の住民、ボランティアや様々な分野の科学者から構成されている「ふくしま再生の 会」という非政府団体である。団体のメンバーは安心と安全は同じではないとよく理 解したうえで、汚染データの収集と分析、農地や山林の除染、農業の再生などのプロ ジェクトを実施している。現時点では、全ての取り組みが成功しているとは言えない ものの、村民の絶望との戦いに大きく貢献していることは確かである。 日本政府による除染作業、政府・国民間関係、汚染問題に対する人々の意識、原発そ のものの必要性、建設や稼働の可否といったツアー中に議論していたテーマに対し て、疑問点が未だに多くあるが、このツアーから戻った私は、希望のない状態でも絶 望してはいけないということだけは、さらに強く実感するとともに確信を深めること ができた。 -------------------------------------------- <ダヴィッド ゴギナシュビリ David Goginashvili> 渥美国際交流財団2014年度奨学生 グルジア出身。慶応義塾大学大学院政策・メディ ア研究科後期博士課程。2008年文部科学省奨学生として来日。研究領域は国際政治、 日本のODA研究。 -------------------------------------------- 【2】第3回SGRAふくしまスタディツアー《飯舘村、あれから3年》報告 渥美国際交流財団/SGRAでは2012年から毎年、福島第一原発事故の被災地である福島 県飯舘(いいたて)村でのスタディツアーを行ってきました。 そのスタディツアーでの体験や考察をもとにしてSGRAワークショップ、SGRAフォーラ ム、SGRAカフェ、そしてバリ島で開催された「アジア未来会議」での展示とトーク ショー「フクシマとその後:人災からの教訓」などを開催してきました。 今年も、10月17日から19日の3日間、SGRAふくしまスタディツアー《飯舘村、あれか ら3年》を実施しました。このレポートはツアーの記録報告です。 「SGRAふくしまスタディツアー」は、今年で3回目。参加者は渥美財団のラクーンメ ンバー、呼びかけに応えて参加した留学生、日本人学生、大学教授や社会人など16 名。国籍も中国、台湾、グルジア、インドネシア、モンゴル、日本、年齢層も18歳か ら70歳代まで、まさに多様性を絵にかいたような多彩なメンバーであった。 17日(金)朝8時、メンバーたちのチョットした不安も乗せながら、バスは秋晴れの 中を福島に向けて出発した。 途中、福島駅で、今回の受入れをお願いしている「ふくしま再生の会」のメンバーと 合流。 「NPO法人ふくしま再生の会」(理事長 田尾陽一さん)は、地元の農民とヴォラン ティア、科学者により構成されたNPO団体。2011年秋から、飯舘村の再生プロジェク トとして、住民自身による効率的な除染方法の研究開発や飯舘村に伝わる「マデイ (真手)」の考え方をもとにしたサステイナブル/エコロジカルな地域産業とコミュ ニティーの再生に取り組んでいる。 つづきは下記リンクからお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/news/3sgra3.php ふくしまツアーの写真は下記リンクよりご覧いただけます。 www.aisf.or.jp/sgra/photos/ 【3】特別寄稿 SGRAエッセイ#434 ■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その3)」 --------------------------------- SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらばん で配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、2014 年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたので、数 回に分けてご紹介しています。 --------------------------------- 1.3 卒業時の大処分 大学の校内では卒業が近づくと、ものを大量処分する(捨てる)季節になる。卒業生 達は教科書も含め、使用していた物品をほとんど処分してしまう。処分しないもの は、携帯電話とラップトップコンピューターぐらいか?デスクトップコンピューター まで処分する人もいるようだ。(清掃者は“つらーい!”と言いながら、使用可能な ものをたくさん回収出来るため、内心は喜んでいる。)ゴミ捨て場へ捨てるのはまだ 良いとしても、問題になるのは、わざと宿舎の窓から外へ捨てながら楽しむ事件が頻 繁に発生していることだ。(ゴミ箱、枕、布団などの大きなゴミを窓から捨て、建物 の下を通過していた人に怪我をさせたというニュースもあった。)大量処分のあと、 宿舎の建物のまわりはゴミだらけだ。 物を捨てる行為の他に、更に驚いたことに、様々な特異的な卒業行動(大学の“卒業 病”と言われている)が散見されている。例えば下品な卒業写真撮影、卒業スローガ ン掛け(シートにいろいろな言葉を書いて窓から垂らす)、卒業裸走り、卒業叫び (寮外で「XXさん!貴方をずーっと愛していたよ!」)、卒業セックス予約(中国 語で“約砲”と言う、要は卒業生同士がセックスを約束する)などがある。一般の 人々は、これらの現象について、現在の大学生たちが、自分たちは普通の人が行う行 為と異なる方法で思い出と主張を表現し、自分の大学生活に区切りをつけ、新しい段 階に入ることを宣言していると推測しているようだ。 2. 乱れるセックス及び性道徳の低下 今の大学生の二番目の問題は性的道徳の低下及び性的混乱であると思う。大学内の道 路上、カフェテリア内、教室内などのいたる所で、熱愛中のカップル大学生が、まる でハネムーン夫婦のように、半分抱擁、半分ロマンスの姿がよく見られる。 つづきは下記リンクからお読みください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_512.php 【4】催事案内:国際シンポジウム「国際的視野のなかのハルハ河・ノモンハン戦 争」 SGRA会員のボルジギン・フスレさんより、国際シンポジウムのご案内をいただきまし たので、紹介します。 日時: 2014 年11月22日(土)10 時から18時10分[9時30分開場] 会場: 昭和女子大学80年館5 階 5L44 教室 主催: 国際シンポジウム「国際的視野のなかのハルハ河・ノモンハン戦争」実行委 員会 後援: 昭和女子大学/公益財団法人守屋留学生交流協会/ハル・スルドモンゴル軍 事史研究者連合会 詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/info/Nomonhan2014Tokyo.pdf 【5】第8回SGRAチャイナフォーラムへのお誘い(最終案内) ■「近代日本美術史と近代中国」 下記の通り、第8回SGRAチャイナ・フォーラムを、11月22日(土)〜23日(日)に北 京で開催します。 参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせくだ さい。 sgra-office@aisf.or.jp SGRAでは、日本の民間人による公益活動を紹介するSGRAチャイナ・フォーラムを、北 京をはじめとする中国各地の大学等で毎年開催してきましたが、8回目の今回から は、今までと趣向を変え、「清華東亜文化講座」のご協力をいただき、北京在住の日 本の社会や文化の研究者を対象として開催します。 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php 1日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時 於:中国社会科学院文学研究所 社科講堂第一会議室 プログラムは下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program1Japanese.pdf 2日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時 於:清華大学甲所第3会議室 プログラムは下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program2Japanese.pdf ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第8回SGRAチャイナフォーラム<参加者募集中> 「近代日本美術史と近代中国」(2014年11月22/23日北京)  http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php 【2】第6回SGRAカフェ<参加者募集中> 「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php 【3】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Lee Saebom “Some Thoughts about Animated Nippon Old Stories”

    ********************************************************** SGRAかわらばん543号(2014年11月12日) 【1】エッセイ:李 セボン「『まんが日本昔ばなし』をめぐる断想」 【2】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その2)」 【3】第8回SGRAチャイナフォーラムへのお誘い(再送)   「近代日本美術史と近代中国」(11月22/23日 北京) 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送)   「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(12月20日東京) *********************************************************** 【1】SGRAエッセイ#431 ■ 李 セボン「『まんが日本昔ばなし』をめぐる断想」 近年、日本の文化を代表するようになったアニメは、世界的に多くのファンを確保す るようになり、留学生の中にはアニメを通じて日本を知り、より知りたいと思うと語 る人が相当数存在する。また、自らをいわゆる「オタク」として分類する外国人に出 会うこともしばしばある。しかし、多くの日本アニメのファンのうちに、これから私 が賞賛しようとする「まんが日本昔ばなし」について語る人はほとんどいないように 思う。元来、海外在住の日本人向けに制作され、その後も国内用の番組として放映さ れるに留まり、明らかに外国人視聴者を視野に入れていない作品であるからかも知れ ない。そこで、この場を借りて、日本の文化的な底力を示す作品として「まんが日本 昔ばなし」のことについて語り、そして賞賛したい。 ウィキペディアによれば、「まんが日本昔ばなし」は、1975年から1994年まで、最初 はNET系、後には毎週土曜日の夕方にTBS系列で放映された(その後、2000年代まで再 放送)。一つの物語に当てられた時間は約10分40秒、合計1470の物語が作られた。私 と同世代(30代)の日本の知人たちの証言によれば、子供の頃、土曜日の夕方に誰も が一度はこの番組を見たことがあり、大概の場合、オープニングのテーマ曲を口ずさ むことができるほどである。親として観賞した人も多いこと、再放送された期間も含 めれば、戦後生まれの日本在住者の多くは、「まんが日本昔ばなし」の記憶を共有し ていることになる。 それぞれの物語は、各地方に伝来された昔話から創作童話の類まで様々である。たっ た二人の声優(常田富士男・市原悦子)がすべての登場人物を演じるという独特の形 式を維持しているが、とても二人だけとは思えない、豊かな演技である。アニメの原 画も、多数のイラストレーターによって作られたがゆえに、見ていて飽きない。何よ りも、物語としての豊富さ、奥深さが、スゴい!おそらくそれは、子供向けの物語だ からといって、ただ単に美しい世界を見せねばならないというような強迫観念が無い からであろう。例えば、死に対する過剰に遠慮がましい姿勢がここには無い。自然と 調和をなして生きた「昔」の人々の、そのありのままの姿を描くがゆえに、病気や死 といった、現代ではやや否定的に観念される(特に子供向けの物語では)事柄をもご く普通に扱っている。あるいは、ハッピーエンドに拘らないという点も特徴的であ る。勿論、善人が報われるといったお馴染みの話は多いわけだが、報われない場合も 多い。呆気ない終わり方もそう珍しくない。ともかく、常に終わりを予測できない。 狸や狐、天狗のような想像上のキャラクターが多く登場するとはいえ、全ての話は、 人間に関する真摯な考察に基づいている。 それは、例えば、ディズニーアニメに代表されるような固定された世界観や、近年の 多くの日本のベストセラー漫画・アニメが描くような、人間性を離れた作為性の世界 とは、根本的に異なる。「日本」の「昔ばなし」が語られていると同時に、人間とは 何か、という普遍的な問いがその根底に流れている。それゆえに、外国人である私が 過去の日本にあっただろう美徳にこれほど純粋に惹かれるのであろう。 ある国の昔話を知ることによって、学問的な知識だけでは得られないような見地を得 ることもある。私自身も実際、日本の近世史についていくら専門書をもって勉強して も、日本で生まれ育った人々が抱いているような過去のイメージを持つことは難し かった(無論、これは日本だけに限られた話ではない)。例えば、平田篤胤(ひらた あつたね。国学者。1776〜1843)の『仙境異聞』(天狗さらいにされた少年からの話 を聞いて書かれた本)を読むだけでは、天狗のイメージおよびそれが語られてきた文 脈を掴み難い。同様のことは、狸についても、地蔵様についても言える。活字だけを 通してはつかめなかった、日本の「昔」の人々が営為していた日々の暮らし、その中 での常識といったものが、鮮やかに現れてくるのである。そのような感覚を覚えるこ とは、自然と歴史と文化への理解を深めることに繋がる。そこで、思いは次のような ところに至るのである。現在ほど、日本人自身にとっても、外国人にとっても、そう した感覚を切実に必要とする時代はない、と。そして、間近の歴史ばかりでなく、よ り長いスパンでの歴史的な想像力を養うための大事な手掛かりがここにあるのではな いか、と! ただし、そのような効用の側面を考えなくても、物語として、「まんが日本昔ばな し」には一見する価値が十分(過ぎるほど)あるように思われる。ぜひご覧いただけ ればと思う次第である。 --------------------------------- <李セボン(り・せぼん)Lee Saebom> 日本政治思想史専攻。2005年韓国延世大学政治外交学科卒業。2006年に来日し、2009 年東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。2011年から2013年まで日本学術振興 会特別研究員。2013年度渥美奨学生。2014年に東京大学大学院総合文化研究科博士課 程修了(学術博士)。現在、韓国延世大学国学研究院専門研究員。 --------------------------------- 【2】特別寄稿 SGRAエッセイ#432 ■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その2)」 --------------------------------- SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらばん で配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、2014 年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたので、数 回に分けてご紹介します。 --------------------------------- 1. 生活贅沢、寄生的依存 今日の大学生の最大の特徴は贅沢浪費である。入学前の準備から卒業時の片付けま で、至るところで彼らの金使いのあらい姿(贅沢)が見える。中国のどの大学でも周 辺に商店がずらっと軒を並べる。“金持ち”の大学生軍から利益を得やすいことを店 主は熟知している。レストラン、飲食店、美容室、ITボックス、時間で支払うホテル (日本のラブホテルに当たる)などがこれにあたる。大学周辺のこのようなホットな 商業は中国では“大学圏経済”と呼ばれ、就業率を上げるなど良い面もあるが、大学 生にとって絶対に良いことではない、さらに大学生の親にとっては、もう完全に災難 だと言わざるを得ない。 1.1 入校時の標準装備 スマートフォン、ラップトップコンピュータ、一眼レフカメラ(最近では、スマート フォンが高画質のカメラとなり、カメラを買わない大学生が多くなった)などが全国 の大学新入生の“必需品”になっていることは、よく知られている。マスコミの報道 によると20年前には数100元(1元=約19円)で大学に入学できたが、今は平均20,000 元となり、20年間で100倍を超えた。一方で、この20年間の中国人の収入増加率は約 11倍である。なぜこのように、大学入学時の費用のみが、こんなに速く増加したの か? その理由は、明らかに非合理的な理由、つまり競争心によるものとしか考えら れない。調査によれば、多くの家庭にはそんな経済的力はなく、明らかに無理をした わけである。中国には「すべては子供のため」、「いくら貧しくても子どもは貧しく させない」という伝統的な考え方があり、親たちは、キャンパス内の高い消費環境の 中で生活している自分の子供に不当な扱いを受けさせたくないと考え、親が耐える道 を選んだからだと思われる。しかもこのような入学期の消費の波は、毎年高まりつつ ある。 1.2 大学在籍期間の贅沢 代表的な都市を中心にした政府或いはマスコミによるいくつかの調査報告によると、 今の大学生の平均生活コストは、毎月1000元ほどである。しかし、「中国統計年鑑 2013」によれば、中国農村の年間一人当たりの純収入は6000元未満である。つまり、 大学生がいる農村部の家庭の経済状況は悲惨ということになる。ある新聞の調査で は、今の大学生の消費レベルは、半数が両親より高く、割合は都市出身者の44%、農 村出身者の58%を占めている。  中国4都市の大学生の生活費用の調査の結果は平均1000元/月である。如何なる贅沢を しているのだろうか、実際に中国全土では、その半分程で普通の生活ができると思 う。 極端に金使いのあらい大学生を除いて、一般の大学生の状況を見てみよう。 1) 一部の大学生はいつもブランド品を追い求めている。大半は何でも新品が好き で、少しでも古くなればすぐ捨ててしまう。大学生活4年間で、頻繁に使用するもの を何回も取り替える人は数えきれない。例えば携帯電話を交換しない人は殆どいな い。また近年、オンラインショッピングが急に流行しており、必要以上にショッピン グする現象は普通のことになっている。 2) 毎日の食事においても、買いすぎて大量のご飯を廃棄物として捨てている。中国 の食品廃棄物は、毎年2.5〜3億の人口を養うことができるという報告があるが少なく ともその1/3を、大学生が貢献していると推測されている。 3) 大義、名目を作り、パーティーや集会を頻繁に行う。誕生会の支払いは相当な額 になる。クラス100名全員が行ったことを想像してみてほしい。同級生の一人が試験 でいい成績を取った時、クラスの幹部に選ばれた時、奨学金を獲得した時、スポーツ の試合で勝った時、などなど。武漢大学の統計では、様々な“人情づかい”の費用は 年間600元以上が6割で、3割は1000元を超えていると報告している。 4) 調査によるとデートにかかる費用は、年間10,000元といわれている、詳細は大半 がレストランで消費、次が高級なプレゼント(誕生日、主な祭日ごとに)、そして、 映画鑑賞などのエンターテインメントである。一部の大学生の恋愛費用は、日常の食 事代を上回っているようだ。しかしながら、恋愛し、同居して最後の結婚まで愛を全 う出来ない人が大半だ。つまり卒業したら別れることが多いようで、その理由は離れ ていると恋愛感情を維持できないということにあるようだ。 5) 大学の寮は小さな家庭のようで、普通は、5〜8人で共同生活をする。宿舎内の整 理整頓は、当然と思われるが、今の大学生は怠け者が多い。寝具の片付け、洗濯、部 屋の掃除などもできない人がいる。寮がゴミ捨て場と化しているのが、多く見られ る。片付けや掃除をする人をパートタイムで頼んだり、叔母さんを呼んできてやって もらう(ついでに洗濯も)こともあるようだ。 6)2008年以前には、学生の約40%がコンピュータを持っていたが、その人たちの多 くの成績が悪く、退学させられた学生もかなりいた。しかし今は、すっかり普及して しまい学校の方がもう諦めた。親には「勉強のためにはどうしても必要」「無くては ならない学習ツール」と言って購入しただろうが、コンピュータは勉強のためではな くゲームのためなのだ。特に大学入学後最初の2年間に、勉強に使用(特に理科系) することはほとんどない。大学生がゲームに夢中になり、一部の大学生は学業を断念 せざるを得ない状況になり、毎年相当数の大学生が大学から除名されているという報 告もある。いま、コンピュータゲーム(ほとんどがエロ・グロ・ナンセンス)を触ら ない大学生は、皆無である。2年生までは、一生懸命に遊びに励む学生は、少なくと も1/3 を占める。今の精神的に空虚な大学生たちは、恋愛(ホモ・レズビアンも)を しなければ、コンピュータ・ゲームをするしか楽しいことがない。 自分の所得が実質的にない大学生が、高消費を維持するためには親に依存するしか方 法がない。大半の大学生はお金があれば消費してしまい、なくなったらまた親に請求 する。親の苦悩と苦労を完全に無視し、平然としてお金を費やしている。 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その1)」は下記リンクよりお読みいただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/post_509.php --------------------------------------------------- <奇 錦峰(キ・キンホウ) Qi Jinfeng> 内モンゴル出身。2002年東京医科歯科大学より医学博士号を取得。専門は現代薬 理学、現在は中国広州中医薬大学の薬理学教授。SGRA会員。 --------------------------------------------------- 【3】第8回SGRAチャイナフォーラムへのお誘い(再送) ■「近代日本美術史と近代中国」 下記の通り、第8回SGRAチャイナ・フォーラムを、11月22日(土)〜23日(日)に北 京で開催します。 参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせくだ さい。 sgra-office@aisf.or.jp SGRAでは、日本の民間人による公益活動を紹介するSGRAチャイナ・フォーラムを、北 京をはじめとする中国各地の大学等で毎年開催してきましたが、8回目の今回から は、今までと趣向を変え、「清華東亜文化講座」のご協力をいただき、北京在住の日 本の社会や文化の研究者を対象として開催します。 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php 1日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時 於:中国社会科学院文学研究所 社科講堂第一会議室 プログラムは下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program1Japanese.pdf 2日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時 於:清華大学甲所第3会議室 プログラムは下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program2Japanese.pdf 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送) ■「アラブ/イスラムをもっと知ろう:シリア、スーダン、そしてイスラム国」 SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まり いただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、 「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、シリア出身のダル ウィッシュ ホサムさんと、スーダン出身のアブディン モハメド オマルさんを囲ん で座談会を開催します。 参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせくだ さい。 sgra-office@aisf.or.jp 日時:2014 年12月20日(土)14時〜17時 会場:鹿島新館/渥美財団ホール(東京都文京区関口3-5-8) http://www.aisf.or.jp/jp/map.php 会費:無料 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第8回SGRAチャイナフォーラム<参加者募集中> 「近代日本美術史と近代中国」(2014年11月22/23日北京)  http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php 【2】第6回SGRAカフェ<参加者募集中> 「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php 【3】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Yeh Wenchang “The Label of

    ********************************************************** SGRAかわらばん542号(2014年11月5日) 【1】エッセイ:葉 文昌「『伝統』という名がつけば」 【2】特別寄稿:奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その1)」 【3】第8回SGRAチャイナフォーラムへのお誘い(再送)   「近代日本美術史と近代中国」(11月22/23日 北京) 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送)   「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(12月20日東京) *********************************************************** 【1】SGRAエッセイ#429 ■ 葉 文昌「『伝統』 という名がつけば」 3年前の出来事。趣味で金箔を一箱10枚6000円台でネット購入した。金箔で有名な 金沢の、ネット検索で最初に出てきた会社である。他の会社がほとんど0.001mmで あったのに対してこの会社の金箔は0.002mmのものがあり、価格が1〜2割高かった だけだったので、これを選んだ。 しかし商品が届いてがっかりさせられた。あれは0.001mm未満であろう、透けて見 える上、私が今まで接した金沢職人金箔と比較して、台紙から剥がせばボロボロに なるほど極端に薄いのだ。(透過率測定か電子顕微鏡で観察すればデータは取れる が) 私は業者に問い詰めた。そうしたら「これは伝統技術で手作りなので、誤差」だと 言われた。「0.001mmと0.002mmでは誤差は100%だぞ、これは詐欺だろう!」と怒っ た。 私のたかだか数千円の損はどうでも良い。真面目な業者がいる一方で、伝統を言い 訳に不誠実なことをする業者が許せなかった。 消費者センターにも相談したが、これは職人技なので非は追及できないという答え だった。「匠を知らない外国人」vs「金沢伝統工芸」という構図になっていたのだ ろう。これ以上是非を追及しても無駄と、私は諦めた。 この金箔は使えなかったので、その後別の会社から0.001mmのものを買った。そう したら透けて見えない上、台紙から剥がせる厚さの、まともな品が届いた。私のク レームは間違っていなかった。 世の中には「伝統」をつければいいと思っている人が多い。また外国人はどうせわ からないと思い込んでいる人も多い。今年参加したある国際学会の晩餐会で日本伝 統大道芸が披露された。和傘でお椀を転がしていた。演者は袴を着ていかにも「日 本伝統」なのではあるが、普段着で道端でやっている大道芸のことを想像すれば普 通の腕前で、そこに感動はなかった。 京都の枯山水。Wikipediaによれば「枯山水は水のない庭のことで、池や遣水など の水を用いずに石や砂などにより山水の風景を表現する庭園様式」とのこと。日本 人にその美しさを理解しているか聞かれる。私は、枯山水は非常に素晴らしく、日 本が世界に誇れる創造的な芸術と思っている。しかし次のことを付け加える。「石 ころを水に見立てているのでこれは現代美術の先駆けである。素晴らしい創造力 だ。当時コンクリートというものが発明されていれば、コンクリートの枯山水も あったかもしれない。だが私にとって現代美術は自然を越えられない。だから自分 が庭を持つとしたら私は石ころを並べるよりも、本当の水を流した木々が鬱蒼と茂 る庭を作るであろう。」大抵の場合、外国人は和を理解できない、というオチにな るのだが。 通販和菓子、日本酒の利き酒・・・「和」がつけば「外人にはわからない」といい 加減にする人は多い。台湾人にも「外国人はわからない」と美味しくない烏龍茶を プレゼントする人がいるのと同じである。それでは外国からの信頼を失うことにな る。 日本の伝統工芸や芸能を否定しているのではない。それに逃げている、或いはそれ だけを売りにしているのが少なくないと感じるのである。 ----------------------------------------- <葉 文昌(よう・ぶんしょう)Yeh Wenchang> SGRA「環境とエネルギー」研究チーム研究員。2001年に東京工業大学を卒業後、台 湾へ帰国。2001年、国立雲林科技大学助理教授、2002年、台湾科技大学助理教授、 副教授。2010年4月より島根大学総合理工学研究科機械電気電子領域准教授。 ----------------------------------------- 【2】特別寄稿 SGRAでは、会員の奇錦峰さんのエッセイ「中国の大学の現状」を2007年にかわらば んで配信し、「われら地球市民」(ジャパンブック、2010年)に収録しましたが、 2014年8月にバリ島で開催した第2回アジア未来会議でさらなる報告がありましたの で、これから数回に分けてご紹介します。 --------------------------- SGRAエッセイ#430 ■ 奇 錦峰「憂慮すべき現在の中国大学生(その1)」 どの国でも、伝統的に大学生は国のバックボーン、社会発展のパイオニアであり、 しかも民族振興の希望として見られている。彼らは崇高な夢を持ち、一生懸命に勉 強し、仕事に熱心である。彼らは強い競争意識を持って、献身的な精神で社会のた めに頑張っており、国の発展になくてはならない。 1980 年代以降、急速な経済発展の下で、中国社会全体の考え、モラル、文化など が新しい時期に入り、かなりの人々が現実から逃避し、嘲笑正義、カルペディエム (一日の花を摘め)、物質的快適さを追求した結果、すべてを"お金"で考え、各産 業が短期的な利益を追求するようになってしまった。社会のこれらの変化が大学生 に大きな影響を与え、甘やかされて育てられたこの時期の大学生たちの素質がさら に激しく下落してしまった。しかもこれが成長中の次の世代の大学生へ継承されて しまった。 文化大革命の期間に“紅衛兵”だった奮起した親たち、大勢の真面目で、かつ伝統 的な小、中、高等学校の教職員たちの定年退職に伴い、学校教育は本来行うべき思 想、道徳教育を軽視したため、ティーンエイジャーたちは、人生への追求心、科学 的思考、正義感、誠実、友情、思いやりなどを徐々に消失してしまった。人口増加 および市場化経済への移行が、更に小、中、高等学校の“試験志向教育”を極端化 させ、大学は政府の「産業化」、「大衆化」への呼びかけに答えた結果、名門大学 も含めて、多くの大学が“xxxx職業技術学院(センター)”というあだ名で民 間に伝わっている。例えば北京大学は“円明園職業技術学院”に成り下がってし まった。その結果、産業化および大衆化した教育がどんどん社会へ不良品(人柄が 悪い、知識もない大学生)を生産し続けてしまった。 一般人の認識では、中国の現代の大学生というイメージはおそらく1989 年、つま り大学が学費を徴収するようになった時からの大学生を指すと思われる(その前は 学費はなかった)。1995 年に、大学の学生募集が爆発的に拡大し、今もその傾向 が続いている。人類の歴史の中で前例のない大学「大躍進」が始まったとも言え る。社会一般の観点から言えば、1980年代、1990年代に卒業した大学生が優良で、 特に80 年代に大学を卒業した人は(今日、彼らは中国社会の主力である)もっと も優れていると認められている。しかし、2000 年以降の中国の大学生は、まずは 数が多くて、価値が下がり、偏って成長したため、「大学生は国家のエリートで未 来の誇り」というアイデンティティは、このわずか数年で崩壊し、ジャンクの代名 詞と、堕落の化身となり、広範な社会からの批判のターゲットとなってしまった。   「中国現代の大学生の九つの罪」というブログの初掲載は2005 年8 月17 日であっ たが、その後多くの中国のウェブサイトに転載され、今日までも、高いクリックス ルー率である。「変な大学生」というサーチワードでネット検索すれば、大学生に ついての批判は数え切れない。昨今の大学生が如何なる状況かということを、2013 年07 月17 日の北京イブニングニュース(北京晩報)が「南都週刊」と「百度知 道」の共同調査の結果を引用して、「中国式の教育:変更または変更させる」とい うテーマで報告している。 その結果をみると、今の大学のキャンパスで勉強が忙しい大学生は1.1% 、恋愛で 忙しい大学生は28%、残りはボーっとして毎日を送っているようだ。私はこの中国 の現代の大学生とすでに10 年間付き合っている(私は2003年に帰国してからずっ と大学教育に携わってきた)。直接教えた大学生数は概算で5000人以上(今の大学 のクラスは大きく、100人以上は普通)。長い間大学教育の前線で働いてきた者と して、この「九つの罪」を自分の経験や個人的な調査をもとに分析してみたので報 告する。(つづく) --------------------------------------------------- <奇 錦峰(き・きんほう)Qi Jinfeng> 内モンゴル出身。2002年東京医科歯科大学より医学博士号を取得。専門は現代 薬理学、現在は中国広州中医薬大学の薬理学教授。SGRA会員。 --------------------------------------------------- 【3】第8回SGRAチャイナフォーラムへのお誘い(再送) ■「近代日本美術史と近代中国」 下記の通り、第8回SGRAチャイナ・フォーラムを、11月22日(土)〜23日(日)に 北京で開催します。 参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせく ださい。 sgra-office@aisf.or.jp SGRAでは、日本の民間人による公益活動を紹介するSGRAチャイナ・フォーラムを、 北京をはじめとする中国各地の大学等で毎年開催してきましたが、8回目の今回か らは、今までと趣向を変え、「清華東亜文化講座」のご協力をいただき、北京在住 の日本の社会や文化の研究者を対象として開催します。 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php 1日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時 於:中国社会科学院文学研究所 社科講堂第一会議室 プログラムは下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program1Japanese.pdf 2日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時 於:清華大学甲所第3会議室 プログラムは下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program2Japanese.pdf 【4】第6回SGRAカフェへのお誘い(再送) ■「アラブ/イスラムをもっと知ろう:シリア、スーダン、そしてイスラム国」 SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集ま りいただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回 は、「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、シリア出身のダ ルウィッシュ ホサムさんと、スーダン出身のアブディン モハメド オマルさんを 囲んで座談会を開催します。 参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局宛て、お名前・ご所属と連絡先をお知らせく ださい。 sgra-office@aisf.or.jp 日時:2014 年12月20日(土)14時〜17時 会場:鹿島新館/渥美財団ホール(東京都文京区関口3-5-8) http://www.aisf.or.jp/jp/map.php 会費:無料 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第8回SGRAチャイナフォーラム<参加者募集中> 「近代日本美術史と近代中国」(2014年11月22/23日北京)  http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php 【2】第6回SGRAカフェ<参加者募集中> 「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php 【3】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会 員のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご 購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録し ていただくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡 ください。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事 務局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いた だけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Takeshi Kawasaki “Beyond Westphalia”

    *************************************************** SGRAかわらばん541号(2014年10月29日) 【1】エッセイ:川崎 剛「ウェストファリアの向こう側」 【2】第6回SGRAカフェへのお誘い(12月20日東京)   「アラブ/イスラームをもっと知ろう」 *************************************************** 【1】SGRAエッセイ#428 ■ 川崎 剛「ウェストファリアの向こう側」 ——第2回アジア未来会議のプールサイドから 会議に参加する皆さんの2 日前にバリ入りして、ホテルのプールサイドで潮風を楽し んでいたら、ベルギーからやってきたヴォルフガング・パペさん(Dr. Wolfgang Pape)と知り合った。飛行機の便の都合で会議のだいぶ前に着いてしまったそうだ。 欧州連合(EU)で長く働いた法律家。その日は夜遅くまで(プールサイドからバー に移って)、アジア(特に東北アジア)のことや欧州(特にEU圏)のことを話し た。お酒抜きでウェルカム・ドリンクのチケットで出てきたトロピカルジュースを飲 みながら。 国際情勢について、お互い勝手に意見をぶつけあったのだが、僕がウェストファリア 条約に触れた時、パペさんの雰囲気が何となく変わった。少しだけ語気を強めて 「ウェストファリアはもう古い。ウェストファリア体制は終わったんです」と語っ た。欧州統合で欧州人はウェストファリア体制のくびきから解放されたんだ‥、人々 は自由に移動できる‥、世界は変わりつつある‥、アジアはまだかもしれないけれど ‥。(それは正しい方向だという確信を彼に感じた。) 1648年にドイツのウェストファリアで三十年戦争の講和条約が結ばれた。これがウェ ストファリア条約として主権国家や内政不干渉などの原則をうたい、その後の国際法 を規定したというのが、僕たちの理解だ。絶対主義も帝国主義も、米ソ冷戦も9・11 ですら、見方はいろいろあるだろうが、ウェストファリア体制下の国際秩序のもとで の出来事だった、らしい。多くのアジア諸国も当然、何らかの形で欧米中心の国際秩 序に組み入られ、その中で植民地時代を経験し、独立を達成し、そして新興国家とし て発展してきた。 パペさんが「ウェストファリアはもう終わった」と語った文脈は、欧州の秩序確定以 来370年以上続いてきた西欧の国家主義は緩んで、融和に向かうEUの実験は後戻り することはない、人類は欧州の達成をスタートラインにして、歴史を前に進めるんだ ‥という意思を日本人(アジア人か)にもう一度思い起こさせたかったのだろう。E U圏内の「国境」はなくなり、統一通貨は実現した。ウェストファリア体制は次の何 かに変わらねばならない‥。 2014年8月22日に始まった第2回アジア未来会議の基調講演に立ったのは、シンガポー ル外務省のビラハリ・コーシカン無任所大使(Bilahari Kausikan)だった。「数百 年間にわたって途上国が西欧の価値と制度を基準として受け入れさせられてきた世界 の再編が起きている。そして、その中心は中国であり、中国がどのように変化するに しろ、それは中国独自の特性を持つ変化だろう」。コーシカンさんは、中国のさまざ まな「問題」を注意深く指摘しつつ、中国を中心にした新秩序を受け入れざるをえな い東アジア(そして世界)の未来図を描いた。 ウェストファリア体制がなくなっても、世界には別のウェストファリア(のようなも の)ができてくるのかも知れない。まだ形はよくわからないけれど。 会議2日目の分科会では、「これからの日本研究」に参加した。10分もらったけれど 早口なので、多分6分くらいで終わってしまったと思うが、「概論への意志」という ことを話した。 SGRAに集まっている多くの若い学者が、スペシャリストであると同時にジェネラリス トを指向し、早い段階で(協同でいいから)概論を試みること。新しく作られる概論 は国際性、同時代性をきっと持つだろうこと。概論は一般の読者にアクセス可能な知 の第一歩になりうるのではないか、ということ。 国際関係のもつれた糸をほぐす時に「歴史を忘れない」とよく言われる。その通りな のだが、最近僕はこうも考えるようになってきた。2015年は、日中・日米戦争に日本 が負けてから70年にあたる。戦争をはさむ歴史を生きた人々はとても少なくなってい る。そして、歴史を知らないことに不都合を感じなかったり(多い)、歴史を恣意的 に解釈したりする人々(ときどきいる)が増えてきた。だから、歴史は思い出される だけでなく、新しい世代によってリバイズされてもいいと思うのだ。(書き直すとい うと、誤解を招くだろう)。 村上春樹はさまざまな場所で、歴史について「集合的記憶」という表現を使ってい る。たとえば‥。 「僕らの記憶は、個人的な記憶と、集合的な記憶を合わせて作り上げられている」と 天吾は言った。「その二つは密接に絡み合っている。そして歴史とは集合的な記憶の ことなんだ。それを奪われると、あるいは書き換えられると、僕らは正当な人格を維 持していくことができなくなる」(村上春樹『1Q84』BOOK 1、 pp. 459-460、 2009年、新潮社) プールサイドでパペさんと、欧州の諸国民がその予兆にまったく気づかないまま、泥 沼にはまりこんでしまった第一次世界大戦の話になった。1914年のサラエボ事件から 100年。パペさんは欧州で評判になっている本を紹介してくれた。「Christopher Clark, “The Sleepwalkers: How Europe Went to War in 1914,” 2013, Penguin」。   帰国後紀伊國屋で見つけたので買った。クリストファー・クラークはケンブリッジ大 学の現代史(Modern History)の教授。細かい場面を精密に浮かび上がらせるととも に、大きな流れを読者にうまくつかませることに成功した、同世代人による見事な概 論だと僕は思う(拾い読みしかしていないのだけれど)。欧州人は、「すべての戦争 を終わらせるための戦争」と呼ばれた第一次世界大戦に、夢遊病者(sleepwalker) のようにさまよい歩いて入っていき、気がつくとそこから逃げることができなくなっ ていた。 歴史を生きた人々がいなくなる。歴史を新たに生きる者たちは、歴史を書き継ぐとと もに、時々リバイズして、僕たちにわかり、僕たちに読める歴史を書かなければなら ないと思う。もし僕たちが夢遊病者だとしたら、目を覚ますために。今度若い人たち と歴史について話してみたい、と思っている。 ---------------------------- <川崎剛(かわさき たけし)KAWASAKI Takeshi> 元朝日新聞アジアネットワーク(AAN)事務局長。早稲田大学教育学部卒。朝日新聞 の社会部員、外報部員、アメリカ総局員(ワシントン特派員)、ナイロビ支局長(ア フリカ特派員)、外報部次長、オピニオン編集部次長、ジャーナリスト学校主任研究 員などを歴任。1999-2000年スタンフォード大学ナイトフェロー。2010-11年マスコミ 倫理懇談会東京地区幹事。2014年7月よりフリー。津田塾大学非常勤講師。 ---------------------------- 【2】第6回SGRAカフェへのお誘い ■「アラブ/イスラムをもっと知ろう:シリア、スーダン、そしてイスラム国」 SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まり いただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、 「SGRAメンバーと話して世界をもっと知ろう」という主旨で、シリア出身のダル ウィッシュ ホサムさんと、スーダン出身のアブディン モハメド オマルさんを囲ん で座談会を開催します。 参加ご希望の方はSGRA事務局へお名前、ご所属、連絡用メールアドレスをご連絡くだ さい。 SGRA事務局: sgra-office@aisf.or.jp -------------------------------------------------- 日時:2014 年12月20日(土)14時〜17時 会場:鹿島新館/渥美財団ホール(東京都文京区関口3-5-8) http://www.aisf.or.jp/jp/map.php 会費:無料 --------------------------------------------------- (会場が今までと変わりましたのでご注意ください) 講師からのメッセージ: ■ダルウィッシュ ホサム Housam Darwisheh 「変貌するシリア危機と翻弄される人々」 シリアは今、未曾有の人道危機に直面しています。3年におよぶ戦闘により、死者は 20万人を超え、難民は400万人、国内避難民は1,100万人にのぼり、近隣諸国はシリア 難民の受け入れに対応できていません。 アサド体制と反体制派の多様なグループに よる戦闘が各地で続き、アメリカを中心とする有志連合がシリア北部で「イスラム 国」に対する空爆を行い、シリア危機はますます複雑な様相を見せています。日ごと に悪化する状況から脱する道は見えないままです。本発表では、シリア危機を取り上 げ、壊滅的な内戦に陥った背景、内戦の現況と今後の見通しについてお話しします。 ------------------------------ 1979年、シリア(ダマスカス)生まれ。2002年、ダマスカス大学英文学・言語学部学 士。2006年、東京外国語大学大学院地域文化研究科平和構築・紛争予防プログラム修 士。2010年同博士。東京外国語大学大学院講師・研究員を経て、2011年よりアジア経 済研究所中東研究グループ研究員。 ------------------------------ ■アブディン モハメド オマル Mohamed Omer Abdin 「なぜハルツームに春がこないか?:バシール政権の政治戦略分析を通して」 2011年に中東地域で始まった民主化要求運動(アラブの春)は、長い間続いてきた独 裁体制の崩壊、内戦ぼっ発、中央政権の弱体化等、様々な結果をもたらしました。国 によって、同じ運動が、なぜこのように多彩な結果をもたらしたかは、近年の国際政 治研究者の大きな関心事となっています。一方で、アラブの春の影響をほぼ受けな かった地域も存在します。本発表では、中東の周辺地域に位置するスーダン共和国を 事例に、現政権が、アラブの同国への波及を防止するために、どのような戦略をとっ てきたかを、スーダンを取り巻く内部的、外部的情勢の分析を通して明らかにしま す。 ------------------------------ 1978年、スーダン(ハルツーム)生まれ。2007年、東京外国語大学外国語学部日本課 程を卒業。2009年に同大学院の平和構築紛争予防修士プログラムを終了。2014年9月 に、同大学の大学院総合国際学研究科博士後期課程を終了し、博士号を取得。2014年 10月1日より、東京外国語大学で特任助教を務める。特定非営利活動法人スーダン障 碍者教育支援の会副代表。 ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第8回SGRAチャイナフォーラム<参加者募集中> 「近代日本美術史と近代中国」(2014年11月22/23日北京)  http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php 【2】第6回SGRAカフェ<参加者募集中> 「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/6sgra.php 【3】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Xie Zhihai ”How Cool Japan should be”

    ***************************************************** SGRAかわらばん540号(2014年10月22日) 【1】エッセイ:謝 志海「クールジャパンのあり方」 【2】第8回SGRAチャイナフォーラムへのお誘い   「近代日本美術史と近代中国」(11月22/23日 北京) 【3】コラム紹介(AIJフォーラム):ボルジギン・フスレ   「モンゴルと関係を強化する中国・ロシア」 ****************************************************** 【1】SGRAエッセイ#427 ■ 謝 志海「クールジャパンのあり方」 2020年に東京でオリンピックが開催される事が決まり、日本では一層「クールジャパ ン」という言葉を耳にする。ここで強調したいのは、それが日本の中だけの話題だと いうこと。クールジャパンの動きは海外ではどれほど浸透しているのだろうか。日本 ではクールジャパンという言葉ばかりが先走っている気さえしてくる。「具体的には 何をしているの?」と思っている人もいるかもしれない。そしてそれが日本政府主導 ということまで知っている日本人は案外少ないかもしれない。 日本に住む日本人にとって生活に関わるものほぼ全て、衣食住に限らず公共交通機関 をはじめとした安全で便利な暮らしが出来ていることは、当たり前のことだ。しかし 外国人にとっては快適便利な暮らしこそがクールなのである。日本政府が旗振り役に なって世界に発信しているクールジャパンはアニメ、アイドル、日本食に傾倒し過ぎ ているように感じる。しかしそれらは、日本通の外国人達にとっては、新しいもので も何でもない。インターネットの普及により、彼らは見たいもの、欲しいものを自国 にいながらいつでも手に入れられるからだ。日本政府が民間企業と手を組みクール ジャパンを促進するのなら、すでに海外に進出している民間企業が新規開拓に行き詰 まっていたりする場合の手助けをする方がよいのではないだろうか。 海外では日本車が走り回り、ポッキー(お菓子)もマルちゃんのインスタントラーメン も手に入る。これらはクールジャパンという言葉が使われる前から、海外に果敢に販 路を求めてきた日本企業の努力の賜物だと思う。しかし時は過ぎ、韓国や中国の家電 メーカーの台頭により、昨今日本の存在は弱くなったと言われている。そして、その ようにマスコミが煽るから、ますます日本国民の元気がなくなるのではないか。これ は実にもったいないことである。中国人にとっては、自動車や家電以外にも売り込め る魅力的な物を沢山持っている日本の企業たちは、なんてパワフルなんだ!と感心せ ずにはいられないのに。 日本の民間企業はまだまだ底知れぬパワーを持っているのだ。日本で生活する外国人 からすると、日本はまだまだクールジャパンを活かしきれていないように思う。日本 の製品が海外で認知されているのは、ただ単に製品を輸出するだけでなく、便利さと いう付加価値と現地のニーズに合わせたものづくりをしているからではないだろう か?現地化というのは、欧米の企業も入念なマーケティング等の調査をしているはず だが、使いやすさ、例えばパッケージの開けやすさ一つをとっても日本の技術は世界 のトップと言っても過言ではないだろう。これはもう細部にも手を抜かない日本の文 化だと思う。例えば、「よその国はインスタントラーメンの粉末スープやソースの パッケージの開けやすさに、そこまでこだわらないし、期待してもいない」というス タンスではなく、自分たち(日本人)が快適と思えるレベルまで掘り下げて商品開発し ている。そしてどの国の人も結局は便利なものに手が伸びるのだ。いつしかこの便利 さが世界のスタンダードになるかもしれない。 その他の例では、日本人のドラマ、映画離れがあるかもしれない。日本人が熱狂しな ければ、世界でも認知度は低いだろう。現在ドラマと映画のようなエンターテイメン トはアメリカと韓国に大きく水をあけられている。クールジャパンとして、今は、す でにおなじみの日本のアニメを海外で放映しているようだが、先述の通り、少しでも 興味があれば今はインターネットを通して何でも手に入れられる時代だ、新鮮さがな い。「クールジャパン=漫画、ドラマ、アイドル」だと思うなら、さらに新しいもの を生み出せる環境や資金を整えてあげる方が良いのではないか。 では今後どういった文化を売り込めるのか?サービスやホスピタリティではないだろ うか。サービスというと先述のパッケージの開けやすさなどは、日本のお家芸とも言 えるだろう。同じく赤ちゃんのオムツや介護用品も企業が使いやすさを日々研究して いて、すでに海外にもどんどん進出している。ホスピタリティというと、世界の先頭 をきって走っている高齢化と、流行語「お・も・て・な・し」にヒントがあるかもし れない。日本中に星の数ほどあるかと思われる老人介護施設、それぞれが独自のサー ビスを行っている。日本には老いも若きも安全で便利に暮らせるシステムがある。海 外ではなかなか同等の快適さは得られないのだ。 最後に、クールジャパンと言って表に出ることばかり考えているだけではいけないと 思う。まずは日本の若者に向けてクールジャパンをして、自分たちが今の日本文化を 作り上げ、牽引していく立場だという意識を持ってもらうのも近道かもしれない。 ------------------------- <謝 志海(しゃ しかい)Xie Zhihai> 共愛学園前橋国際大学専任講師。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログ ラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期 課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交 流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイトを経て、2013年 4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されてい る。 ------------------------- 【2】第8回SGRAチャイナ・フォーラム「近代日本美術史と近代中国」ご案内 下記の通り、第8回SGRAチャイナ・フォーラムを、11月22日(土)〜23日(日)に北 京で開催します。参加ご希望の方は、事前にSGRA事務局( sgra-office@aisf.or.jp )宛て、お名前と連絡先をお知らせください。 SGRAでは、日本の民間人による公益活動を紹介するSGRAチャイナ・フォーラムを、北 京をはじめとする中国各地の大学等で毎年開催してきましたが、8回目の今回から は、今までと趣向を変え、「清華東亜文化講座」のご協力をいただき、北京在住の日 本の社会や文化の研究者を対象として開催します。 主催: 渥美国際交流奨学財団関口グローバル研究会(SGRA)    中国社会科学院文学研究所、清華東亜文化講座 協力: 中国社会科学院日本研究所 助成: 国際交流基金北京日本文化センター、鹿島美術財団 ○フォーラムの趣旨: 「美術」とその一部とみなされる「工芸」は、用語の誕生から「制度」としての「美 術」「工芸」の成立まで日本の「近代」と深い関係にあり、そして近代中国にも深い 影響を与えた。「美術」と「工芸」は、漢字圏文化と西洋文化との関係・葛藤を表し ていると同時に、日中両国のナショナリズム、国民国家の展開・葛藤とも深い関係に ある。一方、「美術」と「工芸」の展開の仕方や意味づけにおける日中の違いも無視 できない。この違いはほかならず日中の「近代」の違いでもある。 本フォーラムは、美術史学と文学史・文化史の視点から日中両国の「近代」に焦点を 当て、日本からの研究者の講演を中心に、中国の研究者の討論も交え、1日目は中国 社会科学院文学研究所、2日目は清華大学で開催し、従来活発であったとはいえない 日中近代美術・文化史研究交流のさきがけとなることを目指します。日中同時通訳付 き。 ○プログラム 1日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時 於:中国社会科学院文学研究所 社科講堂第一会議室 講演1:佐藤道信「近代の超克—東アジア美術史は可能か」 講演2:木田拓也「工芸家が夢みたアジア:<東洋>と<日本>のはざまで」 1日目プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program1Japanese.pdf 2日目:2014 年11月22 日(土)14時〜17時 於:清華大学甲所第3会議室 講演1:佐藤道信「脱亜入欧のハイブリッド:「日本画」「西洋画」、過去・現在」 講演2:木田拓也「近代日本における<工芸>ジャンルの成立:工芸家がめざしたも の」 2日目プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAChinaForum8Program2Japanese.pdf 【3】コラム紹介(AIJフォーラム) SGRA会員で昭和女子大学准教授のフスレさんよりAIJフォーラムに掲載されたコラム をお知らせいただきましたので、ご紹介します。 ■ボルジギン・フスレ「モンゴルと関係を強化する中国・ロシア」 今年4月、米国のヘーゲル国防長官がモンゴルを訪問、7月にはモンゴルのエルベグド ルジ大統領が日本を訪問した。モンゴルの隣国、中国の習近平国家主席は、国交65 周年に際して8月24日から25日までモンゴルを訪問、ロシアのプーチン大統領も9月3 日に訪問した。モンゴルと大国との間で活発な外交が繰り広げられ、モンゴルの地政 学上また資源戦略上の重要性が注目を集めている。 冷戦後、モンゴルの対外政策の基本方針は「2大隣国である中国、ロシアのどちらに も偏らず、バランスのとれた関係を構築するとともに、『第3の隣国』との関係を強 化するという多元的な外交を進め、いかなる軍事同盟にも加盟しない」というもの だ。「第3の隣国」とは日本や欧米のことで、この方針は国際的に高く評価されてい る。 しかし経済においては、隣国である中国やロシアの影響からは抜け出せないのが現実 だ。1999年から2013年まで、中国は連続15年間、モンゴル最大の貿易相手国であり投 資国である。ロシアも、モンゴルでのエネルギー資源の開発などあらゆる分野の権益 を回復しつづけている。中国とロシアは、投資、貿易額の6割以上を占めている。さ らに政治、軍事においても、この2大パワーからのインパクトを受けざるを得なく なっている。 続きは下記リンクよりお読みいただけます。 日本語版(10月20日掲載) http://www.asahi.com/shimbun/aan/column/20141020.html 英語版(10月8日掲載) http://ajw.asahi.com/article/forum/politics_and_economy/east_asia/AJ20141008 0045 http://www.asahi.com/shimbun/aan/english/column/ ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第8回SGRAチャイナフォーラム<参加者募集中> 「近代日本美術史と近代中国」(2014年11月22日北京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/8sgra.php 【2】第6回SGRAカフェ<ご予定ください> 「アラブ/イスラームをもっと知ろう」(2014年12月20日東京) 【3】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 「ダイナミックなアジア経済—物流を中心に」 (2015年2月7日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Yeh Wenchang “National Flag”; Sun Jianjun “AFC#2 Round Table Discussion Report”

    ******************************************************** SGRAかわらばん539号(2014年10月15日) 【1】エッセイ:葉 文昌「国旗」 【2】活動報告:孫 建軍「第2回アジア未来会議円卓会議報告」      『これからの日本研究:学術共同体の夢に向かって』 ********************************************************* 【1】SGRAエッセイ#426 ■ 葉 文昌「国旗」 今年のお正月に台湾へ帰国した時のことである。台湾の元旦では早朝に総統府前で政 府主催の国旗掲揚大会があり、愛国的な人達が国内外から集まって、国歌を歌ったり して中華民国の新年を祝う。なかには中華民国の国旗をモチーフにした、鮮やかな 藍、赤、白からなるマフラーなどの装着品を身に着けていたりする。 台湾ではこういうことが愛国的とみなされる。すでに国外へ移住している人達でも、 この日に戻ってきて国旗を振って「愛台湾」とでも口にすれば、台湾の人々はこの人 達を愛国者と認定する。または外国人がその場で国旗を振れば、写真がクローズアッ プされて翌日のニュースには「愛台湾的外国人」として報道されるであろう。 こういう光景を見ると、私は口先だけ「I love you」の軽い人間を思い浮かべてしま う。或は一昔前のドラマの中の「同情するなら金をくれ」の名セリフ。口先なら誰で もできる。でも国旗を全身に纏っていようが、感無量で涙を流して国歌を歌おうが、 それは国を利する行為とは関係ないはずだ。 社会での役割を全うしていれば、それで社会に貢献していることになる。海外へ移住 している人は台湾では働いていないのだから、彼らがお祭の時に戻ってきて愛国と主 張しても私は共感できない。台湾で真面目に働いていれば、それは台湾の社会に尽く していることになる。今や台湾の社会に貢献している人は、国籍が台湾とは限らな い。外国人配偶者や外国人労働者も多くいる。外国人でも社会に求められて真面目に その役割を全うしていれば、それ以上の愛国はないと私は思う。 世の中では、象徴的で表面的なことばかりが礼讃されているようだと私は悲しい気持 ちになる。象徴的で表面的なものが嫌いな私は台湾では国歌を歌いたくないし、国旗 への敬礼もしたくない。もちろん、私に国や社会に対する愛がないわけではない。し かし、世の中でうわべで判断されている価値観から見ると、私は非国民のレッテルを 貼られてしまうだろう。 私のこのような考えは日本で培った部分が大きい。日本が近隣アジア諸国と比べて国 家の象徴に対して狂信的ではない所に日本社会の先進性を感じていた。しかし日本も ここ数年で少し変化しているようである。今でも近隣諸国と比較して先進的であるこ とは確かではあるが、冒頭で示した私が嫌う価値観に近づく方向へ進むのは、やはり 後退と言える。 私も今や日本社会の一員となった。自分が所属する社会に貢献し、その発展を願って いるのは言うまでもない。この先、グローバル化に伴って国際的な人々の往来が盛ん になるのは確実である。日本に居住する外国人も、外国に居住する日本人も増えてい くはずだ。このような状況の中では、国籍や人種はあまり意味を持たなくなりつつあ ると私は思う。どの国であっても、うわべの行動や、国籍や人種だけでその国や社会 への忠誠を判断されることがないことを願っている。 ----------------------------------------- <葉 文昌(よう・ぶんしょう)Yeh Wenchang> SGRA「環境とエネルギー」研究チーム研究員。2001年に東京工業大学を卒業後、台湾 へ帰国。2001年、国立雲林科技大学助理教授、2002年、台湾科技大学助理教授、副教 授。2010年4月より島根大学総合理工学研究科機械電気電子領域准教授。 ----------------------------------------- 【2】活動報告 ■ 孫 建軍「第2回アジア未来会議円卓会議『これからの日本研究:学術共同体の夢 に向かって』実施報告書 」 本円卓会議は、漢字圏を中心としたアジア各地の日本研究機関に所属する研究者が集 まり、グローバル時代における日本研究のあり方について議論する場として、第1回 に引き続き、第2回アジア未来会議の二日目に開催された。会議は日本語で行われ、 円卓を囲んだ10名の発表者と討論者、および各地から駆けつけた多くのオブザーバー が参加した。 円卓会議は2部からなり、前半は提案の代読及び指定発表者の報告であった。提案者 である早稲田大学劉傑教授は都合で来場できなかったが、提案は文章として寄せら れ、司会者の桜美林大学李恩民教授によって代読された。内容は主に四つの部分から なり、(1)未来に向けての「東アジア学術共同体」の意味、(2)「東アジア学術共同 体」の実験として、「日本研究」を設定することの意味、(3)アジアないし世界が共 有できる「日本研究」とはどのようなものなのか、そして(4)東アジアの日本研究の 仕組みをどのように構築していくのか、というものだった。 続いて、4人の指定報告者による報告が行なわれ、日本を除く東アジア地域の代表的 な日本研究所の歴史や活動などの最新情報が紹介された。ソウル大学日本研究所の南 基正副教授は、当研究所で展開中のHK企画研究の紹介を通じた企業との連携の実績 や、次世代研究者の養成に力を入れていることを紹介した。復旦大学日本研究所の徐 静波教授は、日本の総領事館や企業の支援を受けることは、レベルの高い日本研究を 維持していく重要な前提であると語った。中国社会科学院日本研究所の張建立副研究 員からは、中国一を誇る研究陣営、政府のシンクタンクの役割を十分果たす国家レベ ルの研究所の紹介があった。台湾大学の辻本雅史教授は、発足したばかりの台湾大学 文学院日本研究センターを紹介し諸機関との連携を呼びかけた。 後半は北京大学准教授で早稲田大学孔子学院長を兼任している私の司会で始まり、6 名の指定討論者からコメントがあった。中国社会科学院文学研究所の趙京華研究員は 日本研究の厳しい現状を報告した上で、学術共同体という言葉遣いに疑問を投げかけ た。学術共同体を目指すのではなく、東アジア各国の間における軽蔑感情を取り除く べく、問題意識の共有を提案した。また、他者を意識させかねないことを防ぐため、 他分野の学者も討論に呼ぶべきだと提案した。北京大学外国語学院の王京副教授も、 学術共同体は外部が必要なため派閥が生まれやすいと指摘した。また、統合されてい ない北京大学における日本研究の現状を例に挙げ、情報共有の大切さを訴えた。 韓国国民大学日本研究所の李元徳教授は学術共同体を目指す提案者の意見に賛同する 一方、日中韓の間における独自の問題を指摘した。また衰退しつつある韓国の日本研 究は、魅力をなくしつつある日本に起因することを慨嘆した。ジャーナリストの川崎 剛氏は東アジアの概論の必要性を訴えた。SGRA今西淳子代表は、関口グローバル研究 会として組織ではなく人の繋がりを心がけ、小さいながらも大きな組織の間を繋ぐ触 媒的な存在でありたいと説明した。「学術共同体」については、中国大陸の学者の反 対的意見を尊重し、使用を控えたほうがよいと語った。一方で、提案者劉傑教授の意 図は既にある情報インフラをもっと活用できないかという観点からであると補足説明 し、相互情報交換に力を入れる意向を明らかにした。また日本は魅力をなくしたとは 言い切れないと指摘した。中国社会科学院文学研究所の董炳月研究員は、学術から出 発して国家概念を超えた協力関係の構築を提案した。最後に台湾中央研究院の林泉忠 副研究員は日本研究の厳しい現状の再確認を促し、一刻も早く苦境の脱出を図らなけ ればならないと指摘した。 円卓会議にはアジアのほかの地域の学者も参加し、タイ、インドなどからの学者の発 言もあった。話題は日本研究のみではなく、各大学の教育現場における新しい動向や 悩みにまで及び、予定時刻を若干オーバーして有意義な意見交換を行った。今までの 2回の議論を踏まえて、多くの参加者は、第3回アジア未来会議の場においても、引き 続きこのようなセッションを設けてほしいと望んでいる。 ------------------------------- <孫建軍 Sun Jianjun> 1969年生まれ。1990年北京国際関係学院卒業、1993年北京日本学研究センター修士課 程修了、2003年国際基督教大学にてPh.D.取得。北京語言大学講師、国際日本文化研 究センター講師を経て、北京大学外国語学院日本言語文化系副教授。現在早稲田大学 社会科学学術院客員准教授、早稲田大学孔子学院中国側院長を兼任中。専門は日本語 学、近代日中語彙交流史。 ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第3回SGRAふくしまスタディツアー 『飯舘村、あれから3年』(2014年10月17日〜19日) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/33.php 【2】第8回SGRAチャイナフォーラム<ご予定ください> 『近代日本美術史と近代中国』 (2014年11月22日北京) 【3】第6回SGRAカフェ⇒調整中 【4】第7回SGRAカフェ<ご予定ください> 『アラブ/イスラームをもっと知ろう』 (2014年12月20日東京) 【5】第14回日韓アジア未来フォーラム・第48回SGRAフォーラム 『ダイナミックなアジア経済—物流を中心に』 (2015年2月7日東京)<ご予定ください> ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2014/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************