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李鋼哲「イラク戦争を止めろ!!! 民主主義を救え!!!」

SGRA研究員・李鋼哲  
2003.3.18朝10時ブッシュの演説を聞きながら

 

アメリカ軍のイラク攻撃は秒読みの段階に入っている。今更戦争を止めろ、といっても止めそうでもない。だからといって、我々は「対岸の火事」を見ているだけでよろしいでしょうか。

 

国連の決議なしに単独主義行動で、アメリカなどがイラク攻撃を踏み込んだ場合、世界は第二次世界大戦後の最も深刻な危機に陥ることは間違いないと私は見ている。国際関係を見ると、「9.11」を契機に、世界はポスト冷戦時代の米国中心の「一超多強」世界秩序から、ポスト・ポスト冷戦時代に突入した。一時的な混乱を経て、世界はアメリカ「帝国」の衰退を迎え多極化時代に入るだろう。この転換期に国際社会が直面した危機は深刻である。

 

まずは、国際秩序の破壊危機である。戦後国際社会は資本主義勢力と共産主義勢力との対立が険しいなかでも、米ソ両超大国を中心とする均衡の取れた世界秩序を創った。もちろん、軍備競争や局部戦争は起こっていても、世界は第三次大戦にはならなかった。冷戦崩壊を迎えて、共産主義陣営は崩れ去り、アメリカ超大国が主導するグローバリズムの世界に入った。この秩序において、1991年に起こった湾岸戦争、昨年に起こったアフガニスタン戦争などは何れも国連決議に基づいて行っており、国連の結束と権威が一応保てられていた。しかし、今度のアメリカの軍事行動は、国連の賛成を得られないまま独走し、国際社会の秩序が破壊されてしまう危険性が非常に高い。そうなると、世界は冷静な価値判断基準が乱れることになり、正義と非正義が混沌してしまう。フセイン大統領は「世界各地が戦場になる」と宣言し、アラブ世界とアメリカなどとの対立が深まり、「9.11テロ」現象がアメリカを始め世界各地で起こっても不思議ではなくなるだろう。世界世論を背ける今度の戦争で、アメリカはイラクとともに敗者になるに違いない。

 

次は、国際的、国内的民主主義の危機である。国際社会において国連中心の体制においては一応の民主主義が貫徹されてきたが、アメリカ単独主義行動の独走に対して国際社会は歯止めをかける力を完全に失ってしまったのを見て、世界の人々は国連に対する強い不信感を抱くことになろう。一方国内では、とりわけイラク攻撃に参加する、またはこの戦争を支持する国々では、民主主義の深刻な危機を迎えざるを得ないだろう。ブッシュ政権、ブレア政権、小泉政権はいずれもが国民多数の反対を無視しており、民主主義を踏みにじっている。これらの政権はイラク戦争によりいずれも交替せざるを得ない運命になっていると私は見ている。

 

最後は、世界経済が深刻な危機に陥る。国際秩序の破壊、民主主義の危機は直接国際社会に対する経済界の不信感を強め、株価暴落を始め世界経済は大きな危機を迎えつつある。世界の3大経済大国アメリカ、日本、イギリスが国内市場の最大危機を迎えており、それが国際経済に与える影響は甚大である。世界同時不況はさらに深刻になるだろう。

 

このような国際社会が直面した危険、世界経済の危機を無視してまで行うイラク攻撃戦争に対して、地球市民としいてのSGRAは何を考え、何を発信すべきか。我々の発信が世界にとっては「茫々大海に投じた一石」に過ぎず、何にも役に立たないかも知れない。しかし、世界には我々と同じように、または我々よりもっと積極的に、ドラスティックに発信し、行動する市民やNGOが千万と数え切れないほど存在している。最近、世界各国で起こっている反戦デモを見てもこれは明らかであり、強まる市民社会の力を示している。

 

世界が直面した深刻な危機を転換させるために、我々は自分の声を世界に発信し、我々は自ずと行動を示さなければならない。戦争を止めるために、民主主義を救うために!!!

 

今、ブッシュの演説を聞いているが、全く説得力と論理性が見えない。頭が狂っている。