SGRAメールマガジン バックナンバー

  • Emanuele Davide Giglio “My Nichiren: Why I Study Nichiren”

    ********************************************** SGRAかわらばん715号(2018年3月15日) ********************************************** SGRAエッセイ#561 ◆エマヌエーレ・ダヴィデ・ジッリォ「私の日蓮:日蓮研究に至った背景について」 始まりは日本語の学生という立場であった。イタリア語と日本語との言語学上の違いはなぜどこから生じているのかと自問し始めると、「言語の背景」という、より奥深いものを意識するようになった。「言語」は言葉だけではない。その背景には人々の心理及びその特殊性を形成してきた思想的な要素も含まれている。日本の思想的なところもある程度把握しておかないと、いくら単語を頭に詰め込んでも深い理解には至らず、日本語の良いスピーカーにもなれないのではないかと考えた。 同時に、20世紀後半の西洋文化の危機というシナリオもあった。神様によって創造されたこの地上の世界を好き勝手に操作することは決して許されないと考えるキリスト教の倫理観と、世界の全てを操作可能にした科学との不毛なぶつかり合いと、ある時点から大学のみに引きこもってしまった哲学思想は、科学技術が毎日私たちに与える種々の課題に対してうまく対応できなくなり、行き詰っていた。 我が哲学の師匠・元ヴェネツィア大学教授のウンベルト・ガリンベルティ先生が仰るには、西洋文明は基本的に3つの倫理体系を経験してきた。 (1)キリスト教の倫理体系である。それを前提に、西洋の法制の全体が作り上げられた。「意志の倫理」と呼ばれよう。判断や審判は「人の個人的な内面性」の中で行われる。行動を引き起こしてしまったのがどの様な「意志」だったのかによって人々は判断され、審判される。意志があって罪を犯したのか、意志がなくても犯してしまったのか、前から意志があって犯したのか、それによって犯行の重さが量られ、処置が施される。しかし、「技術の時代」では「意志」ばかりを探っても全く無意味になる。フェルミ博士が原子爆弾を発明した時、どの様な「意志」を持っていたのかはあまり重要ではない。重要なのは、原子爆弾の発明が歴史にどの様な結果をもたらしたかであろう。 (2)次は「カントの倫理」(世俗の倫理)である。「人間を手段としてではなく、目的として扱うべきである」という命題に要約できる。人間以外のものなら、すべて手段として扱ってもかまわない。カントの倫理も、地球が大きく見え、資源も多く、人々が少なかったときには機能していたかもしれない。しかし、人が多く、地球が狭くなり、資源が少なくなってしまった今はどうか。人間を目的として扱い、人間以外はすべて手段として扱ってもよいのだろうか。空気や水など、今はただの手段なのか、保護すべき目的にもなっているのではないか。 (3)最後に、マックス・ウェーバーの倫理(責任と結果の倫理)である。「人間行動はその裏にあった意志の観点からではなく、その結果の観点から判断されるべきである」と言う。だが、「但し、これは予測可能な結果に限る」と続く。科学と技術は最初から「見つけよう」と決めた結果を前提に進んでいくわけではない。科学技術が発見するものは、様々な作業過程の偶然な結果なのである。その結果は最初から予測されていたとは限らない。例えば、クローンは最初から目指されていた結果ではなかった。ある作業過程の中から偶然に出てきたものである。研究の成果は基本的に予測不能である。 以上のように、「技術の時代」では、今までに西洋で知られている倫理は全く無能のような状態である。そこで、倫理を立て直す必要性も出てくるが、「不変」と思われる原理を基盤にして築こうとしても無意味であろう。自然は不変(操作不能)だと思われていた時代は、「不変な原理」のようなものが機能していたのであろう。だが、それは自然に対して人間がほぼ無力だった時代の話である。 自然は、もはや、ギリシア人とキリスト教徒たちが考えていたような不変な地平ではなく、科学技術の力によって、全面的に操作可能なものとなったではないか。要するに、自然はもう「背景」ではない。「度量」でもない。基準でもなくなった。ハイデッガーが言ったように、我々が自然に対して持つ視線も、功利主義的なものとなった。川を見れば電力と見て、森を見れば木材と見て、地面を見れば地下資源と見ている。不変な地平から全面的に使用可能で操作可能なものへと変わった今の自然を「度量」や「背景」にしながら倫理を築くことは、もう不可能になっているということである。 ガリンベルティ先生は、私たち現代人(西洋人)が今持っている基準は、何一つ必要でなく、「技術の時代」という新しい背景に対応するに当たって、役に立たなくなってしまったものばかりである、と指摘される。筆者が西洋以外の思想に関心を向け始めたきっかけである。新しい考え方が入り、普段ない視点も持たなければ、今の世界の多くを形作ってきた西洋文明は行き詰ったままで、それに代われるものもいつまで経っても出て来ない。 そこで、日本や東アジアの文化と思想であれば、根源的に違う新鮮な視点を私たちの世界に提供できるのではないかと思った。宗教でありながら巨大な思想体系も備えるものとしては、仏教の存在が一番目立っていた。だが、まず原文を通して考究できなければ、ヨーロッパ語族と現代思想の狭い範囲に縛られたままである。そこで、母校トリノ大学で「東アジアの宗教と思想」というセミナーに通い、多くの資料へのアクセスを可能にしてくれる日本での留学も強く望み始めた。 仏教の「聖典」を学ぶ時、資料を原文で読み、「今」という時代と「自分」という言語的及び文化的なアイデンティティーを相対化し乗り越えることで、聖典が作られた元の背景と人々の世界観にまで遡り入り込んでみるしかない。筆者は日本語の学生としての当然の選択で、「日本の仏教」を選んだ。だが、奈良期と平安期の資料(漢訳経典への注釈書等)は解読しづらい。鎌倉期以降の資料はより読みやすく、同時代の仏教は最も「日本らしい」とも言われていた。 中でも親鸞・道元・日蓮の3人の存在が目立った。当時の感覚では、親鸞(浄土門)は筆者の精神性の基盤であるキリスト教に近くわりと受け入れやすいと感じたため、逆に魅力をあまり感じられなかった。道元にはアプローチによって西洋哲学に似通った理屈っぽさを感じ、禅学の研究も海外ではすでに盛んであると聞いていた。残るのは、ただ一人であった。海外では研究がまだ少ない、首尾一貫とした構成に非常に纏めづらい、数多くの著作を残しているという、日蓮の多面的な思想と、ヨーロッパでは珍しいその数々の発想があった。これなら、生まれ育ちの文化環境から受け継いだアイデンティティーをうまく相対化し乗り越えられるのではないかと思った。 それ以来、筆者にとっての日蓮は、ヨーロッパ人としての自分を根源的に違う世界観へと導き、日蓮を宗祖とする既成の教団とその伝統的な解釈をも超えたところでの自由な研究によって、新しい視点を多く提供でき、また、思想的に行き詰った西洋世界にも影響を与えることのできる非常に有効的な手段に思える。これは、現在の日蓮研究において筆者個人のアプローチになっている。 今後の日蓮研究のお役に立てることを願いつつ 東京、2017年3月23日 <エマヌエーレ・ダヴィデ・ジッリォ☆Emanuele_Davide_Giglio> 渥美国際交流財団2015年度奨学生。トリノ大学外国語学部・東洋言語学科を主席卒業。産業同盟賞を受賞。2008年4月から日本文科省の奨学生として東京大学大学院・インド哲学仏教学研究室に在籍。2012年3月に修士号を取得。現在は博士後期課程所定の単位を修得のうえ満期退学。博士論文を修正中。身延山大学・東洋文化研究所研究員。 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第17回日韓アジア未来フォーラム(2018年3月16日、ソウル市) 「北朝鮮開発協力の理解-開発協力のフロンティア」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/asia/2018/10194/ ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<ご予定ください> ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) 論文募集は終了しました。<オブザーバー参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Lee Ji-Hyeong “About Thirties, Love, and Marriage”

    ************************************************* SGRAかわらばん714号(2018年3月8日) 【1】エッセイ:李志炯「30代、愛、結婚について」 【2】日韓アジア未来フォーラムへのお誘い(3月16日、ソウル) 「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」(最終案内) ************************************************* 【1】 SGRAエッセイ#560 ◆李志炯「30代、愛、結婚について」 今年、自分の年齢が30代後半に入ることに気づき、少し驚いた。卒業したばかりで正式な会社員になったこともないままこの年齢に向かうなんて、ちょっと恥ずかしい気持ちもあった。だが、やりたい勉強に集中している人にはよくあることではないかと自分を慰めた。一方、仕事は歳をとっても自分が頑張れば何とかなる気がしたが、結婚は歳も重要であるため、自分が頑張っても望む結果を手に入れることは難しい気がした。だが、日本の厚生労働省(平成28年度人口動態統計特殊報告・婚姻に関する統計)の公開資料で年々平均婚姻年齢が上がっているのを見て、私はそんなに遅れていないともう一度自分を慰めた。 一方、30代は心理的、生理的に大きく変化する時期なので、これが結婚に及ぼす影響についても考えるようになった。心理的な問題としては、以前は考えていなかった経済的な側面、愛の持続性、私生活の確保なども考慮するようになり、これらを基に合理的な結婚とは何かについて考えるようになった。生理的な問題としては、主に出産のことを考えるようになった。さまざまな媒体で医学技術の進歩により40代でも健康な赤ちゃんを産めると言われているが、まだ高齢出産のリスクは大きいだろう。私は同年代の異性との結婚を望んでいるため、出産も結構気になるようになった。以前は結婚すれば出産は当たり前だと思っていたが、今は環境によって様々なのだと思っている自分に気づき、少し驚いた。 これらのことを考えると結婚について強迫観念が生じるようで、頭が痛くなる。そして、いつも結婚に対する考えは一周回って以下の質問に帰結する。 「結婚とは何か?」 日本の民法上では婚姻と表現されており、広辞苑では婚姻の定義として、「結婚すること」とした上で、「夫婦間の継続的な性的結合を基礎とした社会的経済的結合で、その間に生まれた子が嫡出子として認められる関係」とある。学術的には結婚は配偶関係の締結を指し、婚姻は配偶関係の締結のほか、配偶関係の状態をも含めた概念として用いられている(文化人類学事典、1987年)。たしかに婚姻が結婚より上位概念のようだが、現代社会では結婚を婚姻と同様な概念として考えているようだ。 これらの定義をみると、性的結合が社会的経済的結合より重要であると感じられる。一般的に性的結合は愛を基盤にする行為であるため、結婚において愛が占める割合は最も大きいと考えられる。筆者も愛が最も重要であると思うが、その愛が結婚生活の中でどれだけ維持できるのかが気になる。「愛は900日の旋風であります」という言葉がある。アメリカのコーネル大学の研究によると、愛の寿命は平均18ヶ月~30ヶ月であることを明らかにした。愛に落ちると脳の大脳基底核に位置する神経核である尾状核が活性化されるので、愛の妙薬と称するドーパミンが増加し、さらなる幸福感を感じるという。 また、他の研究では、フェニルエチルアミンやオキシトシンやエンドルフィンなどが愛を長く維持できるようにしてくれると論じられている。しかし、時間が経つとこれらは減少し、その代わりに理性的判断を行う大脳皮質の活動が増加するため、この視点から相手に対する見方に変化が現れる。そのため、愛の寿命が終わる前に子供を産んで男女間の愛が家族に対する愛に代わる必要があるという意見を示す進化心理学研究者も多数いる。 たぶん、多くの人は男女間の愛を家族に対する愛にうまく入れ替えていると思う。それで、男女関係としての愛は少し減るかもしれないが、それでも配偶者を愛し、自分の子供を愛することで自分の家庭をうまく維持していると思う。しかし、結婚により相手の人が恋愛の対象から家族(配偶者)に変わることに乖離を感じ、その入れ替えに失敗する人もいる。特に、人によっては結婚後にも結婚前と同様に配偶者からの男女間の愛を求めるが、相手との愛の相違によって男女間の愛を諦める場合もある。それで、ドーパミンやフェニルエチルアミンやオキシトシンなどが抑制され、愛の寿命がさらに短くなる場合もある。 こうなると結婚生活の意味や家族の意味や自分の存在についてもう一度深く考えることにならざるをえないと思う。この考えの方向性によって結婚生活が大きく変化するだろう。考えの方向性に基づく行動パターンはさまざまであるが、メディアでよく出てくるのが不倫の話である。また、配偶者に内緒で通帳を作り、財産を備蓄し、いつでも離婚できるような状態を保っている人の話も聞く。これを手伝う専門弁護士まで現れている。さらに、男性の間では定年退職で離婚されることを恐れている人も増加している。 このようなニュースと接するたびに現代社会で生きている既婚者たちは結婚して本当に幸せだと思っているのか疑問になる。また、どんな気持ちで生活しているのかも気になる。まだ愛は残っているのかも気になる。歳をとるほど結婚について慎重になる中、このようなニュースに接するとますます結婚に対する漠然的な不安が増加する。このようなニュースが結婚生活を代弁するものではないことは認識しているが、万が一のことまで考えるようになった今の年齢では看過できない部分もある。 平均婚姻年齢が上昇している現代社会における筆者のような年齢の未婚者は、結婚についてどのように考えればよいだろうか。 <李 志炯(イ・ジヒョン)Lee Ji-Hyeong> 2007年、啓明大学(韓国)産業デザイン科卒業。2007年6月来日。2012年、千葉大学大学院工学研究科デザイン科学専攻修士課程修了。2011年~2013年、千葉大学発ベンチャー企業BBStoneデザイン心理学研究所研究員。2017年、千葉大学大学院工学研究科デザイン科学専攻博士課程修了。工学博士。2018年、第一工業大学建築デザイン学科助教。韓国室内建築技士・日本ユニバーサルデザイン検定の資格を保有。 -・-・-・-・-・-・-・- 【2】第17回日韓アジア未来フォーラムへのお誘い(最終案内) 下記の通り日韓アジア未来フォーラムをソウルにて開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 テーマ:「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」 日時:2018年3月16日(金)午後2時~5時 会場:韓国ソウルThe-K_Hotel コンベンションセンター2Fオークルーム(Oak_Room) http://www.thek-hotel.co.kr/main_sh.asp 参加費:無料 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局 [email protected] 主催:(財)未来人力研究院(韓国) 共催:(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) ◇フォーラムの趣旨 北朝鮮問題がいかなる方式で解決されようとも、北朝鮮に対する開発支援は今後の交渉過程や問題の解決以降においても、韓国や日本を含め、国際社会が避けては通れない重要な課題である。 本フォーラムでは、北朝鮮開発協力に対する体系的な理解を深めるとともに、北朝鮮開発協力における主なアクターたちの対北朝鮮支援のアプローチとその現状について議論し、新たな開発協力モデルの可能性を探ってみたい。今回は、2016年2月に東京で開催した第15回日韓アジア未来フォーラム「これからの日韓の国際開発協力:共進化アーキテクチャの模索」、2016年10月1日に北九州で開催した第3回アジア未来会議の自主セッション「アジア型開発協力の在り方を探る」、2016年12月仁川松島で開催した第16回日韓アジアイ未来フォーラム「日中韓の国際開発協力:新たなアジア型モデルの模索」における議論を受け、北朝鮮開発援助のあり方について考える。日韓同時通訳付き。 ◇プログラム 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/02/Nikkan17Program.pdf 【報告1】孫赫相(ソン・ヒョクサン:慶熙大学公共大学院院長) 「北朝鮮開発協力の包括的理解と多様なアプローチ」 【報告2】朱建栄(しゅ・けんえい:東洋学園大学人文学部教授) 「中国と北朝鮮の関係につむじ風――その変化を注目せよ」 【報告3】文炅ヨン(ムン・キョンヨン:全北大学国際学部准教授) 「韓国、国連の北朝鮮開発協力:現状と評価」 【フリーディスカッション】 -報告者を交えたディスカッションとフロアとの質疑応答- ○モデレーター: 金雄煕(キム・ウンヒ:仁荷大学国際通商学科教授) ○討論者: 李恩民(リ・エンミン:桜美林大学教授) 李鋼哲(り・こうてつ:北陸大学教授) 李元徳(リ・ウォンドク:国民大学教授) 朴栄濬(パク・ヨンジュン:国防大学教授) 他 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第17回日韓アジア未来フォーラム(2018年3月16日、ソウル市) 「北朝鮮開発協力の理解-開発協力のフロンティア」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/asia/2018/10194/ ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<ご予定ください> ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) <論文募集中(締切:2018年2月28日)> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Li Hui “Those Days When I Was Writing Doctoral Dissertation”

    ************************************************* SGRAかわらばん713号(2018年3月1日) 【1】エッセイ:李暉「博士論文を書く日々のはなし」 【2】第3回アジア未来会議、日本政府観光局の国際会議開催貢献賞を受賞! 【3】日韓アジア未来フォーラムへのお誘い(3月16日、ソウル) 「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」(再送) ************************************************* 【1】SGRAエッセイ#559(私の日本留学シリーズ#16) ◆李暉「博士論文を書く日々のはなし」 「人はプレッシャーがあって前へ進むものだ」と誰かが言った言葉がある。もうすぐ30代が終わるアラフォー圏にいる自分は、もうプレッシャーでもどうにもならない年だと勝手に思い込んでいた。しかし、博士論文を書く最後の3か月、私はもう一度、プレッシャーの魔法で走っていたのだ。 今年の2月に入り、中国の旧正月も終わって、私にとって新しい1年が始まった。5月に博士論文の初稿を提出しなければならない。すでに締切りまで残り3か月を切っていた。予備審査も通ったし、論文に書きたいこともおおよそ決まっていて、残るは自分の考えを文字で表すことだけだと自分を安心させながらも、文字を増やしていくことは気が重い作業で、また1週間ほどいろんな口実を作って博士論文の原稿を開こうとしなかった。これではだめだと、頭の中の理性が厳しく言った。まず、指導教官のアポを取って、それをもっと近い締切りにしておこうと自分に大プレッシャーをかけた。 論文の進捗状況を2回に分けて先生に説明するアポを無事に取り、「よし!」と気合いが入った。家のことを主人と義理の母に任せて、私は論文に取り組むため東京へ出かけた。毎日大学の研究室に通い、少しずつ論文の文章を足していくように進んでいった。毎日進展があり、焦りが減り、軌道に乗るようになった。先生との1回目の相談の日がすぐにやってきて、内心ドキドキしながら会いに行ったが、自分の論点がほぼ通ったので、一安心だと嬉しく思った。すでに半月ほど家を出ていたので、少し休憩も兼ねて私は奈良の家へ帰省した。 駅の改札口で主人と3才の息子がすでに待っていた。「お~、ママ!ここだよ!!」と遠くから息子の声が聞こえて、喜んで飛び跳ねる息子が見えてきた。「ただいま」と息子が相変わらずの間違った挨拶をしたので、家族3人で笑った。家に向かう車のなかで、息子は私の胸に寄りかかって眠った。「ママと一緒にいると、すぐ眠れるんだ」と主人は感心したが、息子の安らいだ寝顔を見て、私は少し淋しく思った。2、3日したら、また別れるのだ。 上京の日。朝、保育園に息子を送った。小さな体が自分にくっついていて、どうしても部屋に入ろうとしなかった。自分を掴む手を無理矢理離して先生に渡した。そして、車に乗る前に振りかえると、部屋の窓側に涙をぼろぼろ流す息子が立っていた。「バイバイ」と私はなるべくいつものように笑顔で言った。「ママ、待って!ママ、待って!」、その言葉を繰り返しながら息子が窓から窓へ、去っていく自分の車を追いかけた。 大学で論文に打ち込む日々が続いた。「奈良に帰って作業できないか」と主人から連絡があった。息子の夜泣きがひどくて、主人も疲れた様子。その後、奈良の家にこもって論文を書くことにしたが、やはりペースダウンになった。少しでも時間を稼ぐために、息子は義理の母に連れていってもらい、週末はおばあちゃんの家で過ごさせることにした。ある日、息子を保育園へ送る車のなかで、「ママ、僕はもう一回おばあちゃんちに行くから、もう仕事を終わらせて!」と息子に言われた。私は言葉が出なかった。バックミラーに息子の真剣な顔が映っていた。彼はすべての事情を分かっていたのだ。 いよいよ5月に入り、論文の提出に向かってラストスパートをかける時期になった。ゴールデンウィークは、最終的な一頑張りだけど、保育園が休みだ。いまとなっては上京する準備さえ時間のロスだ。週末より長い期間だけど、やはりおばあちゃんの家に行ってもらうしかない。ただこの3か月間に数多くの別れを重ねてきて、自分も見送る勇気がなくなり、すべておばあちゃんに任せた。息子が出かける日、義理の母が保育園に迎えに行った。私は家の2階に隠れて、いない振りをする約束だった。母が保育園の荷物を玄関に置いてさりげなく「いってきます」と言って、2階にいる私に合図をし、カチャンと扉を閉めた音がした。私は表側の部屋に行って、窓から見送った。息子は母とバスに乗ることを楽しそうに話していたが、なぜかものすごく淋しく見えた。「ママも頑張るんだ」とバス停へ消えてゆく2人の後ろ姿を見送って私は決心した。 計画には常に予定外のことが起こるというが、緊急事態が発生した。義理の父が脳出血で倒れたと義理の弟から連絡が入った。少し混乱した私に「まず、今晩は論文の作業を続けて様子をみよう」と主人が話してくれた。私は何も言えなかった。論文の完成を頑張るしかないんだと自分に言い聞かせた。幸いなことに、義理の父の脳出血の手術は成功し、出血も収まったようだ。 今日は論文提出の締切日。私は予定通り上京し論文を提出した。論文提出の手続きを済ませ、鞄には論文の初稿一本を入れて、私は折り返す新幹線に乗った。義理の両親に見せたい!!、長く放置していた息子を抱きしめたい!!と、私はいま主人の実家へ向かう新幹線の中。(2015年6月記) <李暉(り・ほい)Li_Hui> 2014年度渥美奨学生。2015年9月、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻より博士号取得。現在、奈良文化財研究所の客員研究員として在籍。研究分野は、建築史、特に大工道具及び大工技術。 -・-・-・-・-・-・-・- 【2】第3回アジア未来会議、日本政府観光局の開催貢献賞を受賞! 第3回アジア未来会議が、日本政府観光局(JNTO)の平成29年度国際会議開催貢献賞をいただきました。開催にあたり会議運営、地域貢献などにおいて、今後の模範となる実績を上げた国際会議6件が表彰されました。ご支援ご協力いただいた皆さんに、心からお礼を申し上げます。 JNTO国際会議開催貢献賞の詳細は下記リンクからご覧いただけます。 https://www.jnto.go.jp/jpn/news/press_releases/pdf/20180201_2.pdf 授賞式の写真は下記リンクからご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/03/JNTO.pdf -・-・-・-・-・-・-・- 【3】第17回日韓アジア未来フォーラムへのお誘い(再送) 下記の通り日韓アジア未来フォーラムをソウルにて開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 テーマ:「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」 日時:2018年3月16日(金)午後2時~5時 会場:韓国ソウルThe-K_Hotel http://www.thek-hotel.co.kr/main_sh.asp 参加費:無料 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局 [email protected] 主催:(財)未来人力研究院(韓国) 共催:(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) ◇フォーラムの趣旨 北朝鮮問題がいかなる方式で解決されようとも、北朝鮮に対する開発支援は今後の交渉過程や問題の解決以降においても、韓国や日本を含め、国際社会が避けては通れない重要な課題である。 本フォーラムでは、北朝鮮開発協力に対する体系的な理解を深めるとともに、北朝鮮開発協力における主なアクターたちの対北朝鮮支援のアプローチとその現状について議論し、新たな開発協力モデルの可能性を探ってみたい。今回は、2016年2月に東京で開催した第15回日韓アジア未来フォーラム「これからの日韓の国際開発協力:共進化アーキテクチャの模索」、2016年10月1日に北九州で開催した第3回アジア未来会議の自主セッション「アジア型開発協力の在り方を探る」、2016年12月仁川松島で開催した第16回日韓アジアイ未来フォーラム「日中韓の国際開発協力:新たなアジア型モデルの模索」における議論を受け、北朝鮮開発援助のあり方について考える。日韓同時通訳付き。 ◇プログラム 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/02/Nikkan17Program.pdf 【報告1】孫赫相(ソン・ヒョクサン:慶熙大学公共大学院院長) 「北朝鮮開発協力の包括的理解と多様なアプローチ」 【報告2】朱建栄(しゅ・けんえい:東洋学園大学人文学部教授) 「中国と北朝鮮の関係につむじ風――その変化を注目せよ」 【報告3】文炅ヨン(ムン・キョンヨン:全北大学国際学部准教授) 「韓国、国連の北朝鮮開発協力:現状と評価」 【フリーディスカッション】 -報告者を交えたディスカッションとフロアとの質疑応答- ○モデレーター: 金雄煕(キム・ウンヒ:仁荷大学国際通商学科教授) ○討論者: 李恩民(リ・エンミン:桜美林大学教授) 李鋼哲(り・こうてつ:北陸大学教授) 李元徳(リ・ウォンドク:国民大学教授) 朴栄濬(パク・ヨンジュン:国防大学教授) 他 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第17回日韓アジア未来フォーラム(2018年3月16日、ソウル市) 「北朝鮮開発協力の理解-開発協力のフロンティア」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/asia/2018/10194/ ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<ご予定ください> ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) <論文募集中(締切:2018年2月28日)> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Chang Wei-Jung “I’ve Met Movies While Studying in Japan”

    *************************************************** SGRAかわらばん712号(2018年2月22日) 【1】エッセイ:張いよう「日本留学で映画と出会った私」 【2】日韓アジア未来フォーラムへのお誘い(3月16日、ソウル) 「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」 *************************************************** 【1】SGRAエッセイ#558(私の日本留学シリーズ#15) ◆張いよう「日本留学で映画と出会った私」 日本に留学する前は、映画好きではなかった。全く見ないわけではないが、年に1回見るかどうかで、見たとしてもハリウッドの人気作だった。特に邦画には、テンポが遅いし、わかりにくいとの印象を持っていた。それは、小学生の頃に従姉と観た岩井俊二の「ラブレター」だったせいかもしれない。まだ小学生の私には、さすがに難しかった。しかし、日本に来てから、日本語練習という目的で、映画を見ようと劇場まで足を運ぶようになった。最初に見たのは、王子駅付近の古い映画館で上映されていた「容疑者Xの献身」だった。当時はまだ日本語力が不足していたので、映画の内容を全く覚えていないが、それ以来映画にハマってしまった。 「どんな映画が好きか」と聞かれても、なかなか答えにくい。好きな監督の作品は必ず観るし、予告を見て気になるものも観る。一方、「どうして映画が好きになったか」と聞かれると、私は迷わず答える。映画を見ると、2時間ほど全く現実と違う空間に没入し、まるで現実から解放されるかのような快感を味わえるからだと。テンポが良く明快で爽快感のある映画はもちろん好きだが、観終わってもずっとモヤモヤしながら内容を反芻してしまう映画のほうが個人的には好みである。特に日本の映画館で観ると、本編が終わっても、ほとんどの観客が席に座ったまま、エンドロールが終わるまで待つので、この空白の時間が好きだ。人生を反芻するのは辛すぎるから、私は映画を反芻する。 ここでは、好きな監督の作品をいくつか紹介したい。まずは、日本人なら誰でも知っているであろう、岩井俊二監督である。写真のような究極の美しさを追求する岩井監督の美学は観客を魅了する。たとえば、「PiCNiC」という映画は精神病患者を描く物語であるが、薄暗い色調で撮られた不気味な精神病棟でさえも芸術品のように映る。最後の場面――浅野忠信とCharaが夕焼けの映える海上で抱き合うシーンは、心臓が止まるほど衝撃的に美しかった。 最新作の「リップヴァンウィンクルの花嫁」では、ウェディングドレス姿の黒木華とCOCCOが楽しく踊り回るシーンも、永遠に踊っていて欲しいぐらい、ずっと観ていたいほど美しかった。そして、あの名作「ラブレター」は3回観た。小学生だった私には理解できなかったあの名シーン――女性の藤井樹が雪で覆われる山に向かって、「元気ですか?私は、元気です!」と叫び倒すシーン――を、大人になって改めて見たら、心が震えるほど感動的だった。私にも、呼んでも振り返らない、戻ってこない人がいる。映画を観ながら、そういった人たちに、「私は元気です!」と、心の中で藤井樹と一緒に叫んでいた。 次に紹介したいのは、岩井俊二より好きな監督、是枝裕和監督である。最初に観た是枝監督の作品は「空気人形」だった。美しい女優と周りの登場人物との対比で、都市の中に潜んでいる巨大な孤独感を上手に表現している是枝監督の世界観に圧倒された。その後、是枝監督のほとんど全作品を観た。誰でも共感できそうな、平凡だけど頑張って乗り超えなければならない人生のあり方、そしてちょっとぎこちないけどどこからか絆が生じてしまう人間関係をめぐる監督の温かみのある繊細な描き方に魅了される。特に、俳優を一人ひとりアップせずに、全体を映しながら、登場人物たちのさりげない動きと会話を撮ることで、日常生活にありそうな場面を撮るという是枝監督の特徴は共感を呼ぶ。 最も好きなのは「奇跡」という映画である。この映画も3回観たが、若い兄弟の絆と子どもたちの純粋な表情に心が打たれる。大人になって、いつから奇跡を信じないようになったのだろうか。奇跡が起きる瞬間を求めて、山の奥を訪ねた子どもたちの純粋で純情な顔は、いつしか冷えてしまった心を温めてくれる。そして、映画に少しだけ登場し、主人公には「ぼんやりした味」と不評な九州名物「かるかん」。この前、九州に旅行した時に、土産物屋でかるかんを買って食べてみた。確かに「ぼんやりした味」だなぁと咀嚼しながら、そう考えていた。奇跡の起こらない人生の味もきっとそう――ぼんやりしているけれど、噛めば噛むほど、ほんのりとした甘さを感じると。 最後は是枝と真逆のタイプの、スペインのペドロ・アルモドバル監督である。是枝が平凡の日常の繊細な味を引き出すのであれば、アルモドバルは鮮明な色彩を操りながら、様々な形の「愛」を劇的に表現するところが特徴的である。愛と欲望、愛と嫉妬、愛と復讐、愛と懺悔、アルモドバルは様々な側面から「愛」の本質を追究してきた。愛の故に人生が狂ってしまう。でもそこまで狂わないまでも、皆はきっと人生の瞬間瞬間に「愛」をめぐる様々な課題と向き合ってきただろう。 彼の作品の中で最も好きなのは、男性同士の愛を語る「バッド・エデュケーション」である。少年たちの間に芽生えた純粋な愛が、愛ゆえに過ちを犯した大人に壊され、少年たちは別れさせられ、成長して、それぞれ違う人生を歩んでいく。しかし互いへの愛と未練は未だに心の奥に刻んでいるほど切ない究極の純愛映画である。映画の最初に登場したセリフ「高速4号線でバイク走行者が凍死。死後もバイクは90キロ走り続けた……寒い夜、若者はどこへ?会いたい人がいたんだ」というように、純愛の強烈さと真摯さを思い知らされる。 アルモドバル監督は、主人公の衣装や飾りをクローズアップして丁寧できれいに撮る特徴がある。たとえば、「トーク・トゥ・ハー」の女性闘牛士のタイツと飾り、「私、生きる肌」の女性主人公がちぎった布の質感、または「ジュリエッタ」の最初に、フルスクリーンに映る鮮紅の布など、アルモドバルが愛する弦楽器の音を聞きながら鮮烈な色彩を観ることもまた、鳥肌が立つほど官能的である。 私は時々思う。もし日本に留学に来なかったら、映画を好きにならなかっただろうと。最初は日本語の練習という単純な目的だったが、今は純粋に映画を楽しめるようになった。そんな映画は私にとって、人生を豊かにするものというよりも、むしろ、人生そのものである。共感したり、考えさせられたりすることで、映画を楽しむわけだが、映画とともに人生を反芻する、というところが、私にとって映画の最大の魅力なのである。 <張いよう Chang_Wei-Jung> 2016年度渥美奨学生。2018年にお茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科博士後期課程修了見込。専門はジェンダーと文化社会学。日本のポップカルチャーへの積極的な受容を切り口として台湾における親日感情の系譜について研究している。 -・-・-・-・-・-・-・- 【2】第17回日韓アジア未来フォーラムへのお誘い 下記の通り日韓アジア未来フォーラムをソウルにて開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 テーマ:「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」 日時:2018年3月16日(金)午後2時~5時 会場:韓国ソウルThe-K_Hotel http://www.thek-hotel.co.kr/main_sh.asp 参加費:無料 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局 [email protected] 主催:(財)未来人力研究院(韓国) 共催:(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) ◇フォーラムの趣旨 北朝鮮問題がいかなる方式で解決されようとも、北朝鮮に対する開発支援は今後の交渉過程や問題の解決以降においても、韓国や日本を含め、国際社会が避けては通れない重要な課題である。 本フォーラムでは、北朝鮮開発協力に対する体系的な理解を深めるとともに、北朝鮮開発協力における主なアクターたちの対北朝鮮支援のアプローチとその現状について議論し、新たな開発協力モデルの可能性を探ってみたい。今回は、2016年2月に東京で開催した第15回日韓アジア未来フォーラム「これからの日韓の国際開発協力:共進化アーキテクチャの模索」、2016年10月1日に北九州で開催した第3回アジア未来会議の自主セッション「アジア型開発協力の在り方を探る」、2016年12月仁川松島で開催した第16回日韓アジアイ未来フォーラム「日中韓の国際開発協力:新たなアジア型モデルの模索」における議論を受け、北朝鮮開発援助のあり方について考える。日韓同時通訳付き。 ◇プログラム 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/02/Nikkan17Program.pdf 【報告1】孫赫相(ソン・ヒョクサン:慶熙大学公共大学院院長) 「北朝鮮開発協力の包括的理解と多様なアプローチ」 【報告2】朱建栄(しゅ・けんえい:東洋学園大学人文学部教授) 「中国と北朝鮮の関係につむじ風――その変化を注目せよ」 【報告3】文炅ヨン(ムン・キョンヨン:全北大学国際学部准教授) 「韓国、国連の北朝鮮開発協力:現状と評価」 【フリーディスカッション】 -報告者を交えたディスカッションとフロアとの質疑応答- ○モデレーター: 金雄煕(キム・ウンヒ:仁荷大学国際通商学科教授) ○討論者: 李恩民(リ・エンミン:桜美林大学教授) 李鋼哲(り・こうてつ:北陸大学教授) 李元徳(リ・ウォンドク:国民大学教授) 朴栄濬(パク・ヨンジュン:国防大学教授) 他 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第17回日韓アジア未来フォーラム(2018年3月16日、ソウル市) 「北朝鮮開発協力の理解-開発協力のフロンティア」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/asia/2018/10194/ ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<ご予定ください> ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) <論文募集中(締切:2018年2月28日)> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Invitation to the Nikkan Asia Future Forum #17

    *********************************************** SGRAかわらばん711号(2018年2月15日) *********************************************** ◆第17回日韓アジア未来フォーラム「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」へのお誘い 下記の通り日韓アジア未来フォーラムをソウルにて開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 テーマ:「北朝鮮開発協力:各アクターから現状と今後を聞く」 日時:2018年3月16日(金)午後2時~5時 会場:韓国ソウルThe-K_Hotel http://www.thek-hotel.co.kr/main_sh.asp 参加費:無料 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局 [email protected] 主催:(財)未来人力研究院(韓国) 共催:(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) ◇フォーラムの趣旨 北朝鮮問題がいかなる方式で解決されようとも、北朝鮮に対する開発支援は今後の交渉過程や問題の解決以降においても、韓国や日本を含め、国際社会が避けては通れない重要な課題である。 本フォーラムでは、北朝鮮開発協力に対する体系的な理解を深めるとともに、北朝鮮開発協力における主なアクターたちの対北朝鮮支援のアプローチとその現状について議論し、新たな開発協力モデルの可能性を探ってみたい。今回は、2016年2月に東京で開催した第15回日韓アジア未来フォーラム「これからの日韓の国際開発協力:共進化アーキテクチャの模索」、2016年10月1日に北九州で開催した第3回アジア未来会議の自主セッション「アジア型開発協力の在り方を探る」、2016年12月仁川松島で開催した第16回日韓アジアイ未来フォーラム「日中韓の国際開発協力:新たなアジア型モデルの模索」における議論を受け、北朝鮮開発援助のあり方について考える。日韓同時通訳付き。 ◇プログラム 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/02/Nikkan17Program.pdf 【報告1】孫赫相(ソン・ヒョクサン:慶熙大学公共大学院院長) 「北朝鮮開発協力の包括的理解と多様なアプローチ」 【報告2】朱建栄(しゅ・けんえい:東洋学園大学人文学部教授) 「中国と北朝鮮の関係につむじ風――その変化を注目せよ」 【報告3】文炅ヨン(ムン・キョンヨン:全北大学国際学部准教授) 「韓国、国連の北朝鮮開発協力:現状と評価」 【フリーディスカッション】 -報告者を交えたディスカッションとフロアとの質疑応答- ○モデレーター: 金雄煕(キム・ウンヒ:仁荷大学国際通商学科教授) ○討論者: 李恩民(リ・エンミン:桜美林大学教授) 李鋼哲(り・こうてつ:北陸大学教授) 李元徳(リ・ウォンドク:国民大学教授) 朴栄濬(パク・ヨンジュン:国防大学教授) 他 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第17回日韓アジア未来フォーラム(2018年3月16日、ソウル市) 「北朝鮮開発協力の理解-開発協力のフロンティア」<参加者募集中> http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/asia/2018/10194/ ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<ご予定ください> ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) <論文募集中(締切:2018年2月28日)> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Lindsay Morrison “Living the Dream of Japan”

    ********************************************* SGRAかわらばん710号(2018年2月9日) ********************************************* 私の日本留学シリーズ#14 ◆リンジー・モリソン「夢見る日本の私」 私が昔から大の日本好きであることは、家族や友人の誰もが知っていることです。子どもの頃から日本文化に憧れて、日本と関連するものなら無条件に興味関心が湧きました。だから、私が長年日本に留学していることに対して、周りから「夢を現実にしたんだね」(“You’re_living_the_dream”)と言われることがしばしばありました。 確かに日本に留学することは大きな夢でした。しかし、その夢を現実にしたかどうかは、別問題のように感じます。留学するという目的は果たしたものの、現実の日本と想像の中で思い描いていた夢の日本は、だいぶかけ離れたものでした。恥ずかしいですが、そのズレにあまりにも衝撃を受けてしまい、来日した一日目の夜は一晩中泣いてしまいました。期待が高すぎたゆえの失望感でした。だから、私にとっての留学は、夢と現実のギャップを埋めることになりました。 夢とは、いわば心が描いた理想の世界、もっとも美しく、自分にとって好都合な世界です。夢に近づくために、人はあらゆる努力をし、自分を高めていきます。その意味で、夢は私たちに貴重な原動力と感情的エネルギーを与えてくれます。ところが、夢をそのまま現実に押し付けることは、私の経験では、危険なことでもあります。現実は夢に敵いません。だから、夢は夢として、現実は現実として尊重しなければならないと思います。ところが、時には夢にも思わないことが現実になることがあります。また、夢は嫌な部分が取り除かれた美化された世界ですが、現実が持っている嫌な部分こそ、人を成長させるものなのです。 さらに言いますと、夢という言葉には甘美な響きがありますが、夢を持つことは大きな犠牲を余儀なくされることが多いです。私は日本に行って、日本を知り尽くして、日本社会に同化しようという夢を持ちました。その実現のために、若い盛り、精神的および経済的安定性、両親と地元の友達と過ごせただろう10年間を博士課程に捧げました。10年も外国に住んでいると、自国の文化、また自分の家族と摩擦が生じます。遠い外国に行って責任から逃げているのではないかと家族からイヤミも言われます。私だけではなく、長期留学をしている多くの学生は、同じ経験をしていると思います。 私の場合、そうしたイヤミはある意味、的確でした。日本社会に同化したいという夢は、今思えば、自分から逃げたいという願望から来ていたかもしれません。しかし、留学で一番痛感したのは、自分や自分の過去から逃げることができないということでした。「同化」を目ざして、結局得たのは「自覚」です。 そのこともあって、私は「ふるさと」を研究の課題にしました。いくら憧れても、いくら夢を見ても、自分には変えられないところがあります。ドナルド・キーンの自伝の中で、朝食をめぐる逸話が、今でも私の記憶に残っています。周知の通り、キーンは東日本大震災後に帰化して、国内・国外では日本文学研究の第一人者として知られています。その朝食のエピソードでキーンは、コーヒーとクロワッサンなら毎朝飽きずに食べられるが、お味噌汁は毎朝は辛いと述べています。個人の嗜好も関係しているのでしょうが、誰よりも日本文化と文学に精通して、誰よりも日本を愛するあのキーンでさえ変えられないところがあったんだ、と驚きました。当たり前だと思う人は多いかもしれません。でも私には、その些細なエピソードに人間の限界を垣間見たような気がして、深く印象に残ったとともに、ちょっぴり悲しくなりました。 私は自分の夢のために、他の選択肢を捨てて、すべてをこの道に注ぎ込みました。これでよかったのかと、ときどき思います。もし別の道を選んでいたら、どのような人生を送っていたのだろうかと、未知の可能性に思いを巡らせます。他に選択肢があったように見えるだけで、実際はこの道しかなかったのではないかと考えたりもします。留学を決めた当時の自分には、日本に行くことしか眼中になかったからです。 この夢のおかげで、同じ年齢層の人に比べて、良くも悪くも多くの経験を積み重ねてきました。一方、自国の文化に合わなくなっているが、日本に完全に同化することもできない、文化と文化のはざまに生きなければならない人間になってしまいました。それによって苦しい思いもしましたが、どこにも居場所がないからこそ、自分はどこでも生きていけるようになりました。思えば、それこそがグローバル市民の姿なのかもしれません。 <リンジ―・レイ・モリソン Lindsay_Ray_Morrison> 2016年度渥美奨学生。2017年に国際基督教大学大学院アーツ・サイエンス研究科博士後期課程を修了し、現在は武蔵大学人文学部助教。専門は日本文化研究。日本人の「ふるさと」意識の系譜について研究している。 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第17回日韓アジア未来フォーラム(2018年3月16日、ソウル市) 「北朝鮮開発協力の理解-開発協力のフロンティア」<ご予定ください> ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<ご予定ください> ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) <論文募集中(締切:2018年2月28日)> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Lim Chuan-Tiong “SGRA Session (3) at EACJS#2 Report”

    ********************************************* SGRAかわらばん709号(2018年2月2日) 【1】東アジア日本研究者協議会パネル報告(3) 林泉忠「戦争・架け橋・アイデンティティ」 【2】寄贈本紹介:胡艶紅「江南の水上居民」 ********************************************* 【1】東アジア日本研究者会議パネル報告(3) ◆林泉忠「戦争・架け橋・アイデンティティ~近代日本と東アジアの文化越境物語~」 去る2017年10月28日から29日にかけて、風薫る爽やかな深秋の季節の中、「第2回東アジア日本研究者協議会国際学術大会」が、中国天津にある象賽ホテルにおいて開催された。今回は私が企画したセッションで渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)の派遣チームの1つとして参加した。 セッションのテーマは「戦争・架け橋・アイデンティティ~近代日本と東アジアの文化越境物語~」で、企画の背景に、戦前の日本と東アジアとの関係が、しばしば戦争や植民地支配に集約される単純さに違和感を持ったことが挙げられる。そのため、戦前における日本と東アジアとの民間レベルの社会・文化交流の架け橋を担っていた人々とそのストーリーは軽視されてしまう。本セッションは、あの激動の時代において戦争を超える日本と中国・東アジアの民間レベルの交流物語を取り上げ、国境や戦争を超える東アジアの文化交流の意味を検討した。 当セッションは、孫建軍教授(北京大学)を座長に、2つの報告を中心に行われた。 第1報告は、私(林泉忠・中央研究院)自身が行った「知られざる『旅愁』の越境物語~戦前東アジア文化交流の一断章~」で、百年前から日本でも中華圏でもよく歌われてきた名曲「旅愁」(中国語は「送別」)の伝播の軌跡を探って、戦争を超える近代日本と東アジアの文化交流の一側面を明らかにした。「旅愁」は19世紀の半ば頃にアメリカで生まれたDreaming_of_Home_and_Mother(「家と母を夢見て」、作曲ジョン・P・オードウェイ[John_P._Ordway])に由来し、1907年に日本の作詞家で音楽教育者の犬童球渓によって訳され、「旅愁」として音楽教科書「中等教育唱歌集」で取り上げられた。やがて日本の植民地になった台湾や朝鮮半島にも広がっていった。そして、当時東京留学中の中国若手音楽家・画家の李淑同の手で1915年に「送別」として中国に広く伝えられていったという。 当報告は、1.信じられている自国の文化は必ずしも自国で誕生したものではなく、2.文化は交流によってより高い価値を獲得し、3.人類が共有する宝として再認識する必要がある、と指摘した上、戦争・植民地時代の文化の広がりについて、戦争や植民地支配の正当性は肯定できないが、その時代の民間レベルの文化交流にかかわる人々とその結果や価値についてもう少し丁寧に検討する必要がある、と強調した。 第2報告は、李嘉冬教授(上海・東華大学)の「近代日本の左翼的科学者の中国における活動~上海自然科学研究所所員小宮義孝を例に~」で、小宮義孝という人物の物語を取り上げ、上海自然科学研究所所員時代にスポットライトを当て、氏の上海での生活及び中国人科学者・学者たちとの交流実態を明らかにしようとするものであった。小宮は近代日本の寄生虫学者で、東京帝国大学医学部在学時代から、社会医学を志していたという。のちに、マルクス主義に傾倒し共産主義のシンパとして活動していたため、特高にマークされ監獄に入れられる直前に、恩師の横手千代之助・東京帝大教授の助けで1931年上海に避難し、日本の文化事業の上海自然科学研究所に入所して終戦まで大陸の寄生虫病の研究に従事していた。戦後になって、小宮は中国政府の要請を受け寄生虫撲滅の建議案を提出し、その結果、長年中国の農村部で苦しめられた日本住血吸虫病がほとんど治まることになったという。 2つの報告の後、討論者としてJohan_Nordstrom氏(都留文科大学)と篠原翔吾氏(在中国日本国大使館専門調査員)が加わって2つの報告についてそれぞれ適切なコメントをしてくださった。さらにフロアーから興味深い質問やコメントをいただいて、活発な議論が行われた。 最後に、今回の会議についての感想を述べさせていただきたい。 まず、東アジアにおける国境や地域を越えた日本研究関連の学術・人的交流を目的として発足した東アジア日本研究者協議会が主催する国際学術会議は、今回の天津会議が2回目で、私は1年前の仁川会議に続き、連続参加となった。初回に比べると各国の日本研究者の姿がより多く見られ、同協議会の国際学術大会の知名度や地位はわずか1年で随分上昇し、各国の日本研究機関にかなり重視されていることが分かった。 次に、今回の国際会議は、各国から270名以上の日本研究者が集まったが、共催の天津・南開大学日本研究院によって、周到に準備され、会議は順調に進められた。この点について高く評価したい。一方、セッションのアレンジについてであるが、同じ時間帯にいくつかの同分野のセッションが集中したため、各セッションの参加者が薄く分散してしまう結果になった。来年以降の会議は、その点に関して是非改善していただきたい。 さらに、今回は渥美国際交流財団関口グローバル研究会が3つのチームを派遣し、かなり注目されていた。SGRAが日本研究に力を入れ精力的に支援していることが幅広く知られるようになった。SGRAの知名度アップに貢献するにとどまらず、渥美財団・SGRA=日本研究の重要な存在というイメージの確立に成功したといっていい。是非、次回以降の大会にも引き続きチームを派遣し続けていただきたい。 最後に、次年度の「第3回東アジア日本研究者協議会国際学術大会」の一層の成功と、渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)派遣チームのさらなる活躍を願って、今回のセッション報告を終わらせていただきたい。 <林 泉忠(リン・センチュウ)John_Chuan-Tiong_Lim> 国際政治専攻。2002年東京大学より博士号を取得(法学博士)。同年より琉球大学法文学部准教授。2008年より2年間ハーバード大学客員研究員、2010年夏台湾大学客員研究員。2012年より台湾中央研究院近代史研究所副研究員、2014年より国立台湾大学兼任副教授。 -・-・-・-・- 【2】寄贈本紹介 SGRA会員の胡艶紅さんから新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆胡艶紅「江南の水上居民:太湖漁民の信仰生活とその変容」 古くから船上で暮らしてきた太湖の漁民たち。建国後の「漁業社会主義改造」により陸上定住者となった彼らの暮らしの変化とは何か。国民国家への統合プロセスを追いながら、漁民社会・信仰生活に焦点を当て、変化と持続の両面を分析。歴史民俗学の貴重な成果。 発行所:風響社 ISBN:9784894892392 発売日:2017年2月20日 判型:A5 ページ数:368ページ 詳細は下記リンクをご参照ください。 http://www.fukyo.co.jp/book/b283301.html ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第17回日韓アジア未来フォーラム(2018年3月16日、ソウル市) 「北朝鮮開発協力の理解-開発協力のフロンティア」<ご予定ください> ◇第8回日台アジア未来フォーラム(2018年5月26日、台北市) 「グローバルなマンガ・アニメ研究のダイナミズムと新た可能性」<ご予定ください> ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) <論文募集中(締切:2018年2月28日)> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Burensain “SGRA Session (2) at EACJS#2 Report”

    ********************************************* SGRAかわらばん708号(2018年1月25日) 【1】東アジア日本研究者協議会パネル報告(2) ブレンサイン「日本の植民地支配下の東アジアにおけるメモリアル遺産」 【2】寄贈本紹介:藍弘岳「漢文圏における荻生徂徠:医学・兵学・儒学」 ********************************************* 【1】東アジア日本研究者会議パネル報告(2) ◆ボルジギン・ブレンサイン「日本の植民地支配下の東アジアにおけるメモリアル遺産:東アジア日本研究者会議パネル報告」 2017年10月28日(土)中国の天津において、「第2回東アジア日本研究者協議会国際学術大会」が開催され、SGRAから参加した3つのパネルの1つとして「日本植民地支配下の東アジアにおけるメモリアル遺産」と題するパネルを発表した。当パネルは発表者3人、コメンテーター2人で構成され、南開大学日本研究院の方々を中心とする来場者を前に、戦前と戦後の日中関係について幅広い議論が交わされた。 本パネルの趣旨は、東アジアのほとんどの地域が日本の植民地支配を受けていた20世紀前半の特殊な歴史的環境において、人と物の交流がどのように一体化し、またそれが戦後にどのような遺産として残され、戦後の枠組みでどのように扱われてきているのかに関するものである。日本の植民地支配は関係する国と地域にとって不幸な歴史であったことはいうまでもないが、日本の支配が敷かれていたこれらの地域において、日本の近代化の経験による各種の社会整備、調査記録や記念物が形として残された。そして戦後の70年間、東アジアを取り巻く複雑な関係性のなかで、これらのメモリアル遺産の存在が直視され、議論される場は多くなかったように思われる。本パネルでは、戦後の視点に立ってこれらのメモリアル遺産の歴史的広がりやそれがもつ現代的な意味について議論した。 1つ目の発表は、グロリア・ヤン・ユーさん(コロンビア大学大学院博士後期課程)による「実像か幻想か:満洲の視覚資料の見方や眼差しの再考」である。グロリアさんは長春を事例に、日本支配期以前の満洲におけるロシアの都市建設の遺産とそれに対する日本の姿勢を取り上げた。グロリアさんの発表は、20世紀前半期の中国東北地域(満洲)における政治的対立の枠組みが「日中」で固定化している状況に対して、満洲のメモリアル遺産におけるロシアの本来の役割を位置づけ、満洲の都市建設は「日中露」3者の舞台であったと提示したところが重要である。 2つ目の発表は、鈴木恵可さん(東京大学大学院博士後期課程)の「再展示される歴史と銅像―台湾社会と植民地期の日本人像」である。鈴木さんの発表では、日本統治期の台湾(1895~1945)の公園、広場、博物館といった公共空間に立てられていた多くの日本人高官の銅像とそれらの銅像の戦後の行方を丁寧に追った。これらの銅像は、日本統治期に入って初めて台湾に出現したモノであり、最も早期に人々の眼に触れやすい場所に展示された西洋式彫刻作品であったが、銅像の大きな特徴は、それが近代彫刻という美術のカテゴリーに入りつつも、それを設置する行為・モノ・空間のそれぞれが強い社会的、政治的な意味を帯びている点にある。1940年代以降の金属回収と日本の敗戦によって、こうした銅像は台湾社会から姿を消したが、2000年以降になって、わずかに残されていた植民地期の銅像が再発見され、展示され始めるという現象が起こっているという。鈴木さんの発表では、植民地期の銅像設置の過程とともに、この複雑な歴史遺産を現代の台湾社会がどう取り扱っているのかについて取り上げた。 3つ目の発表は、ブレンサイン(滋賀県立大学)の「満鉄と満洲国による農村社会調査について」である。ブレンサインの発表は、第二次世界大戦終戦までの満洲―中国東北三省や内モンゴル地域が日本によるアジア植民地の一部であった歴史的前提に立って、この時期における多民族空間に着目した。つまり、モンゴル系やツングス系のような牧畜、狩猟民族も多く居住するこれらの地域では、日本主導の近代的な手法による社会調査が多く行われ、これら多民族雑居地域における最初の本格的な社会調査の貴重な記録メモリとして残された点を取り上げた。これらの調査を主導したのは満鉄や満洲国政府の関連機関であったが、多民族雑居地域の基層社会の詳細なデータが記録されたのはほかのアジア植民地社会調査と異なる点であり、被調査社会のみならず、調査者にとっても貴重な近代的社会調査の経験であったと指摘している。ブレンサインの報告は、満鉄と満洲国関連機関が行った多民族農村社会の実態調査を系統的に紹介すると同時に、戦後の視点から日本と東アジア関係史上特殊なこの時期に残された記録遺産との向き合い方についても考え方を提示した。 1人目のコメンテーターである張思先生(南開大学歴史学院教授)は、日本植民地時代のメモリアル遺産を過去の政治やイデオロギーの束縛から脱出して、21世紀の視点から直視すべきと指摘した。張先生はさらに、これらの遺産をソ連時代のレーニン、スターリン像などと比較しながら、過去の時代のメモリアル遺産をどのように受け入れていくかは世界的な問題でもある。日本の植民地時代と向き合う姿勢については、植民地時代は全員「共犯」だというサイードの言葉を引用しながら、関係者全員による反省が大事であるとコメントした。 2人目のコメンテーターであるマグダレナ・コウオジェイさん(デューク大学博士後期課程)は、本パネルで報告した上記3名の研究内容はそれぞれの分野で今まで見落とされてきたものの重要な部分であるという共通点があり、分野を超えて議論することの重要性を強調した。マグダレナさんは特に、地図や銅像といった視聴覚を直接刺激する歴史的素材をもって論じることの特異な効果を強調し、これらの研究は日本植民地支配期を「統治―被統治」の枠組みで単純化する傾向に対して多様な視点を提供するものであるとコメントした。 発表者はコメンテーターの意見に対してそれぞれ簡潔なコメントを述べたあと、会場からの質問にも答え、満洲国の在り方、日中関係など幅広い課題について議論が交わされた。 本パネルの司会は南開大学が母校である桜美林大学の李恩民先生がつとめた。本パネルの成果は天津や南開大学に土地勘の強い李恩民先生の司会進行に帰するところが大きいことを記しておきたい。報告者、コメンテーターや司会の先生方に改めて感謝を申し上げたい。 <ボルジギン・ブレンサイン Borjigin_Burensain> 渥美国際交流財団2001年度奨学生。1984年に内モンゴル大学を卒業後内モンゴル自治区ラジオ放送局に勤務。1992年に来日し、2001年に早稲田大学で博士学位取得。現在は滋賀県立大学人間文化学部准教授。 -・-・-・-・- 【2】寄贈本紹介 SGRA会員で台湾の国立交通大学准教授の藍弘岳さんから新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆藍弘岳「漢文圏における荻生徂徠:医学・兵学・儒学」 江戸期の儒者,荻生徂徠を全く新しい視点から捉え直す.医者の子であり武士の家系に連なる徂徠は,幼少期から医学と兵学を学び,漢文の豊かな教養を身につけた.本書は,明,清,朝鮮など漢文圏との交流の中で彼が独自の思想と歴史認識をもつに至った過程を丹念に跡づける. 発行所:東京大学出版会 ISBN:978-4-13-036265-8 発売日:2017年12月26日 判型:A5 ページ数:340頁 詳細は下記リンクをご参照ください。 http://www.utp.or.jp/book/b324628.html ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2017/9574/ ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) <論文募集中(締切:2018年2月28日)> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Morrison and Buritica Alzate “SGRA Session (1) at EACJS#2 Report”

    ********************************************* SGRAかわらばん707号(2018年1月18日) 【1】東アジア日本研究者協議会パネル報告(1) モリソン、ブリティカ・アルサテ「おぞましき女性の行方」 【2】寄贈本紹介:三谷博「維新史再考」 ********************************************* 【1】東アジア日本研究者協議会パネル報告(1) ◆リンジ―・レイ・モリソン、フリアナ・ブリティカ・アルサテ「おぞましき女性の行方:東アジア日本研究者協議会パネル報告」 2017年10月28日(土)中国天津において、第2回東アジア日本研究者協議会が開催され、私たちはSGRAから参加したパネルの1つ、「おぞましき女性の行方──フェミニズム批評から読む日本神話および昔話」というパネル発表をしました。当日は5人のパネルメンバーを含め、約20人の参加者を迎えてややこじんまりした会となりましたが、熱心な議論が交わされ、実り多い時間を過ごすことができました。 本パネルは日本神話と昔話の原文および現代作家によって語り直された作品をフェミニズムの観点から考察し、家父長的な要素を脱構築することを目的としました。パネルの流れとして、最初に司会者の張桂娥(台湾東呉大学副教授)がパネルの目的およびメンバーの紹介を行い、次に2つの発表をした後、討論者がコメントをし、最後に参加者の質疑応答の時間を設けました。以下、各発表の要旨と討論者によるコメントを簡単にまとめます。 一つ目の発表はリンジ―・モリソン(武蔵大学人文学部助教)による「暗い女の極み──日本昔話の『蛇女房』におけるおぞましき女性像をめぐって」でした。モリソンは「蛇女房」という日本の昔話をフェミニズム批評の観点から考察しました。人間と動物が結婚する、いわゆる異類婚姻譚は世界中に見られる昔話のモチーフのひとつです。日本にも異類婚姻譚が数多く伝承されていますが、「蛇女房」の場合、蛇女房は本性を夫に覗かれた後、自分の子供を人間の世界に置いて動物の世界に戻ります。先行研究では、このような異類女房が人間の世界から悲しく去ってしまう姿を日本昔話の「美しさ」と称賛され、そこに「日本らしさ」も見出されています。そのような見解に対し、本発表はジュリア・クリステヴァのアブジェクション(棄却、おぞましきもの)という概念を用いて、異類女房の「消滅」を男性による女性への「欲望」や「支配欲」として批判的に読み直しました。 二つ目の発表はフリアナ・ブリティカ・アルサテ(国際基督教大学ジェンダー研究センター研究所助手)による「神話の復習と女性の復讐──桐野夏生の『女神記』をフェミニズムから読む」でした。この発表では、桐野夏生の小説『女神記』においてイザナミとイザナキの神話がどのように語り直されているかを説明し、またフェミニストの観点から女性の復讐の描写に焦点を当てました。イザナミとイザナキの神話は、日本の男性中心主義的な文化の構築において重要な役割を果たしています。その文化では、男女は最初から不平等で、女性は穢れや黄泉国と関連付けられています。桐野の『女神記』は、女性の肉体と欲望、さらに妊娠や出産、母親になることなどと関連したものに直接的に結びついた女性の抑圧の心理的かつ文化的な側面を理解する試みだと言えます。桐野はこの小説を通して、女性を裏切られた犠牲者として描写するのではなく、彼女らに声を与えているのだというのが本発表の結論でした。 討論者のレティツィア・グアリーニ(お茶の水女子大学大学院博士後期課程)のコメントでは、神話、昔話、童話など、古くから語り継がれる物語において作り上げられた女性像・男性像が型となり、我々の意識に根付いてしまっていることについて触れました。家父長制による性の抑圧が反映されているそれらの物語が自明のプロットになり、永遠不変な原型となってしまうものの、その物語によって支えられている支配的言説は、歴史的ないし社会的な慣例にすぎない。この結論に至るためには、本パネルの発表のように、神話や昔話をジェンダーの視点から再考し、それらの物語を読み直す、そして書き直す必要があるのだともコメントしました。 2人目の討論者のシュテファン・ヴューラー(東京大学大学院博士後期課程)のコメントでは、ジュディス・バトラーのアブジェクション論の読み方を紹介し、主体と客体の境界線の脆さや瞬間性を指摘しました。つまり、主体と「おぞましきもの」とされる客体の境界線は静的、自然な、普遍的なものではなく、常に繰り返し引き直さなければならないと話しました。さらに、ヴューラーは『女神記』の問題点に触れ、結局この小説は登場する女性を「嫌な女」として描き、これまでの権力構造をただ逆転して男女の二分法的な関係および思考パターンを再生産してしまっているだけなのではないかと反論しました。 発表者がそれぞれの討論者のコメントおよび反論に回答した後、参加者からの質問を受けました。フェミニズムとナショナリズム、日本人と外国人の解釈の違い、日本の理想的な母子像、異類婿の話など、多岐に渡る質問で場が盛り上がりました。 今回は(公財)渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA)のパネルの発表者およびリーダーとして参加でき、とても嬉しく思っています。発表やさまざまな研究者との意見交換によって、自分たちの研究を発展させ、ネットワークを広げることができました。素晴らしい機会を与えていただき、誠にありがとうございました。(文中敬称略) 第2回東アジア日本研究者協議会国際学術大会の写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/wp-content/uploads/2018/01/2017TenshinPhotoslight.pdf <フリアナ・ブリティカ・アルサテ Juliana_Buritica_Alzate> 渥美国際交流財団2015年度奨学生。2010年4月に来日。国際基督教大学大学院アーツ・サイエンス研究科比較文化専攻で修士号を取得。2017年に同研究科博士後期課程を修了。現在は国際基督教大学のジェンダー研究センターの研究助手や神奈川大学の非常勤講師。専門は比較文学およびジェンダー研究。 <リンジ―・レイ・モリソン Lindsay_Ray_Morrison> 2016年度渥美奨学生。2017年に国際基督教大学大学院アーツ・サイエンス研究科博士後期課程を修了し、現在は武蔵大学人文学部助教。専門は日本文化研究。日本人の「ふるさと」意識の系譜について研究している。 -・-・-・-・-・-・-・- 【2】寄贈本紹介 SGRA特別会員の三谷博先生より新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆三谷博「維新史再考 公議・王政から集権・脱身分化へ」(NHKブックス No.1248) 「明治維新」とは何だったのか 150年の解釈を塗り替える! 幕末、雄藩が目指したのは武力討幕ではなく、幕藩体制を強化するための「公平な議論」だった。その願いが王政復古と中央集権国家樹立、身分制度の解体につながってゆく道筋を、「課題解決と権力闘争の循環」という一貫した視点で描く。幕末維新研究の集大成として第一人者が世に問う、全く新しい明治維新史。 ****** 維新というと、とかく活躍した特定の藩や個人、そして彼らの敵役に注目しがちである。しかし、この選択は実は後世になされ、定着したものである。具体的には、およそ明治の末期から形成されて、文部省『維新史』全5巻(1939~42年)で集大成された。・・・いまでも多くの人はこれらで設定された枠組みに囚われているように見える。世襲身分制の解体と犠牲の少なさという基本的事実が忘れられがちなのは、そのせいに違いない。(まえがきより) 発行所 NHK出版 発売日 2017年12月27日 ISBN 978-4-14-091248-5 詳細は下記リンクをご参照ください。 https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000912482017.html ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2017/9574/ ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) <論文募集中(締切:2018年2月28日)> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Yanming Li and June Park “SGRA Forum #58 Report”

    ********************************************* SGRAかわらばん706号(2018年1月11日) 新年おめでとうございます。 今年もよろしくお願いします。 ********************************************* ◆李彦銘「『一帯一路』―中国の戦略の含意を探る:第58回SGRAフォーラム報告」 「アジアを結ぶ?『一帯一路』の地政学」と題する第58回SGRAフォーラムが2017年11月18日(土)午後、東京国際フォーラムガラス棟にて開催された。基調講演者(朱建栄/東洋学園大学)及び報告者(李彦銘/東京大学、朴栄濬/韓国国防大学校、朴准儀/ソウル大学アジア研究所、古賀慶/シンガポール南洋理工大学)、討論者(西村豪太/『週刊東洋経済』)の構成から見れば、日中韓の3カ国からそれぞれ2名と非常にバランスの取れるものになった。また、パネルにおけるパネリストは国際政治、国際政治経済を専門とする研究者が中心だが、全体司会/モデレーター(平川均/国士館大学)と討論者の設定により、経済学からの視点とジャーナリスト/実務レベルの視点も組み込まれたといえよう。 今回のフォーラム開催の直前にあった中国共産党の第19回党大会(10月18-24日)では、「一帯一路」は習近平総書記が繰り返し強調したキーワードの1つとなり、さらに共産党の党章(党の性格や目標、組織構成を規定する規約)の、党の求める対外政策の性質を説明する部分に書き込まれた。その結果、フォーラム開催は非常にタイムリーなものとなり、多くの方々の関心を得た。その後、年末に安倍首相が日本の対外政策を「一帯一路」と連携する意向があると明らかにし、2018年は日中の政治関係が漸く改善すると見込まれる。「一帯一路」をはじめとする日中の経済協力は今後、より一層注目されるだろう。 基調講演では、「一帯一路」構想の具体的内容、推進された背景、経緯とその主な手段、戦略的目的についての分析がまず紹介され、後半の報告は各国の反応を中心に展開された。発展途上国のインフラ整備需要にうまくマッチしていることから中央アジアを中心とするいくつかの地域では支持を得られやすい一方、米欧日、そしてロシアとインドにも地政学における警戒と懸念をもたらしている。それに対し中国政府も一定の対応策を示し、各国の開発戦略、構想との連携性を強調しつつ、「海」ではなく「陸」のほうを優先的に、そして経済を前面に推進して来ていると見られる。その点で日中協力の余地も大きいのではないかと論じられた。 個別報告セッションでは、まずはかつて日本が70年代から推進したプラント(インフラもプラントの一種)輸出戦略や、80年代後半からの対アジア直接投資、技術移転と対日貿易拡大が三位一体になった「ニューエイドプラン」が紹介され、中国の「一帯一路」との類似性及び、さらなる経済成長のための対外経済政策であることがその本質だと理解できると、李によって提起された。 朴(栄)報告は、国家の対外戦略と海軍力の立場からの検討であるが、「一帯一路」は地政学から見てもアメリカとの海での直接対決を避けるために中国が取った陸での戦略だととらえられると言う。 朴(准)報告は、中東地域を取り上げ、これらの地域における中国の政策、援助や港湾建設などが紹介された。しかし当地域では複雑な国内・国際政治(米ロの競争)が展開されているため、パワーの空白の中その経済利益を守るためにも、今後中国は自身の政治と軍事的プレゼンスを増大させざるを得ないだろうと言う。 最後は、ASEAN諸国のような大国ではないアクターの態度と立場、担いうる役割が古賀報告によって検討された。小国でありながらも、米中のような大国の間で、自らの利益を守るためにバランスをとる可能性があると論じられた。この点、韓国も似ているような戦略を取っていると朴(栄)からも主張された。 フリーディスカッションでは、フロアを含め様々な質問があったが、全体としてまとめると、やはり「一帯一路」に対する警戒や危惧というようなものはまだまだ強いと言える。これは今までの日本社会での論じ方と概ね一致するものだろう。パネルからは「一帯一路」は1990年代後半からすでに始まっていた中国企業による「走出去」の成果、その延長線上にあるという指摘や、今まで中国が2国間でやってきたものを束ねたものにすぎないという指摘があったものの、「一帯一路」というように世界地図で示されるようになると、地政学による心配が一層高くなるのは当然のことかもしれない。 一方、中国が2013年に「一帯一路」を正式に打ち出した後、その内実についてまだ内外に対し十分説明できていないことや、政策形成のプロセスがやはり不透明であると言わざるを得ない。ただし全貌が不透明の中でありながらも、「一帯一路」のサポート役であるAIIBの運営実態からは中国は開かれた姿勢を保っている現状も確認できると西村が指摘した。グローバルスタンダードが中国のリードで形成されることを危惧するのであれば、「一帯一路」を静観/敬遠するのではなく、日本がより積極的に参加し、自らのイニシアティブを発揮していくことも必要であろうという西村の論点はパネリストたちの共通する見方となった。またグローバル経済史や人類史の長いスパンから見る場合、世界の中心が移動することなど、多様な論点が提起され、地政学におけるパワーバランスのみではなく、「一帯一路」が持ちうる、より大きな意味にも気付く必要がある。 紙幅の関係で個々の論点について展開できないが、フォーラムを企画した当時の目的は概ね達成され、「一帯一路」に関する知識と考える場、多様な思考回路を少しばかり提供できたといえよう。フォーラム当日の具体的な報告は、2018年の秋までにSGRAレポートとして纏められる予定なので、関心がある方は是非ともご参照いただきたい。 今回のフォーラムを企画した当初は、確かに日本ではまだあまり「一帯一路」の話は表に出ていなかった。もちろん専門家や経済界等、特定のオーディエンスを対象とする勉強会や講演会などは開かれていたと思うが、今回のように一般向けで、そして政策当局に少し距離を置く学者の立場から議論したものは少なかった。 また、企画者としての感想となるが、「一帯一路」の政策形成プロセス、つまり具体的に誰がどのように案を練り上げ、そしてアクター間のどのような力関係を経て、このような政策結果ができてきたのかを明らかにしたい、というさらなる研究課題が与えられたような気がする。 最後は、今回の企画に賛同し、隅々までサポートしてくれたSGRA事務局と、報告を快諾してくださったパネリストの先生方にお礼を申し上げたい。当日足を運んで、たくさんの質問を熱心に寄せてくだったオーディエンスの皆様や、フォーラムの内容に個人的に関心を示してくれた方々にも深く感謝したい。 (文中は敬称を略した) 当日の写真は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/photo-gallery/2018/9958/ <李彦銘(り・えんみん)Yanming_Li> 北京大学国際関係学院学士、慶應義塾大学法学研究科修士・博士、現在:東京大学教養学部特任講師。専門分野は日中関係、政策形成過程、国際政治経済。主な著作に『日中関係と日本経済界――国交正常化から「政冷経熱」まで』(単著、勁草書房、2016年)、『中国対外行動の源泉』(共著、慶應義塾大学出版会、2017年)ほか。 ◆朴准儀「一帯一路フォーラム開催まで」 シンガポール国立大学でポストドクター/博士後研究員2年目を過ごしていた2017年初めに、慶應大学の訪問研究員として派遣された私は、久しぶりに2011年度渥美奨学生(ラクーン)の同期であった李彦銘博士と東京で再開した。東アジアを中心とする国際政治経済を勉強し共通点が多い私たちは、話すことがたくさんあった。ある時、ランチをしながら話し続けるうちに、彼女が私に「もしも機会があれば、一緒にパネルを作ってみない?」と言い、私はもちろん「そうしましょう!」と答えた。 そして私はシンガポールに戻り、彼女は東京で研究活動を続けていたが、私が7月頃シンガポールから韓国に移る準備をするためソウルに一時帰国していた時に、偶然2018年8月にソウルで渥美財団が主催する予定のアジア未来会議(AFC)の準備会議に出席し、今西さん(渥美財団常務理事)から渥美財団が元奨学生を対象にパネル企画を募集していることを知らされた。それが切掛けとなり、ちょうどシンガポールでエネルギー市場の動きを研究し、中東での中国の戦略を見ていた私は、李さんに「一帯一路」政策の研究に興味があるかと聞いたところ、日本ではあまりに語られていないが、興味を持っているということだった。 渥美財団のパネル企画案募集は中国や日本で開催されるいくつかの日程が計画されていたので、私は、中国の関連の内容である一帯一路政策関連のパネルを日本で行うのはどうか、そしてそのプレフォーラムとしてSGRAフォーラムを考えるのはどうかと提案した。応募するためには渥美奨学生出身者が3人以上必要であったので、先輩の朴栄濬教授の参加の意思を確認してから、私と李さんが他に関心を持ってくれると思うパネリストに接触した。 このパネルは日中韓出身の学者に揃って欲しかったため、パネルの構成は、発表者数を、少なくとも国籍に限っては、均等にしたかった(日本2人、中国2人、韓国2人)。参加する学者たちは各自の個人研究で国際安全保障、国際経済、地政学、外交政策、エネルギーなどの場面で活発な活動をしている方々であり、北東アジアやアメリカ、そして東南アジアをめぐる両国関係や地域関係を専門にしている方が望ましい。その上、一帯一路のテーマの特性上、中国の国内政治と外交政策、米中競争とそれに反応する隣国の立場、そして中国の南シナ海(地政学的な拡張)や中東での進出(エネルギー貿易)等、北東アジア圏外の地域を含めることにし、北東アジアや太平洋での地政学に限らず、全世界がカバーできなくても主に一帯一路に現れた中国の世界戦略に近づいてそれを読み解く機会にしたかった。 最初はアメリカの先生を含めたほうがいいかと思ったが、そうするとアジアの国々からの立場がよく現れなくなるのではないかと思った。その結果、司会者をのぞいて日本を代表し古賀さんと西村さんが、韓国を代表し朴(栄)先生と私が、そして中国を代表し朱先生と李さんに決まった。司会者としては国士舘大学の平川先生にお世話になることになった。この構成であれば、アメリカの発表者がいなくても十分だと思った。 SGRAフォーラムでパネルを作る初めての経験であったが、私はこのテーマについてどうしても日本人の一般の方々にたくさん参加して欲しかった。一帯一路政策については中国では無論、韓国やアメリカ、特にワシントンでは頻繁に論争されているが、5月に中国でこのテーマで発表を行った時に、中国の学者たちから中国の拡張について否定的な反応を見かけ、日本の人々はどう考えているのかを一般の参加者に聞いてみたかったからだ。それで、観客を集めるため、ポスター作りを渥美財団に提案し、それをSNS(Eventbrite, Facebook)に乗せて幅広く広報した。SGRAフォーラムとしては初めての試みであったが、結果としては良い戦略だったと思う。そして次の機会には、画期的な案(例:マスコミの使用)でさらに一般の観客に近づきたい。それが政策の複雑さをもっと多くの人々に説明する学者やパブリックインテレクチュアルの義務だと思っている。 最後に、このフォーラムを実現するためにお世話になった渥美財団へもう一度感謝の気持ちを伝えたい。 <朴准儀(パク・ジュンイ)June_Park> 高麗大学政治学学士、高麗大学国際政治学大学院碩士、ボストン大学政治学大学院博士。 東京大学社会科学研究所訪問研究員、日本財務総合政策研究所訪問研究員、北京大学国際関係学大学院訪問研究生、シンガポール国立大学李光耀行政政策大学院博士後課程研究員等を経て、現在ソウル大学アジア研究所北東アジア選任研究員、Pacific_Forum_CSIS ジェームス・ケリーフェロー、アジアソサエティアジア21フェロー。専門分野は国際政治経済、貿易保護主義、エネルギー(アメリカ―東アジア、中東)。 ****************************************************************************** ★☆★SGRAカレンダー http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2017/9574/ ◇第4回アジア未来会議「平和、繁栄、そしてダイナミックな未来」 (2018年8月24日~8月28日、ソウル市) <論文募集中(締切:2018年2月28日)> http://www.aisf.or.jp/AFC/2018/ ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2017/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************