SGRAかわらばん

エッセイ137:キン・マウン・トウエ「ナルギス被災者支援プロジェクト第一回活動報告」

2008年6月7日朝5時、空はかなり曇っています。今日は、必ず雨が降るでしょう。本日、ミャンマーのサイクロン被害者の方達へ支援活動を行うために、2つのボランティア・グループが合流し、現地へ行くことになっております。最近、政府からは、被害者への支援を行う場合、現地まで行き、直接被災者の方達へ手渡しするようにという正式発表がありました。今回は、私のナルギス被災者支援プロジェクトの運営ボランティア・グループ9名と、友人のミャンマー国内のボランティア・グループから12名が活動に参加してくれました。

 

集合場所に6時と言うことでしたが、その前にそれぞれ集まりました。準備した支援物資を2台の小型トラックへ運び込み、6時30分に出発しました。今回の支援物資は、お米、食油、玉ねぎ、ジャガイモ、薬、石鹸、国内の古着、スリッパ、お金一部を用意しました。私のプロジェクトから日本円で15万円と友人のボランティア・グループから30万円をあわせて予算を作りました。

 

活動する対象としては、ヤンゴンから海の方向に存在するクンチャンコン地区ペーコン村を選びました。多くの被害地がありますが、私達の支援物資の量、現地の被害者家族の状況、今までの連絡係りの準備などを考慮して、ヤンゴンから車と船で約4時間で行けるペーコン村になりました。

 

車で移動している間、午前8時ごろには大雨だったので心配しましたが、9時前には曇りの状態に戻りました。被害地に入ると、周囲を撮影しながら、船乗り場へ到着しました。ボランティアの皆さんの力で資材を船まで運び、再度海へ出発しました。ヤンゴンで被害を受けた建物とは違い、小さい家や古い精米工場が多く存在し、全てがサイクロンの影響を受けました。復興は1ヶ月経っても、まだまだです。

 

11時半ころペーコン村に無事に到着しました。村の子ども達が我々を笑顔で迎えてくれました。桟橋が今にも落ちそうなので十分注意ながら支援物資を運び、一人分の支援物資をいれた袋を皆で準備しました。私は、村の子ども達と一緒に、村を回って見ました。ほとんどの家がサイクロンの影響を受けて、どうにか居住できるような状態に直してあります。村の学校もレンガのみ残っています。村の人々は、我々が来たことをたいへん喜んでいます。今までUNICEFから2回、民間支援者達から数回しか、支援物資を受け取っていないようです。

 

学校が被害を受けた関係で、現在はお寺を借りて学校として勉強しているようです。子ども達は「いつになったら私達の学校ができるか分からない」と言うのを聞いて、私の胸が痛みました。村の73歳の方と会ったときも、「あなた方が来てくださって大変嬉しい。出来る力で、この村のことをお願います」と言われ、「はい」と答えましたが、何とも言えない気持ちになりました。ヤンゴン市内の被害者の場合は、ある程度自力で回復する力がありますが、この村は今後どうなるでしょう。

 

一方、我々の活動に協力してくれた現地の方は、精米所を持っています。そして、かなりの米を生産する農地も持っています。しかし、工場も、在庫のお米も全てだめになり、農地も塩水が入って、大変な情況です。生活レベルに差があったとしても、この地域に住む全ての人々がサイクロン被害を受けました。彼自身が回復ために、かなりの資金力で頑張らなければなりませんが、一般の人たちは、もっと大変でしょう。政府からの支援については話は聞いていますが、でも...

 

今回サイクロンの被害を受けた全地域が、ミャンマーで第一の米の生産地であり、精米所も多く存在しています。雨季がきて生産時期が始まりましたが、なかなか準備に入れない人が多いです。今まで農業に使用してきた水牛や牛なども約15万匹がいなくなってしまいました。これから機械農業に展開していくといっても簡単なことではありません。政府や国内支援企業の一部から、農業機械の配分があっても、全ての農民に届くチャンスは少ないでしょう。

 

我々の支援物資は、彼らが一週間生活するのに役立つかもしれませんが、彼らの将来のことまでは、力が及びません。今回支援を行ったことに対して、喜びと悲しみを同時に感じています。

 

今後の支援方法について考えています。今回のように一週間分の支援物を準備するか、彼らの将来に役立つ事をするかが、課題になっています。例えば、雨季に米栽培用タネを我々が出来る範囲で準備すると、彼らのためにもっと役立つのではないでしょうか。ヤンゴンへの帰り道は、頭の中でいろいろなことを思い巡らしていました。この267世帯の村でもさまざまな問題が生じていますが、被災地全部ならかなりの力が必要であり、被災者自身の強い心と力も必要です。

 

皆様、私の小さなナルギス被災者支援プロジェクトにおけるご協力やご支援に関して本当にありがとう御座いました。今後もよろしくお願い致します。

 

活動写真をここからご覧ください

 

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<キン・マウン・トウエ ☆ Khin Maung Htwe>
ミャンマーのマンダレー大学理学部応用物理学科を卒業後、1988年に日本へ留学、千葉大学工学部画像工学科研究生終了、東京工芸大学大学院工学研究科画像工学専攻修士、早稲田大学大学院理工学研究科物理学および応用物理学専攻博士、順天堂大学医学部眼科学科研究生終了、早稲田大学理工学部物理学および応用物理学科助手を経て、現在は、Ocean Resources Production Co., Ltd. 社長(在ヤンゴン)。SGRA会員。
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【募金のご報告】森 峰生

 

12日(木)現在,4団体と18名の方々から総計602,295円の募金をお預かりいたしております.
そのうち,15万円を第1回活動費の一部に使用して,残額452,295円です.

 

★キンさんのプロジェクトにさらにご協力ください!

 

募金趣意書

 

ポスター