SGRAメールマガジン バックナンバー

  • Cho Suil “Some Thoughts about Troubled Korea-Japan Relationship (Part 1)”

    ********************************************** SGRAかわらばん796号(2019年11月7日) 【1】エッセイ:趙秀一「混迷を極める韓日関係に思うこと(その1)」 【2】「国史対話」メルマガを配信:李恩民「学生時代の歴史研究と史料探しの旅」 ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#611 ◆趙秀一「混迷を極める韓日関係に思うこと(その1)」 韓日関係がますます混迷を極める中、いま日本にいる一人の留学生としての思いを、個人として接してきた日本、そして21世紀の韓日関係などを中心に、短い自分の人生を振り返りながら述べてみたいと思います。 【テレビアニメーション】 1982年、日本の年号で言えば、昭和57年生まれである私は、韓国ソウルで学生時代を送りました。1989年、国民学校(1996年3月1日より日本の植民地支配の残滓である「国民学校」という名称が「初等学校」に改称)に入学した日々の楽しみは、テレビアニメーションを見ることでした。 『鉄人28号』『マジンガーZ』『鉄腕アトム』『科学者忍者隊ガッチャマン』『炎の闘球児ドッジ弾平』、中高生の時は、『スラムダンク』等。 熱中していたそれらのテレビアニメが日本から輸入されたものであることを知ったのは大学生になった2001年でした。実は、私は日本人・日本語・日本文化・日本歴史にあまり興味がありませんでしたが、教師になりたかったので、受験点数に合わせて日語教育科に入学しました。そして日本文化に詳しい同級生からそれらが日本のアニメだと聞き、衝撃を受けました。それというのも、作中人物たちは韓国名であり、韓国語で会話していたからです。 そんな私の初来日は2006年。1年間の語学研修でしたが、教科書よりは、近くの古本屋で購入したカラー版『スラムダンク』(全24巻、井上雄彦、集英社)の方に夢中でした。韓国にも持ち帰り、何度も読み直しました。 【沖縄・長崎・焼肉】 語学研修のために来日していた2006年、ルームメートに連れられ毎週日曜日の午前中はカトリック教会に通いました。6月には、日本人・中国人・韓国人の信者が集まり、沖縄に行き、沖縄戦で犠牲になった戦没者のための祈りを捧げました。 沖縄戦跡や平和祈念公園、普天間、米軍基地、首里城にも訪れ、琉球・沖縄の過去と現在を学びました。5日間の滞在でしたが、修道院に泊り、シスターたちが作ってくれる美味しい朝食をいただきました。マイクロバスで移動しながら、沖縄生まれの牧師さんが解説してくださったのですが、彼の熱い声は今も忘れられません。とりわけ、繰り返し自分は日本人ではない、と強調していたので、戸惑いながらも、日本について、沖縄についてもっと勉強せねばと思うようになりました。研究者の道を選ぶきっかけとなった瞬間であったかもしれません。 その沖縄訪問を企画したのは、通っていたカトリック教会の神父様でした。長崎生まれの彼に長崎にも連れられ、彼の実家に泊りながら、カトリック教会を巡り、遠藤周作文学館、長崎原爆資料館などを見学しました。沖縄の平和祈念公園の「平和の礎」に刻まれている朝鮮人の名前。そして1945年8月6日の広島、同年8月9日の長崎において犠牲になった朝鮮人(徴用)労働者。日本という異国の地で犠牲になった彼ら/彼女らの存在とその意味を知らないまま、教師になって日本を教えることはできないと切実に思うようになりました。 初来日の当時、日本語能力試験(JLPT)2級レベルであったにもかかわらず、日本語会話はなかなか上達しませんでした。そんな状態で、近くの焼肉屋でアルバイトを始めました。カルビ、キムチ、カクテキ、オイキムチ、サンチュ、クッパ、ビビンバ、チヂミなど、韓国語が使われていることが不思議で仕方ありませんでした。一説によると、1988年ソウルオリンピックがきっかけとなり、一般的に通用するようになったそうです。ところで、アルバイト先は家族経営の焼肉屋でしたが、営業が終わるとみんなで賄いを食べ、お酒も自由に飲むことができました。私以外はみんな日本人であったので、そこで日本語会話の練習をし、気になることは何でも聞くことができました。そこで出会った情の深い日本人との交流から生まれた相互理解が、私の日本人に対する偏見の壁を打ち破り、私の人生を変えたと言っても過言ではありません。 【国民学校時代の記憶の断片】 話が戻りますが、国民学校時代(1989年3月~1995年2月)のことに触れたいと思います。言うまでもないことですが、6月25日は朝鮮戦争が勃発した日です。学校ではその日が近づくと、反共ポスターを描いたり、反(滅)共産主義について雄弁したりする大会が行なわれました。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は鬼や悪魔ばかり住んでいると思い込んでいた時期もあります。他方、愛国歌(大韓民国の国歌)には、北朝鮮に位置する白頭山(ペットゥサン、2744m)や金剛山(クムガンサン、1638m)が出てきますし、南北統一を願うポスターも描き、「我々の願いは統一」という歌も合唱していたので、当時は漠然と5年、10年が経てば統一できるんだと思っていました。6年生になった1994年は、金日成(キム・イルソン)主席が亡くなった年です。授業中でしたが、テレビをつけるようにというアナウンスが流れ、テレビでは彼の死が報じられていました。私はもうすぐ統一できると思いましたが、それから25年経った今も分断のままです。 【韓日関係のミレニアムの始まりは対話と人間愛】 1998年10月8日、大韓民国の大統領・金大中氏と日本の内閣総理大臣・小渕恵三氏が、両国の現在の友好関係を再確認するとともに、これからあるべき韓日関係について話し合い、新たな韓日パートナーシップを構築するとの共通の決意を宣言しました(韓日共同宣言21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ)。 それに基づき、「韓日共同理工系学部留学生事業」が創設されました。高校を卒業した韓国人学生を日本の国立大学の理工系の学部へ招致し、日本の大学の学部生として4年間学ばせるという事業で、2000年開始されて以来、2千名ほどの韓国人留学生を輩出しました。因みに、学部生を対象とする事業は、残念ながら2018年をもって終了したようです。 また、記憶すべき変化がありました。1998年10月、韓国政府はそれまで禁じていた日本の大衆文化の流入を許容する「日本大衆文化解放」の措置を行なったことです。それによって部分的ではありますが、合法的に映画や漫画などの日本の大衆文化に接することができるようになりました。 また、不幸なことではありますが、「新大久保駅乗客転落事故」にも触れたいと思います。2001年1月26日19時頃、JR山手線新大久保駅で泥酔した男性が線路に転落し、彼を救助しようとして飛び降りた日本人のカメラマンと韓国人留学生が、電車にはねられ、3人とも死亡した悲しい事故でした。事故の犠牲者を追悼・顕彰するプレートが新大久保駅のホームと改札の間の階段に設置されています。日本では毎年1月26日、事故で亡くなった韓国人留学生・李秀賢(イ・スヒョン、当時26歳)さんの追悼行事が行なわれ、市民たちの自発的な募金により個人のイニシャルから名付けた「LSHアジア奨学会」も運営されており、韓日友好の象徴とも言われています。 ところで、2002年FIFAワールドカップが韓国と日本の共同開催で成功裏に終わったことは記憶に新しいです。その年の12月19日、韓国の第16代大統領選挙が行なわれ、盧武鉉候補が予想を覆し、大統領に当選しました。彼は2003年6月6日から9日まで日本を訪問し、首脳会談を行ない、政界要人とも会話しました。また日本の国会で演説をし、さらには、TBSの報道番組「百人百熱韓国盧武鉉大統領本音で直接対話」という番組に出演し、日本国民と1時間半にわたって直接対話を行ないました。今から振り返ると、破格そのものでありますし、今こそ必要なことではないかと思います。 ミレニアムに向けた/を迎えた両国と両国の国民は、人間愛と対話に基づいた交流を行ない、相互理解を深め始めたことは忘れてはならないと思います。(続く) <趙秀一(チョウ・スイル)Cho_Suil> 1982年韓国京畿道生まれ。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程修了。博士(学術)。「済州島4・3事件を考える会・東京」実行委員。2008年、韓国ソウルの建国大学校師範大学日語教育科卒業。2011年来日。2016年度日本学術振興会特別研究員(DC2)。主要論文としては、「金石範「看守朴書房」論―歴史を現前させる物語」(『朝鮮学報』第244輯、朝鮮学会、2017年)や「金石範『火山島』論―重層する語りの相互作用を中心に」(『社会文学』第47号、日本社会文学会、2018年)などがある。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】「国史対話」メールマガジン第9号を配信しました。 ◆李恩民「学生時代の歴史研究と史料探しの旅」 https://mailchi.mp/a9a539691526/sgra-kokushi-email-newsletter-12019753 SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回、月末に配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。また、3言語対応ですので、中国語話者、韓国語話者の方々にもご宣伝いただきますようお願いいたします。 ◇国史メルマガのバックナンバーおよび購読登録は下記リンクをご覧ください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Yang Chun-ting “Fukushima Study Tour #8 Report”

    ********************************************** SGRAかわらばん795号(2019年10月31日) 【1】楊チュンティン「ふくしまスタディツアー『ふるさとの再生』報告」 【2】新刊紹介『羅生門』[日]芥川龍之介著 魯迅・夏メン尊・宋剛訳 ********************************************** 【1】楊チュンティン「第8回ふくしまスタディツアー『ふるさとの再生』報告」 2019年9月21日から23日までの3日間、福島県飯館村の訪問を軸としたスタディツアーの一参加者として、非常に充実した時間を過ごした。震災/復興という漠然とした言葉で括られている、福島で起きた/起きている出来事、すなわち2011年福島第一原子力発電所事故による放射能汚染と住民の避難、そして近年、その除染作業の進行に伴う土地利用や住民の帰還について見聞きしたことを少しお伝えしたい。 原発事故の経過を回顧し、廃炉作業の現状や予定について紹介する「東京電力廃炉資料館」から我々のツアーが始まった。東電の旧経営陣の3人に無罪判決が下された数日後だった。当該資料館の解説員や映像紹介によって、「自然現象など外的事象が引きおこす過酷事故のリスクを軽視し、安全対策を継続的に強化してこなかった、申し訳ない」という弁解が繰り返された。しかし、福島県沖を震源と設定した場合、津波水位の最大値は15.7メートルという計算結果が東電に報告された2008年から震災の発生まで、特に対策を講じてこなかったという事実説明の方がむしろ印象深かった。 その後、原発災害による避難で日常を中断されていた飯館村に向かった。震災から6年後、2017年3月31日に、一行政区を除き、避難指示がようやく解除された村である。今年9月の統計によると、約6500名の登録人口の内、1200名未満の村民しか帰還していない。噂通り、美しい山に囲まれた村内には汚染土などを保管するフレコンバッグが大量に積み上げられており、農地の一角にはソーラーパネルが一面に広がっていた。 仮設住宅の木造建材を再利用し、飯館村内外の交流を図る宿泊施設「風と土の家」に我々は滞在しながら、「ふくしま再生の会」理事長の田尾陽一さんや、副理事長であり東京大学大学院農学生命科学研究科教授でもある溝口勝さんなどによるレクチャーを受け、農林畜産業を生業としてきた飯館村の現在を見学した。トルコキキョウなどお花のハウス栽培農家、遠隔監視装置が装備された牛舎、放射線セシウムの除染工事の跡が窺える「松塚土壌博物館」や、経済作物として見込まれて栽培実験中の漆(うるし)の畑などを見学した。さらに、桜やバラなど様々な花を谷一杯に栽培し、桃源郷のような花園を作ることに取り組んでいる大久保金一さんにご指導いただきながら花植え体験をした。また、我々が手作りした多国籍料理が並べられ、村民が即興で披露してくれた歌や踊りで賑わった佐須公民館(旧佐須小学校校舎)での交流晩餐会も思い出深い。 実は、飯館村の村民と数えられる人の中には、田尾さん一家などここ2年の間に新たに転入した移住者100人以上が含まれる。それゆえ、飯館村の再生をめぐって「外部の人」の見解に反感を抱く村民も見受けられるのだという。村中の人々が足並みを揃えている訳ではないが、「ふくしま再生の会」は村全体に影響を及ぼしかねない新しい取り組みに着手している。「大地の芸術祭」や「瀬戸内国際芸術祭」のアートディレクターとして知られている北川フラムさんを迎えて、地域文化を掘り起こし、村に訪問者を呼び込む「アートプロジェクト」の構想がスタートしたのである。 なぜ震災後の農村の再建に「アート」を取り入れるのか、疑問を抱く方は少なくないだろう。けれども、アート分野で学ぶ筆者にとってこの考えは理に叶っている。アートは、普段人々が見えていない物事を「見える化」したり、既成概念を問い直したりして、あらゆる事象に独自の価値を付与する傾向がある。鑑賞者はアート作品によって思考が刺激され、さまざまな発見や再認識が促される。このような特性から、アーティストが持ち込む新しい視点によって地域の魅力が見出され、発信されるという期待のもと、既に日本各地で地域創生の手段の一つとしてアートプロジェクトが多く実践されている。 飯館村の再生は、田尾さんに言わせれば、決して「元のまま」に戻すことではない。放射能汚染ばかりが問題視されているが、原発事故が破壊したのは自然と人間の関係性であり、その関係性が断ち切られた人々の精神であると田尾さんは主張する。この意味において、アートプロジェクトは少なくとも人と人、人と土地の新しい関係性や愛着感を醸成する糸口となるかもしれない。 再生に向かう飯館村の取り組みは、農林畜産業から芸術活動まで広がっている。「内部の人」であろうとなかろうと、地についた研究・調査力から飛躍的な想像力を持つ多分野の協力者が重層的に展開している活動の数々は、市民の豊かな創造性が芽吹き始めていることを物語っているのではないだろうか。 スタディツアーの写真は下記リンクよりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/photo-gallery/2019/14049/ <楊チュンティン(ヤン・チュンティン)Yang_Chun-ting> 2018年度渥美奨学生。アートマネジメント/文化政策分野で研究・活動をしている。博士(学術/東京藝術大学)。修士(美術教育/福岡教育大学)。学士(日本語/台湾国立政治大学)。2019年度現在はNPO法人「音まち計画」の主催事業「イミグレーション・ミュージアム・東京」(略称IMM)の企画統括を務める。主な論文は「アートによる多文化の包摂-日本人の外国人住民に対する『寛容な意識づくり』に着目して-」(『文化政策研究』第10号、2016年)がある。(IMMのホームページ:http://aaa-senju.com/imi) -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】新刊紹介 SGRA会員で北京外国語大学副教授の宋剛さんから、翻訳書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆「羅生門」[日]芥川龍之介著 魯迅・夏メン尊・宋剛訳 魯迅や夏メン尊(Xia_Mianzun)が訳した『羅生門』『鼻子』『秋』等芥川の代表的な作品の翻訳原文に「当代青年翻訳家」宋剛が翻訳した『密林中』『河童』等長く愛されている古典的な作品を加えました。 出版社:四川人民出版社 作者:[日]芥川龍之介著 魯迅・夏メン尊・宋剛訳 出版日期:2018-01-01 ISBN:978-7-220-10303-2 装丁:平装 定価:32元 詳細は下記リンク(中国語)よりご覧ください。 http://www.scpph.com/view/460.html ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い(2019年11月1日~3日、台北) SGRA参加パネル (1)「明治期の小説と口絵・挿絵―絵の役割―」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/2019/13958/ (2)「日本のODAとアジア:再評価の試み」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13976/ (3)「日本における女性ムスリムの現状・留学中に直面する課題と彼女らの挑戦」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/14055/ ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Invitation to SGRA Panel Session at EACJS (Part 3)

    ********************************************** SGRAかわらばん794号(2019年10月24日) 【1】東アジア日本研究者協議会へのお誘い(11月1~3日、台北) SGRA参加パネル#3「日本における女性ムスリムの現状」 【2】催事紹介:日韓連帯文学フォーラム 「文化・文学でつながる、韓国と日本」(11月29日、東京) 【3】新刊紹介『映しと移ろい:文化伝播の器と蝕変の実相』 ********************************************** 【1】第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い ◆SGRAパネル#3「日本における女性ムスリムの現状・留学中に直面する課題と彼女らの挑戦」 東アジア日本研究者協議会(EACJS)は、東アジアの日本研究関連の学術と人的交流を目的として2016年に発足しました。SGRAはその理念に賛同し今年も3つのパネルに参加いたします。各パネルの発表内容を順次ご案内しますので、これを機会に皆様のご参加やご関心をお寄せいただければ幸いです。 【第4回東アジア日本研究者協議会国際学術大会in台北】 日時:2019年11月1日(金)~3日(日) 会場:福華国際文教会館、台湾大学 主催:第4回東アジア日本研究者協議会、台湾大学日本研究センター 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://cjs.ntu.edu.tw/eacjs/index.html 全体プログラムは下記リンクをご覧ください。 http://cjs.ntu.edu.tw/eacjs/pdf/program.pdf?v=1001 ◆SGRA参加パネル#3「日本における女性ムスリムの現状・留学中に直面する課題と彼女らの挑戦」 分科会H3(一般パネル) 11月2日(土)14:15-15:45 於 台湾大学普通教学館304号室 パネル趣旨: 最新の推計結果(2013年)によると日本におけるムスリム人口は約18万5千人、日本人口の0.1%を占めており、外国人人口の増加とともに今後も増える見込みである。そこで在日ムスリムの現状を把握することを目的に調査が実施され、信仰活動や仕事・交友関係などの生活状況が明らかにされたのだが、その対象は男性のみであった(店田2006,2013)。他にもムスリム留学生へのインタビュー調査などが行われているが、どれも男性を対象にしているものが多く、日本に在留する女性ムスリムは依然としてヴェールに包まれているといっても過言ではない。しかしながら、ムスリム女性は、意図せずして、彼女らの宗教や文化の象徴的な存在として昨今の国際社会におけるディスコースの中心となっている。そこで本研究は、日本に留学するムスリム女性に着目し、彼女たちの「可視性が日常生活に及ぼす影響」と異文化しかも非ムスリム的環境における「ムスリム女性としてのアイデンティティ構築に結びつく内なる葛藤」を明らかにすることを試みた。 本パネルでは、5人の在日ムスリム女性へのインタビュー調査結果の報告を踏まえ、討論者らの女性ムスリム留学生としての実体験を交えながら、現在の日本社会が抱える異文化共生の問題を議論し、今後の多文化共生社会のあり方を模索する。 (参考文献:「在日ムスリム調査 関東大都市圏調査 第一次報告書」2006年、店田廣文「世界と日本のムスリム人口 2011年」2013年) パネリスト: 司会者  張桂娥(東呉大学) 発表者1 沈雨香(早稲田大学) 発表者2 アキバリ・フーリエ(白百合女子大学) 討論者3 ショリナ ダリヤグル(明渓日本語学校) 討論者4 ミヤ・ドゥイ・ロスティカ(大東文化大学) 発表要旨: 【発表1】沈雨香(早稲田大学) 「在日ムスリム女性の困難ー彼女らの可視性から」 文化庁の2015年の報告書によると日本における包括宗教法人の数は390程で、信者数の総数は1億人を上回る。しかしながら、我々は日常生活で個々人の宗教・信仰を意識することはあまりない。それは、ほとんどの場合、信仰は「目に見えない」からである。例えば教会でお祈りをしたり、神社で参拝する姿でも見ない限り日常生活の中で個々人がどの宗教を信仰しているかを知ることは難しい。ただし、ムスリム女性は例外である。 ヒジャブ(スカーフ)は女性が髪や顔を覆うもので、その素材や色、覆う方法などは様々であるが、ムスリム女性は宗教的慣習や文化に基づき日常的にヒジャブを着用している。つまり、ヒジャブはムスリム女性の宗教への信仰を「可視化」しているのである。その宗教的可視性の故、ムスリムの女性は他から存在的にそして認識的に区別されており、彼女らならではの生活世界を経験していると考えられる。しかも、非ムスリム文化圏であればより顕著であるだろう。 そこで本研究では、ムスリム女性が持つ可視性に着目し、日本に滞在するヒジャブを着用する女性と非着用の女性計5人を対象にした半構造化インタビューを通して、その可視性がもたらす影響を明らかにすることを試みた。その結果、ヒジャブ着用者と非着用者の間で交友関係や日常生活における経験に差があることはもちろん、属するコミュニティも異なっていることが明らかになった。また、ヒジャブが持つ宗教の可視性は彼女らの生活のあらゆる場面における経験を決定する一つの要因であるとともに、彼女らの意識や行動規範を示す一つの明確な指標として機能していることも示唆された。これらの知見を踏まえ、近年ムスリム人口が増加する日本における異文化共生や、今後の多文化共生社会のあり方を模索する。 【報告2】アキバリ・フーリエ(白百合女子大学) 「在日ムスリム女性留学生の内なる葛藤」 80年代以降、留学や就労働目的で来日するムスリムが増加している。「宗務時報No119」では、2010年末の滞日ムスリム人口は約11万人としている。着実に日本社会でも「ムスリム・コミュニティ」が根付きつつあると指摘できる。大学においても、中近東諸国からの政府派遣受け入れに伴い、ムスリム留学生の在籍数が増加している。一方で、21世紀のムスリム諸国においても、ムスリム女性の社会進出が目立つようになった。これまでのムスリム女性に対する、控えめで従順なステレオタイプのイメージとは一線を画して、キャリア重視の女性が増加している。その変化に伴い、日本においても女性ムスリム留学生が近頃見られるようになった。確かに日本は、アジアの国々と友好な関係であることと、安全な国であることから、女性ムスリムの留学先の優先国として適している。 そこで、在日ムスリムの宗教的価値観の違いによるストレスや、異文化葛藤の問題も考慮すべき課題となる。本発表では、在日ムスリム女性としてのアイデンティティの構築と日本社会の一員として、多文化社会においてどのような内なる葛藤があるのかに焦点を当てた。日本で留学経験がある5人のムスリム女性を対象に半構造化インタビューを通して、彼女らの内なる葛藤を観察した。 葛藤の要因は、日本社会からのみではなく、同じ一神教のイスラム教徒であるムスリム・コミュニティの中からも発生していることが明らかとなった。それは、従来の女性像を基準に両者からの評価と判断の対象となっていることに起因している。社会が彼女らへ期待するムスリムとしての在り方の偏りがアイデンティティの揺らぎを含めた内なる葛藤へと結びついている。今後日本が多様性を包摂する多文化共生社会に移行するためには、ムスリムアイデンティティも含め、個々人の多様なアイデンティティを受け入れる姿勢が求められる。 【東アジア日本研究者協議会の趣旨と歩み】 北米を中心としたAAS(アジア学会)、欧州を中心としたEAJS(欧州日本学会)が存在するのに対し、東アジア地域における日本研究者の集う場として2016年に発足された協議会。「東アジアにおける日本研究関連の学術と人的国際交流」を目的に毎年、東アジア各都市で国際学術大会が開催されている。 ◇協議会趣旨 一、日本研究の質的な向上。 一、地域の境界に閉ざされた日本研究から脱し、より多様な観点と立場からの日本研究を志向。 一、東アジアの安定と平和への寄与。 ◇国際学術大会の歩み 第1回は2016年韓国・仁川、第2回は2017年中国・天津、第3回は2018年日本・京都で開催。 第4回が本年11月に台湾・台北で開催される。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】催事紹介 SGRA会員で青山大学准教授の韓京子さんより、フォーラムのご案内をいただきましたのでご紹介します。参加申し込み・お問合せは主宰者へ直接ご連絡ください。 ◆日韓連帯文学フォーラム「文化・文学でつながる、韓国と日本」 日時:11月30日(土)10:00~17:10(予定) 場所:法政大学市ヶ谷キャンパス 富士見ゲート2階 G201教室 主催:法政大学国際日本学研究所 後援:日本近世文学会 趣旨:ユーラシア大陸の東の端、海をはさんで向かい合う韓国と日本。中華文明の影響のもと、ともに東アジアの文明・文化を支えつつ発展してきた両国は、二千年の長きにわたって密接な関係にありました。 その両国の関係が、昨今、さまざまな変化に直面しています。こうした時期こそ、表面的な現象にとらわれずに、両国が古くから培ってきた文化・文学の歴史に目を向けたいと考えます。東アジアを視野に入れつつ、韓国と日本の過去・現在・未来を、文化・文学という側面から、多角的かつ内省的に考える企画です。 詳細は下記リンクよりご覧ください。 https://hijas.hosei.ac.jp/news/20191129-30info.html -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】新刊紹介 SGRA会員で国際日本文化研究センター教授の稲賀繁美先生から、新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆「映しと移ろい:文化伝播の器と蝕変の実相」 既存の学問領域の垣根を乗り越えた先にあるものは何か。 43名の執筆陣が、多文化間の文化伝播における接触と変成の実相を、「うつし」「うつわ」「うつろい」のキーワードを頼りに学際的かつ多角的に分析。 従来の思考法の限界をあぶりだし、これまでの比較言語学、比較文化論にとどまらない、次世代の表象文化論、情報理論のモデル構築を目指す! 編著:稲賀繁美 発行:花鳥社 定価:本体12,800円+税 A5判・上製・792頁 ISBN:978-4-909832-12-2 発行:2019年9月25日 詳細は下記リンクよりご覧ください。 http://www.bunshin-do.co.jp/catalogue/book5046.html ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い(2019年11月1日~3日、台北) SGRA参加パネル (1)「明治期の小説と口絵・挿絵―絵の役割―」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/2019/13958/ (2)「日本のODAとアジア:再評価の試み」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13976/ (3)「日本における女性ムスリムの現状・留学中に直面する課題と彼女らの挑戦」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/14055/ ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Invitation to SGRA Panel Session at EACJS (Part 2)

    ********************************************** SGRAかわらばん793号(2019年10月17日) 【1】東アジア日本研究者協議会へのお誘い(11月1~3日、台北) SGRA参加パネル#2「ODAとアジア:再評価の試み」 【2】新刊紹介『一帯一路の政治経済学』 【3】SGRAチャイナ・フォーラムへのお誘い(最終) 「国際日本学としてのアニメ研究」(10月19日、北京) ********************************************** 【1】第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い ◆SGRAパネル#2「ODAとアジア:再評価の試み」 東アジア日本研究者協議会(EACJS)は、東アジアの日本研究関連の学術と人的交流を目的として2016年に発足されました。SGRAはその理念に賛同し今年も3つのパネルに参加いたします。各パネルの発表内容を順次ご案内しますので、これを機会に皆様のご参加やご関心をお寄せいただければ幸いです。 【第4回東アジア日本研究者協議会国際学術大会in台北】 日時:2019年11月1日(金)~3日(日) 会場:福華国際文教会館、台湾大学 主催:第4回東アジア日本研究者協議会、台湾大学日本研究センター 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://cjs.ntu.edu.tw/eacjs/index.html 全体プログラムは下記リンクをご覧ください。 http://cjs.ntu.edu.tw/eacjs/pdf/program.pdf?v=1001 ◆SGRA参加パネル#2「ODAとアジア:再評価の試み」 分科会N3(一般パネル) 11月2日(土)14:15-15:45 於 台湾大学普通教学館404号室 パネル趣旨: 1950~60年代に始まった日本のODAは、1989年には米国を抜きODA拠出額では世界第1位となった。しかし、その過程で様々な批判または評価の高まりを受け、日本政府は予算の縮小を決断した。2015年、ODA大綱は「開発協力大綱」と名称を変更し、より一層強く「国益」の確保への姿勢を打ち出した。一方、政治的な要因で対台湾のODAは中止、経済的な要因で対韓国のODAは終了、急速に経済発展を遂げた中国へのODAも2018年度をもって終了した。複雑な問題が世界的に様々な影響を拡大させているなかで、「ODAを主体とする開発協力は日本の重要な政策ツールのひとつ」と位置づけられているが、これに関して総合的にレビューする必要もある。今まで日本の政策決定のプロセスや戦略意図についての論考が多かったが、本パネルは日本の対アジア主要国ODAのレビューに重点を置きたい。 パネリスト: 討論者兼総括 黄自進(中央研究院近代史研究所研究員) 報告者1 深川由起子(早稲田大学) 報告者2 金雄煕(仁荷大学) 報告者3 李恩民(桜美林大学) 報告者4兼討論 フェルディナンド・シー・マキト(フィリピン大学) 発表要旨: 【報告1】 深川 由起子(早稲田大学) 「日本の開発援助政策改革~韓国との比較から」 日本の政府開発援助(ODA)をめぐっては1990年代にその規模がピークに達すると、欧米から自国利益を拡大するための「商業主義」であるという批判を受けた。しかしながらその後、多くの研究によって誤解が解かれると共に、結果としてアジア各国が優れた経済発展を遂げることで、むしろ「商業的」なODAが民間企業の誘致や技術の波及に役立ったとする肯定的な評価が台頭した。アジアではODAには自国の発展経験の移転といった側面が強い。中国の「一帯一路」がさらに商業性を強めた「経済協力」として展開されるようになって以来、日本のODAもより経済権益に直結するインフラ輸出など「経済協力」として再編されつつある。これに対し、韓国はセマウル運動の移植や人材育成などより古典的なODAを展開している。北東アジアでは政治的障壁からドナー間の協力や対話が進んでいないが、潜在的には様々な補完性もあり、アフリカ支援協力などで具体的な協力を模索する時期に来ている。 【報告2】 金 雄煕(仁荷大学) 「日本の対韓国ODAの諸問題」 日本の対韓経済協力に対する研究は、その重要性にもかかわらず、いくつかの理由から客観的な分析が困難な状況である。1965年の日韓国交正常化を皮切りに実施された多くの協力案件は半世紀以上の歳月が経過してしまい、韓国経済において日本による資金協力や技術協力の痕跡を見出すことが容易ではない。また、請求権資金がもつ特殊性、すなわち、戦後処理的・賠償的性格と経済協力としての性格を併せ持つことから生じる複雑性がある。さらに最悪の日韓関係のなかで、日本が韓国に対し資金協力や技術協力を行ったことを公に議論することはかなりセンシティブでリスキーなことになっていることが上げられる。 韓国で請求権資金の性格や役割に対する評価は、一般的に日韓国交正常化に対する評価と密接につながっている。安保論理と経済論理が日韓の過去の歴史清算を圧倒する形で日韓国交正常化が進められ、肯定的な評価と否定的な評価が大きく分かれてしまった。請求権資金についても同じく評価が分かれているが、構造的な韓国の対日貿易不均衡などいくつかの問題はおこしたものの、請求権資金が韓国経済の初期発展過程で重要な役割を果たしたことは否定できないというのが一般論であるように思われる。本報告では、請求権資金を中心に日本の対韓経済協力についての相異なる評価や様々な論点を紹介する。日本の外務省が「日本の援助による繁栄」の象徴的事業としているソウル首都圏地下鉄事業と浦項製鉄所(現在のPOSCO)の建設事業についての異なる評価も取り上げつつ、より客観的に日本の対韓経済協力へのレビューを試みることにする。 【報告3】 李恩民(桜美林大学) 「日本の対中ODAの30年」 1979年、鄧小平が推進した改革開放政策は、経済発展を最優先にする新時代の幕明けであった。まさにこの年に、中国政府は日本の財界人の助言を受け、これまでの対外金融政策を改め、日本からODA(Official_development_Aid)を受け入れ、主要インフレと文化施設の建設に集中した。以来40年間、政府から民間まで日本側は円借款、無償資金提供、技術協力などを通して中国の経済発展・人材育成・格差の是正、環境保全等分野に大きく貢献してきた。中国側は日本のODAをどう活用し、どのような成果をもたらしたのか、一般の民衆はこれに対してどう認識・評価しているのか、本報告はフィールドワークお成果をもとにその詳細について考察してみたい。 【報告4】 フェルディナンド・シー・マキト(フィリピン大学) 「日本の共有型成長とそのODA:再考察」 日本のODAを次の観点から簡単に見直す。1)西洋のODAと比較し、その違いを強調しながら共有型成長に貢献しているかどうか、検討する。2)中国のODAと比較し、その類似性を強調しながら、ODA理念を検討する。 【東アジア日本研究者協議会の趣旨と歩み】 北米を中心としたAAS(アジア学会)、欧州を中心としたEAJS(欧州日本学会)が存在するのに対し、東アジア地域における日本研究者の集う場として2016年に発足された協議会。「東アジアにおける日本研究関連の学術と人的国際交流」を目的に毎年、東アジア各都市で国際学術大会が開催されている。 ◇協議会趣旨 一、日本研究の質的な向上。 一、地域の境界に閉ざされた日本研究から脱し、より多様な観点と立場からの日本研究を志向。 一、東アジアの安定と平和への寄与。 ◇国際学術大会の歩み 第1回は2016年韓国・仁川、第2回は2017年中国・天津、第3回は2018年日本・京都で開催。 第4回が本年11月に台湾・台北で開催される。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】新刊紹介 SGRA会員で名古屋大学名誉教授の平川均先生から、新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆「一帯一路の政治経済学:中国は新たなフロンティアを創出するか」 中国の提唱する「一帯一路」構想は参加国が70を超え、マレーシアは中止プロジェクトを再開し、EUからはイタリアが参加を決めた。だが「債務の罠」など強い批判もある。壮大な「一帯一路」構想の全体像を、ASEAN、南アジア、欧州、アフリカなどの沿線国の現状、課題を含めて総合的に把握する。新たなフロンティアであるインド太平洋構想も考察。 編著:平川均・町田一兵・真家陽一・石川幸一 発行:文眞堂 A5判並製 268頁 C3033 ISBN 978-4-8309-5046-9(4-8309-5046-3) 定価 3740円(本体 3400円+税) 2019年9月発行 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.bunshin-do.co.jp/catalogue/book5046.html -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】「第13回SGRAチャイナ・フォーラム『国際日本学としてのアニメ研究』へのお誘い(最終) 下記の通りSGRAチャイナ・フォーラムを北京で開催いたします。 参加ご希望の方は直接会場へお越しください。 テーマ:「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 日 時:2019年10月19日(土)午後2時~5時 会 場:北京外国語大学北京日本学研究センター多目的室 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 共 催:北京外国語大学日本語学院、清華東亜文化講座 後 援:国際交流基金北京日本文化センター お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] 03-3943-7612) ■フォーラムの趣旨 企業が主導して、複数の作家が同一のキャラクターや世界観(背景世界)を共有して創作物を同時多発的に生み出し、さらにそこにファンが二次創作やコスプレの形で創造的に参加する「メディアミックス」は、日本のアニメーションを中心とするコンテンツ産業の特徴的手法とされ、 Marc_Steinberg 『Anime's_media_mix: Franchising_toys_and_characters_in_Japan』(2012)以降、アニメの学術研究の新しい領域として注目を集めている。本フォーラムではSteinbergの議論では不十分であったメディアミックスの東アジアでの歴史的な起源について中・日双方から検証したい。 ■プログラム 【講演1】大塚英志(国際日本文化研究センター教授) 「『翼賛一家』とメディアミックスの日本ファシズム起源」 【講演2】秦剛(北京日本学研究センター教授) 「日本アニメにおける『西遊記』のアダプテーション:変異するキャラクター」 討論者: 古市雅子(北京大学マンガ図書館館長准教授) 陳エン(東京大学総合文化研究科博士課程) ※プログラムの詳細は、下記URLをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13890/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第13回SGRAチャイナ・フォーラム(2019年10月19日、北京) 「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13890/ ◇第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い(2019年11月1日~3日、台北) SGRA参加パネル (1)「明治期の小説と口絵・挿絵―絵の役割―」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/2019/13958/ (2)「日本のODAとアジア:再評価の試み」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13976/ (3)「日本における女性ムスリムの現状:留学中に直面する課題と彼女らの挑戦」 ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Invitation to SGRA Panel Session at EACJS (Part 1)

    ********************************************** SGRAかわらばん792号(2019年10月11日) 【1】東アジア日本研究者協議会へのお誘い(11月1~3日、台北) SGRA参加パネル(1)「明治期の小説と口絵・挿絵―絵の役割―」 【2】新刊紹介『世界のしんどい学校』 【3】SGRAチャイナ・フォーラムへのお誘い(再送) 「国際日本学としてのアニメ研究」(10月19日、北京) ********************************************** 【1】第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い 東アジア日本研究者協議会(EACJS)は、東アジアの日本研究関連の学術と人的交流を目的として2016年に発足されました。SGRAはその理念に賛同し今年も3つのパネルに参加いたします。各パネルの発表内容を順次ご案内しますので、これを機会に皆様のご参加やご関心をお寄せいただければ幸いです。 【東アジア日本研究者協議会の趣旨と歩み】 北米を中心としたAAS(アジア学会)、欧州を中心としたEAJS(欧州日本学会)が存在するのに対し、東アジア地域における日本研究者の集う場として2016年に発足された協議会。「東アジアにおける日本研究関連の学術と人的国際交流」を目的に毎年、東アジア各都市で国際学術大会が開催されている。 ◇協議会趣旨 一、日本研究の質的な向上。 一、地域の境界に閉ざされた日本研究から脱し、より多様な観点と立場からの日本研究を志向。 一、東アジアの安定と平和への寄与。 ◇国際学術大会の歩み 第1回は2016年韓国・仁川、第2回は2017年中国・天津、第3回は2018年日本・京都で開催。 第4回が本年11月に台湾・台北で開催される。 【第4回東アジア日本研究者協議会国際学術大会in台北】 日時:2019年11月1日(金)~3日(日) 会場:福華国際文教会館、台湾大学 http://www.howard-hotels.com.tw/jp/civil-service/home/ 主催:第4回東アジア日本研究者協議会、台湾大学日本研究センター 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://cjs.ntu.edu.tw/eacjs/index.html ◆SGRA参加パネル(1)|「明治期の小説と口絵・挿絵―絵の役割―」 分科会C(一般パネル) 11月2日(土)14:15-15:45 於 台湾大学普通教学館202号室 パネル趣旨: 江戸時代から明治時代になって、新しい印刷技術、また雑誌や新聞などの新たなメディアが出現した。それによって、江戸時代の作品がさまざまな形態で次から次へ再出版された。小説の再刊に際しては、本文の内容は変わらないままで、口絵や挿絵が新たに描き直されるということがよくあった。そのため、挿絵から作品の成立背景、ひいては作品の本質を窺い知ることができる。ところが、文学研究では、挿絵は小説の付属品だと思われがちであり、本文と挿絵との関係についての研究は少ない。本パネルでは、口絵・挿絵と小説との相互関係について議論する予定である。本パネルの発表を通して、小説と挿絵に関する研究が重視され、前進することを期待する。 パネリスト: 司会者  張桂娥 (東呉大学) 発表者 1 出口智之(東京大学) 発表者 2 梁蘊嫻 (元智大学) 討論者 1 延広真治(東京大学) 討論者 2 藍弘岳 (交通大学) 発表要旨: 【発表1】出口智之(東京大学) 「明治期絵入り新聞小説と単行本の挿絵戦略―尾崎紅葉「多情多恨」に即して―」 あまり知られていないことだが、明治中期以降の近代文学の時代に入ってもなお、小説作者たちは江戸期の戯作と同様、口絵や挿絵の下絵を描いて画工に指示することが求められていた。そうした彼らにとっての自作とは、本文だけでなく口絵や挿絵もその範疇に入っていたはずであり、時として本文で記述しない過去の重要な出来事や物語の結末を絵で示すなど、積極的に活用することもあった。本発表ではこうした観点から、尾崎紅葉「多情多恨」について、初出時(『読売新聞』明治29年)と単行本(春陽堂、明治30年)に用いられた挿絵の違いを検討してみたい。特に、『読売』連載時の挿絵が他紙には見られない独特の様式であること、単行本の挿絵制作に際して画工に与えた指示画二葉が残っていることなどを手がかりとし、媒体にあわせて変化する紅葉の戦略を考察する予定である。 【発表2】梁蘊嫻(元智大学) 「明治時代に出版された『絵本通俗三国志』―青柳国松版を中心に―」 『絵本通俗三国志』(池田東籬作・二世葛飾北斎画)天保7(1836)年から天保12年に出版された絵本読本である。本作は挿絵が400図も超え、江戸時代の「三国志物」の中で数量が最も多い作品である。明治時代になると、『絵本通俗三国志』は30種以上のバージョンが刊行された。数多くの出版物の中で、二世北斎の絵を模写したものもあれば、斬新な挿絵を読者に提供しようとするものもある。明治20年に青柳国松によって出版された『絵本通俗三国志』は後者である。本書は、明治15年に、清水市次郎出版したものを継承したものと思われるが、清水市次郎版と大きい違いが見られる。青柳国松は清水市次郎版の前半、すなわち小林年参の挿絵をすべて削除し、水野年方による挿絵を取り替えたのである。このことから、古典としての『絵本通俗三国志』を区別し、独自性を出そうとする出版社の意図が窺われる。本発表では、青柳国松版『絵本通俗三国志』の独自性を分析する。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】新刊紹介 SGRA会員で昭和女子大学准教授のシム・チュンキャットさんから、新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆「世界のしんどい学校―東アジアとヨーロッパにみる学力格差是正の取り組み」 韓国、香港、シンガポール、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、計7カ国の「しんどい」地域(低所得層や移民が多く居住する地域)に立地する小学校で、学力格差の問題がどのように解決されようとしているかという国際比較研究を行った成果である。 監修:志水宏吉 編者:ハヤシザキ・カズヒコ、園山大祐、シム・チュンキャット 発行:明石書店 ISBN:9784750348803 判型/ページ数:A5/336ページ 出版年月日:2019/09/20 詳細は下記リンクをご覧ください。 https://www.akashi.co.jp/book/b481084.html -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【3】「第13回SGRAチャイナ・フォーラム『国際日本学としてのアニメ研究』へのお誘い(再送) 下記の通りSGRAチャイナ・フォーラムを北京で開催いたします。参加ご希望の方は直接会場へお越しください。 テーマ:「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 日 時:2019年10月19日(土)午後2時~5時 会 場:北京外国語大学北京日本学研究センター多目的室 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 共 催:北京外国語大学日本語学院、清華東亜文化講座 後 援:国際交流基金北京日本文化センター お問い合わせ:SGRA事務局([email protected] 03-3943-7612) ■フォーラムの趣旨 企業が主導して、複数の作家が同一のキャラクターや世界観(背景世界)を共有して創作物を同時多発的に生み出し、さらにそこにファンが二次創作やコスプレの形で創造的に参加する「メディアミックス」は、日本のアニメーションを中心とするコンテンツ産業の特徴的手法とされ、 Marc_Steinberg 『Anime's_media_mix: Franchising_toys_and_characters_in_Japan』(2012)以降、アニメの学術研究の新しい領域として注目を集めている。本フォーラムではSteinbergの議論では不十分であったメディアミックスの東アジアでの歴史的な起源について中・日双方から検証したい。 ■プログラム 【講演1】大塚英志(国際日本文化研究センター教授) 「『翼賛一家』とメディアミックスの日本ファシズム起源」 【講演2】秦剛(北京日本学研究センター教授) 「日本アニメにおける『西遊記』のアダプテーション:変異するキャラクター」 討論者: 古市雅子(北京大学マンガ図書館館長准教授) 陳エン(東京大学総合文化研究科博士課程) ※プログラムの詳細は、下記URLをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13890/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第13回SGRAチャイナ・フォーラム(2019年10月19日、北京) 「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13890/ ◇第4回東アジア日本研究者協議会へのお誘い(2019年11月1日~3日、台北) SGRA参加パネル (1)「明治期の小説と口絵・挿絵―絵の役割―」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/2019/13958/ (2)「日本のODAとアジア:再評価の試み」 (3)「日本における女性ムスリムの現状:留学中に直面する課題と彼女らの挑戦」 ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Stefan Wuerrer “After all it comes back to ‘Who are Victims?’ and ‘Where is Disaster Area?'”

    ********************************************** SGRAかわらばん791号(2019年10月3日) 【1】エッセイ:シュテファン・ヴューラー 「やっぱり『被災者とはだれ?』『被災地とはどこ?』に還ってくる」 【2】SGRAチャイナ・フォーラムへのお誘い(再送) 「国際日本学としてのアニメ研究」(10月19日、北京) ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#610 ◆シュテファン・ヴューラー「やっぱり『被災者とはだれ?』『被災地とはどこ?』に還ってくる」 初めて福島に行ったのは、去年の5月だった。渥美財団のふくしまツアーに参加し、福島県・飯館村に2泊3日滞在した。行った先でもっとも印象に残って、ずっと気になって、そして今回もまた、CISV日本協会関東支部主催の「International_People’s_Project(IPP)ふくしま」に、SGRAのヴォランティア通訳者として参加し再び飯館村を訪れようと思った動機の一つとなったのは、責任の不平等な「分配」、負担の不平等な「分配」、「こっち」と「そっち」という線引きの恣意性を意識させる、もっと簡単に言ってしまえば、福島の再生とは誰の問題なのかという問いを投げかけてきた声だった。 いうまでもなく、印象に残ったことはその他にも様々にある。オーストリア東北部にある父の故郷を連想させた美しい森と畑の間に広がる、周りに溶け込むような深緑色、あるいは派手に目立つ不気味な黒のシートでカバーされている汚染土の山々の無視しようもない存在。その山々が現政府にとって「オリンピックで手がいっぱい」なゆえ、ずっと農業地を占領している問題。放射能汚染で農地として使えなくなった畑の一部に広がるソーラーパネルの何十パーセントかが大企業のもので、現地に届くのが借地料のみである問題。 そしてそんな状況の中で、原発事故と津波による被害が良くも悪くも若い世代にとって故郷を後にして別の場所で根を下ろす契機となった一方、年配の人が、自分が生まれ育って何十年間も生きてきた地域を再生させようと踏ん張っているという、ローカル・コミュニティを走る亀裂―ずっと東京に住んでいると、新聞やテレビでは3.11、福島第一原発事故、放射能汚染の問題はとっくに終わった話らしく、これらの問題について知る機会が少ない。だから、被災地、「現場」に身を置いてみてその場を生きている人たちの話を聞くことは、このようにもう少し具体的な問題意識を持たせてくれる貴重な経験だ。 去年そう思って感想をまとめたところ、一つの疑問が浮上してきた。「現場」とはおかしな表現なのではないかと。「現場」、被災地とはどこだ。放射能汚染で避難指示区域となった場所?帰還困難区域?復興作業、除染作業が行われている市町村?福島原発?それじゃ東京は?日本は?太平洋は?―「現場」はどこだ。今回もまた、実は飯館村に行く前に、まだ荷造りもしていない出発の数日前から、去年の飯館村での経験を思い出し、去年のこの疑問が浮かんできた。そのきっかけとなったのは、IPPふくしまの外国人参加者2人と一緒に、日本語が話せないこの2人の通訳者、コミュニケーションのサポートとして、1泊2日ホームステイすることとなったホストの星野さんがあらかじめ送って下さった、飯館中学校のある生徒による英語弁論大会のスピーチである。 CISVは平和で公正な世界の実現に貢献する地球市民を育成することを目標に、世界69カ国の国々で、11歳以上全ての年齢の人々を対象にした国際教育プログラムと地域プロジェクトを実施している民間非営利団体である。その教育プログラムの一つであるIPPは、19歳以上の参加者が地域の課題にその土地の人々、関係する団体と協力して取り組む2~3週間のプログラムで、今年の8月11日から24日まで福島県飯館村で開催された。前半は滞在している地域・飯館村について知ってインプット、後半は地域に貢献してアウトプットという2部構成のこのプロジェクトのちょうど真ん中の週末は、飯樋地区・佐須地区の有志のご家庭での1泊の村内ホームステイと、その次の日に、廃炉資料館と福島第一原発廃炉工事現場の視察があった。 他の渥美財団の元奨学生4人と一緒にこの3日間のプログラムに通訳サポートとして参加した。ホームステイは、小宮地区の山中にある、百数十頭飼っている牛舎を見学し、震災後の福島での農業について知ったり、真野湖へドライブして綺麗な景色に圧倒されながら真野ダムの歴史について学んだり、ホストが家の庭で、人が集まって交流できるもう一つの場所として作った石窯でピザを焼いて星空の下で食事したり、ホストの家にあった様々な楽器でジャムセッションもやったり、また飯樋町コミュニティーの協働草刈りを手伝ったりと、盛りだくさんの2日間だった。飯館村周辺のやはり今でも問題の多い現状を、しかし、この地域の自然の豊かさとこの地域の人たちの心の広さとともに、いくつか新しい視点から経験できた。それを可能にしてくれたホストの星野さんに感謝の気持ちしかありません。 その新しい視点の一つとなったのは、飯館村地域包括支援センターに保健師として勤めており、飯館村周辺のとりわけ年寄りの人のケアに携わっているホストが、「対話のきっかけとして」あらかじめシェアしてくれた、上述の飯館中学校の生徒による英語弁論大会のスピーチである。学生の名前は佐藤安美、スピーチのタイトルは「Don’t_Call_Us_Victims」(被災者と呼ばないで)。その中で、佐藤さんは次のように書く。 「私には口にしたくない言葉があります。それは『被災者』という言葉です。災害による被害を被った人のことを意味します。私はもう被災者ではありません。そう呼ばれることにうんざりしています。〔・・・〕多くの人はメディアから情報を得て、それを真実だと信じています。実際に私は震災についてテレビ番組をたくさん見ましたし、インタビューもたくさんされました。だから、私たちは一生懸命がんばっているという事実を皆さんに伝えようとしてきました。しかし〔・・・〕映像やインタビューは誇張した話で作られていました。私たちをただの被災者に仕立て上げるのです。彼らの望む通り、私たちは永遠に被災者であり続けなければいけないのでしょうか。確かに、被災者はみじめなものとして受け取られがちです。でも私はそうは思いません。被災者は必ずしもかわいそうではないのです。」(村の広報誌「いいたて」2017年12月号、8頁) このスピーチを読んで、去年の疑問―被災地、「現場」とはどこだ―を思い出し、考え込んだ。「被災者」とは誰だ。というか誰かを「かわいそうに」と「被災者に仕立て上げる」こととはどういうことかと。思うに、それは「こっち」を「そっち」から分断するための恣意的な線引き、「そっち」の無責任な放置だったりするのではないか。ならば、「じゃ線引きやめよう」という訳にもいかない。他でもない「わたし」であろうとする人間である以上、いずれ線引きはするから。「こっち」と「そっち」と。線引きのない夢の世界へと浪漫飛行するより有意義なのは、だから、なぜ線引きがなされるのか、線引きのその機能について考えることである。そしてそれは、佐藤さんの「うんざり」、「現場」とはどこ?「被災者」とは誰?という私の疑問、福島の再生が誰の問題、誰の責任なのかという問いとも無関係ではない。 「現場」あるいは「被災地」という語は、特定可能な「そっち」に対しての「現場」、「被災地」でないどこかが存在しているという観念を前提に意味を持つのである。だから、東日本大震災や福島第一原発の事故などが話題になったとき、特定の地域や地区を指して「被災地」という言葉を―あるいはその地域に住んでいる人に対して「被災者」という言葉を―使ってしまえば、それと無関係な「非・被災地」「非・被災者」があるという線引きが想像上、含意として再生産される。「非・被災地」としての「こっち」、「非・被災者」としての「私」という幻想が抱けるわけである。 「~してあげる」とか「支援」とか、あるいはまた「かわいそうに」という「福島」とよくセットになっている表現と同じである。「~してあげる」は、借りと貸しの世界において、「そっち」の事情だけど「そっち」のために「こっち」は境界線を越えて―一時的に「現場に入って」―手を貸そうという「善意」を言葉にしたものである。えらい、えらい。だが、「してあげた」後は?やっぱり「こっち」は「こっち」、「そっち」は「そっち」?「支援」だって、する側と受ける側に世界が分かれる。その場合、「現場」はどっち?支援をする「こっち」?それとも受ける「そっち」? その上、「支援してあげよう」と言うとき、そもそも支援できるための資源や余裕が「そっち」ではなく「こっち」に属するものだという―線引きを通じてこそ可能な―自己肥大的な「優しい私」の演出も無意識に遂行されることにならない? 誤解しないでほしい。支援などやめようなんて言いたいわけではない。「かわいそうに」と「そっち」側を作っておいて、たまに「やってあげよう」と「優しい私」に陶酔しつつ責任逃れするのをやめようと言いたい。共振、共感、協働を。自分なりに、お互いの違いを尊重しつつ。というのも、3.11に起きた地震と津波による大規模な自然災害と福島第一原発事故による放射能汚染とそれらの後遺症は、間違いなく特定のニーズのある地域を生み出したが、それはわれわれの問題、われわれの責任だから。この国のどこに住んでいようが、原発でつくられたエネルギーを3.11以前から、そして3.11以後も使っている「わたし」。原発の建設と再稼働に賛成する政党に票を入れた「わたし」と入れなかった「わたし」。福島の再生よりオリンピックを重視する政府を支持する「わたし」と支持しない「わたし」。 これから海外に移住するかもしれない「わたし」でも、ずっと日本国内にいるだろう「わたし」でも、程度の差はあれど福島の再生は、これらすべての「わたし」、「われわれ」の問題と「われわれ」の責任である。「かわいそうに」と、勝手に「こっち」を基準にして「そっち」に憐れみに見せかけた無関心で対応するのではなく、「支援」の一時的な善意パフォーマンスでもない。被災地が奪われてきたあらゆる資源へのアクセスを再び可能にする。「こっち」でもなければ「そっち」でもなく、一人称複数の「われわれ」で。環境汚染と自然災害が国境や県境を跨ぐ問題であるためだけではない。原発が建てられた時点ですでに、建てられた地域に負担とリスクが一方的に押し付けられたためでもある。 去年、受け入れて案内してくださったふくしま再生の会のチラシに「共感」と「協働」という言葉が大きく載っていて、去年も今年も、飯館村で実際に聞いた話も、「共感」「協働」「共有」の必要性を訴える声が少なくなかった。互いのニーズや立場の違いを無視することなく、いかに「共感」「協働」「共有」が「わたし」にとって可能なのか―この問いに対する答えを模索していくことが、私が去年、そして今年再び、飯館村から持って帰った最大の課題であり、これからも取り組んでいきたい課題である。 <ヴューラー・シュテファン Stefan_WUERRER> 渥美国際財団2018年度奨学生。オーストリア出身。ウィーン大学の東アジア研究科と比較文学科卒業。在オーストリア日本国大使館推薦で国費留学生として、2015年東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コースで修士学位を取得。現在同大学の博士後期課程に在学中。武蔵大学人文学部グローバル・スタディーズコース非常勤講師。専門は戦後日本文学、女性文学、ジェンダー・スタディーズ、カルチュラル・スタディーズ。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】「第13回SGRAチャイナ・フォーラム『国際日本学としてのアニメ研究』へのお誘い(再送) 下記の通りSGRAチャイナ・フォーラムを北京で開催いたします。参加ご希望の方は直接会場へお越しください。 テーマ:「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 日 時:2019年10月19日(土)午後2時~5時 会 場:北京外国語大学北京日本学研究センター多目的室 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 共 催:北京外国語大学日本語学院、清華東亜文化講座 後 援:国際交流基金北京日本文化センター お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局([email protected] 03-3943-7612) ■フォーラムの趣旨 企業が主導して、複数の作家が同一のキャラクターや世界観(背景世界)を共有して創作物を同時多発的に生み出し、さらにそこにファンが二次創作やコスプレの形で創造的に参加する「メディアミックス」は、日本のアニメーションを中心とするコンテンツ産業の特徴的手法とされ、 Marc_Steinberg 『Anime's_media_mix: Franchising_toys_and_characters_in_Japan』(2012)以降、アニメの学術研究の新しい領域として注目を集めている。本フォーラムではSteinbergの議論では不十分であったメディアミックスの東アジアでの歴史的な起源について中・日双方から検証したい。 ■プログラム 総合司会:孫建軍(北京大学准教授) 開会挨拶: 董炳月(清華東亜文化講座、社会科学院文学研究所教授) 徐 滔(北京外国語大学日語学院院長) 【講演1】大塚英志(国際日本文化研究センター教授) 「『翼賛一家』とメディアミックスの日本ファシズム起源」 【講演2】秦剛(北京日本学研究センター教授) 「日本アニメにおける『西遊記』のアダプテーション:変異するキャラクター」 【総合討論】「メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 モデレータ:顔淑蘭(社会科学院文学研究所研究員) 討論者: 古市雅子(北京大学マンガ図書館館長准教授) 陳エン(東京大学総合文化研究科博士課程) 閉会挨拶:今西淳子(渥美国際交流財団関口グローバル研究会代表) ※プログラムの詳細は、下記URLをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13890/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第13回SGRAチャイナ・フォーラム(2019年10月19日、北京) 「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13890/ ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Love Kindstrand “Social Phenomenon called Greta”

    ********************************************** SGRAかわらばん790号(2019年9月26日) 【1】エッセイ:ロヴェ・シンドストラン「グレタという社会現象」 【2】「国史対話」メルマガを配信:孫衛国「歴史と私」 ********************************************** 【1】SGRAエッセイ#609 ◆ロヴェ・シンドストラン「グレタという社会現象」 「聞いてください」少女は不器用な手つきでマイクを握って、聴衆を見渡しながら話しだした。「今からあなたがたに、自分の家が燃えているかのように、パニックに陥ってもらいます。」そうやって今年のEU経済社会評議会で集まった政治家を脅かしたのは16歳のスウェーデン人、グレタ・トゥーンベリだった。たった1年で、凄まじい勢いで注目を集め、ある種の時代精神の象徴にもなったグレタさんは、いまやオバマ前米大統領やローマ教皇と面会し、今年のノーベル平和賞にも推薦されるに至った。 その突然の名声は昨夏、15歳のグレタさんが「気候変動問題のための学校ストライキ」を宣言するところから始まった。スウェーデン政府に温暖化対策の強化を求めて総選挙までの2週間、国会前で座り込みを行った。大勢の歩行者が通りかかる国会前で、石で押えたダンボールにその論拠を明記した。「大人は私達の未来を台無しにしている。だから私もそうさせてもらいます!」限られた資源を無駄にする「消費の世代」としてのオトナと、地球を受け継ぐその子孫――こんな対立を想起させるレトリックが大きな反響を呼んだ。3日もたたないうちにほとんどの国内マスメディアに絶賛する形で取り上げられ、海外でも報道されると、ヨーロッパ諸国をはじめ全世界の若者へ呼びかけたグレタさんに触発されてストライキに参戦した高校生たちは3万人以上であった。そして毎日新聞によると、2019年5月に日本を含む世界125カ国2350都市で開催されたデモには高校生以外も含めて約180万人が参加したという。 グレタさんはEUの経済社会評議会で欧州の排出量を10年間で80%削減する必要性を訴え、更に国連の第24回気候変動枠組条約締約国会議でもなお厳しい標準を立てて、先進国の排出量を毎年15%削減するよう要求した。また、気候変動をキーワードに世界中のグローバリストが毎年集まる世界経済フォーラムにも招待されて32時間の夜行列車で向かったグレタさんは、1500機以上の個人所有のジェット機に乗ってきたエリート層の常識を問うスピーチで、気候変動対策は左右ではなく上下の対立であるというスタンスをはっきりさせた。 選挙が終わった後も毎週金曜日だけ学校ストライキを続けているグレタさんは、そういった具体的な目標を立てながらも原子力などの難問に関しては長らく言葉を濁している。気候変動に対処するには、「大聖堂の思考(カテドラル・シンキング)」が必要だと彼女はいう。すなわち、巨大な聖堂の建築に例えると、入念な準備が必要な尖塔の建て方まであまり把握していなくても、その基礎の建設に大胆に挑むということだ。グレタさんによる新世界秩序としての気候変動対策は確かに反抗的な患者への荒療治のようなものである。しかしそれと同時に、起工から140年経ってもなかなか完成の姿を示さないバルセロナのサグラダ=ファミリア(聖家族教会)を連想させる包括的な取り組みでもある。「最善の方法はわからないが達成に向けてやるしかない。」スウェーデン国民の多くをうろたえさせる台詞だけがヒステリックに拡散される中、この2面性はあまり注目されない。 先進国で次々とグレタさんの名声が上がるものの、スウェーデン国内のマスコミは今年に入ると、少しずつではあるが、彼女のそのサクセスストーリーの隅にある闇に焦点を合わせるようになった。座り込みの初日に「偶然出くわした」イングマール・レンツホグというスピンドクター(広報活動などを通じて情報操作に長けた人)が同日投稿したユーチューブ動画が、いわゆる「アストロターフィング」(人工芝運動:団体・組織が背後に隠れ、自発的な草の根運動に見せかけて行う意見主張・説得・アドボカシーの手法)の証拠として注目され、その動画は間もなく撤回された。 その後、レンツホグ氏の運営する広告代理店がグレタさんの家族の知らないところでグレタ現象を「流行らせた」と自慢し、1億円の投資を呼び込んだことが朝刊紙にスクープされた。更に座り込みが始まった数日後にグレタさんの両親が発売した、娘の温暖化に燃やした情熱をアスペルガー症候群の診断と結び付けるプライバシー侵害の本がベストセラーになった不審なタイミングから、グレタさんの活動を「児童就労」或いは「少年兵」と風刺した作品も出回った。これを受けて、NHKに相当するスウェーデンの国営放送であるSVTまで、5月に「ピーク・グレタ現象」について報道し、彼女が象徴する思潮の限界を探った。 グレタさんの不信者に言わせると、プライベートジェットで世界を飛び回り神様のように振る舞う金持ちたちにとって本当に脅威になりうる人はそもそもダボスに呼ばれない。この招待はある意味グローバルな支配層による気候変動説とそれに従う終末論の容認をも意味する。マイカー所有者を象徴する黄色いベストをシンボルに、地方の人々により大きな影響を与える燃料税の引き上げに反対し、グレタさんのストとほぼ同時期に勃発したジレ・ジョーヌ運動のように、都会の富裕層を慰めるタテマエの温暖化対策が地方の持たざる者を苦しめる傾向を指摘する声も増えつつあった。 一方、ほとんどのマスコミを含むグレタさんを絶対正義とする信者が、従わない人々の魔女狩りを始めると、「傲慢なオトナvs地球を受け継ぐ子供」というグレタさんの対立構造が、むしろ(グレタさんに代表させる)「聖なる女性性」と(彼女を批評する声の)「毒々しい男性性」を競わせるお馴染みの修辞学に取って代わった。おまけにこのつまらない二元論自体を批評する論客まで後者の一員とされて一笑に付された。このように、最初から賛否両論を巻き起こしたグレタさんの活動にまつわる論争は少しずつ過激化し、分裂していく。 第62回SGRAフォーラムのふりかえり対談(SGRAレポート第89号、2019年11月発行予定)で渥美財団の角田英一氏が指摘する「再生可能エネルギーの『神話化』によって見逃されてしまっていること」があるとすれば、(かつて民主党に投票しない人を「嘆かわしい(デプロラブル)」と呼んだヒラリー・クリントン大統領候補者の失言にも示された)こういう「民衆への軽蔑」はその一つと言っても良いかもしれない。何れにせよ「大聖堂の思考」のかけらも無いし、本格的に温暖化という課題に立ち向かえる大衆運動の基盤になり得るとも思えない。 そういえば毎週金曜日だけ、政府の無関心を国会前で訴えた若者が日本にもいた。いわゆる2015年安保の時から「自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs)」の集会は大人数の参加者を集めて「若者」の代弁者としてマスコミに書き立てられた。しかしながら、周りにいた多くのオトナ、特に団塊世代の活動家の夢を抱える形で活動を展開させられたのも事実だ。彼ら彼女らは若者にとって最悪の展開を防ぐには何をすればいいかわからない、でも“とりま”(とりあえず、まあ)何とかしなきゃいけない――グレタさんとの共通点は少なくない。 しかし被選挙権が18歳まで引き下げられてしまった日本でも反原発ムードが続くなか、「大聖堂の思考」に示されるような合意形成は進まず、選挙の議論も再稼働の是非にとどまってしまう。若者の中では温暖化に関する関心はほとんどない。この前の選挙で反原発の票を多く取った「れいわ新選組」でさえ「主力は火力」を公約に入れている。9月20日の「グローバル気候マーチ」まで、グレタさんの活動を積極的に報道するマスコミは毎日新聞だけだった。他の国々に比べて日本が盛り上がっているとは言えないが、興味のあるオトナは是非グレタさんのように動き出した若者の話を聞いてあげてください。 <ロヴェ・シンドストランド Love Kindstrand> スウェーデン出身。シカゴ大学文化人類学博士後期課程。上智大学比較文化研究所客員研究員。研究テーマは現代日本における社会運動の倫理と美学。2017年度渥美奨学生。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】「国史対話」メールマガジン第8号を配信しました。 ◆孫衛国「歴史と私:私の中韓関係史研究の道のり」 https://mailchi.mp/ef371788990e/sgra-kokushi-email-newsletter-208754 SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。国史メルマガは毎月1回、月末に配信しています。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。また、3言語対応ですので、中国語話者、韓国語話者の方々にもご宣伝いただきますようお願いいたします。 ◇国史メルマガのバックナンバーおよび購読登録は下記リンクをご覧ください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第13回SGRAチャイナ・フォーラム(2019年10月19日、北京) 「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13890/ ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Invitation to SGRA China Forum #13

    ********************************************** SGRAかわらばん789号(2019年9月19日) 【1】SGRAチャイナ・フォーラムへのお誘い 「国際日本学としてのアニメ研究」(10月19日、北京) 【2】新刊紹介:三谷博・張翔・朴薫編『響き合う東アジア史』 ********************************************** 【1】第13回SGRAチャイナ・フォーラム「国際日本学としてのアニメ研究」へのお誘い 下記の通りSGRAチャイナ・フォーラムを北京で開催いたします。参加ご希望の方は、事前にお名前・ご所属・緊急連絡先をSGRA事務局宛ご連絡ください。 ※お問い合わせ・参加申込み:SGRA事務局([email protected] 03-3943-7612) テーマ:「国際日本学としてのアニメ研究:メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 日 時:2019年10月19日(土)午後2時~5時 会 場:北京外国語大学北京日本学研究センター多目的室 主 催:渥美国際交流財団関口グローバル研究会(SGRA) 共 催:北京外国語大学日本語学院、清華東亜文化講座 後 援:国際交流基金北京日本文化センター ■フォーラムの趣旨 企業が主導して、複数の作家が同一のキャラクターや世界観(背景世界)を共有して創作物を同時多発的に生み出し、さらにそこにファンが二次創作やコスプレの形で創造的に参加する「メディアミックス」は、日本のアニメーションを中心とするコンテンツ産業の特徴的手法とされ、 Marc_Steinberg『Anime's_media_mix: Franchising_toys_and_characters_in_Japan』(2012)以降、アニメの学術研究の新しい領域として注目を集めている。本フォーラムではSteinbergの議論では不十分であったメディアミックスの東アジアでの歴史的な起源について中・日双方から検証したい。 ■プログラム 総合司会:孫建軍(北京大学准教授) 開会挨拶: 董炳月(清華東亜文化講座、社会科学院文学研究所教授) 徐滔(北京外国語大学日語学院院長) 【講演1】大塚英志(国際日本文化研究センター教授) 「『翼賛一家』とメディアミックスの日本ファシズム起源」 【講演2】秦剛(北京日本学研究センター教授) 「日本アニメにおける『西遊記』のアダプテーション:変異するキャラクター」 【総合討論】「メディアミックスとキャラクター共有の歴史的展開」 モデレータ:顔淑蘭(社会科学院文学研究所研究員) 討論者: 古市雅子(北京大学マンガ図書館館長准教授) 陳エン(東京大学総合文化研究科博士課程) 閉会挨拶:今西淳子(渥美国際交流財団関口グローバル研究会代表) ※プログラムの詳細は、下記URLをご参照ください。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13890/ ■講演要旨 【講演1】大塚英志(国際日本文化研究センター教授) 「『翼賛一家』とメディアミックスの日本ファシズム起源」 戦後のアニメーションビジネスなどの新しいメディア戦略と無批判に信じられていた、統一的な「版権」の管理のもとで世界観とキャラクターを共有し、多メディアで複数の作り手により同時多発的にコンテンツを展開する「メディアミックス」が、実は戦時下の日本に於いて大政翼賛会によって設計されたことを歴史的に検証する。この大政翼賛会のメディアミックス「翼賛一家」に、長谷川町子や手塚治虫ら戦後の日本アニメに原作を提供する代表的作者が無名時代に参加したことの背景と意味、また、「朝日新聞」を中心に「翼賛一家」の読者投稿が推進され、戦後の日本の同人誌文化の特色と言える「二次創作」という参加型文化が日本ファシズム期に形成されたことも資料に基づき考察する。 さらに、この大政翼賛会のメディアミックスが旧満州、上海、台湾などでも展開された「大東亜共栄圏」構築のプロパガンダのツールであったことも資料から概観し、東アジアまんがアニメーション研究に戦時下歴史研究が不可避であることを示す。 【講演2】秦 剛(北京日本学研究センター教授) 「日本アニメにおける『西遊記』のアダプテーション:変異するキャラクター」 中国アニメ最大のIP(知的財産)と見なされる孫悟空は、日本のアニメにおいても長らく共有されてきたキャラクターのひとつである。“西遊記もの”アニメの創作において、中国と日本は相互に刺激し合いながらもまったく異なる道を歩んできた。それによってまず考えつくのは、なぜ東アジア地域において『西遊記』アニメによるアダプテーションが作られ続けてきたのか、天竺への旅を描いた長大な物語とアニメーションというジャンルとの本質的な結びつきは何だったのか、といった問題だ。 本講座では手塚治虫が制作に関わった作品を中心に、日本の“西遊記もの”アニメの創作の流れを要約的に振りかえってみたい。それはサブカルチャーに現れる「日本的想像力」の特質とその背後にある社会的、歴史的文脈を理解するための恰好な手がかりになるであろうが、そこで忘れてならないのは、アニメと漫画やテレビドラマなど隣接するメディアとの密接な関連性である。たとえば、日本ではテレビドラマの三蔵法師役を人気女優が演じるのが通例だが、これは『西遊記』をめぐる日本のサブカルチャーの特殊な現象であり、理解しがたい謎である。このような現象を生み出した文化的要因はテレビドラマでではなく、むしろアニメの中で育まれてきたものだと筆者は見ている。 -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 【2】新刊紹介 「国史たちの対話の可能性」プロジェクトのコアメンバーの三谷博先生より新刊書をご寄贈いただきましたのでご紹介します。 ◆三谷博・張翔・朴薫編『響き合う東アジア史』 内容紹介 いま東アジアではどのような関心から,歴史研究がおこなわれているのか.日中韓の中堅・若手歴史家が互いの最先端の研究を披瀝し,その問題設定,方法を詳らかにし,共通性と多様性のなかに東アジアにとっての有意義な新知見はいかに獲得できるかを提示する. 東京大学出版会 ISBN978-4-13-026266-8 発売日:2019年08月30日 判型:A5 ページ数:440頁 詳細は下記リンクをご覧ください。 http://www.utp.or.jp/book/b454593.html ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第8回SGRAふくしまスタディツアー 「『ふるさと』の再生」(2019年9月21日~23日、福島県飯舘村) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13510/ ※定員に達したので募集を締切りました。 ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • KIM Soongbae “Japan-Korea Relationship and International Politics”

    ********************************************* SGRAかわらばん788号(2019年9月12日) ********************************************* ◆金崇培「戦後と解放の日韓関係、そして国際政治学」 1945年を普遍的基準として、「戦後日韓関係」とする見解がある。人類史において、常に戦争は大きな問題であった。しかし、一方で植民地問題を平和の反対概念として捉える者もいる。過去、数回にわたって衝突したドイツ‐フランス間の集団的武力戦争とその戦後は、日韓とは違う。アジア太平洋戦争によって敗戦した日本の戦後と、1950年に勃発した朝鮮戦争による韓国の戦後は違う。何よりも日本と韓国の間には、1945年まで続いたアジア太平洋戦争の渦中において、植民地問題があり、それに対する認識と経験が違う。日本と韓国の歴史には「戦後」だけでは説明できない「種差」が存在している。 「戦後」という用語は、日本の時代区分と観念の変換点として大きな意味がある。たとえ、日本国憲法が公布された1946年11月3日が、明治天皇の誕生日であり、当時の政治指導者たちがそれを意識して公布日を決定したとしても、そして朝鮮戦争において日本が基地国家として重要な役割を行ったとしても、戦後日本が直接的に戦争に関与しなかったことは、「平和国家」を自称することができるであろう。それでも21世紀における「戦後レジーム」の提唱が「憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組み」から「二十一世紀となった今、時代の変化に伴い、そぐわなくなった部分については、自分たちの力で二十一世紀の現在にふさわしい新たな仕組みに変えていくべき」ならば、日本において1945年直後の歴史は、今現在と直結するものである。 1945年11月、首相であった幣原喜重郎を中心に戦争調査会が発足した。自律的に戦争の原因と実情を調査することは「平和的なる、幸福なる文化の高い新日本の建設」に必要であった。そのため調査会は日中戦争および太平洋戦争だけでなく、第一次世界大戦、日露戦争、明治維新などの時代まで遡ったが、そこに朝鮮半島に対する認識はなかった。このような認識は、日本特有のものでもない。1946年から始まった東京裁判は、1928年から45年までの日本人指導者による不法行為を審理した。周知のように、この裁判では、植民地問題が欠落したため、リベラルな日本人研究者はこの点を指摘してきた。しかし判決文をよく見ると、欠落というより、連合国は1928年以前に日本が取得した権利として、1910年の「韓国併合(Annexation_of_Korea)」を認定していた。 一方、韓国で使用される「解放」とは「戦後」と同じ時間軸を有している。1945年7月26日、連合国はポツダム宣言を提示した。日本が受諾しないなかで、米国は広島、長崎に原爆を投下した。歴史上、日本は原子爆弾による唯一の被害国であるが、唯一の民族ではなかった。朝鮮半島や台湾、そして中国本土にルーツがある民族もやはり原爆の被害者であった。 8月14日午後11時に日本はポツダム宣言を受諾した。翌日15日、玉音放送によって「大東亜戦争」の終結が宣言されたが、この詔書にある日付は8月14日だった。15日以降も、日本軍とソ連軍の戦闘は続き、9月2日に日本が降伏文書を調印することで、戦争は終結した。多くの国が9月2日を対日戦勝記念日とするが、日本にとって8月15日の意味合いは終戦であり戦後の始まりでもあった。一方の朝鮮半島でも、昭和天皇の声明は「解放」と無関係ではなかった。そして3年後の1948年8月15日、韓国は独立を宣言し、12月12日の国連総会における決議第195号(Ⅲ)にて、国際的承認を得た。 当時の韓国では、早い時期から日本に対する賠償請求が論議されており、1919年のドイツに対する過酷なヴェルサイユ条約もまた法的根拠として参照された。ただし、日本に対する韓国の賠償要求とは「懲罰」や「報復」でなく、「暴力」と「貪欲」に対する「被害回復」であった。1949年、韓国の「対日賠償要求調書」では、「1910年から1945年8月15日までの日本の韓国支配」とあることから、植民地時期を述べている。また、「日中戦争ならびに太平洋戦争に起因した人的被害」が述べられていることから、戦争による被害性も含まれていた。つまりその要求には、「植民地責任」と「戦争責任」が含まれていた。 しかし1951年、連合国と日本間の「戦争状態」を正式に終結させ、日本の主権を回復させたサンフランシスコ平和条約において、韓国は署名国の資格を与えられなかった。サンフランシスコ平和条約は冷戦と朝鮮戦争という「熱戦」の中で、アジア太平洋戦争後の「戦後秩序」を形成したが、植民地解放後の秩序形成に関しては特別な規定がなかった。 そのような点からサンフランシスコ平和条約を批判することはできるが、歴史的に多くの平和条約は「戦争とその後」に主眼を置いたものであり、敗戦国が保有していた植民地の分離条項があったとしても、「植民地問題とその後」を考慮するものではなかった。それでも1965年の日韓基本条約前文にあるように、1948年に国連によって主権が認定された韓国と、1951年にサンフランシスコ市で署名された平和条約によって主権を回復した日本は、国交を結んだ。以降、両国は過去に対する認識の乖離を少しずつ狭めながらここまで歩んできた。「河野談話」、「村山談話」、そして1998年の「日韓共同宣言」は代表的である。しかし最近の日韓関係の様相は、過去の問題が依然として大きいことを痛感させる。それは両国が相互補完性を有していた経済・安保領域まで波及した。 人間の本質と同様に、国家もやはり名声や願望の総体である威信(prestige)を追求する。そのような現在の日韓関係の危機をどのように克服すべきか、その「実践論」を導き出すことは容易ではない。それでも政治指導者間の信頼構築、安保も含めた戦略性の確認、問題に対する解決優先順位の確立、民間団体交流の継続性などがすでに提議されているように、相互理解と自己省察は必要である。その上で、解決法でなくとも「国際政治学」では、包括的に次のような点を述べることができる。 第1に、ラテン語起源を成句とする「合意は守られなければならない(pacta_sunt_servanda)」という警句は、現代において主権国家間の約束が私人間の約束以上に意味があり、国際法によっても効力があるとされる。これは「条約法に関するウィーン条約」の前文でも規定されている。 第2に、ローマ帝国から独立したスイスの法学者であり外交官であったヴァッテル(Emer_de_Vattel、1714-1767)は、著名な『国際法(Le_Droit_des_Gens)』にて、平和を回復するためには、厳格な正義の原則よりも、譲歩や妥協によって、主張間の整合性を見つけることであるとした。 第3に、国際政治学における「和解(reconciliation)」の理論は、和解方式に対する考察から体系化されてきた。条約などによる制度的和解、賠償による物理的和解、そして追悼や記念式典などを通じた観念的和解による三重構造は、国家間に安定性をもたらす。 1から3の国際政治学的視点は、主に「戦争と平和」のテーゼから生まれたものである。よって「植民地と平和」の観点が要求される日韓の関係性は、国際政治学の発展性を必要とする。遠くない未来において主権国家による戦争が行われた場合、平和条約によって戦争を正式に終結させることはあるであろう。しかし現代世界において、これから「植民地支配」が成立することはまずない。戦争と植民地はともに残酷であるが、これからも起こりうる戦争への危機感にくらべ、植民地問題は起こりえない過去の問題として残存する。日本と韓国の認識の差異は過去に対する解釈と認識から派生するが、「日韓関係の国際政治学」があるならば、「戦争と平和、そして植民地」というテーゼを両国史だけでなく、世界史に提起させるものである。 <金崇培(キム・スウンベ)KIM_Soongbae> 政治学専攻。関西学院大学法学部法律学科卒。韓国の延世大学政治学科にて修士号、博士号を取得。現在、忠南大学人文学部招聘教授。研究分野は東アジア国際政治史。在日韓国人三世。著書に『歴史認識から見た戦後日韓関係「1965年体制」の歴史学・政治学的考察』(共著、社会評論社、2019年)、『韓日関係の緊張と和解』(共著、韓国語、ポゴサ、2019年)、論文に「反ヴェルサイユ‐国際的民族自決論と韓国的分化」(韓国語、国際政治論叢、2019年)など。 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第8回SGRAふくしまスタディツアー 「『ふるさと』の再生」(2019年9月21日~23日、福島県飯舘村) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13510/ ※定員に達したので募集を締切りました。 ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************
  • Jin Hongyuan “SGRA Cafe #12 Report”

    ********************************************* SGRAかわらばん787号(2019年9月5日) ********************************************* ◆金弘渊「第12回SGRAカフェ『「混血」と「日本人」:ハーフ・ダブル・ミックスの社会史』報告」 2019年7月27日、第12回SGRAカフェが開催された。午後の蒸し暑い坂道を登り、たどり着いた鹿島新館には、予想以上に多くの人が集まっていた。今回のテーマは『「混血」と「日本人」:ハーフ・ダブル・ミックスの社会史』であり、発表者は上智大学の下地ローレンス吉孝先生だ。私は大学時代からずっと生物についてばかり勉強してきたので、文系世界は門外漢であり、こんな真面目な社会学セミナーの参加は初めてで正直なところ最初は不安だった。 でもその不安はすぐに解けた。皆さん普通に私服でお越しになっていたし(日本で参加した生物学会ではスーツがメジャーな格好だ)、私が着いた頃にはまだ時間に余裕があったため、多くの人たちはコーヒーを飲みながら談笑していて、そんなリラックスな雰囲気がよかった。 講演は午後2時からスタートした。はじめに司会の立命館大学言語教育センターのファスベンダー・イザベル先生より、パネリストの紹介と今回のSGRAカフェのテーマについて説明があった。その後、下地先生の発表が始まり、最初はご自分の家族について語られ、続いて「混血」の歴史についての発表があった。日本の戦後から今までの数十年の期間に着目し、日本人と外国人の間で生まれたいわゆる「混血」の人々が、日本社会においてどのように位置付けされてきたかを歴史的、政治的、文化的な角度から分析された。後半は、「混血」の生活史について掘り下げた内容で、その中で下地先生が6年をかけて、日本国内の50人以上の「ハーフ」の方々にインタビューされた調査結果が報告された。 私が一番好きだったトピックは、この実際に聞き取りした一人一人の物語だ。私は理工学出身のため、物事を観察する時、他人の気持ちを考えず論理的な視点からしか見ないことがよくある。しかし今回の発表では「ハーフ」の方々から直接聴取されたごく日常的な差別の経験が紹介され、その内容に思いのほか心を動かされた。自分は外国人として日本留学しており、中国人のため外見だけでは「外国人」とは判断されないけれど、自分のボロボロな日本語を日本人に聞かせると、大体初対面の方から「日本語お上手ね」のように褒められるケースが多い。自分の日本語があまり上手じゃないのを知っているから、そうは言われても相手に悪意があるのではないかと思ってしまう。どうしてこのような反応が返ってくるのか、ずっと考えてきたが、それはおそらく相手が私に対して抱く予測(顔からの判断して日本人だろうと思うこと)が外れ、実は外国人だと分かった時のごく一般的な反応だと自分に説得してきた。 でも、一時的な留学生の身分とは異なり、数十年にわたる人生の中で、毎日そのような定番の質問と返事が繰り返されるとしたら、日本人としての「ハーフ」の方々には相当なストレスが溜まるだろう。 私は比喩が好きではないけれど、「ハーフ」の生活史に関することは生物の免疫になんとなく相似すると感じた。人間は生まれた時点では免疫システムがか弱い。その理由は、免疫システムが、自分自身の認識がまだできていないからだ。子どもから大人になる時期に、免疫システムは自分自身の細胞を認識できるようになり、病気との戦いを経験することで鍛えられ、病原体に対するバリアを作るための境界線も自ら引けるようになる。要は、生物の成長にとって大事なことは、免疫システムの成長の過程における自分自身の「アイデンティティ」の確立なのである。 しかし、いったん確立した「アイデンティティ」が何らかの要因(例えば薬やアレルギーなど)でバランスを失ったり、本来の自分とミスマッチを繰り返したりするようになると、免疫システムは自分自身の細胞まで攻撃してしまうようになる。難病として多く認識されている自己免疫疾患はその例だ。似たような感じで、同じ日本人の母集団にいるのに、「ハーフ」の人たちが日本人としての所属意識を失ったり、幼少期から人格の確立に悩んだり、大人になっても「アイデンティティ」を他人から疑われ続けたりすると、いくら精神力があってもとても深く傷付けられることは容易に想像できた。 もちろん、ここでは誰かが病気になっているというわけではない。「ハーフ」たちが経験した差別は、アイデンティティを認識するときに生じる「情報不均衡」に加え、ほぼ単一民族から構成される日本の社会の中でさらに拡大されると考える。私は生物をやっているので、様々な可能性を生む「多様性」という言葉が好きだ。熱帯雨林のような著しい多様性が存在する生態システムには、さまざまな珍奇な生物が見られ、その包容力があるからこそ熱帯雨林は成り立っている。だが、人間社会はやはり自然より複雑だ。仮に国家の歴史と地理的な条件から独自の民族的性格が捉えられたとしても、その唯一の標準だけをもってその民族全体を測ることはできない。元々多民族の国、または複数の移民から構成される国では、「ハーフ」たちへの差別はどうなのだろうと考えると、結構興味深くなるテーマだった。 下地先生の素晴らしい講演は来場者からの拍手の中、終了した。その後、今回のセミナーにいらっしゃった「ハーフ」の方々も自分の経験談を皆さんにシェアし、貴重なご意見と有意義なコメントが集まった。とても勉強になった2時間だった。 SGRAカフェの後は、渥美国際財団が主催した真夏のBBQ。今回も神奈川県・小田原からの新鮮な「海の幸」がメインディッシュになり、ラクーン会の先輩たちによる美味しい料理もいただいた。ご来場の方々も増え、2時間ほど歓談とご馳走を楽しんだ。 当日の写真は下記よりご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/combination/cafe/2019/13835/ <金弘渊(キン・コウエン)Jin_Hongyuan> 渥美国際財団2019年度奨学生。中国杭州生まれ杭州育ち。中国浙江大学応用生物科学卒業、東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻博士(生命科学)修了。現在、東京大学先端生命科学専攻特任研究員。専門は進化発生学、進化ゲノム学、遺伝学。特に、「昆虫の擬態現象」を着目し、アゲハチョウの色素合成と紋様形成の分子機構及び進化過程を中心に研究中。 ********************************************* ★☆★SGRAカレンダー ◇第8回SGRAふくしまスタディツアー 「『ふるさと』の再生」(2019年9月21日~23日、福島県飯舘村) http://www.aisf.or.jp/sgra/active/schedule/2019/13510/ ※定員に達したので募集を締切りました。 ◇第5回アジア未来会議(2020年1月9日~13日、マニラ近郊) 「持続的な共有型成長:みんなの故郷みんなの幸福」 ※参加申し込み受け付け中。論文募集は締切りました。 http://www.aisf.or.jp/AFC/2020/ アジア未来会議は、日本で学んだ人や日本に関心がある人が集い、アジアの未来について語る<場>を提供します。 ★☆★お知らせ ◇「国史たちの対話の可能性」メールマガジン(日中韓3言語対応)を開始! SGRAでは2016年から「日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性」円卓会議を続けていますが、関係者によるエッセイを日本語、中国語、韓国語の3言語で同時に配信するメールマガジンを開始しました。毎月1回配信。SGRAかわらばんとは別にお送りしますので、ご興味のある方は下記より登録してください。 https://kokushinewsletter.tumblr.com/ ●「SGRAかわらばん」は、SGRAフォーラム等のお知らせと、世界各地からのSGRA会員のエッセイを、毎週木曜日に電子メールで配信しています。どなたにも無料でご購読いただけますので、是非お友達にもご紹介ください。 ●登録および配信解除は下記リンクからお願いします。 http://www.aisf.or.jp/mailmaga/entry/mailing_form/ ●エッセイの転載は歓迎ですが、ご一報いただければ幸いです。 ●配信されたエッセイへのご質問やご意見は、SGRA事務局にお送りください。事務局より著者へ転送します。 ●SGRAエッセイやSGRAレポートのバックナンバーはSGRAホームページでご覧いただけます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/active/sgra/ ●SGRAは、渥美財団の基本財産運用益と法人・個人からの寄附金、諸機関から各プロジェクトへの助成金、その他の収入を運営資金とし、運営委員会、研究チーム、プロジェクトチーム、編集チームによって活動を推進しています。おかげさまで、SGRAの事業は発展しておりますが、今後も充実した活動を継続し、ネットワークをさらに広げていくために、皆様からのご支援をお願い申し上げます。 http://www.aisf.or.jp/sgra/kifu/ 関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局 〒112-0014 東京都文京区関口3-5-8 (公財)渥美国際交流財団事務局内 電話:03-3943-7612 FAX:03-3943-1512 Email:[email protected] Homepage:http://www.aisf.or.jp/sgra/ *********************************************