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  • [SGRA_Kawaraban] Li Kotetsu “Could We Transcend Historical Awareness and Brainwashing Education?”

    ******************************************** SGRAかわらばん515号(2014年4月16日) ******************************************** SGRAエッセイ#406 ■ 李 鋼哲「歴史認識と「洗脳教育」を如何に超克できるのか?」(その1)                                      近年、日本と韓国および中国との関係は厳しい冷え込み状況に陥り、なかなか解決の 糸が見つからない。この問題は日本と中韓両国との関係だけの問題にとどまらず、米 国政府も巻き込み、欧米世論も巻き込んだ世界的な大論争に発展した。1月のダボ ス・フォーラムでも安倍首相の基調演説に対し、司会者が質疑応答で取り上げるほど になっている。その根底にあるのは歴史認識の問題にほかならない。靖国神社参拝の 問題にしても、領土・領海問題にしても、歴史認識問題の延長線上に生まれた派生的 な問題であると筆者は見ている。 この問題について筆者は、自称「アジア人」として、国家・民族を超えた意識に基づ いて「不偏不党」の視点を提示したい。一つは、歴史の複雑性と歴史認識の多様性に ついて、もう一つは、歴史教育の「洗脳性」について、私見を述べたい。 ○歴史の複雑性 筆者は歴史学者ではないが、歴史とは相当複雑であり、勉強すればするほど面白く なっていることに気づいた。歴史というのは、それを見る、あるいは解釈する主体者 によってその事象が異ってくる。歴史のなかに生きた人の経験は千差万別である。さ らに、歴史を動かしている人々、歴史を評価したり、歴史を書く人々の立場や考え方 には複雑な要素が絡んでいる。したがって、歴史は複線であり、単線で単純なもので はないことは自明の理である。歴史に対する認識や見方には多様性があることを認め ざるを得ない。そして、歴史は動くものであり、したがって歴史に対する認識も時代 (歴史)の変化に伴い変化する。このことを哲学では歴史弁証法という。 中国で生まれ育って、教育を受けた筆者の個人的な体験から言うと、日本に関して、 または日中歴史関係についての認識は時と共に変化してきたのである。 1960〜70年代、子供であった筆者は、田舎にいても「共産党の抗日戦争」(当時、政 権党であった国民党は抗日に消極的であったと教育されていた)の映画をたくさん見 てきた。でも、子供だったので、ただの戦争ごっこにしか受け止めなかった。映画の 焦点は共産党の八路軍と新四軍が如何に日本軍と勇敢に戦って勝利したのか、日本軍 は如何に三光政策を実施したのか、にあった。 1972年に日中国交正常化したが、田舎の人々はそのようなことはあまり知らなかっ た。ただし、学校教育では抗日戦争の映画を見せる時に、先生は「日本の中国侵略は 一部軍閥主義者たちによるものであり、日本国民も被害者であり、日本国民は我々と 同じ無産階級(プロレタリア)なので団結すべきであり、憎むべきではない」と教 え、そのまま信じた。おそらく、そのような教育指針が政府から出されたと推測でき る。 そして、偶然にも小学生の頃、日本人に初めて接する機会があった。1969年頃、ある 有名な画家の家族が地元の都市延吉市から私の住んでいる村に下放されてきたのだ が、その画家の奥さんが日本人であった。「文化大革命」の真っ最中であり、知識人 や外国と関係がある人達は悪者扱いされ批判の対象になる時代であった。 しかし、村に来たその家族は不思議なことに批判の対象とはならなかった。村人達は 誰一人、日本人の奥さんを悪者とは思わなかった。逆に、その礼儀正しさ、優しさを 村人達は尊敬しており、仲良く過ごしていた。その家の末息子が小学校の同級生だっ たので、私はいつも神秘感(日本人的な生活スタイルに対して)を持ってその家に遊 びに行ったりした。 私が高校を卒業して大学受験に4年間もチャレンジするうちに、外国語の試験が加 わったため、日本語の本一冊を持って、「日本語を教えてください」と、友達のお母 さんに頼んだら、すぐ承諾してくれた。日本語の仮名の読み方から教えてもらった上 で、独学で日本語を勉強した。 大学生の時には、専門は哲学であったが、引き続き外国語として日本語を独学し、大 学に来ていた日本人留学生(日本では社会人)と初めて日本語会話を試み、そのうち 親しい友人になり、中国語と日本語を混じりながら会話し、周りの友達とも混じりな がら交流していたが、誰一人、日本人だから嫌いという人はいなかった。逆に、日本 人と親しく交流できる私は周りの学生から「日本通」と言われた。その後も日本友人 との交流はずっと続いていた。これが1980年代の北京での私の日本人体験であった。 つまり、毛沢東時代と鄧小平時代までは「反日教育」、「反日」は中国では非常に限 定的であったということを物語っている。中国で「反日教育」が盛んになったのは 1990年代の江沢民時代からであることは周知の事実である。 ○歴史認識の多様性 話を歴史認識に戻すと、国家間で戦争が発生した場合、必ず強いものと弱いもの、侵 略者と被侵略者、加害者と被害者が出てくる。日本が中国で侵略戦争を起こしたこと は否定し難い歴史的な事実である。しかし、その戦争によって侵略した側、侵略され た側の両方にそれぞれの受益者と被害者がいることも理解せねばならない。どの勢力 が国の政治を司るかによって、歴史認識も変わってくるのである。これは何処の国で も当てはまることだと思う。 あるエピソードを取り上げよう。昭和39 (1964) 年7月、日本の社会党訪中団が中国 を訪問し、毛沢東と会見した。社会党の佐々木更三委員長が毛沢東に対し、日本の侵 略戦争について謝罪したのに対し、毛沢東は「何も申し訳なく思うことはありません よ、日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらしました。中国国民に権利を奪取させ てくれたではないですか。皇軍の力なしには我々が権利を奪うことは不可能だったで しょう。・・・もし、みなさんの皇軍が中国の大半を侵略しなかったら、中国人民は 団結して、みなさんに立ち向かうことができなかったし、中国共産党は権力を奪取し きれなかったでしょう。ですから、日本の皇軍はわれわれにとってすばらしい教師で あったし、かれら(日本国民)の教師でもあったのです。」「過去のああいうことは 話さないことにしましょう。過去のああいうことは、よい事であり、われわれの助け になったとも言えるのです。ごらんなさい。中国人民は権力を奪取しました。同時 に、みなさんの独占資本と軍国主義はわれわれをも助けたのです。日本人民が、何百 万も、何千万も目覚めたではありませんか。中国で戦った一部の将軍をも含めて、か れらは今では、われわれの友人に変わっています。」と述べたという。 この発言は奥の深い哲学的なものの考え方によるものである。中国には「因禍得福」 という諺がある。禍によって結果的に福がもたらされるという意味である。日本軍の 侵略は中国に大きな禍をもたらしたが、それを結果的に、そして大局的に見ると人民 による新中国の誕生につながったことも事実である。 もう一つ、「反面教師」という言葉も中国でよく使われている。仮に悪いことをして も、それを反省し、教訓を汲むことができれば、良い結果につなげることができる。 毛沢東は思想的には哲学者でもあり、物事を考えるときに常に「一分為二」(一つの 物事の二つの側面)という弁証法的に考えるべきだと中国人民に教えたのである。中 国ではその当時毛沢東が絶対的な権威をもっており、国民の信任が厚かったので、毛 沢東はそのような「ジョーク」で会談の雰囲気を変えることができたのだと思う。も ちろん、その発言は外交記録にあるのみで、マスコミに発表されたわけではない。 このような考え方で、日韓関係を見ると、もし日本の植民地支配がなかったら、今日 の韓国の繁栄はなかったかもしれない。独立運動家は生まれなかっただろうし、韓国 民の覚醒もなかっただろうし、朴正煕大統領のような立派なリーダーは生まれなかっ ただろう。しかし、もし韓国の某大統領が「日本の植民地支配に感謝する」と発言し たとしたら、それは国賊扱いにされるに違いないだろう。韓国では「親日派」を徹底 的に追求するキャンペーンを行ったが、それは「反日」である前に、まずは国内での 政治勢力間の戦いに見えるのではないか。歴代大統領が替わるたびに、「反日」に なったり、「親日」までは言えなくとも日韓関係の歴史に終止符を打とうとする、二 つの勢力の争いが繰り返されている。現在の朴大統領が対日政策で強硬姿勢に出るの は、親の「親日レッテル」という負の遺産から自分のイメージを払拭したい、という 心理的コンプレックスによるものと見受けられる。 筆者なりに歴史を客観的に評価するとしたら、日本の侵略と支配により、隣国は大き な被害を被り、日本はその加害者責任から逃れられない。しかし、加害過程における 受益者がいることも否定しがたい歴史的な事実である。歴史というものは完全に客観 的に評価できない側面もあることも理解せねばならない。一つの民族、集団の文化と しての歴史は、自分達の過去であると同時に現在と直結している自分たちのアイデン ティティの整合性の最も重要な部分である。言い換えれば、歴史自体が自己とアイデ ンティティの主な部分を占める。だからこそ、歴史は解釈であり、勝者と為政者が自 分たちの正当性やアイデンティティの形成に利用するものである。したがって、歴史 は最も「作為性」と「虚為性」として粉飾される客体であり、主体でもある「文学的 な物語」である、とある学者は指摘している。 結論的に言うと、歴史認識というのは時代の産物であり、為政者が自分たちの正当性 を主張するための道具という側面があることを認識しなければならない。 (つづく) --------------------------------- <李 鋼哲(り・こうてつ)Li Kotetsu> 1985年中央民族学院(中国)哲学科卒業。91年来日、立教大学経済学部博士課程修 了。東北アジア地域経済を専門に政策研究に従事し、東京財団、名古屋大学などで研 究、総合研究開発機構(NIRA)主任研究員を経て、現在、北陸大学教授。日中韓3カ 国を舞台に国際的な研究交流活動の架け橋の役割を果たしている。SGRA研究員。著書 に『東アジア共同体に向けて——新しいアジア人意識の確立』(2005日本講演)、そ の他論文やコラム多数。 ************************************************** ☆★☆エッセイ募集中! 日中韓の政治状況、最近は社会状況まで、とても厳しく、時には暴力的でさえありま す。ここで語り合う<場>を作るのが、良き地球市民の実現をめざすSGRAの役割りで あると考え、SGRAかわらばんでは読者の皆様のエッセイを募集します。皆様の自由闊 達なご意見をお待ちしております。 ・2000字程度(短くてもかまいません) ・匿名希望の方はその旨お書きください。 ・送付先:sgra-office@aisf.or.jp ● SGRAカレンダー 【1】第47回SGRAフォーラム(2014年5月31日東京)<参加者募集中> 「科学技術とリスク社会:福島原発事故から考える科学技術と倫理」 http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAForum47Program.pdf 【2】第4回日台アジア未来フォーラム(2014年6月13日台北) 「トランスナショナルな文化の伝播・交流:思想・文学・言語」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/4_1.php 【3】第2回アジア未来会議 「多様性と調和」(2014年8月22日インドネシアバリ島) http://www.aisf.or.jp/AFC/2014/ ★オブザーバー参加者募集中(4月30日まで参加費早期割引)★ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2013/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Invitation to SGRA Forum #47

    ******************************************** SGRAかわらばん514号(2014年4月9日) ******************************************** ◇第47回 SGRAフォーラム「科学技術とリスク社会」のご案内 下記のとおり、第47回SGRAフォーラムを開催いたします。 参加ご希望の方は、SGRA事務局宛にご連絡をいただき、参加申込みをしてください。 ■テーマ:「科学技術とリスク社会」 〜福島第一原発事故から考える科学技術と倫理〜 ■日時 :2014年5月31日(土)午後1時30分〜4時30分 ■会場 :東京国際フォーラム ガラス棟 G610会議室      https://www.t-i-forum.co.jp/general/access/ 参加費:フォーラム/無料 懇親会/正会員1000円、メール会員・一般2000円 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局宛に事前にお名前、ご所属、連絡先をご記入 の上、参加申し込みをしてください。 SGRA事務局(sgra-office@aisf.or.jp Tel: 03-3943-7612 ) ◇プログラムの詳細は、下記リンクをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAForum47Program.pdf ■フォーラムの概要: 3・11/福島原発事故以降、「科学技術の限界」あるいは「専門家への信頼の危機」が 語られてきました。今回のSGRAフォーラムでは、島薗進先生(上智大学神学部教授− 宗教学/応用倫理)、平川秀幸先生(大阪大学コミュニケーションデザインセンター 教授−科学技術社会論)をお招きして、福島第一原発事故を事例として「科学技術と 倫理」、「科学技術とリスク社会」、「科学なしでは答えられないが、科学だけでは 答えられない問題群」などをテーマとしてオープンディスカッションを行います。 1)理工系科学者のみならず社会系科学者、人文系科学者の役割と倫理 2)科学者と市民を結ぶ科学技術コミュニケーションの可能性 〔トピック〕 - 福島第一原発事故から考える「科学技術の限界」、「専門家への信頼の危機」 - 巨大科学、先端科学が生み出す「リスク社会」の様相 -「科学技術と倫理」の課題及び社会系科学者、人文系科学者の役割 - 科学者と市民を結ぶ科学技術コミュニケーションの可能性 ■プログラム: 1.問題提起:(5〜10分)   チェ・スンウォン(韓国)理化学研究所(生物学) 2.対談:(約40分)   島薗進先生 上智大学神学部教授(宗教学/応用倫理)   平川秀幸先生 大阪大学コミュニケーションデザインセンター教授          (科学技術社会論)   モデレータ:エリック・シッケタンツ(ドイツ)         東京大学大学院人文社会系研究科特別研究員(宗教史) 3.オープンディスカッション:(約90分)   ファシリテータ:デール・ソンヤ(ノルウェー)           上智大学大学院グローバルスタディーズ研究科特別研究員           (グローバル社会) ************************************************** ☆★☆エッセイ募集中! 日中韓の政治状況、最近は社会状況まで、とても厳しく、時には暴力的でさえありま す。ここで語り合う<場>を作るのが、良き地球市民の実現をめざすSGRAの役割りで あると考え、SGRAかわらばんでは読者の皆様のエッセイを募集します。皆様の自由闊 達なご意見をお待ちしております。 ・2000字程度(短くてもかまいません) ・匿名希望の方はその旨お書きください。 ・送付先:sgra-office@aisf.or.jp ● SGRAカレンダー 【1】第47回SGRAフォーラム(2014年5月31日東京) 「科学技術とリスク社会:福島原発事故から考える科学技術と倫理」 http://www.aisf.or.jp/sgra/schedule/SGRAForum47Program.pdf 【2】第4回日台アジア未来フォーラム(2014年6月13日台北) 「トランスナショナルな文化の伝播・交流:思想・文学・言語」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/4_1.php 【3】第2回アジア未来会議 「多様性と調和」(2014年8月22日インドネシアバリ島) http://www.aisf.or.jp/AFC/2014/ ★オブザーバー参加者募集中(4月30日まで参加費早期割引)★ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2013/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Yanming LI “Prime Ministers Shrine Visit and Image of Japan”

    ******************************************** SGRAかわらばん513号(2014年4月2日) ******************************************** ■ 李 彦銘「首相の靖国参拝と日本のイメージ—中国人の思い込みはどこからきたの か」 昨年末、とうとう安倍首相が靖国神社を参拝した。安倍首相にとって、中韓の反応を 配慮し8月15日の終戦記念日に行かなかった代わりに、選びに選んだのがこのタイミ ングだったのだろう。 しかしそうした「努力」は中韓には無視された。中国側の反応は案の定であり、外交 部がこれを「悍然」なる参拝として批判した。その後、イギリスをはじめ世界各国に 駐在する中国大使を動員し、英語での日中輿論戦が繰り広げられ、さらに韓国をも巻 き込んだ。この一連の動きはおそらく、中国側が安倍参拝の必至を見越して、事前に 用意した対策だと思われる。そして1月のダボス会議に出席した王毅外交部長・元駐 日大使はフィナンシャルタイムズ社のインタービューで、「いま中国外交の急務とし ては、国際社会に日本の動きを危惧するように呼びかけることだ」と訴えた。 一方、中国国内では、公式に日本の軍国主義復活論を提起することはなく、あくまで 靖国神社は軍国主義の象徴であることを強調し、むしろ焦点は、憲法改正などを唱え る安倍政権が日本を軍国主義の道に導こうとしていることに絞った。つまり安倍政権 の批判のみで、政権交代の際の交渉の余地を残した。 この靖国参拝は、中国側の政策決定者にとって、安倍政権との交渉をあきらめさせる 決定的な要因となったと思われる。「悍然」なるという評価は、中国外交において公 式に使われることは少なく、中国側のレッドラインに踏み込んだというメッセージを 強く伝えているという外交分析がある。ちなみに一番最近に使われたのは、2006年に 北朝鮮が中国に事前通知なしで核実験を行ったときだった。小泉元首相の靖国参拝に 対しても、2005年からこの言葉を使って批判していた。しかしながら、小泉内閣から の積極的な反応はなく、中国側は政権交代を期待するしかなかった。 歴史をさかのぼると、日本の首相による靖国参拝がはじめて日中の外交問題となった のは、1985年8月15日の中曽根公式参拝であった。その一週間後、新華社(中国政府 の公式通信社)が批判の社説を発表し、靖国参拝と歴史責任を結びつけた(『絶不允 許混淆侵略戦争的性質』、1985年8月22日)。しかし鄧小平などの国家指導者は靖国 神社参拝を批判しながらも、日中友好の重要性を訴えた。転換点になったのは、むし ろ9月18日(満州事変の発端である柳条湖事件記念日)に、天安門広場で行われた大 学生による反日デモであり、20日に外交部が改めて靖国参拝を強く批判し、二国間の 外交問題として位置づけたことによる。 それ以降、中曽根氏は在任中に靖国神社に行くことはなく、今日まで40年近くの間、 首相の公式参拝は安倍氏を除いてこの一回のみであった。在任中に私的参拝をした首 相も、小泉氏と橋本氏のみであった。ただし橋本氏は私的参拝した翌年の1997年に、 中国瀋陽にある「九・一八事変(柳条湖事件)記念館」を訪問することで、自らの歴 史認識が中国側と共通していること示し、その後は参拝しなかった。つまり、首相や 外相が在任中に靖国参拝をしないことについて、自民党内では一定の了解があるの だ。 これらの前例に照らしながら、2012年に大規模な反日デモが中国を席巻したこと、ま たダボスでの安倍氏の物議を呼ぶ発言から考えると、安倍氏を交渉相手にすること は、中国側にとっては対内的に説明がつかないことになる。よほどの国内・国際の事 情がない限り、中国側が第二次安倍政権と対話することはないだろう。 それでは、一般の人々にとっては、日本の首相が靖国を参拝することは何を意味する のか。なぜ中国社会では靖国参拝が歴史認識問題として受け止められるのか。それは ただ単に共産党の言説をそのまま受容したからなのだろうか。 当然のことながら、1985年以前、ほとんどの人は靖国がどんな場所であるのかをよく 知らなかった。中曽根参拝後、中国では名前が知られるようになったが、果たして靖 国ではどんな人が祀られているのか、ひいてはそもそも神道とはどんな宗教であり、 宗教法人とはどのような位置づけと法的権利を持つのかについては、長い間中国では 広く知られていなかった。 限られた情報と知識の中、唯一はっきりいえるのは、そこにはA級戦犯が祀られてい ること。戦争責任二分論(つまり日中戦争はごく一部の軍国主義者が発動したもの で、ほとんどの日本人も中国人と同じように軍国主義の被害者であるという、日中国 交正常が行われた際の中国政府による対内説明)が広く受け入れた時代では、A級戦 犯はまさに戦前の日本を国家主義、軍国主義、さらに残忍な虐殺に導いた張本人であ ると認識するのは当然であろう。 さらに、ここには文化的な違いも確かに存在する。中国には神道がなく、「靖国神社 に祀られる英霊」というフレーズを聴いたとき、自然と浮かび上がるイメージは、廟 やお寺や道観の中のことである。祀られるということは、「供奉」という言葉になる が、亡くなった人の身代わりである「牌位」を供養することである。この「供奉」 は、ただ宗教上の崇拝ではなく、道徳の意味も含まれている。仏教にしても、道教に しても、崇拝の対象はいずれも現世に生きた間に善行を行い、そしてその功績が認め られ初めて成仏あるいは神になったもの。つまり、宗教施設で供養されることは、死 者の生前の行為に対する最大の肯定であり、現在を生きる人々のお手本となるべきと いうメッセージを含んでいる。日本でもよく知られるのは、三国誌の中の関羽が原型 となった関帝廟や、海外の華人社会で多く信仰される媽祖、孔子廟である。こうした 誤認識を示す一番最近の例は、2012年靖国神社前で抗議した香港人活動家が、東条英 機などの位牌を持参し、それを燃やすことによって憤慨をあらわにしたことだ。 これらの施設を訪ね、彼らの位牌の前で合掌して、自分の願い事の実現を祈ることは 日本の神道と共通している。だがこのこと自体が「供奉」の対象の功績を認めること になる。こうしたイメージのなか、靖国参拝=戦犯の行為に対する肯定という図式が 成り立ち、そして一国の首相による参拝は許されない挑発行為だと考えるのはむしろ 自然なことである。 ただし日中の確執の激しさが増すとともに、ようやく中国でも知識の普及がもたらさ れた。特に安倍政権になってから靖国についての紹介文も多くメディアに掲載され、 神社の中にはいわゆる位牌のようなものがないことに気づき始めたのである。「百度 知道」(ヤフー知恵袋のようなもの)でさえ、最近は靖国神社に関する情報が豊富か つ正確になってきている。 以上のように、日中の誤解は、ただの無知から生じたものに過ぎないのかもしれない が、安倍氏による「心の問題」というような説明ではなかなか理解できないだろう。 一方で靖国参拝=戦犯の行為に対する肯定という図式は、中国あるいは華人社会のみ に存在する観念ではなく、国際社会ではもはや一般的になってきている。その理由 は、小泉内閣期に、遊就館とその言説がますます脚光を浴びるようになったことであ る(田所昌幸・添谷芳秀編『「普通の国」日本』千倉書房、2014年)。遊就館に関す る知識もまた、いま中国社会に浸透しつつである。靖国参拝は遊就館と無関係である という説明は果たして成立するだろうか。参拝の正当性を主張するならば、これらの 難問を解くような説明をきちんとする責任がある。 もうひとつ、気をつけないといけない中国社会の思い込みがある。「日本人は自らよ り強いものに対して服従するが、弱者を相手にしない」という考えだ。第二次世界大 戦において日本人はアメリカ人に負けたから、アメリカの言うことに耳を貸すが、中 韓の感情を平気に踏みにじるのは彼らに負けていないからという論理である。「百年 の屈辱の歴史」に対する記憶と被害者意識はいまだに中国社会に広く存在しているた め、こうした感情的な思い込みは相当強い。だからこそ、日本側の歴史認識には敏感 に反応したり、それを中国に対する挑発や嫌がらせだと受け止めたりする。もちろん その背後には、戦後日本の平和主義と民主主義の定着に対する根本的な無知と不信感 がある。このような認識は、いささか論理が飛んでいるが、遊就館が米紙の批判を受 けて言説の一部を修正したなどの事実もまた、そうした思い込みを強める。 筆者は中国社会、ひいては指導層までに存在する以上のような認識の誤差は、長い間 における相互認識と情報の極めて不十分な状況と、2000年代に入るとともに大量な日 本に関する情報が急激に人々の手に届くようになり、民間の発言空間が生まれた状況 との間の巨大なギャップによって生じた結果だと考えている。しかし幸いなことに、 中国社会では人々の関心とともに知識の普及が進んでいる。また、2000年代に入って から、東アジアとの間の歴史問題や戦争責任の再整理にさほど大きな関心を示さな かった日本社会でも、ようやくこれは日本の国際イメージの根幹とかかわる問題だと 気づき始めた。 「彼を知り己を知」るのは、戦争に勝つためではなく、有効な外交を展開するため だ。なぜ相手が自らのスタンスを理解できないのかを一方的に責める前に、誤解のわ けを知り、それを解くための説明をしたほうが有効な外交ではないか。その意味で、 安倍政権は相手を知らな過ぎたかもしれない。選びに選んだ参拝のタイミングも、な んと毛沢東の誕生日と重なっていたのだ。ただし、時代はすでに変わり、外交はます ます政府の特権でも外交官だけに頼る専門分野でもなくなった。市民の一人ひとりの 発言権が大きくなったとともに、背負う責任、つまり相手を知ることと自国を説明す ることが重要になっている。日中双方の努力が必要であるが、いまの相互無知と誤解 の状況は必ず改善されると信じたい。 ------------------------ <李 彦銘(リ・イェンミン)☆ Yanming LI> 大学共同利用機関法人人間文化研究機構地域研究推進センター、慶應義塾大学東アジ ア研究所・現代中国研究センター研究員。中国北京大学国際関係学院を卒業後、慶應 義塾大学にて修士号を取得し、同大学後期博士課程単位取得退学。研究分野は国際政 治、日中関係と中国外交。現在は日本の経済界の日中関係に対する態度と影響につい て博士論文を執筆中。 ************************************************** ☆★☆エッセイ募集中! 日中韓の政治状況、最近は社会状況まで、とても厳しく、時には暴力的でさえありま す。ここで語り合う<場>を作るのが、良き地球市民の実現をめざすSGRAの役割りで あると考え、SGRAかわらばんでは読者の皆様のエッセイを募集します。皆様の自由闊 達なご意見をお待ちしております。 ・2000字程度(短くてもかまいません) ・匿名希望の方はその旨お書きください。 ・送付先:sgra-office@aisf.or.jp ● SGRAカレンダー 【1】第47回SGRAフォーラム(2014年5月31日東京)<ご予定ください> 「科学技術とリスク社会:福島原発事故から考える科学技術と倫理」 【2】第4回日台アジア未来フォーラム(2014年6月13日台北)<ご予定ください> 「トランスナショナルな文化の伝播・交流:思想・文学・言語」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/4_1.php 【3】第2回アジア未来会議 「多様性と調和」(2014年8月22日インドネシアバリ島) http://www.aisf.or.jp/AFC/2014/ ★オブザーバー参加者募集中(4月30日まで参加費早期割引)★ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2013/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Max Maquito “Manila Report 2014 Spring”

    ******************************************************** SGRAかわらばん512号(2014年3月26日) 【1】エッセイ:マキト「マニラレポート2014春」 【2】レポート:「東アジアの市民社会と21世紀の課題」中国語版 【3】レポート:「日英戦後和解(1994-1998)」韓国語版 ********************************************************* 【1】SGRAエッセイ#404 ■マックス・マキト「マニラレポート2014年春」 第17回SGRAマニラ「持続可能共有型成長セミナー(Sustainable Shared Growth Seminar)」は2014年2月11日にフィリピン大学工学部のMELCHOR Hallで開催された。 今回は「製造業と持続可能な共有型成長」というテーマで開催され、運営委員の努力 により約125人という多数の研究者、学生の参加を得ることができた。 セミナーはフィリピンと日本の国歌と国旗掲揚式に引き続き、今西淳子SGRA代表の代 理である渥美国際交流財団の角田英一理事と、在フィリピン日本大使館の天野哲郎公 使のスピーチによりスタートした。 セミナーのセッションは、下記の7つのブロックで構成され、午前9時半から午後5時 まで続いた。 第1ブロックは「革新(Innovation)」がテーマで、フィリピンでは「発明」が量的 にも(Tony Mateo先生)地理的にも(Arianne Dela Rosa Damayas博士)進んでいな い現状と、その障害となっている要因が報告された。積極的な議論が展開され、結果 として「発明者と投資家との定期的な話し合いの場」の設置が提案された。 「ITと製造業」をテーマとした第2ブロックは、フィリピンのIT産業における早期非 産業化(early de-industrialization)と製品の罠(product trap)が指摘された (マキト)が、それに対してインドのIT産業がこのような課題を乗り越え、産業化を 達成したプロセスが報告(徳丸紀夫先生)された。この報告では、エンジニアの長期 的雇用制度や人材管理が重要な要因である、との示唆に富む研究結果が取り上げられ た。 「水」がテーマの第3ブロックでは、NGOが行ってきた、草の根活動による水処理プロ ジェクトが紹介された(Apolonio Jimenez工学士)。 「環境・廃棄物処理」をテーマとする第4ブロックでは、製造業の包装(Packaging、 Encasement)から生ずる「廃棄物」問題が取り上げられ、「消費」と「環境」に関す る議論が展開され、再利用や再生を促す提言が行われた(Ernie Labuntog工学士)。 午前中の一連のセッションの後、将来の大統領候補としても呼び声が高いGrace Poe 上院議員の基調講演が行われた。講演では、貧困者にも成長が共有されているとはい えないものの、成長と発展の著しいフィリピンの経済に対する楽観的な展望が示さ れ、また、みずから実施している貧しい子供たちのための政策を情熱的に語ってくだ さった。講演後には、会場のみなさんとの集合写真の撮影に喜んで応じていただくと 共に、この比日共有型成長セミナーの発展のためのサポートは惜しまない、という メッセージもいただいた。ご多忙の中、貴重な時間を割いてセミナーに参加していた だいたGrace Poe上院議員に心からの感謝をささげたい。  午後の部の第5ブロックでは「成長の持続可能性」をテーマとして、フィリピンの成 長を妨げる2つの要因(課題)を取り上げた。輸出関係の地場製造業の未成熟 (Kristine Joy Cruz Martin先生)と(自宅)建設バブルである(Gregorio Mabbagu 先生)。 ミクロとマクロ発展をテーマとする第6ブロックでは、広い視野の発展で捉える持論 のPoBME論の説明(平川均先生)があり、現代の世界構造の変化に重要な要因である と強調された。よりミクロ的に捉えた次の報告では、フィリピンの海外出稼ぎ者の送 金は地方の開発のためにより効率的に使うべきだとの主張(Janice Zamora-Morales 先生)が展開された。 「福島からの持続可能な製造業への教訓」をテーマとする第7ブロックでは、SGRAの 福島スタディツアーがきっかけとなった、フィリピンの原発議論における安全や経済 効率などに対する疑問が取り上げられた(マキト)。最後に、「ふくしま再生の会」 が取り組んでいる7つの挑戦が紹介され(田尾陽一先生)、会場の参加者との対話が 行われた。 翌日、セミナーでの議論を延長する形で、参加者13人による(建設中止になってい る)バタアン原子力発電所への見学ツアーを行った。マニラから約100Km、美しいバ タアンの海岸にある、バタアン原子力発電所は1970年代後半に着工したが、政変や相 次ぐ反対運動によって、一度も稼働することなく、現在では見学者を受け入れて、原 発の必要性や安全性を伝える、一種の原発記念館(博物館)的な施設となっている。 (※ここであえて「博物館」という言葉を使っているが、フィリピンではこの原発の 稼働開始を真剣に勧めているグループがある) 案内役のエンジニアに丁寧に応対していただきながら、約2時間、興味深く原発内の 各施設を見学して回った。日本やアメリカは無論のこと、世界のどこにも存在しな い、唯一の「リアルな原発博物館」で、原子力発電の原理やシステムを学ぶという、 非常に貴重な経験をさせていただいた。 今回のマニラセミナーでは、共有型成長が目指すサステイナブルな社会/経済の構築 にとって原子力発電がいかなる意味を持つのか、を真剣に議論する必要があると実感 させられた。それと共にフィリピンの産業や社会にとって「革新(Innovation)」が 重要なカギを握るというコンセンサスが得られていないことに関して、SGRAフィリピ ンの活動によって、議論が少しでも整理できれば幸いである。 SGRAが、これらの重要課題に関して果たすべき役割は多い。そして、それを絶えず模 索して行くことが、SGRAのミッションであろう。 最後に、開会の挨拶で「SGRAマニラセミナーの成功と比日の知的交流の発展を祈る」 というメッセージをいただいた在フィリピン日本大使館次席公使の天野哲郎氏、大雪 に見舞われたにもかかわらず、日本からセミナーに参加していただいた平川均先生、 徳丸宜穂先生、Penghuy Ngov先生、遠藤美純先生、田尾陽一さん、角田英一さん、並 びにご協力いただいたANA(全日本空輸)に感謝の意を表したい。 下記のリンクをご参照ください。 1. プログラム http://www.aisf.or.jp/sgra-in-english/seminar17/Seminar17Program.pdf 2. 発表資料 http://www.aisf.or.jp/sgra-in-english/2013/11/seminar_17_materials.html 3. セミナーとバタアン原子力発電所への見学ツアーの写真 http://www.aisf.or.jp/sgra/photos/ -------------------------- <マックス・マキト ☆ Max Maquito> SGRA日比共有型成長セミナー担当研究員。SGRAフィリピン代表、フィリピン大学機械 工学部学士、Center for Research and Communication(CRC:現アジア太平洋大学) 産業経済学修士、東京大学経済学研究科博士、アジア太平洋大学にあるCRCの研究顧 問。テンプル大学ジャパン講師。 -------------------------- 【2】レポート「東アジアの市民社会と21世紀の課題」中国語版 SGRAレポート第52号「東アジアの市民社会と21世紀の課題」の中国語版をウェブ発行 しましたのでお知らせします。 <本文> http://www.aisf.or.jp/sgra/member/gcitizen/report/SGRAreport52c.pdf <表紙> http://www.aisf.or.jp/sgra/member/gcitizen/report/SGRAreport52c-cover.pdf 尚、日本語版も下記リンクよりダインロードしていただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/research/ca01/52.php 【3】レポート「日英戦後和解(1994-1998)」韓国語版 SGRAレポート第66号「日英戦後和解(1994-1998)」の韓国語版をウェブ発行しまし たのでお知らせします。 <本文> http://www.aisf.or.jp/sgra/member/gcitizen/report/SGRAreport66k.pdf <表紙> http://www.aisf.or.jp/sgra/member/gcitizen/report/SGRAreport66kcover.pdf 尚、日本語版、英語版、中国語版も、下記リンクよりダウンロードしていただけま す。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/report/6619941998.php ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第47回SGRAフォーラム(2014年5月31日東京)<ご予定ください> 「科学技術とリスク社会:福島原発事故から考える科学技術と倫理」 【2】第4回日台アジア未来フォーラム(2014年6月13日台北)<ご予定ください> 「トランスナショナルな文化の伝播・交流:思想・文学・言語」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/4_1.php 【3】第2回アジア未来会議 「多様性と調和」(2014年8月22日インドネシアバリ島) http://www.aisf.or.jp/AFC/2014/ ★オブザーバー参加者募集中(4月30日まで参加費早期割引)★ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2013/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: 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  • [SGRA_Kawaraban] S. Numata “Japan, U.S., China and Korea: Time for cooler heads to prevail”

    ********************************************* SGRAかわらばん511号(2014年3月19日) ********************************************* ☆★☆日中韓の政治状況、最近は社会状況までとても厳しく、時には暴力的でさえあ ります。ここで語り合う<場>を作るのが、良き地球市民の実現をめざすSGRAの役割 りであると考え、SGRAかわらばんでは読者の皆様のエッセイを募集します。皆様の自 由闊達なご意見をお待ちしております。 ・2000字程度(短くてもかまいません) ・匿名希望の方はその旨お書きください。 ・送付先:sgra-office@aisf.or.jp -------------------------------- SGRAエッセイ#403 ■沼田貞昭「今こそ日米、日中、日韓関係について冷静に考えるべき時」 日米両国において、日米関係についてのそれぞれの国民の見方に若干懐疑的なかげり が見られる。2013年12月19日に発表された米国における対日世論に関するハリス調査 によれば、日本が信頼できる友邦であると答えた一般米国民の割合は2012年の84%か ら2013年には76%に下がり、日本では、2014年2月2日の日経電子版調査で、中国の台 頭が顕著になる中で日米同盟体制に不安を感じるとした者が80%を越えた。 これは、日米関係において最近認められる次のような変化に関連していると考えられ る。 1950年代に吉田茂総理が選択した対米依存路線は、「対米従属」への反発を招いた。 左派勢力は純粋な平和主義ないし中立を主張し、後に総理となった岸信介を含む右派 勢力は、自主独立の政策を志向した。日本は、その後50年間あまり、日米安保体制を 堅持しつつ、国際協調を旨とする平和国家として不断の外交努力を重ねて来ている。 今日、日本がより能動的かつ独自の役割を果たすことを唱える安倍現総理は、祖父岸 信介のナショナリスティックな主張と軌を一にしているとも言われている。 アメリカの戦争に巻き込まれることへの日本の不安は、1960年安保条約改訂時に顕在 化し、その後も1960年代から70年代にかけてベトナム戦争、1990年代初期の湾岸戦 争、今世紀に入ってからアフガニスタン、イラクをめぐって見られて来ている。他 方、1971年のニクソン大統領訪中のショックは、米国に見捨てられるのではないかと の日本の不安を煽った。1990年代後半に、台頭する中国の陰で日本の存在感が薄れか ねない状況の中で、「ジャパン・パッシング」と言う如何にもマゾキスチックな言葉 が日本で作られたのも、同じような感情によるものだろう。今日、米中間で「新型の 大国間関係」がどのように発展していくのかについて、日本にとってマイナスの影響 が出る可能性も含め懸念がある。そして、皮肉なことに、今度は米国の方が日中間の 紛争に巻き込まれることへの懸念を強めているように思われる。 過去70年間のほとんどを通じて、日米同盟の運営に当たっての日本の主要関心事は、 防衛面での責任分担についての米国の対日期待と日本自身ができると思っていること とのギャップを埋めることだった。今日の日本では、中国、韓国との関係における尖 閣諸島、竹島、日本の戦争の過去と言ったデリケートな問題について米国からどの程 度の助けを期待できるのかについて懸念する声が上がっている。 このようなことが相重なって、日中、日韓の軋轢に加え日米間の亀裂が内外のメデイ アに盛んに取りざたされている。宣伝合戦という観点からは、昨年12月の安倍総理の 靖国神社訪問は、日本の軍国主義復活を唱えることにより日本を孤立させようとして 来た中国の思う壷になったとも言われている。尖閣諸島、竹島といった問題につい て、歴史的事実と国際法に照らして日本の主張の正当性を主張していくことはもとよ りである。同時に、国内のナショナリスティックな感情の高まりに任せて、売り言葉 に買い言葉の応酬を繰り返していくことが、中国、韓国のみならず、米国をも含む国 際社会との関係における日本の立ち位置に好ましからざる影響を及ぼす可能性に留意 する必要がある。今や関係国が感情論を超えて冷静に考え、日米、日中、日韓のそれ ぞれの関係を軌道に戻すことが必要になっている。 この観点から、日本が世界に向けて発出するメッセージは次の点を明確にすべきであ る。 日本の国民は、時計の針を戻して軍国主義の過去を復活することを決して望んでいな い。 日本は、たとえば国連平和維持活動に対する貢献、アジア、アフリカなど世界各地の 発展途上国に対する支援にみられるように、国際協調を旨とする平和国家として不断 の努力を重ねている。 1995年の村山総理談話および1993年の慰安婦問題に関する河野官房長官談話で表明さ れた反省、お詫びの気持ちに変わりはない。 日本はアジア太平洋地域の諸国の安定と繁栄に引き続き貢献していく。現在検討が進 行中の集団的自衛権行使の容認問題は、この関連で、地域の公共財とも言える日米同 盟の一層有効な役割を実現しようとするものである。 強硬姿勢を求める国内の圧力が高まる中で、このような道を選ぶことは容易ではな い。しかし、責任ある地位にいる人たちは、自らの言動が国際社会に注視されてお り、思慮分別を欠く場合には上述のようなメッセージの明確さを損ない、さらなる猜 疑心の種を蒔く可能性があることに留意する必要がある。 (本稿は2014年3月6日日本英語交流連盟ウエブサイト「日本からの意見」に掲載され た。) ---------------------------------------- <沼田 貞昭(ぬまた さだあき)☆ NUMATA Sadaaki> 東京大学法学部卒業。オックスフォード大学修士(哲学・政治・経済)。1966年外務 省入省。1978-82年在米大使館。1984-85年北米局安全保障課長。1994-1998年、在英 国日本大使館特命全権公使。1998-2000年外務報道官。2000-2002年パキスタン大使。 2005-2007年カナダ大使。2007-2009年国際交流基金日米センター所長。鹿島建設株式 会社顧問。日本英語交流連盟会長。 ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第47回SGRAフォーラム(2014年5月31日東京)<ご予定ください> 「科学技術とリスク社会:福島原発事故から考える科学技術と倫理」 【2】第4回日台アジア未来フォーラム(2014年6月13日台北)  <論文募集中: 2014年2月28日締切> 「トランスナショナルな文化の伝播・交流:思想・文学・言語」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/4_1.php 【3】第2回アジア未来会議 「多様性と調和」(2014年8月22日インドネシアバリ島) http://www.aisf.or.jp/AFC/2014/ ★オブザーバー参加者募集中(4月30日まで参加費早期割引)★ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2013/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] M. Aikawa “Some Recent Thoughts of A Common Person”

    ******************************************************** SGRAかわらばん510号(2014年3月12日) 【1】エッセイ:相川雅弘「一庶民として最近思っていること」 【2】第13回日韓アジア未来フォーラム報告   「ポスト成長時代における日韓の課題と東アジア協力」 ******************************************************** ☆★☆日中韓の政治状況、最近は社会状況までとても厳しく、時には暴力的でさえあ ります。ここで語り合う<場>を作るのが、良き地球市民の実現をめざすSGRAの役割 りであると考え、SGRAかわらばんでは読者の皆様のエッセイを募集します。皆様の自 由闊達なご意見をお待ちしております。 ・2000字程度(短くてもかまいません) ・匿名希望の方はその旨お書きください。 ・送付先:sgra-office@aisf.or.jp -------------------------------- 【1】SGRAエッセイ#402 ■ 相川雅弘「一庶民として最近思っていること」 私は知識層でも富裕層でもない、どこにでもいるごく普通の日本人、男性、60歳で す。ちょっとだけ「ごく普通」でないとすれば、少し英語をしゃべること、学生時代 にフィリピンに1年間だけ留学していたこと、仕事で外国、特に中国に行くことが多 かったことぐらいでしょう。それとノンキャリア公務員の父の転勤で日本国内いろい ろなところで育ったせいで「ふるさと」意識がどこにもない、つまり何かに帰属して いるという意識がきわめて低いこともそのひとつかもしれません。 初めての海外経験は1973年の夏、インターナショナル・ワークキャンプで韓国のウォ ンジュからバスで入った山村で過ごしたひと月でした。貧乏学生だったのでアルバイ トで貯めたお金で関釜フェリーに乗って玄界灘を渡り鉄道でソウルに移動、そして キャンプ地にたどり着きました。(滞韓中に所謂「金大中事件」が起こりました)釜 山に着いて町に出た時、深い考えがあったわけではないまま、自分が日本人であるこ とを恥じるような気持ちで、うつ向きに歩いたことをはっきり憶えています。幸いそ の後韓国人をはじめとする外国の友人にも恵まれ、そういう思考停止状態から解放さ れて今に至ります。 冒頭で申しましたように中国での仕事が多かったものですから、そこに登場した「な んだか行儀の悪い中国人」に会う機会も多くありました。日本でよく言われる「けた たましく喋る」「自分のことばかり主張する」「ルールを平気で破る」という印象を 中国人に持っているということも正直に申し上げておいた方が良いでしょう。この点 においても私は「ごく普通」の日本人です。 しかし最近メディアがこれでもかというほど嫌中、嫌韓をたれ流していることには途 轍もない恐ろしさを感じています。明らかに意図的に世論を煽っているとしか思えな いのです。(中国、韓国から話は逸れますが、北朝鮮に関する報道で流される悪意に 満ちた日本語訳などそのわかりやすい例かもしれません)一昨年入院した時、平生は 見ることのないワイドショーで「政治問題」が井戸端会議のように語られているのに は唖然としました。ワイドショーでは有名人の「不倫問題(?)」と同列に「政治問 題」が伝えられるのですね。 そういう世間の空気を背景に(その「背景」が先なのか、先に意図的に「背景」が作 られたのかはこの際おいておきますが)日本の政治家たちの発言、行動も日に日に好 戦的になってきているのを実感しています。「話せば真意はわかってもらえる」と最 近首相、政治家のみならず各方面の公人たちが口にするようになりました。彼らがわ かってもらえると思っている「真意」とはいったい何なのでしょうか。もしも「真 意」があるのなら問題となって初めてそれを口にするのではなく、最初から「正確な 言葉」で「真意」を伝えるのが基本であって、その能力がないのなら「公人失格」と 言わざるを得ません。(「あくまで個人の感想です」とエクスキューズするサプリメ ントのコマーシャルみたいですよね) 国際問題に限らず「個人」が背負っている背景もひとりひとり異なります。「正確な 言葉」を使うことがコミュニケーションには不可欠だと思います。そのたいせつさを 今こそ再認識する必要があると痛感しています。「異なる」ことを理解するには「正 確な言葉」で自分=「個人」の感じ方(気分)を検証することから始めなくてはなら ないと思います。その「気分」は自分が実際に感じたことなのか?たれ流されている ものに「つられて」はいないか?と。 話はあちこちに飛びますが、テレビのバラエティ番組では笑い声がやたらに強調され ています。さほど面白くない出演者のジョークに視聴者が「つられて」笑うのを期待 してでしょう。確かに効果はあるようです。この「つられて」は世間に蔓延してい て、例えば居酒屋などで「つられて」嬌声を上げているグループをよく見かけます。 「つられて」をしないと親しく話せないのかなと思いながら、ひたすらそのグループ が店を去るのを待つか、こちらが店を出るかでその場をしのぎます。これがビジネス 接待や合コンの場面なら、今までもどこでも見られた、自分も混じっていたかもしれ ない光景だと理解できますが、政治、国際問題となると話はちがいます。「つられ て」中国が嫌い、韓国が嫌い。もっと言えば「つられて」「戦争準備態勢をとるのは 当然だ」という世論の流れが出来つつあるのだとしたら本当に恐ろしい。 だからこそ感覚的、抽象的、文学的で“わかりやすい”政治的な、あるいは公的な発 言は警戒すべきだと思いますし、それが「正確な言葉」かどうか、「真意」はどこに あるのかを嗅ぎ分ける力が「ごく普通」の人間にも求められているのだと強く思いま す。さきほど「その背景が先か、先に意図的に作られたものか」と申しました。世間 の空気の一部は「自分」が担っているという自覚がなければ、嫌中、嫌韓がなだれ込 んでしまうかもしれない深刻な事態に対して、あまりにも無責任だと考えます。現在 の国際関係はどういう経緯をもとに成立しているのか、その基本的な歴史認識は「そ れがルール」と知っておくべきでしょう。「あの時は相手だって悪かった」では通用 しないという「ルール」であるということを。60歳の私はその「ルール」を元に豊か になっていった日本で育ち60年間暮らしているのですから。 先述しましたように、引越し族の子供だったせいか、私には「ふるさと」帰属意識が 希薄です。日本は生まれて以来ほとんどの期間を暮らしている場所ですし、外国語も そんなに得意ではないので海外から帰ってきた時など日本語が通じることにほっとし ます。それに当然のことですが、友人、たいせつな人たちに占める日本人比率は圧倒 的に高い。しかしこれは「日本人が好き」とか「日本が好き」というのとはちょっと ちがいます。私にとっての「ふるさと」はたいせつな人のいる心地よいところ、とい うほどの意味しか持ちません。そして、そんなにたくさんではないけれど、たいせつ な友人には韓国人、フィリピン人、アメリカ人、ボリビア人、タイ人、ヴェトナム 人、ラオス人などが含まれています。(親しい中国人は今のところまだいませんが、 そのうち出会うでしょう) 日本の文化はその中で育ったので概ね心地よく、大げさな言い方をすれば「愛して」 いますが、ことさら強調されて使われる「愛国心」は私の中には見あたりません。そ ういう「愛国心」に基づいて、たいせつな人たちがいる国と嫌い合う、その先に戦争 になってしまう、もっとはっきり言ってしまえば、殺し合うのは絶対に嫌です。私に とって「国家」より「個人」の方がずっとリアリティのある対象だから当然です。そ ういうたいせつな「個人」を、そんなに多くではないけれど、外国人にも持っている 「個人」として、“「つられて」嫌中、嫌韓”が招いている(あるいはそれを利用し ている)戦争準備状態的な時代気分に飲み込まれるつもりはありません。思考停止し ないよう自分を見張って、できるだけ「正確な言葉」で「異なる」もの、人、文化と 鷹揚にお付き合いしていきたいと思う所以です。新しいともだちを得るのはとても楽 しいことですしね。 -------------------------------- <相川雅弘(あいかわ・まさひろ)☆ Masahiro Aikawa> 1953年生まれ。小学生で3回転校し、17歳の時ミュージシャン活動を開始。その後国 際基督教大学入学。大学3年時にフィリピン、アテネオ・デ・マニラ大学に1年留学。 大学院修士過程(比較文化研究科)を中退して再び音楽の世界に戻る。10年前レコー ド会社を退職した後は細々とプロデュース、作詞、作曲、ピアノ弾き、雑務、家事を しています。 -------------------------------- 【2】第13回日韓アジア未来フォーラム報告 ■ 金 雄熙「第13回日韓アジア未来フォーラム『ポスト成長時代における日韓の課題 と東アジア協力』報告」 2014年2月15日(土)、高麗大学の現代自動車経営館で第13回日韓アジア未来フォーラ ムが開催された。今回は「ポスト成長時代における日韓の課題と東アジア協力」とい うテーマで行われたが、今後5年間のプロジェクトの初年度として、いくつかのテー マを総合的に検討した。 日本は、地震をはじめ自然災害への対策、鉄道システム、経済発展と環境負荷軽減及 び省エネルギーの両立、少子高齢化への対処など、多くの分野において関連する経験 や技術の蓄積、優位性を有している。一方、いまや日本以上に課題先進国といわれる ようになった韓国の経験や悩みもまた、東アジア地域における将来の発展や地域協力 の在り方に貴重な手掛かりを提供する。今回のフォーラムは、日本と韓国の経験やノ ウハウを生かした社会インフラシステムを、東アジア地域及び他国へ展開する場合、 何をどのように展開できるか、そして東アジアにおける地域協力、平和と繁栄におい てもつ意義は何なのかについて探ってみる場となった。 フォーラムでは、未来人力研究院理事長の李鎮奎教授による開会の挨拶と、今西淳子 SGRA代表の挨拶に続き、4人の研究者による発表が行われた。基調講演で東京財団の 染野憲治氏は、北東アジアの気候変動対策と大気汚染防止に向けて、今後のエネル ギー計画の明確な将来像を描きにくい状況下において、日中韓の専門家、市民運動家 は比較検討を通じて相互に客観的な理解を深め、適切な対応策を探ることが求められ ていると提言した。次に韓国国防大学校安全保障大学院の朴栄濬教授が、北極海をめ ぐって新しい協力の可能性が芽生えていることに注目し、北極海をめぐる関連諸国の 政策を検討した上で、日中韓相互協力の可能性を検討した。そして北陸大学未来創造 学部の李鋼哲教授は、北東アジアの多国間地域開発と物流拠点としての図們江地域開 発が、近年どのように変貌しているのかについて報告を行った。最後の国民大学の李 元徳教授は、日韓が協力して東アジア地域及び他国へ展開する場合、何をどのように 展開できるか、そして新時代における日韓両国の協力が東アジアの平和と繁栄にもつ 意義について持論を展開した。 コーヒー・ブレークを挟んで東京大学の木宮正史教授、韓国交通研究院北韓・東北亜 交通研究室の安秉民室長、内山清行日本経済新聞ソウル支局長、李奇泰延世大学研究 教授、李恩民桜美林大学リベラルアーツ学群教授らによる活発な討論が続いた。課題 先進国日本、そして日本以上に課題や悩みを抱えている韓国が課題と悩みを共有しな がら、これからいかにアジアへ国際公共財を提供していくか、これこそが課題ではな いかとの意見が多かったように思われる。 特筆すべきは、2年前の第11回フォーラムも高麗大学LGポスコ経営館で行われたが、 今回も同大学の現代自動車経営館で開催されたことである。高麗大学の経営学部だけ で2つの立派な独立した建物をもっているわけであるが、とりわけ現代自動車経営館 は李鎮奎理事長が学部長(兼経営専門大学院長)在任中に現代自動車からの寄付金で 建てられたそうである。この点は、李先生が繰り返し強調されたことなので、この場 を借りて改めて取り上げておく。「首都圏地方大学」(首都圏に所在しながらも地方 大学のように経営環境がよくない大学のこと?)の教員の私からすると、うらやまし いどころか唖然とするぐらいの施設である。「富める者は益々富み、貧しい者は益々 貧しくなる」という「富益富、貧益貧」が大学社会でも当てはまることを実感した。 私が学生の頃から、いや大昔から、高麗大学は民族精神に徹した大学というイメージ が強かった。その「民族高大」で日本語のみでの学術会議が開催されたことも特筆す べきであろう。「民族高大」で日本語のみでのフォーラムを行っても全く違和感がな い理由はいくつかあるように思われる。一つは今は高麗大学が「グローバル高大」を 目指しているからであり、もう一つはもっぱらフォーラム運営上の予算節約のためと の説である。さらに主催側の戦略的な試みという解釈もできるが、この点については 更なる検討が必要であろう。いずれにしても、私は高麗大学出身ではないので、高麗 大学の宣伝になることはこのぐらいにしておこう。 この他にも今回のフォーラムは、いくつかの点で印象に残る会議であった。フォーラ ムに大学や研究機関の研究者のみならず、現場で日韓両国の課題や悩みを肌で感じる マスコミや政府関係者も加わり、多様な立場から立体的に検討することの持つ意義に ついて実感できたことも評価すべき点ではないかと思われる。また、今回のフォーラ ムが非公開で行われたにもかかわらず、3名の方から問い合わせがあり、参加に至っ たことは、これからのフォーラム運営に活力を与えると思われる。なお、今回は渥美 理事長にもご参加いただき、フォーラム終了後懇親会が終わるまで長時間にわたって お付き合いいただいたことも力強い励ましとなった。公式乾杯酒の「春鹿」の「任務 完了」、そして入り混じったラブショットも楽しいものであった。 これから「ポスト成長時代における日韓の課題と東アジア協力」について、実りのあ る日韓アジア未来フォーラムを進めていくためには、総論的な検討にとどまらず、各 論において掘り下げた検討を重ねていかなければならない。次回のフォーラムの開催 に当たっては、このような点に重きを置きつつ、研究者でもある自分の責務として重 く受け止めつつ、着実に進めていきたい。最後に日韓アジア未来フォーラムがガバナ ンスの安定性、そして懇親会での乱れという本来の姿を取り戻したことを自ら祝いな がら、第13回目のフォーラムが成功裏に終わるよう支援を惜しまなかった李先生と今 西代表に改めて感謝の意を表したい。 当日の写真を下記リンクよりご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/photos/ -------------------------------- <金雄煕(キム・ウンヒ)☆ Kim Woonghee> 89年ソウル大学外交学科卒業。94年筑波大学大学院国際政治経済学研究科修士、98年 博士。博士論文「同意調達の浸透性ネットワークとしての政府諮問機関に関する研 究」。99年より韓国電子通信研究員専任研究員。00年より韓国仁荷大学国際通商学部 専任講師、06年より副教授、11年より教授。SGRA研究員。代表著作に、『東アジ アにおける政策の移転と拡散』共著、社会評論、2012;『現代日本政治の理解』共 著、韓国放送通信大学出版部、2013;「新しい東アジア物流ルート開発のための日本 の国家戦略」『日本研究論叢』第34号、2011。最近は国際開発協力に興味をもってお り、東アジアにおいて日韓が協力していかに国際公共財を提供するかについて研究を 進めている。 ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第47回SGRAフォーラム(2014年5月31日東京)<ご予定ください> 「科学技術とリスク社会:福島原発事故から考える科学技術と倫理」 【2】第4回日台アジア未来フォーラム(2014年6月13日台北)  <論文募集中: 2014年2月28日締切> 「トランスナショナルな文化の伝播・交流:思想・文学・言語」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/4_1.php 【3】第2回アジア未来会議 「多様性と調和」(2014年8月22日インドネシアバリ島) http://www.aisf.or.jp/AFC/2014/ ★オブザーバー参加者募集中(4月30日まで参加費早期割引)★ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2013/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Li Jun “We are Neighbors”

    **************************************************** SGRAかわらばん509号(2014年3月5日) 【1】エッセイ:李 軍「お隣さんだね」 【2】第46回SGRAフォーラム「インクルーシブ教育」報告 【3】新刊紹介:小菅信子「放射能とナショナリズム」 ***************************************************** 【1】SGRAエッセイ#401 ■ 李 軍「お隣さんだね」 ◇エレベーターの中の「お隣さん」 自宅はエレベーター付きの14階建ての3階にある。誰かがエレベーターに乗ろうとす ると、郵便物を見るふりをしたり、玄関のところで少し時間を潰したりして、できる だけ一緒に上がることを避けるのがこのマンションの暗黙のルールのようである。自 分が先に上がった時も、先着者に上がられた時も、何だか寂しいような、気楽なよう な、不思議な気持ちになる。 ある日の出来事。偶然親子と一緒にマンションに入ったので、そのまま一緒にエレ ベーターに乗ることになった。というより、5、6歳の、とても可愛らしい男の子をつ いつい見入ってしまったので、「一緒に上がることにした」といったほうが正しいか もしれない。エレベーターの中で、男の子が「こんにちは!」と元気よく挨拶してく れたので、こちらも「こんにちは!何階ですか?」と笑顔で聞いてみた。「10階をお 願いします」とお母さんが答えたので、私は「10階」と自宅の「3階」を押した。そ したら、男の子が「あっ!お隣さんだね。」と嬉しそうに言った。最初は分からな かったが、階数の表示板を見ると、「3」と「10」が横並びになっていることに気づ いた。「そうですね、お隣さんですね」と私も若いお母さんも微笑んだ。 この小さな出来事で、いつも利用しているエレベーターなのに、自宅の階数の「3」 しか見ていないことに気づかされた。そして、このマンションのエレベーターの乗り 方だけでなく、大人社会の「暗黙ルール」の本当の問題点にも気づかされたような気 がした。 ◇電車の中の「お隣さん」 電車に乗ることが好きなのは、人間観察ができるからである。電車の揺れ具合に合わ せて、今にも倒れそうな、爆睡した女子高校生を微笑んで見守る中年の女性もいれ ば、無理につり革をつかもうとするおじいさんを睨むサラリーマンもいる。人と人の 距離をうんと縮めた電車の中では、人間の内面と外面、社会生活の縮図を垣間見るこ とができる。 ある日の出来事。朝の9時台で、電車の中はそこそこ混雑していた。ドアの近くに 立っていた70代のお年寄りが急にしゃがんで苦しそうな表情で膝を揉み始めた。それ を見て、ちょっと離れたところに座っていた30代の女性が立ち上がって、お年寄りの 病状を見に行き、席を譲ろうとした。その時だった!女性が席を立ったのを見て、 ずっとスマートフォンの画面をいじっていた隣の男性(スマホ男と呼ぶとする)が何 事もなかったように女性の席に座り、引き続きスマートフォンの画面をいじってい た。その隣に座っていた男性は、お年寄りの病状や女性が席を立った理由をちゃんと 見ていたが、スマホ男の「席横取り」に何も言わなかった。結局、ドア近くのお年寄 りはあまり歩けないようで、その近くの座席に座ることになった。見舞いに行った女 性は、自分の席に戻って複雑そうな表情で理由を説明し、席を返してもらったが、ス マホ男は終始無表情でスマートフォンをいじり続けていた。 ネット社会や携帯電話の普及によって、私たちは簡単に情報を手に入れることがで き、タッチ一つで世界と「繋がる」ことができるようになった。しかし、多くの情 報、多くの見知らぬ「友人」に囲まれているうちに、いつの間にか「参加者」ではな く、「観客席」に座るような感覚になって、何が起こっても漠然と見ることしかでき なくなった。 ソチ五輪では、国と国の戦い、個人と個人の戦いになっているが、2月13日に行われ たクロスカントリーの試合で、スキー板が破損したロシア選手のところにいち早く駆 けつけて替わりのスキー板を提供したのはカナダのコーチであった。厳しい戦いを展 開するオリンピックではあるが、国、ライバルといった境界線を越え、隣同士の助け 合い、喜び合いが生まれる感動の場でもある。「観戦者」ではなく、「参加者」であ る、「国」ではなく、「お隣さん」であるという認識があったからこそ、オリンピッ ク精神を生み出したのであろう。カナダのコーチはエレベーターの中の男の子と同じ 考え方を持っているのかもしれない。 東日本大震災からいよいよ3年目を迎える。これから被災地に関する様々な情報が多 く流れてくることであろう。「観客席」に座って漠然と見るか、それとも「参加者」 として「お隣さん」に何かをするか、考えさせられる時期である。 そして、同じ地球(ほし)、同じアジアに住む日本、中国、韓国。住む階数が異なる かもしれないが、エレベーターで一緒に上がった時や廊下で出会った時、電車の中の 「スマホ男」のように自分の世界だけ見つめるのでなく、エレベーターの中の男の子 のように、笑顔で心地よく「お隣さんだね」と挨拶し合える日が来ることを、心より 願っている。 -------------------------------------- <李軍(リ ジュン)☆ Li Jun> 中国瀋陽市出身。2013年に早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程修了、博士号 (教育学)を取得。現在早稲田大学、学習院大学で非常勤講師を勤めている。漢字・ 語彙をはじめ、作文指導や表現指導など日中国語教育の比較研究に取り組んでいる。 -------------------------------------- 【2】第46回SGRAフォーラム報告 ■ 権 明愛「SGRAフォーラム『インクルーシブ教育』報告」 2014年1月25日(土)午後、東京国際フォーラムにおいて「インクルーシブ教育:子 どもの多様なニーズにどう応えるか〜」をテーマに第46回SGRAフォーラムが開催され ました。 今回のフォーラムの開催に当たって、最初は障害のある子どもの教育についての話か ら始まりましたが、企画を進めていく中、インクルーシブ教育をテーマにしたフォー ラムへと広がりました。インクルーシブ教育という言葉は、元々障害のある子どもへ の教育を考える過程で生まれた概念ですが、ユネスコでは、「学習、文化、コミュニ ティへの参加を促進し、教育における、そして教育からの排除をなくしていくことを 通して、すべての学習者のニーズの多様性に着目し対応するプロセスとして見なされ る」と定義しています。このインクルーシブ教育の定義に沿って日本の教育問題を考 えると、障害のある子どもの教育問題の他に、外国籍労働者の子どもたち、家庭や経 済的な事情により学業に困難を伴う子ども等、色々なニーズを持つ子どもへの対応が 求められることが分かります。「学習等への参加、排除をなくす」「多様性への着目 と対応」がインクルーシブ教育のキーワードなのですが、上述の多様なニーズを持つ 子どもの教育の問題は、教育の周辺課題として扱われてきた印象を受けます。「イン クルーシブ教育」という言葉そのものの認知もあまり進んでおらず、インクルーシブ 教育を実現していくのにはまだまだ多くの課題があると思われます。 今回のフォーラムでは、インクルーシブ教育の実現に向けて、障害のある子どもや外 国籍の子どもへの支援の実際を踏まえながら、日本の教育がこれからの子どもの差異 と多様性をどう捉え、権利の保障、多様性の尊重、学習活動への参加の保障にどのよ うに向き合うべきかについて議論の場を提供することを目的としました。 茨城大学教育学部の荒川智教授は、基調講演「インクルーシブ教育の実現に向けて」 において、障害者権利条約と教育条項に触れながら、インクルーシブ教育を、教育シ ステムやその他の学習環境を学習者の多様性に対応するため如何に変えるかを追求す るアプローチとし、それを実現するには通常教育そのものの改革が不可欠であると指 摘し、学習者の多様なニーズに対応できる通常教育の改革のあり方について丁寧にお 話しされました。 続いて、特定非営利活動法人リソースセンターoneの代表理事である上原芳枝さんか らは「障碍ある子どもへの支援について」、川崎市多文化活動連絡協議会の代表であ る中村ノーマンさんからは「外国につながりを持つ子どもへの支援について」をテー マに、実践の場の現状とその取り組みについてお話をしていただきました。上原さん と中村さんの講演内容を受けて、SGRA会員で日本社会事業大学社会福祉学研究科博士 課程のヴィラーグ ヴィクトルさんと東京大学総合文化研究科博士課程の崔佳英さん が指定討論としてそれぞれ問題提起をしました。 3人の講演を終えた後は、休憩をはさみ、フォーラムの第2部であるパネルディスカッ ションに移り、第1部での問題提起とフロアからの質問をめぐって熱い議論が展開さ れました。 会場からは、「教育現場において、インクルーシブ教育を推進していくに当たって、 具体的にどのような取り組みが実際に必要か」「インクルーシブ教育の推進には社会 の意識改革が大事だが、まず親や地域が多様なニーズを持つ子どもの、教育に対する 意識改革をするのにはどうしたら良いか」等、子育てを終えたお母さんとお婆さんか らの質問がありました。また、「子どもの多様性に応えるためには、国の教育政策も 大事だが、より現場の実用に合わせて現場から提案し、柔軟に対応していくことが大 事ではないか」「子どもの多様なニーズを尊重するためには既存の学校教育の枠組み を崩し、子ども一人ひとりのニーズにあった学びをすれば良いのではないか」等の質 問をめぐっての議論も絶えませんでした。 会場からのこれらの質問に対し、3名の講師の方からは、「国が多様なニーズを持つ 子どもをどのように育てて行きたいのかを考えていく必要がある」、「多様性に応え る教育が目指す先にはどのような社会を目指すかの問題があり、子どもの多様なニー ズに応えるのには財政的な負担がかかると思われがちだが、合理的な配慮という視点 からそのような偏見を見直し、教育財政の正義論の構築も必要である」、「障害児が 教育を受ける権利を享受するには長い道のりが必要であった経験から、既存の学校教 育の枠組みの中で多様なニーズを持つ子どもへの対応を求めていくことは、子どもの 教育を受ける権利の保障に繋がることである」、「学校現場で多様なニーズを持つ子 どもを支えていくためには、具体的に教員が子ども同士の関係調整の役割を果たしな がら、子ども一人ひとりと丁寧に向き合う眼差しやクラス運営についての工夫が必要 である」等の提言がありました。 パネルディスカッションでは、予定の時間を大幅に超えて熱気溢れる議論が行われま したが、その後の夜の懇談会では、さらに3人の講師を囲んで、美味しい中華料理を いただきながら教育の話を続けました。 フォーラムの企画の段階でも予想がついていましたが、会場の60数名の聴講者の半数 以上がインクルーシブ教育という言葉を聞いたことがないと答えていました。このよ うに、インクルーシブ教育を実現していく道のりはまだまだ長いですが、今回のよう な場を設け、議論を重ねていくことが大切なのではないかと思います。ご講演いただ いた3名の講師の方と、インクルーシブ教育に興味関心を寄せてご出席された参加者 のみなさまと、このような議論の場を設けてくださったSGRAの皆さまにお礼を申し上 げます。 (注:「障害」に関する表記には、他に「障碍」「障がい」等があります。本文にお いては「障害」を使用し、上原さんについての記述箇所はご本人の発表資料の表記に 従い「障碍」としました。) 当日の写真は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/photos/index.php?spgmGal=SGRA_Forum_46_by_Jeon --------------------------- <権 明愛(けん・みんあい)☆ Quan Mingai> 十文字学園女子大学人間生活学部幼児教育学科専任講師。中国で大学を卒業して来日 し、埼玉大学教育学研究科で教育学修士、日本社会事業大学社会福祉学研究科で福祉 学の博士を取得。埼玉医科大学総合医療センター小児科発達外来非常勤心理士、白梅 学園大学子ども学部子ども学科非常勤講師、社会福祉法人嬉泉子どもの生活研究所非 常勤支援員、清瀬市子どもの発達支援・交流センター支援員、十文字学園女子大学人 間生活学部幼児教育学科の有期助手を経て、現在に至る。最近は、障害者支援施設で の実践アドバイザー及び保育園での発達相談等の活動をしながら障害児者の教育、福 祉に関する実践研究を行っている。主著に『自閉症を見つめる−中国本土における家 庭調査研究と海外の経験』(中国語、共著)、『成人知的障害者及び家庭の福祉政 策』などがある。 --------------------------- 【3】新刊紹介 SGRA特別会員で山梨大学教授の小菅信子様より近著をご寄贈いただきましたので、ご 紹介します。 ■ 小菅信子「放射能とナショナリズム」 政府や東電、学者に対する強い不信と、マスメディアや論壇の機能不全により、いま 日本を〈不信の連鎖〉が覆いつくそうとしている。 「唯一の被爆国」として、核兵器なき平和な世界の実現をナショナル・アイデンティ ティとして育んできた日本だが、大震災と原発事故後、非論理的でセンセーショナル な〈反原発熱〉にうかされ、デマや差別、暴言がとびかう構造的暴力が出現した。 原発推進派のレッテル貼り、反原発美談、原子力をめぐる「安全神話」から「危険神 話」への単純なシフト。だが、実際には、原子力の神話化がより強化されただけでは ないのか? イデオロギーで潤色し、極端な二項対立で問題を過剰に政治化する—これは、つねに 感情的なテーマであり続けた歴史問題をめぐる言説と通底するのではないか?いま日 本を呪縛する「放射能による不信の連鎖」を断ち切るための提案とは。 http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-7010-2.html 発行所:株式会社彩流社 四六判 / 192ページ / 並製 定価: 1800円 + 税 ISBN978-4-7791-7010-2 C0336 発行年月:2014年03月11日 ************************************************** ☆★☆日中韓の政治状況、最近は社会状況まで、とても厳しく、時には暴力的でさえ あります。ここで語り合う<場>を作るのが、良き地球市民の実現をめざすSGRAの役 割りであると考え、SGRAかわらばんでは読者の皆様のエッセイを募集します。皆様の 自由闊達なご意見をお待ちしております。 ・2000字程度(短くてもかまいません) ・匿名希望の方はその旨お書きください。 ・送付先:sgra-office@aisf.or.jp ● SGRAカレンダー 【1】第47回SGRAフォーラム(2014年5月31日東京)<ご予定ください> 「科学技術とリスク社会:福島原発事故から考える科学技術と倫理」 【2】第4回日台アジア未来フォーラム(2014年6月13日台北)  <論文募集中: 2014年2月28日締切> 「トランスナショナルな文化の伝播・交流:思想・文学・言語」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/4_1.php 【3】第2回アジア未来会議<> 「多様性と調和」(2014年8月22日インドネシアバリ島) http://www.aisf.or.jp/AFC/2014/ ★オブザーバー参加者募集中(4月30日まで参加費早期割引)★ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2013/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] U. Flick “How to Face Up to the Responsibility of War”

    ******************************************** SGRAかわらばん508号(2014年2月26日) ******************************************** ☆★☆日中韓の政治状況、最近は社会状況まで、とても厳しく、時には暴力的でさえ あります。ここで語り合う<場>を作るのが、良き地球市民の実現をめざすSGRAの役 割りであると考え、SGRAかわらばんでは読者の皆様のエッセイを募集します。皆様の 自由闊達なご意見をお待ちしております。 ・2000字程度(短くてもかまいません) ・匿名希望の方はその旨お書きください。 ・送付先:sgra-office@aisf.or.jp --------------- SGRAエッセイ#400 ■フリック・ウルリッヒ「戦争責任との向き合い方—日独比較」 最近日本と中国及び韓国との関係が緊張を増している。領土の問題に加えて、安倍総 理大臣を含めた政治家による靖国神社への参拝が、両国の関係をさらに悪化させた。 また、英語圏のメディアでも、NHK会長による問題発言が頻繁に報道されている。 しかしながら、一方では、欧米の一般市民が東アジアの政治的な動きにあまり関心を 示さないことも事実である。グローバリゼーションが進むにもかかわらず「世界の彼 方」に起こった動きが自分とどのような関わりがあるのか、という認識を持つ人はあ まり多くはない。自己中心的な世界観は危険であると思えてならないが、このような 世界観を抱くことは決して欧米に限った現象ではない。 本稿では、最近のニュースから浮かび上がり、今、改めて問われている戦争責任にか かわる問題について考えてみたい。学者間の論争ではなく、日本とドイツを比較しつ つ、社会における戦争・戦争責任との向き合い方について考えてみる。 日本人と話をする際、特に初対面の方と話をする際に、よく「どのような研究をして いますか」と質問される。私の研究は「第二次世界大戦と関係しています」と説明す ると、最も多く耳にする反応は「暗い歴史だけど、実際、何が起きたかは詳しく知り ません」という発言である。こうした受け答えの中から、私は、多くの日本人は第二 次世界大戦の出来事を知らないという印象を抱いている。高等学校の先生をしている 友人とも話してみたが、教科書に大戦についての記述は確かにあるが、求められる授 業の範囲が広いため、毎年、近現代史に属する第二次世界大戦について「教える時間 が残されていない」という答えであった。日本には偏った歴史観を記している教科書 として国際的に問題視されるものもあるが、むしろ、歴史教育のカリキュラムそれ自 体に大きな問題があると思えてならない。 さらに、メディアにおける戦争の扱いにも問題がある。教育の場合と異なり、戦争が メディアに全く取り上げられないわけではない。メディアは戦争の様々な側面を扱っ ているが、特に多いのが広島、長崎への原爆や空襲など、日本が受けた被害、そして 一般人の苦しみについての番組である。当時の日本人が受けた被害、そして彼らの苦 しみは歴史的な教訓でもあり、当事者への尊敬を込めてそれらを記憶し、次の世代に 伝えるべきだと私も考えている。しかし一方で強い違和感を覚えるのは、被害の側面 が注目されるのに対して、加害の側面が無視されがちなことである。 それは第二次世界大戦に限らない。数年前に放送された「坂の上の雲」というNHKの 大河ドラマに促されて、多くの日露戦争についての番組が放送された。しかし、残念 ながら、故郷が戦場となった中国人が受けた被害を取り上げる番組を、私は一つも見 ていない。このような現象は東アジアでは決して珍しくはないが、日本社会では明ら かに日本人のみが被害者であると取り上げる傾向が強い。 幕末・明治維新の頃に起きた西洋との衝突に結びついた被害者意識が、教育やメディ アによって伝承されている。しかし、この被害者意識だけではなく、北朝鮮は特別な 例としても、隣国の中国及び韓国では、反日の感情が長年政治的に利用されてきたの も事実である。日本を含めて東アジアの国々は悪循環に陥り、政治的なメカニズムに 巻き込まれている。だが、そのような動きは確かに以前から存在しており、日本が正 式に相手国に対して謝罪したとしても、それのみで問題が解決されるわけではないだ ろう。それぞれの国にとって都合の良い歴史の受け止め方によって、現在の東アジア は、極めて深刻な問題に陥っていると思われる。 このような問題に関連して、「ドイツが第二次世界大戦に対してしっかりと反省を 行った」とドイツ人として褒められることもあるが、やはりドイツにも問題がある。 次にドイツ社会における戦争・戦争責任問題との向き合い方について述べたい。 終戦直後、ドイツ人からナチス思想を取り除くため、連合国の監督下でいわゆる非ナ チ化が施行されたが、長い間、主体的な反省が行われず、学校でも第二次世界大戦に ついて教えられなかった。以下の事柄は、以前人から聞いた話によるものが多いの で、正確な事実ではないかもしれないが、ドイツ人が主体的な反省を行うようになっ たのはおそらく70年代、早くとも60年代からであり、それに伴い第二次世界大戦につ いての内容も学校のカリキュラムに導入された。 この変化に1968年の学生運動が重要な役割を果たしたが、何故それまでドイツでは第 二次世界大戦についての反省が行われなかったかについて考えてみたい。 国を建て直すには、ある程度、元第三帝国のエリートと協力する必要が連合軍に生じ たため、特にその社会階層に非ナチ化が徹底しなかったということはすでに常識と なっている。そのため、最初の頃には、特に政界及び経済界に第三帝国の歴史を整理 する意欲があまりなかったことも考えられる。それに加えて、当時のドイツは国や社 会の立て直しに迫られた。例えば、1200万人以上の旧東ドイツ、そして東ヨーロッパ から追放されたドイツ人を戦後社会に取りこまなければならなかった、という問題を 聞けば、当時、どれほど大きな課題を直面したのかは容易に想像できるだろう。 さらに、個人の次元では第三帝国が起こした戦争は、一種のトラウマではないかと思 う。狂った時代に生きて、敗戦によってすべてが崩れてしまい、当事者たちは大きな ショックを受けたことだろう。私の祖母も第三帝国に関わるほとんど全てのものを捨 ててしまい、亡くなるまでに一度しか第二次世界大戦について話してくれたことがな かった。祖母にとっては第三帝国や大戦のことが、極めて恥ずかしいこと、語るに忍 びないことであったのだろう。 私が「歴史学者として知るべき」という理由で、日本人の友人が、いささか無理をお して、自分のお祖母さんに、米軍による占領を目の前にして日本の国民学校で何を教 えられたかという話をしてもらったことがあった。その時も、友人のお祖母さんが当 時のことを極めて恥ずかしく思っている印象を受けた。そのようなトラウマを整理す るには、おそらくある程度の時間が必要であり、終戦直後は、ドイツ人にも、日本人 にも不可能だったかもしれない。 ドイツでようやく60年代より積極的に第三帝国において起きたことを分析するように なったのは、間違いなく1968年の学生運動に起因する。第三帝国の当事者の子供の世 代が、当事者の世代に第三帝国によって侵された罪を隠そうとしているという非難を 向け、社会に大きな動揺をもたらした。そのため、次第に主体的に第三帝国について 反省するようになり、第三帝国についての内容が学校教育に導入された。 しかしながら、学生運動の立場にも、大きな問題点が潜在していたと私は考えてい る。例えば、文学作品からも読み取れるのだが、学生運動には独善的な色彩が強く、 それゆえに反省の方向にゆがみが生じた。運動を担う者たちには、自分ならば第三帝 国のような罪を犯さなかったという強い自己認識があったように思われる。その理由 については後述するが、現在のドイツ人が第三帝国当時のドイツ人であったとした ら、同じ条件でその暗い歴史を起こさなかったと断言できないのではなかろうか。 まず、現在のドイツで行われる学校教育についてだが、ドイツでは学校教育を中央政 府ではなく、州政府が管理している。そのため、州によって教育制度と、その内容に 一定の差がある。とはいえ、第三帝国の歴史を何度も繰り返し教えるのが普通であ る。私もこのような教育を受けたが、生徒として「飽きてはいけない」と自分に言い 聞かせながらも、何度も同じことを教える授業に飽きてしまったことは事実である。 さらに、第三帝国の歴史はドイツ人の宿罪であるように教えられる傾向が強い。その ため、結果としては自分の国を好きになれず、自国に誇りを持てない青少年が多く 育ってくる。極めて攻撃的、そして侵略的な愛国心がどのような悲劇を起こしたかは 第三帝国の歴史が証明している。しかしながら国民国家の形成に伴って、いわゆる国 民のニーズの一つとして愛国心が誕生したわけであるが、このような愛国心をあまり に抑えすぎると、それがまた歪んでしまう危険がある。 現在、ドイツでも特にスポーツイベントをきっかけに国旗を振りながら街中を駆け回 り、盛り上がるようになっているが、実はそのような行動はつい最近まで全くあり得 なかった。今日このような風景を見て、解放された気持ちを持つが、条件が変われ ば、このあまりにも長く抑えられてきた愛国の情熱がまた暴力として勃発する危険性 が潜んでいるとも感じられ、単純に喜ぶことはできない。 次にドイツのメディアについてだが、大戦や第三帝国についての扱いに危惧を感じる ことがある。学校教育と同様に第三帝国はドイツ人の宿罪のように扱われ、ヒトラー が「悪魔」や「モンスター」として抽象化される表現が目立つ。宿罪という世界観も 問題であるが、ヒトラーの抽象化にも問題がある。 ヒトラーは悪魔やモンスターではなく、一人の人間だった。普通、「非人間的」とい う言葉を使うが、人間こそが蛮行を行うという事実を認めない限り、いつかどこかで また同じようなことが繰り返されるのを防ぐことはできない。いずれにせよ、現在の ドイツ人は、自らに罪責感を抱き、ヒトラーのような人物を悪魔として抽象化にする ことによって、自分にとってある意味、言い訳を作り上げていると思う。なぜなら、 単に罪を認め、そしていわゆる悪魔に責任を押し付けることによって、自分に一番難 しい課題から逃げる道をあたえていると言わざるをえない。 真正面から歴史と向き合い、何故あのような歴史が起きたかを徹底的に理解するべき である。この意味で、ドイツで行われてきた第二次世界大戦についての反省が成功し たとは言えないであろう。 宿罪、つまり前の世代が犯した罪が自分の身に及んでいるとは思えないが、ドイツ人 として自分の国の歴史に責任があり、その責任を取るべきだと考える。このような責 任とは何かといえば、悪かったところを公式に認め、被害者に謝罪することも含まれ るが、何よりも上述したように真正面から歴史と向き合い、歴史を徹底的に理解し、 そして、それを繰り返すのを阻止することに努めることである。 第二次世界大戦で起きた大虐殺などは、モンスターではなく、私たちと同じような人 間が起こした現実である。何故、人間がそのようなことを起こすのか、どのような条 件で起こすのかを徹底的に理解しない限り、同じような歴史の繰り返しを阻止するこ とはできない。規模が違うとしても、今でも歴史が繰り返されているのは事実であ る。個人のレベルでいえば、人を軽率にいじめたり、差別したりしている。 人間こそが、このような恐ろしい歴史を起こしたという意識を育てると共に、正しい 人間としてどのように行動すべきかを考え、道徳に基づく価値観を身につける教育を 行うことが大切な対策ではないかと考える。ドイツで行われてきた反省が以上のよう な点で欠けているので、現在のドイツ人があの時代のドイツ人と性質上異なり、同じ 状況に陥ったとしても同じことは絶対に起こさなかった、とは思えない。 第二次世界大戦の歴史を加害者・被害者のカテゴリーで分析することが多いが、史実 は決してそれほど単純なことではなく、歴史を理解する手掛かりとしておそらくあま り役に立たないと思われる。しかも、都合がいい時に政治的に利用されることも多 い。自分の歴史に責任を持っているのは、ドイツや日本、全ての国が同じある。いわ ゆる加害者であるのみならず、被害者が加害者になったり、加害者が被害者になった りする場合もあり、相手がいわゆる加害者だから、自分が犯した罪が罪ではないと言 えるはずがない。勝利者か敗北者かにかかわらず、すべての人が真正面から歴史と向 き合い、お互いに悪かったところを認めない限り、歴史を克服し、そしてその繰り返 しの阻止ができるはずもない。 現在でも、どの国でも、第二次世界大戦を歴史的な教訓としてしっかりと捉えない傾 向が強いことを、私は感じている。歴史の中の出来事としての大きさからすれば、第 二次世界大戦は実は当事者のみならず、人間そのものにとっての歴史的な教訓であろ う。 ------------------------------------------- <フリック・ウルリッヒ Ulrich Flick> ドイツ・ハイデルベルク大学東アジア研究センター博士課程。2001年、中国研究と日 本研究を専攻としてハイデルベルク大学修士課程へ入学。北京及び東京留学を経て、 2009年修士課程を卒業。同年、博士課程へ入学。2010年後期より2013前期まで早稲田 大学外国人研究員。 ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第47回SGRAフォーラム(2014年5月31日東京)<ご予定ください> 「科学技術とリスク社会:福島原発事故から考える(仮)」 【2】第4回日台アジア未来フォーラム(2014年6月13日台北) <論文募集中: 2014年2月28日締切> 「トランスナショナルな文化の伝播・交流:思想・文学・言語」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/4_1.php 【3】第2回アジア未来会議<論文・ポスター・展示作品募集> 「多様性と調和」(2014年8月22日インドネシアバリ島) http://www.aisf.or.jp/AFC/2014/ ★発表要旨追加募集中(締切:2014年2月28日)★ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2013/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Kim Soongbae “Tentative Thoughts on Japan-Korea Relations”

    ******************************************** SGRAかわらばん507号(2014年2月19日) ******************************************** ☆★☆日中韓の政治状況、最近は社会状況まで、とても厳しく、時には暴力的でさえ あります。ここで語り合う<場>を作るのが、良き地球市民の実現をめざすSGRAの役 割りであると考え、SGRAかわらばんでは読者の皆様のエッセイを募集します。皆様の 自由闊達なご意見をお待ちしております。 ・2000字程度(短くてもかまいません) ・匿名希望の方はその旨お書きください。 ・送付先:sgra-office@aisf.or.jp --------------- SGRAエッセイ#399 ■ 金 崇培「日韓関係のナショナリズムに関する一試論」 日本と韓国の葛藤と摩擦は、21世紀に始まった問題ではない。20世紀の戦争と植民地 の遺産が常に燻り続けていたものであり、それは現在でも突如として出現し、国家間 に緊張状態をもたらす。国家を形成する主権、領土、国民の三要素はまるで共鳴する かのようにナショナリズム/民族主義を発動させる。特に領土問題はその領土の実質 的な規模に関わらずナショナリズムを派生させ、この情緒的でありながらも強力な感 情にも似た現象は歴史認識問題と重なり合い、過去から現在までを貫通する一つの認 識を形成する。 ナショナリズムを煽り助長することは、瞬間的で容易であるが、問題を冷静に対処し 和解の方向に導くには長期的な時間と共に知識や知恵、そして行動を要する。領土問 題に関しては様々な意見や主張があると思われるが、それに関連する日韓関係のナ ショナリズムを巨視的に見る次の三点もまた考慮しなければならない。 第一に市場経済と民主主義。日本と韓国の共通項として市場経済と民主主義が挙げら れてきた。両国の市場経済はグローバリズムと直結しており、特に資本と人は簡単に 国境を越える。しかし、これらの移動は異文化との接触という新しい世界観の創出だ けを意味するのではない。既にヨーロッパでも見られるように他者の流入によって自 国で雇用機会を喪失した者は移民や異なった民族・人種に対して排他的、規制的思想 と行動をとる傾向もある。グローバリズムに伴う資本と人の移動は一方で国家独自の アイデンティティを喪失しないようナショナリズムをより強固にする側面を持ってい る。 また、日本と韓国は異なる民主主義の歴史がある。戦後日本はアメリカの7年にわた る間接統治により、上からの民主主義を導入した。一方韓国は国内の独裁政治に対し て、下からの民主主義の要求があった。民主主義が共通な価値であると安易に考え ず、その形成過程の相違から両国のナショナリズムの本質を把握しなければならな い。民主主義国家は互いに戦争をしないというテーゼが注目されてはいるが、民主主 義国家からも独裁者は誕生し、国民も熱狂するという事例もまた歴史が示している。 第二に地域共同体。内在的に不安要素を残す東アジアに、EUのような東アジア共同体 を形成しようとする努力が行われており、これが国民国家のナショナリズムの障壁を 取り除くかもしれない。しかし、ヨーロッパは比較的類似した生活様態や文化、言 語、宗教を有し、独自のアイデンティティや規範を見出しやすい基盤があった。EUの 双璧であるフランスとドイツは、過去何百年において何度も戦争をしては和解してき た。両国を含めたヨーロッパの平和体制は戦争によって崩壊したが、その都度新しい 国家間条約や平和条約によって平和体制を作り上げ、国境線を確定する作業も繰り返 されてきた。EUの起源はそのような歴史と共に第二次世界大戦後にもドイツによって 多大な損害を被ったにも関わらず、フランスがドイツに手を差し伸べて始まった。当 時の東アジアの状況を考えるとフランスになりえる国はなかったであろう。 アメリカと共にG2の一角を担う中国の存在が東アジアはもちろん世界にもたらす影響 は計り知れない。中国と地政学的に隣接している日本と韓国はより慎重な外交をする 力が問われる。それは8千万人もの共産党員を有している現実の中国を直視しなが ら、その中国をも含めた共通する価値規範の模索が先決であろう。すでに日本と韓 国、中国は共に高度な経済的依存の中にある。しかしこの関係がこのまま持続すれば いいが、政治的確執によるナショナリズムはこの経済的依存さえも呑み込み、経済力 という武器によって、その領域でも軋轢が生じる危険性をはらんでいる。 第三に帝国主義と植民地、そして国際法。戦争と平和の反復は過去の歴史に対する記 憶と経験として学習され、今のヨーロッパを作り上げてきた。東アジアはこのような 過程を経ずに19世紀に西洋の衝撃によって近代西欧国際法体制を受容、または編入さ れた。文明国を自負していた西欧諸国は東アジアに国際法を適用した。当時の国際法 には、いうまでもなく、帝国主義と植民地の問題に関連する法規範と意図が付随され ていた。人類は戦争と平和とは何であるかを長い歴史の中で問い続けてきたが、帝国 主義と植民地に対する認識の変化は比較的最近である。1910年代後半にアメリカ大統 領であったウィルソンが主張した国際連盟(League of Nations)は植民地支配を受け ている人々の民族自決を反映させず、国際連盟規約の前文にあるように、国際連盟に 参加できた諸国家の平等を理念とした。その国際連盟の理念を一部継承しながら1940 年代半ばに発足した国際連合(United Nations)は憲章で平和を掲げたが、国際連盟規 約にあった委任統治の変容である信託統治を採用し、帝国主義と植民地に対する解決 策や清算を提唱しなかった。国際連合の下では1960年に「植民地諸国、諸国民に対す る独立付与に関する宣言」を採択することで、植民地支配を受けている人々の独立の 要求を是認した。この時期はひとつの転換期ではあったが、60年代以降も植民地を海 外領土として保持する国もある。 1905年の竹島/独島に関連した国際法や、アジア・太平洋戦争を終結させた1951年の サンフランシスコ平和条約もまた帝国主義時代の潮流からは自由ではなかった。ナ ショナリズムを呼び起こす日韓の領土問題は二国間の問題でありながらも同時に帝国 主義と植民地、そして国際法とは何であったのかを想起させるものであり、その世界 史的な脈絡での帝国主義の残骸が今現在のグローバル社会において、どこにどのよう な形態で拡散しているのか追究すべきであろう。 衝突するナショナリズムに対して、簡単に解決策を述べることはできない。外交力と 市民力という二つの柱を中心に段階的な改善策が求められる。以前から提唱されてき たように、引き続き東アジア共同体の構築、政府間での対話、市民レベルでの交流、 学術的交流など多様な外交政策と交流が同時進行されなければならないであろう。政 治家であれ、学者であれ、またはそのような職業に属していない者であっても、ある 国を背景にして生まれた一人の人間であるならば、社会的責任と同様にナショナリズ ムを有していても不思議ではない。問題はナショナリズム自体でなくナショナリズム の方向性である。両国の主張と立場を理解しながら発するメッセージや行為は、時に 第三者的立場として追いやられ、両国のナショナリズムの批判対象となる。それにも 関わらず閉鎖的なナショナリズムに巻き込まれずに開かれたナショナリズムを保つた めには、他者を排除せずにその存在を認識し、自分の思考を整理する「主義」を養うし かない。 -------------------- <金崇培 (キム・スウンベ) ☆ KIM Soongbae> 政治学専攻。関西学院大学法学部法律学科卒。韓国の延世大学政治学科にて修士号取 得。博士課程修了。現在博士論文執筆中。2011年度に慶應義塾大学へ訪問研究員とし て滞在。研究分野は国際政治史。特に日韓関係史、帝国史、反共史について研究。 在日韓国人三世。 -------------------- *本稿は、2012年9月12日にSGRAかわらばん432号で配信したものを、著者の了解を得 て再送します。 ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第47回SGRAフォーラム(2014年5月31日東京)<ご予定ください> 「科学技術とリスク社会:福島原発事故から考える(仮)」 【2】第4回日台アジア未来フォーラム(2014年6月13日台北)<論文募集中> 「トランスナショナルな文化の伝播・交流:思想・文学・言語」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/4_1.php 【3】第2回アジア未来会議<論文・ポスター・展示作品募集> 「多様性と調和」(2014年8月22日インドネシアバリ島) http://www.aisf.or.jp/AFC/2014/ ★発表要旨追加募集中(締切:2014年2月28日)★ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただ けます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra2013/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3−5−8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03−3943−7612 FAX:03−3943−1512 Email: sgra-office@aisf.or.jp Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • [SGRA_Kawaraban] Kobayashi “The Sea of Living”

    ******************************************************************** SGRAかわらばん506号(2014年2月12日) 【1】エッセイ:小林聡明「尖閣海域を再び『生活の海』にするために」 【2】新刊紹介:オリガ・ホメンコ「ウクライナから愛をこめて」   〜SGRAかわらばんのエッセイが本になりました〜 【3】第13回日韓アジア未来フォーラムへのお誘い(最終案内)  「ポスト成長時代における日韓の課題と東アジア協力」(2月15日ソウル) ******************************************************************** ☆★☆日中韓の政治状況、最近は社会状況まで、とても厳しく、時には暴力的でさえ あります。ここで語り合う<場>を作るのが、良き地球市民の実現をめざすSGRAの役 割りであると考え、SGRAかわらばんでは読者の皆様のエッセイを募集します。皆様の 自由闊達なご意見をお待ちしています。 ・2000字程度(短くてもかまいません) ・匿名希望の方はその旨お書きください。 ・送付先:sgra-office@aisf.or.jp 【1】SGRAエッセイ#398 ■小林聡明「尖閣海域を再び「生活の海」にするために−沖縄と向きあう」 今、東アジアがきな臭い。その一つが、尖閣諸島をめぐる領有権問題であることには 言を俟たない。2012年9月、野田政権は尖閣諸島を構成する魚釣島、南小島、北小島 の国有化方針を固めた。これら3島は、1932年まで日本政府が所有し、その後、民間 人に払い下げられた。「尖閣国有化」は、ふたたび民間から政府へと所有権を移転さ せるものであった。だが、中国は、現状変更を目的とする「領土化」とみなし、激し く反発した。以後、日中関係は急速に冷却化し、日中国交正常化以来、最悪の状態に 陥っている。現在、日中双方は、尖閣の領有権をめぐって、激しい神経戦/宣伝戦を 繰り広げると同時に、海上では、日中のにらみ合いが続いている。尖閣海域は、物理 的な衝突可能性も孕んだ緊張の海となっている。 元来、尖閣の海は、海洋資源の豊かな平和な海であった。1960年代まで、尖閣海域で は、沖縄・八重山の漁民や台湾・宜蘭県蘇澳の漁民たちによるマグロやカツオ漁など が行われ、両漁民の交流も盛んに行われていた。また、彼らは魚釣島などで、アホウ ドリの卵や羽毛を採取していた。尖閣海域は、緊張の海とはほど遠い沖縄・台湾漁民 たちにとって生活の海となっていたのである。 1960年代末、ECAFE(アジア極東経済委員会)が尖閣周辺海域における石油埋蔵の可 能性を明らかにするや、尖閣の海は、にわかに波立つことになる。1970年12月、中国 は、新華社通信を通じて、尖閣諸島に対する領有権を対外的に初めて主張した。これ に続いて1971年6月、台湾外交部も尖閣諸島の領有権を公式に主張した。それまで地 元の人々だけが関心をむけていた「生活の海」は、一転して、国家がせめぎ合う「対 立の海」へと変化した。重要なことは、ECAFEの報告が、尖閣諸島に対して、中国や 台湾だけでなく、日本の関心も呼び起こしたことである。折しも沖縄の本土復帰が確 実となり、尖閣諸島に対する日本本土の関心は益々高まっていった。そこには、沖縄 と日本本土との経済一体化を基本的前提とする「沖縄開発計画」の推進が目標として たたみ込まれていた。1950年から沖縄の研究者らを中心として、尖閣諸島の生物学・ 植物学的調査がたびたび実施されていた。沖縄の研究者らによる尖閣調査に、本土側 が参加するようになったことは、尖閣諸島に対する本土の関心の高まりを如実に示し ていた。 ECAFE報告に加え、沖縄と日本本土との「合同」の尖閣調査が実施された1969年から 70年にかけて、沖縄では、「尖閣列島の石油資源は沖縄のもの」「県民の資源を守ろ う」という声が日増しに強まっていった。そこには領有権を主張する中国や台湾だけ でなく、本土側に対する警戒感も含まれていた。「沖縄開発計画」の名の下に、尖閣 海域の石油資源が、沖縄には利益をもたらさず、本土側の利益にされてしまうのでは ないかという不安と懸念が、沖縄で広がっていた。尖閣問題の登場は、日本・中国・ 台湾の間での緊張関係だけでなく、沖縄から日本本土への不信感も呼び起こした。 こうした不信感は、いまや完全に一掃されたと言えるだろうか。2013年4月に締結さ れた日台漁業協定は、尖閣問題を打開する一つの方法であった。だが、それは事実 上、沖縄漁民に大幅な譲歩を迫るものであった。にもかかわらず、沖縄の頭越しに東 京と台北で交渉がまとめらたことに、沖縄市民の間では不満が渦巻いている。本土へ の不信感は、普天間移設や辺野古移転などの基地問題などにおいても、しばしば姿を あらわす。尖閣問題が浮上したときに見られた沖縄から本土への不信感は、形を変え ながら、重奏低音のように、現在も継続しているように思われる。 こうした点を念頭に置くならば、「尖閣問題」を克服するためには、日中関係、日台 関係だけでなく、本土と沖縄との関係も考えていかなければならない。尖閣の海は、 いまはもう地元の人々が、近づくことすらできない世界でも有数の「危険な海」と なってしまった。私は、本土の人間の一人として、尖閣を再び「生活の海」の海にす るために、中国や台湾との対話をすすめるだけでなく、沖縄と向き合い、これまでの 数百年にわたる本土と沖縄との関係を考えることが、何よりも重要であると思ってい る。 <小林聡明(こばやし・そうめい)☆ Somei Kobayashi> 一橋大学社会学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会 学)。ソウル大学や米シンクタンクなどで研究を行ったのち、現在、慶煕大学哲学科 International Scholar. 専攻は、東アジア冷戦史/メディア史、朝鮮半島地域研 究。単著に『在日朝鮮人のメディア空間』、主な共著に『原子力と冷戦』『日米同盟 論』などがある。日本マス・コミュニケーション学会優秀論文賞(2010年)。 ---------------------------------------------------- 【2】新刊紹介 オリガ・ホメンコさんがSGRAかわらばんに投稿したエッセイを中心に纏めた本をご寄 贈いただきましたのでご紹介します。挿絵も自作のかわいい本です。 http://gunzosha.com/books/ISBN4-903619-44-6.html ウクライナの首都キエフに生まれ、 チェルノブイリ原発事故の記憶が 深く心に刻まれた子供時代をすごし、 日本の大学で学んだ女性がいま、 忘れられない人々の思い出と故郷の街の魅力を 日本語でつづったエッセイ。 ひまわりの国と桜の国を結ぶ言葉の架け橋。 著者: オリガ・ホメンコ ISBN978-4-903619-44-6 C0098 出版年:2014年1月 発行:群像社 定価:1200円 ---------------------------------------------------- 【3】第13回日韓アジア未来フォーラムinソウルへのお誘い(最終案内) 下記の通り第13回日韓アジア未来フォーラムをソウルで開催します。参加ご希望の方 は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。SGRAフォー ラムはどなたにでも参加していただけますので、関心のある方にお知らせください。 ■テーマ「ポスト成長時代における日韓の課題と東アジア地域協力」 日時:2014年2月15日(土)午後2 時00分〜5時00分 会場: 高麗大学現代自動車経営館301号 申込み・問合せ:SGRA事務局 ● フォーラムの趣旨 「課題先進国」日本、そして「葛藤の先進国」とも言われる韓国が今までに経験して きた課題と対策のノウハウを東アジア地域に展開しようとするとき、どのような分野 が考えられるだろうか。日本は、地震をはじめ自然災害への対策、鉄道システム、経 済発展と環境負荷軽減及び省ネルギーの両立、少子高齢化への対処など、多くの分野 において関連する経験や技術の蓄積、優位性を有している。さらに、日本以上の課題 先進国となった韓国の経験や後遺症も、東アジア地域におけるこれからの発展や地域 協力の在り方に貴重な手掛かりを提供している。本フォーラムでは、日本と韓国の経 験やノウハウを生かした社会インフラシステムを、東アジア地域及び他国へ展開する 場合、何をどのように展開できるか、そして、それが東アジアにおける地域協力、平 和と繁栄においてもつ意義は何なのかについて考えてみたい。 ● プログラム 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/13.php 【基調講演】染野憲治(東京財団研究員) 「北東アジアの気候変動対策と大気汚染防止に向けて」 【報告1】朴 栄濬(韓国国防大学校安全保障大学院教授) 「北極海の開放と韓日中の海洋協力展望」 【報告2】李 鋼哲(北陸大学未来創造学部教授) 「北東アジアの多国間地域開発と物流拠点としての図們江地域開発」 【報告3】李 元徳(国民大学国際学部教授) 「ポスト成長時代における日韓の課題と日韓協力の新しいパラダイム」 【討論】 報告者+討論者 木宮正史(東京大学大学院総合文化研究科教授) 安秉民(韓国交通研究院北韓・東北亜交通研究室長) 内山清行(日本経済新聞ソウル支局長) 李奇泰(延世大学研究教授) 李恩民(桜美林大学リベラルアーツ学群教授) 他数名 ************************************************** ● SGRAカレンダー 【1】第13回日韓アジア未来フォーラム(2014年2月15日ソウル) 「ポスト成長時代における日韓の課題と東アジア地域協力」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/13.php 【2】第47回SGRAフォーラム(2014年5月31日東京)<ご予定ください> 「科学技術とリスク社会:福島原発事故から考える(仮)」 【3】第4回日台アジア未来フォーラム(2014年6月13日台北)<論文募集中> 「トランスナショナルな文化の伝播・交流:思想・文学・言語」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/4_1.php 【4】第2回アジア未来会議<論文・ポスター・展示作品募集> 「多様性と調和」(2014年8月22日インドネシアバリ島) http://www.aisf.or.jp/AFC/2014/ ★発表要旨追加募集中(締切:2014年2月28日)★ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員 のエッセイを、毎週水曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読 いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。下記URLより自動登録していた だくこともできますし、事務局までご連絡いただいても結構です。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ● アドレス変更、配信解除をご希望の方は、お手数ですがSGRA事務局までご連絡く ださい。 ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務 局より著者へ転送いたします。 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