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エッセイ143:キン・マウン・トウエ「ナルギス被災者支援プロジェクト第2回活動報告」

 

6月29日の朝、やはり雨季の朝です。今日は、第2回支援活動を行うため、前回支援を行いましたクンチャンコン地区ペーコン村より小型船で1時間半ぐらい離れた所へ行く予定です。6月27日(金)に日本から募金残金472,295円を送金していただき、無事に497万キャトを受け取りました(9500円で10万キャト)。

 

 
28日(土)にボランテアをしてくれる友人と一緒に、トラクターを買うため農機などを販売している代理店へ行きました。いくつかのお店で値段を調査しましたが、思っているより高くなっています。サイクロン後、農機の価額が高騰したようです。国内でも生産していますが、中国からも多くの台数が輸入されています。今回の支援予定地を調査した時に村が要求した機種を探しましたが、ある店に7台しか残っていませんでした。必要な部品やオイル、また、クンチャンコン地区まで運送費も合わせて一台あたり75万キャト(約7万5千円)もしました。予算オーバーになってしまいましたが、私達が行くための経費と、対象地での学校支援分を友人のボランティアグループが日本円で5万円分を支援して下さいました。本当は農機10台ぐらいを予定していましたが、予算と在庫の関係で7台だけ支援することにしました。運送屋にお願いして、その日のうちに支援対象地に一番近いクンチャンコン地区へ運んでもらい、翌日、私達も現地へ出発することにしました。

 

 
稲作を始めることができる雨期は、あと何日も残っていません。7月下旬頃までに終わらせなければなりません。それまでは一日でも大事です。タイミングを上手くあわせないと、種にするお米の値段が大変な価額になってしまいます。現在も今までの価額より2倍ぐらい上がっています(1キロ:約1500キャト)。今まで農民が私達のためにお米を作ってくれましたが、今回は、彼らに私達がサポートをしなければなりません。今回は、サイクロン被害者の方達のために単に生活物資を支援するより、彼らの将来の発展のために役だつことを支援するのがもっと重要と考え、農機を支援することに決めました。

 

 
今回は、予算の関係もあって7名のメンバーで行きました。船も安いものを借りましたが、7台のトラクターで重量オーバーです。船が小さいから危険だと思いながら、そのまま一隻だけで2時間以上の距離を進みました。雨が降らないように、風が強くならないように祈りました。普段は、このような情況では絶対行かないと思いますが、今は支援のためなので、皆も楽しくなっています。

 

 
支援対象地であるデイダーイェ地区アセーレイー村は、前回支援した地域から、小型船で1時間半ぐらい離れています。この村の約200名がサイクロンで亡くなったそうです.377世帯のうち124世帯が農民です。その他は、魚屋や水産物商、その他の仕事を行っています。農民の半数の世帯が残った財産から農機を購入しましたが、残り半数は全く財産が失ったため、農機が購入できない情況です。

 

 
午後1時頃村へ到着しました。すぐに農民を集め、農機の在庫情況を説明しました。その後、まず一台を組み立てました。農民達の顔が、明るくなっていきます。彼らの近い将来が決まったようです。しかし、台数が少ないですから皆でグループを作って、なかよく利用するようにお願いしました。その後、小学校へ行き、お手洗いの修理代、黒板購入代とその他費用として、支援金の一部を寄附しました。3時ごろに、村長の家で、ヤンゴンから持ってきたお弁当を食べました。

 

 
最後に農民の方達にもう一度集まってもらって、農機を利用して残っている期間を上手く使っていただくように再度お願いしました。私達は単に支援するだけではなく、指導も行います。今度来る日程、および、農民に対する宿題などの打ち合わせを行いました。

 

 
今回のヤンゴンへの帰り道は、前回と違って、私達の心の中も、喜びと強い自信がいっぱいでした。彼らは、サイクロンで家族や財産を失いましたが、今は、将来のため頑張っています。

 

 
7月2日に、指導グループ4名が村へ泊まりに行きました。村の方達が笑顔で迎え、宿題だった農機全部の組み立てや農民達のグループ化も上手く準備していました。アセーレイー村の将来のため、我々も安心しました。今後、私達のボランテアの方達が力を合わせて必要な肥料やその他について継続的に支援する予定です。

 

 
日本から一部支援された古着と私が購入した古着は、また時期を考慮して支援することにしました。特に、雨季後の寒い時期になれば、この古着の必要性が出てきますので、その時に実施する予定です。

 

 
皆様、私の小さなナルギス被災者支援プロジェクトに対して、ご協力ご支援を本当にありがとうございました。今後もよろしくお願い致します。

 

活動の写真はここからご覧ください

 

第1回活動報告は、ここからご覧いただけます。

 

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<キン・マウン・トウエ ☆ Khin Maung Htwe>
ミャンマーのマンダレー大学理学部応用物理学科を卒業後、1988年に日本へ留学、千葉大学工学部画像工学科研究生終了、東京工芸大学大学院工学研究科画像工学専攻修士、早稲田大学大学院理工学研究科物理学および応用物理学専攻博士、順天堂大学医学部眼科学科研究生終了、早稲田大学理工学部物理学および応用物理学科助手を経て、現在は、Ocean Resources Production Co., Ltd. 社長(在ヤンゴン)。SGRA会員。
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【募金の報告】森峰生さんより

 

6月30日現在で、5団体と19名の皆様から総額633,295 円の募金をお預かりいたしました。あらためて募金下さった皆様に厚く御礼申し上げます。

 

そのうち、6月上旬に第1回活動資金として15万円をミャンマーに送金いたしました。キンちゃんが今まで行ってきた「学校支援ボランテア活動」のメンバーでもある人が幹事をしているボランテア団体からの資金30万円と合わせて、共同で45万円分の支援活動をヤンゴンから海の方向に存在するクンチャンコン地区ペーコン村267世帯を対象に行いました。支援物資は、小型トラック2台分の米、食用油、玉ねぎ、ジャガイモ、薬、石鹸、古着、スリッパ、当座の生活資金です。

 

第2回の活動がすでに始まっております。6月26日にほぼ残額すべての472,295 円をミャンマーに送金して、キンちゃんの方でトラクター7台を購入したそうです。(今回の送金の後に11,000 円の入金がありました.使途は現在検討中です)

 

森さんの礼状の全文は下記URLよりご覧ください。

 

(多少前後していますが、文中の「第2回活動報告」がこのエッセイです)