SGRAメールマガジン バックナンバー

  • Xie Zhihai “The Adults’ Role in the Relationship between Children and Smartphones”

    ******************************************************************* SGRAかわらばん589号(2015年10月8日) (1)エッセイ:謝志海「子どもとスマートフォンの関係性における大人の役割」 (2)情報提供:帰国外国人留学生短期研究制度・研究指導事業(JASSO) (3)第8回SGRAカフェへのお誘い(10月24日東京)    「女子大は、要る?~『女』、『男』と大学について考えよう~」 ******************************************************************* (1)SGRAエッセイ#470 ◆謝志海「子どもとスマートフォンの関係性における大人の役割」 最近の子どもに関する事件は、彼らが所持するスマートフォンが密接に関わっている。夏休み後半には、愛媛県で同級生に暴行を繰り返し、その画像をLINEで拡散した中学生が逮捕されるという事件があった。似たような事件が日々報道されているが、なかなか改善策が見出せずにいる。それは、スマートフォンと共に成長した子どもが大人になった状態を、我々がまだ見ていないからではないか。急速に変化する子どもたちのネット環境により、ネット上でのいじめや、被害者にも加害者にもなりうる犯罪が起きてしまうようになった。 おそらく小中学校の教育現場では最重要課題の一つであろう。しかし、どれだけ学校で先生が注意喚起しても、生徒たちのLINEのネット上でのコミュニティには入れない。また親が子どもに与えるスマートフォンにフィルタリング機能を搭載したとしても、写真や動画のアップロードは防げない。ひとたび画像や動画がネット上にあがって拡散されてしまったら、学校や親はおろか警察さえ完全に削除することはできないだろう。教育現場ではどのように対処しているのだろう。 所変わって、私の出身地である中国でも状況は同じで、子どもとスマートフォンの関係については社会問題になっている。スマートフォンを使ったLINEと同じようなアプリ、「微信」(WeChat)で友達同士いつもつながっていないと気が済まないネット依存症の若者が多い。もちろん大人も便利に使っている。フェイスブック、ツイッターが使えない国だが「微博」(Weibo)なるツイッターと極めて似た機能を持つミニブログ、前出の微信、チャットの「QQ」、ネット上で人とつながり、意見を交換する場はいくらでもある。こうなると中国も世界に負けないネット依存大国だ。そして子どもとスマートフォンの関係性だが、日本と同様、国が定めた法令はないが、各学校が、授業中はスマートフォンを先生に預ける等の対応をとっている。こちらも各学校や、教育機関の手腕が問われるところだ。 日本ではLINE上での仲間外れなど、LINEばかりが目立っているが、LINEに追いつけ追い越せで、次々と新しいアプリが開発されている。最近の学生の間での流行りはスマートフォンで撮った動画をアプリで編集し投稿することだそうだ。インターネットのスピードが早くなり、Wi-Fiへのアクセスが増えたことで、動画は(ファイルのサイズが)重いという問題が払拭された。 先日、青少年育成団体に所属する方々と話す機会があったが、スマートフォンの使用で懸念しているのは、LINEだけではなく、芸能人を起用して派手にテレビコマーシャルを打つオンラインゲーム。これは父兄の方までハマっていることもあり、子どもとゲームを引き離すことが難しく、とても困っているようだ。また、最近トラブルが多いのは、不用品を売る専門のアプリで、18歳以下は使えないなどの制限がかかっていないものがあることが問題だそうだ。すなわち、18歳以下の子どもがアプリを操作し物が売れたら、お金を手にすることが可能になってしまう。次々と開発され便利で楽しい機能満載のアプリ、我々大人の方がついていくのに精一杯で、子どもへどのくらい悪影響を及ぼすのかまで想定しきれていないのが現実かもしれない。 このまま放っておくわけにはいかない子どもとインターネットの関係性。まずは親が現状を知り、家での利用時間の制限などモラル作りをしてあげ、子ども自身が上手にスマートフォンと付き合えるようになるのが理想だろう。 学校側は、父兄へのお願いとして大人のスマートフォン利用、すなわち自身のスマートフォンとの関係をも省みて欲しいとお願いしているそうだ。これは我々にとっても耳の痛い話である。ただ我々はスマートフォンが無かった時代も良く知っているが、今の子どもはそうではないことが問題だ。ネット上での何気ないやりとりが人を傷つける凶器になったり、事件に巻き込まれるなどの恐ろしいものになり得ることを良く理解させ、子どもたちが自分の身は自分で守れるように導いてあげないといけない。 <謝志海(しゃ・しかい)Xie Zhihai> 共愛学園前橋国際大学専任講師。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイトを経て、2013年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。 (2)情報提供 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)より下記の案内がありましたのでご紹介します。 ----------------------------------------------------------------------- (1)(12/10締切・必着)「平成28年度帰国外国人留学生短期研究制度」募集開始 ----------------------------------------------------------------------- 日本での留学を終え、現在、自国において教育、学術研究又は行政の分野で活躍している元留学生に、日本の大学で短期研究を行う機会を提供する制度です。 ■元留学生を招へいしたいと考えておられる先生及び日本で学んだ元留学生の皆さんにご案内ください。 【支援内容】 外国人研究者:往復渡航旅費、滞在費 (日額11,000円) 受入研究者:受入協力費(定額50,000円) 【募集要項】※募集を開始しております。 詳細はこちらをご覧ください。 http://www.jasso.go.jp/exchange/tanken.html ○帰国外国人留学生短期研究制度を活用した研究者の声○ http://www.jasso.go.jp/exchange/tanken_r_h26.html ----------------------------------------------------------------------- (2)(12/10締切・必着)「平成28年度帰国外国人留学生研究指導事業」募集開始 ----------------------------------------------------------------------- 日本の大学の教員を現地に派遣し、日本留学を終えて自国の大学等で教育、研究活動を行う元留学生の研究を指導する場を提供する制度です。 ■元留学生を訪問したいと考えておられる先生及び日本で学んだ元留学生の皆さんにご案内ください。 【支援内容】 往復渡航旅費 滞在費(現地滞在日額16,000円) 研究指導経費(上限100,000円) 【募集要項】※募集を開始しております。 詳細はこちらをご覧ください。 http://www.jasso.go.jp/exchange/shidou.html ○帰国外国人留学生研究指導事業を活用した研究者の声○ http://www.jasso.go.jp/exchange/shidou_r_h26.html (3)第8回SGRAカフェへのお誘い SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まりいただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、「性別やジェンダー(『女』『男』であること等)について、考えるきっかけをつくる」ことをめざし、シンガポール出身のシム_チュンキャットさん、ノルウェー出身のデール_ソンヤさんのお二人を中心とした座談会を開催します。 準備の都合がありますので、参加ご希望の方は、事前に、SGRA事務局へお名前、ご所属、連絡用メールアドレスをご連絡ください。 ◆「女子大は、要る?~『女』、『男』と大学について考えよう~」 日時:2015年10月24日(土)14時~17時 会場:渥美国際交流財団ホール 会費:無料 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局  [email protected] 講師からのメッセージ: 日本には、女子大学というものがまだ存在しています。男女平等という話題が盛り上がっている現在において、女性しか通えない大学は要らないと思っている人は多いかもしれません。男子大学はないし、男女平等の社会だったら、性別に関わらず誰でもどのスペースでも利用できるはずでしょう。 このカフェは、性別やジェンダー(「女」「男」であること等)について、考えるきっかけにしていただけたらと思います。大学というテーマを中心に、「女」である、または「男」であることと、その社会的な妥当性について考えましょう。 女子大や、大学でジェンダーの勉強することについての発表の後、このテーマについて話し合う場をつくりたいと思っています。このカフェは講演会ではなく、ディスカッションのためのカフェです。皆さんの積極的な参加をお待ちしています! -------------------------- <シム_チュンキャット Sim_ChoonKiat 沈俊傑> シンガポール教育省・技術教育局の政策企画官などを経て、2008年東京大学教育学研究科博士課程修了、博士号(教育学)を取得。昭和女子大学人間社会学部・現代教養学科准教授。SGRA研究員。 <デール、ソンヤ Sonja_Dale> 2014年上智大学グローバル・スタディーズ研究科博士課号取得。東海大学他非常勤講師。ウォリック大学哲学部学士、オーフス大学ヨーロッパ・スタディーズ修士。2012年度渥美奨学生。 ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第8回SGRAカフェ<参加者募集中> 「女子大は、要る?~『女』、『男』と大学について考えよう~」 (2015年10月24日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4990/ ◇第50回SGRAフォーラム<参加者募集中> 「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて」 (2015年11月14日北九州市) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4961/ ◇第9回SGRAチャイナフォーラム<ご予定ください> 「日中200年―文化史からの再検討」 (2015年11月20日フフホト、22日北京) ◇第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月21日高雄) 「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2015/4439/ 発表論文の投稿は締め切りました。 ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」<発表要旨募集中> (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ 一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。 ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2015/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email: [email protected] Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Bai Zhili “Japan Studies in East Asia as Method”

    ******************************************************** SGRAかわらばん588号(2015年10月1日) (1)エッセイ:白智立「方法としての東アジアの日本研究」 (2)図書紹介:「東アジアにおける近代知の空間の形成」 ******************************************************** (1)SGRAエッセイ#469 ◆白智立「方法としての東アジアの日本研究」   去る7月18日、東アジアの日本研究の第一線で活躍する研究者20名が一堂に会して、SGRAフォーラム「日本研究の新しいパラダイムを求めて」が開催された。このフォーラムにお招きいただき、多くの研究者との議論と交流の機会を与えていただいた渥美国際交流財団、早稲田大学東アジア国際関係研究所及び早稲田大学の皆さまに心からお礼を申し上げたい。 このフォーラムでの焦点の一つとして、「方法としての日本研究」が議論された。この「方法としての日本研究」、ことさらに「方法としての『東アジアの』日本研究」について、私の日頃の考えを、ここにエッセイとしてまとめて、このフォーラムの報告に換えさせていただきたい。 「日本研究とは何か?」。日本研究を志す研究者、とりわけ中国や韓国といった東アジアの研究者にとっては、答えることが難しい問いかけである。 私だけでなく、多くの東アジアの日本研究者は、特別な想いやきっかけによって日本研究を志している。この特別な想いやきっかけがあるが故に、単純な学術研究から離れて、日本をとおして自己を見つめ、あるいは自己を再確認、再認識するという内面的、精神的な活動に向かわざるを得ないのである。自国、自民族の歴史や発展、あるいは個人の人生経験などの「自」の要素と重ね合わせ、否応無く自国の歴史・発展過程と向かい合わざるを得ない。 つまり、東アジアの研究者にとって「日本研究」は、あたかも自己や自国の在りようを深層まで映し出す「合わせ鏡」のような、自己や自国との内的な対話の一つの方法=「方法としての日本研究」となるのである。 このような考え方は、言うまでもなく東アジアの近隣という地理的な限定、そして近代以来の歴史の複雑な展開を土台にして生まれたものである。 具体的には、日本は明治時代以降、他の東アジアに先駆けて近代化を達成し、戦争の時期を経て、戦後の平和的発展期から今日に至って、欧米諸国に並ぶ経済・社会の発展を遂げた。 この明治以降の日本の近代化の過程は、今日でもなお、身近な東アジアとの相互関係の上に成り立っている。その意味で、東アジアの日本研究は、日本研究であると同時に、東アジア研究であり東アジア諸国の「自国研究」であり、東アジアの日本研究者は無意識のうちに「方法としての日本研究」を繰り広げているのである。 「方法としての日本研究」は純粋な日本研究ではない、との危惧や批判は当然存在する。しかしながら、一人の研究者、一人の人間として日本という研究対象に向かい合い、自他混合と紙一重となるような思索の緊張を保ち続ける中で、自己の精神を磨き、自己の精神を再形成して行く過程を無価値として見過ごすことはできない。こうした思索の緊張関係と自己省察は、学術的な日本研究以上に、予期せぬ結果が得られると考えられるのである。 方法としての東アジアの日本研究の、自己の精神形成という側面を強調する時、研究者は必然的に、過去の被害者歴史と対面せざるを得ない。すなわち、東アジアの最大の課題である「歴史の和解」そのものに直面せざるを得ないのである。 和解は、謝罪による加害者側の自らの心の救済であると同時に、被害者側の心の救済とならなければならない。このリアルな課題に直面し、その解決を模索する時、方法としての東アジアの日本研究の知的蓄積と研究者個人個人の内面的省察が大きな糧となり手がかりになるのではないだろうか。 東アジアの日本研究者は、自国との相互関係性を視野に入れて思索するため、東アジアの日本研究は東アジア研究にシフトすることになる。これは言うまでもなく、東アジア全体を包み込む視点であり、その思索は、前述の歴史の和解の先の、東アジアの知の共同体、ひいては東アジア共同体へと飛躍して行く。 方法としての東アジアの日本研究は、日本の西欧近代化の所産である。依然近代化の過程にある中国にとっては、今後の自国の近代化の展開を探求する上で、いち早く近代化を達成した日本との対話を重ねて行くことが不可欠である。その意味で、「方法としての日本研究」は未だに現実味を失ってはおらず、今後の東アジア、アジア、世界を考える上で、一層その重要性を増していると言えるであろう。 さらに「資本主義の終焉」が語られる今日、すでに近代化の諸過程を歩み終え、大きな転換点にある日本には、ポスト近代の、新しい文明の創造に向けて邁進することが期待されているからである。 日本研究ないし東アジアの日本研究は、これからも重要性を失うことはないであろう。 しかし、東アジアの日本研究に緊張感を持たせ続けるためには、「方法としての日本研究」をさらに一歩進めた「方法としての東アジア研究」にいかにアプローチするか、が一つのポイントとなる。  「方法としての日本研究」を進化させた「方法としての東アジア研究」を価値あるものとして認めるならば、そして東アジアの知の共同体を指向するのであれば、これまでの無意識的な方法から意識的な方法へと昇華し、さらに精緻化し、体系化し、共有する努力がこれからの東アジアの日本研究者に求められるであろう。 <白智立(はくちりつ)Bai_Zhili> 北京大学政府管理学院副教授・北京大学日本研究センター副院長。1997年法政大学博士課程修了。政治学博士。 (2)寄贈本紹介 SGRA会員の孫建軍さんより、共著書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆孫江、劉建輝_編「東アジアにおける近代知の空間形成」 ドイツの概念史、スキナーなどの政治思想史研究の成果を踏まえたうえで、東アジア的概念史研究、および東アジアにおける近代知のシステムの編成過程について討議を重ね、その成果の一部が本論集に収録された諸論文に反映されている。西洋・東洋、日本・中国を軸に「知の伝播」を考察、「民主」と「共和」の弁証関係、新語に対する中国の啓蒙思想家・康有為の反応、『万国公法』、中国文明の「西来説」、『共産党宣言』の翻訳、『致富新書』、清末期中国の歴史教科書編纂、日本と中国近代の知的システムの問いなおし、西周と厳復の「学知」体系の比較、清朝中期に起きた儒学の変遷について取り上げる。 出版社:東方書店 出版年:2014年03月 コード:00775_448p   ISBN/ISSN 9784497214058 ◇目次 第Ⅰ部_知の編成 東アジア近代の知的システムを問いなおす[鈴木貞美] 西周と厳復――その学問観・道徳観をめぐって[高柳信夫] 乾隆・嘉慶期の学術と近代的専門学科の萌芽[張寿安] 清末西学書の編纂にみえる西洋知識の受容[章清] 第Ⅱ部_越境する知 近代知の濫觴――生成の場としての広州十三行[劉建輝] 近代中国における日本情報受容の一側面[潘光哲] 「民主」と「共和」――近代中国でデモクラシーはどのように受容されたのか[川尻文彦] 新語の政治文化史――康有為と日本の新語の関係[黄興涛] 第Ⅲ部 再生産 普遍性を立法する――十九世紀における国際法の流通[リディア・リウ] 三つの『致富新書』とその周辺――S・R・ブラウンが明六社での講演の経緯も探って[孫建軍] 黄帝はバビロンより来たり――ラクーペリ「中国文明西来説」および東アジアへの伝播[孫江] 『共産党宣言』の翻訳の問題――版本の変遷からみた訳語の先鋭化[陳力衛] 清末における国民形成のゆくえ――中国歴史教科書のいくつかの語を素材として[田中比呂志] https://www.toho-shoten.co.jp/toho-web/search/detail?id=4497214058&bookType=jp ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第4回SGRAスタディツアーin福島 「飯館村:帰還に向けて」(2015年10月2日~4日福島) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4363/ ◇第8回SGRAカフェ<参加者募集中> 「女子大は、要る?~『女』、『男』と大学について考えよう~」 (2015年10月24日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4990/ ◇第50回SGRAフォーラム<参加者募集中> 「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて」 (2015年11月14日北九州市) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4961/ ◇第9回SGRAチャイナフォーラム<ご予定ください> 「日中200年―文化史からの再検討」 (2015年11月20日フフホト、22日北京) ◇第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月21日高雄) 「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2015/4439/ 投稿は締め切りました。 ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」<発表要旨募集中> (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ 一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。 ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2015/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email: [email protected] Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Miyuki Ota “Telephone Booth”

    *********************************************************** SGRAかわらばん587号(2015年9月24日) (1)エッセイ:太田美行「電話ボックス」 (2)SGRAカフェへのお誘い(10月24日東京)(再送)  「女子大は、要る?~『女』、『男』と大学について考えよう~」 (3)SGRAフォーラムin北九州へのお誘い(11月14日北九州)  「青空、水、くらし~環境と女性と未来に向けて~」(再送) *********************************************************** (1)SGRAエッセイ#468 ◆太田美行「電話ボックス」 近頃日々困っている。「これでいいのかニッポン」とつぶやきたくなるくらいだ。何かというと公衆電話の話である。携帯電話の普及による公衆電話の減少は著しく、平成14年度の584,162台から25年度には195,514台にまで減っている(出典:総務省『情報通信白書』)。公衆電話が減っているという事は電話ボックスも減っているはずで、ある程度はやむを得まい。しかし私は電話ボックスを減らさないでほしいと思う類の人間だ。いや、それどころか増やしてほしいとすら思っている。それは災害時や高齢者のためだけでなく、もっと現代的な理由からだ。 LINEの利用が増えたとしても電話をかける機会は明らかに増えている。それに伴い、私たちが騒音に対していっそう鈍感になったように思えてならない。街中で、建物の中で、電話はいつでもかかってくるし、またかけてもいる。「電車内での通話はご遠慮下さい」とよく聞くが、では代わりの場所は用意されているのだろうか。騒々しい駅のホームではもちろん無理だ。道の真ん中で?いや端でだってうるさくて無理だろう。街中でなくても、住宅街の道でも、危険はある。今度は静か過ぎるから辺りに話の内容が筒抜けなのだ。電話だと対面の会話と違って声が大きくなるためで、自宅にいて通行人の携帯電話の会話をうるさく感じることもしばしばだ。 では建物の中では?ビルのロビーは音がよく響く。そんな所で何かの予約や、商品の取り置き依頼をしたり(最近は美容院であろうがデパートであろうが、ほぼ確実に「ではお名前をフルネームで仰って下さい」と言われる)、自分の携帯電話の番号やクレームを言ったりはしたくないのである。周囲の人にも迷惑だ。だからといって建物の人気がない所は危険だ。このご時世、警備員が出てきたりしかねない。そもそも「関係者以外の立ち入りを禁じます」とある中にどうして入ることができよう(入ってるけど)。そんな時こそ電話ボックスは、その秘めたる価値を顕わにする。 騒音は一定程度遮られ、透明で周囲の様子もわかる電話用の個室。そこで電話をしても何ら怪しい事はない。そういう訳で私は公衆電話でなく、携帯電話で話すために電話ボックスをよく利用している。傍から見るとおかしいらしく、道行く人に笑われたこともある。しかしそれが何だというのであろう。電話のための空間で電話をする。何も間違ってはいない。笑う人たちは音のマナーに鈍感なのだ。ああ気の毒に。 昔の映画によく登場する、また今でも高級ホテルのロビーで見かける電話室。そのために電話ボックスを増やしたい。電話ボックス復活は今やマナー改善、ひいては人間尊重につながる大事な手段なのである。 <太田美行(おおた・みゆき)> 東京都出身。中央大学大学院 総合政策研究科修士課程修了。シンクタンク、日本語教育、流通、コンサルティングなどを経て2012年より渥美国際交流財団に勤務。著書に「多文化社会に向けたハードとソフトの動き」桂木隆夫(編)『ことばと共生』第8章(三元社)2003年。 (2)第8回SGRAカフェへのお誘い SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まりいただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、「性別やジェンダー(「女」「男」であること等)について、考えるきっかけをつくる」ことをめざし、シンガポール出身のシム_チュンキャットさん、ノルウェー出身のデール_ソンヤさんのお二人を中心とした座談会を開催します。 準備の都合がありますので、参加ご希望の方は、事前に、SGRA事務局へお名前、ご所属、連絡用メールアドレスをご連絡ください。 ◆「女子大は、要る?~『女』、『男』と大学について考えよう~」 日時:2015年10月24日(土)14時~17時 会場:渥美国際交流財団ホール    http://www.aisf.or.jp/jp/map.php 会費:無料 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局([email protected]) 講師からのメッセージ: 日本には、女子大学というものがまだ存在しています。男女平等という話題が盛り上がっている現在において、女性しか通えない大学は要らないと思っている人は多いかもしれません。男子大学はないし、男女平等の社会だったら、性別に関わらず誰でもどのスペースでも利用できるはずでしょう。 このカフェは、性別やジェンダー(「女」「男」であること等)について、考えるきっかけにしていただけたらと思います。大学というテーマを中心に、「女」である、または「男」であることと、その社会的な妥当性について考えましょう。 女子大や、大学でジェンダーの勉強することについての発表の後、このテーマについて話し合う場をつくりたいと思っています。このカフェは講演会ではなく、ディスカッションのためのカフェです。皆さんの積極的な参加をお待ちしています! <シム_チュンキャット_Sim_ChoonKiat_沈_俊傑> シンガポール教育省・技術教育局の政策企画官などを経て、2008年東京大学教育学研究科博士課程修了、博士号(教育学)を取得。昭和女子大学人間社会学部・現代教養学科准教授。SGRA研究員。 <デール、ソンヤ_Sonja_Dale> 2014年上智大学グローバル・スタディーズ研究科博士課号取得。東海大学他非常勤講師。ウォリック大学哲学部学士、オーフス大学ヨーロッパ・スタディーズ修士。2012年度渥美奨学生。 (3)第50回SGRAフォーラムin北九州のご案内 下記のとおり第50回SGRAフォーラムを開催いたします。 参加ご希望の方は、SGRA事務局にご連絡ください。 ◆「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて-」 日時:2015年11月14日(土)午後1時~5時 会場:北九州市立大学北方キャンパス_本館2階C-202教室     http://www.kitakyu-u.ac.jp/access/kitagata.html 参加費:フォーラム/無料     フォーラム終了後の交流会/一般1000円、学生500円を予定 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局宛に事前にお名前、ご所属、連絡先をご連絡の上、参加申込みをしてください。 SGRA事務局([email protected]) フォーラムの概要: 北九州市は大気汚染や水質汚濁など1950年代、60年代の経済成長に伴ってもたらされた深刻な公害を克服し、今日では国から「環境未来都市」に選定されるなど「世界の環境首都」を目指したまちづくりを行っています。 その礎を築いたのは、当時、子どもの健康を心配した母親たちでした。母親たちは「青空が欲しい」というスローガンを掲げ、「反対運動」や「告発」ではなく、母親たち自らの活動により、企業や行政に改善を求める運動を起こし、それが公害克服と環境再生の原点となったと同時に女性(母親)の社会参加の象徴ともなったのです。 今回のフォーラムは《青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて-》と題して、北九州市のみならず、中国、韓国などの事例をもとに、深刻化する環境問題に直面する女性や母親の意識の変化や社会参加の試みについて議論します。 プログラム: 総合司会:高_偉俊(北九州市立大学国際環境工学部教授/SGRAメンバー) 13:00~14:30【事例発表】 開会の挨拶 今西淳子(渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA代表)) 近藤倫明(北九州市立大学学長) 事例発表1(日本) 「『青空がほしい』運動に学ぶ-現在に問いかけるもの-」 神﨑智子(アジア女性交流・研究フォーラム主席研究員) 事例発表2(中国) 「変わるのか、母親の意識-中国の母親の環境意識の変化と活動-」 斉藤淳子(北京在住フリージャーナリスト) 事例発表3(韓国) 「絶え間ない歩み-韓国YWCAの環境活動と女性の社会参加-」 李ユンスク(韓国YWCA運動局部長) 14:45~17:00 【オープンフォーラム】 モデレーター 田村慶子(北九州市立大学法学部教授) 神﨑智子(アジア女性交流・研究フォーラム主席研究員) 斉藤淳子(北京在住フリージャーナリスト) 李ユンスク(韓国YWCA運動局部長) 小林直子(特定非営利活動法人里山を考える会) 閉会の挨拶と第3回アジア未来会議に向けた展開 高_偉俊 17:00~18:30【交流会】 希望者のみ(会費:一般1,500円、学生500円を予定) ◇プログラムの詳細は、下記のURLをご覧ください。 http://goo.gl/mYBk0g ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第4回SGRAスタディツアーin福島 「飯館村:帰還に向けて」(2015年10月2日~4日福島) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4363/ ◇第8回SGRAカフェ<参加者募集中> 「女子大は、要る?~『女』、『男』と大学について考えよう~」 (2015年10月24日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4990/ ◇第50回SGRAフォーラム<参加者募集中> 「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて」 (2015年11月14日北九州市) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4961/ ◇第9回SGRAチャイナフォーラム<ご予定ください> 「日中200年―文化史からの再検討」 (2015年11月20日フフホト、22日北京) ★☆★論文(要旨)募集中 ◇第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月21日高雄)<発表要旨募集中> 「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2015/4439/ 投稿締め切りは2015年9月20日です。 ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」<発表要旨募集中> (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ 一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。 ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2015/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email: [email protected] Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Invitaion to SGRA Cafe#8 (Tokyo) and SGRA Forum#50 (Kitakyushu)

    ***************************************************************** SGRAかわらばん586号(2015年9月17日) (1)第8回SGRAカフェへのお誘い(10月24日東京) 「女子大は、要る?~『女』、『男』と大学について考えよう~」 (2)第50回SGRAフォームin北九州へのお誘い(11月14日北九州) 「青空、水、くらし~環境と女性と未来に向けて~」 ***************************************************************** (1)第8回SGRAカフェへのお誘い SGRAでは、良き地球市民の実現をめざす(首都圏在住の)みなさんに気軽にお集まりいただき、講師のお話を伺う<場>として、SGRAカフェを開催しています。今回は、「性別やジェンダー(「女」「男」であること等)について、考えるきっかけをつくる」ことをめざし、シンガポール出身のシム_チュンキャットさん、ノルウェー出身のデール_ソンヤさんのお二人を中心とした座談会を開催します。 準備の都合がありますので、参加ご希望の方は、事前に、SGRA事務局へお名前、ご所属、連絡用メールアドレスをご連絡ください。 ◆「女子大は、要る?~『女』、『男』と大学について考えよう~」 日時:2015年10月24日(土)14時~17時 会場:渥美国際交流財団ホール http://www.aisf.or.jp/jp/map.php 会費:無料 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局([email protected]) ◇講師からのメッセージ: 日本には、女子大学というものがまだ存在しています。男女平等という話題が盛り上がっている現在において、女性しか通えない大学は要らないと思っている人は多いかもしれません。男子大学はないし、男女平等の社会だったら、性別に関わらず誰でもどのスペースでも利用できるはずでしょう。 このカフェは、性別やジェンダー(「女」「男」であること等)について、考えるきっかけにしていただけたらと思います。大学というテーマを中心に、「女」である、または「男」であることと、その社会的な妥当性について考えましょう。 女子大や、大学でジェンダーの勉強することについての発表の後、このテーマについて話し合う場をつくりたいと思っています。このカフェは講演会ではなく、ディスカッションのためのカフェです。皆さんの積極的な参加をお待ちしています! ◇講師略歴 <シム_チュンキャット_Sim_ChoonKiat_沈_俊傑> シンガポール教育省・技術教育局の政策企画官などを経て、2008年東京大学教育学研究科博士課程修了、博士号(教育学)を取得。昭和女子大学人間社会学部・現代教養学科准教授。SGRA研究員。 <デール、ソンヤ_Sonja_Dale> 2014年上智大学グローバル・スタディーズ研究科博士課号取得。東海大学他非常勤講師。ウォリック大学哲学部学士、オーフス大学ヨーロッパ・スタディーズ修士。2012年度渥美奨学生。 (2)第50回SGRAフォーラムin北九州へのお誘い 下記のとおり、第50回SGRAフォーラムを開催いたします。 参加ご希望の方は、SGRA事務局にご連絡ください。 ◆「青空、水、くらし―環境と女性と未来に向けて―」 日時:2015年11月14日(土)午後1時~5時 会場:北九州市立大学北方キャンパス_本館2階C-202教室 http://www.kitakyu-u.ac.jp/access/kitagata.html 参加費:フォーラム/無料、  フォーラム終了後の交流会/一般1000円、学生500円を予定 お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局宛に事前にお名前、ご所属、連絡先をご連絡の上、参加申込みをしてください。 SGRA事務局([email protected]_Tel: 03-3943-7612) ◇フォーラムの概要: 北九州市は大気汚染や水質汚濁など1950年代、60年代の経済成長に伴ってもたらされた深刻な公害を克服し、今日では国から「環境未来都市」に選定されるなど「世界の環境首都」を目指したまちづくりを行っています。 その礎を築いたのは、当時、子どもの健康を心配した母親たちでした。母親たちは「青空が欲しい」というスローガンを掲げ、「反対運動」や「告発」ではなく、母親たち自らの活動により、企業や行政に改善を求める運動を起こし、それが公害克服と環境再生の原点となったと同時に女性(母親)の社会参加の象徴ともなったのです。 今回のフォーラムは《青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて-》と題して、北九州市のみならず、中国、韓国などの事例をもとに、深刻化する環境問題に直面する女性や母親の意識の変化や社会参加の試みについて議論します。 ◇プログラム: 総合司会:高_偉俊(北九州市立大学国際環境工学部教授/SGRAメンバー) 13:00~14:30【事例発表】 開会の挨拶 今西淳子(渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA代表)) 近藤倫明(北九州市立大学学長) 事例発表1(日本) 「『青空がほしい』運動に学ぶ-現在に問いかけるもの-」   神﨑_智子(アジア女性交流・研究フォーラム主席研究員) 事例発表2(中国) 「変わるのか、母親の意識-中国の母親の環境意識の変化と活動-」 斉藤_淳子(北京在住フリージャーナリスト) 事例発表3(韓国) 「絶え間ない歩み-韓国YWCAの環境活動と女性の社会参加-」 李_ユンスク(韓国YWCA運動局部長) 14:45~17:00【オープンフォーラム】 モデレーター:田村_慶子(北九州市立大学法学部教授) 神﨑_智子(アジア女性交流・研究フォーラム主席研究員) 斉藤_淳子(北京在住フリージャーナリスト) 李_ユンスク(韓国YWCA運動局部長) 小林_直子(特定非営利活動法人 里山を考える会) 閉会の挨拶と第3回アジア未来会議に向けた展開_高_偉俊 17:00~18:30【交流会】 希望者のみ(会費:一般1,500円、学生500円を予定) ◇プログラムの詳細は、下記のURLをご覧ください。 http://goo.gl/mYBk0g ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第4回SGRAスタディツアーin福島 「飯館村:帰還に向けて」(2015年10月2日~4日福島) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4363/ ◇第8回SGRAカフェ<参加者募集中> 「女子大は、要る?~『女』、『男』と大学について考えよう~」 (2015年10月24日東京) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4990/ ◇第50回SGRAフォーラム<参加者募集中> 「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて」 (2015年11月14日北九州市) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4961/ ◇第9回SGRAチャイナフォーラム<ご予定ください> 「日中200年―文化史からの再検討」 (2015年11月20日フフホト、22日北京) ★☆★論文(要旨)募集中 ◇第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月21日高雄)<発表要旨募集中> 「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2015/4439/ 投稿締め切りは2015年9月20日です。 ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」<発表要旨募集中> (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ 一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。 ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ● 登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ● エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ● 配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ● 皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ● SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2015/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email: [email protected] Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • SGRA Forum #49 ”Charting New Paradigm of Japan Studies” Report

    ***************************************************************** SGRAかわらばん585号(2015年9月10日) (1)SGRAフォーラム「日本研究の新しいパラダイムを求めて」報告 (2)新刊紹介:鄭_淳一「九世紀の来航新羅人と日本列島」 (3)J.I.フォーラム「戦後70年_歴史記憶と歴史認識を考える」案内(再送) ***************************************************************** (1)第49回SGRAフォーラム「日本研究の新しいパラダイムを求めて」報告 2015年7月18日(土)、第49回SGRAフォーラム「日本研究の新しいパラダイムを求めて」が、早稲田大学大隈会館で開催された。フォーラムでは、中国、韓国、台湾を代表する日本研究機関と日本研究の第一線で活躍する研究者20名が一堂に会して、新しい日本研究のあり方についての活発な議論が交わされた。今回のフォーラムはセミ・オープン形式であったにも関わらず、予想を上回る延べ100人の参加者があった。 冒頭に今西淳子_渥美国際交流財団常務理事・SGRA代表から、過去2回のアジア未来会議で開催した「日本研究円卓会議」において日本研究の現状を危惧し、その将来を憂慮する声が多数挙がったことをきっかけに、中国、韓国、台湾の代表的な日本研究所と日本の国際交流基金、国際日本文化研究センターに声をかけたこと、そして、このように各研究機関の所長や副所長を始め、第一線の研究者の皆さんが参加してくださったことに主催者としても驚き、改めてこのテーマの重要性を再認識している、との開会挨拶があり、フォーラムがスタートした。 【基調講演】 平野健一郎先生(早稲田大学名誉教授、東洋文庫理事)は「新しい、アジアの日本研究に求めるもの」と題する基調講演の中で下記の2点を強調した。 (1)今回のフォーラムが目指す、国境を超える「知の公共空間」を構想するにあたっては、文化の相互依存性、共通性(普遍性)を視野に入れて、個別理解から国際間の経験・文化の相関関係により織りなされる現象として理解する「相互関係理解」へ、更には日本研究を地域、アジア、グローバルという重層構造の中に位置づけて理解しようとする「重層的理解」へと進まなければならない。 (2)これからの日本研究のテーマとして、平和と安全保障の問題を付け加えたい。戦後日本の経験を平和の問題として取り上げることは、誤った歴史の反省というだけでなく、各国にとっても重要な示唆を与えるものであろう。平和は、意思の力で築き上げて行くものである。日本研究者のみならずアジアの研究者は知的共同体を形成して行くことにより、東アジア共同体の構築、即ち平和の構築に参画することができる。 正に、「新しいアジアの日本研究」の方向性を示唆する内容であった。 【報告】 基調講演に引き続き、中国(楊伯江_中国社会科学院日本研究所副所長)、台湾(徐興慶_台湾大学日本研究センター所長)、韓国(朴喆煕_ソウル大学日本研究所長)から各国の日本研究の現状と将来に関する報告があり、日本(茶野純一_国際交流基金日本研究・知的交流部長)からは日本研究支援の現状と展望についての報告があった。 【円卓会議】 午後からの円卓会議では講演者とパネリスト計20名と会場の若手研究者を交えた、オープンディスカッションが3時間にわたって行われた。 劉_傑先生(早稲田大学社会科学総合学術院教授)による総括は以下のとおりである。 (1)文化現象として日本への関心が高まり、これまでの伝統的な枠組みでの日本研究とは異なる次元、異なる領域、異なる人脈での日本研究が広がってきている。しかし、こうした関心の広がりと「日本研究の深化」とは直接に結びつくものではない。これを、どのようにアジアで共有できる日本研究に結び付けるかは、今後の「新しい日本研究」構築にあたっての課題であろう。 (2)今、この地域にとって「方法としての日本研究」が特別に重要な時期である。日本研究のあり方は、この地域の国や人々のあり方を映し出す鏡のような意味を持つものであり、自己認識の方法とも言える。このフォーラムを通じて「方法としての日本研究」の重要性を確認することができた。 (3)「方法としての日本研究」が東アジアの和解、即ち平和に繋がることは間違いない。和解を安定化させるための重要なツールが「知」である。日本研究を一つの方法として用いることにより、知の共同空間、知の共同体が生まれ、この地域の和解、即ち平和と安定に寄与する可能性を垣間見ることができる。 (4)少なくとも、今回のフォーラムでは「アジアで共有できる日本研究」、「アジアの公共知としての日本研究」の構築を目指すというコンセンサスが得られた。 今回形成されたネットワークをどのように生かして行くか、の議論の中で朴喆煕_ソウル大学日本研究所所長から「東アジア日本研究者協議会」開催の提案があり、具体的な作業をどのように進めるのかを議論するための環境を整備し、対外的にも発信して行くこととなった。 フォーラム終了後、渥美財団ホールで渥美奨学生、ラクーン(元奨学生)を交えた懇親会が開催され、若手研究者と講師、パネリストの交流と議論が夜遅くまで続いた。 東アジアの日本研究の第一線で活躍する講師、パネリスト20名を招いての駆け足のフォーラムであったが、円卓会議のモデレーターである南基正教授(ソウル大学日本研究所研究部長/SGRA会員)の見事な司会により、短時間であっても極めて実り多いフォーラムとなった。 ご参加いただいた講師、パネリストの先生方に心から感謝すると共に、このSGRAフォーラムを契機にして形成されたネットワークの今後の飛躍に期待したい。 (文責:角田英一_渥美国際交流財団事務局長) 当日のアンケートの集計結果は下記リンクからご覧いただけます。 http://goo.gl/M602Wc 当日の写真は下記リンクからご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/?p=4952 (2)新刊紹介 SGRA会員の鄭_淳一さんよりご著書をご寄贈いただきましたので紹介します。 ◆鄭_淳一「九世紀の来航新羅人と日本列島」 九世紀おける来航新羅人に焦点を当て、朝鮮半島と日本との交流の実態を明らかにする。 国家間の外交交渉が途絶え、商人の交流が活発化していくこの時期に顕著となった不特定多数の新羅人の来航現象が、列島社会をどう変化させていったのか、あるいはそういった変化に対して日本側はどう対応したのか。対新羅政策における対外意識の変化を支配層(国家)のみならず、諸階層の人々から考察。 また、中心と周縁・境界意識といった概念に対する問題提起を行うとともに、排外思想・危機意識・警戒心等に代表される対外認識に関する新解釈を提示する。 出版社:勉誠出版 ISBN:978-4-585-22115-9_CコードC3022 刊行年月:2015年3月 判型・製本:A5判・上製 392 頁 キーワード:交流史, 古代, 平安, 日本史, 東アジア 目次、詳細は下記リンクからご覧ください。 http://goo.gl/Gfp20s (3)催事案内(再送) 渥美財団評議員の加藤秀樹さんが主宰する構想日本と下記フォーラムを共催しますのでご案内します。SGRA設立当初よりご協力いただいている2名の先生方のお話を伺います。参加ご希望の方は、構想日本事務局に直接ご連絡ください。 ◆第216回J.I.フォーラム「戦後70年歴史記憶と歴史認識を考える」 7月に続き、戦後70年シリーズの第2弾として、公益財団法人渥美国際交流財団との共催で、中国と韓国の近現代史がご専門の劉傑さん、木宮正史さんに、歴史の大きい流れやその解釈における基本的な考え方の違いなどを話して頂き、日本人がいずれにしてもずっとつきあっていかないといけない中、韓両国との相互理解を進めるための材料を提供していただきます。 日 時:平成27年9月28日(月)18:30~20:30(開場18:00) 会 場:アルカディア市ヶ谷6F「伊吹」 http://www.arcadia-jp.org/access.htm ゲスト:木宮正史(東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部教授)     劉_傑(LIU_JIE)(早稲田大学社会科学総合学術院教授)  コーディネーター:加藤秀樹(構想日本代表) 主催:構想日本、共催:(公財)渥美国際交流財団 参加費:一般_2,000円/学生_500円(構想日本会員は無料です) ※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。 懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい) ※ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。   ※フォーラムへの参加申し込みは下記リンクから、8月28日(月)12:00までにお願いします。 http://www.kosonippon.org/forum/index.php お問い合わせ:[email protected]   ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第4回SGRAスタディツアーin福島 「飯館村:帰還に向けて」(2015年10月2日~4日福島) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4363/ ◇第8回SGRAカフェ<ご予定ください> 「ジェンダーについて考える必要性(仮)」 (2015年10月24日東京) ◇第50回SGRAフォーラム<ご予定ください> 「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて」 (2015年11月14日北九州市) ◇第9回SGRAチャイナフォーラム<ご予定ください> 「日中200年―文化史からの再検討」 (2015年11月20日フフホト、22日北京) ★☆★論文(要旨)募集中 ◇第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月21日高雄) 「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2015/4439/ 投稿締め切りは2015年9月20日です。 ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ 一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。 ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/sgra/entry/registration_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2015/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email: [email protected] Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Xie_Zhihai “Future of Drone”

    ************************************************************** SGRAかわらばん584号(2015年9月3日) (1)アジア未来会議:発表要旨の総投稿数733件! (2)エッセイ:謝志海「ドローンの行く末」 (3)催事案内:JIフォーラムへのお誘い(2015年9月28日)    「戦後70年_歴史記憶と歴史認識を考える」 (4)新刊紹介:ブレンサイン(編著)「内モンゴルを知るための60章」 ************************************************************** (1)第3回アジア未来会議の発表要旨投稿状況 第3回アジア未来会議(2016年10月に北九州市で開催)の、奨学金と優秀論文賞の対象となる論文の発表要旨の募集は、2015年8月31日をもちまして締め切りました。総投稿数733件!!!たくさんの応募をありがとうございました。 応募数の詳細は、下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/news/news-ja/登録・投稿状況のお知らせ/ 一般応募の論文発表要旨の投稿は、2016年2月28日まで受け付けます。 (2)SGRAエッセイ#467 ◆謝_志海「ドローンの行く末」 このところ、世界情勢の様々な事が深刻で、目が離せない。ギリシャ経済危機、テロ組織ISをはじめアジアでは中国の株価暴落、日本は集団的自衛権をめぐる安保法案についてなど。どれもが先の見通しが予見しづらい上に、明日には状況が大きく変わっているかもしれないと思うと、朝、起きてから一日中ニュースを追う事になる日々だ。そしてつくづく感じるのは国際関係、経済、政治、外交など、全てが繋がっているということ。自分の専門分野を超えて研究と分析をし続けなければいけない。 そんな変わりゆく世界情勢を追いかけ整理するのに忙しいさなか、興味深い記事を拾い読みした。ニューズウィーク日本版7月14日号の半ページほどの小さな記事「ドローンが目障りでも撃ち落としちゃダメ」。アメリカでドローンを飛ばしていた人、それを銃で撃ち落とした人の話だ。小型ドローンの普及はおどろくほど速く、それに伴う法整備が追いつかないという。この記事でも自分の実家(米カリフォルニア州)で小型ドローンを飛ばしていたら、隣人にそのドローンを銃で撃たれ墜落したというエピソードから始まる。撃ち落とした人はCIAの監視用ドローンだと思ったのだそうだ。これは訴訟問題に発展し、ドローンを飛ばした人はどうにか損害賠償を勝ち取ったそうだ。 自分の家の上空にドローンが飛来していたら?そのようなことはつい最近まで考える必要はなかったはず。日本の首相官邸の屋根にもドローンが着地していた事件が話題になったことにより、日本でも自分の家の窓を開けたらドローンがいたらどうしよう、と一瞬ではあっても意識する生活がはじまった。そう、これはもうアメリカ上空だけの懸念ではない。前出の記事では、ドローンが他人の敷地を飛行するのは不法侵入に当たるのかどうかについて、この解釈は曖昧になるであろうと懸念している。確かに家と家の間には垣根などの境界があるが、上空何メートルまでを境界とし、どこからを違法とするのかとなると難しい。個別の事例に対処していく課程で法整備は進むだろうとしているが、事例が起こってからではなく、早急に法整備した方が良いのではないかという別のドローンのニュースが飛び込んできた。 このニューズウィークの記事に前後して、なんと銃を発砲するドローンが浮遊している映像がユーチューブ(YouTube)にアップされたというのだ。テレビのニュースによると、そのようなドローンを飛ばしたのはアメリカのまだ10代の大学生だそうだ。利便性や人を危険から守る為に作られたはずのドローンがあらぬ方向へ動き出している。皮肉にも、法整備もままならないうちに世界中に飛び交ってしまっているドローンは、あたかも空に国境はないのだよと言っているようだ。 研究の合間に読んだこのドローンの記事は、まるで私に自分の専門分野だけにとどまらず、常に広い視野を持って研究をしなさいと示唆しているようだ。そして私はこれからドローンの行く末も見守り続けなければならない。 <謝_志海(しゃ しかい)Xie_Zhihai> 共愛学園前橋国際大学専任講師。北京大学と早稲田大学のダブル・ディグリープログラムで2007年10月来日。2010年9月に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程単位取得退学、2011年7月に北京大学の博士号(国際関係論)取得。日本国際交流基金研究フェロー、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイトを経て、2013年4月より現職。ジャパンタイムズ、朝日新聞AJWフォーラムにも論説が掲載されている。 (3)催事案内 ◆第216回J.I.フォーラム「戦後70年_歴史記憶と歴史認識を考える」 7月に続き、戦後70年シリーズの第2弾として、公益財団法人渥美国際交流財団との共催で、中国と韓国の近現代史がご専門の劉傑さん、木宮正史さんに、歴史の大きい流れやその解釈における基本的な考え方の違いなどを話して頂き、日本人がいずれにしてもずっとつきあっていかないといけない中、韓両国との相互理解を進めるための材料を提供していただきます。 日 時:平成27年9月28日(月)18:30~20:30(開場18:00) 会 場:アルカディア市ヶ谷  6F  伊吹 http://www.arcadia-jp.org/access.htm ゲスト:木宮正史(東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授)     劉_傑(LIU_JIE)(早稲田大学社会科学総合学術院教授)  コーディネーター:加藤秀樹(構想日本代表)                                                主催:構想日本、共催:(公財)渥美国際交流財団 参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です) ※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。 懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい) ※ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。   ※フォーラムへの参加お申し込みは、下記Lyncより8月28日(月)12:00までにお願いします。 http://www.kosonippon.org/forum/index.php メール受付:[email protected]  (4)新刊紹介 SGRA会員のボルジギン・ブレンサインさんから新刊本をご寄贈いただきましたので、ご紹介します。ブレンサインさんの他、SGRA会員のネメフジャルガルさん、包聯群さん、ボルジギン・フスレさんも執筆していらっしゃいます。 ◆「内モンゴルを知るための60章」 ボルジギン・ブレンサイン(編著)、赤坂恒明(編集協力) ISBN 9784750342238 判型・ページ数 4-6・432ページ 出版年月日 2015/07/31 出版社 明石書店 戦前、日本にとってモンゴルと言えば、内モンゴルのことを指していた。戦前戦中にかけて深い交誼を結んだが、戦後中華人民共和国の成立以後、両国の繋がりは一時途絶えた。本書は知られざる内モンゴルの苦難に満ちた成り立ちといまを多面的に紹介する。 目次は下記リンクをご覧ください。 http://www.akashi.co.jp/book/b208189.html ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第4回SGRAスタディツアーin福島 「飯館村:帰還に向けて」(2015年10月2日~4日福島) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4363/ ◇第8回SGRAカフェ<ご予定ください> 「ジェンダーについて考える必要性(仮)」 (2015年10月24日東京) ◇第50回SGRAフォーラム<ご予定ください> 「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて」 (2015年11月14日北九州市) ◇第9回SGRAチャイナフォーラム<ご予定ください> 「日中200年―支え合う近代(仮)」 (2015年11月20日フフホト、22日北京) ★☆★論文(要旨)募集中 ◇第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月21日高雄) 「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2015/4439/ 投稿締め切りは2015年9月20日です。 ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ 一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。 ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2015/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email: [email protected] Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Olga Khomenko “Soviet Period and My Childhood”

    ************************************************************** SGRAかわらばん583号(2015年8月27日) (1)論文(要旨)募集<締め切り間近!> (2)SGRAエッセイ:オリガ・ホメンコ「ソ連時代とこどもの頃」 ************************************************************** (1)締め切り間近! ○第3回アジア未来会議「環境と共生」の奨学金・優秀論文賞の対象となる論文(要旨)の投稿締め切りは2015年8月31日です。(奨学金・優秀論文賞対象外の一般論文の投稿締め切りは2016年2月28日です。)詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/call-for-papers/ ○第6回日台アジア未来フォーラム「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」の投稿(要旨)締め切りは2015年9月20日です。詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2015/4439/ 皆様の投稿をお待ちしています。 (2)SGRAエッセイ *8月は、以前に配信したエッセイの中で、より広い読者に読んでいただきたいものを再送しています。 ◆オリガ・ホメンコ「ソ連時代とこどもの頃」 「ソ連時代はどうでしたか?覚えていますか?」と最近よく聞かれる。たぶん大変な思いをしていたという答えを想定しているのだろう。しかし、私にとってソ連時代はこどもの頃だったので楽しい思い出が多い。政治に全く関係ない思い出。自分の国の政治体制が何か特別なものであるという意識は、ある時期までなかった。 それはブレジネフ書記長が亡くなった時のことだった。私はまだ小学生で10歳だった。共産党の一番偉い人が亡くなったので、テレビでは「白鳥の湖」のバレエや、哀しいクラシック音楽のコンサートばかり3日間連続で放映していた。そして、学校で、身近な人が亡くなった時と同じような追悼の時間があった。私は丁度その1年前に祖母を亡くしていたので、とても辛くて、「きっとブレジネフさんも誰かのおじいちゃんなので、家族は悲しんでいるでしょう」と悼んだのを覚えている。こどもたちは国のトップの人をそのような意識でとらえていたから、その点ではその存在は近かったかもしれない。 その3日間は授業がなくて、学校ではブレジネフさんの著書を読んでいた。そのようなある日、友だちと2人で学校から帰る道で、指導者が亡くなったことが話題になった。普通は小学生の話題に上がらないことなので、同級生が「ブレジネフさんが亡くなってもあまり悲しくない。よくない人だった。戦争中に指導をしていたスターリンもあまりいい人ではなかった。たくさんの人を死なせたから」と言った時、私はその言葉にとても驚いた。 「えっ?指導者なのに?あり得ない。どうしてそう思うの?国の指導者なのに」と戸惑って聞き返すと、「両親がそう言っているから、家で、誰も聞いてないときに」との返事だった。私はとてもショックを受けた。ブレジネフもそうだが、博物館や学校のあちこちに写真を飾っているスターリンまで、まさか「よくない人」と思えなかった。歴史の授業では「戦争中には『愛国のために、スターリンのために』と叫びながら、自分の体に爆弾を巻いて戦車に体当たりして死んでいった若者がたくさんいた」とも教えられた。国民の多くがそれほどに指導者を尊敬していたと教えられた。歴史教科書からお祭りのポスターまで、スターリンは国民の「父」だと語っていたにもかかわらず、まさか、「国民を死に追いやった」という表現で友人が話すとは信じがたいことだった。 この出来事が起きたのは、1982年の、もうキエフの町の中の木々の葉も落ち、町全体がグレーの霧に包まれた11月のことで、寒い時だった。家に帰るとその同級生が言ったことについてしばらく考えた。「あり得ない」としか思えなかった。夜になって家に戻ってきた両親にその話を伝えると、彼らはお互いの顔を見交わすだけで何も応えなかった。こども心に「おかしい」と疑念が残った。わが家は特に反体制ではなかったが、こどもたちと政治的な話をすることはなかった。 その日からこの社会には、口に出せなくても様々な考えを持っている人がいると思うようになった。そして同級生の家族、またその家庭で話されていることが「何か少し違う」と思うようになった。その3年後の夏に成績優秀なこどもたちが選抜されて1ヶ月間キャンプ生活をした。そこでは食事や遊び以外にいろんな講義があった。今で言う「合宿」に相当する。その講義には数学、歴史、絵画などの教科以外に「政治事情」もあった。その内容の大半は「アメリカはいかに怖い国か」だった。 ある講義で、アメリカの国旗やアメリカのシンボルをTシャツにつけている人は、自分の国を裏切っていて愛国心がないという話題になった。私はハッと気付いた。その時たまたま、買ってもらって得意になってはいていたジーンズのポケットにアメリカの国旗が付いているのだ。「どうしようか」と慌てた。それで静かにTシャツの裾をズボンから取り出し、ジーンズの上にかけた。その旗が見えないように。ズボンだけで判断して私が裏切りものと思われたら困ると思った。幸いに誰も気づかなかったので安心した。今から考えると、服は人間のアイデンティティの一部であり、服装だけで人間の思想性を判断するというのはちょっと単純すぎると思う。だがその当時、「外国」との関係は微妙であった。 両親は毎晩、テレビで9時のニュースを見ていた。私は寝る前にテレビがある部屋の近くをうろうろして、ニュースを聞くようにした。国際ニュースが一番気になっていた。なぜなら、ある時期、よくアメリカの地図が映され、この国はソ連への核爆弾を準備していて、近々わが国に落とすだろうと伝えていたから。アメリカという国を全く知らないにも関わらず、こどもの私は毎晩不安になった。怖い国としか思えなかった。アナウンサーが伝える冷静で硬く笑みのない声を今でも覚えている。 15年後、日本留学中にアメリカからの留学生数人と仲良くなった。最初はやはり昔形成された先入観をぬぐい去ることができず、友人ながら用心深く付き合い始めた。「アメリカからきている人たちは、たぶん違う。注意しなければ」というふうに。共同の台所に行くと、彼らは朝食にピーナッツバターという不思議なものを食べている。また洗濯をするときに服とスニーカーを一緒に洗うという、とんでもないことをしている。また人生観について話すと「quality_of_life(生活の質)」という不思議な言葉をよく使っている。 でもこのような違いを除けば他にはあまり違いがなくて「普通の若者」だった。ある日のこと京都の嵐山で一緒にバーベキューをしていた時、こどもの頃のアメリカの怖いイメージについて話すと、同年代のアメリカの女子学生が「私も同じようなことを思っていた。毎日ニュースを見て、ソ連が爆弾を落とすのでは、と怖かった」と。とても不思議な気分だった。鏡の裏にいる人から同じことを言われたような気がした。そのときに初めてプロパガンダの意味をよく理解できた。 だがそれを知ったのはずいぶん後の話である。こどもの頃は外国についてほとんど何も知らなかった。ただ本を読むのが大好きだった。その頃、父から誕生日に冒険小説の全集をプレゼントされた。外国作家中心の12冊の本で、全部纏めて出版されたのではなく、出版されると家に届けられた。鮮やかなカバーの色は毎号違っていた。本棚に並べてみると虹のようだった。 それを少しずつ読み、まだまだ外国へ行けなかった時代、しかもまだこどもだった自分は、頭の中であちこちに旅をしている夢をみた。ベッドに座って、本から目を離して窓の外を眺めると、そこにはスペインの町、ロンドンの時計、モロッコの道、それからアフリカのジャングルが見えた。全部虚構の世界で、私にしか見えない世界。でもいつかそこに必ず行けると信じていた。どこからそんな確信をもったかよくわからないが、「直感」であり「信念」でもあった。我に返ると手にきれいな本があるだけ。当時、就寝前の短い時間、まるで「幻想」の世界に生きる夢見る少女だったかもしれない。 ブレジネフの死から6年経つと、その話をした同級生は、自分はユダヤ人だと告白してイスラエルに亡命してしまった。ピオネール(共産圏の少年団)だった私たちはコムソモール(共産党の青年組織)に入ったが、その2年後にはコムソモールもなくなった。キエフ大学に入学すると、2年生の時に学生運動が始まり、大きな市民デモに発展して当時の首相は辞任させられた。 その半年後にウクライナはソ連から独立した。そしてそれまで知らされなかった様々な歴史的事実が明るみに出るようになった。それでブレジネフやスターリンの人生、また1933年の「大飢餓」で亡くなった多くのウクライナ人のこと、殺されたたくさんのウクライナの作家や詩人のことを知るようになった。その時、ブレジネフが亡くなった時に同級生とした話やその時の信じられなかった気分が甦った。やはり、知っている人は知っていた。例えこどもの時代であっても。 <オリガ・ホメンコ Olga Khomenko> キエフ生まれ。東京大学大学院の地域文化研究科で博士号取得。現在はキエフでフリーのジャーナリスト・通訳として活躍しながら、キエフモヒラアカデミー、国立大学OIDEで教鞭もとっている。2005年に藤井悦子と共訳で『現代ウクライナ短編集』を群像社から刊行。2014年には、SGRAかわらばんで発表したエッセイ等を纏め、エッセイ中「ウクライナより愛をこめて」を群像社から出版。 エッセイ集の詳細は下記リンクをご覧ください。 http://gunzosha.com/books/ISBN4-903619-44-6.html *本エッセイは、2013年にSGRAかわらばん327号で配信したものを、著者の承諾を得て再送します。 ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第4回SGRAスタディツアーin福島<参加者募集中> 「飯館村:帰還に向けて」(2015年10月2日~4日福島) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4363/ ◇第8回SGRAカフェ<ご予定ください> 「ジェンダーについて考える必要性(仮)」 (2015年10月24日東京) ◇第50回SGRAフォーラム<ご予定ください> 「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて」 (2015年11月14日北九州市) ◇第9回SGRAチャイナフォーラム<ご予定ください> 「日中200年―支え合う近代(仮)」 (2015年11月22日北京) ★☆★論文(要旨)募集中 ◇第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月21日高雄) 「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/taiwan/2015/4439/ 投稿締め切りは2015年9月20日です。 ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ 奨学金・優秀論文賞の対象となる論文(要旨)の投稿締め切りは2015年8月31日です。 一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。 ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2015/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email: [email protected] Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Hong Yun Shin “About Putting Form to Our Thoughts”

    ************************************************** SGRAかわらばん590号(2015年8月20日) ************************************************** *8月は、以前に配信したエッセイの中で、より広い読者に読んでいただきたいものを再送しています。 ◆洪ユンシン「思いを形にすることについて~宮古島に建つ日本軍「慰安婦」のための碑に関わりながら~」 一つの思いが形になる際、そこには、何が残るのか。宮古島に建つ日本軍「慰安婦」のための碑に関わって一年が過ぎようとしている。その間、私は、「何故、沖縄なのか」「何故、宮古島なのか」という質問に度々出会い、政治的な目的や背景があるのではないかと批判され、時には、「女性を偶像化するな」とも言われた。この碑をめぐる疑問と質問に、今日は答えたい。 私/私たちは、ただ、思いに触れて、その思いを思うがままに行動に移した一人、一人の個人であると。ごく単純に、日本軍「慰安婦」のことを忘れず、彼女たちが休んだ場所に大きな石を置いて、誰か「朝鮮」から人が来ないかと待っている素朴な農民がいた。そして、彼の証言を聞き、その思いに触れた者達が集まってきたのだと。それで納得いかないと言うなら、実際に起きた出会いを語ることで、宮古島に建つ日本軍「慰安婦」のための碑に関わった経緯を説明しよう。実行委員会のメンバーとしてではなく、何の目的も持たない私自身の思い出として。 「沖縄戦と朝鮮人」の関係を研究している私は、2006年10月と12月宮古島を訪れた。韓国でインタビューをした朝鮮人軍夫のうち、最も病弱な方が宮古島に強制動員されていたからである。私と宮古島の縁は、このような一人の朝鮮人軍夫との出会いで始まった。部屋に入るや否や「では始めましょう」と正座をしたその方は、始終、姿勢を正し冷静な語調で話をしてくれたが、何処か不安そうに見えた。「動物のなかで一番信用できないのは人間だ」という口癖のような言葉が、私を不安にさせたのかもしれない。 彼は、何故か、「慰安所」の話だけは、すべて日本語で語った。傍でただ話を聞くだけだったおばあさんが、「私は『挺身隊』にいかされると聞き、顔もしらないこの人と結婚したのよ」と呟いた一言で疑問は解けたが、あの深いため息や、彼のインタビューが終わるまでイライラしていた彼女の、どこか寂しそうな横顔を、私は忘れることが出来ない。 インタビューの終わり頃、おじいさんが前日までは座ってご飯も食べられないくらい元気を失っていたことを知らされた。おばあさんは何と退院の直後であったことも知った。沖縄に出来た「恨の碑」の除幕式に行きたかったけれど、体調が悪いためいけなかったと寂しげに語るおじいさんだった。そのとき宮古島の写真を送ろうとひそかに決めていた自分がいた。こうして、私は、宮古島に足を運ぶことになった。 調査を始めると、思いもよらない証言や人の思いに出会った。この島では、井戸など住民が生活している空間のすぐ傍に「慰安所」があったということが分かった。3万人もの日本兵が駐屯していたため、住民より軍が目立つほどだったという。沖縄本土と違い、山の少ない宮古島では、軍が組織的に作った「慰安所」を、住民の目から隠すことは不可能に近かったことも分かった。 生活空間のすぐ傍にいた朝鮮人軍夫や「慰安婦」の方々の苦労を、宮古島の住民は、生々しく覚えていた。この島で、私は、しばしばあの朝鮮人元軍夫とその妻の寂しげな横顔を思い出させる証言者に出会ったのだが、それは、戦争を経験したおじいさんの顔だったり、この島で何度も危機にさらされたおばあさんの横顔だったりした。その一人が、与那覇博敏さんである。 与那覇さんは、戦時中宮古島で日本軍の司令部が置かれていた地域に住んでいた。彼の実家の近くに、長屋の慰安所があり、朝鮮人の女性数人が居たという。水の貴重な島では洗濯をするにしろ、井戸に行かねばならない。「慰安婦」にされた女たちも、坂道を登ってその井戸まで洗濯に出かけた。そしていつも、与那覇さんの実家の前にあった木の下で腰を下ろして休んでいたという。 当時まだ小学生だった与那覇さんは、色白で綺麗な女性たちに唐辛子をあげたりして喜ばせたという。草刈をしによく「慰安所」の近くまで行ったものである。しかし、戦後、彼女たちがなぜ宮古島にきていたのかを知り、木の下で休んでいた彼女たちの何処か寂しげな姿が忘れられなかった。 与那覇さんは、彼女たちのことを忘れまいと、岩を置いたのだと話してくれた。そして、二度目の調査の際に、「この岩に、韓国語で名前を付けてほしい」と頼まれた。東京に戻ると、どうしても碑を建てたいのだと、一生懸命書かれている与那覇さんの手紙が待っていた。それは与那覇さんの強い希望だった。 2006年、私は、尹貞玉(ユン・ジョンオック)先生の沖縄調査に偶然、同行する機会を得た。宮古島調査からの帰りだった。ユン先生に、与那覇さんという宮古島の人の思いを伝えたところ「彼のように自分を覚えている人が居ることを知ったら、おばあさんたちは、どんなに喜ぶでしょうか」と、碑を建てることにすぐ賛同してくださった。 こうして、2007年5月、ユン先生を団長とする「韓国・日本・沖縄」共同調査団が、宮古島に足を運ぶことになった。新聞記事を読んで、那覇滞在の宮古戦体験者の方々からも証言したいと声が寄せられた。同調査団に参加し、どうしても碑を建てたいという与那覇さんの話を聞き、その思いの強さに感動した「聞き手」を中心に、直ちに募金活動が始まった。   2008年、二度目の共同調査を実施。合計15箇所の「慰安所」がこの島にあったことを確認した。宮古島に動員された「慰安婦」の方が韓国に生存していることも確認された。現在(2008年4月)、宮古島・東京・韓国に実行委員会が結成され、広く募金を呼びかけている。証言調査も同時に進めており、16番目の「慰安所」を確認した。沖縄の「慰安所」は130箇所だといわれてきたが、その10分の1以上がこの島に存在したことになる。そして、与那覇さんのようなたくさんの住民が彼女たちについて語っているのである。  2008年8月15日、私たちはこの島の与那覇さんの土地に「日本軍『慰安婦』のための碑」を建てる。私たちは女性を表象化する何の彫刻も建てない。ただそこには、日本軍「慰安婦」であることを強いられた韓国のおばあさんたちの多くが自分自身をその花にたとえ、好んでいた花、ドラジコット(キキョウの花)を一輪置く。宮古島の暑い夏、かつて彼女たちがそうだったように、「希望の木」(2007年5月植木)がこの石に、大きな木陰を作ってくれるだろう。 そして、いつか、あの木の下で休もうと、腰を下ろす旅人は、この真っ黒い琉球岩石を、守っているかのように囲んでいる私たちのメッセージと、小さいキキョウの花畑に出会える。そして「慰安婦」となった女性たちの10カ国の言語で刻まれた次の言葉を読むだろう。 「日本軍による性暴力被害を受けた一人ひとりの女性の苦しみを記憶し、全世界の戦時性暴力の被害者を悼み、二度と戦争のない平和な世界を祈ります。」 旅人がこの祈りの文を読み終わった後に、あの与那覇さんの石に目を留め、この場所に連れてこられた女性たちへ思いを馳せてくれればよい。あの戦争中戦場となり日本軍の要塞となった沖縄で生まれ今も米軍基地と共に生き続ける人々の思い出と、ここに座り込んでいた「慰安婦」にさせられた女性たちの記憶は、「希望の木」を植えた人々の手触りの暖かさに包まれる。飾りのない素朴な琉球岩石が、寂しく見えるはずはない。そして、この場をたまたま訪ねた人々の思いが、そのまま「祈り文」となるだろう。 これらの営みは、決して形などに留まることのない未来への強い希望として働きかけるはずだ。人の思いは形などに留められない。ただ生きているその人自身の「思い」そのもの、ごく普通の人間の思いそのものが、歴史を動かす力となることを、私は、多くの日本軍「慰安婦」証言者や沖縄戦の語り部に学んだ。それを信じている。  <洪ユン伸(ホン・ユンシン)Hong Yun Shin> 韓国ソウル生まれ。韓国の中央大学学士・早稲田大学修士卒業後、早稲田大学アジア太平洋研究科博士。専攻は一貫して「政治学・国際関係学」。関心分野は、政治思想。哲学。安全保障学。フェミニズム批評理論など。SGRA会員。 *本エッセイは、2008年にSGRAかわらばん138号で配信したものを、著者の承諾を得て再送します。2008年9月7日に、宮古島における慰安婦のための碑は建立され、その後も地元の人々によって守られているということです。碑の建立についての報告は、洪さんの下記エッセイをお読みください。 エッセイ173:洪ユン伸 「アジアに一つしかない碑:宮古島の<慰安婦>のための碑建立までを中心に(その1)」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/2008/1306/ エッセイ174:洪ユン伸 「アジアに一つしかない碑―宮古島の<慰安婦>のための碑建立までを中心にー(その2)」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/2008/1308/ エッセイ175:洪ユン伸 「アジアに一つしかない碑―宮古島の<慰安婦>のための碑建立までを中心にー(その3)」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/2008/1310/ ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第4回SGRAスタディツアーin福島<参加者募集中> 「飯館村:帰還に向けて」(2015年10月2日~4日福島) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4363/ ◇第8回SGRAカフェ 「ジェンダーについて考える必要性(仮)」 (2015年10月24日東京)<ご予定ください> ◇第50回SGRAフォーラム 「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて」 (2015年11月14日北九州市)<ご予定ください> ◇第9回SGRAチャイナフォーラム 「日中200年―支え合う近代(仮)」 (2015年11月20日フフホト、22日北京)<ご予定ください> ★☆★論文(要旨)募集中 ◇第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月21日高雄) 「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」 投稿締め切りは2015年9月20日です。 ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ 奨学金・優秀論文賞の対象となる論文(要旨)の投稿締め切りは2015年8月31日です。 <あと10日です!> 一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。 ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ◇「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ◇登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ◇エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ◇配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ◇皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ◇SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2015/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email: [email protected] Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Sun Junyue “Shanliren (Part 2)”

    ************************************************** SGRAかわらばん589号(2015年8月13日) ************************************************** *SGRAかわらばん配信システム更新時に生じた不具合のために、前号の配信時に一部のメールにおいてメールアドレスが表にでてしまったことをお詫び申し上げます。 *8月は、以前に配信したエッセイの中で、より広い読者に読んでいただきたいものを再送しています。 ◆孫 軍悦「山裏人(その2)」 1985年から、安徽省南の山間部に点在していた80箇所の企業や公共施設が廃業し、2万人以上の上海人が帰郷の途についた。 1960年代、3人の子どもが次々と上海を離れた後、祖母は家を売り払い、南京の伯父と同居することにした。そのため、母は「上海に帰る」とは言っているが、実際帰るところはなかった。母は時々、もし祖母が上海を離れなかったらと悔しそうに言う。私にはそれがかえってよかった。当時、上海では人口が密集し、住居が著しく不足していた。地方で長年苦労したとはいえ、引き揚げてきた兄弟を誰もが快く受け入れたわけではなかった。法廷にもつれ込んだ骨肉の争いも決して珍しいことではなかった。母と違い、私は「血のつながり」に対して、いかなる幻想も抱かなかった。 もっとも、上海に戻ることは、決して「上海人」に戻ることではない。「上海人」は安徽省の山奥にいるときにだけ「上海人」であったが、一旦上海に戻り、別々の会社に分かれていくと、こんどは安徽省での生活経験を共有する「山裏人」という新たなアイデンティティが形成されたのである。さらに、別々の工場から引き揚げてきた「山裏人」が同じ会社に入り、同じ郊外の農家に間借りし、やがて同じマンションに入居したため、その輪がますます広がったのだ。 「山裏人」は想像の共同体ではない。彼らはそのつながりをフルに利用し、「故郷」での決して楽ではない新生活を切り開いていった。たとえば、洗剤や紙といった日用品は洗剤会社や製紙会社に勤めている「山裏人」からもらい、自転車やカメラといった当時の人気商品は、自転車会社、カメラ会社のかつての同僚に、安く購入できるよう便宜を図ってもらう。時計が壊れたら、時計会社に配属された「山裏人」の友人に届ければ、無料で修理してくれる。引っ越す時に、「山裏人」のドライバーさんに電話すれば、かならず手伝ってくれる。誕生会や、定年、還暦、子どもの結婚式、初孫の満月祝いまで、人生のあらゆる重要な場面において、彼らはともに喜怒哀楽を分かち合っていた。親戚すら一目置く存在であった。 かといって、「山裏人」は決して新しい環境に疎外感を覚える外来者の集団ではない。むしろ新しい同僚や友人関係に自然に溶け込めるのがその特徴である。というのは、彼らを結び付けるのは、郷愁でも利権でもない。ただ単に、同じ境遇であったという理由から生まれた一種の親近感と義侠心、それに、助け合いながら生きるという習慣にほかならない。だから、彼らに団結、友愛、無私といった徳目を押し付け、道徳的にもちあげるのは筋違いだろう。ただ、年を重ねるとともに、その利己心が私には生きることへの執念のように映り、多少の「不正行為」も一種の柔軟性と受け取れなくもないと思うようになった。 母が上海に戻った最大の理由は、よい教育環境で子どもたちを育てたいからだ。ただ、親にとっての「よい教育環境」と子どもにとっての「よい教育環境」とは必ずしも一致するとは限らない。 初めて上海に来た時、すでに上海の中学校に通っていた兄は自分の小遣いでアイスキャンディを買ってくれた。田舎ではアイスキャンディは紙で包むため、その密封したビニール袋をどう開ければよいかと戸惑っている私の顔を見て、兄は得意げに封を切って見せた。彼にとって、そのビニール袋はまさに都市文明の象徴であったのだろう。学校の寄宿舎に入っていた兄は、週末になると、ふらりと街に出る。同級生はみな家に帰るが、彼だけは、一人で映画を見たり、ラーメンを食べたりして、またふらりと校舎に戻る。上海は兄にとって、優しく包んでくれる空気のような存在だった。彼はこの街に深い愛着を抱いている。飲み水がまずいとか、青空が見えないとか、街路樹の葉が黒い煤煙に覆われているとか、いちいち目くじらを立てる私とは対照的であった。二人の心には、異なる原風景が描かれていた。 河北、安徽、南京、上海と4つの小学校を転々としていた私は、常によそ者だった。よそ者として来て、またよそ者として去る。しかも、どういう経緯でやって来たのかも、うまく説明できない。子どもなのに、話そうとすると長くなってしまう。特別ではないけれども、理解してもらうには複雑すぎる。自分が何者であるかを説明するために、母の人生を理解しなければならない。母の人生を理解するためには、国家の歴史を知らなければならない。そう思うようになったのはつい最近のことである。 「三線建設」は、1960年代初、アメリカ、旧ソ連との緊張関係の中で、戦争に備えるために西南、西北、中央の山間部で始めた大規模な工業、交通、国防建設を指す。1980年まで、2千億元以上の資金と、数百万の人員が投入され、1100以上の企業や関連施設が建造された。80年代に入ると、多くの軍需企業が民需企業に変わり、近辺の中小都市に移転した。現在、沿海都市から「三線」に移ってきた人々の中で、もとの居住地に戻った人と、地元に残った人との間に、生活水準に歴然とした差がある。「三線建設」の成果に関して、農民から多くの農地を奪い、巨大な物資と人力を浪費したと指摘し、「間違った時に間違った場所で行われた間違った建設」だと批判する人もいれば、いくつもの重要な工業都市が形成され、東西経済発展の格差を是正したと、評価する人もいる。 上海地方誌弁公室は、1966年から、安徽省績渓県績北道路沿線に建設された、上海軽工業局管轄下の「三線企業」について次のように記録している――1971年に生産を始めてから1983年まで、57ミリの砲弾402.8万発を製造。1978年に民需品の生産に切り替えてから、扇風機25.98万台、置時計61.59万個、腕時計の部品15万個、自転車のチェーン225万本、石炭コンベヤ82台等を製造。総生産額5.09億元。 偶然にも四川大地震の際に、日本の報道番組で珍しく「三線建設」という言葉を耳にした。なぜすぐに日本の救援隊を受け入れないかと追及された解説委員は、四川省にかつて「三線建設」が行われていたため、いまだに軍事関連施設が多く残されているからではないかと分析した。 政党、政権、政策を中心とする歴史記述は、所詮政党、政権、政策の歴史にすぎない。国家によって翻弄された個人の歴史に関する記述も、おおかた、個人を翻弄する国家という観念を前提とした、国家の歴史に関する記述にほかならない。現代中国の歴史と現状は、個々人の人生において異なる紋様としてあらわれた歴史と現実を見つめることによって、初めて見えてくるのではないだろうか。その意味で、国家の歴史が母の人生を理解する鍵というよりも、むしろ母の人生が、国家の歴史を照射する光源ではないかと思われる。 数年前、母の友人が、すでに廃屋になった安徽省の山奥のマンションを購入した。かつて住んでいた部屋を改装し、いまは別荘として悠々と暮らしている。人は最後にどこを「安住の地」として選ぶのか、それだけは、国家の政策によって決められるものでも、また国家の歴史から想像できるものでもない。 <孫 軍悦 (そん・ぐんえつ) ☆ Sun Junyue> 2007年東京大学総合文化研究科博士課程単位取得退学。学術博士。現在、東京大学教養学部特任准教授。専門分野は日本近現代文学、翻訳論。 *本エッセイは、2008年にSGRAかわらばん155号で配信したものを、著者の承諾を得て再送します。 *孫軍悦「山裏人(その1)」は下記URLよりお読みいただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/2008/1030/ ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第4回SGRAスタディツアーin福島<参加者募集中> 「飯館村:帰還に向けて」(2015年10月2日~4日福島) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4363/ ◇第8回SGRAカフェ 「ジェンダーについて考える必要性(仮)」 (2015年10月24日東京)<ご予定ください> ◇第50回SGRAフォーラム 「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて」 (2015年11月14日北九州市)<ご予定ください> ◇第9回SGRAチャイナフォーラム 「日中200年―支え合う近代(仮)」 (2015年11月21日北京)<ご予定ください> ★☆★論文(要旨)募集中 ◇第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月21日高雄) 「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」 投稿締め切りは2015年9月20日です。 ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市) http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/ 奨学金・優秀論文賞の対象となる論文(要旨)の投稿締め切りは2015年8月31日です。 一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。 ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ◇「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ◇登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ◇エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ◇配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ◇皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ◇SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2015/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email: [email protected] Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************
  • Sun Junyue “Shanliren (Part 1)”

    ************************************************************** SGRAかわらばん580号(2015年8月6日) 【1】エッセイ:孫軍悦「山裏人(その1)」 【2】論文募集:第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月高雄)    「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」 ************************************************************** *SGRAかわらばん配信システム更新時に生じた不具合のために、前号が複数配信されてしまったことをお詫びします。 *8月は、以前に配信したエッセイの中で、より広い読者に読んでいただきたいものを再送します。 【1】SGRAエッセイ#467 ◆孫 軍悦 「山裏人(その1)」 「どこの出身ですか」と聞かれると、私はいつも口ごもってしまう。母の世代は「小三線」といえば、ある程度わかってもらえるが、私の世代となると、同じ経験を持つ人でない限り、もはや想像すらつかないだろう。 それは、上海から500キロ離れた、安徽省積渓県、黄山という名勝地の麓だった。硯や墨、画仙紙、緑茶が有名で、清朝の大商人胡雪岩、五四文学革命の先駆者胡適、詩人汪静之、そしていまの国家主席胡錦濤など、有名人も輩出している。一方、洪水が多発し、夏になると、見わたす限りの濁流にわずか水牛の角と屋根が浮かんでいる。そのため、故郷を離れる難民が多いことでもよく知られている。 私が幼少時代を過ごしたのは、この安徽省の山奥にある「上海光輝器材厰(工場)」というところだった。もう少し奥には、「万里厰」があって、ほかに「赤星」、「燎原」、「前進」といった工場もある。こうした山奥に作られた工場で働く上海人たちは、自分たちのことを「山裏人=山のなかの人」と呼ぶ。1980年代半ばごろ、工場が廃業し、彼らは一斉に上海に戻り、時計会社や、カメラ会社、製紙会社、洗剤会社、製鉄所、造船所などで働くことになるが、同郷の誼(よしみ)の代わりに、「山裏人」という固い絆で結ばれている。そして、私たちは、「山裏人の子ども」という奇妙なアイデンティティを共有することとなる。 工場は国産ブランドの置時計の部品を作っていた。が、かつて砲弾をつくる軍需工場だったことは一度も聞かされなかった。今思えば、このような交通不便な山奥で置時計を作ることも、近くの山頂に大砲が置いてあるのは山の猛獣を脅かすためだという大人たちの説明も、腑に落ちないものだ。真実が教えられていないことに対して不満をもっているわけではない。当事者は往々にして寡黙なのだ。ただ、現実に疑問を呈する姿勢と矛盾を追究する方法が、私たちの教育には決定的に抜け落ちている。 正確に言えば、工場ではなく、街だった。地元の農民から土地を徴用し、道路、浄水場、マンション、幼稚園、学校、食堂、図書館、保健所など、生活に必要な施設はすべて揃っていた。マンションには水洗トイレがあるが、ガスはない。一階に住んでいたため、母は家の前の空き地を利用して、かまどのある厨房と、鶏やアヒルの小屋を作った。毎朝、アヒルを川に追い込み、夕方に家に連れて帰るのが私の日課だった。卵を産まなくなった鶏を食べて、その骨を細かく砕いて餌にする。雄鶏の尾羽を使って玩具を作る。アヒルの産毛はきれいに洗い、干してからダウンジャケットに使う。 職員は朝方、県の市場から野菜を仕入れる。母は毎朝必要な野菜を日めくりカレンダーの裏に書いて、バスケットに付けてある洗濯挟みに挟んでおく。そして、私が学校に行くついでにバスケットを野菜売り場に預けて、夕方帰るときに取りに行く。今風に言えば、きわめて環境に優しい生活だった。母は石臼で豆乳を作り、お正月には団子用のもち米を挽いていた。一度、挽肉をつくる器械を使ってみたが、器械を組み立てたり洗ったりするのが面倒だったからか、それとも味に不満があったからか、結局包丁で叩くことに戻った。 「過去の生活には戻れない」とよく聞くが、母にとって、「近代化」や「効率化」と「進歩」とは少しも結びつかない。生活に必要であれば、いくらでも「後退」することができる。そもそも、彼女からみれば、「進歩」するのは、経験から培われる智恵のみである。それに従わずに、知識や理屈を信奉するほど愚かなことはないのだ。 都会からみれば、五階建てのマンションに住みながら、かまどを使い、家禽を飼う生活は、かなり奇妙ではあるが、地元の農民の自給自足(自足しているかどうかは別として)の生活とも一線を画している。農民たちは川の向こう側で畑を耕し、上海人は川のこちら側で旋盤を動かす。それぞれの技術で懸命に生きている。時には、農民たちが豚肉を担いで売りに来たり、上海人が水道を引いてあげたり、地元の大工さんに家具を作ってもらったりはするが、互いの交流はそれほど盛んではなかった。 子供の世界も変わりはない。上海人の子どもたちは、川のこちら側の子弟学校で学び、地元の子どもたちは、川の向こう側の学校で学ぶ。山道で偶然出会ってもにらみ合うことがあるほど、互いに「違い」を意識していた。農地が徴用され、工場で働くことになった人もいるが、やはり上海人のなかに完全に溶け込んでいないようだった。あるいは、上海人が彼らを完全に仲間として受け入れていなかったのかもしれない。その子どもたちは、私たちと一緒に子弟学校で学んでいた。おかげで、野いちごのような美味しいものが食べられたが、ツツジの花びらや生のソラマメなど、まずいものも随分食べさせられた。 それにしても、どこかが違うということは、おぼろげながらに分かっていた。こんな山奥にある弾丸の地でも、差別意識は歴然と存在していた。恐ろしいことに、幼い子どもでもこうした差別意識を利用し、悪事を働いたら農民の子に罪をなすりつけることを覚えた。 小学校は、丘の中腹にあった。山は天然の校庭。自然科学の授業はつまらないが、バッタや蟷螂や蛙、そして毎年岩場で咲き乱れるツツジから、生命とは何かを教わった。それは、動物との触れあいの中で命の愛おしさを知るといった奇麗事ではない。むしろ、殺しても殺しても殺しきれないという厳然たる事実から、あらゆる生物に対する畏怖の念が生まれたのである。ペットショップや動物園、水族館に囲まれた子どもたちは、征服者としての人間の傲慢さしか知らない。現代社会は、自然を前に人間が覚えるもっとも基本的な感情の一つである恐怖を、子どもたちから確実に奪っている。 小学校の先生たちは、授業中は先生であるが、放課後は隣人でもある。たとえば、数学の先生は同じマンションの四階、美術の先生は六階、校長先生はむかい側のマンションに住んでいる。三人とも奥さんに尻に敷かれていることも、子どもながらよく知っている。四階の数学の先生の奥さんが「早く夕食の支度を」という先生への伝言を母に頼んだが、使いに行かされた私は怖くて伝えられなかった。そのせいで先生が奥さんに叱られたことを、いまでも申し訳なく思っている。 遠足のときには一人の先生が何人かの生徒と一緒に行動することが決まりだったが、私はいつも美術の先生と一緒だった。二人とも無口で、不器用で、付かず離れず(不即不離)にぼうっと歩いていたことをかすかに覚えている。 低学年のクラスには、まだ十数名の児童がいるが、高学年となると、将来上海市の中学校で良い教育が受けられるように、親たちは心を鬼にして子どもを上海の親戚に預ける。もっとも、預かってくれる親戚がいれば、という幸運な場合に限った話だが。実際、兄にはいたが、私にはいなかった。ただ、私の方がもっと幸運だった。(続く) <孫 軍悦 (そん・ぐんえつ) ☆ Sun Junyue> 2007年東京大学総合文化研究科博士課程単位取得退学。学術博士。現在、東京大学教養学部特任准教授。専門分野は日本近現代文学、翻訳論。 *本エッセイは、2008年にSGRAかわらばんで配信したものを、著者の承諾を得て再送します。 【2】論文募集:第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月)   「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」 フォーラムの趣旨: 「日台アジア未来フォーラム」は関口グローバル研究会が毎年台湾で主催する国際会議である。本会議では主にアジアにおける文学、言語、教育、歴史、社会、文化などの議題を取り上げる。 第六回目の開催となる今年は「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」について議論する。 帝国主義と植民地主義の下で進められた東アジアにおける近代化の流れは、それまでの中国を中心とした朝貢システムを崩壊させ、国民国家を中心とした国際関係を東アジアにおいて成立させてきた。西欧的国家モデルをいち早く志向して近代国家の成立に成功した日本は、二十世紀東アジアにおける知の交流を語る際に常に重要な役割を果たしてきた。しかし、近年のグローバル化の急速な進展によって、国民国家制度の恣意性が明らかになり、また様々な分野の活動にみられる多くの越境者たちの存在や異なる共同体における記憶の構築、多文化主義に見られる共生の実践など、多種多様な交流の形態はこれまでのような国家単位における知の交流の形を大きく変えてきている。今日においてこうした議論は大変有意義であると思われる。本シンポジウムでは、こうした東アジアにおける知の交流の変容を、参加者たちの多様な立場とアプローチによって読み解いていきたいと考えている。 主 催: 公益財団法人渥美国際交流財団、文藻外語大学日本語学科、台湾大学日本語文学学科、台湾大学日本研究センター 会 場: 文藻外語大学(台湾高雄市) 開催日: 2016年5月21日(土) テーマ: 東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生― 申請方法: 2015年9月20日までに、(1)「論文發表申請書」と(2)「論文要旨【中国語・外国語】」を送って下さい。申請書は、文藻大学のホームページよりダウンロードしてください。 http://goo.gl/H8qCRU 審査結果: 結果は2015年11月30日までにEメールにてお知らせいたします。 論文提出期限: 2016年3月18日(金)までに完成した論文(8000字以上)を送って下さい。 本フォーラムでの論文発表後、修正・補充・審査を経て、審査合格論文を編集して、台湾大学「日本学研究叢書」(中国語・日本語)において出版する予定です。 詳細は下記リンクより論文募集要項をご覧ください http://goo.gl/lI3tMu ************************************************** ★☆★SGRAカレンダー ◇第4回SGRAスタディツアーin福島<参加者募集中> 「飯館村:帰還に向けて」(2015年10月2日~4日福島)  http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2015/4363/ ◇第8回SGRAカフェ 「ジェンダーについて考える必要性(仮)」 (2015年10月24日東京)<ご予定ください> ◇第50回SGRAフォーラム 「青空、水、くらし-環境と女性と未来に向けて」 (2015年11月14日北九州市)<ご予定ください> ◇第9回SGRAチャイナフォーラム 「日中200年―支え合う近代(仮)」 (2015年11月21日北京)<ご予定ください> ★☆★論文(要旨)募集中 ◇第6回日台アジア未来フォーラム(2016年5月21日高雄)  「東アジアにおける知の交流―越境・記憶・共生―」  投稿締め切りは2015年9月20日です。 ◇第3回アジア未来会議「環境と共生」 (2016年9月29日~10月3日、北九州市)  http://www.aisf.or.jp/AFC/2016/  奨学金・優秀論文賞の対象となる論文(要旨)の投稿締め切りは2015年8月31日です。  一般の論文・小論文・ポスター(要旨)の投稿締め切りは2016年2月28日です。 ☆アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ◇「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ◇登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ◇エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ◇配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ◇皆様のエッセイを募集しています。SGRA事務局へご連絡ください。 ◇SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/date/2015/?cat=11 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email: [email protected] Homepage: http://www.aisf.or.jp/sgra/ **************************************************