SGRAかわらばん

エッセイ196:キン・マウン・トウエ「生きる価値」

2008年の後半に米国から始まった経済危機は、またたくまに世界中の経済に大きな影響を与え、大変な情況になってきました。アメリカでは、この状況を回復するためにオバマ新大統領が努力しています。しかし、全てがグローバル化した現代の社会では、お互いにリンクされている為、ほとんどの国の経済はガタガタになったままです。それぞれの国が、どうにか景気を回復させようと、様々な方法を用いて努力をしていますが、今でも状況が改善する気配がありません。

 

我が国でも全世界の不景気の影響を大きく受けています。主要な輸出品目である農産物や水産物を始め、鉱産物、チーク材、ゴム材、宝石などの輸出も影響を受けています。相手国が不景気なために輸出が滞り、物流と決済方法が大幅に変化し、国内相場にも大きな影響を与え、倒産した企業も出ています。事業が大きければ大きいほど、その影響も大きいようです。一方、輸入産業も同様です。数か月前に輸入した商品は、その契約仕方・為替レートの変化、大安売りをしなければならない国内相場によって、ほとんどが赤字です。外国からの投資も中断しているところが多いです。在庫を持つか、赤字でも売るか、今までのビジネスネットワークと縁を切るか、どのように自分自身を精神的においつめないようにするかを上手く判断できないと、国内の不景気と一緒に自分も死んでしまいます。

 

今後世界経済は、どうなるのか?この不景気がどこまで落ち、再度復活するかということについて、たくさんの人々が頑張って考えています。たくさんの人々が、国境を超えて、様々な方法で努力をしています。世界経済の問題は、この地球に存在しているすべての人々が、国際理解と交流を基準にして、力を合わせて頑張って解決していくべきです。

 

我が国では、昨年5月2日に起きたナルギスサイクロンによる被害者の復興のために、国内外の多くの方達のご支援をいただきました。私自身も国内で支援グループを作り、サイクロン被害者への支援活動を行いました。SGRAかわらばんのおかげで、日本や韓国の多くの方達からご寄付を送っていただき、よりよい支援活動ができました。一回目は、被害直後に必要な生活用品を配給しました。2回目には、被害者の方達の新しい生活に必要なトラクター7台の支援を行いました。我々は、被害を受けたひとつの村だけに寄付することはやめて、多くの村が使用できるようにレンタル方式で行いました。6月下旬にトラクターのレンタル支援をした村に、10月下旬に視察に行った時には、青々と稲が育っていました。また、同時に、水産業も行えるようになっていました。サイクロン直後には飲めなかった飲み水用池もきれいになりました。一方、村の小学校も落ち着いた状況です。我々のグループは金銭的な支援も少し行いました。このように、我々が支援した村は、今後も自分たちの力で頑張れるようになりました。これまでに支援してくださった多くの皆様に大変深く感謝していることを、村民に代わってお伝えしたいと思います。

 

その後、我々は、11月の栽培時期に利用する為、他のサイクロン被害村へトラクターを移動しました。その村でもレンタル方式で支援し、より多くの方達に使用していただきました。このようにして、ご支援くださった皆様の心が伝わるような活動を行っています。

 

支援した村の写真(2008年10月撮影)

 

★ナルギス被災者支援プロジェクトに関するエッセイ

 

 ミャンマーのナルギス被災者支援プロジェクトにご協力ください!

 

 ナルギス被災者支援プロジェクト第一回活動報告

 

 
ナルギス被災者支援プロジェクト第二回活動報告

 

 

昨年12月には、ハートボックス様のご協力のもと、日本の友人たちが寄贈してくださった古着と、微力ながらも私が買い集めた冬物古着をもって山の村へ行って支援活動を行いました。これは、私が数年前より行っている山の学校支援活動です。仕事で通った多くの山の村の状況を見てから、少しでもお役にたちたいと思って始めた活動で、いままでにいくつかの山村を回って活動してきました。古着をバザーで売った利益も寄付して、学校施設の改善に使ってもらっています。彼らにとっては、今の世界経済はどうなっているのか、国内の情況はどうなっているのかということより、生きることが第一です。そして、以前にエッセイ「ゴミの中から金に書いたように、日本ではもう不要になった古着が、この方たちには必要なのです。

 

山の村支援活動の写真

 

私は、仏様のお言葉に従って、私が生きている間、自分が出来ることを、自分が出来ないことであれば、支えてくださっている周りの方達に声をかけながら、皆様のお力と合わせて、高いところから低いところへ水が流れるように、自分たちの生活を送りながらも、誰かのお役にたてることを精一杯行っています。今後も継続的に何らかの方法で頑張って行います。「生きる価値」があるミャンマー人として存在したいと思いながら、自分の人生を創っています。

 

これまで、支えてきた多くの方達には、本当に心より深く感謝をしております。

 

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<キン・マウン・トウエ ☆ Khin Maung Htwe>
ミャンマーのマンダレー大学理学部応用物理学科を卒業後、1988年に日本へ留学、千葉大学工学部画像工学科研究生終了、東京工芸大学大学院工学研究科画像工学専攻修士、早稲田大学大学院理工学研究科物理学および応用物理学専攻博士、順天堂大学医学部眼科学科研究生終了、早稲田大学理工学部物理学および応用物理学科助手を経て、現在は、Ocean Resources Production Co., Ltd. 社長(在ヤンゴン)。SGRA会員。
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★不要になったカジュアルな夏物衣服をキンさんのプロジェクトにご寄贈ください。まとめてコンテナで送ってくださいますから、「ミャンマーのキンさんへ」と明記して、ハートボックス(静岡県)に宅配便等でお送りください。詳細はホームページをご覧ください。

 

2009年3月20日配信